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      【冬物語第四章・・時の井戸④】 

基本的な設計はある、それは生命にも有るのだろう。

そこは踏み込めない領域、生命の存在の意味であると感じる。


医学の進歩は、人類の生命を延ばしてきた。

その1歩1歩が人々の夢を広げたし、可能性も増やしたのであろう。

難病と言われる病も、伝染病や遺伝的な病も解明してきた。


人類の英知は前に進んだ、様々な辛い歴史を乗り越えて。

誰にもそれを否定する事は出来ないだろう、その恩恵を受けるのだから。


ただ自然であるという事は、最も尊い重要な部分であると感じる。

最後は自然と言われる部分を望むのだろう、それが自然な事だと感じたい。


文明は便利を求めた、便利さに価値を見出した。

それを大多数が支持した、それも否定できない事実だろう。


個人的な考えも価値観も、他人に押し付ける事ではない。

ただ拒絶は必要なのかも知れない、それが価値観なのだろう。


ネット上に溢れる主張に嫌悪感を感じる、自分を名乗らぬ主張に。

小心者のストレス解消の場所なのならば、ネットという文化はどこに行くのだろう。

人間は又もや、自分を縛る物を手に入れたのだろうか。


時を手に入れたように、自らを縛る何かを手に入れたのだろうか。

そんな事を感じながら、2012年も1月が経過してしまった。


話を戻そう、快晴の別世界に。


10人の女性達は呆然として、森に消えた虎の残像を視線で追っていた。

虎の背中を見送って、その言葉の意味を考えていた。


「鍵なんて無いそうですよ~」とセリカが流星ウルで言った。

「マジだったよね?」とホノカが笑顔で全員に聞いた。

「本気だと思います」とハルカが笑顔で返した。


「鍵がないのなら、なぜ開かないんだ?」とカスミがウルで言って。

「開け方が悪いとか」とリョウが二ヤで言った。


「良い線に来たね~」と私の横でマリが二ヤで言った。

『虎の設定が優しすぎるよ、ルミらしくもない』と二ヤで返した。

「多分・・素直に謝ったからだよ、シオン姉さんの隠れたファインプレーだよ」とマリはモニターを見ながら笑顔で言った。


「開き戸じゃないとかですか?・・この大きな門が?」とカレンが門を見ながらウルで言った。

「そっか~・・まさか・・引き戸なの?」とシオンもウルで言った。

「引き戸!・・これが」とカスミが言って、全員が門の前に集まった。


「重いですよね~・・引き戸なら、女性8人は必要ですね~」とミサキが二ヤで言って。

「なるほどね~・・ルミは悪い子だ~」とセリカが笑顔で言った。


5人ずつで左右に分かれて、扉を左右に押した。

ゆっくりと扉は開き、垂れ幕を見て10人が笑顔になった。


「楽勝だったね・・簡単、簡単」とリョウが二ヤで言って。

「第1段階だからね・・3段階目の、1人だと不安だよ」とホノカがウルで言って、10人が笑顔でやって来た。


私はマリと外に出て、戻って来た10人を迎えた。


「神殿に行くよ、場所は?」とカスミが私に不敵で言った。

『砂漠までは地図に出るよ、砂漠からは方向が出るから・・俺とマリは参考にならないように、先に行くよ』と二ヤで返して、911に向かって歩いた。


快晴の青空の下、マリのドライブする911は快調に走っていた。

居住区で車を車庫に入れて、私が降りてボンビと遊ぶマリアの側に歩いた。


『マリア・・1人で大丈夫?』と笑顔で聞いた。

「あい・・だいじょうぶ」と天使の笑顔で返してくれた。

『そっか・・俺とマリも神殿に行って来るね、ボンビよろしく』と笑顔で言って車庫に戻った。


