乾杯
自分へのご褒美も必要である、納得できる充実感の後は。
そしてまた一段登ろう、果てしない上を目指して。
ネオンを見下ろす要塞の最上階に、充実感を漂わせ女優が笑顔で揃った。
少しの緊張と、ときめきを胸に。頂上に君臨する4人を見ていた。
私は右腕をリアン、左腕をユリカに組まれて立たされていた。
「じゃあ、乾杯の前に・・蘭報告があるんでしょ」とリアンが蘭に微笑んだ。
「はい」と言って蘭が笑顔で立ち上がって、リアンを見た。
「今夜は全員参加していませんが、報告します。
3年前の12月でした、リアン姉さんがPGにまだいた頃に、作り上げた満席記録。
その22日間を私は忘れられません、熱の高い日々でした。
ユリさん・リアンさん・アイさんに、引っ張られた楽しい日々でした。
そして、今回その記録が見えたとき・・本当に嬉しかった。
そして最高の仲間に巡り合えた幸せを感じました。
私達は確かな目標が持つ事ができた、幸せな後輩です。
そして、今報告します・・今夜栄光の記録を上塗りできました。
素晴らしい記録を授けてくれて、本当にありがとうございました」
蘭が笑顔でリアンに頭を下げて、8人衆も笑顔で立ち上がり。
「ありがとうございました」と頭を下げた。
「本当に嬉しいです、よくがんばりました」とリアンも炎の笑顔で返した、獄炎の瞳は潤んでいた。
「では、乾杯の音頭と祝辞を、大ママお願いします」とリアンが大ママを見た。
大ママはユリさんに一礼して、笑顔で立ち上がった。
ローズの3人の女性がシャンパンの注がれたグラスをを配りはじめた。
「ご指名ですから、一言。
私はこれまでこの世界で生きて、3度他人を羨ましく思いました。
一度目は、ユリに出会ったときに、マダムを羨ましく思い。
二度目は、リアンと蘭のコンビを見た時に、ユリを羨ましく思い。
三度目は、今です・・今皆さんの充実した顔を見て、ハルカを羨ましく思いました。
PGはユリの世界です、ユリが必死に作り上げたキャンバスに。
リアン・サクラ・アイ・蘭が必死に下書きをしました。
そしてその下書きに、貴女方が力を合わせて美しい色を塗りました。
本当に素晴らしい仕事でした、心からの賞賛を込めて乾杯します」
大ママは全員を見回し、リアンの店の女性を見て。
「貴女方もグラスを持ちなさい、この世界は同席すれば皆仲間ですよ」と笑顔で言った。
3人は本当に嬉しそうな笑顔で、グラスにシャンパンを注いで持った。
「それでは記録が今後も伸びる事を祈って・・乾杯」と大ママが笑顔で言って。
「乾杯」と全員が笑顔で答えて、グラスを傾けた。8人衆は全員目を潤ませていた。
皆が座ると、リアンが又腕を組み、ユリカも腕を組んだ。私は又、囚われの身になった。
「今夜のシャンパンは、プレゼントです」とリアンが笑顔で言って、メッセージカードを出した。
「PGの姫たちへ、いつも楽しい時間をありがとう。記録更新のお祝いとして送ります・・梶谷」とリアンが全員を笑顔で見た。
全員が嬉しそうな笑顔になり、拍手をした。お礼の挨拶として。
「自己紹介の前に、特別事項を言っておきます」とリアンがニカをした。
「後の一番夜景が綺麗な所に、4人掛けのテーブルを見えないように用意しました」
「秘密の話や、聞きづらい事は相手を指名して使って下さい・・多分エースの席になりそうだけど」とリアンがニカを出し。
全員がニヤで私を見た、私は笑顔で震えていた。
「それと、今夜は私とユリカで可愛いエースに、伝説を又1つプレゼントします」とリアンが蘭を見て、強いニカをだした。
