【冬物語第六章・・未踏の舞台⑨】
《想定外だった》・・昨年よく、メディアで聞いた言葉である。
想定外だと平気で言う、専門家という人種を見て、私は違和感を覚えた。
《なぜ想定できなかった?・・歴史にはヒントが隠されていたのに》
私はそう思っていた、その部分が言い訳にしか聞こえなかった。
科学を信じ過ぎるから、何かを切り捨てる。
彼らは想定などはしていない、想像しただけなのだと思っていた。
自分の幼稚な想像を科学に付け足した、だから想定などは出来なかった。
人間の無力さを認められない、科学で全てを解き明かせると思ってる人間なんだと。
想定の達人の2人が、暖炉の前のリビングに笑顔で座っていた。
マリもルミも、私の第一候補に興味津々だった。
「生後5ヶ月のアイカの相手ね~・・想定できないね~」とルミが二ヤでマリに言って。
「そうだよね~・・そしてアイカの7人目の可能性を、強く感じるよ」とマリが笑顔で返した。
『その前の大仕事が始まるよ、美由紀とモモカが円形ステージに上がる』と私はモニターを見ながら二ヤで言った。
マリとルミもモニターに視線を戻した、ミホは美由紀の顔を見ていた。
「沙紀・・私はどこに入ればいいの?」と美由紀がステージの前で言った。
「私が出せる船は、小僧ちゃんの空母だけだから。
美由紀ちゃんは、モモカちゃんの手を握って空母をイメージしてね。
安奈ちゃんは私の手を握ってて、私が安奈ちゃんとヒノキオを連れて行く。
モモカちゃんは自分でアルコの側に行くから、そうしましょう」
沙紀は笑顔で言った、美由紀も安奈も笑顔で頷いた。
そして美由紀がモモカの手を握り、ステージに上った。
女性達は全員がモニターの前に集まって、アルコの映像を見ていた。
天文台の中では、ヒノキオが目を閉じて集中していて、由美子は笑顔でモニターを見ていた。
美由紀とモモカがステージに座ると、電光掲示板に【10:00】と出て、その下に【回復率000%】と表示された。
「美由紀・・アルコの精神回復率の勝負だよ、100%がクリアー条件だろうね」とシズカが二ヤで言って。
「それも10分だぞ・・頼むよ、美由紀」とマキも二ヤで言った。
「ほれ・・持って行きな、美由紀」とヨーコがスプレー缶を投げた。
美由紀はそれを受け取り、缶の説明を見て二ヤで頷いた。
美由紀はルンルンモモカを見て、二ヤで瞳を閉じた、モモカも瞳を閉じた。
沙紀はステージの横に座り、右手で安奈の手を握り、左手で絵筆を握った。
安奈はそれを見て、笑顔で瞳を閉じた。
映像のアルコは大きな波に揺られながら、アメジオを強く抱いていた。
アルコの瞳には生気が無かった、荒れ狂う波が全ての希望を奪っていた。
アルコが俯いてアメジオの顔を見ていると、波が穏やかになった気がした。
そしてアルコの耳に、少女の声が飛び込んでくる。
「波さん、お家に帰りましたね~、竜宮城の場所ですから~」と少女の声がした。
アルコは慌てて顔を上げて、声の方を見た。
海面に波は無く、空は快晴の青空だった。
アルコのイカダの30mほど前方に、コントのセットのような小島が浮いていた。
その小島の中心に満開の姉桜が立っていて、その下に小さなモモカ人魚が座っていた。
アルコは久々に遭遇した、生物を見て嬉しかったのだろう。
人魚の姿のモモカに笑顔を向けて、アルコは立ち上がった。
「可愛すぎるよ~、モモカ人魚」とホノカが笑顔で言って。
「さすが小僧の妹のモモカ、あの短時間で・・可愛い人魚のイメージを作り出した」とマキが二ヤで言って。
「モモカを見たら、美由紀がウルウル出すよ・・美由紀は可愛い、竜だからね」とヨーコが二ヤで言って、女性達が笑っていた。