マリは小型ジープの運転席に乗っていた、ルミが遠隔で入って来ていて助手席に座っていた。

私は二ヤで後部座席に乗り込んで、ルミと笑顔で新年の挨拶をした。

マリは居住区を裏から出て、本通りを湖沿いに走った。


「あの井戸をどう思ってるんだ?」とマリが前を見て真顔で言った。


『マリも井戸だと思ってるんだね、俺もそう思ってるよ。

 大切なヒントではあるよね、その正体は分からないけど。

 今からマキに確認させるけど、俺はもしかしてと思ってる事があるよ。

 確信はないけど・・多分、大きさは近いと感じてる。

 あの井戸の上に、天文台が有ったんじゃないかってね。

 あの歯車で組まれた設備は、螺旋階段に繋がっていた・・そう想定してる。

 ヒトミの心の塔は、少しずつだけど伸びてたんだよ・・回転しながらね。

 あの時・・マリは入れなかったよね、マリは魔女の館に入ったから。

 ヒトミの心の塔には入れなかった、俺は確信してるよ・・塔は日々伸びていた。

 その意味は分からないけど、まさか動力で動かしてるとは思わなかった。

 シズカが動力源と、あのギアで制御していたスピードを探るから。

 俺は何を動かしていたのかを探るよ、絶対に知られたくない何かがある。

 そう思ってやってみる、由美子の場所に近づく為にも』


私はフロントガラスから見えてきた、砂漠を見ながら強く言った。


「なるほどね~・・あの上に天文台が有ったか~・・面白い見解だね」とルミが振り向いて二ヤで言った。

『ねぇ、ルミ・・ユリアは聞いてるだけだから、教えてよ・・あの門をどこで見つけたの?』と二ヤで返した。


「リンダさんに渡したあの本を受け取った南米で、その日の夜に落とされた。

 眠りに入った瞬間だったと思う、幼い私の思考はまだ起きてたよ。

 だから慌てて体を動かそうとしたけど、ピクリとも動かなくて。

 どんどん落下して行く感じに支配されて、最後に海に落とされた。

 落下してる段階で、それはリアルじゃないと判断できていた。

 だからパニックにはならなかったよ・・幼くて、何だろう思ってたね。

 海面に漂ってたら、島が見えてきた・・島の方から近づいてきたんだ。

 私は島の砂浜に上がって、中に入った・・美しい草原でね。

 そしてあの黄金の門があったんだよ、それが初めて門を見た時だった。

 幼い私は漢字が理解できないで、門の文字は読めなかった。

 それを感じて、奴が得意のナレーションを入れてきた。


 これは開放の門だ、この門の奥に進むと全てが開放される。

 お前の障害も全て普通に戻れる、この門を潜りたければ・・破棄しろ。

 今日受け取った本を捨てろ、そうすればお前は普通の子供になれる。


 そう言ったんだよ、私は驚いたんだ・・自分は普通の子供だと思ってたから。

 確かに知識が有るのは知っていた、自分の記憶の中に知識が入ってる。

 多分・・私はアイカに近いんだよ、アイカは健常者だろうけど。

 知識は不思議に感じてたけど、誰に対しても表現しなかったから。

 両親でも知らなかったんだよ・・確かに、言葉は少し遅れていた。

 それに体の成長が遅くて、今でもそうだけど・・小さいんだよね。

 開放の門の話を聞いた時は、幼くて怖いだけだったから・・何もしなかった。

 そのまま門の前で眠って、目が覚めたらリアルな世界に戻ってた。

 変な夢だったと思いながら、開放の門は強く心に残ったよ。


 それから定期的に落とされるんだ、何度も何度も開放の門の前に誘われた。

 私はその執拗な誘いに違和感を感じた、だから開放の門を無視してた。

 10歳の時だったよ、私は自分の力の研究をしててね。

