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音色

真夏の太陽が主張する光の先に、もう1つの通りが見える。

一人で寂しくて怖くて、踏出せなかった交差点が見えた。

今は渡れる、どちらにも簡単に、成長したのだろうかと思いながら渡っていた。


サクラさんのブティックを覗くと、サクラさんが笑顔で手招きした。

「どうしたの珍しいね」と笑顔で椅子を出してくれた。

『ちょっと頼みがあって来ました』と微笑んで返した。

「怖いわね~」と彫の深い美しい顔で笑った。やっぱり綺麗だな~と思っていた。

『実は昨日の俺の席にいた女の子見ました?』と聞くと、頷いた。

私は今までの経緯をサクラさんに説明した。

『まだレッスン料とか決まってないけど、安くで大丈夫だと・・どうでしょう?』と笑顔で聞いた。

「素敵じゃない~、もちろんOKよ」と笑顔を見せた。

『今日は2人は?』と笑顔で返すと、「昼から行かせる予定よ」と微笑んだ。

『じゃあ会わせときますね』と微笑んで返した。


「ずっと兄でいてくれるんでしょう?」と笑顔でサクラさんに聞かれた。

『もちろん、誰が何と言っても』と笑顔で返した、サクラさんも微笑んで頷いた。

『実はもう1つ今見つけたんですけど』と真顔で言った。

「今度こそ怖そうね~」とサクラさんが微笑んだ。

『表の募集の張り紙の面接をしてほしい子がいて』とニッで言って。

『もちろん不採用でも全然構わないんです、口が悪いから』とニヤして。

『カスミって言うんですけど、どうでしょう?』と笑顔で聞いた。

「本当に!探してるの」と嬉しそうに笑った。

『はい、本人はファションには自信があるみたいで、でも口悪いから』とニヤした。

「うちも若い子関係を力入れようと思ってたから、最高の人材よ」と笑顔で言った。

『じゃあ伝えときますんで、面接よろしく』と笑顔で言って、頭を下げて店を出た。


急ぎ足でPGに戻ると、ハルカとレンがTVルームで話していた。

私はマリアを抱いて、ハルカに笑顔で。

『マリアと散歩で、ユリカのとこ行ってくる~』と言って出かけた。

私はマリアとユリカのコンビが見たかったのだ、常識の外にいる2人が。

ご機嫌なマリアを抱いて、ユリカの店に着いた。

マリアを見たユリカは最高の笑顔で駆け寄った。

マリアもユリカを見て天使全開になり、「ゆいか」と手を伸ばした。

ユリカが抱いて、楽しそうにBOXに歩いた。私は又不思議な光景を見ていた。

マリアがあの我侭を言わないマリアが、ユリカには我侭を言うのだ。

ユリカもマリアに対する時は、子供に戻ったように遊んでいる。

《同じだ、種族が同じなんだ》と私も漠然とそう思って見ていた。


マリアが眠くなりユリカが抱いて、陽の当たらないソファーに寝かせた。

「最高のお土産ありがとう、元気出たよ」とユリカが爽やかに笑った。

『じゃあ今のうちにユリカを寝かしつけるか』と私が立つと、ユリカが首に手を回した。

『成長著しいな・・ユリカ』と言いながら抱き上げた、ユリカの楽しそうな笑顔があった。

「マリアと私が遊んでる時変な感想言ったでしょ」とニヤで微笑んだ。

『変だった、同種族だと思っただけだよ』とニヤで返した。

「マリアは別格よ、物凄いからね~」と楽しそうに笑った、ユリカの見ているマリアが見たいと思っていた。

「それに今日は朝から上出来な事があったのね」と微笑んだ。

『自分自身も上出来と思ってる』と素直に言った。

「うん試験前だしね頑張れよ」とユリカが微笑んだ。

『やっぱり、試験が又来るのか~』と私はその言葉を自然に受け入れて微笑んだ。


ユリカとグラスだけ洗い、豆大福でお茶をしていた。

ドアの方から、「ユリカちゃんいる~」と薔薇の声がした。

「は~い、どうぞ~」と言って、ユリカが立った、ユリさんを見て笑顔で挨拶した。

ユリさんが薔薇の笑顔で、向かいに座った。

「本当にお見事でした、感動しましたよ」とユリさんが私を見て、薔薇で微笑んだ。

「そこまで、素晴らしかったの~」とユリカも笑顔を見せた。

ユリさんがさっきの話をした。魔女の昨夜も含めて。

「あなたが掴んだのは、今後のPGの発展なんだよ」とユリカが私に微笑むと。

「やはり、そうでしたか、本当によくやってくれました」とユリさんに褒められるので、照れていた。

「やはり核になりますか?」とユリさんが薔薇でユリカに聞いた。

「なりますね姉妹揃って、素晴らしい愛のある姉妹ですね、影響力が強いです」とユリさんを見て。

「変化を求められますね、特に現時点で夜街一番の人材、輝きの女が」とユリカもユリさんに微笑を返した。