「こんにちわ・・お猿さん、どうしたのでしょう?」とモモカ人魚が笑顔でアルコに言った。
「こんにちわ・・乗ってた船が難破して、この板に乗って流されたんだ。
飲み物も食べ物も無くて、この猿はアメジオって言うんだけど。
喉が渇いて限界なんだ・・何か飲む物を持ってない?」
アルコはモモカに必死に言った、アメジオの為に必死だった。
「それは大変です・・ちょっと待って下さい」とモモカが返した時だった。
快晴の青空が一気に黒い雲で覆われ、稲妻が何本も走った。
アルコが驚いて空を見上げると、何かが空から降りて来た。
アルコが降りてくる物体を、目を凝らして見て、ハッとした表情になった。
「龍だ!・・三択の竜が来た!」とアルコが驚いて叫んだ。
その声を聞いて、美由紀竜は空中に止まった。
「ばば~ん・・そうだよ、私が三択のお竜だよ」と美由紀竜が言った、アルコは固まってるようだった。
「なぜ効果音を入れるんだ・・それに、なぜ【お】を付ける、お竜って」とリアンが二ヤで言った。
「アルコだね・・歳はいくつになったんだい?」と美由紀竜が強く聞いた。
「まだ11歳です」とアルコが真顔で返した、12歳でないことを強く主張した。
「そうか・・だがアルコ、お前は3つから選ばなければならない・・それがお前の運命なんだ」と美由紀竜が返した。
「そうなの?・・運命なの」とアルコは静かに返した、衰弱が強く瞳に表れていた。
美由紀はアルコの表情を見ていた、沙紀はタイミングを計っていたのだろう。
ヒノキオと安奈はアルコの視界に入らない位置で、ヒノキオサンタのソリに有るモニターで見ていた。
美由紀が次の行動に出ようとした時だった、アルコのイカダが大きく揺れた。
海面が盛り上がり、巨大な何かが浮き上がってきた。
美由紀もモモカも驚いてそれを見ていた、見覚えのある巨大な姿が現れた。
「ガジラ!・・深海から今戻ったのか」と蘭が叫んで。
「しまった~・・美由紀自身が行ったから、奴はガジラを出せたんだ」とシズカが叫んだ。
ガジラはアルコの目の前に現れた、ガジラの上昇の衝撃でアルコの乗るイカダがバラバラになり、アルコは海に投げ出された。
「ヒノキオ・・緊急事態、アルコを救助して・・ガジラは私が気を引くから」と美由紀が無線で言った。
「了解」とヒノキオが返して、安奈を乗せたままアルコの場所にトナカイのソリで向かった。
ガジラはモモカの方をゆっくりと見た、モモカはルンルン笑顔でガジラを見ていた。
「ガジラをどうする?・・厳しいぞ」とリアンがユリカに言った。
「アルコとモモカの安全が確保されれば、美由紀がなんとかするよ」とユリカがモニターを見ながら返した。
「あのガジラ・・前回、赤丸を確認してないよね?」とマリが私に言った。
『してないね・・前回は捨て身で沈めただけだったから。
シズカは作戦で想定してなかったね、美由紀が海に飛べばどうなるか。
奴はそれまでの何かを出せる、そして深海にはガジラがいる。
消し去ってない敵のガジラが、深海に眠ってる事実が美由紀の中にあった。
美由紀だからガジラが出せる、その意味を美由紀が気付けば。
女性達の誰かが気付けば、制限時間内に何とかなるかもね』
私はマリとルミに二ヤで返した、ミホは無表情でモニターに集中していた。
「なるほどね~・・対等以上の相手は出せない、そこに気付けって事ね」とルミが二ヤで言って。
「まずは・・アルコとモモカの安全の確保、ヒノキオの勇気が試される」とマリが二ヤで言った。
ガジラはゆっくりとモモカの方に向かった、アルコはアメジオを両手で抱いて水面の上に上げていた。
体力的に限界にあるアルコは、海面に顔を出すだけで精一杯のようだった。
美由紀はガジラの前を飛んだ、ガジラは美由紀を確認して口を開いた。
