期待
一度でも逃げたら、もう届かないかもしれない。
自分で諦めたら、消えてしまう。だから強くなろう、優しくなろう。
熱が冷めていく深夜の小さな小部屋で、可愛い小鳥が美しい羽を見せていた。
8つの優しい目に見られながら、笑顔で楽しそうに、嬉しそうに。
「本当にありがとう、話を盛り上げてくれて」とハルカがマリアを抱く私に微笑んだ。
『ハルカ姉さん、モジモジしかしないから』と笑顔で返した。
ハルカが微笑んで、私がハルカを下さいと言った話をしていた。蘭が笑顔で睨んだ。
「特別ボーナス足らんかったな」とマダムが私を見た、『充分です』と笑顔で返した。
皆で下に降りて、マリアをユリさんに渡し見送って、蘭とタクシーに乗った。
蘭が肩に乗ってきて、蘭の香りに包まれた。
「胸ピクごめんね」と微笑んだ。
『そうだよ~、蘭専用だろ』と微笑んで返した。
「自慢したかったんだもん」と舌を出して微笑んだ。
『楽しい?』と静かに聞いてみた。
「怖いぐらい、楽しいよ」と言って目を閉じた。
『怖くないよ』と囁いて蘭の寝顔を見ていた。
タクシーが着いても蘭が起きないので、抱き上げて階段を上った。ドアの前で少し腕の中の蘭を見ながら。
『目を開けなさい、甘えん坊』と囁いた、蘭は目を開けて笑顔になった。
「1日1回はしてもらうんだもん」とニッで言いながら降りて、部屋に入った。
蘭がいつものように、化粧を落としパジャマを着て、ベッドに入った。
「ハルカの水着の感想を述べよ」とニヤで言った。私は電気を消しながら蘭を見て。
『予想以上にスタイルが良くて驚いたよ』とニッで返した、蘭は楽しそうに睨んだ。
「私のビキニ姿と比べたでしょう」と又ニヤを出した。
『蘭を誰かと比べた事はないよ』と少し真剣に答えた。
「よし」と微笑んだ。
「ハルカはやっぱり、私にとっても特別な存在だから」と私を優しく見て、「デートの許可を授与する」と微笑んだ。
『報告会があるからな~』とニヤで返した。
「それは、仕方がないね~」とニヤで返し、「今のPGの終了は最高の気分だからね」と満開になった。
『蘭でも完全燃焼するの?』と聞いてみた。
「もちろん、手なんか抜いたら楽しめないよ」と笑顔で返した、爽やかな顔だった。
『俺、マダムに1つ提案しようと思ってる事がある』と蘭を見た。
「何かな~」と興味津々光線を私に向けた。
『ハルカの最初の指名、お父さんにしてもらおうと。おかしな事なのかな?』と聞いてみた、蘭は起きて私を抱きしめてくれた。
「素敵じゃない、最高だよハルカも絶対喜ぶよ」と囁いて抱きしめてくれた。
『良かった~、マダムに言ってみる』と蘭の耳元に囁いた。
「またボーナスでるかもよ」と微笑んで、「同伴、よろしく」と言いながら寝転んだ。
私は蘭のおでこに手を置いて、少し蘭の顔を見てから目蓋まで下げて。
『おやすみ』と囁いた、「おやすみ」と蘭も囁いて目を閉じていた。
翌朝新聞のポストに落ちる音で目が覚めた、この辺配ってる奴は遅いな~と思いながら洗面所に行って。歯を磨き顔を洗った。
冷蔵庫を覗くと、赤いウインナーがこれでもかって程入っていた。
《修行しろって事だな》と思いながら一袋出して、慎重に切れ目を入れていた。
「板さん、その背中素敵~」と言いながら蘭が起きてきた。
『驚くなよ、今日はタコだぞ』と笑顔で返した。
「それは楽しみだ」と笑いながら、洗面所に消えた。
「タコじゃな~い」と嬉しそうな蘭と2人で朝食を食べた。
『才能だよ』とVサインをだした。
「ねぇ、今度サーフィン教えて」と笑顔で言った。
『いいよ~、厳しいぞ』と笑顔で返した。
「はい、教官」と微笑んだ、「可愛いの揃えよう」と笑顔になった。
『日焼けするよ』と笑顔で返した。
「良いじゃない、PGで目立たなくなって」とニヤで返した。
『確かに』と笑顔で返した、「そうしたら、沢山さぼれるし」と笑っていた。
蘭を見送り、朝の仕事を済ませて、日記を書きながら鼻歌を歌っていたら買い物に行くことに決めた。
10時過ぎにデパートに行き、お店でTシャツを見ていた。
「Tシャツですか?」と背の低い可愛い店員さんに声をかけられた。
『ネイビーブルーってどんな色?』と笑顔で聞いてみた。
「難しい色をお探しね」と微笑んだ。
『それ着て、真っ赤なりんごを頬張るの』とニッで返した。
「りんご?」と考えている顔が可愛かった。
「ちょっと待ってね」と奥に消えて、もう一人の若い定員さんと笑いながら出てきた。
『客商売としては、少し鈍いね』と笑顔で言った。
