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回想録 ⅩⅤ 【冬物語第四章・・時の井戸①】

なぜ?・・そう思って過ごしていた、思考の中では出来ると信じていた。

機能的な問題だと感じて、自分自身であらゆる特訓をしていた。


愛する両親の笑顔が見たくて、心配される自分が悔しくて。

だが機能的な問題じゃ無かった、それを自らが証明した一言だった。


もちろん、私には自信など微塵も無かった、私はその部分ではマリに賭けた。

マリは自分の言葉の復活方法を、表現できなかった。

しかしその道程は提案できた、それを視覚的に認知させたのだ。


【言葉の羅針盤】そう表現したカリーの思いは、視覚的な効果を表現してる。

私はこの時点でそう考えていた、カリーも言葉の復活方法は表現できなかった。

だから唯一自分の世界を理解できる、リンダに対してメッセージとして贈った。


私はそう考えていた、そして視覚的効果・・映像的なメッセージを望んだ。

マリは沙紀の世界にそれを出させる事に、ターゲットを絞っていた。


沙紀ならばそれを見れば、絶対に何かを感じると思ったのだろう。

【なぜ自分は出来ないの?】そう考え続けてきた、沙紀ならば間違えに気付く。

映像で見せれば、沙紀ならばその違和感に絶対に気付くと、マリは確信していた。


沙紀はその後も【言葉の羅針盤】の感想を、言葉では表現できなかった。

しかし沙紀には言葉い以上の表現能力が有った、その圧倒的な描写力を持っていた。


沙紀は由美子の次の段階で見せ付ける、【言葉の羅針盤】のダイヤル錠を回すのだ。

その心が求めるものは、どんな時でも【嬉しい】だった。

凍結するマーガレットに対し、沙紀は純粋な心で求めてしまう。

マーガレットの【嬉しい】までも、沙紀は求めてしまうのだった。


話を戻さないと、私の感情が先走りしてしまう。

その場面を感じると、一気に飛びたくなってしまうので、話を戻そう。

段階を踏まないと、全ての事柄は進まない。


元旦の楽しい場所に話を戻そう。


沙紀の言葉が部屋の温度を一気に上げた、全員に沙紀の言葉が響いた。

3日である・・《サー・シー・スー》と最初の言葉が出て、まだ3日も経過してなかった。

それなのに、《パパとママと言葉》この3つの言葉を持っていた。


【パパとママ】は当然だろう、最も発したかった言葉であろうから。

それに発しやすい言葉である、乳児も高確率で最初の言葉はこれであろう。

だが沙紀は3文字を同時に訓練した、それも【ことば】という3文字だった。

その3文字が表現していた、沙紀の喜びと強い意志を表現していた。


ユリカもリアンも蘭も、感情の制御が利かなかったのだろう。

オヤジ達も話に聞いているだけだったが、それでも大きな感動をしていた。

ツネ婆さんも、もちろんマダムも松さんも嬉しそうに泣いていた。


「全員・・沙紀に愛情を持って触れ合った全員が・・素敵です。

 沙紀のご両親を筆頭に、女性達も限界ファイブも中1トリオも。

 5人娘も哲夫もモモカも・・そしてマリも小僧も。

 ミホも理沙も由美子も、ヒトミもユリアも洋も。

 ルミもマサルも・・全員、お見事でした・・届きましたね。

 愛情が全てを超えましたね、沙紀は気付きました。

 小僧・・春の段階が見えたね、沙紀なら大丈夫です。

 必ず学校を楽しむでしょう、その道を作りなさい。

 新学期が始まったら、清次郎先生に報告し相談しなさい。

 必ず沙紀の次の挑戦の扉を開いてくれます・・ありがとう。

 ありがとう、沙紀・・本当に嬉しい新年を迎えられたよ」


律子が珍しく感情的な言葉で、沙紀を抱きしめて笑顔で言った。


「皆さん、本当にありがとうございます・・最高の喜びを感じています」と沙紀の父親が泣きながら頭を下げた。

女性達は何も言えずに泣いていた、沙紀の嬉しそうな表情を見ながら。


「さぁ・・沙紀ちゃん、もう1つ出来るんでしょ」と安奈が笑顔で沙紀に言った。