「やはりあの子が今一番ですか?」とユリさんも嬉しそうに返した。

「乗り越えた今、そして確かなる目標の蘭、それに責任感を得たあの容姿、どう考えても一番でしょうね」とユリカも嬉しそうに笑った。

「ユリカ、外してくれてありがとう」とユリさんが薔薇で頭を下げた。

「ユリ姉さんそれは違います、私はきっかけ、最後の扉をこじ開けたのは・・添い寝です」とユリカが私を見てニヤをした。

「やっぱり、最強の添い寝」とユリさんもニヤをした。

「ユリ姉さん次のお熱は私ですよ」とユリカが笑顔で言って。

「その言い方じゃ暫く、お熱はないですね」とユリさんも薔薇で返した。

不思議な2人の会話を聞きながら、何故か納得できるのだった。

そしてユリさんのこの会話の仕方、百合の名前を貰ったユリカ凄いな~と思って見ていた。


マリアが起きて私が抱いて、ユリカがマリアにキスをした。

私もユリカに頬を指差すと、マリアがキスしてくれた。

『マリアまた、やきもちだね』と天使の笑顔に微笑むと、「もち~」と返された。

「あなたの最高の指導者は厳しいね~」とユリカが笑った、私はウルを返した。

ユリカがエレベーターまで送ってくれて、手を振って別れた。

「どう思いましたユリカとマリア」とユリさんが微笑んで聞いた。

『ユリカにも言ったけど、同種族だと思った』と笑顔で返した。

「よかったね~、マリア嬉しいね~」とマリアを薔薇で見ていた。

ユリさんとマリアを駐車場に送り、車を見送りチキン南蛮弁当を買ってTVルームに帰った。


ハルカとレンと久美子が楽しそうに、お昼を食べていた。そのハルカの17歳の笑顔に驚いていた。

『俺の悪口言ってたな』とハルカを笑顔で睨んだ。

「うん、まだ1割位だけど」と楽しそうにハルカが言った。

「あれで1割なのか、楽しみだな~」とレンが私を笑顔で見た、「怖い中1」と久美子も笑った。

『また意地悪な人が増えた、俺を兄さんて呼ぶ人いつ来るかな~』とウルをした。

「まぁ5年は無理ね、普通に考えて」とハルカがニヤして、2人が笑った。

食事をしながら、私が得意のマリア語講座で爆笑を取った。

バタバタとエミ・ミサが入ってきて、満面の笑みで。

「ピアノ習えるの」と2人で言った、私は笑顔を返して。

『こらこら、ちゃんとご挨拶しなさい、こっちが今度フロアーに入るレンさん、そしてこっちがピアノの先生の久美子先生だよ』と笑顔で紹介した。

エミ・ミサは本当に嬉しそうに挨拶をした、そして久美子を引っ張って。

「聞かせて、聞かせて」と連れて行った。


私達も時間が来たので、フロアーに行って久美子を見ていた。

久美子が一番良い位置に椅子を2脚置いて、エミ・ミサを座らせた。

そしてピアノの椅子に座り、ピアノを鍵盤を見た、その時の表情の変化に見惚れていた。

特別な物に敬意を示す視線と、まるで何かと闘うような目が静寂をつれてきた。

そして弾き始めた時に、心が震えたその強い音に揺さぶられた。

エミ・ミサはもう入り込んでいる、素晴らしい教師を見ている。

ボーイも全員集まって、徳野さんも優しい顔で見ていた、マダムもやってきた。

引き寄せられるように、皆黙って聞いていた、魂の響きを。

久美子は表情豊に弾いている、汗を流し何かを睨み、時に優しく時に激しく。

終わった時に、鍵盤を見て放心状態だった。

最初に拍手をしたのは徳野さんだった、そして皆、我に返って拍手した。

エミも立って拍手して、それを久美子が見て慌ててミサに駆け寄った。

ミサは泣いていた、感受性の強いミサは感動で泣いていたのだ。

久美子はエミとミサを優しく抱いて、ミサの涙を拭いていた、嬉しそうに。


「凄い・・あの才能の為ですね、頑張りましょう、レン姉さん」とハルカが集中してきた目で言った。

「頼りにしてるよ、何でも言ってねハルカ」と黒の瞳に確かな輝きがあった。

見るとマダムと徳野さんが久美子の所に行って、話していた。

「今夜7時50分に今のをやってくれんね、皆に聞かせたいんじゃ」とマダムが言って。

「素晴らしかった、音楽は分らんけど、素晴らしかった」と徳野さんが言った。

「ありがとうございます、こんな素敵なピアノを使わせてもらえて」と久美子も頭を下げた。

「今まで死んじょった、お前が命を吹き込んでくれたよ」とマダムが言っていた。

2人が去ると、ミサとエミに教えていた、まだ子供用の楽譜が無いので触らせて音を出させていた。

私はエミを呼んで、久美子の練習時間も考えてねと頼んだ、エミにはこれで通るのだった。


私とハルカとレンで予約確認をした、私がタバコのチェックをしてると甘い調べが聞こえてきた。

《大正解、いいもんだな~生演奏は》と思っていた。

静寂の舞台にピアニストが登場し、PGを加速させる音色を描き出すのだ。

