墓標
天に伸びる要塞の最上部、浮島に降られるような心地よさ。
世代を繋ぐ3人の美しい女優には、笑顔が溢れている。
認められ、求められ、必要とされる事に喜びを感じている。
「レンはどうですか?」とユリカが2人に聞いた。
『素晴らしいと思います、背負った者じゃなくて、意志としてやっているから』と蘭が満開で言った、カスミも頷いて微笑んだ。
「妹さんも凄いしね、私も聞きにいかないと」とユリカも微笑んだ。
「なんか押されましたよ、16歳の本物の輝きに、本当に感動しました」と笑顔でカスミが言った。
「あなたが輝きで押されるなら、相当の本物ですね~」とユリカも笑顔で返した。
「正直にどう思ったの?」とユリカが私に微笑んだ。
『俺、夜で聞いたの2回目だったから2回目に分った。
叫んでた、多分亡くなった母親に、必死に聞こえるように。
【私は今ここにいます、元気です、心配しないで】って叫んでた。
心を鷲掴みみされるような響きだった、初めて音楽本質に触れたと思ったよ』と正直に笑顔で答えた。
「あなたの進歩に付いて行けないかも」とユリカが深海の瞳で言った。
「ユリさんでさえ、そう思ってるみたいですよ」と蘭が満開で微笑んだ。
「なんせ、最強の教師陣に自ら飛び込む、その度胸がいいよな~」とカスミも輝く笑顔で言った。
『好きなんだよそれだけは、小さい時から聞くのと、話すのは』と3人を見て言った。3人とも笑顔で私を見ていた。
『今日のユリカの最後言葉が嬉しかったよ、俺もそうじゃないかと思ってた』とユリカに笑顔で返した。
「なんて言ったの?」と蘭が私をニヤで見た。
『マリアを俺の最高指導者っ言ってくれた』と蘭に笑顔で返した。
「うん」と蘭が満開になった。
「私、マリアが恩人だよ」とカスミが言った、嬉しそうに。
「私はマリアがいつも応援してくれた、産まれたばかりの頃から、だからNO1になれたの」と蘭も満開で言った。
『そして、ユリカはマリアと同種族だしね』とユリカにニヤをした。
「あっ、それ分る~」と蘭も満開で言って、「私も~」とカスミも笑顔で言った。
「だから、マリアのレベルは桁が違うの」とユリカも楽しそうに笑顔で返した。
『見たいな~ユリカが見てるマリア』と笑顔で返した。
「あなたと同じです、化け物みたいに言わないで」とユリカが笑顔で睨んだ、蘭が満開でその表情を見ていた。
「やっぱ、ユリカ姉さんって最近変ったんだ」とカスミがユリカに微笑んだ。
「あなたと同じ言葉の魔法と、抱っこでね、添い寝まだだけど」とユリカがカスミにニヤをした。
「ユリカさん、カスミとの添い寝の時何も無かったですか?」と蘭がユリカにニヤで聞いた。
「そんなに泣きたいなら教えるけど」とニヤでユリカが返した。
『ユリカ、その冗談は冗談になってないよ』と私がウルで言うと。
「あぁ、私、急にお熱が」とユリカが揺れた、「さぁどうするんだい」と蘭も満開ニヤで来た。
『蘭、それ以上飲むなよ』とニヤで返した、「正解」と蘭が満開で微笑んで、グラスを飲み干した。
「やっぱ、意地悪は楽しいな~」とカスミが不敵で私を見た。3人で笑っていた。
本当に楽しい夜だった、特に私は特別3人組みに囲まれて。
ユリカがエレベーターまで送ってくれた、エレベーターを待ってると。
「私、お熱が~」とユリカがニヤで言って、「私も又お熱が~」とカスミが不敵で言った。
「私、酔った」と蘭が満開で私を見た。
『蘭が正直者~』と言って蘭と腕を組んだ、2人の笑顔を見ながら。
ユリカにお休みして、カスミの乗ったタクシーに手を振って、タクシーに蘭と乗った。
蘭が肩に乗ってきて、満開で私を見た。
「今日の久美ちゃんのこと、今までで一番嬉しかった、ユリさんの話しながら笑う笑顔も」と蘭が満開で微笑んだ。