「あっ、リアン姉さん」と蘭が慌てて言った時に。
「エースありがとう」とリアンが私の右頬に、ユリカが左頬にキスしてくれた。
私は嬉しくて、照れてニヤニヤしていた。
蘭が頬を膨らまし、笑顔で睨んで近づいた。
「なぜ、そんなにニヤニヤする」と私の前に立って、笑いを堪えて言った。
『いや、突然の出来事で』と私は言いながら、蘭の顔の高さに顔を合わせて。
『蘭、おいで』と言って目を閉じた。
「さて、どこにするのやら」とカスミが多分不敵を出して言った。
「もう、ここよ」と言って、おでこに蘭がキスをした。
「あら、中学生のカップルみたい」と言ったユリさんの言葉で、全員が爆笑した。
私は笑顔の蘭に手を引かれて、蘭とユリカに挟まれて座った。
「それでは、PGの7人だけ自己紹介をお願いします・・左からお願い」とリアンが千春見て微笑んだ。
千春が笑顔で立ち上がった。
「千春です、21歳です。○○大学で、商業と経済を学んでいます。
私は親の負担を軽くしたいと、18で最初居酒屋でバイトしました。
居酒屋に出勤する途中でユリさんを見て、追いかけてPGを探し当てました。
私はその時の自分を褒めてやりたい、よくあそこで踏出したと。
それがあって、最高の仲間にめぐり合えました。本当に今幸せです」と目を潤ませて頭を下げた。
全員が笑顔で拍手をした。
次が千夏だった。
「千夏です、21歳です。○○専門学校で看護の勉強をしています。
私は車が欲しいという動機でPGの面接を受けました、車を買ったら辞めようと思っていました。
でも今は本当に楽しい、最高の仲間がいる場所が有る事が。
そしてきちんと評価してくれる人がいる事が。
私も今・・本当に幸せです」と笑顔で頭を下げた。
全員が笑顔で拍手をした。
次が千秋だった。
「千秋です、20歳です。○○大学教育学部に在籍しています。
私は次の美冬と、大学生活で何か1つ挑戦しようと話して、PGの面接を受けました。
最初2人の時は必死で、楽しむ余裕すらなかった。
でも最高の仲間が集まって、今は充実しています。
私は素晴らしい大学生活だったと、胸を張って言える。
私も今、本当に幸せです」と言って頭を下げた。
全員が笑顔で拍手をした。
次が美冬だった。
「美冬です、21歳です。千秋と同じ教育学部に在籍しています。
私も最初必死でした、そして4人が揃った時に言われました。
コンビネーションでやればどうかなと、蘭姉さんに」
ここで残りの四季の3人が立って蘭を見た。
「蘭姉さんありがとう、バイトの私達をいつも見守って助けてくれて。
私達は蘭姉さんが私もバイトよと、いつも笑顔で言ってくれる事が・・どれほど支えになったか。
そして、全力で取組む姿に・・どれだけ勇気をもらったか分りません。
蘭姉さんがどんなに否定しても、私達アルバイトの四季にとって。
蘭姉さんは【最高の副職】です・・本当にありがとうございました」と美冬が言って全員で頭を下げた。
残る全員が笑顔で拍手をした。
蘭は照れて笑っていたが、体は微かに震えていた。私は蘭の手を握った、蘭は強く握り返した。
ユリさんは、涙を流して聞いていた。嬉しかったのだろう。
次がユメだった。
「ユメです、20歳です。
私は不良少女上がりです、つい最近まで流して仕事をしていました。
でもPGの同世代の笑顔を見て、そんな笑顔で笑えない自分が嫌になりました。
今本気でプロになろうと挑戦しています、本当にPGに来て良かった。
そうしなければ今もまだ、半端な暮らしをしていたと思います。
いける所まで、頑張って・・。
最後には必ず、素敵に笑える女になりたいと思います」と頭を下げた。
