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感性

宮崎の夏は何かを誘う、どうしようもない誘惑がある。

その乾いた空気が呼びかける、上着を脱いでビーチに行こうと。

そこにはあった、全てが・・そしていつの頃から無くなった。

引き潮にさらわれたように・・・。


夏がある本物の夏が、密集して咲く大きなコスモスようにパラソルが開いていた。

海の家の面々はお盆前のラストスパートに、血気盛んで大声を出していた。

私はホテルの手前でバスを降りて、サーフショップに行って海パンを取ってバスタオルを借りた。

ビーチに行く途中で顔馴染のサーファーに、カスミの事を聞かれてとぼけていた。

《やっぱカスミは凄いな、水着姿見たかったな~》と思いながらビーチを歩いた。

面倒くさいので海の家を避けて、着替えて、ユリさんの言ってた大きなパラソルを目指した。

広いビーチに3張りしかない大きなテントなのですぐに見つかった。

そこにはパラダイスがあった、全員が水着に着替えていた。


『まさにパラダイスガーデンじゃ~』と和尚を真似た、想像を超える光景に。

真っ先に目を奪われたのはやはりユリさんで、そのスタイルは子供を産んだと思わせない物だった。

しなやかという表現がピッタリの柔らかい感じて、熟れた大人を見せ付けていた。

ユメもウミも想像通り無駄の無い綺麗な体で、女性らしいくびれのラインが素敵だった。

そして驚いたのがマミで、カスミのように腹筋が少し隆起していて、引き締まった体をしていた。

「最初はサーファー先生お願いします」とウミが言ったので、3人娘を呼んでストレッチをした。

マリアはウミが嬉しそうに補助していた。

『OKでしょう、とりあえずユメ・ウミで浅瀬でミサ・マリア頼んでいいかな?』と笑顔で言った。

「は~い」と返事して浮き輪持って楽しそうに歩いて行った。

エミが私を見てる、私はエミを見て。

『小学生は俺がスペシャルサービスをしてやる』と笑顔で手を広げた。エミが嬉しそうに飛びついた。

『じゃあちょこっとハワイまで行ってきま~す』と言ってチェアーに寝転ぶ笑顔のユリさんとハルカとマミに、エミが手を振った。


私はエミを片手に抱いて、首まで入った所でおんぶした。私の首に両手を回させて握らせた。

『怖くない?』とエミに聞いた、「全然、楽しい~」と後から楽しそうな声がした。

「どこまで行くの?」とエミが聞いたので、『もちろん、あの小島』と沖にある大きな休憩用の浮島を言った。

「やった~がんばれ~」としがみつく手に力を入れた、『手を離すなよ』と言って平泳ぎで泳いだ。

浮島にエミを抱いて乗せて、私も乗ったかなり揺れるので。

『エミ怖くない?』とエミの手を握った、「全然、気持ちいいな~」と海を見ていた。

ミサとマリアが浅瀬で遊んでるのを見て、エミが立って大声で手を振った。

ユメとウミが手を振って、ミサが羨ましそうな感じだった。

「ミサ絶対来たいって言うよ」とエミが笑顔で横に座り手を握って言った。

『ミサまでならなんとかしよう』と微笑んで返した。

「それで、イルカ見るまで帰らないって、ぐずるよ」と笑っていた、少女らしい笑顔が嬉しかった。

『それは困った』と困った顔で、エミを笑わせた。


「海ってこんなに気持ちがいいんだね」とエミが笑顔で言った。

『この位沖に出ると違うだろ』と笑顔で返した。

「うん、初めて来たよこんな所まで」と嬉しそうだった。

『来年はお父さんが一緒だといいね』と微笑んだ。

「うん、でもチャッピーいないとつまんないよ」と私を見た。

『もちろん来るよ』と笑顔で言って海に入り、エミをおぶって帰った。

それを見てたミサが待っていた、私はミサを抱き上げてテントに向かった。エミはマリアの所に行った。

『水泳部の可愛いマミちゃん、ミサを浮島まで連れて行きたいんだけど補助して』とマミを見た。

「どうして水泳部なの?」とマミが立ち上がりながら言った。