 それを試そうと思ったんだ、だから最初はあの門を引き抜いてやろう。

 そう思って落とされるのを待っていた、10歳の秋にその時が来たんだ。

 私があの門を引き抜こうとすると、奴が慌てて妨害をしてきた。

 境界線を出して、私に対して結界を引いたんだよ・・でも後の祭り。

 妨害なんて出来る訳がないよね、自分とだけの戦いなんだから。

 結局・・指示を出すほうが勝つんだよ、私は門をあっさりと引き抜いた。

 そして自分の世界に入れようと思って、気付いたんだ。

 境界線の内側じゃないと入らない、それが判明して・・重要性が分かったよ。


 あの【悪意の門】自体に意味は無いよ、経験としての意味しかね。

 ただ・・最も重要な事が、奴が作り出したって事なんだよ。

 小僧の言う暴走じゃないけど・・奴は自分の中の何かを組み合わせて作った。

 記憶の中の何かで、あの門を作り出したんだよね・・視覚的な効果を狙って。

 それが重要な点だよね、他人のイメージで勝負する時には・・ヒントになる。

 そして由美子の神殿もそうだと思う、絶対に由美子が描いた物じゃないよね。

 由美子が描けたのは・・天文台だけなんだよ、これは由美子に確認した。

 由美子の好きなレコードのジャケットに、あの天文台が写ってるんだよ。


 小僧が正解・・由美子は離脱が出来るんだ、それは沙紀が教えていた。

 由美子は小僧のプレゼントのドアから出て、沙紀の絵の世界に入る。

 その世界に天文台が有るんだ、そして由美子はその天文台で飛べる。

 誰かの世界に飛べるようになった、だからこの沙紀の世界にも来れた。

 この世界は沙紀が由美子を招待するのに作った、おとぎの国なんだよね。

 由美子は遠隔同調などでない、生態離脱が出来るよ・・それは確信した。

 由美子は生きながらにして心を放つ事が出来る、その力は最強だろうね。


 由美子はこう言ったよ、小僧が教えてくれたって・・それをユリアが伝えた。

 牧水の白鳥の歌、その小僧のヒトミに伝えた解釈で由美子は気付いた。

 何にも染まらなければ、漂える事に・・ヒトミや由美子にしか出来ない。

 体が動かない彼女達だから出来る、何にも染まる事がない彼女達なら。

 生にも死にも心は染まらずに漂う、由美子は生態離脱を手に入れた。

 今は体力が無いだけ、体力がつけば可能性は飛躍的に上がる。

 小僧・・奴は必ず乗ってくる、生態離脱を賭けるのならば。

 奴は恐れてるんだ・・由美子の力を恐れている、そして沙紀の愛情をね。

 沙紀は導き出している、由美子の言葉の復活に必要な物を集めてる。

 沙紀は純粋に嬉しいを求めてる、由美子の嬉しいだけを求めてる。

 奴に妨害は出来ない・・沙紀は既にその段階は超えてるよ」


ルミは楽しそうに話した、ユリアの波動も楽しそうだった。

私は何より沙紀の心が嬉しかった、マリも笑顔で竜巻を見ていた。


「ベルトは良い?・・小僧、車重制御よろしく」とマリが笑顔で言った。

『了解・・行こう』と笑顔で返した。


小型ジープは一気に竜巻に持ち上げられ、木の葉のようにクルクルと回転した。

回転が落ち着くと、神殿と門が見えてきた。

私は驚いて門を見ていた、かなりの砂が取り除かれていた。


「ヨーコ姉さん、やるね~」とマリが笑顔で言って。

「凄いよね~、あの力・・最強の武器だよ」とルミも笑顔で言った。


神殿の正面に小型ジープが降りて、私は地下室に行くマリとルミと別れた。

一人で井戸に向かって歩きながら、地下室の映像を板状のモニターで見ていた。


シズカを中心に、恭子とマキと久美子が手伝って測っていた。

そして歯車の溝のピッチを、北斗がリリーと真剣な表情で数えていた。


