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懺悔

静寂の舞台に一人立つ者に、淡い光が迫っていた。

どんな経緯でその道を選んだのか、なぜそこに至ったのか、何も知らなかった。

ただ同じ時間を過ごしていた、そして常に元気付けられていた。

その笑顔と強く主張しない姿に、私はただ受け取っていただけだった。


TVルームに戻り、マダムと松さんと久美子が待っていた。

マリアの寝顔を見てから、久美子の横に座った。

「反省しきりやな」とマダムが真顔で私に言った。

『なんか、自分のバカさにまいったよ』と真顔で返した。

「間に合ったさ、明日から最終土曜日まで、マミをお前にまかす」とマダムが笑顔で言った。

『うん、頑張ります』と笑顔で返した。

「午後から来るから、5時に一度魅宴に送ってくれ」と笑顔を絶やさずに言った。

『俺が何教えるの?』と笑顔で返した。

「マミはこの研修が終われば、フロアーデビューする、少女らしい思い出や」とマダムが真顔で言った。

『了解、やっぱりデビューするんだ』と真顔で返した。

「明日と金曜の午後2日やる、そして夜はお前にまかす頼んだぞ」とマダムが笑顔で締めた、私も笑顔で頷いた。

マダムの生き方を感じていた、魅宴の助けになることを進んでする生き方に。

【同じ海流に乗る、同じ深さに棲む魚】そう表現した、薔薇の言葉を思い出していた。


レンが来て、レンと久美子をタクシーまで送った。

「そんなに落ち込むなよ、調子狂って可愛く見えるだろ」とレンがエレベーターの中で微笑んだ。

『大丈夫、明日には復活するから、俺には最高の副職がついてるからね』と微笑んで返した。

「私にもいつかしてね、抱っこと少女らしいこと」と久美子が微笑んだ。

『久美子お姉さまなら、いつでもいいよ、こっちからお願いしたい』と微笑んで返した。

「少女だぞ、少女らしい」とレンがニヤで言った。

『フロアーレディーは、想像が曲がってるね』と久美子にニヤで返した。

「本当に、我が姉ながら困ったもんです、順応性が出てきて」と久美子も嬉しそうに笑った。

『レン、明日の11時は魔女で来いよ、最強の魔女の気持ちで』と真顔でレンに言った。

「選択を迫られるのか」とレンも真顔で返した。

『どう感じるかはレンの事だから分らない、ただ出しきらせると思う』とレンに微笑んだ。

「水のユリカさん、遠くで見ただけで感じた、遥かに遠い人だと」とレンが真顔で答えた。

『本当に久美子が感じた順応性が出たのか、ただ無理をしてるのか感じるさ』と微笑んで締めた、レンは頷いた。

タクシーに2人を乗せ見送ると、エレベーターから四季が降りてきた。


「蘭姉さんには断ったから、来て」と千春か私の手を握った、私は手を繋いで裏階段に連れていかれた。

『千春、どうした疲れてるのか』と笑顔で言って、抱き上げた。

「うん、少し・・なるほど気持ちいいな~」と至近距離で笑った。

『しっかり、掴まってろよ』と笑顔で返して、ゆっくりと登り始めた。

「美冬ばっかり優しくするから、すねた」と私の首筋に言った。

『9人衆皆同じさ、必要としたか、しないかでしょう』と優しく囁いた。

「私が必要としたら、美冬の時みたいに」と優しく返された。

『同じ事をするよ・・少し目を閉じてな、千春』と囁いた。

千春は少し腕に力を入れて、静かになった、私は階段の最上階までゆっくりと上がった。

最上階の踊場で、千春を抱いて、目を閉じている千春を見ていた。

千春の少し疲れた女子大生の顔があった、《無理するなよ》と心で囁いて顔を上げた。

ユリカの店の明かりが見えた、《ここまで上がれば見えるんだ》と気付いて嬉しかった。


「ありがとう、元気出たよ・・帰ろう」と千春が微笑んだ。

千春を優しく降ろして、手を繋いで階段を降りて、PGの入口で千春に手を振った。

「あと2回、すぐ使うかも」と元気な可愛い笑顔で千春が手を振った、私も笑顔で見送った。

ドアを開けると蘭が待っていた、満開に微笑んで小窓の所に引っ張った。

「罰を与える、姫に懺悔せよ」と微笑んで、私の首に腕を回した。

私は蘭を抱き上げて、小窓を見た。

蘭は目を閉じて、静かにしていた。


『マリアよ許してください、愚かな私を。

 すぐに調子に乗る未熟な私を、愛する者に心配ばかりかける駄目な心を。

 ここにいる姫に誓った想いを、もう一度申し上げます。

 私は姫を愛しています、その資格が持てるように成長して。

 姫を一生笑顔のある暮らしがさせれる、男になります。

 それまで姫に甘える事を許して下さい』


そう言って蘭を見た、微かな震えを感じていた。

