親友
両極にいる、しかし互いに認め合った。
相手に対し何の疑念も無かった。
炎が安心して燃えるための水。
水が安心して流れるための炎だった。
星空が眼下に見えるような感覚になる、天空の要塞のコックピットに座っていた。
笑顔で笑顔に囲まれていた、大きな安心感の中、熱を浴びていた。
「じゃあ、私を述べよ」と盛り上がってる途中で、リアンが私にニカを出した。
『絶対条件として、照れくさいけど、俺は蘭と誰かを比べた事が無い』リアンは微笑み頷いた。
『ユリカに会った今でも。
俺の外見的な好みも内側から出る雰囲気も、リアンが1番だよ。
この前焼肉屋でも言ったけど、蘭かいなければ絶対リアンを追い求めている。
リアンも勿論キングも、知ってるから言うけど。
俺はリアンに会うまで、カスミだと思っていた。
でもリアンの衝撃は怖い位だった。
その内包された熱に押された、そして心が魅入られたその瞳に。
絶対に今の俺じゃ無理と分ってても、俺は追い求めると思う。
全てを焼かれないと、諦められないと思う存在だよ』と笑顔でリアンを見た。
「ありがとう、良い答えや~」と情熱の笑顔で返してくれた。
「魔法使いやもんな、小僧は」とキングが微笑み。
「ユリカにかけたのは、強力だぞ」と熱を高めてリアンが笑った。
『この前、蘭と焼き鳥屋に行った時、教えてもらった魔法の意味を。少し分った気がしたよ』と笑顔で返した。
「聞きたいね~」とリアンがニカで言い、キングが笑顔で催促した。
私はミノルの言った言葉を、笑顔で伝えた。
「なるほどな~、ミノルだろ」とキングが笑顔で返した。
『キングには叶わないよ』と笑顔で返した。
「なに言ってんだ、四天女制覇したくせに」とニヤニヤでキングが返した。
「それもユリカの内側に入った男は、お前が最初だと思うぞ」と笑顔のまま言った。
「そして羊水と聞いて、俺も行きやすくなったよ。
今までは嫌な事があった時にしか、行かなかったからな」とキングが笑った。
PGから3番が空いたと連絡があり、キングと2人で店を出た。
エレベーターまでリアンと、2人の女性が見送りに出た。
「ちょくちょく遊びにおいで、フリーパスやらか」とリアンが私に微笑んだ。
『駄目って言っても来るよ、リアンは蘭を追うための心の支えだから』と笑顔で返した。
「真面目な話、ホストにはなるなよ。怖いから」とリアンがニカで言った。
「小僧がホストか、やる時は金は貸すぞ、絶対成功するからな」とキングが笑った。
『スポンサーできちゃった』とニヤでリアンを見た。
「ニヤはやめろ、本気で怖い」とリアンが笑って、手を振って別れた。
キングと西橘を歩いていた、昼にリアン・カスミ・ユリさんと腕組んで。
夜はキングかベストなメンバーだなと、一人でニヤニヤしていた。
「俺も1つ教えてやるよ」とキングが私を見て、教えてくれた。
「ユリカが魅宴の面接に18で来たとき、大ママは線が細くて大丈夫かと思ったらしい」私は頷いた。
確かにユリカは28の今でも、小さくて可愛い感じだった。
「だがな話してすぐに採用したらしいよ、大ママの凄いとこやな」とキングが笑顔で私を見た。
私も笑顔で頷いた。
「そして、とっておきの源氏名をつけた、ユリカってのはな」と私を見て。
「百合が香るって書いて、百合香なんだよ。大ママはユリが欲しかったんだよな~」
「そして、ユリの香りがする女をやっと見つけたのさ・・それがユリカなんだよ」と笑顔で言った。
『なんか分る、素敵な話やね』と笑顔で返した。
