告白
この世に神がいるとすれば、その真意は分からないが、やはり不公平である。
この世に唯一、公平なものが有るとすれば、それは【時】である。
時だけは平等に同じ速度で流れる、だから最も大切なのではないだろうか。
夏の暑さよりも熱い、土曜の夜が終わった、私は蘭の笑顔を見ていた。
女性が着替えに行ったので、TVルームに戻った、サクラさんが準備をしていた。
私はミサを抱き上げた。
「もう事件解決したから」とサクラさんが言った。
『可愛い妹ですから』と笑顔で言った。
「ありがとう」と美しく微笑んだ。
「しかし、凄いね~」とエレベーターの中で、サクラさんが言った。
『えっ、何でしょう?』と聞いた。
「梶谷さんよ」と笑った。
『あぁ、家出少年が珍しいんでしょ』と笑顔で返した。
「エミとカスミの魔法は?」と微笑んだ。
『それは、魔法じゃないですよ』と照れて返した。
「エミのだけは、魔法よ」と微笑み、「少女らしくなったわ」と言った。
『可愛い1年生です、凄いけど』と笑顔で言った、サクラさんも微笑んだ。
サクラさんを見送り、TVルームに戻ろうとしたら、7人衆と蘭が来た。
「マダムとユリさんには挨拶したから、帰ろうダーリン」と満開で言った。
『うん、お疲れさん』とバックを持ってあげた。
「いいのかしら、皇帝に持たせて」と蘭が言うと。
「それはまずいでしょう、いくらオンボロでも」とカスミが言って、8人で笑った。
『カスミ、今日の撃たれた演技はなんだ、明日までに練習してこい』と言ったら。
「はい、監督」と微笑んだ。
一番街まで皆で歩いた、深夜だがまだかなりの人手があった。
「約束」と蘭が満開で微笑んだ。
『えっ!』と蘭を見た、ニッと笑った。
7人衆は蘭を見ている。
「カスミの分」と微笑んだ。
『あぁ、やきもちのNo2ね』と言って、抱き上げた。
「なるほど~」とカスミが言った。
「伝説は確定やな~」と美冬さんが言い。
「青島と昨夜と、梶谷さん、で一番街」と千春さんが数えた。
「大ママとも絡んでるらしいよ」と蘭が言った。
7人衆が驚いて私を見た。
「将来何になる?」とカスミがニヤで言った。
『NO1ホスト』とニヤで返した。
「怖い」とユメが呟いて、8人で笑った。
『で、どこまでお姫様』と笑顔で言ったら。
「オ・ウ・チ」と蘭が笑った。
『姫ご勘弁を~』とウルで言うと。
「駄目じゃ、ワラワは疲れたのじゃ」と蘭がすねた。
「がんばれ~」との7人の声に押され。
人ごみを蘭をお姫様抱っこして、縫うように歩いた。
視線を楽しみながら、蘭の笑顔を見ながら。
橘通りで蘭が降りた。
『タクシー乗る?』と聞いたら、満開で腕を組んできて。
「明日、靴屋お休み」と微笑んで、「歩こう」と言った。
「何の話がいい?」と歩きながら蘭が笑顔で聞いた。
『蘭が辛くないやつ』と笑顔で言った。
「それは君に辛いよ」とニッと笑った。
『それは、ご勘弁を』とウルで返すと。
「やきもち妬く?」とニヤで聞いた。
『過去にも焼きます』と夜空を見た、蘭は私を見ていた。
蘭がお腹を押した、私は蘭を見た。
「ハルカ借りるね」と蘭が呟いた。
「私のこと好き」と聞いた夜空を見ながら、真顔で聞いた。
『大好きです』私も夜空を見ながら、正直に言った。
「10歳違うんだよ」・『ダカラ?』
「あなたより、色んな経験してるんだよ」・『ダカラ?』
蘭は腕に力を入れた。
「なんで、そんなに優しいの?」と静かに言った。
