表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
386/454

      【冬物語第五章・・間逆の空②】 

客足に平日も週末も差が出ない、不思議な時代だった。

家庭を持ってるオヤジ達でも、当たり前のようにアフター5は夜街に向かった。


タクシーが夜の街から消えるのも、当然の事だと思っていた。

時代は拍車をかけるように、大人達を煽っていた。


その日も人の波が、六本木という不夜城に向かい歩いていた。

衝撃的なアイドルの自殺が、人々の話題の中心になっていた。


芸能人の性であろう、無責任な個人の想定が飛び交っていた。

私はその声が琴美の耳に入らないように、面白話を繰り出していた。


私は琴美と腕を組んで、東京PGのビルに入った。


「東京PGのこのビルって、中が円形で珍しい形だよね?」と琴美が少し酔った笑顔で言った。


私はガラス張りのエレベーターに乗って、5階を押して琴美に笑顔を返した。


『うん・・大型店だけのスペースだよ、2階は有名なディスコだし。

 3階は有名キャバクラで、4階はワンオーナーの高級クラブ。

 1階以外の全てがワンフロアーの区画で、大型店の専門ビルだよ。

 だけど最上階の借り手が付かなかった、難しい設計だったからね。

 通路が長過ぎるんだよ、エレベーターを降りてから外周を歩くから。

 酔った客は遠いと感じるんだ、冷めていくんだよね・・テンションが下がる。

 だから借り手は二の足を踏んだんだ、難しいと思ってしまうからね。

 そんなに新しいビルでもないんだよ、外観は派手で綺麗だけど。

 俺は見た瞬間に気に入ったよ、俺には空間デザイナーが付いてたからね。

 夢と幻想の世界に誘う、回廊をデザインできる2人がいたから。

 ユリさんと話して、即決して借りた・・今でも同業者が見に来るよ。

 回廊の演出の見事さに、感動して帰るよ・・沙紀の描いた世界に』


私は二ヤで言った、琴美も二ヤで返してきた。


「確かに素敵な回廊だよね、ワクワク感が高まっていくよ」と琴美は笑顔で言って、外の景色を見ていた。


エレベーターが5階に付いて、私は回廊の反対側にある、関係者入口の鍵を開けた入った。

東京PGは開店していて、フロアーの音が響いていた。


私は衣装管理担当の、富士子という中年の女性に琴美を預けた。

琴美は嬉しそうな笑顔で、富士子に連れられて女性控え室に入った。


私はフロアーの裏に入って、フロアーの状況を見ていた。


「指名は私じゃなかったね?・・マリだったよね~」と後ろから懐かしい声が聞こえた。

『ルミに決まってるだろ・・俺の指名は』と二ヤで言って振り向いた。


24歳になった美しいルミが二ヤで立っていた、私はルミを見て嬉しくて笑顔で返した。

ルミは高校を卒業して、事務員としてジンの派遣会社に就職した。


ルミはジンの派遣会社の最強のアドバイザーだった、ジンは勝負の決断は先にルミに話した。

ルミは間接的な感想を言って、ジンの迷いを払っていた。

それがどれほど的確なアドバイスだったのか、それを証明したのが。

この時のルミの役職に込められている、当時のルミは企画部長だったのだ。


『ルミ・・感じてたのか、ありがとう』と私は笑顔で礼を言った。

「あんたの事なら感じるさ・・出張は前から決まってたんだよ、明日はローズの宮崎降臨の打ち合わせだよ」とルミが二ヤで言った。


『了解・・ルミ、頼むね・・後で琴美を同調に誘ってよ、フーに会わせたいから』と笑顔で言った。

「もちろん良いよ・・辛い経験したんだろうから」とルミが真顔で言った、私も真顔で頷いた。


ルミが派遣の東京事務所のオヤジと、事務所の方に歩いて行った。

