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副職

あの時違う選択をすれば、今はどう変わっていたのか。

それは誰にも分らない、その道は自分で閉ざしたのだから。


成長期の細胞を活性化させるかの如く、私は滅多に食べられない、高級和牛の焼肉を食べていた。

目の前の得体の知れない、何かに焼かれながら。

その瞳の持ち主は、私の食べるのを楽しそうに見ていた。


『ユリさんと喧嘩して独立したとか?』と笑顔で突っ込んでみた。

「まさか、ユリさんと喧嘩なんて、私じゃ相手にもならないし」と美しい口元だけで笑った。

「ユリさんが結婚する時、引退を覚悟していたのよ。そしてマダムもPGを閉めようと思ってたの」真剣な表情で、熱く感じる目で語った。

「その時、ある男性が融資するから、店をやらないかって話しがあってね」

「私は蘭だけ誘って、開店準備の為に辞めたの・・蘭はPGに恩があるから最後までいてから、来るって言ってたの」少し懐かしげに言葉を選びながら。

「ユリさんが産休の時に色々あって、離婚して復帰をする事になったから、今はこういう状況なのよ」と笑顔で言った。


『蘭は、20歳位でそんなに凄かったんだ』と私が笑顔で返すと。

「あなた聞いたことないのね、蘭は夜街じゃ【最高の副職】って呼ばれてるのよ」とニカを出した。

「あの子は今でも、自分はバイトだと思ってやってる。そしてそれを貫いてるわ」と嬉しそうに笑った。

『そうだよね、そんな感じだと思ってた』と笑顔で返した。

「あの子がプロを志願したら、夜街トップクラスは間違いないよ」と私を優しく見ていた。

「ユリさんの復帰が決まってからの蘭は、凄まじかったからね。私も何度か様子を見に行ったけど・・怖かったよ、後光が射してて」と笑顔で言った。

『伝説のNO1話ですね』と笑顔で返した。

「そう、今でも語り草だからね」と嬉しそうだった。


『じゃぁリアンさんは、最高のアルバイト取り逃がしたんだ』と笑顔で返した。

「そう、でも今は私には良かったかと思ってる、蘭が来たら絶対蘭に頼ってたからね」と真顔で言った。

『リアンさんは、パパさんがついてるから』とニヤで言った。

「ブーー、そんな関係じゃないよ。私と蘭を変な店に行かせたくないって、貸してくれたの。弁護士で、お金持ってる人だから」とニカで返した。

『やるな~キング』と私もニヤで返した。

「キング??」と不思議そうに言った。

『梶谷さんだよね、弁護士って・・俺はキングって呼んでいいのだ』とVサインを出した。

「そうなの、素敵じゃない」と熱を高めて笑った。


リアンさんと腕を組み相合傘で歩いた、強い雨の西橘通りを。

2人でPGのTVルームに入った。

「あら、やっぱり出会ってしまうのね」とユリさんが私とリアンさんを見て、薔薇で微笑んだ。

「おはようございます、ユリ姉さん」と言ってリアンはユリさんの横に座って、マリアを嬉しそうに抱いた。

2人が楽しそうに話だしたら、マリアが駆けて来たので、マリアを抱いてハルカを探しに行った。

私はフロアーに向かいながら、【ユリ姉さん】と呼ぶ人に初めて会ったな~と思っていた。

アイさんやサクラさんでさえも、ユリさんと呼んでいた。

年齢関係でなく、今生きる地点の差が【姉さん】と呼び難くさせているのかと思っていた。

笑顔でユリ姉さんと呼んだリアンは、やはり相当高い地点で生きているんだと感じていた。


フロアーにハルカの背中が見えた、何か見て書いている。

『女優が雑用をしなくていいよ』と声をかけた。ハルカは振向いて笑った、可愛い笑顔で。

「ずっとするよ、これしないと落ち着かないから」と微笑んだ。

『貧乏性だな~』と私が言うと。

「な~」とマリアが追い打ちをかけた、ハルカはマリアに微笑んだ。


「今、言っとくね」とハルカが真顔になって、私の前に立った。

「私のデビューであなたがしてくれた事、絶対に忘れない。そして7年後の約束も、そしてハルカの由来も」

「お父さんの1番指名も・・全部ありがとう、本当に嬉しかった」と笑顔で言った。

『喜んで貰えたなら、よかった~』と笑顔で返した。

『今度、寄せ書き見せてね、号泣した?』とニヤで聞いた。

「うん、昨夜ずっと泣いてた。大切な宝物になったよ」と美しく微笑んだ、女優らしく。

『あっ、TVルームにハルカ姉さんにお客さん』と言って、ハルカとTVルームに戻った。


「リアンさん!・・おはようございます」とハルカが頭を下げた。リアンは笑顔で見て。

「ハルカデビューおめでとう、これは私からのご祝儀」とハルカの前に立ち、笑顔で渡した。

「ありがとうございます、本当に嬉しい」とリアンを見て、笑顔で返した。