沙紀は強く頷いて私が抱くマリを見た、マリは緊張して沙紀の瞳を見ていた。


「ま・・り」と沙紀は小さな声で言った。

「沙紀・・ありがとう、嬉しいよ~」とマリは言って、両手の拳を握って震えながら号泣した。


私がマリを支えていると、沙紀が駆け寄りマリに抱きついた。

マリは優しく沙紀を抱いて、笑顔に戻った。


「その力は、唯一生命の為だけに使う。

 悪質なシナリオに対する時にだけ使う・・マリの強い言葉じゃったね。

 マリ・・良くぞ到達した・・その言葉に微塵も嘘は無かった。

 周りの人への沢山の感謝を感じながら、全てを自分で解決した。

 マリだから出来た・・マリだから感じた・・マリだから気付けた。

 その難問を解決する提案が出来たの・・本当に見事じゃよ・・マリ。

 ヒトミが泣いておるの~・・マリに感謝をしながら」


和尚は強く優しく言葉にした、マリは和尚に深々と頭を下げた。


私は沙紀を笑顔で見ていた、沙紀は私の手を握り温度で強く伝えてきて頷いた。


『了解、沙紀・・沙紀が見せるんだね、ミホに沙紀の勇気を・・沙紀がミホから貰った勇気に、勇気で返すんだね』と嬉しくて笑顔で言った。

沙紀は口元を少し動かして、笑顔を表現して強く頷いた。


「どこまで有るんだ・・エース、お前の沙紀に対する設定は?」と大ママが泣きながら言った。

『当然・・沙紀が自立して、愛する人の子供を産むまで』と私は強く言葉にした。


その言葉を聞いて、アイカがキャッキャッと大きな声で笑った。

その声がその場の雰囲気を変えた、全員の顔に喜びの笑顔が戻った。

外は宵闇で暗かったが、私達の周りには陽だまりの暖かい光があった。


「陽だまりの、アイカ」とユリカが立ち上がり、北斗からアイカを受け取った。

アイカは強い瞳でユリカを見ていた、ユリカも優しい笑顔だったが、深海の瞳でアイカを見ていた。


「こんなに嬉しいんですね・・本当に嬉しいです」とシオンが涙のニコちゃんで言って。

「喜びを・・言葉に出来ない」とカレンが泣きながら笑った、その横でレンとケイコが抱き合って泣いていた。


「沙紀、ありがとう・・私達の目標は、沙紀に比べたら少し低かったね。

 限界ファイブの今年の目標は、由美子の言葉の復活を目指す」


シズカが強く言った、その言葉で沙紀が5人を見た。

5人は沙紀に笑顔で頷いた、沙紀も強く頷いて返した。


「当然だよ・・それ以外にない」と恭子が笑顔で言って。

「そうだけど・・目標がチョロすぎない?」と久美子が二ヤで言って。

「確かにチョロいけど・・まずはそこ、カリーの場所に立たせよう」とヨーコが清楚笑顔で言って。

「由美子なら余裕で行ける・・沙紀がいるんだから」とマキが沙紀に笑顔で言った。


「もちろん、中1トリオの目標も・・由美子の言葉の復活」と美由紀が強く言った。

「当たり前よ・・そろそろ主導権を握るよ、私達が主役だよ」と沙織が笑顔で言って。

「神殿に行くぞ、小僧・・未熟な者には、休息の時間は無い」と秀美が言って、立ち上がった。


『やるかね・・ユリカ、来る時アイカを連れて来て・・最後は俺が、部屋で添い寝するから』と笑顔で言った。

「ミルクは何時?」とユリカが嬉しそうな笑顔で返してきた。


『それはアイカに聞いて・・あなたはユリカでしょ?』と二ヤで返した。

「正月早々生意気な・・もちろん、アイカに聞くわ」とユリカが最強爽やか二ヤで返してきた。


女性達の二ヤがユリカを見ていた、リアンの嬉しそうな笑顔がユリカを見ていた。

蘭が満開笑顔でアイカを見て、アイカは視線を感じて笑顔になった。


『安奈と沙紀は、みんなにお休みをしてね・・8人とマリと俺がいるから、大丈夫だよね?』と私は2人に笑顔で聞いた。

「はい、大丈夫です・・みなさん、お休みなさい」と安奈が笑顔で言って、沙紀が頭を下げた。


全員が《お休み》と笑顔で返してくれた、私は美由紀を抱き上げた。

マキが沙紀を抱いて、恭子が安奈抱き上げた。