私は視線をフロアーに戻した、セリカの流星が尾を引いて流れていた。


「覚悟を決めて、振り向いて・・今さら私に惚れるなよ」と琴美の声が聞こえた。

『良し・・覚悟ができた、楽しみだ~』と二ヤで言って振り向いた。


23歳の私も想像力の乏しい男だった、琴美は純白のドレスを着ていた。

普段は薄化粧しか出来ない琴美が、本気のメークをされて輝いていた。


琴美は確かに顔立ちが良かったが、真面目過ぎる為であろう、暗く大人しい感じがあった。

それを全て払拭する明るさを出すように、メイクのアーティストが変身をさせていた。


東京PGには私がスカウトした、メイクとヘアーの専属女性が、派遣として4人登録していた。

私がTV局で知り合った、芸能人担当のヘアーとメイク専門家の、助手をスカウトしたのだ。


夜の女性の1人のメークが1000円、ヘアーセットが1000円で始めた。

女性達は大喜びで依頼した、助手と言っても日本のトップの助手なのだから、腕は確かだった。

宮崎から遠征で来る女性達は、その存在が羨ましいと口々に言っていて。

ルミはそれを聞いて、ヘアーとメークの人材を探して、派遣登録して仕事をさせた。


4人の派遣アーティストは、1晩で数万円を稼いでいた。

そのアーティストが、琴美の本質を表現してくれた。

明るい色使いに、目元を強調する表現方法が琴美の心を表していた。


髪はアップにされて、綺麗なうなじを出していた。

23歳になる琴美の、23歳なりの色気が出ていた。


『危なかったよ・・女は魔物だね~』と二ヤで言って、琴美と腕を組んだ。

「今頃気付いたか、スカウトするなよ・・可愛い琴美ちゃんを」と二ヤで返されて、2人で関係者入口から出た。


2人で回廊に入って、玉砂利に囲まれた飛び石の回廊を歩いた。

竹林をイメージした壁側のデザインと、夜景を幻想的に映す桜のデザインが春を表現していた。

私は二ヤで琴美を見ながら、琴美と東京PGの受付に向けて歩いていた。


話を戻そう、砂漠の竜巻の前に。


砂漠に止まった、中型ジープの中で私は二ヤを出していた。

シズカの言葉の通り、マサル君の解答は私にも100点だった。


「マサル先輩・・境界線は何だと思いますか?」とそれまで沈黙していたマリが言った。


「モモカの言った境界線だよね、俺は竜巻の下の赤い線じゃないと思うよ。

 この竜巻の中心に走る赤い線は、奴が作り出したダミーだろうね。

 俺はモモカが好きだから、今でも会いに施設に行くから。

 モモカから聞いたけど・・あの赤い線は、猫の髭が強く反応したんだよね。

 それは自然が作り出した物じゃないからだと思う、だから髭が反応した。

 リアルに大地に走る境界線と呼ばれる線なら、猫なら自然に受け入れる。


 奴が何かを隠すのは境界線だと、モモカが言ったんだよね。

 モモカ自身が俺に分からないと言った、境界線がどこなのか分からないとね。

 俺は今思ったけど・・そこの赤い線じゃないよ、あれはダミーだよ。

 あれを調査しようとすれば、かなりの時間がかかるだろう。

 それが奴の狙いだよ・・小僧がこの世界を抜いて、奴はパニックになった。

 だが奴に出来ることは限られてる、小僧の世界になったんだからね。

 変な演出を入れると、小僧にはそれがヒントになると知ってるから。

 だから惑わせる方法にも注意した、そして小僧を誘う為に・・赤い線を出した。

 赤い線なら小僧は強く反応する、そう想定したね・・危なかったろ。


 奴は応用の利かない回路だから、赤で誘う・・何度も同じ事をする。

 あの赤い線を猫が髭で踏んだらいけないと感じたのなら・・危険な罠だろう。

 境界線というモモカの言葉を純粋に受け取るなら、重力の変換地点。