『俺もそれだけは、自分でナイスだと思ってる』と言って蘭と手を繋いだ。
「明日は一日寝てていいんだね、ずっと側にいるんだね」と蘭が少しトロンになって言った。
『そうしないと駄目~、夕食は俺の得意のスペシャルカレーをご馳走してやる』とニヤで言った。
「なんで、こんなに毎日が楽しいんだろう~」と満開で微笑み、瞳を閉じた。
タクシーが着き、案の定蘭は起きずに抱っこして、部屋を必死で開け。
ベッドに優しく寝かせると、上着の長いパジャマが用意してあった。
《起こすとあの可愛い蘭が登場しろよ》と思いながら。
『蘭、お化粧落とさないと、お化けになるよ』と優しく体を揺すった。
「おびゃけ、きょわい」とトロン蘭が登場した、《やっぱり、タクシーで気が抜けるんだな》と思いながら抱き上げて、洗面所で支えた。
ベッドまで抱いて行き、パジャマの上着を頭から被せて、部屋を真っ暗にして。
上着を脱がせ、フラフラを立たせてスカートを脱がせた。
蘭が片足を上げた、下着が見えそうで焦った、パンスト履いてないから着せろって言ってるのか。
私は気付いて、パジャマのズボンを両足に通し、立ち上がって履かせた。
『りゃん、楽しんでる?』と暗闇に浮かぶトロン蘭に囁いた。
「たにょしいよ、みゃいにち」と笑顔で言った。
あまりに可愛くて優しく抱きしめてから抱き上げて、優しく寝かせた。
『待っててね』と優しく囁くと、「みゃだ、みゃだ」の蘭の声を聞きながらカーテンは閉めたまま洋服だけかけた。
ベッドに入ると、やはり泣き虫蘭タイムだった、私は優しく腕枕をして引き寄せた。
「でょこいってた、りゃんひとりにした」と涙を流して私を見た、私は蘭の涙を優しく拭いて。
『どこにも行かないって、言っただろりゃん』と微笑んだ。
「いかにゃい~」と言って抱きついた、可愛い蘭と遊ぶ最高の土曜の深夜がやったきた。
「りゃんじゃない、りゃんだよ」と睨んだトロンの目で。
『ごめんね、りゃん』と笑顔で囁くと、「うん」と満開になった。
『りゃんは好きな人がいるの?』と聞いてみたニヤしながら。
「わきゃらにゃいの」と言いながら、涙をポロポロ流した。
『ごめんよりゃん、分ってるよ』と言って慌てて優しく抱きしめた、最高の時間を楽しんでいた。
蘭が静かになって、私の脇の間から顔を胸に付ける、蘭の寝息を聞きながら眠りに落ちた。
翌朝私が起きたのが9時を過ぎていた、蘭は私の胸の上にいた。
優しく枕に蘭を寝かせて、部屋を出て洗面所に行き歯を磨いて顔を洗った。
冷蔵庫には恐ろしい程の食材が入っていた、蘭が起きてからにしようと思って日記を取って戻った。
蘭の眠るベッドに寄りかかり、日記を書いていた。
静かな日曜日だった、でも私には蘭が側で眠る楽しい日曜日だった。
蘭が昼過ぎに起きた、蘭がシャワーを浴びている間に食事を作った。
初めて鯵の開きを焼いてみた、上出来な感じにニヤニヤしていた。
「気持ち良い日曜日だね~、最高の気分だ何もしない日曜日」と満開の笑顔を見ながら食事をした。
蘭がキャンディーズのレコードをかけて、上機嫌の鼻歌交じりだった。
『蘭、1つ聞いて良い?』と微笑んで蘭を見た。
「難しくないことなら」とニヤで返した。
『心配だから聞くんだよ、お金しんどくない?』と真顔で聞いた、私の分の負担を心配していたのだ。
「それは大丈夫、PGのNO2だよその辺のオヤジより、収入かなりいいんだよ」と真顔で言いながら。
「今は気にしないで、あなたが未来で私を休ませてくれるんでしょ」と満開で微笑んだ。
『もちろん、俺は俺にその時出来ることを蘭にしようと思ってる、お世話になります』と笑顔で返した。
「よし・・・ありがとう」と満開で笑った。
