【冬物語第四章・・時の井戸⑩】
面接という設定は、する側もされる側も緊張感がある。
短時間で人間の何が分かるのかと問われれば、それは何も分からないだろう。
しかし長時間をかける事は、現実的には不可能である。
私は夜の女性から始まって、かなりの職種の面接をする方を経験した。
初めの内は、質問内容を色々と考えたりもした。
だが結果的には、用意した物は無駄になった、面接を受ける側には準備があるのだから。
自分を偽ってるとは言えないが、常識的な良いイメージを作り出してくる。
私にはそれが、良いイメージだとは思えなかった。
対応マニュアルなどを熟読して、面接に望んでくる若者達。
それを否定する事は出来ないだろう、それがこの国の作り出した常識なのだから。
今でも強い主張の無い事が、美徳とされる雰囲気は強く存在する。
私には夜の女性以外の面接は、退屈で眠い時間だった。
だが夜の女性の面接は面白い、個性を主張する女性に出会う事があるから。
最近よく思い出す面接がある、東京PGが起動に乗った時に現れた女性の面接が。
なぜ一瞬で受け入れたのか、その理由が今でも分からない。
その子は18歳で、不良娘の匂いが抜けない、外見は可愛い少女だった。
私は座っている彼女を見た瞬間に、採用を決めていた。
大きなスポーツバックを足元に置いていて、上京したばかりだという雰囲気がプンプンしていた。
緊張して座っていて、同世代の私を見て嬉しそうに笑った。
『面接だね・・身分証明書だけ見せてよ、年齢だけはチェックさせて』と笑顔で言った。
「あなたが面接するの!・・若いね・・卒業した高校の、生徒手帳で良い?」と笑顔で返してきた。
『良いよ・・履歴書はそこに置いといて、ファイルするだけだから』と笑顔で返して、生徒手帳を受け取った。
近畿地方の有名な温泉地出身だった、私は可愛い女子高生の写真を見て笑顔になった。
『経済的に両親を助ける、それとも夢の為に金がいる・・どんな設定が良いの?』と二ヤで聞いた。
「設定?・・そっか、自分の演じる方向だね」と可愛い笑顔で返された。
『そうだよ、夜の選択理由なんて聞いても・・それが真実か分からないでしょ・・年齢だけ事実なら良いよ』と二ヤ継続で返した。
「それなら・・夢を追ってきた、夢にはお金がいるから・・これでお願い」と強く言った。
私はその子の状況判断の速さを感じ、多様に変化する表情を見ていた。
そして自分はどうしてこの子を気に入ってるのか、その自己分析をした。
だが結果は出なかった、ただ彼女の中に必死さが無いと思っていた。
家出だろうと確信していた、それは容易に想像がついていた。
今夜の寝る場所も無いはず、そんな少女は必死になるか投げやりになる。
私は経験上からも、そう思っていた。
しかし目の前に座る、田舎の可愛い不良娘は必死さも投げやりな部分も無い。
可愛く笑い、未来にも将来にも抱えきれない夢を持っている。
若いという大切な季節を、どんな状況でも謳歌してると感じていた。
『了解・・女性同士の関係上は、忘れずにその設定でね』と笑顔で返した。
「そっか!・・要は女性同士の設定が大切なんだね?」と嬉しそうに笑顔で言った。
『そうだと思うよ、君は今までは周りから浮いてた存在だろ。
田舎では個性が強くて、受け入れられない存在だったよね。
でもこの店では、目立たない個性になる可能性がある。
全員が個性の強い女性だからね、各地の代表選手のような。
そんな女性たちと、良い関係を作るのには設定が大事なんだ。
嘘でも良いんだよ・・受け入れられる設定だったらね。
夜しかないとか、家出したからとか・・投げやりな考えだけは駄目なんだよ。
偽れって言ってるんじゃない、女優になれって言ってるんだよ。
個性の強い女性同士の世界で、仲良くなりたい相手を探すなら。