 上下が変わる場所・・そこが境界線と考えるのが、自然だよ。

 自然が作り出した事なら、自然に考えれば良い・・罠は存在しない。

 奴には手が出せない・・奴は境界線から外には、絶対に出られないんだから」


マサル君はマリに笑顔で言った、マリも笑顔で頷いた。


「重力の境界線なら、そこは無重力・・隠したんじゃない、浮いてるんだね~?」とシズカが二ヤで言った。

『なるほどね・・俺が行って来るから、マサル君がこれを運転して』と私は二ヤで言った。


「どうやる?・・自分の体だけで入るのか?」とマサル君が二ヤで返してきた。

『うん・・その為の青猫だから』と私はヨーコに二ヤで言った。


「もう・・下ネタ銃でしょ」とヨーコはウルで言ってポケットを探った。

「よし・・小僧を降ろしたら、神殿に入ろう・・井戸を見に行こう」とシズカが笑顔で言って、全員が笑顔で頷いた。


私はヨーコから下ネタ銃を受け取って、撮影の為のビデオカメラを背負った。

目の周りを密封するサングラスをかけ、ロープを繋ぐフックを装着して準備を整えた。


マサル君が運転席に座り、シズカが助手席に座った。

私以外がベルトを締めて、マサル君が竜巻の目前までジープを走らせた。


『行って来るよ、祈ってて』とウルで言った、マリも中1トリオもニヤニヤで頷いた。


私はジープの後方から降りて、台車ロボットを出した。

中型ジープは竜巻に入り、舞い上げられて見えなくなった。


私はウルで見送り、轟音が響く竜巻を間近で見ていた。

そして台車のロープに繋がるフックを、自分の胸の前のフックに固定した。


『高度が1200mなら、中心は600m・・最初のロープを止める長さは、500mにしよう』と私は恐怖感を取り除く為に言葉で言っていた。

《怖いんだ~》とユリアのニヤニヤ波動が来た。


『おっ!・・ユリアが戻って来たなら、沙紀は無事神殿に着いたね?』と二ヤで言った。

《うん・・沙紀ちゃん、楽しんでたよ》とユリアは嬉しそうな波動で返してくれた。


『良かった・・勇気出たよ、ユリアが側にいてね・・俺が気絶したら起こしてね』とウルで言った。

《了解・・がんばれ~》と言うユリアの強い波動を受けて、ウル継続で頷いた。


私はロープの乗る台車の重量を、10tにして先に竜巻に入れた。

口と鼻を塞ぐマスクを装着して、気合を入れて竜巻に入った。


竜巻に1歩足を踏み入れた瞬間に、私の体は強力な力で上空に引き上げられた。

私はロープを引っ張りながら、竜巻の外周を猛スピードで流されていた。


『確かに風じゃない、流されてる感じ・・水に流されてる感覚。

 砂が体に当たる以外に、違和感は無い・・引っ張られてる』


私は状況をリアルに残す為に、言葉に出して録音していた。

引く力は徐々に弱まり、私は上空を見ていた。


上空に何かが見えた時に、ロープが張って私の体が止まった。


『ロープは台車から直線で張ってる、今の長さが500m・・50m足してみる』と言葉で言って。


フックに付いている装置を押して50m足した、ゆっくりと引っ張られ浮いている物体に近づいた。


『やはり600mで良い、重力の境界線がある・・竜巻の中心にいる、物体も中心で浮いている・・50mプラス』と言って50m足した。


私の体は海面に浮き上がるように上がり、浮遊している物体の真横に来た。

その物体は細長い三角形が向き合って張り付いた金属で、大きな針のような物体だった。


『この形・・方位磁石の針に似てる、半分が赤で出来てるし・・長さは井戸の直径に近いかな』と私は言って腰の自動測量機を出した。


『計測完了・・問題は下ネタ銃が使えるか、やってみる』と言葉で言って、下ネタ銃を出した。