《由美子の事だから真剣だね、北斗》と私はユリアに向かって心に囁いた。

《うん》というユリアの優しい返事の波動が返ってきた。


私はモニターを見ながら、井戸の側面まで歩いた。

井戸の水は澄み切っていて、不純物を感じる事は出来なかった。


『マキ・・一段落したら、上の井戸まで上がってきてよ』と無線で言った。

「了解・・もう大丈夫だから、すぐに行くよ」とマキが返してきた。


地下室の映像にマリとルミが入り、全員が駆け寄ってルミと挨拶をしていた。

ルミは少し照れた笑顔で対応して、マリはそれを見て二ヤを出していた。


私がモニターから視線を井戸に戻すと、妖精達が肩に乗ってきた。

私が横を見ると、フーがサングラスをかけて井戸を覗いていた。


『そっか・・フーはどう思う、あの天文台とこの井戸の大きさ・・同じだと思わないか?』と私はフーに笑顔で聞いた。


それを聞いたフーは、側面の上をトコトコと歩き始めた。

《歩数で測るのか、期待できそうだな》と私は心に囁いた、同意のユリアの波動がきた。


フーは外枠を1周して、私を見て口元に二ヤを出して頷いた。

『サンキュー、フー・・さすが、頼りになるね~』と笑顔で言った。

フーは私に右手を突き出した、私はそれを見て自然に笑顔になった。


《多分・・フーは、存在しない親指を立ててたね》と心に囁いた、ユリアの楽しそうな波動が返ってきた。


「最近、ユリアと内緒話が多いよ~」とユリカの声が後ろからした。

振り向くと、ユリさんとユリカとリアンと蘭とナギサが二ヤで立っていた。


『ユリアに恋の相談をされてるからね』と二ヤで返した。

「それよりも、神殿の奥の間を見つけたよ、何も無かったけどね」とリアンが笑顔で言って。

「ただ床に正方形の升目がありましたよ、7×7でした」とユリさんが薔薇で微笑んだ。


『7×7の升目ですか・・やばいかも』とウルで返した。

「やばい理由は?」と蘭が満開二ヤで言った。


『マリの時に出たステージが、5×5だったんだよ・・それで5人の勝負になった』と笑顔で返した。

「そんな感じだったよ・・意味深な雰囲気だよ」とリアンが二ヤで言って、5人はモニターを見た。


モニターには竜巻の前で話し合う、ジープの内の映像が出ていた。


「確実に、あの竜巻を指してるよね?」とカスミがウルで言って。

「はい・・それにその先を指していません、竜巻がゴールみたいですね」とシオンもウルで言った。

「竜巻がゴールなのか?・・あの中に神殿があるとは思えないけど」とリョウが真顔で言った。


「中じゃないですよね、そんな広さはないですよ」とカレンがウルで返して。

「地下かな?・・それとも他の場所で、竜巻が入口だね」とセリカが流星二ヤで言った。

「なるほどね~・・入口と考えれば、この装置の意味も分かる・・車重を減らして舞い上がれって意味だよ」とホノカが車重増減装置を見て言った。


「ほほ~・・成長してますね~」とリアンがモニターに二ヤで言って。

「あの位の問題は、解いてもらわないとね~」とナギサが華やか二ヤで言った。


私の側にはマキが来て、駆け寄ったフーを抱き上げた。


「それで、何の用かな?」とマキが笑顔で聞いた。

『マキ・・フーもそう思うって言ったんだけど、この井戸の大きさ・・天文台と同じじゃないかな?』と笑顔で聞いた。


マキはそれを聞いて、フーを抱いたまま井戸の外周を歩いた。


「もちろん正確には分からないけど、近い大きさだとは思うよ」とマキが笑顔で言った。

「そうなの!・・この上にあの天文台が有ったと思うんだ~?」と蘭が私に二ヤで言った。


『俺の想定だけどね、そうでないとおかしいんだ。