ガジラの口から白い光線が放たれた、それを必死で美由紀が交わしていた。
モモカはそれを見て、小島から海に飛び込んでアルコの元を目指した。
ガジラの後方から、ヒノキオのソリが迫っていた。
しかしガジラはヒノキオに気付いた、顔だけをヒノキオに向けた。
「お顔がこっちを向きました~」と安奈が笑顔で言った。
「トナカイさん、気をつけて、光線が来る」とヒノキオがトナカイに叫んだ。
暗い空に向かって白く発光する光線が、ヒノキオのソリに向かって飛んでいた。
トナカイは上手く交わしたが、後ろのソリの事まで考えないといけないので難しかった。
「アルコちゃんを連れてきますね」と安奈が笑顔でヒノキオに言った。
「安奈・・駄目だよ、危ないよ」とヒノキオが驚いて返した。
「大丈夫です・・あの光線、遅いから」と安奈は笑顔で返して暗い空を見た。
安奈は白いスーツのままだった、そして右腕を空に向けた。
安奈の体がつま先から銀色に変わっていって、赤い線が全身に走った。
首までが銀の下地に赤の線でデザインされ、最後に胸の赤丸が青く発光した。
「行って来ます・・シュワッ」と安奈が笑顔でヒノキオに言って、猛烈な勢いで飛び出した。
「ガジラの光線を遅く感じるのか・・さすがだね、安奈」とマサル君が笑顔で言って。
「遅く感じるでしょうね、安奈の見えない髭ならば」とハチ公も笑顔で言った。
美由紀は安奈が飛び立つのを見て、必死にガジラの目前を飛んでいた。
ガジラは攻撃の出来ない美由紀を無視して、安奈に狙いを定めた。
アルコはガジラの真下にいた、沈みそうなアルコをモモカ人魚が支えていた。
ガジラは安奈に光線を発射した、安奈は迫り来る光線を見ていた。
「残念・・私はミホの妹だよ~」とアンナは光線に向かい二ヤで言った。
その時だった、ミホがリビングで強烈なミホ二ヤを出した。
そのミホの表情を見て、私もマリもルミも二ヤを出した。
安奈はギリギリで光線を交わして、ガジラの胸元に目掛けて高速で飛んでいた。
そしてガジラの胸元ギリギリで止まって、ガジラを見上げた。
ガジラは長い首を折り曲げて、ウルトラアンナを見た。
「光線を撃ってよ・・あなたのプヨプヨお腹に当たるから」と安奈は二ヤでガジラに言った。
ガジラは動きが停止した、安奈はそれでゆっくりと下がった。
「お見事、安奈・・ミホの作戦、最も安全な場所は敵の懐にあり」とナギサが叫んで。
「よし・・残る問題は、制限時間とアルコの回復・・美由紀、どうする?」とリリーが二ヤで言った。
安奈がアルコを抱き上げて飛び出した、モモカ人魚は海に潜った。
その時点で残り時間が5分を切っていた、美由紀は安奈の背中を見送った。
安奈は光線の届かない場所にいる、ヒノキオのソリにアルコを連れて戻った。
ヒノキオがアルコに水筒を渡し、アルコはアメジオから水を飲ませた。
「あの怪獣は何なの?」とアルコがヒノキオに聞いた。
「諦めさせようとする怪獣だよ、アルコが諦めようとしたから出たんだ。
この前・・ルーベンスの絵の前で、ミロに砂時計を見せた奴と同じ奴さ。
アルコ・・どんな状況でも、どんなに厳しく難しくても。
諦めたら母さんに会う事など出来ないよ、私はたとえあの怪獣でも諦めない。
そして逃げたりしない・・私は戦うべき相手なら、背中を向けたりしない。
挑戦する・・それがどんなに難しくても、厳しい道でもね」
美由紀はそう強く言った、アルコの前のモニターから美由紀の声が響いた。
アルコは美由紀の顔を見ていた、強いアルコの瞳が出ていた。
大岩の電光掲示板は、【04:21】と【回復率075%】と出ていた。
「やっちまいな、美由紀・・作戦は出来てるんだろ?」とセリカが流星二ヤで言って。
