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背心

夕立の火曜日、最悪の設定を天が示した、それでも到達できるのかと笑っていた。

キングが3番に座り、ハルカが指名で入った、集中した良い笑顔だった。

その時受付に徳野さんが慌てて出た、私は見て固まった。

ミスターが黒い笑顔で一人で立っていた。


「ご無沙汰してます、徳野の兄貴」とミスターが深々と頭を下げた。

「兄貴はやめろよ、人聞き悪いだろ」と徳野さんが笑顔で答えた。

「すいません、徳野兄さん」とミスターが白い歯で笑った。

「昨夜はすいません、徳野兄さんの店の人間に」と言って、もう一度ミスターが頭を下げた。

「こっちこそ、ありがとうな・・助かったよ」と徳野さんも笑顔で返した。

「飲んでいかないのかい?」と徳野さんがニヤで聞いた。

「いいんですか」とミスターが笑顔で返した。

「一人ならいつでも大歓迎だよ、それに向こうから手を振ってるぞ」と徳野さんが笑った。

ミスターが見て、満面の笑みで頭を下げた、キングが手を振っていた。

雰囲気を察して、ハルカがユリさんと蘭に変った。

「おい、ご案内しろ」と徳野さんが私に振った。


私は駆け寄りミスターに挨拶した。

『今晩はミスター、昨夜はありがとうございました』と頭を下げた。

「様になってるじゃないか、小僧」とミスターが笑顔で言った。

「お前、ミスターって呼んでるのか」と徳野さんが笑った。

「徳野兄さん、俺に最後に喧嘩を売った奴の話、聞いた事ないですか」とミスターが嬉しそうに笑った。

「あっ!・・お前か」と徳野さんが私を見た。

『何の事でしょう』と初めて徳野さんにニヤを出して、ミスターを案内した。


私が最近の波の話を聞きながら、3番に案内した。

「梶谷さんご無沙汰してます」とミスターが深々と頭を下げた。

「やめろよ、硬いの抜きにしようぜ」とキングが立って右手を出した、ミスターも笑顔で握り返した。

キングの横に蘭、ミスターの横にユリさんが付いた。

私が指定席に戻ろうとすると、徳野さんが笑顔で呼び止めた。

「大金星だぞ、あの2人が座る光景は」と徳野さんが笑顔で言った。

『そうなんですか、確かに凄いけど』と笑顔で返した。

「PGの格が上がる位の話だよ」と嬉しそうに言って、「まさかお前とはな~」と笑った。

『何の事でしょう』と笑顔でとぼけて指定席に戻った。


3番のミスターは上機嫌で、キングもユリさんも蘭も笑顔が絶えなかった。

ミスターが笑顔で話してる内容が気になりながら、サインを繋いでいた。

キングと蘭が食いついてユリさんが楽しそうなので、嫌な予感がした。

9時を過ぎても7割しか埋まらずに、《夕立恐るべし》と思ったいた。

10時前にキングとミスターが立った、私は挨拶に出た。

「小僧、今度な」とキングが笑顔で言った、私も笑顔で頭を下げた。

「お前、蘭ちゃんとリアンの他に、素敵な女性あと何人俺の女だって言うんだ」とミスターが笑った。

『2人』とニヤでVサインを出した、蘭が横腹を優しくパンチして。

「少し、お2人で叱って下さい」と蘭が満開で微笑んだ。

「俺には無理だ、あと1つ借りがあるから」とミスターが笑顔で言った。

「俺にも無理だ、四天女の店で嫌われるから」とキングが笑顔でエレベーターに2人で乗った。

笑顔の2人を見送った。

「ふ~、流石に緊張したぞ」と蘭が私に満開で微笑んだ。

「私も緊張しましたよ、でも噂通りの素敵な人でした」と薔薇で微笑んだ。


「明日からの夜街は、この噂で持ちきりでしょうね」ユリさんが蘭に薔薇で微笑んだ、蘭が満開で頷いた。

「初めて店に本当の貢献をしたな、褒めて使わす」と蘭が満開で笑ってユリさんと、フロアーに消えた。

《ミスター何の話をしたんだろう、怖い》と思いながら指定席に座った。

その時にバタバタと団体が入り、満席になった。

私がVサイン出すと一瞬安心感が広がり、熱が上がってきた。


マミがニヤ顔で、私のコーラを持って来た。

