決別
何に対しても、決別する事が難しい。
心に残さない事は、不可能である。
別れを決めた心を持ち続け、挫折も後悔も連れて進む。
無意味な時間ではなかったと、いつか思える時が、必ず来ると信じたい。
熱が上がりだした幻想の宴を、蝶達のリクエストを聞きながら見ていた。
その日も10時前には満席を向かえた。
マダムが言っていた、連続満席記録にあと6日と迫ってきた。
「4番の若者3人組、険悪・注意」と千夏さんが言って来た。
『了解、危ない感じ?』と聞いた。
「うん、チェック急いだ方がいいかも」と微笑んだ。
『了解』と笑顔で返した。
リンさんに報告して戻ると、ユメが待っていた。
『何でしょうユメ姉さん?』と聞くと。
「昨日言えなかったから、母さんと仲直りできたよ」と嬉しそうに笑った。
『それは、良かったですね』と笑顔で返した。
「うん、あなたの話通りにしてね」と笑って戦場に戻った。
「6番エコーじゃないと吸わないらしい」と頬を膨らまし美冬が言った。
『エコーか~、すぐ行ってきます』と頬を膨らまして返した。
「よろしく、カスミが2回で四季は0かね」と微笑むから。
『四季は皆幸せそうだから、出番無しです』とニッで返した、美冬は笑顔で戦線復帰した。
私はタバコ屋に走り、カズ君に渡し戻ると、ハルカが休憩していた。
『疲れてるんじゃないの?』と声をかけた。
「まだ、慣れないからね」と微笑んだ。
『少しさぼってていいよ』と笑顔で返した。
「ありがとう、でも満席記録いくね~」と私を見て言った。
『凄い事なんだね』と聞き返すと。
「うん、3年振りの更新だからね」と笑顔で言った、私はハルカを見ながら。
『無理すんなよ、休みあまりないんやから』と言った。
「ねぇ、今度映画に付き合って」とハルカが言った。
『いいよ、俺でいいのかな?』と笑顔で聞き返した。
「あなたじゃないと駄目なの」とニッと笑った。
『第一段階は完璧なんだけどね~』とニッで返した。
「下ネタ苦手」と舌を出した。
『そこが可愛いんだけどね』と笑顔で言った。
「2番の若者が土下座して、やらせろって言う」又きたと思いながら。
『やめとけって伝えて、土下座は大切な人のためにするもんだって』と言って振向いた。
「分かった、言ってくる~」とカスミが笑顔で、小走りに戻った。
数分後。
「8番のおじさんが寝物語するから泊めてって言う」きた~と思いながら。
『やめとけって伝えて、私には死ぬまで寝物語してくれる人がいるからって』と言って振向いた。
「分かった、言ってくる~」と満開笑顔で、蘭が小走りに戻った。
当然応用編が4篇あった。
11時半まで熱は冷めなかった。
終焉を迎えた時は蘭と7人衆は、疲れ果てて10番に座っていた。
サクラさんを送っても、まだ蘭と7人衆が座っていて、蘭が満開で手招きした。
「さ、報告して」とニヤッとした。
「初めての飛行機と、5時間ぐらい手を繋いで」カスミが笑顔で続けた。
「天神抱っこが2km位だった」とカスミが言った。
「お礼は」蘭は笑顔で頬を膨らまして言った。
「あっ、忘れてた」とカスミが私を向き、私の両手を掴んだ。
「よかったね、蘭姉さんのが触れるぞ」と言って引き寄せた。
「あっ、カスミ」と蘭が言った時には、私の手はカスミの豊満な胸の上に置かれていた。
『えっ!』私はあまりの事に固まっていた。
「まだかな?」とカスミが不敵に微笑んだ。
私は慌てて手を離して、恐る恐る蘭を見た。
「なぜすぐ離さない」と笑顔で睨んでいる。
『気が動転して』と頭をかいて照れた、蘭が私の前に立ち。
「んっ」と胸を張った。
『んっ、て言われても』と困っていた。
「生涯一度のチャンスかもしれないよ」と蘭が微笑んだ。
『そうならないように、頑張るために・・とっとく』と笑顔で返した。
「うん、カスミのは忘れてね」とニッとして、「着替えよっ」と笑った。
「本当にありがとう、蘭姉さんとこ追い出されたら、我が家に転がり込んでいい権利を授与する」とカスミは笑って言って、蘭と並んで歩き出した。
「あんたは、もう」と蘭がカスミに言って。
「今夜ぐらい喧嘩していいですよ」とカスミが蘭に微笑んだ。
「喧嘩なんてしないよ」と蘭が満開で微笑んで返した。
「伝説以上になってきたな~」と千秋が言って。
「でも2回ぐらい揉んだよな」と美冬が言い。
「いえ、5回は」とユメが言って、全員が私を見て、笑顔で控え室に戻って行った。
私がTVルームに戻ると、マダムとユリさんと松さんとハルカがニヤニヤしていた。
