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集中

夏の日差しが降り注ぐ路地を曲がると、女神が抱く天使が微笑んだ、目に涙を溜めて。

私は慌てて駆け寄って、天使を見た、その嬉しそうな顔に安心した。


「追い泣きしてね、初恋かしら」とユリさんが私に悪戯っ子で、楽しそうに微笑んだ。

『マリア浮気したね、あの人じゃしょうがないけど』と微笑んでマリアを抱いた。

「チャー」と言って天使全開で、頬にキスしてくれた。

「痛いところ突かれたのね、マリア」とマリアを見て、ユリさんも薔薇で笑った。

「私、準備に帰りますから、マリア頼んでいいかしら」と私に薔薇で微笑んだ。

『もちろん、マリアに俺が一番だと、言い聞かせないといけませんから』とニヤでユリさんを見送った。


TVルームに戻ると、マダム一人でTVドラマを見ていた。

「会ったのかい」とマダムが笑顔で言った。

『はい、久々に会って嬉しかった』と笑顔で返すと、マダムも笑顔で頷いた。

マリアを抱いてフロアーに行くと、ピアノの甘いメロディーが聞こえてきた。

ハルカとレンが10番で、指名実績表見せてハルカが説明していた。

マリアを抱く私を見て、ハルカもレンもニヤを出した。

「必死でマリアのご機嫌とってるのが、見え見えだよ」とハルカが笑い。

「無理だぞ、相手が悪すぎる」とレンがニヤニヤを出した。

『やっぱり、マリア浮気性だね~』とマリアに微笑んだ、「うわき」と天使で返した。

その明朗な言葉に私が驚いて、マリアを見て。

『うわきじゃないよ、うきわだよマリア』と優しく言った。

「チャー、うわき」と天使全開で返されて、私は焦っていた。


「あ~、ユリさんに怒られる、変な言葉教えて」とレンがニヤで言って。

「報告会の話題がまた増えた、マリアがそう言ったって言ったら、皆なんて言うかしら」とハルカも全力のニヤで見た。

『意地悪1回づつ追加』とウルで返した。

マリアを降ろすと、久美子の所に駆け出した、久美子が嬉しそうにマリアを抱いてピアノを触らせていた。

「久美子ちゃんがね・・・」とハルカが、久美子が豊兄さん見て言った言葉を教えてくれた。

『それは知ってる、俺の姉貴も久美子と同じ歳だから』と微笑んで返した。

「1つ上の私でも、噂は知ってるくらいだからね~」とレンも微笑んだ。

「いいな~宮崎市の人は、素敵な憧れがあって」とハルカが17歳の可愛い笑顔で言った、その笑顔で感じた。

『ハルカ、何か良いことあっただろう?』とニヤで返した。

「教えないよ~」と舌を出した、それをレンと2人で笑って見ていた。


私がタバコのチェックをして、マリアを迎えに行った。

久美子が笑顔で私にマリアを渡しながら。

「さすがねエース、あなたの交友関係」と輝く笑顔で私に言った。

『俺とは手を繋いでもそんな笑顔にならないくせに、握手したぐらいで』とウルで返した、久美子は楽しそうに笑っていた。

「チャッピー、ちょっと手伝え」とカズ君が呼んだ。

「あなたが、チャッピー!」と久美子が驚いた。

『久美子、俺の伝説は皆に内緒だよ』と微笑んで返して、カズ君の方に向かった。

「素敵な貸しができた~」と楽しそうに言った、久美子の言葉を背中に受けてニヤをしていた。


『カズ君なぁに?』と入口ホールにいるカズ君に笑顔で言った。

「これ並べてくれよ、ごめんなマリア抱かせてもらいたくて」と微笑んだ、私も微笑んで返してマリアを渡した。

「かー」と言いながらマリアは天使全開で抱かれた、カズ君の嬉しそうな笑顔を見ながら、花の鉢を並べていた。

「サンキュー」と言って並べ終わった私に、カズ君が微笑んでマリアを渡した。

『充電完了した?』とマリアを受け取りながら、笑顔で返した。

