【冬物語第四章・・時の井戸⑱】
雑然としている事が、逆に安心感を与えてくれる。
若者達の楽しそうな笑い声が、同世代の安心感で心地良く耳に入っていた。
琴美は私を見ていた、殻を破ろうと誓った強い瞳だった。
「あの時・・エースは○キコに二ヤ顔で言った、いや煽った。
ステージはどこにでも有る、こだわれば辛いよ。
捨てる覚悟を常に持ってれば、気持ちだけは楽になれるさ。
キープが1番辛い、居場所をキープするのがね。
エースはこう言ったんだよ、この言葉ははっきりと覚えてるよ。
私は○キコが休憩で出てきたから、後を追って2人の事を覗き見してた。
それから・・お金無いんだろ、仕方ないおごってやるって言って。
ジュースを買ってやって・・台風桟橋の話をするんだよね。
○キコのあんな笑顔は初めて見たよ、本当に楽しそうだった。
話が終わってエースは二ヤ顔で言うんだ、意外に意外だねって。
何が?って○キコは返す、エースはニヤニヤで設定するんだよ。
私は設定だと確信した、エースは○キコを知らない振りをした。
歌の衣装を着てる、フリフリ○キコと話してるのに・・設定した。
大人の風船の意味が分かるから、耳年増だね・・可愛いのに。
そんなんじゃ、デビューしたらボロが出るよ・・気をつけてね。
エースはそう言ったんだよ、それがあの時の出会いだったよね。
私はそれを覗き見ながら、二ヤ二ヤしてたよ・・煽りだと感じて。
○キコは気を付けますって笑顔で言って、楽屋に戻ったよね。
私は○キコと楽屋に歩きながら、楽しそうな笑顔を見てたよ。
○キコは独り言のようにこう言った、それだけを教えるね。
キープは辛いか~・・痛い所を突かれたな~。
そう小声で呟いたよ、理解してたんだよ・・何が本題かをね。
同世代の変な男が、ローズを誘ってるのを目撃した。
その時は伝達MAXだったでしょ、そのMAXのまま○キコと話した。
あれは夏の出来事だったよね、エース・・自分を責めないでね。
夏なら気付かないよ・・それは無理だよ、だから責めないで」
琴美は優しくそう言った、私は琴美のこの言葉を美由紀に重ねていた。
それほど素直に入っていた、琴美の言葉に優しさが溢れていた。
私が18で上京して、最も精神的に辛かったのは。
由美子の側にいれない事と、美由紀が側にいないことだった。
由美子は頑張れって背中を押してくれた、私も由美子に対しては何も心配は無かった。
ミホも完全復活して、楽しそうに高校生活をエンジョイしていた。
私は上京して迷いが出た時に、その大きさを知る。
美由紀の存在の大きさを確認させられる、私は美由紀が側にいない覚悟が甘かったのだ。
ユリカは自分の望みとして旅立ったので、私も強い覚悟が出来ていた。
蘭とは当然離れなかったし、5人娘も成長して安定していた。
モモカとマリアの事は常に感じていたし、その淋しさは襲ってこなかった。
私が最も自分で甘かったと感じるのは、美由紀が側にいないという現実だった。
私が精神的にどれだけ美由紀に頼っていたのか、19歳の私はそれを強く感じた。
それを払拭する行為として、私はスカウトに本気になった。
私はローズに出会うまで、ユリカと美由紀の幻影を探していた。
その行為があるカルテットを生み出すのだが、幻影は現れなかった。
ローズに22歳で出会って、幻影を追うのをやめた・・最新型にチェンジした。
やめると現れる、探すのをやめると見つかる・・この世の常なのだろうか。
琴美に23歳で出会うのだ、その心に触れて自然に美由紀が重なって行く。
完璧な健常者である琴美が、強い言葉で主張する姿を見て。
明晰な頭脳が天然の発想をする姿を見て、私は美由紀を重ねてしまうのだ。
私にとってどれほど大切な存在なのかは、美由紀を重ねた事で理解していた。
昨年の年末に琴美と再開するまで、会わなかった期間は18年が過ぎていた。
もちろん互いの携帯番号は知っていたし、年賀状の交換もしていた。