最初はある程度・・女優として探さないとね、いきなりは難しいんだ。
それで君は・・仕事上は、どんなタイプとして面接して欲しいの?』
私はその子の鋭さが楽しくて、最後は二ヤで問題を出した。
「どんなタイプが不足してるの?・・言ってごらん。
それを穴埋めしてやるよ、私は女優だよ・・何にでもなれる」
この台詞を言った時には、妖しい雰囲気すら出ていた。
私は楽しくなって、ニヤニヤで返した。
『OK、採用しよう・・いないタイプを自分で感じて、それになってよ・・とりあえず、寮に入るね?』と笑顔で聞いた。
「寮があるの?・・良かった~・・必ず探し出してそれになるよ」と可愛い笑顔で返してきた。
この少女こそ、数年後の東京PGを支える女性に成長する。
ローズの親友でありライバルになる、バブルの六本木で【心の怪盗28面相】と言われた女性である。
小さな覚悟を背負った家出少女だったが、悲壮感が全く無かった。
私は彼女を見た瞬間に、幸運だと感じた。
そう感じさせる、面接に対する最強の武器を持っていた。
リクルートスーツを着た若者達が、悲壮感すら連れて歩く姿を見る度に。
私は怪盗28面相を思い出す、18歳にして悲壮感を隠す事のできた怪盗を。
快晴の空の下の神殿に、話を戻そう。
大きな井戸を囲んで、女性達が立っていた。
井戸の水はヒタヒタに満ちていて、その水に不純物は感じられなかった。
「純粋と純水ですか」とユリさんが井戸を見ながら呟いた。
「確かにこの井戸の水は、不純物の無い透明感はあるね」と律子が笑顔で言った。
女性達も井戸の水を見ながら、頷いていた。
「エース・・どうするの?・・竜巻の中を」と久美子が私に笑顔で言った。
『竜巻が入口だと感じた時点で、専門講師を呼ぼうと思ってた。
次元が違う入口だと感じるけど、俺ではそこまでしか分からないから。
ここは距離と時間の専門家、マサル先生の出番だと思う。
竜巻のヒントを貰えたら、沙紀を連れてきて・・井戸を見せるよ。
沙紀が何を復元して、何を足すのか・・それが見たいからね』
私は笑顔で返した、女性達は笑顔で頷いた。
「竜巻は、それが良いね・・門の話は?」とシズカが二ヤで言った。
『それは神殿の奥の間だよ・・みんなで行ってみよう』と私も二ヤで返して、マリアを抱いて歩いた。
私の前を5人の少女がフーと歩いて、光の入らない神殿に入った。
「小僧・・良いんだな?」とマリが静かに聞いた、マリの横にルミが歩いていた。
『任せるよ・・マリとルミの判断に』と笑顔で返した。
マリとルミは二ヤで返してきて、私を追い越して5人娘に追いついた。
女性達も興味津々で後ろを付いて来て、石階段を下りて狭い通路に入った。
石畳の狭い通路までは屋根があり薄暗かった、通路の奥の扉を開けると光が差し込んだ。
全員が目を細めて、屋根の無い大きな部屋に入った。
何も無い部屋の白い石の床に、7×7の升目だけが浮かび上がっていた。
マリは違う集中に入って、升目の前で俯いていた。
「オセロよりも少ないね」とレイカが笑顔で言って。
「将棋よりもね」とミサが笑顔で返した。
ミサが1つの升目に入り、隣の升にレイカが入った。
それを見てレイカの隣にモモカが入って、その隣に安奈が入った。
ルミはその行動を真剣な表情で見ていた、私はルミの集中を感じていた。
エミが4人を見て、笑顔で空いている升に入ると。
マリが俯いたまま動いて、残り2つの1つに入った。
そしてルミが最後の1つに入り、マリはルミを真顔で見ていた。
その時だった、モモカが正面に向かって叫んだ。
「出ておいでよ・・恥ずかしがり屋さん」とモモカがルンルン笑顔で言ったのだ。
女性達はその声で緊張して、7人を見ていた。
マリとルミは前を睨んでいた、ユリカが真剣な顔で2人を見ていた。