離れに入ると布団が2列に並べて大量に敷いてあり、ストーブが入っていて暖かかった。

私は布団を1組持ってきて、そこに安奈と沙紀を寝かせた。

2人は嬉しそうに、同じ布団を楽しんでいた。


『沙紀と安奈は少しだけね・・誰か来るまで、マリと俺が側にいるから。

 8人はハチ公が案内するけど、ハチ公では大型ジープはまだ運転できない。

 運転手を選んでね・・まぁ、恭子かマキだろうけど。

 全ては8人の判断に任せるよ、ハチ公に誘導尋問をしないでね。

 白い扉を開けて集合、安奈大丈夫だよ・・マリがいるからね』


私は最後に安奈に笑顔で言った、8人は緊張して集中した。


「はい・・白いドアでしょ、大丈夫だよ」と安奈が可愛い笑顔で言った。


『よし・・沙紀と安奈は布団の中で手を繋いでね、マリが安奈と俺が沙紀と繋ぐよ』と笑顔で言った。

マリが笑顔で安奈の右手を握り、私は沙紀の左手を握った。

8人が円になって、私とマリで円を繋いだ。


『それじゃ・・マリ、安奈を見ながら来てね・・入ります』と笑顔で言って目を閉じた。

私がドアを開けて入ると、ハチ公とフーが迎えてくれた。


珍しくフーが男の私に飛びついた、私は二ヤで抱き上げた。


『フー・・沙紀姫様の言葉、俺も嬉しかったよ』と笑顔で言った、フーは何度も頷いた。

続々とメンバーが入り、マリと手を繋いで安奈も入ってきた。

安奈と沙紀は笑顔で芝生の上に座った、ボンビ親子が2人の側に座った。


「フーちゃん、妖精さん達と神殿に行って良いよ・・ヒントは駄目よ」と沙紀が笑顔で言った。

「分かりました、行って来ます」とサーが笑顔で言って、フーはジープに向かって駆け出した。


「ハチ公・・よろしく」とシズカが二ヤで言った。

「シズカさん・・その笑顔は怖い、誘導尋問は無しですよ」とハチ公がウルで返した。

「それは楽しめないからしないよ・・お話ししたいだけ」とシズカが二ヤ継続でハチ公を引っ張った。


「シズカ・・もしかして、初めてお付き合いする相手が・・猫」と久美子が二ヤで言って。

「さすがシズカ・・常に想像を超えてくるね~」とマキが二ヤで言って。

「憧れの・・告白されるって経験だから、嬉しいんだよ・・同世代の人間の男じゃ、シズカに告白する勇気がないからね」と恭子が二ヤで言って。

「あんなに楽しそうなシズカ・・初めて見たよ~」とヨーコが二ヤで言って、4人で笑いながらシズカを追って歩き出した。


中1トリオが触れ合っていた白馬に笑顔で手を振って、5人の後を追った。

私とマリは沙紀と安奈の後ろの椅子に座り、大型モニターにジープを映していた。

白馬が2頭私達の横に来て、興味津々でモニターを見ていた。


安奈はボンビと楽しそうに話していた、安奈と沙紀の肩や頭に乗り、リス達が遊んでいた。


ジープの前では、恭子とマキが真剣な顔で向き合っていた。


「勝った者が行きの運転、負けた者がナビで良いいね?」とマキが二ヤで恭子に言った。

「望むところだ」と恭子が二ヤで返して、ジャンケンをした。

恭子がガッツポーズで飛び上がり、マキはウルウルを出してジープに乗った。


フーがウル顔のマキに飛びついて、マキはフーを抱いて笑顔に戻った。

恭子はワクワク顔で、運転席のドアを開けて乗り込んだ。

マキはフーを抱いて後部からナビ席に着いた、マキはナビ席のモニターを見ていた。


「ハチ公・・この地図レーダーが指してる場所だね?」とマキが振り向いて言った。

6人に二ヤで尋問されていたハチ公が、ウルで振り向いてマキを見た。


「そうでございます、マキ姫様・・そこが砂漠の入口です」とハチ公がウルウルで言った。

「ハチ公をいじめるなよ、小人たち」とマキがニヤニヤで6人に言った。


「あ~・・自分だけ姫様と呼ばれて、自慢してる~」とヨーコがウルで言って。

「マキ先輩も小人の仲間でした~・・久美子先輩だけ、普通の人間でした~」と美由紀が二ヤで言って。

「そう言う事だから、ハチ公・・マキは小人扱いでよろしく」と久美子がニヤニヤで言った。


