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      【冬物語第六章・・無限のリング③】 

暗黒の世界に向かい、ゆっくりと体は沈んでいた。

目を開ける事は出来たが、それをする意味が無かった。


マキは泥に囲まれてると感じながら、目を閉じて自然の流れに任せていた。

女性達のモニターにもオババの館のモニターにも、マキの映像は映っていなかった。


マキに恐怖感は無かった、イメージの世界だと実感していた。

マキはその時不思議な感覚だったと言っている、懐かしい場所に戻るような感覚だったと。


記憶には無いが懐かしい柔らかさと、温もりに包まれた世界だったと。


マキの足がいきなり自由を取り戻した次の瞬間には、マキの全身は水の中に落ちていた。

マキは焦る事無く水路のような流れに乗っていた、清らかな水がゆっくりと流れていた。


水路の周りはレンガ造りで、1m程の幅で続いていた。

水深は足が届かなくはなかったが、マキは流れに身を任せていた。

この段階でも全てのモニターには、マキの姿は映っていなかった。


「火が灯されてる・・人工的な地下水路に」とマキは独り言を口にしながら、流れる方向を見ていた。


「ユリアはあれからどこに行ったのかな?・・そろそろ羅針盤が出るのかな?」とマキは二ヤで言って、流れに沿って泳ぎだした。


レンガ造りの地下水路は穏やかに流れていて、マキは少し急ごうと思ったのだ。

重要な何かが有ると感じて、水路の先を確認したくなった。


真っ直ぐな水路を進むと、轟音が響いてきた。


「また滝か~・・それもかなりの落差だね~」とマキは二ヤで言って覚悟を決めた。


轟音がかなり近づいて、マキは激しい水流に飲まれた。

一瞬の出来事だった、マキは水路が滝になり落ちる場所まで運ばれた。


水路から投げ出されたマキは、あまりの明るさに目を細めて落下していた。

かなりの滞空時間を感じながら、激しく水面に叩きつけられた。


この瞬間に映像としてマキが戻って、女性達が注目した。


マキは沈みながら、天井の眩しい光を見ていた。

人工的な光だと感じながら、沈み込む動きに身を任せていた。

幻想的な清水越しの屋根の光を見ながら、マキは穏やかな感情を意識していた。

そして着水の衝撃でかなり沈んだ体を、光溢れる水面に向かって泳がせた。


「大きな溜池という感じですね、人工的な」とユリさんが呟いて。

「それも壁や屋根に見事な彫刻が有るね、マキの感じた事は正しかったね~」と律子が笑顔で返した。


女性達は沈黙して頷いて、水面に顔を出して周りを観察するマキの映像を見ていた。


「何だ?・・何の場所なんだろう?」とマキは水面から顔を出して、上空を見回した。


大きな円形の空間だった、水路からの滝は大きな池になっていた。

池の中央には透明の円柱が屋根まで伸びていて、屋根を貫いているようだった。


「あの滝の水が溜まってるんだから、あの円柱は汲み上げてるのかな?」とマキは笑顔で言って、円柱の方に泳いだ。


円柱の側に行くと、円柱に引き寄せられる流れがあった。


「やっぱり・・これで汲み上げてる・・この上は?・・感じた方向的には、神殿の方向だと思ったけど」マキは独り言を呟いて、自分の頭の中の整理をしていた。


「井戸か!・・この円柱は、あの地下の空間に繋がってる・・あの巨大な設備に」とマキは屋根を見上げて言った。


マキは屋根を見上げたまま止まっていた。

屋根には見事な彫刻が施されていて、大切な場所という雰囲気が有った。


「あれが神殿の地下室に続くのか、地下室の装置に」とシズカが呟いて。

「いよいよ本題だね・・鍵をどうしようか?」と後ろから北斗が声をかけた。


本部の女性達が振り向くと、笑顔の北斗と哲夫が立っていた。


「哲夫・・神殿の入口に行こう、それから地下室に行くよ」とシズカが二ヤで言った。

「了解・・いよいよ俺も、シズカ姉さんのフォローが出来る」と哲夫が二ヤで返した。