 あの砂に埋もれた門の内側に、由美子の天文台があったのなら。

 奴は動かす必要はなかった、マキ一人じゃどうにもならないからね。

 この場所に天文台はあったはず、動かさなかったらここに誘った。

 ラピヨン3世は、この場所にマキを誘導すれば良かった。

 それを最も恐れたんだろう、奴はそれを阻止する為に動かした。

 由美子自身には触れられないから、天文台ごと動かしたんだ。

 そしてこの井戸を破壊した、これは絶対に破壊されてる。

 由美子の作り出したのは、天文台だけなんだよ・・これは奴の世界。

 ここは中立な場所で、あの門の奥に奴の世界が有ると思う。

 由美子が誰かの世界に入るには、中立な場所からしか入れない。

 由美子はまだ5歳だからね、5歳で出来るのが凄い事なんだけどね。


 ルミが奴は絶対に勝負に乗ってくると言った、ルミの言葉だから信じられるよ。

 由美子の生態離脱を賭けての勝負なら、奴は絶対に【言葉の羅針盤】を出す。

 その段階まで持ち上げたのが、沙紀の強い愛情なんだよ。

 沙紀は準備してたんだよね、由美子に出会ってから・・ずっと。

 大切なお友達で、妹である由美子の・・嬉しいの為に準備した。

 この世界を作り出し、実写版のドラマで勝負する為に。

 第一段階・・侵入の難しさは、この神殿で克服されるのかも知れない。

 神殿の中に升目が有るのなら、それが門を開く鍵だと思うからね。


 代表の7人を出せと要求する、マーガレットの場所だと思うから。

 1対1の勝負を7戦、多分全勝がノルマだろうね・・誰を出すのか。

 そして7人目をマーガレットがどう選択するのか、そこが勝負だよね。

 7人全員を、マーガレットが選択するかも知れない。

 ここなら全員が入れると感じるだろうからね、全員に覚悟がいるよね。

 この場所での勝負に持ち込むには、この場所に由美子の天文台を作らないと。

 それは沙紀にしか描けないから、俺は安全に沙紀をここに連れて来る。

 少し風が吹いてきたよ、シズカ・・測量した、地下室の見解は?』


私は5人の後ろに揃った、地下室組みのシズカを見て二ヤで言った。


「ギア比は計算してみるけど、正確な数字は出せないだろうね。

 動力源が分からないから、熱でも自然エネルギーでもないからね。

 体温だという仮説が1番しっくりくるけど、確信は持てないよ。

 ただ・・お前の想定通り、その井戸の上に天文台が有ったのなら。

 あの井戸の中の設備は、強固な鍵だったよね・・内側から開けれない。

 由美子じゃ絶対に明けれない、作為的な鍵だと思えるよね。

 だから由美子はあの天文台で体力が尽きた、ドアを開けるのに使い果たした。

 そう考えるのが自然だよね、由美子は沙紀の居場所を知ってたんだよね。

 深海のステージの下だって、それを伝えようとしてここまで来た。

 由美子にしか伝えられなかった、ヒトミもモモカも絶対に知ってたよね。

 モモカのあの詩は絶対に知ってた、でも直接は伝えられなかった。

 直接伝えたら、その時点で奴が動き出すから・・それは契約違反だから。

 ヒトミもモモカもそれを知っていた、だからギリギリの表現で詠った。

 ここでの勝負に持ち込むのか・・私もそれは賛成だよ、ここに出させよう。

 あの門の奥にある中立な場所に、由美子の【言葉の羅針盤】を出させよう。

 それを全員が設定して入れば、奴は絶対に乗ってくる。

 そして由美子もここになら来れる・・天文台さえ沙紀が復活させれば。


 最大の問題は、その井戸の上にしか由美子の天文台は作れない。

 ならば天文台のドアを開く方法を探る、そうしないと由美子が人質になる。

 小僧はどう考える、由美子が人質の方が良いのか?