次の瞬間、升目の真中辺りに、青白い炎が立ち上った。
そして床から大きなモニターが現れて、全員がモニターを見ていた。
モニターに光が入り、ゆっくりと映像が現れていた。
古びた大きな机が現れ、背中を向ける老婆の姿が現れてきた。
老婆は鳥篭の中の小鳥に、餌を与えていた。
「オババ・・こんにちわ」とモモカが笑顔で言った。
「モモカ・・だめだろ、その場所に立ったら」と老婆は振り向かずに言った、言葉のトーンは優しかった。
女性達は緊張しているようだった、私の右に蘭、左にユリカとリアンが立った。
「お話したいから、立ったのに~・・今なら、お部屋にいると思って」とモモカがルンルン笑顔で言った。
「可愛い事言うよね~・・モモカは」と言いながら老婆は椅子を回転して振り向いた。
予想通りマーガレットだった、マーガレットは笑顔でこっちを見ていた。
「エミ・・また少し大人になったね」とマーガレットが笑顔で言った。
「ありがとう・・でも、まだまだ子供だよ」とエミが笑顔で返した。
「それでも早いよ・・ミサとレイカ、それに安奈だね・・確かに可愛いね。
おや・・可愛くない反抗期の子が、珍しく2人並んでるね。
ルミ・・久しぶりだね、元気そうで何よりだよ」
マーガレットはルミを見て、ニヤニヤで言った。
「ご無沙汰です・・マーガレットが、私を避けてたんでしょ?」とルミも二ヤで返した。
「まぁね・・本を持ってる時のお前は、老人の私には負担になるんだよ」とオババ二ヤで返した。
女性達はマーガレットの声に緊張感が無いので、次第に笑顔が出てきた。
「マリ・・前回の反省しきりだね、今回はレベルが違うぞ・・由美子の世界は」とオババ二ヤ継続で言った。
「分かってる・・あっちの人見知りにも言っとけよ、パニックになって簡単に安全装置を使うなって」とマリも二ヤで返した。
「それは伝えておこう・・私も前回は楽しめなかったからね・・律子、まさか由美子の世界に入るのか・・老体に鞭打って」とオババ最強二ヤを出した。
「かなりしんどいけどね・・楽しみにしてるよ」と律子も二ヤで返した。
「私もだよ・・ほほ~、お前がユリか・・確かに自己確立してるね」とオババが笑顔で言った。
「ありがとうございます・・でも、私もまだまだですわ」とユリさんが薔薇の微笑で返した。
「やっかいだよ、あんたの存在はね・・そしてもう一人のやっかい者・・ユリカ、元気なのかい?」とオババ二ヤに戻して言った。
「残念ながら、元気だよ」とユリカが爽やか二ヤで返した。
「うん・・よし、小僧・・オーディションで良いんだな?・・ここにいるメンバーで」とオババが私に言った。
『良いよ・・マリとルミが入ったんだから・・全員で、もちろんマリアも含めて』と二ヤで返した。
「ばば」とマリアが言って、天使最強不敵を発動した。
「マリア・・【お】を付けろって言ってるのに、オババだろ・・オババ」とマーガレットが楽しそうに言った。
「おばば」とマリアが天使二ヤで返した。
「遊んでないで・・オーディションって、何だよ?」とリアンが極炎二ヤで言った。
「リアンか・・久しぶりだね、熱量が上がったか。
マリと小僧とマキは知ってるよな・・今日はヨーコと恭子はいないが。
律子とシズカと沙織と美由紀と哲夫は、聞いてるようだね。
私の世界は小僧の言うように、そっちから考えると・・中立の場所なんだ。
だから中立よりも奥に入るには、当然ステージがある。
そのレベルは要求する内容により、難しさも当然変わるんだよ。
マリの時には、完全なる自由を賭けたから・・5人の選抜をした。
4人は自己申告で、最後の一人を奴が選んだんだよな・・私は審判なんだよ。
今回の由美子は、分かってると思うが・・7人なんだ。