ユリアの波動がワクワクで来ていて、私はユリアが側にいるので恐怖感は無かった。


『小さくな~れ』と私は言いながら水を噴射したが、無重力で水はかからなかった。

水は水滴になって、私の周りを浮遊していた。


『無重力で無理か~・・準備して出直そう、今からロープを外す・・ユリア、見ててね』とウルで言った。

《怪我するなよ》と言ったユリアのニヤニヤな波動が来た。


『そっか~・・怪我はしないよ、俺の映像だぜ』と二ヤで言葉で返して、ロープのフックを外した。


私は宇宙遊泳のように浮遊して、少しずつ神殿の方に引かれて行った。

足の方から引かれるので、上下の感覚が逆になっていた。


『なるほど~・・上下の感覚が自然に逆になる、自然に補正をされる』と言葉で言って、浮遊の気持ち良さを楽しんでいた。


神殿が眼下に見えきて、井戸の周りと屋根の無いステージの周りに、多くの人影があった。

私はゆっくりと優しく神殿の前に降ろされた、ユリアの波動が拍手をしていた。


『サンキュー、ユリア・・ユリアがいて心強かったよ』と笑顔で言って、井戸に向かって歩いていた。


井戸の周りには、オーディションを受けたメンバーと、沙紀を抱いた笑顔の幸子がいた。

幸子が嬉しそうな笑顔で、沙紀が全員に向かって話している顔を見ていた。


「小僧・・正解だったよ、この上に天文台が乗る・・沙紀が教えてくれた」と美由紀が二ヤで言った。

「でも足りない物は沙紀でも分からないらしい、何か有ったか?」とシズカが二ヤで言った。


『1つは見つけた、方位磁石の針のような物体・・この井戸の直径と近い大きさ』と二ヤで返して、モニターを出した。


全員がモニターの前に集まり、私の映像を二ヤで見ていた。

私は沙紀を幸子から受け取り、沙紀には映像を見せずに井戸に歩いた。


6人娘はフーを連れて、小さな木で出来た遊具で遊んでいた。

私はその時に感じた、木で出来た遊具に神殿との違和感を感じた。


『あの木で出来た遊ぶ遊具は、沙紀が作ったの?』と笑顔で沙紀に聞いた。

「そうだよ・・天文台に由美子ちゃんが来た時に、一緒に遊ぼうと思って」と沙紀が笑顔で返してきた。


『そっか~・・由美子を迎えに行けるのは、フーだけなの?』と笑顔で聞いた。


「やっと聞いてくれたね、もう一人いるよ・・その子は天文台を出せば現れるの。

 お婆さんがそうじゃないと出ないって、教えてくれたよ。

 その子は自然の力で体が出来てるから、内側に現れるんだって。

 沙紀はお婆さんの言ってる事が分からないから、小僧ちゃんに話したかった。

 小僧ちゃんなら分かるでしょ?・・内側の天文台が出ないと出れないの。

 その意味が分かるでしょ・・マキちゃんの時もその子はいたのよ。

 フーが蜂蜜を採りに行った、あの木の影に隠れてたの。

 恥ずかしがりやさんで、マキちゃんを見て恥ずかしかったんだよ。

 でも・・マキちゃんを好きになったから、会いたがってるよね」


沙紀はオババとの話が私に出来て、嬉しそうに笑顔で言った。

強烈なユリアの喜びの波動が何度も来て、女性達がハッとして私を見た。


「ユリアちゃん・・嬉しそうでしたね」とユリさんが私に薔薇二ヤで言った。

『さすがユリさん、かなり感覚が上がりましたね・・正解です』と二ヤで返した。


「ユリアって、誰なの?」と幸子が隣の美由紀に聞いた。

「それはユリカ姉さんの誕生の物語です・・・・」美由紀は物語り調でユリアの話をした、幸子は笑顔で聞いていた。


「ありがとう、美由紀・・しかし凄いね~、中1トリオ・・感動的だよ」と幸子が笑顔で言った。


「幸子姉さんって、感覚の女ですか!・・贅沢です~・・欲張りです~・・我がままです~」と美由紀言葉でウルで返した、幸子は二ヤで返していた。