「2人で大丈夫?・・誰が同行させましょうか?」とユリさんが笑顔で言った。


「ユリさん・・私が行きたいんです」と沙紀が真顔で言った。

本部の女性達は驚いて沙紀を見た、沙紀は笑顔だった。


「沙紀ちゃんが行きたいって言うのを、誰も止められないわ・・この場合は、ヨーコが同行してね」とユリさんが無線で言った。

「了解です」とヨーコが笑顔で返して、ラジコンの操作を恭子に任せた。


「それじゃあ・・ヨーコと沙紀を残して出発の準備をしよう」とミコトが笑顔で返して、女性達が子供達の準備を確認していた。


エミとミサとレイカは、第二の落とし穴のラジコンの映像を見ていた。

ヨーコが本部のテントに戻り、シズカに二ヤを出した。


シズカは武器の装備を背負って、ボスボーグの正面に立つ銀河の3人の姿を二ヤで見て。

透明の円柱を見上げるマキの映像を確認して、本部を後にした。


本部のテントを出ると、哲夫が沙紀の手を繋いでシズカとヨーコの前を歩いた。


「シズカ・・ボスボーグの弱点は分からないよね?」とヨーコが笑顔で言った。


「うん・・今の段階で分かるのは、入力不足という事だけだね。

 銀河はそれを感じて、ボスボーグに指名させようと言ったと思うよ。

 無意味に攻撃すると、ボスボーグは目覚める可能性があるからね。

 攻撃された対応なら入力してるだろうから、攻撃は目覚めさせる行為になる。

 奴は相手によって入力しようと考えてた、だからそれ以上の入力をしてない。

 攻撃しなければ動かない、だけど倒さない訳にはいかないよね。

 羅針盤が出れば奴も復活する、その前に倒さねばならない。

 まぁ・・じっくり時間をかけて、観察してからだろうね。

 なんせ巨大だから、慎重さが必要だよ・・かなりの攻撃力だろうから」


シズカは二ヤで返した、ヨーコも二ヤで頷いた。


沙紀は哲夫と手を繋いで、天文台の前で止まった。

そして絵筆を出して、天文台に向けた。

沙紀は集中して目を閉じて、10秒ほど目を閉じていた。


3人は沙紀のその行動を黙って見ていた、可愛い背中に集中が表れていた。

沙紀は目を開けて笑顔になり、哲夫の手を握り入口を目指した。


「変化が分からなかった・・内部なのかな?」とシズカが二ヤで言って。

「内部だよね・・沙紀にしか出来ないよ、天文台を改造するのは」とヨーコも二ヤで返した。


入口に近づくと、サクラさんとアイさんが笑顔で手招きしていた。

4人は小走りに近づいてモニターを見た、マキが透明の円柱の下に潜っていた。

かなり深い場所まで潜っていて、円柱の入口を探しているようだった。


「哲夫・・ヒノキオに鍵を渡して、急ぐよ」とシズカが二ヤで言って。

「了解」と哲夫が返して、銀のドアの下を掘っているヒノキオに近づいた。


「ヒノキオ、鍵だよ・・ドアの下なのかな?」と哲夫がヒノキオに声をかけた。

「どこにも無いんだ、鍵穴が」とヒノキオが振り向いて返した。


「確かにこのドアには無いね、このドア開かないの?」と哲夫が笑顔で言って、ドアノブに手をかけた。


哲夫がゆっくりと引くと、銀の扉はゆっくりと開いた。

全員が沈黙して見ていた、哲夫が1番驚いていた。


「さすが、哲夫兄貴・・この中に有るんだ」とヒノキオが笑顔で言った。

「さすがだろ~・・実は俺が1番驚いた」と哲夫が笑顔で返して、ヒノキオも笑顔になった。


その映像を見て、ミホが立ち上がった。

私はミホの装備を確認して、二ヤで背中を白く発光する空間に押し出した。


「ミホ、由美子をよろしくね・・ミホの感じたままにやれ、それがベストな選択だから」と私はミホの耳元に声をかけた。


ミホは振り向かずに小さく頷いて、白い発光体の中に入った。


哲夫は鍵をヒノキオに渡し、4人で地下室を目指した。

ヒノキオは銀のドアに入り、白く発光する世界に足を踏み入れた。


ヒノキオが暫く進むと、ミホの姿が見えた。

ヒノキオは笑顔になって駆け出して、透明の壁に激突した。