それも全員の選択権が奴にある、それ程に難しいという事なんだよ。
それを知ってる・・マリとルミが升目に入った、という事はこのメンバー。
今いるメンバーの中から、6人を選べるという事になる・・それで良いのか?」
オババは二ヤで言った、全員がオババの顔を見ていた。
「良いでしょう・・マリとルミがそう判断したのなら」とユリカが二ヤで返した。
「当然・・私達も入れろよ」と後ろから北斗の声がした。
北斗の後ろに、ヨーコと恭子に沙織と秀美が立っていた。
「ヨーコ・・感覚が戻ったのか、感じてたね・・北斗を連れて来るとは、覚悟のいる事だよ」とオババが強く言った。
「分かってる・・全て話して、北斗姉さんが決断したから」とヨーコも真顔で返した。
「北斗・・良いんだね、選ばれる可能性は高いよ・・母親には辛い事だよ」とオババが真剣に言った。
「お気遣い無く・・きちんと覚悟は出来ているよ」と北斗が笑顔で返した。
「小僧・・この展開、予想通りかな?」とオババ二ヤで言った。
『もちろん・・そう言っとくよ、俺は誰が選ばれても、自信があるよ』と二ヤで返した。
「人質を取る権利も、想定してるよな?」とオババ二ヤ継続で言った。
『もちろん・・人質は、何人設定なの?』と意識して笑顔で聞いた。
「今回は・・5人だよ・・もちろん奴の指名になるが、3人は確定だろうね」とオババが言った。
『そうだろうね・・マリとルミと俺は確定だね・・問題は残り2人だね』と二ヤで返した。
「そうだろうね・・それに7人目の選択は、ここに来れる全ての者になるよ・・ここにいない者も、当然リンダもマチルダも」とオババが言った。
『分かってるよ、リンダもマチルダも・・それを期待して待ってるよ。
絶対に選ばないだろうけどね・・当然、ミホも沙紀も選択に入るんだし。
ここにいないメンバー選択は覚悟の上だよ、多分そうするだろうしね』
私は二ヤで返した、女性達が解明されていくルールを感じて集中が増していた。
「まぁ・・そうなるね、唯一除外されるのが・・フーだけだよ・・今から準備する、少し待ってくれ」とオババが笑顔で言って映像が消えた。
女性達が私の周りに集まった、その緊張感を美由紀が察した。
升目に入っている7人は、座って笑顔で話していた。
「小僧・・オーディションって、水着審査があるのか?」と美由紀が二ヤで言って。
「そうなれば私は確定だね・・ラッキー」とカスミが笑顔で言った。
「水着審査!・・足してて良かった~」と蘭も満開笑顔で言った。
「やっぱり・・足してたんだ~」と哲夫が二ヤで言って、その横でハチ公が驚いていた。
「しまった~・・ハチ公の憧れのイメージを壊してしまった・・ごめんね、ハチ」と蘭が満開ウルで言って、女性達に笑いが戻った。
「さて・・オーディション、誰に聞くのが良いの?」とユリカが笑いながら聞いた。
『それは俺よりも・・ヨーコだよ』と二ヤでヨーコに振った。
全員がヨーコを見た、ヨーコは清楚笑顔で返していた。
「オーディションは・・マリの時に経験しました。
マリは・・ヒトミに会いに行けなかった後悔を、それにぶつけた。
自分をステージに立たせる事で、自分の弱さと戦いました。
マリは自分の世界に入って、そこに5×5のステージがあった。
その意味は感じています、ヒトミの【時の部屋】と同じ設定。
5人という人数・・あの時の私達の悔しさの数字、それが5です。
マリはヒトミの時、オババの館まで入ったから・・ヒトミの塔に入れなかった。
それはマリに何の責任も無かったけど、マリは悔しさを抱えたんです。
自分が入れれば挑めたという、その悔しさを抱えたんでしょう。
だからヒトミを見送って、勝負に出ました・・全てを賭けて。
自分の言葉も能力も賭けに差し出して、辿り着いたのが5×5のステージです。