「確かに・・炎も纏ってるから、贅沢な感じですね~」と沙織が笑顔で言って。

「それに有名な女性ギタリストなんだよ・・叫びの幸子姉さんですよね?・・初めて幸子姉さんの、ステージを見たときに感動しました」と秀美が笑顔で言った。


「ありがとう、後で久美子とセッションするから・・聴いててね」と幸子が笑顔で言った、中1トリオも嬉しそうな笑顔で頷いた。


「叫びの幸子姉さんが、ギターの先生か~・・俺も有名になるな~」と哲夫が二ヤで呟いた。


「哲夫・・また心が言葉に変換されてるよ、そんなんで由美子の世界は大丈夫?」と久美子が哲夫に二ヤで言って。

「困ったもんですね~・・子供だから、下の毛は3本しか無いし」とハチ公がニヤニヤで言って、哲夫がウルウルを出した。


女性達が哲夫のウルで大爆笑して、哲夫は涙目でウルウルを継続した。


「ハチ公は生まれた時から、モジャ男だからね~」とリアンが二ヤで言って。

「でも最近のハチ公は、猫背だよね~」とユリカが二ヤで言って。

「それで鳩胸だし・・生物的な一貫性が無いよ、ハチ」とカスミが最強不敵で言った。


ハチ公はウルウルを出して、女性達の爆笑を煽っていた。


「ハチ公ちゃん、哲夫君に似てきたね・・可愛くなりました」と沙紀が笑顔で言って、ハチ公は嬉しそうな笑顔で照れていた。


女性達は沙紀とハチ公の関係を、嬉しそうな笑顔で見ていた。


「小僧ちゃん・・井戸に台座を作ってね、そうしたら沙紀が天文台を作れるから」と沙紀が私に笑顔で言った。

女性達が驚いて沙紀を見た、シズカの視線が強かった。


『この井戸の上に、台座が乗るんだね・・それを作れば、その上に天文台が作れるだね?』と笑顔で聞いた。


「うん・・そうだけど、ドアは私じゃないの。

 由美子ちゃんが入ると・・ドアだけは、誰かが作るの。

 この前のマキちゃんの時の天文台は、普通のドアだったけど。

 フーちゃんがね、固いドアで開けるのが難しい事もあったって言ったから。

 どんなドアになるか分からないの、それを開ける方法も。

 でも・・由美子ちゃんなら来れるよ・・マサルさんもいるし」


沙紀は笑顔で言った、私も笑顔で頷いた、マサル君はずっと井戸を覗いていた。


「さて・・準備しよう、全てのドアの想定を3人で始めるよ」と沙織が笑顔で言って。

「開かない設定には出来ないのなら、私達が必ず開ける」と秀美が笑顔で言って。

「そして私がステージに立って、ヒロインになるの・・美しい美由紀伝説の始まりだわ」と美由紀が笑顔で言った。


「美由紀、吉本の舞台に立つのか?・・フーとのコンビで」と蘭が満開二ヤで言って。

「落ちは、腹黒い以外にしてね・・あれは反則よ」とユリカが爽やか二ヤで言って。

「爆笑の美由紀伝説の始まりだね・・メカ・エロ・美由紀」とリアンが二ヤで言って、女性達が笑っていた、美由紀はウルウルで返した。


「美由紀ちゃん・・もう一人の生命でない子が出るから、その子もよろしくです」と沙紀が笑顔で言った。

「もう1人いるの!・・生命体以外に、生命を吹き込んだ子が?」とマキが驚いて言った。


「はい・・その子が由美子ちゃんの道案内です、フーがお迎えさんですから」と沙紀が笑顔で返した。


北斗が私に笑顔で近づいて、私は沙紀を北斗に渡した。

北斗は沙紀を笑顔で抱いて、嬉しそうな沙紀を抱いたまま歩いて行った。


「よし・・限界ファイブは、台座製作に集中する・・境界線の部品以外にも何か有る」とシズカが言って。

「成人の日に、天文台の完成を目指すんだよね?」と久美子が笑顔で聞いた。


「そうだよ・・成人の日に、銀河とツインズの美しい晴れ姿を見て・・それで元気を貰って、天文台を完成する」とシズカがカスミに笑顔で言った。

