逆転
海は全てを受け入れる。
満ちる時に夢を、引く時に思い出までを。
そんなに深くも広くもなれないけれど、受け入れる準備はしておこう。
ぞれがどんなに辛い事でも・・・。
真夏の夕暮れは遅く、陽はまだ霧島山系の上で熱を放出していた。
「満車か~」と青島を走りながら、蘭が呟いた。
青島の駐車場は、海水浴客で全て満車だった。
「ラッキ~と思ってるだろう」と私をニヤで見た。
『残念だな~』と笑顔で返した。
ケンメリは余裕で堀切峠を登り、頂上駐車場でヤングのドッグを2人で食べた。
帰りも快調に蘭はコーナーを楽しむように走った。
「どっちを思い出すんだろうね~、ヤングのドッグ食べる時」と私を見た。
『カスミ』と笑顔で返した、蘭は睨んでいる。
『蘭とは、ずっと一緒にいるからね~』と笑顔で言った。
「うん、よしっ」と満開になった。
アパートに帰り、沢山の荷物を運びいれ。
シャワーをして、デパ地下で買った、珍しい物を食べながらビールを飲んだ。
「それでは、ファッションショーの開幕です」と微笑んで、キッチンに行った。
「どう?」と蘭が次々に着替えて、笑顔で感想を求めた。
『素敵だ』と私は都度、笑顔で返した。
「はい」と紙袋を渡された、中には麻の真っ白なジャケットが入っていた。
「それにPGの紋章付けて、ロッカーに入れときな」と満開で笑った。
『ありがとう』と私は笑って、羽織ってポーズをつけた。
「素敵」と蘭は笑った。
『皇帝らしくなってきた』と笑顔で返した。
その日は早めに蘭をベッドに入らせて、駄菓子屋に泊まった話し【原点回帰 参照】を話した。
「素敵だね~、あんたは本当に強い星を持ってるんだよ。」と私を見ていた。
『うん、蘭に会えたからね』と微笑で返した。
『日曜しか早く寝れないんだから、ゆっくりお休み』と蘭を見ていた。
「おやすみ」と微笑んで目を閉じた。
私は大切な時間をたっぷり楽しんで、部屋に戻り眠りについた。
翌朝、陽の光で目が覚めた、快晴だった。
『おはよ』とキッチンに行った。
「おはよう、ありがとう早目に寝かせてくれて」と満開笑顔で言った。
蘭はさっそく昨日買った、ピンクのワンピースを着て朝食を運んでいた。
私は歯を磨き、顔を洗って、朝食を食べた。
『いいね~、ピンク可愛いよ』と笑顔で言うと。
「ありがとう」と嬉しそうに言いながら、「ホストにはなるなよ」と睨んだ。
『ならないよ、天職だけど』と笑顔で返した。
「確かに天職だよね~、さらっと女が喜ぶ言葉がでるもんね~」とニッをした。
『蘭の時以外は、営業です』とニッで返した。
「よし」と満開で微笑で、返してくれた。
ケンメリを見送り、朝のお仕事(食器洗い・掃除機)をして気付いた。
《チャリがない》バスか~と思いながら出掛けた。
大切なPGの紋章が付いた、ジャケットが入った袋を抱えて。
靴屋の前で蘭を確認しようと思い覗いたら。
「チャ~」とマリアが天使で笑った。
私は駆け寄り抱き上げた。
ユリさんが蘭と靴を見ながら、振向いて微笑んだ。
「マリアを、お願いできる」とユリさんが微笑み「私今からお祭りの打ち合わせがあるの」と言った。
『もちろん』と笑顔で返し。
靴屋の時計を見た、10時40分だった。
『マリアの帽子あります?』と笑顔で聞くと、ユリさんがバッグから出した。
『時間あるから、マリア・・大切な場所で遊んであげる』とマリアに微笑んだ。
「大切な場所って?」と蘭が聞いた。
『若草公園』と笑顔で返すと、二人とも薔薇の笑顔になった。
蘭にジャケットの入った袋を預かってもらい。
マリアと2人で出かけた、光降り注ぐ場所に。
公園でマリアを抱いて、ブランコと滑り台をした。
マリアは楽しそうに、何度もせがんだ。
マリアが砂場で砂遊びをはじめたので、すぐ後ろのベンチに座って見ていた。
陽の光に輝く天使を。
11時30分を公園の時計が指した。
マリアの手を洗って、抱き上げて教会に行った。
掲示板には、マリアのポスターがそのまにしてあった。
『マリア、この人もマリアだよ』と囁くと、マリアはポスターを見た。
「まりあ」と言って、私を見て天使レベル全開にした。
私は元気が充電された。
あの思い出のベンチに一度マリアと座り、靴屋に紙袋を受け取りに行った。
店を覗くと大ママが靴の袋を持って、蘭と談笑していた。
『おはようございます、大ママ』と声をかけた。
「おお」とマリアが天使で微笑んだ。
「おはよ、エース」と微笑み歩み寄り、マリアを抱きながら。
「マリアちゃん、おはよ」とマリアのおでこにキスをした、マリアは笑っていた。
『お買い上げありがとうございます』と蘭から袋を受け取りながら、大ママに笑顔で言った。
「ちょうど一足欲しかったからね、梶谷さんのお礼もかねてね」と笑った。
「いつもありがとうございます」と蘭が笑顔で頭を下げた。
「店に行くのかい?」と大ママが聞いた。
『うん、今から』と笑顔で返した。
「じゃあそこまで一緒に行こうかね、蘭ありがとう」と言った大ママの後に従った。