あと3人以上連れて来いと、中立の立場の審判であるオババ言われて。
マリが誘ったのが、私と恭子とマキ・・そして小僧でした。
あの当時・・マリの同調に入れたのは、母さんその4人だけでした。
マリ自身も同調に誘う力が弱くて、シズカも美由紀も沙織も無理でした。
哲夫は入れただろうけど、マリは哲夫が狙われると感じたのでしょう。
私達4人でマリの世界のステージに入った、そこでオババと一人ずつ話した。
別に特別な話じゃないです、オババと世間話する感じです。
オババはその報告書を作ると言いました、マリの時には4人は自己申告だったから。
その当時はマキは自らの霊感に押されていて、マリがマキを外しました。
最後の1人だけ、奴に選択権がありました・・私達は律子母さんだと思ってた。
小僧もそう思ってました・・マリは感じてたのでしょうが。
奴に選択権が有ると言っても、入れない人間は呼べないと言いましたから。
そして5人目に奴が選択したのは・・ミホだったんです。
マリはヒトミを見送って、ミホにはよく会いに行ってました。
同調を試した事はなかったと言ってますが、出来る事は感じたでしょう。
私も恭子も小僧も、ミホを見て本当に驚いた・・そして奴の悪意を感じた。
でも・・ミホは最強でした、奴は全く手も足も出なかった。
この話は近い内にします、面白い対戦でしたから・・それがマリの時です。
今回は・・奴の7人選択、7人目は当然・・この世界に入れる誰か。
私が北斗姉さんに話して、決断を迫った理由はそれです。
小僧にその判断は私に任せると言われて、考えました・・確かに母親には辛い。
でも・・北斗姉さんは7人目の選択肢に入る、ならば話した方が良い。
これが私の出した結論です・・準備しないと難しいと思いました。
そして7人目の選択を避けました、最後の戦いが最も危険だからです
ここに今いるのならば・・奴は7人目の選択にはしない、それは確信しています。
だから小僧は今ここにいないメンバー、そのメンバーに7人目を賭ける。
小僧とマリちゃんが誰を想定してるのか、私には分かりませんが。
この状況は・・絶対に誘導ですね、楽しくなってきましたね~」
ヨーコは意識して出したのだろう、清楚二ヤで締めた。
「ありがとう、ヨーコ・・嬉しかったよ、私は大丈夫」と北斗が笑顔で言った、ヨーコも笑顔で頷いた。
「なるほど~、楽しいね~・・もしかして、全勝が条件なのか?」とリアンがヨーコに聞いた。
「そうだと思います・・もちろん相手が強敵と言っても。
ギリギリの設定、互角です・・互角以上は出せないのでしょう。
最後の7人目以外は、絶対に互角の設定できます。
7人目の設定は分かりませんが・・マリの時の5人目。
ミホの敵が互角とは思えない相手だったから、そこは不透明です。
6人の少女でも、互角の相手しか出ない・・それは決まっています。
だから小僧は少女全員を連れてきた、7人目の選択に入れない為に。
そしてミホと沙紀は連れて来なかった、2人が最強だからでしょう。
ルミちゃんの門の第一段階、竜虎の意味は・・これでもありましたね」
ヨーコは終始二ヤで言った、女性達も二ヤになった。
「それは楽しそうだね~・・自分と互角の奴との勝負なら」とリリーが高速リングで言った。
「選ばれたいですね、ユリカも切望してるようだけど」とユリさんがユリカに薔薇二ヤで言った。
ユリカもユリさんに、最強爽やか二ヤで返して、女性達の二ヤが全開になった。
「でもね~・・ユリとユリカは、人質の可能性の方が強いよね~」と母が二ヤで言って。
「それは律子姉さんもでしょ・・私は選ばれるように、演技をしよう」とリアンが極炎ニカで言った。
「私も絶対に選ばれないと、ホノカとリョウがなんて言うかが怖い」とカスミがウルで言って。