「ごめんなさい、年上の方とデートですね」と嬉しそうに笑った。
『うん、可愛いやつある?ネイビーブルー』と笑顔で返した。
「えっとね~」い言いながら2人探してくれた。
これ?とかこっち?と言いながら楽しそうに。
「これかな」と決まったらしく私に見せた。
『素敵だ、それ下さい』と笑顔で言った。支払って3人で楽しく話していた。
「もしかして、相手の女性ってすっっっごい綺麗な人?」と小さい方が笑顔で聞いた。
『うん、すっっっっごい、綺麗な人』と微笑んだ瞬間後ろから声がした。
「そりゃ~、私の事だろうね」と言った。
『当然だろ、カスミ』と言いながら振向いた、カスミが不敵な笑みで立っていた。
「うそ、凄いね」と2人が笑顔で言った。
『大した事無いよ、ありがとう』と笑顔で返して、カスミの方に歩いた。
「大した事ないって~」と輝きを放ち笑っていた、美しい笑顔に吸い込まれそうだった。
カスミはその時、真っ赤な下着が見えるんじゃないかと、こっちが心配になるようなミニスカートを穿いていた。
『それは犯罪ですよ』とミニから伸びる長い足を見ていた。
「なんか、去年より背が伸びたみたいなんだよ」と並んで歩きながら笑った。
『足だけ伸びてるんじゃないの』とニヤで返した。
「胸もでかくなってる、知ってるくせに」とニヤで返された。
『何買いにきたの?』と聞くと。
「働き口がないかと思ってね、洋服とか得意だから」と笑顔で言った。
2人で最上階の喫茶店に行った、沢山のお客や店員の視線を集めながら。
『お昼も仕事するんだ』とカスミと向き合って座り聞いた。
「うん、してみたくってね。蘭姉さん見てたら」と輝く笑顔で答えた。
「でも、ミニが失敗だと思って。今度出直すよ」と微笑んだ。
『男が面接するなら、絶対合格だよ』とニヤで返した。
「こないだの、常に別れを覚悟しているってあれ、かなり響いたよ」とカスミが急に真顔で言った。
『事実だから、なんかあの時感情が止まらなくて。蘭に悪いことしたよ』と正直に言った。
「悪くなんかなよ、どんなに嬉しかったかと思ったよ」とカスミが優しく囁いた。
『俺、気にはしないけど・・やっぱり俺が蘭を追いかけるの変な感じだよね・・大人から見ると?』とカスミに聞いてみた。
私はやはりカスミには特別な感情を持っていた、表現できないが存在として特別だと思っていた。
だから、ユリさんにも聞けない事をカスミに聞いたのだ。
カスミが私を見ていた、本当に深く優しい目だった。愛情さえ感じていた。
「他の人は知らない、でも私は凄く期待してる」優しく静かに、「蘭姉さんは絶対に自分に嘘はつかない人だよ」私は頷いた。
「あんたが、どこまで愛せるのか・・そしてどんな結果になって、その時あんたがなんて言うのか」絶対的輝きの中の深い優しさに包まれていた。
「障害は多いだろうけど、もしかして行くんじゃないかってね」
「見たいんだよ、その時の2人の笑顔がね」と優しく微笑んだ。
『ありがとう、楽になったよ』と真顔で返して、『カスミにしか話せないから』と笑顔で言った。
「いつでもどうぞ、家来る権利は永遠だぞ、男がいても追い出すから」と微笑んだ。
『うん、男見に行くよ』と笑顔で返した。
2人でデパートを出たら、カスミが不敵を出しながら手を出した。
私が繋ぐと、「靴見に行こう」と引っ張った。
『それが楽しいのか?』と聞くと、「最高に楽しい」と笑顔で言って歩き出した。
一番街に出ると、タイミング悪く蘭が外の陳列棚を見ていた。
カスミはそれを確認すると、私に腕を回して組んだ。私にニッをしながら。
「いや~ん、そんなに足ばかり見ないで~」とカスミは蘭に聞こえるように言った。
「ほほ~、危ないアベックだ」と蘭が私を見て、笑顔で睨んだ。
「洋服屋で、可愛い店員と楽しそうに話してから、捕まえてきました。隊長」とカスミが微笑み。
「うん、ご苦労」と蘭がニヤで返した。
「今夜も、報告会があって楽しいな~」と蘭が私にニッで言った。
『何もないよ』とニッで返した。
カスミが店に入り、蘭と靴を見始めたので。仕事に行くと言って別れた。
「マダムにハルカの話、しときなよ」と蘭が店の前まで出てきて微笑んだ。
私も笑顔を返して、手を振って別れた。
私はやはりどこかで負けそうだった、苦しかった愛することが。
カスミの存在とその言葉が救ってくれた、逃げるなと強く背中を押してくれた。
そしてマリアが常に私の中に居て、《がんば》と言ってくれていた。何度も何度も。
だから私は逃げなかった、その蘭という存在からは・・・。