壁に全く気付いてなかったヒノキオは、強い衝撃で倒れこんだ。


ヒノキオがウルで起き上がるのを、ミホは無表情で見ていた。

そしてミホは指差した、透明の扉を指差していた。


ヒノキオはそれを見て慌てて立ち上がり、ミホの指差す前に立った。

そこには小さな鍵穴があった、透明の壁に穴が空いていた。


「絶対に俺じゃ探せなかったよ・・ありがとう、ミホちゃん」とヒノキオが笑顔で言って鍵を差し込んだ。


ヒノキオが鍵を回すと、鍵が手元から消えた。

そして透明の壁も消えて、ミホが走り出した。


ヒノキオは慌ててミホの後を追った、ミホは迷い無く銀の扉から飛び出した。


「ミホ!」と言ったサクラさんとアイさんに、ミホは駆け寄った。


ミホはサクラさんに私の書いたメモを渡して、本部のテントを指差した。

サクラさんは笑顔で強く頷いた、ミホはそれを見てジープに飛び乗った。


「ミコト、出発を待って・・ミホがメッセージを持って来た、マリとルミのメッセージを」と律子が出発しようとしているミコトに叫んだ。

「えっ!・・了解、全員モニター前に集合」とミコトが返して、女性達と子供達がモニター前に集まった。


サクラさんは、アイさんの運転する小型ジープに乗っていた。

ヒノキオは銀の扉の前で、モニターを見ていた。


ジープから飛び出してたミホは、私が新しくプレゼントしたピンクのリュックを背負っていた。

そしてマシンガンを右手に持って、地下室に向かって走り出した。


「地下室に敵がいるんだ、ミホはそれを感じてる」と幸子が笑顔で言って、全員が地下室の映像を見た。


地下室の真ん中にシズカ達が4人揃って、10体の赤いサルボーグに取り囲まれていた。

シズカとヨーコと哲夫は緊張した表情だったが、沙紀は笑顔でサルボーグを見ていた。


「ミホは隔離できない、どんな強い結界の中でも状況を感じてる・・凄い心だよ」とフネが笑顔で言って。

「自らの全てを閉ざす、その行為は壮絶な戦いですよね・・ミホはそれをやりきっている、生きる為にですよね?」とユリさんが和尚に真顔で言った。


全員が和尚を見た、和尚は笑顔で地下室への階段を下りているミホを見ていた。


「小僧が言うように、ミホは何も閉ざしていない、最も開放してる人間じゃよ。

 ただ表現しないだけ・・表情も言葉も使わず、何も表現しないだけなんじゃ。

 ミホの家庭の事件は、金銭目当ての強盗ではなかった。

 ワシはそれだけは刑事から聞いた・・強い恨みだったと聞いたんじゃ。

 犯人は絶対にミホを見てる、じゃがミホには手を出せなかった。

 幼いミホに手を出すことが出来なかった、自分も娘を持つ親だったんだろうね。

 ミホは犯人と相対している、唯一の目撃者なんじゃよ。


 それがどれ程の衝撃だったのか、誰にも分からん・・ワシも誤解していた。

 ミホの周りの人間は、全員が誤解してたんじゃよ・・小僧の言葉を聞くまでな。

 ミホは目撃者として狙われのを恐れてる、だから自分の表現を抑えている。

 そう思っていた・・じゃがミホに入った小僧はこう言った。

 ミホはその時を待っている、復讐できる時が来るのを・・指折り数えている。

 だから俺は犯人を見て、そして逮捕してもらう・・ミホを犯罪者にさせない。

 小4の小僧はそう言ったんじゃよ、ワシもその言葉を聞いて凍結したよ。


 ミホは心と体の成長を待っている、全ての表現を自分で押さえ込んで。

 楽しみも、喜びも・・全ての感情を押し殺している。

 それがミホの自分で自分に背負わせた、ペナルティーなんじゃよ。

 犯罪者を目指している、自分に対するペナルティー・・小僧はそう思ってる。

 だからミホをこの世界に挑ませるんだ、ミホの笑顔を取り戻す為にね。

 ミホが笑顔を取り戻すとは・・未来の自分を許す事なんだよ。

 犯罪者を目指さない、その証こそが・・ミホの笑顔なんじゃろう。


 小僧はその為になら、全てを投げ打つじゃろう・・ユリカも蘭も差し出すだろう。