「私も・・セリカの言葉が怖い」とカレンがウルで言って、シオンもウルで頷いた。
「そっか・・7人目の選択は、迷うほど多いんだ・・今出た3人だけでも、迷ってしまう」とハルカが笑顔で言って。
「確かに・・私が奴なら、悩むな~・・大ママ、ミチルママ、ミコト姉さん、千鶴姉さんは外せるけど」とナギサが華やか二ヤで言って、女性達が笑顔で頷いた。
「小僧・・この中で6人に選ばれた時に、1番不安なのは誰?」とマキが二ヤで言った。
『そりゃ~・・ハチ公と哲夫だろうね』と2人を見て二ヤで言った。
女性達が2人を二ヤで見た、2人はウルウルで返した。
「そこは二ヤで返せよ・・ウルで返すなよ~」と美由紀が二ヤで言って、2人も必死の二ヤを出した。
美由紀がニヤニヤのまま、私に静かに近づいた。
「小僧・・6人に合格する、裏工作は無いのか?・・裏金渡すとか、脱げば有利とか」と美由紀が私の耳元に囁いた。
『美由紀・・無線が入ってるよ』と私も美由紀の耳元に二ヤで囁いた。
美由紀がウルウルを出して、女性達がニヤニヤで返した。
「ほんとに、どこまで目立ちたがり屋なの」と秀美が美由紀に二ヤで言って。
「美由紀は無理だよ・・私が奴なら美由紀は選ばない、理解できないから~」と沙織が二ヤで言って、女性達が笑っていた。
女性達の笑い声の中、美由紀はウルウルを出していた。
「映るよ~」とエミが言って、全員がモニターを見た。
マーガレットのシワシワ二ヤが浮かんできた。
マーガレットは机に座り、書類を置いて羽の付いたペンを握っていた。
「年齢の若い順にやろう・・7人の前に出てくれよ」とマーガレットが二ヤで言った。
私はマリアを見た、天使全開で頷いた。
私がマリアを降ろすと、トコトコと歩いて7人の前に出た。
「そうだよね、マリアが1番だね・・マリア、好きな男の子は?」とオババ二ヤで聞いた。
「ゆたか」とマリアが即答した、私は女性達の二ヤ光線を感じて、ウルウルを出した。
「豊なのかい・・贅沢だね~・・マリア、言葉とは何だと思う?」とオババが優しく聞いた。
全員が興味津々になった、私はワクワクしてマリアの小さな背中を見ていた。
「ん~・・おおすぎ・・まりあには、おおすぎるよ・・いらいなことばが」とマリアが答えた。
「マリア・・OK、もう良いよ・・これ以上聞くと、ヒントになる・・マリアとモモカには聞けんよ」とオババが笑顔で返した。
女性達は沈黙していた、マリアの答えに考えさせられていたのだろう。
私は嬉しくて、駆けて来るマリアを笑顔で抱き上げた。
そしてモモカが前に出た、ルンルン感が背中からも分かった。
「モモカか・・連続なのか・・モモカ、好きな食べ物は?」とオババが笑顔で言った。
「サクランボだよ・・知ってるでしょ」とモモカが可愛く返した。
「そうだったね・・はい、モモカもおしまい」とオババが二ヤで言った。
「短いな~・・好きな男の子とか聞いてよ~、コジョとテツがウルするから~」とモモカが返した。
女性達はこの言葉で爆笑して、私と哲夫は驚いてモモカの背中を見ていた。
「それは駄目だよ・・ヒントになりそうだから」とオババが二ヤで返した。
「もう・・ケチなんだから~」と不満そうにモモカが言った。
モモカが戻るのに振り向いて、私と哲夫に二ヤを出した、私と哲夫は当然ウルで返した。
「やばい・・好きな人の名前を聞かれる」と美由紀が二ヤで言って。
「私・・帰ろうかな」と沙織がウルで言って。
「言えない人なの・・私は堂々と言えるよ、憧れだから」と秀美が二ヤで言った。
「ほほ~・・恭子先輩の前で、その名前を言えるんだ~」と美由紀がニヤニヤで言った。
「美由紀・・そこまで言ったら、誰だって言ってるのと同じでしょ」と秀美が慌てて言った。
秀美は焦って恭子を見た、【狂子】がニヤニヤで秀美を見ていた。