『腹筋が水泳部かと』とニヤで返した、「正解」とマミが笑った。

ハルカも立ち上がったので、私はハルカを見て。

『遠いぞ、足届かないぞハルカ』とニヤで言った。

「漁師の娘よ見てなさい」とニヤで返された、ユリさんが気持ち良さそうに薔薇の笑顔で見ていた。

私は肩まで来て、マミにミサを背中に回させ、手を首の所で握らせて、マミにミサのお尻を補助するように頼んで泳いだ。

ハルカの泳ぎが上手いのに驚きながら見ていた。浮島にハルカが先に乗りミサを抱き上げた。

私もハルカに両手を伸ばした、笑顔で舌を出された。


私が上がりミサを抱くと、ミサは沖を見ていた。

「イルカさんいないのかな~」と私を見た、『いるよ、でも今お昼寝かな』と笑顔で返した。

『ミサ、イルカさんもクジラさんも、小さなお魚だって沢山いるんだよ』とミサに囁いた。

「お魚さんいるんだね」と笑顔で私を見た、可愛い笑顔が直射日光で輝いていた。

『怖くない?』とミサに聞いた、「怖くないよ、優しい場所だってわかった」と笑っていた。

帰りはハルカが補助して、マミの美しい泳ぎを見ていた。

テントには皆帰って来ていて、ユリさんが氷でも買っておいでとハルカにお金を渡した。

6人で海の家に楽しそうに歩いて行った、私はユリさんの隣のチェアーに寝転んだ。


「さすがですね、楽しむという事をよく知ってるわ」と薔薇の微笑で言った。

『得意ですからそれだけは』と笑顔で返した、隣の水着のユリさんに緊張しながら。

「ユリカの事、本当にありがとう」とユリさんが言った。

『何もしてませんよ、遊んでもらってます』と海を見ながら言った。

「あの宴会の時、私も蘭もユリカを見て凄く驚きました、そして大ママは泣いてましたよ」とユリさんも海を見ていた。

『やっぱり、ユリカも愛されてるな~』と思ったままを口にした。

「特にあなたに、昨日のカスミちゃんを見る顔もそうでしたけど」と私を笑顔で見た。


『カスミの目の光が弱くて、揺れた時怖かった、そして動揺してました。

 カスミに対する想いを再確認して、昨日はずっと考えてて、混乱してて。

 勿論、蘭を愛してます、心から。それがあるのにって考えました。

 結局何も答えは出なくて、今は出せないんだと思いました。

 俺は勝手な人間だと思って、その部分で蘭に甘えてて、でも切り離せない。

 ユリカとカスミはどこか特別で、今日ユリカに今は答えなんて出すなって言われて。

 少し落ち着きました、未熟ですまだまだ』と正直に話した。


「そこなんですよ、最後の挑戦者にユリカが込めた想いは、蘭との事は当然ですけど。

 他の女性との関係にも期待してるって、あのユリカの口から出るとは思ってもなかった。

 あなたはもう分ってるでしょ、ユリカの研ぎ澄まされた感性。

 あなたの気持ちを分っていて、それでもそれに賭けたいって言ったんですよ。

 あの子の気持ちを開いたのはあなたです、思ったままにやってね。

 何も隠せない最強のユリカが挑戦者に選んだ男ですよ、自信を持ってね」と薔薇で微笑んだ。


『そっか~、ありがとうユリさん、少し分りました』と笑顔で言って。

『最後の挑戦者、必ずユリカをその場所まで引っ張り出します』とユリさんを見て言った。

「さすがね、そういう事よ。愛されているのよ、あなたも」と薔薇で微笑んだ。


私はまた勘違いに気付いた、ユリカが対人恐怖症と言った意味を誤解していた。

ユリカの鋭い感性なら、好きな相手の強い感情は読めるんだと。

今までそれに自らが苦しんだんだと、それで相手はユリカから去って行った。

ユリカはもう飽きていたんだ、愛すると苦しむだけだから。

相手が気持ちを隠すのが、分ってしまうのが辛かったんだと。

だから未経験の唯一愛する者に会いたかったんだと、そして俺は選ばれたんだと。

ユリカの最後の挑戦者に、どこまで正直に貫けるのかの、俺はユリカに愛されてる。

もちろん、恋愛対象じゃないだろう、そんな小さな枠組みの話しじゃないと言ったんだと。