 それ程の覚悟がいるんだよ、ミホの心に入るには・・それを見るにはね。

 小僧の言うミホの復活とは、その強い心の開放なんじゃよ。

 小僧はそれを瞬時に感じた、伝達力がMAXの時に出会ったんだからの。

 ヒトミを諦めた時に出会ったんじゃから、ミホの全てを感じたのだろう。

 小僧にとってミホとは、誓いの証なんじゃよ・・死守するべき者なんじゃ。

 絶対に守らねばならん、ヒトミとの誓いこそが・・ミホという存在。


 今の小僧はミホに伝えろと迫っている、由美子に伝えろと叫んでるんじゃろう。

 それはミホにしか出来ない、自分の心と向き合い続けるミホにしか。

 ミホだけは負けんよ、奴には絶対に手が出せない・・ミホは既に罰を選択してる。

 自分の心に罰を与えている・・自分の愚かさを恥じている。

 だが・・人間という存在を愛している、自分で書いた契約書を持っている。

 ミホという人間だけは、奴の世界を超越した場所に存在している」


和尚はミホの映像を見ながら、静かに強く言葉にした。

女性達は沈黙して聞いていた、無線の入る全ての女性達が感じていた。

ミホの強さの根源を感じて、ミホの笑顔が見たいと思っていたのだろう。


その静寂を破ったのは、マシンガンの連射音だった。

地下室の真ん中で、シズカ達4人は赤いサルボーグに取り囲まれていた。

ミホは二ヤでマシンガンを赤いサルボーグに向けて乱射した、サルボーグはミホの方を見た。


「ミホ!」とヨーコが叫んで。

「哲夫・・沙紀を連れて隠れろ、沙紀を頼むぞ」とシズカが哲夫に言った。


哲夫は真顔で頷いて、ミホを見て笑顔になった沙紀の手を引いた。

赤いサルボーグは10体いた、全員がミホの方を見ていた。

ミホは無表情でマシンガンを投げ捨てて、サルボーグに近づいた。


赤いサルボーグは、サングラスの発光を赤に変えた。

攻撃的で危険な色だった、シズカとヨーコはミホを見ていた。


「10対1だぞ、どうするんだ?」と北斗が呟いて。

「接近戦でやるのか、運動能力の優れた奴らと」と大ママが言って。

「それも赤だから、レベルが上のはず・・どうやるの?」と幸子言った。


ミホはシズカとヨーコに下がれと手で示した、シズカもヨーコも頷いて後ろに下がった。

ミホは警戒して動かないサルボーグを見ながら、自らサルボーグに囲まれる位置に入った。

静寂が全てを包んでいた、赤いサルボーグは円でミホを囲み攻撃体制を整えた。


ミホは腕時計のモニターを見た、そのモニターにはマキが映っていた。

女性達もマキの映像に視線を移した、マキはかなり深い場所まで潜っていた。


「あった!・・ここから入るんだ、行くよ~」とマキは言って、透明の円柱に入った。


ミホはそれを確認して、背中のリュックに手を伸ばした。

ミホは背中のピンクのリュックから、ゴールドのロケットランチャーを取り出した。


「それか!・・不要な物を消し去るのか」とフネが叫んだ。


ミホはロケットランチャーの安全装置を解除して、床に向けて構えた。

ミホは赤いサルボーグを見ながら、タイミングを計っているようだった。


赤いサルボーグはジワジワと、ミホとの間合いを詰めていた。

ミホはそれでも引き金を引かなかった、マキは透明の円柱の中の上昇する流れに乗っていた。


赤いサルボーグの体が、ミホに触れるほど近づいた時だった。

ミホは自分の赤丸を左手で指差した、赤いサルボーグはその行動に驚き少し下がった。

ミホはそれを見て微かにミホ二ヤを出して、床に向けて引き金を引いた。


発射されたロケットは床に吸い込まれた、爆風だけが放射状に吹き荒れた。

赤いサルボーグは消滅して、大きな機械を包んでいた鉄板も消滅した。


地下室の装置は剥き出しになり、奥に透明の円柱の最上部が現れた。

透明の円柱は上部から横に分かれて、大きな濾過装置であろう機械に繋がっていた。


「あれだね・・天窓を開けるね」と沙紀が哲夫に言って、絵筆を透明の円柱に翳した。


全員が沈黙して見ていると、マキが浮き上がってきた。