「満タンです」と微笑み、「それにピアノのメロディーがあるから最高だよ」と笑った、私も笑顔で頷いてカズ君と別れた。

マリアが寝ないので、ハルカにマリアとタバコを買いに行くと断って、出かけた。


マリアが歩きたがり、安全な所を歩かせていると。

「りあ」とマリアが呼んだ、私がその方向を見ると、最高の笑顔のリアンが駆け寄るところだった。

リアンはマリアを抱き上げて、炎を隠した優しい目で嬉しそうにマリアを見ていた。

私はその目に違和感を感じた。

『リアン、疲れてる?調子悪いだろ』と真顔で言った。

「なるほどね~、今度私も抱っこしてくれよ、少し疲れてるから」と笑顔で言った、陰の有る目で。

『遊びに行くよ、リアンのためなら』と笑顔で返した、炎の弱いリアンの瞳を見ながら。

「明日、午前中店にいるから・・ユリカには借りるって言っとくよ」と弱いニカで返した。

『了解』と言ってマリアを楽しそうに抱く、リアンを見ていた、《敏感になれ》と自分に言い聞かせながら。

リアンからマリアを受け取る時に、マリアがリアンの頬に両手を当てて。

「りあん」と綺麗な発音で言った、私は知っていた、それがマリアの力を発する時の仕草だと。

「うん・・マリア」とリアンも笑顔になって、マリアに囁いて、マリアを渡した。

「明日、待ってるね」と言ったリアンと、笑顔で別れた。

《俺はまだまだ未熟だね》とマリアを見て、心に囁いた。

「にぇっ」と言って、マリアが天使全開で私に笑顔をくれた。

『充電完了、ありがとうマリア』と囁くと、天使の笑顔のまま瞳を閉じた。


ユリカのビルの下で、眠ったマリアを抱いて見上げた。

《俺も頑張ってみるよユリカ、そうすれば皆の笑顔が、少しでも増えそうな気がするから》と心に囁いて、タバコを買って、帰りに見上げて。

《感じていてねユリカ、今は蘭とユリカとカスミ・・そしてマリアが支えだから》と囁いてPGに帰った。

大切な天使に直射日光が当たらないように、マリアの寝顔を確かめながら。


TVルームに戻りマリアをベッドに寝かせて、マダムに頼んでフロアーに戻った。

エミとミサが久美子が用意した楽譜を見て大喜びで、ミサからドレミを習っていた。

エミが私の所に来て、最高の少女の笑顔で。

「頑張ったら、2人の誕生日のお祝いとして、お父さんがピアノ買ってくれるって」と笑顔で言った。

『それは凄いな~、誕生日いつなの?』とエミに笑顔で返した。

「私が8月25日で、ミサが9月16日だよ」と言ったのを私はメモしながら聞いた。

『もうすぐじゃない、頑張って』と言って微笑んだ。

「うん、来れる日は毎日30分ずつ教えてもらうの、後は久美子先生の練習時間だよ」と笑顔で言った。

『うん、ありがとうエミ』と笑顔を返して、ピアノの側の椅子に向かうエミの背中を見ていた。

その常に人の事を考える、素晴らしい小1の背中を。


私が全ての準備の確認が終わった時に、久美子もエミとミサが終わり、2人に演奏を聞かせる時間になった。

その曲は激しい曲だった、久美子は狂おしく舞いながら弾いた、強く優しい魂の響きだった。

徳野さんが出てきていた、優しい顔で久美子を見ていた。

ボーイも集まって手を止めて聞いていた、素敵な光景だった。

演奏が終わり全員で拍手をした、ミサに涙は無かった、その笑顔は憧れを見る輝きに溢れていた。

久美子は笑顔で少し照れながら頭を下げて、おやつ~と言った2人に手を引かれてTVルームに行った。

私は静寂のフロアーを見ていた、響きが残ってるかのような静かさだった。


ハルカとレンが来て、最終チェックを3人でした。

「ハルカにはビックリだよ、よく17歳でここまで出来るもんだよ」とレンが私に笑顔で言った。

『まだまだ、ハルカの突発的な事に対する、集中した時の記憶力は超人だよ』と笑顔で返した。

「珍しい、私を褒めるなんて」とハルカが私にニヤを出した。

