台詞
雷鳴が響いてきた、遠く霧島の峰から。
夕立に人々は足早に家路を目指し始めた、空は黒雲に支配されていた。
私は裏階段の踊場でマリアと遊んでいた、雨の匂いを感じながら楽しんでいた。
怪獣の私は正義の見方マリアマンの、天使全開パンチを受けて苦しがっていた。
蘭がTVルームでご飯食べようと言っていたので、待っていた階段を上がって来るのを。
四季が来てマリアを交互に抱いて、準備に行った。
ウミが暫くマリアと遊んで、ユメが来た時に準備に行った。
次にカスミが上がって来た、マリアを見て輝きを強めて抱き上げた。
『カスミ俺を信じるか?』と真顔で聞いた。
「私があんたを信じないで、誰を信じるんだい?」と真顔の私を輝く瞳で見た、翳りなどどこにもなかった。
『実は今度の土曜の西橘祭り・・・・』とミスコンの説明をして。
『四天女は渋々了承した、酔っ払いの見せ物になる、辛いかもしれない』カスミの瞳を見ていた。
『でも俺はPGはカスミしかいないと思ってる、どうかなカスミ?』と最後は微笑んだ。
「勝ちたいって事だね」と私に不敵を出した。
『勝ちたいし、観客に見せてやりたい本物の輝きを、酔った連中を黙らせる程の美をね』とニヤで返した。
「あんたが、付き人してくれるんだろ?」とニヤで返された。
『もちろん、ずっと側にいるよ』と笑顔で答えた。
「OK、派手に行くよ~、祭りだから、祭り上げられてナンボやろ」と笑った姿に暫し見惚れた、その圧倒的な輝きに。
輝きの中の天使は全開の笑顔で、カスミの両頬に手を当てた。
「かすみ」と言った、カスミはマリアを見て、瞳を潤ませた。
「うん、勝つよマリア自分にも・・ありがとう」と言ってマリアを優しく抱いていた。
「なんで私じゃないんだい」と言って蘭が顔を出して、満開睨みで私を見た。
『蘭を出したら、ユリカが20歳って偽って出るって言ったから』とニヤで返した。
「それは困る、ユリカ姉さんの雰囲気に勝つ自信なし」とカスミも微笑んだ。
「なら仕方ないね~、リーダーに任せるか、熟れてないけど」と蘭がマリアを受け取りながら、カスミにニヤをした。
「オヤジは青い果実の方が好きなんだよ~」と不敵を出して、蘭を見た。
「青いのかい?」と蘭が私をニヤで見た。
『カスミは爽やか成分が多いよ、この2日で分った、隠されていた部分も輝いているよ』と2人に微笑んだ。
「よし」と蘭が満開になり、「うし」とカスミが嬉しそうに輝いた。
エミとミサが上がってきて、皆でTVルームに行った。
賑やかなTVルームを見て、松さんが本当に嬉しそうにお茶を出していた。
「蘭、とカスミよく頑張ってくれた、特別ボーナスや」とマダムが大入袋を2人に渡した。
「ありがとうございます、嬉しい~」と蘭とカスミが笑っていた。
「ほれ、エースお前の貢献度も大きいかい」とマダムが笑顔で差し出した。
『ありがとう、マダム』笑顔で返して受け取った。
「それからレンと久美子にも少しだけど、これから頑張ってくり」と笑顔で渡した。
「私達も!」とレンと久美子が目を潤ませて、嬉しそうに受け取った。
「ハルカは貯金でいいんやな?」とマダムがハルカを見た、ハルカは笑顔で頷いた。
「ハルカ、車買うぐらい貯まったでしょう?」と蘭がハルカに微笑んだ。
「言えません、ホストが聞いてるから」とハルカが蘭にニヤをした。
「そうだね~、奴はそれ聞くとすぐプロポーズするからね~」と蘭が全開ニヤで私を見た。
『ハルカ次のデートは、アメリカに行こうな』とハルカにニヤをした。
「それはハネムーンかしら~」とハルカがニヤニヤで返してきた。
『明日豊兄さんみたいに、婚姻届取りに行ってくるよ』とニヤニヤで返した。
「えっ、婚姻届取りに市役所に行ったの!」と蘭も他の全員も驚いて私を見た。
『俺の知ってる豊兄さんと奥さんの約束は、奥さんの16の誕生日に婚姻届を贈るだったから。