電話でなら何度も話していた、しかし再開するタイミングに恵まれなかった。
それでも一瞬で戻れた、それが私と琴美の絆なのだろう。
東京での出会いの中で、夜の女性以外では、琴美が1番私を理解してくれた女性だった。
琴美だけが私に嘘も誤魔化しもしなかった、だからこの時の私は切望したのだろう。
琴美の心の叫びが聞きたいと、琴美の悲しみを感じてそう思っていた。
私は自分も忘れていた部分の多い、○キコとの初めての会話を聞いていた。
琴美は私が映像を見ないので、この話しをしてくれたのだろう。
自分が1番辛いのに、私の事を想ってくれる琴美を感じて、私は美由紀と重ねていた。
○キコが背中を押すように、琴美は自分の内側に向かう、明晰な頭脳を強引に抑える。
その行為こそが東京物語の主軸になる、20代の私の求める世界だった。
ゆっくりとした流れで書こう、琴美の流れで表現したい。
2つの物語が綺麗に繋がるように、流れを感じながら。
場所を戻そう、人混みの一番街に・・蘭と私が爆笑している場所に。
カレンは可愛いロボット状態で、美少女ウルで固まっていた。
幸子は笑顔でカレンを見ていた、見ている時に表情を真似る事は無かった。
「よし・・カレンは良い子だ、よろしくね」と幸子はここでよろしくと言った。
「はい・・楽しくなってきました、よろしくお願いします」とカレンが笑顔で返すと、幸子がカレンと腕を組んで歩き出した。
「あと30分で終わるから、ダッシュで行くよ・・ナギサの泣き顔と、ウルウルが見たいから」と蘭が満開二ヤで言った。
『楽しみだ~・・華やかウルが咲き乱れるね』と二ヤで返して蘭と別れた。
カレンは裏階段から、幸子と腕を組み上っていた。
私はニヤニヤで後ろを歩いた、幸子と女性達の出会いを期待しながら。
「ハッ、ハッ・・おはよ」と言って、カスミが裏階段を駆け上がって来た。
私はカスミのジャージ姿を見て驚いた、有名メーカーの上下ピンクのジャージを着て、ピンクのスニーカーを履いていた。
首には真赤なタオルを巻いて、真冬の夕方なのに額に汗が浮き出ていた。
『カスミ、どうした?・・肉が付いたか』と私はカスミのジャージ姿に驚きながら二ヤで言った。
「そうじゃない・・ステージに上がる準備だろ、殴り倒す準備だよ」とカスミは最強不敵で返してきた。
「ストップ・・絶対に動くなよ~」と幸子が二ヤで言ってカスミの前に立った、カレンは二ヤを出していた。
カスミは何が起きたのか分からずに固まっていた、幸子は瞳にカスミを映して見ていた。
「OK・・良い物貰ったよ、サンキュー・・私は今度派遣に入った、幸子・・よろしく」と幸子二ヤで挨拶した。
「えっ!・・あっ!・・カスミです、よろしくお願いします」とカスミが我に返り、輝く笑顔で頭を下げた。
「よろしく・・キラキラ笑顔はいらないわ」と幸子は二ヤで言って、カレンと先を歩いた。
カスミはウルを出して、幸子の背中を見送った。
『ねっ!・・凄いでしょ、意地悪No1間違いないだろ』と私はカスミに二ヤで言った。
「なんか変な力がある・・ストップと言われた時、動けなかった・・絶対に盗み出す、ストップ魔法」とカスミは最強不敵で言って、幸子を追いかけた。
『ユリカ・・なんか怖い、幸子の与える影響が・・俺に全部返ってきそう』とカスミの背中にウルで言った。
強いユリカの波動がTVルームの方から来た、私はウルで階段を上った。
「またウルか~・・何があったのかな~?」とドアの前でホノカに腕を組まれた。
『ホノカ、ごめん・・俺は派遣に凄い人を入れてしまった、今から会うけど気をしっかり持ってね』とウル継続で言った。
「ほほ~・・それは楽しそうだね・・それより、私が7人目に選ばれる可能性は?」とホノカが華麗二ヤで返してきた。
『限りなく0に近い、1%未満』と二ヤで返した、ホノカは残念そうな二ヤで返してきた。
TVルームを覗くと、シオンがニコちゃんのまま幸子に固められていた。