「美由紀は気付いてますね、ガジラの現れた意味を・・成長しました、美由紀の奴」とシズカが嬉しそうな笑顔で言った。
美由紀は竜の着ぐるみを脱いで、海に投げ捨てた。
「お前が浮き上がったって事は、自由になったんだよね・・私の相棒も」と美由紀が強烈な二ヤで言って。
「マジ~ン・・ゴ~~」と海に向かって叫んだ。
「それか~」とカスミが二ヤで叫んで。
「出てきて~・・アフロ~、出番です~」とシオンが叫んだ。
ガジラの足元の海面に、無数の泡が浮かんできた。
しかしアフロの影は見えなかった、美由紀は海面を見ていた。
「深海にいたね、アフロ・・時間が無いぞ、深海から間に合うのか?」とリアンが言った時だった。
立ち上る泡の反対側、ガジラの真後ろにアフロの姿が現れた。
美由紀ですら驚いて、美由紀はアフロに向かった。
「Ⅱですか~・・アフロⅡが空母から来てくれたんですね」と美由紀が笑顔で言った。
アフロは見事な輝きで立っていた、ガジラは泡に気を取られて気付いてなかった。
「YUTAKAMAX MAX・・オ~ン」と美由紀が叫んで、アフロの頭部に入った。
ガジラはゆっくりと振り向いて、アフロⅡを見て大きな口を開いた。
「準備できてない・・ちょっと待ちな~」と美由紀が叫んだが、ガジラは光線を発射した。
アフロは美由紀の操作ではなく、自分の意思で両手を光線に向けて翳した。
アフロの両手は手の平からドロドロと溶けていた、美由紀はその光景を肉眼で見ていた。
『てっめ~・・ガジラ、許さないよ・・私の大切なアフロを』と美由紀は叫んで、オッパイミサイルを発射した。
ミサイルはガジラに命中して、ガジラは少し体制を崩した。
だがガジラには大きなダメージは無かった、美由紀は半分ほど溶けたアフロの腕を見て、悔しそうな表情を出した。
アフロは自らの意志のように、溶けた両手をガジラに向けていた。
ガジラはアフロを見ていた、そして光線をアフロの足に向けて発射した。
「足を溶かすのか!・・美由紀に対して、足を溶かすのか」と蘭が悔しそうに映像を睨んで叫んだ。
「美由紀・・動揺してる時間は無いぞ、そんな悪意を相手にするな」と恭子が二ヤで叫んだ。
「この場面で二ヤを出せる・・恭子も怖いね~」と大ママが二ヤで言った。
「お前だけは許せない・・でも時間が無い、まだアルコの回復率は達成していない」と美由紀がグラグラと揺れるアフロの中で考えていた。
「大丈夫なの?・・竜さん」とアルコが心配して言った。
「大丈夫だよ・・私達の世界では、1番強いお姉さんだから」と安奈が笑顔で返した。
美由紀は安奈の言葉を聞いていた、そして静かな笑顔になって、アフロを動かした。
アフロは足をかなり溶かされて、ヨロヨロとガジラに向かって歩いていた。
最後には歩けなくなり、ガジラの前で停止した。
ガジラは目の前にある、美由紀の座るアフロの頭部に向かって口を開いた。
「美由紀!」と女性達が叫んだ。
美由紀はガジラを静かに見ていた、私はその静けさで鳥肌が立った。
「ガジラ・・なめるんじゃないよ、足が無くても動けるんだよ・・もう一度深海に戻れ、ガジラ」と美由紀は叫んだ。
そしてアフロを操作した、足の無いアフロは、美由紀ジャンプでガジラに抱きついた。
「アフロ・・ごめんね、ガジラの弱点が分からない・・時間が無いから、こうするしかなかったの・・アフロ、ガジラを連れて海底まで潜れ」と美由紀は言って、頭部のハッチを開けようとした。
しかし頭部のハッチは開かなかった、美由紀は何度も開けようとスイッチを押した。
アフロに抱かれたガジラは身をよじっていた、しかしアフロは離さずにゆっくりと沈んでいた。
美由紀は焦っていた、上部のシールルドは壊れたように動かなかった。