『蘭が大切だから、蘭だけでいい。
俺は蘭がいればそれでいい、他の物はいらない。
蘭にどんな過去があっても、どんなに指名客が多くてもいい。
たとえ蘭が殺人犯でもいいんだ、いてくれれば』
「私、今は何も言ってあげられないよ」と蘭が言った。
『この前、小窓でお姫様したとき誓ったことがあるんだ。
あの台詞を言って、蘭が目を閉じて、蘭の唇を見てた。
窓からの光は月光じゃなくて街灯で、あそこは城じゃなくてビルで。
俺は王じゃないから、地位も名誉も金も持ってないし。
だから俺は蘭の相応しい男になろうと、蘭を一生笑顔でいさせられる男になろうと。
間に合わないかも知れない、時は俺にも蘭にも同じスピードで流れるから』
『でも、どうしても諦める事はできない』
『俺が蘭に相応しい男になって、その時に蘭が望めば。
俺は王にもなれないし、城も持てないけど唇を重ねる時は。
月光の下でしようと・・思ったんだよ』
『俺はそれまでは、蘭に何も望まない。何も言ってくれなくていい』
『蘭・・・・』
『お願いだから・・・・』
『愛する事だけは奪わないで・・・』
『蘭が誰かを愛して、結婚してもそれは仕方ない事かもしれない・・・・』
『蘭、存在して・・それだけでいい、生きていてくれればいいんだ・・・』
『俺が蘭を愛する事だけは奪わないで・・・』
『それだけが、俺の望みなんだよ・・・』
「うん」と蘭が満開で微笑んだ。
蘭がお腹のスイッチを押した。
『何したの?』と私は微笑んだ、『ハルカいないから停止状態だったじゃないか』と笑顔で言った。
「うん、間違えた・・・間違えてた」と満開で微笑んだ。
「誰かが浮気者だから」と頬を膨らませた、私は頭をかいた。
「色んな女を感じてね」と満開笑顔で。
「そうしないと、そうした後じゃないとその時に響かないよ」と微笑んだ。
『頑張ります』と笑顔で返した。
「つきあえって言った訳じゃないよ」と笑顔で睨んだ。
『違うのか』と笑顔で返した。
「まだ分からないみたいね、私すっっっごい!やきもち妬きなのよ」と怒ってる顔をした。
『知ってるよ、もう我家が見えたから、やきもち第二段再開しようか』と笑顔で蘭を見た。
「うん」と言って満開で微笑んだ。
私は膝をつき両手を広げ。
『蘭、おいでっ』と言った、蘭が笑顔で私の首に両手を回した、私は大切な姫を抱き上げた。
『甘えん坊』と蘭の耳元で囁いた。
「甘えん坊で、やきもち妬きだよ」と蘭も囁いた。
『何をいまさら、それぐらい』私は腕に力を入れて蘭を引き寄せ。
『泣き虫で、それで』一呼吸おいて、『寝言をよく言う』と囁くと。
「うそっ!」と驚いた。
『明朗で鮮明な』と笑顔で返すと。
「なんて言ったのかな~?」と探りを入れてきた。
『多分、好きな男の名前と思う』とウルで言うと。
「その時泣いた、それともニヤってした?」と笑顔で聞いてきた。
『泣いたよ』と囁いた。
「じゃぁ、好きな人じゃないよ」と蘭が優しく囁いた。
『もう、寝なさい』と優しく囁いた。
「重くなるよ、落とすなよ」と微笑んだ。
『壊れやすい物を落としたり、傷つけたりしないよ』と蘭を引き寄せた。
「うん」と言って、蘭は静かになった。
私は蘭の香りと重みを楽しんでいた、気分は快晴だった。
道がどこまでも続けばいいのにと思っていた。
帰り着かなければいいと、そうすればいつまでも、蘭は私の腕の中にいるのにと。
真夏の夜空には入道雲、月はまだ見えてなかった・・・。