マダムと松さんとユリさんに、ユリカとリアンとマリが笑っていた。
私はマリアの熟睡を確認して、気配を消して派遣の事務所に静かに入った。
TVルームからは《ストップ》という幸子の声が響き、その後に女性達の笑い声が響いていた。
私が机で派遣の予定表を見ていると、カレンが笑顔で入ってきてソファーに座った。
『盛り上がってるね』とウルでカレンに言った。
「今、リリー姉さんが来て固まった・・固まってるのに、リングを動かせって言われて、ウルを出したよ」とカレンが二ヤで言った。
『リリーでも固まるのか~・・恐るべし幸子』とウルで返した、カレンは私のウルで笑っていた。
私がカレンと仕事の話をしてると、TVルームが静寂に包まれた。
私とカレンがドアを少し開けて隙間から覗くと、ナギサが入口に立って凍結していた。
「何固まってるの、ナギサ・・それは恐怖なのかい、それとも感動なのかい?」と幸子が華やか二ヤで言った。
幸子の見事な華やか二ヤを見て、若手女性達も凍結していた。
「両方です・・25歳の意地悪な経験者・・伝説の女・・なぜ分からなかったんだろう」とナギサは呟いて、大粒の涙を流した。
幸子は優しい笑顔でナギサを抱いて、ナギサの涙を見ていた。
「ナギサ、ごめんね・・辛い時、側にいてやれなくて」と幸子が優しく言った、ナギサは幸子に強く抱きついて号泣した。
私は幸子の本質を垣間見ていた、瞳の鏡が映す優しさを。
私は事務所のドアをそっと閉め、カレンの嬉しそうな笑顔を見ていた。
「素敵な人だね・・新しい姉さん」とカレンが嬉しそうに言った。
『うん・・蘭とナギサの肩の荷を、降ろしてくれるよ』と笑顔で返すと、カレンも笑顔で頷いてTVルームに戻った。
蘭と北斗とアンナ親子が入った声が聞こえ、TVルームの盛り上がりも最高潮になっていた。
私がソファーでシズカの書いた、地下室の図面を見ていた。
幸子とマリが入って来て、私の前に座った。
幸子が真顔でマリの手を握り、マリは何もせずに幸子の瞳を笑顔で見ていた。
「マリ・・私から入ってみるね」と幸子が言った、私は2人を二ヤで見ていた。
幸子はすぐに同調したらしく、2人は顔の表情だけ動かしていた。
私はマリの手を握り、幸子にステージと7人目の説明をしてと頼んだ。
私が不思議な2人を見てると、ノックの音が聞こえた。
事務所のドアを開けると、シズカが二ヤで立っていた。
私はシズカを招きいれ、私の横にシズカを座らせた。
「同調してるの・・良いの?・・邪魔にならない」とシズカが小声で言った。
『大丈夫・・後で紹介するよ、新しい派遣の幸子・・それで何の話しかな?』と二ヤで聞いた。
「マサル、明日OKだって・・母さんと迎えに行って、ここに来るよ」とシズカが笑顔で言った。
『サンキュー、助かります・・明日は沙紀も検診日で、病院からここに来るから』と笑顔で返した。
「沙紀も乗る小型ジープは、大型ジープよりも揺れが少ないのか?」とシズカが真顔で聞いた。
『感覚的には少ないよ・・それに時間も短い気がしたよ』と笑顔で返した。
「そうだろうね・・沙紀も大丈夫だろう、沙紀が井戸をどうするのか・・楽しみだね~」とシズカが二ヤで言った。
『そこがポイントになるよね、天文台がどうしても欲しい・・沙紀にしかそれは出せないから』と笑顔で返した。
「条件が揃ってれば良いな・・天文台を出すには、絶対に条件が有るよな?」とシズカが真顔で言った。
『有るだろうね・・そこが成人の日の準備のポイント、それを探し出して天文台を作る・・探し出せるのかが勝負だね』と二ヤで返した、シズカも二ヤで頷いた。
私がシズカから地下室の想定を聞いてると。
「幸子姉さん・・シズカさんです」とマリが言葉で紹介した。
「シズカと言います・・小僧の姉で、高1です・・よろしくお願いします」とシズカは立って笑顔で頭を下げた。
「よろしくね、幸子です・・そっか、昔馴染みは小僧って呼ぶんだね、マリもそうだし」と幸子が二ヤで言った。