「えっ!・・それは難しい注文ですね、ピアニスト久美子様」とハチ公がウルで言って、6人が二ヤで返した。


「さてと・・行きますよ~」と恭子がワクワク笑顔で言って、ゆっくりとジープが出発した。


マリと私は湖に向けて走る、大型ジープを見ながら話していた。


「小僧ちゃん・・安奈ちゃんが眠そうだから、お家で一緒に寝て良い?」と沙紀が言った。

『もちろん良いよ・・みんながいるから、安心してお休み』と笑顔で返した。


マリが2人を連れて、姫の館に入って行った。

私は白馬とボンビ親子と、名前の話をしていた。

理想の名前を聞きながら、私は笑顔で《良いのを考えるよ》と約束していた。


遠くからジープの音が近づいて来たので、私はモニターを消した。

白馬もボンビ親子も、近付いて来るジープのライトを見ていた。


大型ジープが止まり、女性達が降りてきた。

ユリカとアイカを抱いた笑顔のリアンが降りて、シオン・カレン・レン・ケイコが降りてきた。

運転をしていた蘭が満開で最後に降りて、私の方に歩いて来た。

カレンとレンとケイコが、喜びの笑顔でボンビに駆け寄った。


「こんな素敵な世界だったの・・想像を遥かに超えてたよ」とレンが笑顔で言って。

「嬉しいな~・・凄く嬉しいよ」とケイコが笑顔で白馬を抱いていた。

「沙紀ちゃんと、安奈ちゃんは?」とシオンがニコちゃんで聞いた。


『自宅に戻ったよ』と私は姫の家を見た。

その時に気付いた、表札に新しく【愛香】と名前が入っていた。


『それで、宴会はどうなったの?』と私の横に座った蘭に聞いた。


「オヤジ連中は、まだ飲み足らないみたいだから。

 寺で寝るって言って、酒と料理を持ってワイワイ出て行ったよ。

 沙紀のお父さんが嬉しそうで、私も嬉しかったよ。

 母屋には律子母さんに、ツネさんとマダムと松さん。

 そして大ママ・北斗姉さん・ミナミ姉さん・アンナ姉さん。

 それに節子さんと沙紀のお母さんで、楽しいお喋りで盛り上がってるよ。

 楽しそうだった・・沙紀の言葉が、嬉しかったからね」


蘭は満開笑顔で言った、私も笑顔で頷いた。


『よし・・行きますか』と私は二ヤで言った、ユリカとリアンと蘭が笑顔で頷いた。


『アイカの状況は?』と私がユリカに二ヤで聞いた。

「布団に寝かせて、私が手を握ってるから大丈夫だよ」とユリカが笑顔で返してきた、私も笑顔で頷いた。


『シオン・・シオンとカレンで、ここでのアイカを見ててね。

 アイカが寝たら、お家の沙紀達の側で寝かせて。

 リアルではユリカが手を繋いでるから、アイカの状況は分かるから。

 その後でドライブしても良いよ、そこの車庫に入ってるから。

 シオンが運転して、お城でも案内してね。

 光の壁も見ていいよ、俺達は神殿に行って来るよ。

 モニターには映らないし、無線機を渡すけど。

 シオン達のは発信専用だからね、アイカを頼むね』


私はニコちゃんシオンに笑顔で言った。


「了解です・・アイカちゃんの立っちの練習をしてから、お休みさせます」とシオンがニコちゃんで言った。

『アイカ・・無理するなよ、少しずつね・・今夜は俺が側で寝るから』と笑顔でアイカに言った。

「はい・・寝る前に、オムツも換えてね」とアイカが笑顔で言った、私は笑顔で頷いた。


「蘭・・却下しないのか?」とリアンが二ヤで言った。

「それはしそうだね~」とユリカも二ヤで言った。

「する訳ないですよ~・・私がオムツ交換したいけど」と満開笑顔で返した。


リアンがカレンにアイカを渡すと、ボンビがアイカに顔を近づけた。

アイカは嬉しそうに笑って、シオンもニコちゃんで隣に座った。


マリが姫の館から出てきて、OKのサインをくれた。

5人でジープに乗り込んだ、蘭が運転でリアンが笑顔で助手席に座った。


『全員、酔ってないね~』と私が二ヤで言った。

「酔ってない自分で入ったからね、リアルな体はふわふわだよ」とリアンが二ヤで言った。