「もしかして、さっきの人望月さん?」とニヤ継続で聞いた。

『そうだよ、どうしてかな~』と恐々聞いた。

「明日たから、大ママから逃げた方がいいよ、食べられるから」とニヤで言って。

「梶谷さんと望月さんを、同席させたって聞いたらね」と笑顔で言った。

『マミ、今夜も綺麗だよ、内緒にして』とウルで頼んだ。

「無理、噂がすぐに入るから、言わない訳にいきません」と可愛く笑った、私はウルウルでマミを見ていた。

『2人同席は珍しいんだね』と私は暢気にマミに聞いた。

「望月さんが最近飲みに出ることが無いし、弁護士とそっちの同席は奇跡でしょう」とマミが微笑んだ。

『なるほどね~、俺はミスターはサーフィン仲間だから、そっちと思ってないからね』と笑顔で返した。

「とにかく、大ママには要注意よ」と可愛いニヤ全開で言った、ウルウルで返していた。


10時前にマダムが来た、怖い笑顔で歩いて来た。

「エース指名や、ミチルがお礼をしたいらしいぞ」と笑顔で言った。

『怖いな、営業中は』とマダムに笑顔で返した。

「夕立にやられて、暇なんだろマミの時間には帰れよ」と不敵な感じで笑った。

『行ってきます、蘭に言っといて』と笑顔で返して出かけた。

雨は止んでいた、ユリカのビルで見上げると、空は真っ黒だった。

《ユリカ~、ミチルちゃん所に行って来る、無理しないで手を抜くんだよ~》と囁いて向かった。


ミチルの店のビルのエレベーターに乗って、最上階を目指した。

エレベーターを出ると夜景が広がった、その夜景を暫し見ていた。

《ここが1番夜景は綺麗だな~》と思って、ミチルの店の重厚なドアを押した。

客が3組と一人の客がカウンターに2人いた、カウンター内の可愛い女性が私に微笑んだ。

その可愛さに息を飲んだ、浴衣を着てアップにした髪に映えるピンクの口紅が印象的だった。

大きな目が微笑んで少し下がり、育ちの良さそうな雰囲気を振り撒いていた。

「なにかしら?」と笑顔で私に声をかけた、私は笑顔で近づいた。

『ミチルママ、接客中かな?』と微笑んで返した。

「今、BOXが入ったから、ママに御用なの?」と笑った笑顔の可愛さに見惚れていた。

《世界は広いな~》と楽しんでいた。


『じゃあ、ここで待ってるよ、お姉さんの方が楽しそうだし』と言って、1番手前のカウンター席に座った。

「いらっしゃいませ、お飲み物は何になさいますか?」と笑顔で聞いた。

『コーラを、ダブルのロックで』と少し渋く言って返した。

「素敵な注文ですね」と言いながら、準備していた。


「はい、どーぞ」と笑顔で言って、コーラとスナック菓子の盛りつけた皿を出した。

『お姉さんのお名前は?』と笑顔で聞いた、興味津々光線を発しながら。

「ホノカです、以後よろしくね」と微笑んだ、お嬢様って感じの笑顔だった。

『ほのかに香る育ちの良さかな、それともほのかに香る危険な香りかな?』とグラスを見て呟いた。

「後者に近いわよ~、危険でしょう~」と顔を近づけて、ウィンクした。

『やめて、夢中になりそうで怖いから、俺・・追い回すタイプだよ』とニヤで返した。

「じゃあ、私も抱っこしてもらえる可能性があるのか~」とニヤで返された。

『有名人は辛いな』と俯いて呟いて見せた。

その時肩を叩かれた、ミチルが後で微笑んでいた。

「いらっしゃい、エース」と笑顔で言った。

『忙しいみたいだから、又でいいよ、ホノカちゃんとお話して帰るから』とニヤで返した。

「そうはいきません、BOXにまいりましょう」と妖艶ニヤで腕を組まれた。

ホノカをウルで見て従った、ホノカが笑顔で小さく手を振った。


1番奥の眺めが良い、4人掛けの小さなBOXに案内された。

「先にお礼を言わせてね、本当にありがとう」とミチルが微笑んだ。

『いいですよ~、こんな素敵な店をフリーパスにしてもらったから』と微笑んで返した。

「それで、何から聞きたいの?」と試すような目で言った、やはりどこか違和感のある目だった。

『ミチルママはなんで、五天女に入らなかったのかと思ってるだけ』と微笑んで返した。