【最後まで近くで見る】と言った言葉を思い出し、ユリカを想っていた。

必ず引きずり出す、ユリカがどこかで諦めている、ステージまではと強く思った。

《大丈夫ユリカ、俺だけは逃げない蘭からもユリカからもカスミからも》と海に呟いた。


「はい」と言ってハルカがコーラを差し出した、『サンキュー』と言って受け取った。

「小僧は今何してるんだって、かなり聞かれたよ」とハルカがニヤした。

『忘れてないだろうねハルカ、青島じゃ俺の彼女になってる事』とニヤで返した。

「あっ、それでか~」とハルカが笑った、「今夜も報告会あるね」とユメがニヤした。

『昨夜は寂しかったろう』とユメにニヤで返した。

「それもあるけど、あの席にあんたがいないと調子でないよ」とユメが微笑んだ。

『皆さんの愚痴聞き件、不満解消ロボットだからね』と笑顔で返した。

「そうでもないよ、昨日皆感じてたよ、ボーイさんと違う安心感があるよ」とウミが微笑んだ。

『ユメとウミは本当に良い子だ、ハルカと違って』と泣き真似をした。

「そんなことないよ、ハルカが一番寂しそうだったよ」とマミがハルカにニヤした。

『ハルカ』とまで言ったら、「どっち言うの惚れるなよ、それとも火傷するぜ」とハルカがニヤで返した。

『ユリさんハルカが、反抗期に入りました』ユリさんを見ながら泣き真似した。

「良かった~、遅いから心配してたのよ~」とユリさんがハルカに微笑んだ。

「もう、ユリさんに振るのやめてよ、返せないの知ってて」とハルカが私を笑顔で睨んだ。

『どうして君達はユリちゃんに意地悪するんだ、仲間に入れてあげなさい』とユリさんを見た。

「いつも、私だけ仲間外れなんです」とユリさんも泣き真似をした。

『ヨチヨチ、ほら泣いてるじゃないか』とハルカを追い詰めた。

「参りました」とハルカが頭を下げて、皆で笑った。


マリアが私の所に来て抱き上げると、海を見て天使で微笑んだ。

『そっか、マリアも少しだけ入ってみるか』と言って海に歩いた。

私の肩までの高さで、マリアを浮かべて遊んでいた、天使の笑顔で笑っていた。

3人娘が充分遊んで眠そうになったので、帰る事にした。

私が着替えて、眠くてフラフラのミサを抱いて、バスタオルを返してバスに乗って待っていた。

全員乗ると、ユメが手を出したのでミサを渡して。前に行って座った。

杉田の爺さんは約束を守って堀切峠を登り、イルカ岬に連れて行った。

「素敵、素敵な所ね」とエミが輝く少女の笑顔を私に向けた。私は抱き上げて海を見ていた。

『あの海の向こうにも沢山人が住んでるんだね、地球は広いね』とエミに笑顔で言った。

「うん、きっと行ってみる、沢山の人に会ってみたいから」と海を見ていたエミは、未来を見ていたのだろう。


私も遥か彼方の未来を想って水平線を見ていた、最強に選ばれた挑戦者として。

青い水平線は気付かないほどの緩やかなカーブで、地球が丸いと主張している。

平穏な気持ちでエミを抱いていた、抜打ちテストが迫っていると知らないで。

その難問を解くための準備はまだ完全でなかった、次の出会いが変える根本的何かを。

その挑戦者は今動き出していた、背負っている者のために挑戦を決意していた。

【黒の魔女 蓮】と後に呼ばれる、最新型の秘密兵器がすぐそこまで来ていた。

私の次の難問を解く鍵を握り締めて、求人募集を見ていた暗黒の瞳で。


ユリカの事を誤解されそうで怖い、私の文章力の無さを痛感させられる。


ユリカの感性は無論、超能力とか霊感的なものではない。


だが勘が鋭いというレベルでもなかった、私の見上げて囁きの回数を間違った事はない。


私はその事には何故か興味を持たなかった、それがユリカ鋭い感性だと思っていた。


今後もっと不思議なユリカが出るが、どうか作り話と思って頂きたい。


しかし存在した、それは嘘でも妄想でもない。


確かにいた・・・透明の女神が。






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