PGにエレベーターで上がり、入口でキングに礼を言って、カズ君に案内を頼んだ。
「次は当然、ユリカの所に行こうな」とキングが微笑んだ。
『すっごく、楽しみにしてるよ』と笑顔で返して頭を下げた。
私の指定席に座るマダムに笑顔で。
『マダム、すいません代わります』と声をかけた、マダムは笑顔で私を見た。
「梶谷さんは、本物の帝王やな・・またハルカを指名や」と3番を見た。
3番にハルカが笑顔で、キングに挨拶していた。
「ハルカにとって、どれだけプラスになるか」
「梶谷さんを知ってる客の、ハルカの評価がどれだけ上がるか」
「それを知っててやってるんだよ、ハルカが可愛いからね」と嬉しそうに私を見た。
『あそこまでの男になりたいな~』と私も3番を見て呟いた。
「期待しちょるかい、ワシが死ぬまでには見せてくり」とマダムは笑顔で言いながら、TVルームに戻った。
その日も、11時を過ぎても熱は下がる気配が無く、上がり続けていた。
3番は帝王と女帝の鎮座する席になっていた。
私は四季のサインが頻繁に飛んで、必死に繋いでいた。
《四季め意地悪してるな》と思いながら、ハルカの指定席で汗をかいていた。
マミを送る時間になって、やっと開放された。
マミと裏階段で通りに出た時に、笑顔で言った。
『今、危ない酔っ払いの集団が通ったから』とニヤで手を出した。
「こわ~い」とマミがニヤで言って、手を繋いでくれた。
「大ママからの指令、ユリカさんの件報告よろしく」と私を見て微笑んだ。
『なんか、凄いメンバーが全員が関わっていたのか~』とマミに笑顔で返して。
ユリカに言った独り言を、マミにも話した。
「素敵だね、本当に素敵な答えだ」と嬉しそうにマミが私を見た。
『マミ姉さんの時も素敵だったよ』と笑顔で返した。
「うん、ありがとう」と笑顔で裏ドアの前で手を振ったマミに、手を振って別れた。
PGに帰る途中、ユリカのビルの下で上を見上げていた。
《ユリカ元気かな~》と思って。そそり立つ塔を見上げていた、その上の夜空に星は無かった。
「すご~く会いたい人でもいるの?」と声がした、横を見るとユリカが立って見上げていた。
私のその時の嬉しさは格別で、見上げるユリカを見つめていた。
『内緒だけど、このビルの最上階に、高所恐怖症の可愛い人がいてね』上に視線を移して、夜空に言った。
「そんなに、可愛いの」とユリカも夜空に囁いた。
『絶対誰にも言わないでね、可愛すぎるほど可愛いんだよ』と夜空に微笑んだ。
「そんなに可愛いんだ~」とユリカも夜空に微笑んだ。
『ここを通ると、その人が元気かな~っていつも思って、こうして見上げてるの』と夜空に響くように囁いた。
「そっか~、いつも考えるんだ」と囁いてユリカが静かに、私の手を握った。
『うん、その人は上手く言えないけど、特別なんだ』と手に少し力を入れて。
『だから俺は、ユリカって呼ぶんだ』と言ってエレベーターに歩いた、ユリカの爽やかな笑顔を見ながら。
「見上げて思った時は、必ず分るからね」とユリカがエレベーターに乗り、可愛く微笑んだ。
『ごめんね、一日何回もあってうるさいかも』と笑顔を返して、手を振った。
ユリカの笑顔を、エレベーターの扉が隠した。
《やっぱ少し寂しいかな》と思いながら、《ラン~》と言いながら足早に帰った。
PGの熱は結局終了まで継続した、そして8人衆と蘭が終礼の10番席に集まった。
「今夜は自白あるのかい?」とカスミが私に不敵を出した。
『今日はすっっっっごい可愛い人を抱っこしました』とニヤで言った。