「よし、降ろして目を閉じなさい」と蘭が囁いた、優しく蘭を降ろして、私は目を閉じた。

柔らかく暖かい物がが唇に触れていた、私は嬉しくて足が少し震えていた。

柔らかい物が離れて、静寂が流れた。

「なに突っ立てるの、帰ろう」と蘭の声がした、」目を開けて蘭を見ると満開の笑顔で手を出していた。

私は蘭と手を繋いでビルを降りて、タクシーに乗った。

タクシーに乗ると、蘭が肩に乗ってきて微笑んだ。

「落ち込む必要ないよ、気付いたんだから、それで充分だよ」と満開で微笑んで、瞳を閉じた。

『ありがとう、蘭』と言って頭を傾けて、蘭の頭に乗せた、蘭の香りに包まれていた。

タクシーが着いて、蘭を抱き抱き上げた。

「私の側にいなさい、いつまでも」と言って強くしがみついた、私は蘭の優しさに元気が出てきた。


部屋に入り、蘭が化粧を落としパジャマで帰ってきた。

「しかし、罰を与える・・背中合わせで眠ること」と満開で微笑んで、ベッドに入って背中を向けた。

私は嬉しくて、電気を消して背中を合わせて、手を繋いだ。

『蘭、いつまでも側にいるよ』と囁いた、蘭の手に力が入った。

「もう寝てる・・もう寝たよ」と蘭が静かに囁いた。

私は手を離し、振向いて目を閉じてる蘭を見て、首に手を入れ腕枕で引き寄せた。

『蘭は寝つきがいいな~』と囁いて、抱きしめていた、そして額にキスをして。

『おやすみ、蘭』と囁いて蘭を見ていた、私の中で眠る蘭を。

私はかなりの時間蘭を見ていた、そして眠りに落ちた。


翌朝、暗いうちに自然に目が覚めた。

蘭は私の脇の間から顔を出して、胸の上にいた。

その可愛い寝顔を見ていた、少しづつ明るくなる空を感じながら。

時間になって、静かに腕を抜き歯を磨き、顔を洗った。

朝食はご飯が有ったので、卵焼きとロースハムとレタスにした。

「おはよ、元気でたな~悩める少年」と蘭が満開で笑った、私も笑顔で頷いた。

蘭が洗面所から戻って、満開で笑った。

「卵焼きのレベルが、日々上達するね」と微笑んで、食べはじめた。

『自分でも、才能有るかと思ってる』と笑顔で返した。

「うん、でも調子に乗るなよ」とニヤで返された。

『うん、もう乗らない・・てか乗れない』と微笑んで返した。

「マミは大切なんだよ、ハルカと同じで四天女にも私にも」と微笑んだ。

『うん、俺もハルカに向けるのと同じだよ』と微笑んで返した。

「でも、妬くからな」とニヤで返された。

『うん、でも蘭を傷つけたり、悲しませたりはしなしよ』と真顔で言った。

「うん、分ってる」と満開で微笑んだ、私も笑顔で返した。


蘭を見送り、朝の仕事をして、日記を書いた。

反省文を書いて、それで自分のけじめをつけた。

バスで出かけて、若草通りを隠れながら歩き、カスミを見ていた。

店の前の通りを掃除していた、バンダナを三角巾のように被り可愛かった。

私を見つけて、輝きながら笑顔で手を振った。

私も笑顔で手を振って、カスミに背を向けた。

靴屋を覗いて、蘭に手を振ってユリカの棲家に向かった。


合鍵でユリカの店を開けて、奥に進むとユリカが座って目を閉じていた。

私はユリカを抱き上げた、ユリカが首に腕を回して微笑んだ。

「さすが蘭だね、元気になったね」と嬉しそうに笑顔で言った。

『俺は蘭とユリカに甘えてばかりです』と微笑んで返した。

「そんな事ないよ、私も蘭も充分あなたに甘えてるから」と爽やかに微笑んで。

「ご依頼を聞こうか?」と笑顔で言った。

『11時に一緒にPGに行こうよ、レンに会って、久美子のピアノを聴いて、俺がボーナス出たから、ユリカにお昼ご馳走するでどうかな』と笑顔で返した。

「素敵、今日は店の掃除いいから、抱っこ長めでよろしく」と爽やかニヤを出した。

『もちろん・・ユリカ目を閉じて、今はその方が俺は嬉しい』と囁いた。

「うん、良かった輪唱に戻ったよ」と微笑んで瞳を閉じた。

私はユリカを見ながら抱いていた、何も考えずにユリカの体温と重みを感じていた。


「それだけでいいの?」と20分程経ってから、ユリカが私に微笑んだ。

『ごめんね、ユリカは気付いてるよね、マミの事どうかな?』と私は詳しい内容を話さずに、ユリカに聞いた。

私はマミを夜の何時間か、ユリカとリアンの店のカウンターに、立たせてみたいと思っていたのだ。

「もちろん、私はOKよ嬉しい提案だし、リアンもOKするよ」と微笑んで。

「まぁ、今のリアンはあなたの言う事なら、何でもOKだけどね」とニヤで言った。

『今夜ユリカの店OKでいいの?』と嬉しくて、笑顔で返した。

「もちろん、ハルカも来たければ、いつでも連れて来ていいよ」と爽やか笑顔で言って。

「あなかが考えてる程の、勉強に成るかは別だけど」とニヤで言った。