それで、来年の豊兄さんの18の誕生日に、奥さんが名前書いて提出するのが約束。
奥さんの誕生日が8月20日だから、多分そうだと思うよ。
素敵やろ~、俺立会人やから、間違いないよ」と微笑んで締めた。
「か~、羨ましいじゃ足りないな~」とカスミが笑って。
「いいな~」とレンとハルカと久美子が言った、蘭はニヤニヤしていた。
「蘭姉さん余裕なんですけど、なんか約束しましたね~」とカスミが不敵を出した。
「それだけは、言えない・・大切なものだから~」と蘭がカスミにニヤで返した。
夕食が届いて、皆で食べていた。
私がマリアのおかずを切って、マリアが嬉しそうに食べていた。
「家事も子育ても完璧やな、さすがヒモ男」とカスミが私に不敵を出した。
『エミがヒモって何って聞くぞ、いいのかな~』とエミを見た。
「女の人に働かせて、遊んでる男の人でしょう」と少女の微笑で返された。
『参りました』と笑顔で返した、皆が笑っていた。
『そうだ、エミ、ミチルママ知ってる?』と笑顔で聞いた。
「知ってるよ、またイメージかな?」と笑顔で返された、『うん』と微笑んで返した。
皆の期待の視線を浴びて、エミが考えた。
「雪国の暖炉のような暖かさ、偽らない強い心、優しさで包まれた溶けない氷・・かな」と少女の笑顔で言った。
室内を静寂が支配した、マダムと松さんがエミを見ていた、優しい目で。
「あれ、変な事言っちゃった?」とエミが私を見た。
『ねぇエミ、皆エミが今お医者さんだけ目指すのは、もったいないって思ってるんだよ』と意識して笑顔で優しく言って。
『エミはその今感じてる事を、大切にして欲しいって、皆思ってるんだよ』とエミの目を見て言った。
「うん、だって私は夜街の女の人達に、育ててもらったから」と少女の笑顔に戻った。
「エミ、私達にとってあなたは誇りだし、希望なのよ自分らしく頑張って」と蘭が満開で微笑んだ。
「うん、やってみるね、PGの沢山の女性に負けないような人になりたいから」その圧倒的な純な輝きの前に、誰も言葉を出せなかった。
エミのその感性は備わっていたのではない、幼い頃から父が病気に倒れ。
母を助け、幼い妹を託され、そして守り抜いてきた。
だから全ての人の優しさに対して敏感だった、それがミサを守りぬく為の武器だったのだろう。
そして生活の安定期に入っていたこの頃でも、その感性を持ち続けていた。
この時の蘭の言った、【誇り】と【希望】は四天女とPGの女性全員の想いだった。
託して余りある、【努力を楽しむ】という大きな才能をエミは持っていた。
自分自身がどこかで諦めた夢、女性の社会的地位が低かった時代の夢。
そして理由なく蔑まれて見られる、夜の女の世界に身を置き耐えている彼女達にとって。
エミの能力と感性は、未来に夢を見せてくれる存在だった。
「で、いよいよミチルママなのかい」と蘭が満開でニヤした。
『ユリさんの許可も貰ったし、俺じゃ年齢差から言っても何も出来ないだろうけど』と微笑んで返した。
「ユリさん許可出したのか~」と蘭が笑顔でハルカを見た、ハルカが笑顔で頷いた。
「そんなに凄い人なんだ、名前は聞いた事あるけど」とカスミが言った。
「うん、私でも伝説的な人だよ、とっても素敵な人」と蘭が満開で微笑んだ。
「世界は広いな~、やる気がどんどん出てくる、楽しい~」とレンが笑った、その笑顔を蘭とカスミが嬉しそうに見ていた。
『レン、明日11時に来れる?』と私もその言葉を聞いて、レンに言った。
「もちろん、会わせてくれるのか」とレンが身を乗り出した。
『うん、でもその感じは捨ててね、自然に会ってほしいから』と笑顔で返した。
「特急列車で、レンを運ぶのね」と蘭が私にニヤで来た。
『そこまでは特急で大丈夫だよレンなら、後はリーダーの背中にお任せです』と微笑んで返した。
「ユリカ姉さんに会わせるのか、なるほどね~」とカスミも不敵を出してレンを見た。