 それとも由美子を自由にして、勝負のステージに指名されるリスクを背負うのか。

 どっちが良いと思う、この部分はお前が決めるしかない。

 お前は経験量が違いすぎる、ヒトミの時の経験量が圧倒的だから。

 この部分は決めとこう、この場所で・・言葉で強く決めよう。

 どうする小僧・・人質か戦士か、由美子をどうする?」


シズカが強く言葉にして、全員がその言葉の意味を感じていた。

シズカの後ろに、銀河達10人が揃い私を見ていた。

私は意識して笑顔を出して、真剣な北斗を見ながら伝えた。


『当然・・戦士になってもらう、由美子は強い子だから。

 由美子のパートナーはヨーコだよ、ヨーコを動向させる。

 そしてエミのパートナーはミホにする、エミの次の覚醒の為に。

 奴は前回で感じてるから、絶対に2人1組を要求してくるよ。

 これは俺とマリとルミの統一見解だよ、そして人質を取るだろう。

 俺はそれでも最強コンビを要求する、マリとルミの最強コンビを。

 緊張してる皆さんには申し訳ないが、俺は緊張すらしてないよ。

 【言葉の羅針盤】程度で、緊張なんてしないよ・・由美子は何も奪われない。

 俺は想定が出来たよ、あの羅針盤の意味も少し分かってきた。


 必ず4人が4方から入る、羅針盤の4つの通路全てから入るよ。

 沙紀とエミと由美子にもう一人、俺はそのもう一人に賭ける。

 絶対に揃えるよ・・最強のピースを、由美子の言葉の復活の為にね。

 女性達はパートナーで話し合って、そして自分達の想定をしてね。

 俺のパートナーの要求は、今回は・・シオンとホノカのコンビを要求する。

 そうなると・・カスミとリョウ、セリカとカレンのコンビだね。

 それと北斗のコンビ・・それは哲夫にして欲しい、北斗に哲夫を託す。

 大ママにはアンナ、律子とフネ、ユリとミチル・・最強が誕生するよね。

 たかだか【言葉の羅針盤】なら、俺はニヤニヤでやってやるよ。

 全員で由美子の戦う姿を楽しみにしよう、由美子は大丈夫だから』


私は強く言葉にした、全員が緊張の中で笑顔を出した。


「了解・・楽しくなりそうだね~、それであんたのコンビは?」と蘭が満開二ヤで言った。

『当然・・美由紀だよ』と笑顔で返した。

「ほほ~・・それも凄いね、モモカとマリアは誰なの?」とユリカが爽やか二ヤで言った。


『モモカは安奈・・そして最強の中の最強コンビ、マリアはハチ公に動向させる』と二ヤで言った。

「マリアにハチ公か!・・それは最強だよね~」とマキが二ヤで言って。

「まぁ、マリアとモモカには、奴は手も足も出ない・・安奈の安全は確保されてるんだね」と後ろからヨーコの声がした。


『そうだよヨーコ、問題はヨーコだよ・・由美子の同行者の、ヨーコが勝負だね』と振り向いて二ヤで言った。

「任せなさい・・砂は排除したよ、ハチ公が働いてくれたから」とヨーコが二ヤで言った。

ヨーコの後ろに緊張気味のハチ公が、微妙な笑顔で立っていた。


『ハチ公、緊張するなよ・・マリアが守ってくれるから、お前は次回は経験を積め・・決戦に備えてね』とハチ公に二ヤで言った。

「了解です、マリア姫の同行者ならば光栄です」とハチ公が笑顔で返してきた。


『よし・・10人は時間を取るから、この神殿をイメージに入れて。

 俺は明日からマリと、他の未経験メンバーを連れて来る。

 門の第一段階と、この神殿までの道程を経験させるよ。

 限界ファイブと中1トリオは、夕方からなら第二段階をやって良いよ。

 夜は女性達は仕事だし、マリに毎日会って同調を入れてもらうから』


私は全員を見回して、笑顔で言った。


「小僧は何を準備するんだ?」とルミが二ヤで言った。


『マサル君に有ってくる、そしてここに連れて来るよ。