ミホはマキの姿を見て地下室を駆け出した、階段を全速力で駆け上がった。


マキはシズカ達を見て水の中で笑顔で手を振った、4人も笑顔で手を振って返した。


「マキ姉さん、その円柱に天窓を作りました・・羅針盤の鍵を探して下さい。

 絶対にその水路のどこかに有ります、お願いします。

 私は湖に行きますね・・由美子ちゃんが待ってるから」


沙紀は笑顔で無線で言った、マキは沙紀の言葉が無線から響いて喜びの笑顔になった。


「了解・・ありがとう、沙紀・・必ず探し出すよ」とマキが笑顔で返した。


「ヨーコと哲夫で、沙紀に同行して・・私は水路に入る」とシズカが二ヤで言った。

「了解」とヨーコが二ヤで返して、哲夫が強く頷いた。


ヨーコは哲夫と沙紀をを連れて、地下室を後にした。

シズカは透明の円柱の梯子を上り、沙紀の作った天窓から円柱の水に入った。


「勝負場所は3ヶ所・・羅針盤とそれを出す為の鍵と、鍵穴の守り。

 人員の振り分けが最重要・・そう書いてあります」


ユリさんがサクラさんからメモを受け取り、全員に内容を伝えた。


「羅針盤には子供達を連れて行くんですよね、羅針盤を出す為の鍵は水路の中」とミコトが返して。

「不明なのは、羅針盤の鍵穴の場所ですね」と幸子が言って。

「蘭・ナギサの向かう、新たなる道か・・銀河達が進む正面の方向でしょうね?」と北斗が言った。


「まず・・沙紀が帰ってきたら、子供班を出発させましょう。

 北斗がリーダーで、シオンとカレンのコンビで同行する。

 それに恭子とヨーコで大丈夫でしょう、ツインズを戻らせましょう。

 前線基地の横まで戻らせて、合流させます・・それでOKでしょうね。

 問題は他のメンバーの振り分けです、どこを重要視するかですね。

 幸子・・ユリカに報告して、ツインズを戻してもらって」


律子が笑顔で言って、女性達が笑顔で頷いた。

幸子がユリカに連絡して、ツインズは2人で集合場所を目指した。


「ミホはどこに行きました?」とユリさんがモニターとレーダーを見るミチルに聞いた。

「子供ジープに乗って、おとぎの国に戻ったよ・・だからモニターで追えない」とミチルが二ヤで返した。

「ミホは大丈夫でしょう、やるべき事をやる人間ですから」と律子が笑顔で言った、女性達が笑顔で頷いた。


「マサルと中1トリオは、境界線をかなり上がったね・・あそこは4人で良いよね?」と大ママが笑顔で言った。

「そうですね・・水路と正面と蘭・ナギサの3方向ですね」とユリさんが返した。


「ミコトと千鶴は自分の感じた場所を言って、それが重要です」と律子が2人に言った。


「2人で鍾乳洞から川を下ります、お菓子の家の先を見てないので・・川がどこに流れ込むのか、普通なら湖でしょうけど」とミコトが笑顔で返して、千鶴が笑顔で頷いた。

「なるほどね・・2人で良いですね?」とユリさんが返した。

「充分です」と千鶴が笑顔で返した。


「本部はサクラとアイに残ってもらって、大ママと和尚様にお任せしますね」とユリさんが大ママに言った。

「了解」と大ママが笑顔で返して、和尚も笑顔で頷いた。


「それでは私とミチルが蘭とナギサの後を追います、レンとケイコが同行して」とユリさんが言った。

「了解」とレンとケイコが笑顔で返した。


「中央突破は、スナックの女性達でフォローして・・最も罠が有りそうだから」と律子が笑顔で言った。

「了解」とスナックの女性達が返した。


「ハルカとミサキは分かってますね?」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「もちろんです・・泳ぐ場所、マキとシズカに合流します」とハルカが笑顔で返して、ミサキも笑顔で頷いた。


「それでは、私とフネがここでスタンバイしています。

 各班の状況によりフォローします、最終決戦ですよ・・集中してね。

 最後に場所を決めるのは久美子だよ、誘導が強いからね・・感じてる場所は?