「くっそ~・・壊れてる」と美由紀は目の前の海面を見ながら悔しそうに叫んだ。
「諦めるなよ・・美由紀、まだ回復率96%だぞ」とマキが強く言葉にした。
「美由紀・・思い出せよ、私のプレゼントを」とヨーコが二ヤで言った。
美由紀はシールドを見上げていた、その時に《コンコン》と音がする。
美由紀が音の方向を見ると、モモカ人魚がルンルン笑顔で右手で何かを表現していた。
「スプレー!・・サンキュー、モモカ」と美由紀が笑顔で返して、腰のスプレーを取り出した。
そして頭上のシールドにスプレーを吹きかけて、ニヤを出した。
「溶けて無くなれ」と美由紀が叫ぶと、シールドは溶けて無くなった。
溶けた部分から海水が入ってきて、美由紀は外に出て海面に顔を出した。
美由紀の目の前には、ガジラの大きな顔があった。
美由紀は凍結していた、ガジラは美由紀を見て二ヤを出して口を開いたのだ。
「美由紀~」と女性達が再び叫んだ。
美由紀は動けないで、ガジラの開いた口を見ていた。
ガジラが光線を発射しようとした瞬間に、ガジラの背後からピンクの大きな手がガジラの口を掴んだ。
「アフロⅠ!」と美由紀が叫んだ、ガジラの背後からアフロⅠが姿を現した。
操縦者のいないアフロⅠは、ガジラの顔を両手で押さえ込んだ。
美由紀を守る為に、自らの判断でそうしていた。
そしてそのまま海の中にガジラを連れて消えた、美由紀は淋しげな表情を出した。
「ユリア・・残り時間と、回復率は?」と美由紀が叫んだ。
《残り40秒、回復率98%》とユリアが強く返した。
「アルコ・・安奈にお前を送らせる、でもアントワープだよ。
ベイノス・アイレスには無理なんだ、アントワープからやり直せ。
出来るよな・・アルコ・・お前なら何度でも、どんな状況でも。
絶対に諦めないと誓うんだ・・今ここで、ミロに誓うんだ」
美由紀は海面に浮かび、静かに強く言葉にした。
「ありがとう、美由紀竜さん・・俺も諦めないよ。
親友のミロに誓うよ、俺も母さんに会いに行く旅を諦めない。
どんな状況でも諦めないよ、あのミホちゃんのように。
アントワープからやり直すよ、もう一度母さんを目指して」
アルコは強く返した、美由紀は笑顔で頷いた。
電光掲示板が、【00:25】と【回復率100%】になった。
女性達が笑顔で拍手した、子供達も笑顔で拍手をしていた。
安奈がアルコを抱いて大空に舞い上がり見えなくなった、美由紀はユリアから成功の言葉を聞いた。
美由紀はモモカを抱いて海を見ていた、深海のアフロを探すように。
「アフロ・、ごめんね・・私も頑張るよ、また会おうね」と美由紀が言った時に、美由紀は天文台の前に戻された。
モモカも安奈も戻り、最後に沙紀が笑顔で目を開けた。
女性達の笑顔にモモカを抱いた美由紀が囲まれた、安奈はリアンが笑顔で抱いていた。
沙紀がユリカに抱かれて、全員に笑顔が咲いていた。
その時、《パキッ》と音がして、天文台の大岩に亀裂が走った。
そしてガラガラと細かく崩れて、由美子とヒノキオが笑顔で手を繋ぐ姿が見えた。
女性達が全員笑顔で迎えた、モニターを見る北斗の笑顔が嬉しかった。
「さぁ・・ステージまでの安全の、最終確認をしましょう。
1班は子供達のジープに集合して、安全確認後報告しますから。
子供達も連れて、7人のステージに来て下さい」
ユリさんが笑顔で言って、神殿の女性達が準備をした。
「了解」とユリカが返して、全員で子供のジープを目指して歩いた。
フーが由美子の手を握り、沙紀と3人で歩いていた。
ヒノキオは美由紀に抱かれ、笑顔を出していた。
ステージの安全確認の女性達は、クモの大群を砂漠に追いやって。
7人のステージの場所に着いた、ステージ以外の場所を確認して、子供ジープに報告した。