秀美はウルウルで頭を下げた、女性達が秀美を見て笑っていた。
ステージでは、安奈が前に出ていた。
「安奈だね?」とオババが笑顔で聞いた。
「はい・・安奈です」と安奈が元気に答えた。
「安奈・・速く飛ぶときに、目ではどんな風に見えてるのかな?」とオババが優しく聞いた。
「真中から外側に流れるよ、真中は止まってるよ。
電車の前から見てる感じだよ、流れるのは周りだけ。
見てる物は動かないよ、速くなるのは周りの流れだけだよ」
安奈はスムーズに表現した、私は感動していた。
「中心点を視覚に持ってるのか!・・だから運動面に挑戦させるんだね?」とシズカが驚いて私に言った。
『シズカの探してたものを、安奈は持ってるよ・・止まって感じる、動体視力』と私は二ヤで返した。
「なるほどね~・・それはいつ気付いたのかな?」とオババが安奈に聞いた。
「気付いたのは、飛んだ時だよ・・それまでは、みんなそうだと思ってたよ・・エースが教えてくれたよ」と安奈は答えた。
「安奈・・特殊じゃないよ、でも大切なものだからね・・ありがとう、もう良いよ」とオババが笑顔で言った。
「は~い・・大切にします」と安奈が返して元の場所に戻った。
そしてミサが楽しそうに前に出た。
「ミサです・・エミの妹です、トオル君が好きです。
でもね・・トオル君、お喋りで・・誰にでも優しいの。
エースに似てるから、気を付けないと・・すぐ他の女の子と遊んでるの。
でもね・・ミサを1番好きって言ったよ、本当だと思う?
オババさんなら分かるんでしょ?・・お願いだから、教えて下さい」
ミサは得意の一気語り攻撃を出した、マーガレットは固まっていた。
女性達が爆笑して、私は再びウルウルを発動した。
「トオル君ね~・・・・良い子じゃないか。
誰にでも優しいのは仕方ないね、それは変わらないよ。
哲夫みたいになるよ、それが嫌なら今の内に相手を変えなさい。
優しさを勘違いする可能性が大きいね、哲夫を見て判断だね」
オババは二ヤで言った、当然哲夫は全開ウルウルになった。
「え~・・迷うな~・・オネェは、哲夫君の事好きみたいだけど。
私は違うな~・・タイプじゃないの、エースに似てるし。
お兄ちゃんなら素敵だけど、彼氏ならパスだな~」
ミサは考えながら呟いた、エミの動揺が体全体から溢れ出した。
「こっ、こら・・ミサ、余計な事言わないの」とエミが焦って言った。
エミの少女らしい焦りを初めて見て、女性達が嬉しそうな笑顔を出した。
1番嬉しそうなのは哲夫で、ニコニコちゃんになっていた。
「さて・・ミサは大人になったら、どんな事をしたいのかな?」とオババが笑顔で聞いた。
「音楽・・音楽を奏でる人になりたい、久美子先生のように。
ピアノじゃなくても良いの、だから今から他の楽器も挑戦したい。
エースがお年玉で、オカリナをくれたの・・素敵な音なんだよ。
私は久美子先生のような、音楽で誰かを笑顔にしたいです。
だから・・音楽を頑張ります、大人になるまでに」
ミサはその感性を表す言葉で、素直に自分の目標を語った。
久美子は目を潤ませて、ミサの背中を見ていた。
ミサは堂々と立っていた、マーガレットは真剣な表情でミサを見ていた。
「頑張りなさい、ミサ・・期待してるよ、ありがとう・・もう良いよ」とオババは笑顔で言った。
ミサも笑顔で元に位置に戻り、レイカがトコトコと前に出た。
面接のような、オーディションは続いていく。
マリもルミもそれを望んだ、由美子の世界の難しさを感じて。
私は少女達の笑顔を見て、根拠の無い自信が芽生えていた。
6人の選択を目指して、女性達の個性の主張が始まる。
美由紀は作戦を練っていた、しかしその練り上げた作戦が連れてくる。
美由紀の星であろう・・大爆笑を連れてくるのだ・・。