 絶対にその設定は有るよ、遠距離狙撃の設定がね」


律子は久美子に二ヤで言った、久美子も二ヤで返した。


「今回は射程距離5kmの弾丸ですから、羅針盤が円盤の位置に浮上すると仮定して・・ここですね」と久美子は地図を指差した。


女性達はそれで笑顔になった、律子は二ヤで頷いた。


「ヒノキオ、戻ってきて・・久美子に同行して」と幸子が無線で言った。

「了解・・沙紀姫様達と戻ります」とヒノキオが返した。


「OK・・全員準備しよう」と大ママが言って、女性達が笑顔で頷いた。


「シズカ・・どっちから行く?」とマキが円柱に入ってきたシズカに言った。

「井戸からだろうね、井戸から鍾乳洞に流れ込む水路が有るだろうから」とシズカが二ヤで返した。


「なるほど~・・ハルカ姉さん、ミサキ姉さん・・鍾乳洞を逆からお願いできますか?」とマキが二ヤで無線で言った。


「水流に逆らえって言うのね・・良いわよ、了解」とミサキが二ヤで無線で返した。

「挑戦的に振るよね~・・自由形の中学記録保持者に向かって」とハルカも二ヤで返した。


マキもシズカも二ヤで頷いて、円柱が曲がる装置の方に泳ぎだした。


「この角度が頂点だね」とモニターからマサル君の声が響いた。


マサル君と中1トリオは、境界線の上を歩いていた。

境界線は左カーブで上昇して、ひねりの最高到達地点に4人は立っていた。


「不思議な感覚ですね、神殿の入口が斜め下に見える」と沙織が笑顔で言って。

「普通なら立ってられないよね、絶対に落ちるよ」と秀美が笑顔で返した。


「重力が下向きに安定してるからね・・さて、飛んでもらいますかね」とマサル君が二ヤで言った。

「やっぱり飛ぶんだ~・・中心に向かって」と美由紀も二ヤで返した。


「そうだよ、それでしか確認できない・・こことあの神殿までの空間の歪みはね、それが出来るのは美由紀だけだよ」とマサル君が笑顔で返した。

「待ってました~・・いよいよ真のヒロインの登場です~」と美由紀が笑顔で返した。


マサル君はベルトから何かを出して、車椅子に取り付けていた。


「沙紀が戻りました、行きます」と北斗が笑顔で言って、シオンとカレンが子供達を集めた。


「エミ・・オババと勝負しておいで、それがオババの望みだよ」と律子が笑顔で言った。

「はい・・自分らしくやってみます、シズカとエースの妹として」とエミは笑顔で返して、テントを出て行った。


私はそのエミの言葉を、オババのリビングのモニターで見ていた。


実は私とマリとルミは凍結していた、オババのリビングにだけミホの映像が映されていた。

ミホは居住区に入って、ボンビをジープの後部座席に乗せていた。


ミホは居住区の白い扉の前に立って、集中して瞳を閉じていた。

そして白い扉のノブに手を伸ばして、白い扉を開けた。

扉の内側は暗黒の世界だった、ミホはそれを見てジープに戻った。


「ドアを開けた!・・それを開けたままで、ボンビを連れて来るのか」とルミが言って。

「ミホは想定などしない・・想定などとレベルが違う、シナリオを書いている」とマリが笑顔で言った。


ミホはボンビの母親を無表情で抱きしめて、何かを伝えて運転席に乗り込んだ。

後部座席に立っているボンビはワクワク笑顔だった、ミホはそれを見てジープを砂漠に走らせた。


居住区の白い扉は開放され、内部は暗黒の世界だった。

ミホは招待状を出していた、最後の切り札の可能性を扉の開放で提示した。


本部にいた女性達は続々と出発した、銀河はボスボーグの正面に立っていた。


蘭とナギサは笑顔で話しながら、鬱蒼と茂る密林の獣道を歩いていた。


誰もが忘れたように見ていなかった、フーはワクワク顔で歩いていた。


フーの少し前を、幼い兄妹が歩いていた。


フーの次の進化が近づいていた、その進化を加速させるリングが近づいていた。


透明の円盤の中では、3人の少女が内線で笑顔で話していた。


透明の円盤の下には、星空を映し出す美しい湖が存在した。


ミホとボンビは夜空を見上げていた、遠くに竜巻が迫っていた。


ソフトクリームの渦巻きを連想させる、可愛い雲が月を隠していた。


月の隠れた夜空と神殿の空間に向かい、美由紀は飛び出そうとしていた。


そして悪意に満ちた水路に、マキとシズカは入って行った。


罠の中に鍵は隠されていた、友情を試す罠が流れで誘っていた。


その罠こそが、新たなるマキの物語だった・・。



















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