『見てましたね』と照れた。
「しかし、カスミをどこまで進化させるのかね~」と松さんが私を見た。
『元々持っていて、隠れてただけですよ』と笑顔で返した。
「あなたがいてくれて、本当によかった」とユリさんが薔薇で微笑んだ。
『ラーメン食べに行っただけです』と照れた。
「私の時も、付いてきてくれる?」とハルカが真顔で言った。
『勿論、たとえ蘭が駄目って言っても、ハルカ姉さんが心から望むなら、どこでも行きますよ』と返した。
「いつでも休んでいいぞ」とマダムも真剣にハルカを見た。
「はい、少し考えようと思います」と強く言ったハルカを。
マダムもユリさんも松さんも、優しく見ていた。
「マダム、今夜ハルカ借りていいですか?」とユリさんが微笑み。
「蘭が明日靴屋休みで、蘭とカスミを招待してるので」と薔薇の笑顔で言った。
「ありがとうなユリ、頼む」とマダムも笑顔で言った。
「ハルカ、あなたはカスミから聞くべきです・・あなた達が本当の仲間になるためにも」とユリさんは優しく微笑んだ。
「ユリさん、ありがとうございます」とハルカは頭を下げた。
「遅くなりました~」と蘭が入ってきた、その後ろをカスミが続いた。
「ユリさん、ご招待ありがとうございます」とカスミが頭を下げた。
「ゆっくりと、くつろいでね」とユリさんは微笑んだ、カスミは嬉しそうに笑顔で答えた。
「マダム、ハルカを」と蘭がマダムを見た。
「行くよ、ハルカも」とマダムが蘭を見て。
「蘭、長くいてくれよ頼むから」とマダムが笑った、蘭も微笑みで返した。
タクシーに乗るマダムと松さんを見送ると。
「ハルカ私と行こう、車があるの」とカスミが言った。
「え、嬉しいカスミ姉さんの車って興味ある~」とハルカが笑顔になった。
『意外だから、心の準備しとけよ』と私が突っ込んだ。
「そのイメージ捨てろって言ったろ」とカスミが私を不敵で見た。
『鉄が走るかね~』とニッで返すと。
「3回揉んだくせに」と笑って、ハルカと赤玉駐車場に歩き出した。
「振り返らない方がいいかも」とユリさんも楽しそうな声が聞こえた。
『怖い』と言いながら振向くと、蘭が笑顔で睨んでいた。
ユリさんの家に着いて、私はマリアをベッドに寝かせ、寝顔を見ていた。
カスミとハルカが来た音がして、リビングに戻った。
カスミとハルカが洗面所に行き、ユリさんと蘭で準備をしていた。
皆が揃い乾杯をした、笑顔で始まった。
最初はお客の話で盛り上がり。
私はユリさんが特別に用意してくれた、味噌カツ丼の美味さに感動していた。
「蘭姉さん、ありがとう」と突然カスミが話し出した、和尚に話した歴史を。
ユリさんとハルカに伝えるために、そして過去と決別するために。
ただ一度も涙も震えも無かったのが、私には嬉しかった。
そして今日の決別の話まで来て、隣に座る蘭が、私の頭をヨシヨシしてくれた。
「本当にありがとう、ずっと手を離さないでくれて、抱き上げてくれて」カスミは私を優しく見てる。
「そして、演技でも土下座までしてくれて、あんなに人が通る所で・・初めてだった、自分の内側を抱かれた気がしたよ」と輝く笑顔を見せた。
私は何も言えず、照れていた。
ユリさんと蘭とハルカの笑顔が嬉しかった。
「あなたのあの姿は、絶対に忘れないよ」とカスミが微笑んだ。
『良かった、俺これで良かったのか分からなかったから』と微笑で返した。
「今回は豊君と違うやり方を選択しましたね」とユリさんが私に微笑んだ。
『うん、心にずっとあの牛乳ビンの萎れかけた花があった・・お前のやり方を見せろって、ずっと見ていたきがする』と言ったら、蘭が抱きしめてくれた。
「私が豊君と見つめ合ったとき、多分私が今まで出会った中で。
一番喧嘩とか強いんだろうと思った。
でも全く怖くなかった、目がそう言った。
怖くないよ、何もしないよって・・優しかった。
だから、嫉妬した・・嬉しくて」と笑った。
『カスミ1つ抜けてたぞ』私はカスミを見てニッをして。
『鉄が飛ぶのが信じられなくて、震えてたろう』と笑った。
「飛ぶか、どう考えても無理だ」と笑った顔は輝いていた。
「私も、皆さんに聞いて欲しい事があります・・・」ハルカが前を向いて、あの集中した時の顔で言った。
飛び立つ時が来た、巣から出てパタパタと練習していた小鳥が、今遥かなる大空を見た。
数年後【奇跡の姉妹】と言われる、妹になるための、最後の扉を開くために。
開かねばならない事を、輝く姉が教えた、そこを目指すのならと。
扉の中で待つ、薔薇と青い炎を見るために・・・。