「はい・・お寺の生臭小僧です」とシズカが笑顔で返した。
「それは素敵だね~・・私も小僧って呼ぼう、夜の女で私だけ」と幸子が二ヤで言った、私はウルで返した。
「ウルしてないで、1回入れてくれよ・・おとぎの国に・・7人目は受けるよ」と幸子が笑顔で言った。
『時間も有るし、良いよ・・幸子、明日病院に行ってみる?』と笑顔で聞いた。
「是非お願いしたい・・北斗姉さんの娘さんなんだろ、私世代には伝説的な憧れの人なんだよ・・今日出会えて嬉しかった」と幸子が笑顔で返してきた。
『了解・・俺は学校があるから、カレンに頼んどくよ』と笑顔で言って、4人でTVルームに戻った。
女性達は円になって話していて、準備万端で二ヤで待っていた。
私はレイカと安奈の登場で起きていた、マリアを抱いて座った。
『先に手を繋いで・・マリをレイカと安奈で挟んで、ユリカと幸子が手を繋いで・・他はご自由に』と私は二ヤで言って、マリアの天使全開を見た。
私は笑顔で女性達が手を繋ぎ、円が繋がったのを確認した。
『幸子が入るのを、リアルでは言葉にしないで・・幸子が立候補してくれたから、7人目に』と手を繋いでマリの同調で言った。
幸子が最強不敵で頷いて、カスミが驚いてウルウルを出した。
女性達がカスミのウルで二ヤを出して、私も二ヤをカスミに送った。
『幸子のお迎えは、ユリカよろしく・・入ります』と笑顔で言って瞳を閉じた。
私はマリアを抱いて入った、その後ろをレイカと安奈と手を繋いでマリが入って来た。
女性達も続々と入り、フーは走り回り抱っこをせがんだ。
幸子がユリカと入るとフーが駆け寄り、幸子が少女のような笑顔で抱き上げた。
私はホノカを誘って、ホノカに映像を見せようとしていた。
「ちょっと待って~・・私達も見せて~」と言ってセリカがマユと流星笑顔で入って来た。
「ストップ!・・止まりなさい」と幸子の大きな声がした。
セリカは驚いて幸子を見て、その場で固まっていた。
「何それ・・リリーよりも反則じゃない、じっとしてろよ~」と幸子が強力二ヤで言って、セリカに近付いた。
セリカは固まったままだった、その後ろでマユがウルを出していた。
女性達は二ヤ二ヤでセリカを見て、セリカが流星ウルを出した。
「表情には関係ないの!・・何それ、コンタクトなの?」と幸子がセリカを舐め回すように見た。
「お姉さまは、どなたでしょう?」とセリカはウル継続で言った。
「へ~・・感情の起伏で涙腺が動くんだ、それで乱反射して流れるんだね・・素敵だね~、絶対に欲しい」と幸子が言った。
その言葉で女性達が集まった、私の横のホノカもセリカに駆け寄った。
「なるほど~・・確かに水分が上から下に流れるね~」とリアンが言って。
「なぜ上から下に流れるの?・・涙じゃない水分が瞳にあるのかな?」とユリカが二ヤで言って。
「瞬きですね・・瞬きで目蓋が水分を持って上がる、それが流れて乱反射する・・要は目蓋の使い方なんだね」と幸子が二ヤでセリカに言った。
「自分では無意識です~・・持って生まれた才能です~・・セリカです、よろしくお願いします」とセリカは美由紀言葉で言って頭を下げた。
「私は今度派遣に入った幸子です・・今後も研究するから、よろしく」と幸子が二ヤで返して、マユと笑顔で挨拶した。
セリカがウルウルでやって来て、私は二ヤで返した。
『ストップ魔法、強烈だろ』とセリカに二ヤで言った。
「まさか!・・リアルでも魔法なの?」とセリカが流星ウルで返してきた。
「そうだよ・・私はリアルでかけられた」とホノカがウルで言った、セリカもマユもウルウルを出した。
蘭が大型ジープを出してきて、女性達が乗り込み城を見に向かった。
アンナと幸子は残り、私は5人にオーディションの映像を編集した物を見せた。
「なるほどね・・マーガレットオババって言うんだ・・子供の頃、夢で見たと思ってたよ」と幸子が二ヤで言った。
「幸子姉さん・・もしかして、感覚的なお方ですか?」とセリカが流星ウルで聞いた。