「最強の元気を分けてやるよ・・限界ファイブで、絶対に台座を作れよ」とカスミが最強不敵で返した。

シズカもマキもヨーコも久美子も、笑顔で強く頷いた。


「私達の手伝える事と、準備は?」とナギサが私に笑顔で言った。


『ユリさんとユリカとリアンが、北斗の精神的なフォロー。

 それに大ママとミチルと千鶴にも、今夜お願いするけど。

 自分の店の女性の、無駄な肩の力を抜いて欲しい。

 これは派遣のメンバーにも頼むけど、蘭とナギサにも頼みたい。

 だから蘭とナギサに、幻海に出てもらうから・・よろしく。

 若手は精神的な自分の準備、それに人手が必要な時は台座製作の補助。

 裏方4人組は、6人に選ばれる可能性が強く残るからね。

 四季とツインズは、ネネが中心で引っ張って欲しい。


 アンナと幸子とリリーで、他店の女性の気持ちを安定させる。

 3人が楽しんで仕事をする姿で、若手の女性は精神的に安定する。

 カレンはリアルでの由美子のフォロー、ハルカとミサキもフォローして。

 カスミは当然、リョウの精神状態を感じててね・・攻撃的になり過ぎないように。

 シオンも同じ、セリカを感じてて欲しい・・先走らないようにね。

 そして哲夫・・由美子の心を守りぬけよ、前向きでいさせろ。

 それが最も重要な事だよ、細かくチェックしろよ・・頼んだぞ』


私は意識して笑顔で言って、最後に哲夫に二ヤを出した。


「了解・・任せて」と哲夫が強く返してきて。

「全員、OKですね?」とユリさんが真顔で言った。


「はい」と全員で返して、心を1つにした。


「良い準備が出来そうだね」と律子が私に二ヤで言った。

『律子もフネを頼むよ・・成人の日に誘っておいてね』と二ヤで返した。

「分かってるよ・・フネの力を試したいんだろ」と律子が二ヤで返してきた、私も二ヤ継続で頷いた。


「小僧・・無重力に有る羅針盤の針は、お前とヨーコでやれるか?」とシズカが二ヤで言った。

『大丈夫・・なんとかするよ、青猫だから』と私はヨーコに二ヤで言った。

「あのクルクルを、経験しないといけないの?」とヨーコがウルで言った、私は二ヤで頷いた。


女性達がヨーコに二ヤを出して、井戸の方に歩いた。

私はヨーコの手を引いて、井戸に向かって歩いていた。


「マサル・・どう思った?」とシズカが井戸を覗いていたマサル君に言った。


「シズカ・・計測の仕方が違うよ、これは井戸じゃないだろ。

 満たされた循環してる純水ならば、井戸というカテゴリーじゃないよな。

 これは距離で感じたら駄目なんだよ、深さ・・深度で測るんだろ。

 シズカ・・この世界はどうなってるの?・・それが意味だろ」


マサル君は二ヤで言った、女性達はその言葉の意味を考えていた。


「ここは逆転してる世界なんでしょ?・・重力補正されている、引き離された世界」とユリカが笑顔で言って。

「上が下で、下が上なんですよね・・この世界に、地下ってどこまであるんだろう?」と蘭が真顔で考えた。


「さすがユリカさんと蘭さん・・小僧が好きになる人ですね」とマサル君が笑顔で言った、蘭は嬉しそうな満開笑顔で返した。


「褒められて、蘭が嬉しそうだね~・・マサル、井戸の想定を述べよ」とナギサが笑顔で言った。


「前回の沙紀の世界は、深海まで有りましたよね。

 ならば地下も深く存在するでしょう、この神殿は強引に引き離された。

 地下も浅い地点でもぎ取られてる、だから地下の深い場所は無い。

 この井戸の装置を作ったのは、間違いなく奴でしょう。

 それが上下を逆にする為の条件だった、そう考えるのが自然だと思います。

 でなければ、こんな意味深な装置を作らないですよ。

 井戸の深さが、この世界の深さなんです、その下は無の世界でしょう。