「ありがとうございました」と蘭が頭を深々と下げていた。
『大ママ、マミ姉さんの指名のこと。本当に俺でいいのかな?』と横を歩き聞いてみた。
「お前が嫌でも、マミはもう変わらん」と微笑んで返してきた。
『嫌なわけないよ』と言って大ママを見た。
「マミは本当に喜んでいるんだよ、お前が舞台を見たいと言って来たことに」と言った、私は嬉かった。
「困りますわ、大ママ引き抜きは」とユリさんが後ろから声をかけた、薔薇の微笑で、。
「今、一番欲しい人材なんだよね~」と大ママは笑顔で言って、マリアを渡した。
「うちもですの」とマリアを受け取りながら、薔薇の微笑みは絶やさずに言った。
「あれは本当の話やったな」と私を見てニヤっとした。
『やめてください』と私は焦った。
「あら、何かしら?」とユリさんが、私を見て微笑んだ。
「ユリと蘭がいるところを離れられんって、私の誘いを断わったんだよ」と大ママが言った。
「嬉しいわ」とユリさんが薔薇の笑顔で私を見た。
『2人とも甘えん坊で、大変だけどね』と笑顔で返したら。
ユリさんと大ママが、楽しそうに笑っていた。
大ママに挨拶をして、PGに向かった。
ユリさんは楽しそうだった。
PGでマダムとハルカも入り、お昼を食べていると、ユメ・ウミコンビが覗いた。
「遠慮しないでお入りなさい」とユリさんが微笑んで、招き入れた。
「すいません、お昼の時間に」とウミが謝った。
「全然構わんよ、約束は守ったみたいやね」とマダムが2人を見て微笑んだ。
「はい、ありがとうございました」と2人は頭を下げた。
「で、なんじゃ?」とマダムが聞いた。
「チャッピー君をお昼の空いてる時間にお借りできないかと」と聞いた。
「ん?」とマダムが2人を見た。
「サインの通しを覚えてもらおうと、蘭姉さんとは出来るので」と真剣に言った。
「そういう事なら、いつでもいいぞ」マダムが嬉しそうに言った。
「ただし、ここでやる時は3人娘の面倒を見ること」と付け足すと。
「ありがとうございます」と頭を下げて、お昼を食べてくると出ていった。
「ゆり、蘭はPGの宝やな」とユリさんをマダムが見た。
「それ、以上です」とユリさんも微笑みで返した、マダムもハルカも笑顔だった。
『ハルカ姉さんも教えてよ』と私はハルカを見た。
「どれを?」とハルカが笑顔で返した。
『誰のお客で、重要度だけでいよ。多分四季も言ってくるから』と笑顔で言った。
「了解、難しいぞ~」と可愛く微笑んだ。
『エミに一緒に覚えてもらって、それを習うかな』と笑ったら。
「エミちゃんなら一回で覚えるからね~」と言いながらハルカがニヤっとした。
『ちょっと制服着ると調子に乗って、先週まで震えてたくせに』とニッで返した。
「女優だから、演じてたのよ」っと笑顔で返してきた。
『うん、第一段階は終了だね』と笑顔で返すと。
「やった~、やっと第二段階になった」と笑った、マダムもユリさんも楽しそうに笑っていた。
「第二段階はなんですか?」とハルカが笑顔で聞くから。
『ハルカが最も苦手な下ネタ』と言ってニヤニヤで返した。
「それは大変ね~、でもその返しが一番重要だから頑張って」とユリさんが嬉しそうに、ハルカを見た。
「はい、頑張ります」と微笑んだ、マダムも笑っていた。
「さすがね、大ママが今一番欲しい人材と言うだけあるわ」とユリさんが私を見て微笑んだ。
『あれは冗談ですよ』と照れた。
「多分、本気よ・・マミちゃんの最初の指名の話も、あなたにしたのは大ママよ」と薔薇で微笑んだ。
「そうじゃな」とマダムも笑顔で言った。
「チャッピーがなったの!」とハルカが驚いた。
『忘れられない男にね』と笑顔で返した。
「うん、絶対喜んでいるよ。それでか~蘭姉さん」とハルカが私を見て微笑んだ、嬉しかった。
『ハルカの1番は、俺がキングに頼んでおくよ』とニッで返した。
「キング??」とハルカが不思議そうに言った。
「梶谷さんよ、梶谷さんをそう呼べる唯一の男なんだって」とユリさんが楽しそうに言った。
「お前が怖くなってきた」とマダムが言い。
「本当に」とハルカが笑った。
食べ終わると、ユリさんがマリアと帰り。
ユメ・ウミが来た。
マダムとハルカは、フロアーの準備に行った。
『よろしくお願いします、ユメ姉さんウミ姉さん』と微笑んだ。
「よろしく・・なんでユメだけに、魔法をかけるのかな~」とウミが笑顔で返した。
『魔法じゃないですって』と返すと。
「私には魔法だったよ」とユメが微笑んだ。
「ほら、早く」とウミがニッとしたので。
『マハリクマハリタ』とやって3人で笑っていた。
【人はいつでも、どんな状況でもやり直せるんだ、どんな時でも逆転はできるんだ】
ある時、私に生臭和尚が言った・・その言葉が蘇っていた。
2人の笑顔は、確かに変わってきていた。
母と和解したのだろうと思っていた。
私は親父と和解できるのだろうかと、家出して初めて親父を想っていた。
逆転に全てをかける、挑戦者の笑顔を見ながら・・・。