私は気分良く鼻歌交じりでタバコを買いに出かけた、ユリカのビルを見上げて。

《ユリカ今日抱っこが短かったね、月曜日その分増やすね~》と囁いて、帰り道見上げて。

《ユリカ今夜は土曜日で忙しいけど無理するなよ、さぼってPGに遊びにおいで》と言って帰えろうとして、声をかけられた。

「小僧頑張ってるな、そんなにユリカが恋しいか」とキングが笑った。

『キングこんにちは、こないだ誘いに来てくれてありがとう』と笑顔で返した。

「ユリカが仕事するとこ見たいんやろ、今夜は忙しいやろうから来週行こうな」と笑顔で言った。

『ありがとう、本当に楽しみにしてるよ』と笑顔で返した。

「今夜8時に行くから、予約よろしく」と笑顔で背を向けたキングに。

『キング、7時45分には来るのをお勧めするよ』とニヤで返した。

「楽しみやな~、必ず行くよ」と笑顔で右手を上げた。


TVルームに帰るとユリさんとマリアも来ていて、久美子が3人と遊んでいた。

「素晴らしいそうですね、久美ちゃん」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

『分りやすく言うと、徳野さんが素晴らしいって本人に言いました』と笑顔で返した。

「それは凄い・・楽しみですね~今夜」とユリさんも関心していた。

『久美ちゃん今夜ドレス着せて、弾かせないといけなくなりました』と私が言うと久美子が私を見た。

『今キングの予約を、7時45分で受けました』と私がユリさんにニヤで言った。

「まぁ素敵、久美ちゃん嫌かしらドレス?」とユリさんが薔薇で微笑んで言った。

「女ですから、憧れます」と照れて笑った、百合さんは薔薇で見たまま。

「良かった~、準備しますね、レンには内緒にしときましょう」と悪戯っ子を出した、久美子も微笑んで頷いた。


土曜日で蘭は夕方来れなく、夕食はレンも久美子も入って賑やかに食べた。

レンを先に着替えさせ、ハルカと早目にフロアーに出した。

私は指定席に座り、レンのドレス姿の華やかさに驚いていた。

《ドレスになるだけで、こんなに変るのか》と思って見ていた。

蘭も間に合って、7時40分からミーティングがあった。

ユリさんがレンを紹介して、レンが挨拶し、女性が全員で拍手をした。

その時キングが来た、私が3番に案内し隣に座った、ユリさんが銀の扉に消えた。

女性達は10番で座って待つように言われて、不思議そうに待っていた。

「なんかワクワクするな、小僧」とキングも楽しそうに言った。

『良い物見せますよ、キングは絶対気に入るはずだと思ってます』と笑顔で返した。

その時ユリさんが出てきて、私に【OK】を出した。


『それではご来場の皆様、お待たせしました、今夜ご紹介します、PGの専属ピアニスト久美子です』と大声で言った。

久美子は純白のドレスを着て銀の扉から現れて、堂々と前に進み深々と一礼してピアノに向かった。

レンは驚きながら本当に嬉しそうに、愛する妹の晴れ姿を見ていた。

久美子がピアノに座り、正面を見た、その後にボーイが全員並んでいた。

そしてゆっくりと、深呼吸をした時に表情が変った、戦士のような瞳が出ていた。

鍵盤を見る目に恐ろしさを感じる程の集中力があった、完全なる静寂が包んでいた。

キングも久美子のその目を見ていた、真剣なキングの顔があった。

そして魂の演奏が始まった、一瞬で皆が引き寄せられるのが分った。

久美子は完全な集中に入り、輝きを放出している、時に笑い・時に怒り・そして泣きながら弾く。

魂の音色を楽しむように、汗を流して弾ききった・・・静寂が支配した。


「ブラボー、素晴らしい、最高だ」とキングが立って拍手した、そして皆我に返って拍手をした。

久美子は席を立ち、深々と頭を下げた、やり終えた満足感で輝いていた。

「小僧、ありがとう最高だったよ」と言ったキングと開演まで話をした。

久美子がある事情で姉がPGに入ったとキングに聞かれたので、概要だけを話をした。

静寂が戻ったフロアーにいる、女優達の目の色が変っていた魂の響きの余韻で。

久美子はそれを少し離れて見ていた、姉が踏出す船出を充実感を纏いながら。

レンには最高の船出の曲になり、挑戦の準備は出来ていた。

そしてレンを見るカスミの輝きは、全てを凌駕して発光していた。


久美子の、この演奏は忘れられない本当に心を鷲掴みにされた。


音楽に初めて触れたと思った、そしてミサの感性に響いていた。


ミサが音楽を目指すきっかけとなる久美子。


本当に素晴らしかったよ、16歳の魂のピアニスト・・・。

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