『俺は裏方の仕事はハルカが一番だと思ってるから・・女優業は今からだけどな』とニヤで返した。

「頑張ります、エ~ス」とハルカが嬉しそうに笑った。

「私も頑張らないと、で、私の評価は?」とレンが私にニヤした。

『レンはまだ猫被って積極的にやってるよね、凄いと思って見てるけど、その先って考えてるだろ?』とニヤで聞き返した。

「さすがだね~、少し悩んでる、他の8人と蘭姉さん見ると考えるよ」と真顔で言った。

『今度会わせるよ、圧倒的個性に。レンの個性を出すのは難しいかもしれないけど、やり方はあるんじゃないかな、分らないけど漠然と思うよ』と笑顔で返した。

「ありがとう、楽しみや~会うの」とレンが可愛く微笑んだ。

「なるほど~、水の先生か~確かにヒントになるかもね、圧倒的個性」とハルカも私に微笑んだ。

「そんなに凄いの」とレンが私に聞いた。

『先入観になるから言わないけど、感じる人には感じるよ』と笑顔で返した。

「しかし、どんな生活してきたら、あんたみたいな中1が育つのかね~」とレンがニヤで言った。

「1000人以上の子供を、相手にして育つとらしいですよ」とハルカがレンを見てニヤを出した。

「1000人か!」とレンがハルカに聞き返した。

『ハルカそれは聞き違いだろ、2000だ』と2人を見ながらニヤを出した、2人とも笑っていた。


遅番の蘭が迎えに来れないので、TVルームで夕食を食べた。

その賑やかさに、松さんの笑顔が絶えなかった。

そして松さんは優しい目で、久美子を見ていたフロアーを目指さない新しい娘を。

7時に久美子が弾き始めた、楽譜も無しに最初は優しく楽しげな曲を弾いていた。

四季が揃って静かに打ち合わせしながら聞いていた、楽しそうに。

カスミも5時に仕事を終えて、7時15分にはユメ・ウミとフロアーに出てきた。

ハルカも出てきて、ボーイも全ての準備を終えて6番に座っていた。

7時30分を過ぎた頃から、少し旅情的な曲になってきた。

蘭が来て、バイトの女性もかなり集まって来ていた、その出てくる早さに私も驚いていた。

そして、7時40分が過ぎた頃、久美子が狂おしく舞いだした。

激しい響きに女優達は静かに、身を任せてるようだった。

私の後ろにはユリさんと松さん、そして3人娘が聞いていた。

久美子は汗を滴れせて弾き終わり、鍵盤を見つめて放心状態だった。

全員が立って拍手をした、輝く16歳を笑顔で優しく見ながら、久美子は笑顔で立って頭を下げた。

「よし」とユリさんが薔薇で言って、フロアーに歩いた、綺麗な姿勢の背中を見ていた。


TVルームに戻る久美子にエミ・ミサが駆け寄り、マリアを抱いた松さんが続いた。

「すばらしいよ、本当に素敵だよ」と松さんが最高の笑顔で久美子に言っていた。

ユリさんを確認した女優達が、円を作りはじめた集中した顔で。

「私達も負けずに集中して、楽しみましょう」とユリさんが薔薇で微笑み。

「今夜も開演しましょう」の声に、「はい」のブザーを鳴らした。

私は集中する女優達を見ながら、リアンを想っていた。

あの陰りは身体的問題じゃないのだろうと、精神的な疲れなのではないかと。

あの獄炎の炎すら疲れさせる原因など、考えも付かなかった。

リアンの弱い炎の瞳が、頭から離れなかった。


久美子の登場は、PGに新しい何かを持ってきていた。


女優達は早目にフロアーに入り、一流アスリートのように集中を高めるようになった。


それが仕事であるのだから、ベストを尽くそうと集中した。


その気持ちが記録更新後のPGを牽引していく。


久美子の狂おしく舞う、その集中が拍車をかける。


常にベストをと・・・。











 





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