『なるほど~・・さすがだね』と私は笑顔で返してモニターを入れた。


8人を乗せたジープが、砂漠の入口で止まっていた。


「おっ!・・良い場面から見れるね」とリアンが助手席のナビを見て言った。


『蘭・・見たいなら、オート操縦を入れるよ』と笑顔で言った。

「オートが有るの?・・どこまで行けるの?」と蘭が振り向いて満開二ヤで言った。

『あのジープの今の位置を入力したから、砂漠の入口までは行くよ』と二ヤで返した。

「お願い・・見たいから」と蘭が笑顔で返してきた、私も笑顔で頷いてオート操縦を入れた。


リアンも蘭も大型画面で見たいのか、後部座席に移動してきた。

私達の乗るジープは、無人の運転席で砂漠を目指していた。


「方向は分かった・・敵がいるのか?」とシズカが方向を指差すハチ公に二ヤで言った。

「敵と言うか・・妨害が有るよ、砂嵐の」とハチ公が真顔で返した。

「砂嵐ね~・・とりあえず、行ってみよう」と恭子が言って走り出した。


「まぁ・・シズカがいるから、突っ込む判断はするよな」とリアンが二ヤで言った。

「問題は竜巻の中、どう対処するのかだね」とユリカが二ヤで言った。


「そう言えば・・あんたがいないのに、車重調整はどうやるの?」と蘭が私に聞いた、私は二ヤで計器を指差した。

「車重増減装置!・・なるほど~、これがヒントね」と蘭が満開二ヤで言った。

「抜かりないね~・・楽しみだね~」とリアンがモニターに二ヤで言った。


「フル装備このジープの妨害が、砂嵐で出来ますかね~」と秀美が二ヤで言った。

「視界が確保されなくても、レーダーが有るよね」と沙織が笑顔で返した。


「車輪が埋まって立ち往生とか」とヨーコがウルで言って。

「この装置は、車輪が埋まらないように有るのかな?」と久美子が二ヤで言った。

全員が車重増減装置を見て、二ヤで頷いた。


『ラッキーだったね、増減装置が久美子の目の前に有るよ』と私はマリに二ヤで言った。

「そうだね・・それはラッキーかもね」とマリはモニターを見ながら二ヤで言った。


「あれだね、ハチ公・・聞いてただろ、あれは竜巻だよ・・巨大な」とマキが強く言った。

全員に緊張が走った、モニターに映る巨大な竜巻を見て沈黙が訪れた。


「でかい!・・アメリカのニュースで見たでかさだ」と美由紀が言って。

「恭子・・止まって・・対策を考えよう」とシズカが言った。

恭子が止まって、マキと2人で後部座席に入った。


ハチ公は尋問を恐れてナビ席に座った、フーはワクワク笑顔で竜巻を見ていた。


「フー・・ヒントになるから、駄目よ~」と蘭が二ヤで言って。

「フーに言っても無駄だよ、奴は楽しいで出来てる」とリアンが言って笑った。


「あっ!・・アイカが眠った、手が少し重くなった」とユリカが笑顔で言った。

シオンの映像を見ると、沙紀の隣にアイカを寝かせていた。


「あの竜巻は停止してるよね、追ってくるのかな?」とヨーコが二ヤで言った。

「追って来そうだね~」と恭子が二ヤで返した。


「追ってくるなら、もう来てるよ・・あれは何かを守ってるのか・・それとも入口かだね」とマキがモニターを見ながら言った。

「さすが砂漠の女、灼熱のマキ・・そうだろうね~」とシズカが二ヤで言った。


「突っ込むんだね・・勇気の試験だ」と久美子がモニターに二ヤで言って。

「正解です・・ハチ公が二ヤしました~」と美由紀がハチ公の表情を見ながらニヤニヤで言った。

ハチ公が振り向いてウルウルを出した、8人は二ヤで返した。


「どうしてもハチ公は、間違って呼びそうになる・・哲夫って」と沙織が二ヤで言って。

「脇が甘いよね~・・すぐに言葉と表情に出る、まさに哲夫」と秀美が言って、8人で笑った。


「まさに、哲夫」とマリも二ヤで言って。

「双子だろ~」とリアンが言って、私達も笑っていた。


「それじゃあ・・ベルトをきつく締めてね」と恭子が二ヤで言って、マキと2人で運転席に戻った。

「ハチ公・・シズカの隣に座って、怖がりだから」とマキが二ヤで言った。


