燃焼
完全燃焼できたと実感できる時は、本当の幸せを感じる。
生きるための力だけを残して、燃え尽きてみたい。
降り注ぐ光の中をゴーストタウンの駐車場に、慎重にゆっくりと入っていく。
「赤玉嫌い、狭いから」と美冬はふて腐れた表情で、誘導のオヤジを見ている。
美冬は何度か切換えして指定の場所に止めた。
外に出ると夏の暑さが迎えてくれた。
「何食べる?」と手を出しながら、美冬が笑顔で聞いた。
『肉』と笑顔で返した。
「水槽、私も行きたい」と可愛く微笑んだ。
『水槽で肉』と微笑んで返した。手を繋いで2人で歩いた、灼熱の道を。
「蘭姉さんの事、好きなの?」美冬は高菜ピラフを食べながら聞いた。
『やめろよ、照れるだろう』と私はチキン南蛮を食べながら、照れる振りをした。
「なんか素敵ね~」と可愛く笑った。
『まぁ、片想いですから』と微笑んだ。
「そうでもないでしょっ」と微笑んで返してきた。
『美冬は、何が専攻なの?』と聞き返した。
「教育学部よ、先生になるのだ」とニッで返した。
『そりゃ、受け持ったクラスの男子はラッキーだね』とニヤで返した。
「私も、そう思うよ」とニヤをして、「中学教師に変えようかな~」と微笑んだ。
『俺みたいに、いかした奴はいないよ』とニッで返した。
「あんたのような奴が、あと一人でもいたら、驚きやわ」ど微笑んだ。
美冬がご馳走してくれ、PGに着いたのが2時を過ぎていた。
TVルームには誰もいなかった。
「さっ、やるかね」と言った美冬の隣に座った。
「私達のは基本だけでいいから」と言って初めた、私は書きながら美冬の長い指を見ていた。
「おはようございます、美冬姉さん」と言ってハルカが入ってきた。
「おはようハルカ、大変やわ不良少年に教えるの」と笑顔で言った。
『意地悪言った』と美冬をニヤで見た。
「今夜、伝えて」とニヤで返された。
『俺、素直だから』とニッで返した。
「まだ、心の準備がまだ」と慌てた。
『案外、意気地無しだな~』と微笑んだ、ハルカが不思議そうに見ていた。
「美冬姉さん、なんかされました?」とハルカが聞いた。
「裏階段の踊場で迫られた、私が可愛いからしょうがないけどね」と可愛く微笑んだ。
「今日の報告会が楽しみね」とハルカが私を見てニヤを出した。
「あれがないと、寝つきが悪いからね~」と美冬もニヤで見た。
『意地悪リストに美冬2回、ハルカ1回と足しとく』とニヤで返した。
「誰がトップ?」と美冬が楽しそうに聞いた。
『カスミが断トツだったけど、胸で-10が入ったから接戦だよ』と笑顔で返した。
「あの胸は破壊力あるな~」と美冬が微笑み。
「よく死ななかったよね」とハルカも笑顔になった。
美冬が帰って、ハルカと予約確認をしていたら、マダムがやってきた。
「ハルカ、浴衣買いに行くよ」とマダムがハルカに言った。
「えっ」とハルカがマダムを見た。
「蘭のとこ寄って言っておくかい、TVルーム頼む」とマダムが私を見て歩き出した。
『了解』とマダムの背中に声をかけた、ハルカが慌ててマダムを追いかけた。
TVルームに行くとユリさんとマリアが来ていた。
「やっぱり、ペチが効いてたみたいね」と薔薇で微笑んだ。
『一生もんのペチでした』とマリアを抱きながら笑顔で返した。
「さて、お願いがあるの、ハルカの実家に電話してくれる代わるから」と微笑んだ。
『それでいいですか?』とTVルームの電話を見た。
「もちろん」と薔薇で答えた、私はマリアを降ろしポケットの紙を出した。
数回のコールで、母親がでた。
私は先日のお礼を言って、ユリさんに代わった。
電話の内容は、ハルカに内緒で明日の夜来店できないか。
父親にハルカの最初の指名をしてほしいと、丁寧にユリさんが話した。
母親は感謝して、承諾したようだった。
私はマリアと静かに遊んでいた。
ユリさんはホテルは用意すると言って、夕食をマダムと4人で食べる、約束をして受話器を置いた。
「明日、○○ホテルの8階を用意したから、そこで花火を楽しんで」と大淀川沿いの、花火大会には最高のホテルの名前を告げた。
『よくとれましたね、花火の日に』と笑顔で返した。
「たまには、交友関係も使わないとね」と嬉しそうに微笑んだ。
『なるほど~、納得です』と笑顔で返した。
「そこに、ハルカのご両親に泊まって頂くの、多分ハルカもね」と微笑んだ、圧倒的優しさだった。
『俺はニヤニヤしながらハルカを見て、花火が終わったら連れて帰ればいいんでしょ』と笑顔で聞いた。
「ニヤ位にしてね、あの子割と鋭いのよ」と楽しそうに笑った。
マリアが私の腕の中で眠っていた、天使の寝顔で。
『ユリさん俺気になってる事があるんだけど』とユリさんを見た。