「あんたは、ユリ姉さんの秘蔵子で蘭世代の女だから、皆期待してるよ頑張って」暖かい言葉だった。

「はい、全力でやってみます」とハルカは明るい笑顔で答えた。

リアンも燃える笑顔で見ていた、踏出した若き挑戦者を。


「ユリ姉さんが、あなたを譲ってくれないの」とニカでリアンが私を見た。

『ユリさんの秘蔵子ですから』とニッで返した、ユリさんも薔薇で笑っていた。

「あなた、リアンさんとも絡んだの」とハルカが私を見た。

「も?」とリアンがハルカを見た。

「大ママも欲しいと言ってたんです」とハルカが笑顔でリアン言った。

「やるね~」と私を熱いニヤで見た。

『俺、未経験だから、踊り子さんの付人は無理かと』とニッで返した。

「ストリッパーじゃないって、3回言ったよ」とリアンが笑顔で返して、皆で笑った。


リアンが笑顔で帰って、マリアとユリさんも帰った。

ハルカと予約確認をしていると、マダムがやってきた。

「お前も驚かすのいい加減にしてくれんと、こっちの心臓がもたんわい」と私に笑顔で言った。

『どのことでしょう?』と私も笑顔で返した。

「リアンとピッタリ腕組んで相合傘で歩くなんて、誰かと思って見たらお前やし」と笑った。

『お肉食べさせてくれるって言うから、傘に入れてあげたんですよ』と照れて笑った。

「本当に、怖くなるんだけど」とハルカがニヤで言った。

「ハルカ、そいつとはもう、歩かん方がいいかもしれんぞ」と笑いながらマダムが出て行った。


「リアンさんって凄いんだね」とハルカに聞いた。

ハルカがニッと笑って、古い予約実績表を見せた。

「ここ、この12月ユリさんとリアンさんの差が、12ポイントなの」と私に微笑んで。

「12月って一番忙しい月に、たった12人しか指名で変わらなかったのよ」と言った。

『それは、凄い』と私もその数字を見ながら言った。

「そして、この月に今挑戦してる満席記録を作ったの、3位見た?」とニヤで微笑んだ。

私は数字を追って、3位を見た。

蘭だった、ユリさんに26ポイント・リアンに14ポイントの差だった。


「ユリさんはね、今でも満席で入らないお客さんは。

 リアンさんの所を紹介するのよ、一番安心できてPGより安いから。

 でも私はリアンさんを自分が辞めさせたみたいに、感じてるんだと思うの。

 だから、応援してるんだと・・素敵でしょ本物のトップクラスは」とハルカは嬉しそうに微笑んだ。


『頑張って、トップになれよ』と笑顔で返した。

「挑戦してみる、どこまで行けるか、ユリさんと蘭姉さんの精神世界に」と言った顔は輝いていた。

【精神世界】と表現した、ハルカの感性が私は好きだった。

目指すのはその精神だと強く言う心が。


「あなた、まさか四天女知らないの?」と少し驚いたようにハルカが言った。

『知らない、てかまだ習ってない。ケイっていう人が、意地悪だったから』とウルで返した。

「ごめんごめん、泣かないの」とハルカは可笑しそうに笑って教えてくれた。

「今の夜街で、女帝と言われるのは飛鳥さんだけど」と言ったとき。

『アスカって誰?』と突っ込んだ。

「えっ、大ママよ~知らなかったの」とケラケラと笑った。


『ケイっていう人が』と言った時に。

「はいはい、ごめんなさい」と笑顔を絶やさず言った。

「でも、大ママも言ってるんだけど、ユリさんは同等と認められてるの」と嬉しそうに微笑んだ。

『さすが、ユリさん』と正直に言った、ハルカも笑顔で頷いた。

「そして、次世代の候補がリアンさんと、ユリカさんって人なのよ」

「この2人は因縁があって、リアンさんがPG出身・ユリカさんが魅宴出身で同じ歳なの」

「この四人を四天女って夜街の関係者は呼ぶのよ」とハルカが説明してくれた。


『ユリカさんって、どんな感じの人?』と興味津々光線をハルカに当てた。

「ん~、表現するの難しいな~」と考えて。

「こう呼ばれてる・・動のアスカ・情のユリ・炎のリアン・水のユリカってね」と言って笑った。

『なるほど~、3人は良く分るよ・・・水ね~』と私が考えてると。

「いつか会えるよ、あなたなら」とハルカが微笑んで、「その時、感想を聞かせてね」と笑った。


【炎のリアン】まさにその通りだと思っていた、だがその時の私には色が分らなかった。


蘭の青い炎は、マダムの言葉だが納得できた。


蘭の炎はその時に強く燃え、全てを溶かし、暖かく柔らかい感じだった。


リアンの炎は常に燃え、自分も焼かれながら、全てを焼き尽くすような感じだと。


その強い魔性の炎に、人は魅入られるのではと思っていた。






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