「10年後、どうなってるんだろうね」と食べ終わり蘭がニヤで言った。
私は日記を開き、10年後の最後のページだけ蘭に笑顔で見せた。
【今でも蘭を愛してる】と書かれた文字を蘭が見ていた、深く優しい瞳だった。
「急に眠くなった」と言って立ち上がり、ベッドに入り私に背を向けてタオルケットを頭まで被った。
私は少し震える蘭の背中を感じながら、日記の続きを書き始めた。
その日の日記にこう記している。
【ユリカの言った、マリアが私の最高指導者は、絶対に間違いないだろう。
私は最も大事な宣誓もマリアに誓った、それは絶対に破ることが出来ないからだ。
マリアの笑顔も言葉も、そしてあのペチも心にいつも有る。
マリアありがとう、永い時間をかけてマリアにお返しするね】
そう書いて日記を閉じて、キッチンで鼻歌混じりでカレー作りに取り掛かった。
私は近所の子供に食材を持ち寄らせ集て、公民館でカレーパーティーをしていたから、カレーは得意だった。
私は称号通りカレーに対しては挑戦者だった、何でも入れて挑戦するのだ。
カレーパーティーも4回目位からは、興味津々の母親たちも集まりだして盛況になっていた。
良い時代だった、社会の懐が深かった。
現代と比べようも無いほど不便だった、しかし自由だった精神的自由があった。
携帯の無いあの時代、約束は絶対だったし、会えない時間は常に相手を想っていた。
大切な時間じゃなかったのだろうか、待ち合わせで待ってる時間というのは。
蘭は夕方まで眠っていた、私はそれが何よりも嬉しかった。
「あ~最高の気分、良い匂いもするし~」と蘭が起きて、満開で言った。
「お盆だから、少し出かけよう・・海まで」と蘭が私を見た、私も笑顔で頷いた。
「スッピンでいいかな?」と蘭がニヤで言った。
『もちろん、その方が誰にも気付かれないし』とニヤで返した。
「そんなに変るかな~」と珍しく蘭が考えた、私はその可愛い素顔を見ていた。
『俺は蘭が俺の前で、素顔でいてくれるのが嬉しいよ・・安心して眠ってくれる事もね』と微笑んだ。
「うん」と蘭が満開で笑った。
ケンメリで海に続くバイパスを走っていた、夕暮れはまだ遠く爽やかな風が吹いていた。
「墓標には意味が無い、和尚の言葉にどんなに救われたかわからないよ」と蘭が前を見ながら言った。
『俺のことも紹介してくれた、弟さんに』と思い切って言ってみた、今までタブーの話を。
「もちろん、応援してねっていつも言ってるよ」と私を笑顔で見た、その笑顔が嬉しかった。
「エミちゃんがね話してくれた、イルカ岬・・そこにしようと思ったの」と私を見て。
「弟に本当に話をしたい時は、イルカ岬にしようってね」と満開で微笑んだ。
『最高の場所だね』と笑顔を返した、蘭は前を見て笑顔で頷いた。
前を見ている素顔の蘭は、和解を提示して輝いていた。
南国の夏は分岐点を迎えていた、霊たちが戻ると伝えられる季節が来ていた。
しかし蘭は墓標を必要としていなかった、その季節でなくても常に語りかけていた。
《きっと蘭の弟が応援してくれている、誤魔化しや嘘などは通用しない相手が》と私は思っていた。
海が見えてきた、夏の輝きを乗せた波が立っていた。
夏物語は続いていく、諦めという選択を拒否し続ける私には。
私はこの蘭との会話の唯一のタブー、【弟】を乗り越えた時に感じていた。
行けるんじゃないかと、蘭との楽しい未来の日々に。
そして次は自分の番が来たと、私が【親父】と【常識】を乗り越える時が。
そして常識の壁を乗り越える為の、最後の大切なヒントを提示する常識外の存在。
リアンが待っていた、最高で最強の炎で焼いてやると。
そうしないとその壁は越えられないと、燃える瞳で待っている。
海を見ている私に、微笑んでいた・・・。