ハチ公は笑顔で頷いて、シズカの横に座ってベルトを締めた。


「お前は・・何を見ても、ワクワクで楽しそうだな~」とマキが二ヤで言いながら、フーのベルトを締めていた。


フーは私が使った、スポンジの入った箱を持っていた。

箱から顔だけ出ている妖精達の笑顔を見て、マキも笑顔になった。


ジープは竜巻の目前まで来ていた、強烈な風が轟音を響かせていた。


「行くよ・・覚悟を決めな!」と恭子が言って走り出した。


8人が緊張して、シズカがハチ公の手を握った、ハチ公はそれで別の緊張をした。


フロントガラスに強烈に砂が当たり始めた、恭子は見えない前を睨んでアクセルを踏んでいた。

ジープは激しい横風で押されて、右側に傾いた。


「久美子・・車重を5t足そう」とシズカが叫んだ。

「了解」と言って久美子が5t足した。


それでジープは元に戻って、ゆっくりと前に進んでいた。


「竜巻の中央は風が無い、巨大な境界線です・・絶対に踏んだらいけない」とハチ公が必死の真顔で言った。

「二ヤを出しても良いんだよ~・・ハッちゃん」と美由紀がハチ公に二ヤで言った、ハチ公はウルで返した。


「シズカ、どうする?」と恭子が叫んだ、シズカは前を見て考えていた。

久美子はフーのワクワク横顔を見て、目の前の計器を見た、そして二ヤになった。


「やっぱりおかしい・・絶対に変だよ・・違和感だらけ。

 フーのワクワクな感じも、車重増減装置も。

 この車重増減装置・・なぜ減が有るんだ?・・必要ないよね。

 それにフーのワクワク笑顔、竜巻でフーがワクワクするのなら。

 飛ぶんだよ・・飛ばされるんだ、だから軽くする設定が有る。

 策略家のヒントだよ・・舞い上がれば、神殿が見えるんだよ」


久美子はシズカを見ながら、ニヤで強く言った。


「それだよ・・フー、竜巻は入口だね?」とマキが優しい笑顔でフーに言った。

フーはワクワク笑顔で何度も頷いた。


「OK、舞い上がろう・・もう一度覚悟をしなおそう・・久美子、車重を5kgにしよう・・全員、良いね?」とシズカが叫んだ。

「了解」と全員が真顔で強く返した。


久美子が車重を5kgに設定して、目を閉じてスイッチを押した。

大型ジープは木の葉のように、舞い上がっていった。


「あ~れ~」と美由紀の叫び声を乗せて、ジープは見えなくなった。


「エース・・次の挑戦者は誰なんだい?」とリアンがその映像を見ながら言った。

『多分・・銀河と19歳トリオとレンとケイコかな』と二ヤで返した。

「必ずやる日時を教えろよ、面白そうだ~」とリアンが二ヤで言って、蘭と2人で運転席に向かった。


私達のジープも砂漠の境に来ていた、レーダーには竜巻の座標が出ていた。

全員でベルトを締めて、竜巻を目指した。


そして木の葉のようにクルクルと回されながら、神殿の入口の前に降りた。

私は銃器の装備を出して、ニヤで好きな装備を手に取ってジープを降りた。


石畳の庭園跡を歩くと、8人が丸い池を囲む姿が見えてきた。

沈黙が流れているようで、シズカの強い集中を感じていた。


「シズカ・・感想は?」と蘭が満開笑顔で聞いた。

「1つの目的地跡に、辿り着いた気分です」とシズカが笑顔で返した。


「確かに・・意味深い感じがする」とヨーコが笑顔で言った。


私は板状のモニターを出して、この池でリンダとハチ公が話したシーンを出した。

8人は真剣にモニターを見ていた、私は池の水に触れてみた。


その冷たさが湧き水のようで、循環してると感じていた。


『シズカ・・ほい』と二ヤでガムを差し出した。

「よし・・潜るか」とシズカが二ヤで受け取った。


『水が循環してると思う・・潜ろう・・ハチ公だけそこに居てくれよ、後は4人程度のチームになって探索してね』と笑顔で言った。


「了解・・武器を取りに行こう」とマキが笑顔で言って、7人がジープに向かった。