子供ジープのメンバーは、笑顔で7人のステージに向かった。
7人のステージの周りを、競技場のように取り囲むような、石段が組まれていた。
女性達は石段に座り、期待の笑顔で話しながら待っていた。
子供ジープのメンバーが7人のステージに着いて、北斗が笑顔で由美子を抱き上げた。
「ユリは仕事がありますから、飛鳥がマリアを抱いて。
ユリカが沙紀を抱いて、リアンがモモカをお願い。
エミは蘭とナギサで挟んで座って、サクラがミサ。
マユがレイカ、アンナが安奈を抱いて座ってね」
律子が笑顔で言って、女性達が笑顔で頷いて座った。
「オババを呼び出すのに、私とフネとユリ。
それにあまり感覚的でない方が良いので、銀河が来て。
それにモモカ・・呼び出しをよろしくね」
律子は笑顔でそう言って、リアンに抱かれるルンルンモモカを抱き上げた。
銀河の3人が緊張しながら升目に入り、残りのメンバーが入り、それを見てモモカが最後に入った。
「オババ・・はじめましょう」とモモカが笑顔で言った。
ステージが《グラッ》と揺れて、ステージの部分だけ50cmほど盛り上がった。
そして女性達の反対側の空間に、大きな青白い炎が立ち上った。
そしてオババ自身が現れた、その瞬間にステージの横にオババの机も現れた。
オババはニヤニヤだった、律子とフネとユリさんは二ヤで返した。
「由美子を連れ出したか・・さすが美由紀だね、最弱の美由紀だよ。
アフロはお前に触れて覚醒したんだよ、沙紀はアフロに心を入れていた。
フーほどは強く入れられなかったが、確かに入っていたね。
その心を覚醒した・・美由紀、それがお前の力だよ・・フーに対してもな」
オババは客席の美由紀を見て笑顔で言った、美由紀も嬉しそうな笑顔で頷いた。
「さてと・・ユリ、いよいよだけど・・やるんだね?」とオババがユリさんに二ヤで言った。
「もちろんです・・その為に来ましたから」とユリさんは笑顔で返した。
「要求は何だね?」とオババが二ヤ継続で聞いた。
「由美子の【言葉の羅針盤】への挑戦権です」とユリさんが真顔で強く返した。
「由美子が賭けで差し出すものは?」とオババも真顔で強く聞いた。
「由美子の・・生体離脱能力を差し出します」とユリさんも強く返した。
「北斗も由美子も、それで良いんだね?」とオババが2人を見て言った。
「もちろん・・それが私の望みです」と北斗が笑顔で返して。
「私も良いですよ~・・言葉の為なら、何でもOKです」と由美子が可愛い声で返した。
由美子の可愛い笑顔と声に触れて、緊張していた女性達にも笑顔が戻った。
「よし・・良いだろう、それではルールを説明する・・7人も客席に戻りなさい」とオババが笑顔で言った。
7人が客席に戻り、モモカは嬉しそうな笑顔のリアン抱かれて、ルンルン笑顔だった。
「今回のこの7人のステージは、マリやルミや小僧の想定の通り。
あの第一の門の開錠の鍵だよ、第一の門の中に羅針盤がある。
それは私が約束しよう・・厳しい設定だが、辿り着く可能性はあるよ。
この7人のステージは、当然・・全勝が条件だよ。
対戦相手はそっちの指名された人間が、ステージに上がれば現れる。
そして勝負内容も制限時間も表示される、敗戦が確定するのは。
このステージを降りた場合、そしてパニックになって戻された場合。
それに意識不明になって動けなくなった場合だよ、他は私が判断する。
武器が必要な時は、沙紀が出すのを許可する。
反則は厳しく判定するからね・・まぁ奴の問題だろうけどね。
それに試合中に私が止める事が出来る、不明な点は【タイム】と叫んでくれ。
私が時間を止めるから、質問をして構わんよ・・それが奴との経験の差だからね。
6人の敵は私も確認してる・・7人目の敵は、奴の自由なんだが。