「その笑顔が怖いです、カスミ姉さん」とレンがニヤで言った。
「私は特急列車に乗せてくれないの」とハルカが微笑んだ。
『ハルカ姉さん』久しぶりに姉さんを付けたので、ハルカが私を真顔で見た。
『冗談言ったら駄目だよ、店の内情も夜街の人脈も、この中じゃ蘭を覗けば1番だろ』と真顔で言って。
『出し惜しみしないで、そろそろフロアー第二段階見せてよ、カスミが焦る位のやつを』とニヤで返した。
「忘れてないよね」とハルカが真顔で言った。
『忘れてない。ハルカが望むなら、たとえ蘭が反対しても、ハルカが倒れたら側にいるよ』と真顔で返した。
「よし、そういう事です、蘭姉さん」と真顔のまま、ハルカが蘭を見た。
「もちろん、反対なんか絶対しないよ、お腹のボタンは永遠だよ」と蘭は優しく深い目で返した。
「かかっておいで、ハルカ・・全力で」とカスミも不敵で、嬉しそうにハルカを見た。
「よろしくお願いします」とハルカもやっと笑顔が出た、カスミが輝きながら笑顔で返した。
「素晴らしいミーティングですね」と後からユリさんが言った、皆が振向いた。
「今のカスミちゃんと全く同じ台詞を、聞いた事があります」と薔薇で微笑みながら、私の横に座った。
「蘭、嬉しかったね」と蘭に薔薇で微笑んだ、蘭は満開の微笑で返し頷いた。
「リアンが19歳の蘭に言いました、全く同じ台詞でしたよ」とカスミに薔薇で微笑んだ、カスミの輝く笑顔があった。
ハルカも笑顔で薔薇を見ていた。
「最高の場所にいる、私は最高の場所で競える、本当に嬉しい」とレンも笑顔で目を潤ませていた。
久美子がレンを見ながら、本当に嬉しそうだった。
7時が近くなり久美子がピアノに向かい、楽しい感じのジャズナンバーから初めて。
四季が嬉しそうにノリノリで聞いていて、3人娘を見つけてユメ・ウミが楽しそうに聞いていた。
蘭とカスミとレンとハルカが出て、全員が揃った。
10番で談笑しながら、聞いていた、笑顔が溢れていた。
久美子は今夜はジャズで通して、明るいナンバーで前半を終えた。
ジャズの時には楽譜を置いているが、ほとんど見てない感じだった。
《何曲頭に入っているんだろう》と感心しながら、座って聞いていた。
3人娘が私の所に来て、しりとりをして遊んだ、マリアの何でも有りのしりとりで笑った。
7時40分を過ぎたとき、一瞬ピアノが止まった。
女性全員が分ったように、姿勢を正した、久美子の鍵盤を見る表情が変った。
その日のラストナンバーは激しいリズムのジャズナンバーだった。
どこか悲しげで、それを振り払うかのようなリズムを刻んだ。
魂の響きが躍動して、久美子は最後のサビでは腰を浮かして、鍵盤を叩いた。
終わった時の久美子は汗を流し、天井を見ていた、美しく輝いていた。
「素晴らしい、本当に素晴らしい」と受付からキングの声と拍手がした。
見ると徳野さんとキングが立って拍手していた。
蘭がレンと久美子を連れて、キングに挨拶に行った。
レンと久美子が深々とキングに頭を下げていた、お守りのお礼を言っているようだった。
キングは優しい笑顔で口の動きから、【なんでもね~よ】と言っているのが分った。
フロアーは今夜も久美子が火をつけた、女性達はその響きを全身に受けて立っていた。
今夜も始まる自分達の、全てを出しきる舞台が開くのを待っていた。
笑顔のままで。
カスミを祭りに選んだのは、勿論美しさも秀でていたが、最近の可愛い感じが好きだった。
そしてこの見せ物興行的な舞台で、カスミが発光する。
それは私の想像を遥かに超えた光だった。
カスミの大きな変化の幕開けだった。
その持って産まれた姿に、塗り込んでいくように輝きを増す。
その全力の姿を前にすると言葉が出ない、圧倒的存在感。
観賞用でなく、存在する美に変化していく。
永遠の憧れと呼ばれ続ける者・・カスミ・・。