「五天女ね~、素敵な響きだけど、私・・夜街の落ちこぼれだから」と真顔で私を見た。

《この人は真顔の方が綺麗だ》と思いながら、氷の光を見ていた。

『そっか~、落ちこぼれさんなのか~』と微笑んで返した。

「何故かは聞かないの?」と妖艶が少し出て、唇だけ微笑んだ。

『話したくないでしょ、多分夜街の落ちこぼれッて思ってるのは、ミチルママだけだろうから』と微笑んで返した。

「そうでもないけど、確かに私が1番強く思ってるかもね」と薄く笑った。

『そうしたいの、それともそうしないと駄目なの?』と真顔で聞いた。

「そうしないと・・駄目なの、バランスがとれないのよ」と美しい真顔で返した。

『じゃあ聞かない、子供が聞いても分らないから』と笑顔で言った。

「でも、それじゃあ本質には近づけないかもよ」と妖艶ニヤで返された。

『今までの人はそれだから駄目だったんだね、聞こうとしたから』と真顔で返した。

「聞かないでも分るとか?」と真顔で返された。

『ユリカじゃないから、そんな技は持ってません』と笑顔で返した。


ミチルは私を見てる、20歳下の子供を真顔で見ていた。

『例えば、ミチルママに過去に何が有ったにしても、聞いただけじゃ分らないよ』と真顔で言って。

『俺はそんな事を知りたいんじゃないから』と微笑んだ。

「あなたの方法は?」と妖艶ニヤで返された。

『最初に抱っこして、それから感じていく』とニヤで返した。

「いいよ、実は凄く興味があったの、ユリカが抱かれる抱っこに」と微笑んだ。

私は立って、ミチルママの手を取って、首に腕を巻かせて抱き上げた。

1番奥の窓の前に立って夜景を見ていた、ミチルは目を閉じていた。


暖かく柔らかい体だった、冷たさの欠片さえ無かった。

だが1つだけ違和感が有った、ミチルの首筋に違和感のある捩れを感じた。

背けてる、何かを強引に見ないように背けたんだ。

それも永い時間目を背けたから、捩れたんだと漠然と感じた。

ミチルの和服に隠された、華奢な体を見ていた、意識して何かを拒絶する姿を。


『ミチルママ、バランスって、強引にとってるって事だよね』と優しく囁いた、ミチルは頷いた。

『嘘ついてるんだ、自分に・・冷たい人間にならないと、許せないんだね』と囁き。

『だから首が微かに捩れるんだね、見てはいけないって拒絶してるから』と思ったままを口にした。

『何を見たらいけないって思ってるのか、分らないけど、辛いねミチル・・時間じゃ解決しないのは』と優しく囁いた。

その時ミチルが目を開き、暖かい氷河の光を瞳に強め、私を見た。

「期待してもいいの?私はあなたの母親と同じ位の歳よ」と妖艶に微笑んだ。

『何をいまさら、ミチルは常識の外にいるんでしょ、俺はその場所に自分も辿り着きたいんだよ』と微笑んで返した。

「覚悟は出来てるの、取り返しはつかないのよ」と美しい真顔で言った。

『出来てるつもり、そうしないと届かない者を追いかけるんだから』と微笑んで。

『だから感じたい、覚悟で失ったものを・・それにより備わったものまで』と真顔で答えた。

深いミチルの瞳の奥にある氷河の光は、拒絶の輝きを強めていた。

どれほどの覚悟で、何を失ったのか見当もつかなかった。

だが私が蘭との生活を選ぶ為には、それ程の覚悟が必要なのは感じていた。

そのミチルの本質に触れた時に震える、私は本当にそこまでの覚悟があるのかと。


氷の女神ミチル、この時ユリさんと同じ33歳。


蘭が10歳下の23歳、そして私がそれより10歳下の13歳だった。


私の覚悟は同時に、蘭の覚悟も必要になると気付きながら、目を逸らしていた。


ミチルが教える覚悟・・それは命を賭けた愛だった。


自らの未来に背いてまでも、貫いた激情の愛だった。


氷河の輝き、今も胸に強く残る【覚悟】


最強の愛を放出した女神・・氷の暖かさ・・ミチル。

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