「超感覚的だよ、私やリアン世代には・・ユリカの後継者と言われてたんだよ」とアンナが二ヤで返した。
「それは素敵です~・・さすが幸子姉さん」とセリカはウル継続で言った。
「必ずものにする・・流れる輝き」と幸子が二ヤで返した。
「確かに・・流星は欲しいですよね~」とホノカが華麗な笑顔で言って。
「流星か!・・小僧が命名したね~」と幸子も華麗二ヤで言った、ホノカはウルを出した。
「楽しくなったね~・・若手の次の進化が楽しみだね」とアンナが私に二ヤで言った。
『楽しみですね~・・どんな進化か』と私も二ヤで返した。
「さて・・真面目な話し、7人目に選ばれたら・・相手は互角じゃないんだね?」と幸子が真顔で言った、4人が私を見た。
『前回のミホは、相手を全く寄せつかなかった・・だから分からない。
でも見た目は互角に見えなかったよ、明日でもその話はマキがするよ。
今度の7人目の設定も分からない、互角以上と思って欲しい。
そして対戦内容も想定できない、心構えだけしか準備できない。
アンナもマユもセリカも可能性は高いかも、幸子はかなり高いし。
俺は誘導はしてるけど、その事自体に自信は持てないんだよ。
だから心の準備はしてね、もちろんホノカも・・よろしく』
私は笑顔で言った、5人も笑顔で頷いた。
ボンビが幸子に擦り寄って、幸子は笑顔で抱きしめた。
5人に由美子の世界の話をしていたら、女性達が戻ってきた。
私達はドアから出て映像を切った、18時前で女性達は食事を始めた。
マユとセリカがゴールドに行き、シズカとマリが帰って行った。
久美子が来てエミとミサが来た、サクラさんとアイさんが覗いて、幸子が嬉しそうに復帰の挨拶をした。
「さすが幸子ですね、緊張感は無いですね」とユリさんが薔薇で微笑んだ。
「実は・・相当に有ります」と幸子がウルで返した。
『幸子らしくもない、今の魅宴の圧倒的なNO1は・・当然ミコトだよ』と私は二ヤで言った。
「煽るよね~・・OK、見せてやるよ」と幸子が二ヤで返してきた。
『頼むよ・・復活の曲を久美子が魅宴で弾くから、完全復活を見せてね』と笑顔で言った。
「サンキュー、それは最高の後押しになるよ」と幸子が久美子に微笑んだ。
「ご期待下さい」と久美子が笑顔で返した、幸子も笑顔で頷いた。
「なぁ、エース・・対戦で格闘は私だけかな?」とカスミが二ヤで言った。
『そうだね・・あと1人かな、その人が選ばれればね・・マキの想定は?』と私はマキに二ヤで振った。
「私もそうだよ・・カスミ姉さん、実は格闘系は楽なんです。
恭子の時のリトル豊は弱かった、それに痛みも対処の仕方がある。
もちろんそれは言えません、オババは全てを読める可能性があるから。
ステージのレベルが上がる可能性がありますから。
奴はリアルでの言葉の情報を受け取るのでしょう、相手の仲間から。
言葉にした事は記憶に残るから、その部分の情報を受け取るのでしょう。
でもそれは相対した時ですから、設定書は今までの情報を元に作る。
奴には分からないんです、格闘系の設定なら相手の力が分からない。
オババも肉体的な力量の想定には自信が持てない、だから弱い相手になる。
相手の最大の武器は、負けた記憶・・恐怖体験の記憶なんです。
カスミ姉さんなら大丈夫です、明日から私もトレーニングに付き合います。
少林寺で良ければ教えますよ、必要無いとは思いますけど。
カスミ姉さん以外の5人、私はその内の3人の想定は自信があります。
その3人とも格闘ではないですね、問題は奴が年代別に選んだ時。
北斗姉さんを1番高い年代として選んでるのか、そこが分かりません。
私はリアルでも北斗姉さんの名前は言葉にします、誘導の手助けになるから。
1番高い年代は別に選ばれる、小僧は多分そう想定してる。
北斗姉さんは年代などの枠とは別枠、由美子の母親ですからね。
小僧は絶対に1番高い年代の人は誘導してます、奴は小僧を中心に相手を読む。