全員が笑顔で拍手をした。
次がウミだった。
「ウミです、19歳です。
私もユメと同じ不良少女上がりです。
本気の挑戦をして良かったと心から思っています、今が人生で一番楽しいと。
悔しいと思わせるほどの、本気を出していた仲間に感謝します
そして、私達が本気の挑戦を承諾して貰った時」
ここでユメが立って蘭を見た。
「自分のヘルプに指名してくれた蘭姉さん、本当に嬉しかった。
あの想いを忘れずに私達は頑張ります、本当にありがとうございました」と2人で頭を下げた。
全員が笑顔で拍手をした。俯いた蘭の震えが大きくなった。
そして最後がカスミだった。
「カスミです、20歳です。
私は旦那の暴力から逃げて、宮崎に来ました。ユリさんに拾われて、今PG4ヶ月目です。
私は自分の幸運に感謝しています、今この場所にいれる事が。
そして挑戦する場所が出来た事が、私は自分の限界まで登りたい。
そして蘭姉さんの背中が触りたい、今は何も迷いなく言えます。
私も今・・幸せだと」
そこで残りの6人と、ハルカが立ってユリさんを見た。
「ゆりさん、言葉に出来ないほど感謝しています。本当にありがとうございました」と8人で頭を下げた。
ユリさんは、涙を隠さず立ち上がり。
「私も今本当に幸せです、ありがとう・・そして蘭、本当にいてくれてありがとう」と涙の笑顔で言って、頭を下げた。
蘭は俯いて震えていた。私は蘭の手を強く握っていた。
「よかったね、よくここまできたね・・蘭」とユリカの言葉が完璧な子守唄で響いた。
蘭はユリカを見て大粒の涙を流した、ユリカは微笑んで蘭を手を握った。
「よし、湿っぽいのいかんから。エースかくし芸でもよろしく」とリアンがニカをして、私を見た。
『しかたないな~』と私はニヤで立ち上がり。
上半身裸になって、全員の視線を集めた。私はお腹にケイ、背中に蘭とマジックで書いていた。
「やるな~準備万端かよ~」とカスミが言って、全員の笑顔が出た。
「エース、私本気で惚れそうな体」とリアンが言って、「私も」とユリカが笑顔で言った。
「だめ~持ち主の名前が背中に書いてある」と蘭が2人をニヤで見た。全員が笑っていた。
「出し物はなんだい?」と大ママが笑顔で私に言った。
『特別ですから、最高の大技。逆立ち腕立て伏せ3回をご披露しよう』と笑顔で全員を見回して、拍手を要求した。
「怪我しないでね、抱っこ出来なくなると困るから」とユリカが蘭にニヤを出した。
「だれ~、ユリカ姉さんをこんなにしたの」と蘭がユリカを笑顔で見て叫んだ。
「背中にユリカって書いてる男」と言ってユリカが蘭に最高のニヤを出した。
「りゃんって書いてあるの~」と蘭も楽しそうにユリカを見た。皆の笑い声に包まれていた。
「お前の責任だ、5回やれよ」とリアンが全開のニカで私を見た。
8人衆とマミが「5回、5回」と言って拍手した。
私は必死に5回連続を成功させた、拍手を受けて蘭を見た。満開の笑顔だった。
宴会のプロだらけの楽しい宴会が、熱を帯びてきた。
最高のメンバーで、真夏の夜を楽しんでいた。
四季はその後、千春が証券会社・千夏が看護士・千秋と美冬が小学校の教師になる。
ユメとウミは長い期間PGで働き、【ツウィンズ】と呼ばれ愛された。
2人ともほぼ同じ時期に結婚し、PGを素敵な笑顔で去った。
しかしこの時はまだ8人衆は全員模索していた、まだ全力じゃないと思っていた。
この宴会で、リアンとユリカに触れて変化していく。
自分の個性を、見つめ直すきっかけになる。
最強の炎と、最良の水に触れて・・・。