蘭も隣で満開ニヤで聞いている。
「まって、心の準備がいる人じゃないよね?」と美冬がニヤで返した。
『準備しなさい』とニヤで返した。
「でも大丈夫か、噂ではそういう事の出来ない人だから」と美冬が一人で納得した。
「美冬述べよ」と蘭がニヤ全開で美冬を指名した、私もニヤしていた。
「いよいよ、ユリカさん」と美冬が答えた。
「ピ~ン~ポ~ン」と蘭が笑顔で叫んだ。
「お前、リアン姉さんの次にユリカさんにまで、何か権利貰ったのか?」カスミが不敵全開で見た。
『お店のフリーパスと、呼捨てだけだよ』と私も全開ニヤで答えると。
カスミが恐ろしい程の、全開不敵で立ち上がり、私の顔を覗き込んだ。
「隊長気をしっかり持って、見てください・・これを」とカスミが蘭にニヤを出した。
蘭が私の顔を見ると、私を睨み。
「だれーーーーーがした」と蘭が叫んだ。
私は何かまだ分からなくて、唖然として蘭を見ていた。
残りの7人も見て、全開ニヤを出したところで。
私は気付いた《しまった~》と心で叫んだ。
『リアンが、お礼のチュってしてくれた』と反省を全面に表して、蘭を見た。
「リアン姉さんなら、ギリギリよし」と言って私に近寄り、反対側にキスしてくれた。
私は嬉しくて、ニヤニヤしていた。
「じゃぁ皆に提案します、私明後日靴屋休みだから」蘭は嬉しそうに、大きな声で。
「私が安くしてもらうから、明日満席記録の更新を、今までの記録保持者に、伝えに行きたいと思いま~す」と言った。
8人衆の顔が、華やいだ笑顔になって、次の言葉を待った。
「明日、店が終了してから~・・ローズリップに行く人」と蘭が手を上げた。
「は~い」とハルカ以外楽しそうに手を上げた、「ハルカ、どうした?」と蘭が優しくハルカを見た。
「未成年だから」と寂しそうに答えた、蘭が満開の笑顔でハルカを見て。
「中坊も行くんだよ、酒を飲まなければOKに決まってるだろ」とハルカにウィンクをした。
「は~い」とハルカも満面の笑みで手を上げた。蘭が私を笑顔で睨んだ。
『針のむしろ状態になりますかね~』と恐々蘭を見た。
「正解」と満開で微笑んで、両手で銃を作って私に向けた。
私はニヤで両手を上げた、蘭の楽しそうな笑顔を見ながら。
「会費はいりませんよ、私も混ぜてくれるなら」とユリさんが薔薇の微笑で歩いて来た。
「えっ、ユリさんも参加してくれるんですか?」と蘭が嬉しそうにユリさんを見た。
「皆さんに特別ボーナスも別に考えています、頑張ってくれたから」と全員に微笑み。
「それと明日のリアンへの報告には私も行きますから、参加費は無料ですよ」と薔薇になった。
「やった~」と8人衆は最高の笑顔でユリさんを見た。
「じゃあ、フリーパスの人予約よろしくね」と薔薇の笑顔で私を見た。
『了解です』と笑顔で返した。
全員が消えていく銀の扉を見ながら、最高のメンバーが揃ってる。
奇跡のように、呼び寄せられたようにと思っていた。
その時代、大ママとユリさんは別格だった。
女帝の称号を、関係者全員が与えていた。
次世代のリアンとユリカはその例え通り、【炎】と【水】だった。
両極端でありながら、本当の親友だった。
私は今に至るまで、この2人と並ぶ女性同士の親友は【ケイとマミ】しか知らない。
ユリカが消え、リアンが名実とも夜街トップになった時。
私の前で号泣しながら、リアンがこう言った。
「何もいらない、全部捨てていい・・それでユリカに逢えるなら」と泣いていた。
そのリアンを抱きしめて、ユリカを想っていた・・逢いたくて。