 距離的な感覚で感じたら駄目です、この下は無の世界・・無限だから。


 人はリアルで生きてて、全てに終わりが有ると思ってますよね。

 地球上の全ての物に・・宇宙にさえ、終点が有ると思ってます。

 それは距離を自分で感じたいという、そんな想いだと思うんです。

 マリがよく言うけど・・人間の感じてる無限は、無限じゃない。

 俺もこの言葉は理解できるし、好きな言葉なんです。


 俺は深さは距離じゃないと考えています、平面にこだわってきたから。

 線路を走らせて列車を走らせる、それを好きでやってきました。

 でも・・小僧と出会って、それから退院して・・秋に変化があった。

 俺の線路を妨害する何かが現れて、そいつが色々と妨害工作を出した。

 俺は不思議に思って、小僧に話したくて会いに行きました。

 小僧しか俺の話を聞けないから、それに小僧の感想が聞きたかったからです。


 小児病棟に小僧に会いに行ったんです、そこで出会いました・・ヒトミに。

 そしてマリに出会いました、嬉しかったです・・強い力に出会えて。

 そして俺の遊びに対する、妨害の意味を感じました・・ヒトミに触れて。

 だから誰にも言わずに、自分で妨害と向き合いました。

 楽しかったですよ、クリアーすると妨害のレベルも上がるから。

 俺は前回の沙紀の世界に、ルミに誘われて感じました。

 俺の妨害は由美子の為の訓練だったと、天文台を見た時に感じました。


 この井戸は条件として出された、自然という偉大な力が出した条件。

 大地から引き抜く事で支障をきたす、水の浄化装置を作れ。

 それが自然が奴に出した条件でしょうね、それだけリアルな世界だった。

 沙紀の描いたこの世界は、条件を出されるほどリアルだったんです。

 生命を維持するのに、最も大切な水の存在を譲らなかった。

 奴はその水を作り出すのに、この井戸の装置を作り出した。

 そして周りは砂漠で囲んで、乾いた世界にしたんでしょう。


 ここは沙紀が描いた由美子の生命の源、だから絶対条件の水が有る。

 その水の上に天文台が乗る、それならば台座は何か。

 分かってくるよね、シズカなら・・感じてくるよね、マキならば。

 俺は台座の想定は言わない、それは限界ファイブが感じるべき事だから。

 俺も成人の日にまた来るよ・・5人の解答を楽しみにしてるよ」


マサル君は4人を見て笑顔で言った、4人も笑顔で頷いた。


「マサル君は、学力が高いのですね・・今の言葉で分かりましたよ」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「たいした事ないですよ、今は工業高校に行ってます」とマサル君は笑顔で返した。


「マサル先輩が、健常者として高校に行ったから・・私達も挑戦できます、合格してみせます」とマリが笑顔で言った。

「楽しみにしてるよ、マリ・・マリとルミが、健常者として高校に行くのをね」とマサル君が笑顔で返した、マリも笑顔で頷いた。


この会話は忘れられない、同じ病と診断された、闘う者同士の会話だった。


マサル君の想定の根拠は、イメージの世界の妨害工作が基軸だった。


平地に線路を引く、トンネルも地下も掘って線路を通した。


その作業は設計から始まり、段階を踏んで完成させていた。


人間関係で感じる距離、表現できないが確かにあると思う。


マサル君は言った、それは距離じゃないんだと。


人と人の関係は、距離で測るのでなく・・深さで測るのだと言った。


深い言葉だった・・その言葉の表現に、大切なヒントが隠されていた・・。






 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