あまりにも卑劣は場合は、私が設定を訂正するから。
奴は前回のミロの時のペナルティーを、このステージまでは背負っている。
それでも全勝は簡単じゃないよ、プレッシャーという魔物が付いてるからね。
その魔物の力は、このステージに上がると感じるよ・・最強だとね。
私も楽しみにしてる・・少し待ってくれ、準備をするから」
オババは女性達に向かい笑顔で言った、女性達も子供達も笑顔で返した。
オババは机に座り、モニターをステージの上と、ステージの側面に出した。
そして机の上に書類を出して、それを見てチェックしていた。
「そうだね~・・ミコト、ここに来て・・試合内容を確認する役をしてくれよ」とオババが笑顔で言った。
「はい・・ラッキー、特等席」とミコトが笑顔で言って、オババの机に歩いた。
「ミコトの7人目の目は消えたね・・まぁ最初から、1%も無いけどね」と大ママが二ヤで言って、女性達も二ヤで頷いた。
ミコトはオババに招かれ、オババの横に座り、分厚い書類を渡された。
ミコトは真剣にそれを読んでいた、オババが何かを説明していた。
ミコトは笑顔でオババの説明に頷いて、最後に女性達に最強余裕二ヤを発動した。
若手女性達は必死の二ヤで返した、ミコトは余裕の笑顔で受け止めた。
「それでは・・ミコトが納得したので、最初の指名者を発表する」とオババが言うと、モニターに画像が出た。
その画像はマキの予想と通り、蘭だった。
「きた~・・奴も良い所があるじゃない、素直で良い奴だよ~」と蘭が満開笑顔で立ち上がり、ステージに向かった。
蘭は3段の階段を上がり、ステージの上に満開全開で立った。
「それでは・・対戦相手を出す」とオババが言うと、モニターに画像が出た。
2つのモニターには、2人の顔写真の横にこう書かれていた。
【名称:蘭 称号:最高の副職
性別:女性 設定年齢:23歳
身長:158cm 体重:表示拒否
レベル設定
身体能力:100% 知力:100% 感覚100%
性格:明朗活発 特技:車の運転 特徴:お調子者
武器:無し
対戦成績:記録無し。
特記事項:洋に対して、後悔を持っている 】
そう書かれていた、そしてもう1つのモニターには。
【名称:洋 称号:無し
性別:男性 設定年齢:16歳
身長:165cm 体重:61kg
レベル設定
身体能力:100% 知力:100% 感覚100%
性格:内向的 特技:ローラースケート 特徴:思春期
武器:無し
対戦成績:記録無し。
特記事項:思春期の時期であり、自分を表現するのが苦手 】
そう書かれていた、蘭は頭上のモニターを笑顔で見ていた。
どんな形であれ、洋に会える事に喜びを感じているようだった。
「対戦内容は・・察しの通り、洋の悩みを引き出す事だよ・・制限時間は、5分」とオババが言った。
蘭はオババを見て、満開笑顔で頷いた。
その時に蘭の正面のステージに、人影が現れた。
16歳の洋が少し暗い表情でステージに上がった、その瞬間にステージが若草公園に変わった。
教会は存在しなかったが、教会の掲示板だけはベンチの後ろに存在した。
洋はベンチに座って、振り向いて掲示板を見ていた。
その掲示板には、聖母マリアの描かれたポスターが貼られていた。
「カウントダウンをする・・蘭、用意は良いね?」とオババが二ヤで言った。
「いつでもそうぞ」と蘭は満開二ヤで返して、洋を優しい笑顔で見ていた。
私も蘭の笑顔を見て嬉しかった、蘭が乗り越えた笑顔を出していたから。
洋は静かにポスターを見ていた、私も蘭と出会った時の映像が蘇っていた。
女性達は静かにステージを見ていた、マリアが天使全開で蘭を見ていた。
7人のステージ対戦がスタートした、由美子の羅針盤に向かって・・。