『なるよ、絶対ユリカとリアンなら』と微笑んで返した。

「あなた凄いよね、マミの源氏名私でも分からない」と真顔で言った。

『うん、内緒だからね・・ユリカにも』とニヤで返した。

「うれし~、私、初めて内緒されたよ」と強くしがみついた。

『どんな相手に?』とすかさず聞いた。

「教えない・・まだ」と爽やかニヤで返された。


11時少し前に、ユリカと手を繋いでPGに向かった。

TVルームにレンと久美子とハルカがいて、立ち上がって挨拶した。

「ユリカです、よろしくね」と爽やかに笑顔でユリカが言った、かなり強い静けさがあった。

レンだけ連れて、ユリカと10番席に座った、レンは黒い魔女衣装と化粧をしていた。

『レン、子供の頃の楽しい思い出を話して、何も考えずに思い出だけ』とレンに言った、レンが真顔で頷いた。

「私は2人姉妹で、歳の差が2歳あります」までレンが言ったとき、強烈なユリカの揺り篭が来た。

「あなたはきっかけは妹さんだけど、今はどうなの?」強かった、一瞬で隣の私も揺り篭に乗った。

レンは動けずに、ユリカを見ていた、目に涙を溜めて。

「あなたは多くの人に認められたくなったの?自分が嫌いになったの?」とレンを深海の囁きで誘った。

レンは大粒の涙を流しながら、ユリカを見ていた。

「今は決めなくていいのよ、悩まなくていいの、あなたはきっと出来るよ」と囁いた、優しかった。

レンはただユリカを見て、涙を流していた。

私も揺り篭に揺られ、そして私に向けても発せられた最後の言葉を聞いていた。


レンが落ち着くのに、かなりの時間がかかった。

「本当にありがとうございます、ユリカさん」とレンが可愛い笑顔で言った、元気な声に私は驚いた。

「ごめんね、少し言い過ぎたね」とユリカは優しく囁いた。

「全然そんなこと無かったです、考え方の間違えに気付きました」とレンが笑顔で返した。

「じゃあ、久美子ちゃんを呼んでくれる、ピアノが聴きたいの」とユリカも微笑んで返した。

「久美子まで、ありがとうございます」とレンが言って、足早にTVルームに向かった。

「久美子ちゃんの時は、あなたは離れててね」とユリカが私に言った、私は頷き指定席に座った。

久美子が来て、ユリカが微笑んでピアノの久美子の横に座った。


久美子がユリカを見て、鍵盤を見た時に表情が変った。

ユリカは至近距離で久美子を見ていた、優しく深い目だった。

そして久美子が初めてPGで弾いた曲を弾き始めた、魂の響きで。

ユリカは優しく久美子を見ながら、何かを囁いていた。

久美子の表情が優しくなり、目が潤んでいた。

そして響きが変った、魂が訴えかけてきた【寂しい】と音色が語っていた。

徳野さんも、ボーイも来た。マダムとユリさんとハルカとレンも来た。

ユリカは久美子を支えるように、何かを囁いていた。

そして魂の響きが、【寂しい、会いたい】と言っているように響いてきた。

レンもハルカも泣いていた、ユリさんが抱くマリアが天使全開でピアノの2人を見ていた。

最後は久美子が渾身の魂を込めて、【ありがとう】と叫んだようだった。

弾き終わった久美子は、ユリカに抱きついて泣いていた、悲しい涙ではなかった。


「本当に素敵な演奏だったよ、今まで通りで頑張ってね」とユリカが優しく久美子に囁いた。

私は2人を優しく見ているユリさんに近寄り、マリアを抱き上げた。

マリアを抱いて、ユリカを見ている久美子に近づいた。

マリアが久美子に両手を手を伸ばし、久美子の両頬に触れて。

「くみこ」と言って天使全開で微笑み、久美子も嬉しそうに微笑んで頷いた。

マリアはユリカの両頬にも手を当てて、ユリカを見た。

「ゆりか!」強い言葉だった、マリアの発したとは信じられない程強かった。

「マリア」とユリカはマリアの両手を握り、深海の深い瞳で返した。

静寂だけが包んでいた、同種族の者を。

私はマリアの強い言葉で、完全に自分が戻ったのを感じていた。

ユリカのマリアを見ている、深海の瞳が潤んでいた。

誰も言葉を発せずにその2人を見ていた、美しく輝くユリカと。

純白の天使を・・・。


ユリカの力について、色々な意見を聞いた。


だが私はどれも違うと思っていた、正解など無いと信じていた。


それは考える事ではないと、ずっと思っていた。


今でもそうである、ユリカが街を出た理由は私しか知らない。


蘭も私に聞かなかった、私はユリカを今でも信じてる。


必ず聞いてくれていると、私が唯一感じるのは。


ユリカが今でも何処かで、元気に暮らしている事だけである。


だから、淋しくないよ・・・ユリカ。

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