小僧はその人の相手が想定できない、ならば絶対に奴は興味を持つ。
相手が想定できないのに連れて入った、その人なら絶対に格闘でしょうね。
小僧は確実な1勝を積み重ねた・・私もその人の戦う姿が見たいです。
多分・・秒殺でしょうけど・・妹として、どうしても見たいですね」
マキは笑顔で言った、リアンは極炎二ヤをマキに送った。
「マキ、ありがとう・・少林寺教えてくれよ」とカスミが笑顔で言った、マキも笑顔で頷いた。
「マキ・・本当に16歳かい、言葉が美しく流れるね・・凄いよ」と幸子が笑顔で言った。
「ありがとうございます・・幸子姉さんに言われると、嬉しいです」とマキが笑顔で返した。
「マキが2人目だよ、表情を盗めない相手は」と幸子が二ヤで言った。
「そうだろうね、マキは再来だからね」とユリカが幸子に二ヤで言った。
『なるほどね~・・自分より強い炎は真似できない、炎は手に入れたものだから・・素敵な設定だね、幸子』と私も幸子に二ヤで言った。
「なるほどね~、小僧は面白い・・言葉が巧みなだけじゃない、読み取りもかなりのレベルなのか」と幸子が爽やか二ヤで返してきた。
『楽しませてやるよ、幸子』と私は必死の二ヤで返した。
「下の毛が生え揃ってるか、確認するよ・・坊や」と幸子が強力二ヤできた。
私はウルで幸子に背を向けて、俯いて床に指で【の】の字を書く振りをして。
『サッちゃんはね、幸子って言うんだ・・ほんとかな?
だけど幸薄いから、自分の事サッちゃんてよ~ぶんだね。
名前負けだね・・サッちゃん』
私は前日フーを風呂に入れながら作った、替え歌を歌った。
「何だって~・・私のどこが幸が薄いんだ、説明しろ」と言った幸子の声と、女性達の大爆笑が聞こえていた。
私はニヤニヤで俯いていた、その顔を安奈が下から覗いた。
「マリア・・大丈夫だよ、二ヤしてるから」と安奈が言った、私は焦ってウルを出した。
「オネェ・・さちうすいって、何?」とミサがエミに聞いた。
「綺麗な人でも、中々楽しい事に巡り合えない事よ・・綺麗な人だから、そう表現されるのよ」とエミがミサに言って、私の肩に右手を乗せた。
『ありがとう、エミ・・助かりそう、さすがエミ』と私はウルでエミに言った。
「小僧は仲間を集めてるね・・最強の仲間を・・エミの言葉だから、今回は許そう」と幸子が笑顔で言った。
「幸子姉さん・・替え歌、これから何度もやりますよ。
小僧はフーで発見したんでしょう、フーの腹黒いに対する対処法の応用編です」
マキが二ヤで幸子に言った、幸子も二ヤで頷いた。
「しかし誰からでも吸収する奴だな~・・それもフーまで」とカスミが二ヤで言って。
「美由紀とフーの漫才が、由美子の世界で炸裂しそう」とネネが二ヤで言って。
「今回は戻されそうです~・・笑いでパニックになりそうです~」とシオンがニコちゃんで言った。
「あれで中1なんでしょう、凄いよね~・・どんな経験すれば、あの世界に入るんだろう」と幸子が真顔で言った。
『それは明日分かるよ・・壮絶な経験だってね』と私は真顔で返した、女性達も真顔で頷いた。
幸子はステージの映像で美由紀と秀美を見たので、身体的な障害は見てなかった。
幸子は私の表情を読み取り、美しく微笑んで頷いた。
由美子のステージはその夜確定した、オババは二ヤで奴の設定書を見ていた。
私もマキも想定してない、1人が指名される。
幸子の感覚的な能力は、まだ表現されていなかった。
表情を盗む事は、幸子にとってはコミュニケーションの1つの手段だった。
しかし幸子の表情の描写方法を、若手は手に入れようと必死になる。
由美子の世界は動き出した、不思議の国のマキは続編に入った。
由美子を呼び出すために、登場してない大スターがやってくる。
爆笑を振りまいて、美由紀とフーのコンビに火を点ける。
天文台の硬い扉は、内側からしか開かない・・由美子の力じゃ難しい。
それを開く鍵こそ天孫降臨、天岩戸の隠されていた・・。