「なにかしら?」と微笑んで私を見た。
『蘭と泊まった時、俺に謝る事があるって』と問いかけた。
「ごめんなさい、そうだったわね」と少し真顔になった。
「PGにあなたを置く事に決めたのは、私なの」私は頷いた、「でもね、そうするとあなたから奪う物もあるのよ」真剣に優しく。
「あなたは、将来お酒を飲むようになっても。
どこに行ってもお客としては楽しめないの。
どうしても、内側に入ってしまう。
そして女性もそれを望んでしまうの。
だから、その楽しみを奪ってしまった事を。
お詫びしようと思ってたの」と優しく告げてくれた。
『良かった、俺はその方がいいよ。
キングと魅宴で話してた時に、お前が今の気持ちを忘れなければ。
本当の帝王になれるって言ってくれたんだ。
ユリさんの今の言葉で、少し分ったよ、ありがとう』と笑顔で返した。
「私が現役のうちに、その姿を見せてね」とユリさんも薔薇で微笑んだ。
『ユリさんがマダム位になるまでには』と笑顔で返した。
「じゃあ私も、1つお願いきいて?」と微笑を絶やさずに。
『なんでしょう?』と笑顔で聞いた。
「蘭とどんな未来があっても、3人娘の兄でいてくれるって」と優しく言った。
『駄目と言われてもなります、なってますかな』と少し照れて言った。
ユリさんの薔薇に包まれていた、やはり比べようのない圧倒的存在だった。
最高で最良の憧れの存在だった。
ユリさんが準備に行き、私は床でマリアの横で知らぬまに寝ていた。
「ウミ」と言ったマリアの声で目が覚めた。
ウミがマリアを抱き上げていた、嬉しそうに。
『マリア、ウミにおんも連れてってもらいな』とマリアに言った。
「おんも」とマリアがウミに、天使の微笑で催促した。
「いいの?」と嬉しそうに聞いた。
『絶対に離さなければね』と微笑んだ。
「離すわけないよ」と言いながら出て行った。
私は四季のサインの練習をしていた、マダムとハルカが帰ってきた。
「ウミ姉さん、下で本当に嬉しそうだったよ」とハルカが笑顔で教えてくれた。
『さぼりたくて、押し付けたよ』と笑顔で返した。
エミ・ミサが来てマリアも帰ってきた。
ウミが三人と遊んでいたら、ユメが来て一緒に遊びはじめた。
私は四季の識別サインを練習していた。
《これだけは間違えられん》と思いながら。
「なんか、TVルームが最近楽しそうでいいね~」と松さんが入ってきた。
ユメ・ウミが笑顔で挨拶していた。
「おっ、いよいよ四季かい」と松さんが笑顔で私に言った。
『四季は難しいよ、後姿じゃ誰かも分らんし』と笑顔で返した。
「誰なら後姿でわかるんや?」と松さんが聞いた。
『トップ4とカスミかな』と笑顔で答えた。
「やっぱり、カスミは特別なんだ」とウミがニヤで言った、エミが私の前に立って私を見た。
『それと、エミとミサとマリア』とエミを見て言った。
「うん」と言って遊びに戻った。
松さんと、ユメ・ウミが笑顔で見ていた。
松さんにTVルームを任せて、指定席に座った。
静寂のフロアーを見ていた。
【完全燃焼しないと楽しめない】と言った、蘭の爽やかな笑顔を思い出していた。
「なんか、フロアーマネジャーらしくなるね」と後ろから声がした。
『おはようございます、大ママ』と振向いて頭を下げた。
大ママとマミとユリさんが立っていた。
『この時間が一番好きなもんで』と大ママに笑顔で言った。
「私もだよ、今でもな」と笑顔で返した。
「マミ、これがPGだよ、これが新しい感性のクラブだよ」と大ママがマミを見た。
「はい、少し明るい雰囲気ですね」と笑顔で答えた。
「そう、そして女性も違う感覚でやってるよ」と大ママがフロアーを見ながら言った。
「お前は幸せや、それを間近で見れるんやから」とマミを見た。
「はい、嬉しいです」とマミは笑顔になった。
「マミ、ユリは遠すぎて参考にはならんから、出来るだけ蘭を見ておけよ・・私が今までで一番欲しかった女やから」と私を見て微笑んだ。
『俺じゃないのか~』と大ママを見て笑顔で返した。
「それも、欲しいよ」と笑顔で返された、ユリさんもマミも笑顔だった。
「明日から頼む、花火からな」と大ママが言った。
『2人の思い出がまた増えるね』とニッでマミを見た。
「蘭姉さんに、殺されそう」とマミが微笑んだ、少女の匂いを振り撒いて。
静寂のフロアーが何かの力で、謎の原作者の気まぐれでメンバーを揃えていた。
暑い夏はその上昇を止めず、熱いフロアーの女優達は完全燃焼で応える。
熱に引き寄せられた観客が、今夜も笑顔を見せる。
マミはその純粋な目で目撃する、その後の証言者になるために。
確かに最高の夏の物語だったと・・・。