 アドバイスが欲しいからね、この世界を隔ててる竜巻。

 あの竜巻の意味が知りたいんだ、そのヒントが出せるのはマサル君だけ。

 距離と時間の関係をずっと考えてきた、マサル君だけだよね。

 俺は今回は準備を怠らないよ、全てを準備してみるよ』


私は二ヤでルミに返した、ルミとマリも二ヤで頷いた。


「小僧と美由紀が、人質第1候補だから・・万全の準備をよろしく、私達が第2候補だろうけど」とマリが二ヤで言って。

「まぁ・・高みの見物といきますか、楽しみで~す」とルミが笑顔で言った。

「言葉に出すね~・・怖いコンビだよ、マリとルミ」とユリカが爽やか二ヤで言って。


「さっ・・イメージに入れよう、次は銀河がヒロインになるよ・・子供向けドラマは飽きたから」とカスミが不敵で言って。

「そうだよね~・・私とシオンよ、どう考えても私達がヒロインよ」とホノカが華麗二ヤで言って。

「もちろんです~・・シオンが眠りの庭園に行きます~」とシオンがニコちゃんで言った。


「シオン姉さん、眠りの庭園って?」とシズカが慌てて聞いた。


「えっ!・・あの門の奥にある庭園でしょ、フーが教えてくれたよ」とシオンが驚いた表情で返した。

「なるほど~・・今回こそ来るね、最良のシオンが登場する・・だからコンビはホノカなのか~」とナギサが私に二ヤを出した。


『そうかもね・・でもね、一人だけ別世界にいるよ・・美由紀は別世界だよ』と二ヤで返した。

「ならばあんたとのコンビは嫌がるね、人質確定だから」と蘭が満開二ヤで言った。

「エース・・ちょっと待って下さい、沙紀の同行者は誰ですか?」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

全員がハッとして私を見た、私はニヤニヤで返した。


『沙紀の同行者は、1人しかいない・・そうだよな、フー』と私はマキに抱かれるフーに二ヤ継続で言った。

フーは口元に二ヤを浮かべて頷いた、その表情で女性達に笑顔が戻った。


それから神殿を入れさせて、私は映像を切った。

蘭の車にマリとルミと私が乗り、病院でミホと理沙と由美子に会いに行った。

3人とも元気で、私はお年玉を3人に配った。


ミホには久美子と選んだ、ヘッドホーンで聞ける小さなキーボード。

おませなリサには、蘭と選んだ可愛いワンピース。

そして由美子には、ユリカとリアンと蘭とナギサと私でランドセルを贈った。

由美子の嬉しいが溢れて、私も嬉しかった。


翌日から四季とツインズに、ミコトと千鶴とマユが門と神殿を経験して。

シズカが神殿の地下室に恭子と入って、ギア比の計算をしていた。


私は順調な共同体全店の仕事始めを確認して、派遣の段取りを決めていた。

マリーレインの挑戦を、四季が笑顔で承諾してくれて、フネと打ち合わせをした。


そして1月5日に、スナックの女性達と、幻海の女性達を経験させた。

夕方中1トリオが揃い、いよいよ門の第2段階に挑戦する時が来た。


私は5人娘を居住区で遊ばせて、マリとキャンピングカーで見ていた。


エミとミサとレイカが興奮して、私は久々にエミの少女らしい笑顔を見ていた。


私は何の自信も無かった、だが揃ったメンバーを感じて気分は高揚していた。


私はいつものように、最終段階での切り札を決めてなかった。


由美子の世界が迫っていた、そこには温もりが溢れていた。


フーが爆笑を連れてやってくる、【不思議の国マキ】の続編がスタートする。


沙紀が笑顔で歩いてくる、魔法使い沙紀VSマーガレットの対決が幕を開ける。


沙紀の武器は絵筆・・それが沙紀の魔法の杖だった・・。









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