「さぁ・・私達は神殿に行ってみよう」とユリカが笑顔で言って、リアンと蘭とマリが笑顔で頷いて歩いて行った。


「確かに循環してる感じだね」とシズカが水を触りながら言った。

『うん・・とにかく根元だね、軸の根元が見たいね』と二ヤで返した。

「私がこっちから潜る、小僧は逆から潜れよ」とシズカが池に入って二ヤで言った。

『了解・・無線を入れてろよ』と二ヤで返して、私は文字盤のⅨの横の隙間から潜った。


池の中は予想より遥かに深い感じだった、外枠と外壁の隙間は50cm程度だった。

私は文字盤の下の精密な機械の組み込みを見ながら、底に向け潜って行った。

精密機械の下は、大小様々なギアが組み込まれていた。


その下は中心軸だけになった、その場所でシズカの姿が確認できた。

私はシズカと並んで、ギアを見上げていた。


「精密だったな、速度調整をここまでやるんだな・・これは飾りじゃない」とシズカが言った。

『そうだね、飾りや罠なら・・中身をこんなに精巧に作らないよね』と私も笑顔で返した。


「照明装置は持ってきたか?」とシズカが二ヤで言った。

「もちろん」と二ヤで返して、腰の道具入れの中から照明バンドを出した。


2人でそれを頭に巻いて、額の上のライトを付けて照らした。

そして底を目指して潜った、大きな井戸のように外壁は石壁だった。


武器を取りに行った7人は、二ヤで武器を持って出てきた。


「中1トリオを、3人チームにして良いかな?」と恭子が二ヤで言った。

「仕方ない・・最強の戦士を付けよう・・フー、おいで~」とマキが木に登って遊ぶフーを呼んだ。


フーはマキに呼ばれて嬉しそうに駆けてきた、マキも笑顔でフーを抱き上げた。


「フー・・この未熟な3人の護衛を頼むね、守ってあげてね」とマキがフーに笑顔で言った。

フーは中1トリオを見て、二ヤで頷いた。


マキがフーを降ろすと、フーはジープに飛び乗った。

そして自分のサングラスをかけて、無線機を持って出てきた。


そして美由紀の前に立ち、二ヤで無線機を差し出した。

「それが人にものを頼む態度なのか?・・だいたい、話せないお前が無線機をどう使うんだ?」と美由紀は二ヤで言った。

フーは二ヤ継続で、強く美由紀に無線機を突き出した。


「美由紀・・頼りになるんだから、付けてあげなよ~」と秀美が二ヤで言って。

「そうだよ~・・守り神なんだからね」と沙織も二ヤで言った。


「もう・・みんな甘過ぎるよ・・フーって、案外腹黒いかもよ」と美由紀はフーの無線機を受け取って、フーの耳に装着した。

フーは自分のぽっこりお腹を見ていた。


「中身なの・・中身の色よ」と美由紀がフーに二ヤで言った。


フーはその言葉で、右手で左手をポンと叩いた。

そして脇の縫い目から、白い綿を引きずり出して美由紀に見せた。

全員がフーのその行動を見て、呆気に取られていた。


「もう、内臓出したみたいで気持ち悪い・・分かったから、白いね~・・フーの中身は、白い中身だね~」と美由紀はウルで言った。

フーはその言葉で綿を詰め直していた、6人は爆笑していた。


「もう・・フーは、駄目でしょ」とサーが言って。

「すぐに出すんだから・・そんな行為じゃ、痩せません」とシーが言って。

「もっと複雑に縫い込もうか」とスーが二ヤで言って、3人が綿を詰めた。

そしてステッキを縫い針に変え、3人で協力して縫っていた。


「なるほど~・・そんな仕事もあるんだ~、大変だね」と久美子が微笑んで。

「なんせ、自分で中身を出すからね~・・大変だよ~」とヨーコも妖精達に笑顔で言った。

妖精達はウルで何度も頷いた、7人はフーに二ヤを出した。


「さぁ、行こう・・まずは門を見にね・・小僧に次回来た時に、砂を何とかしてと頼まれたから」とヨーコが言って4人が歩き出した。


妖精のフーを縫う作業も終わり、美由紀がフーを二ヤで見た。


「フー・・お前の1番好きな場所に連れてって・・誰も知らない場所に」と美由紀が笑顔で言った。

フーはそれを聞いて二ヤを出し、【こっちだ】と言うように二ヤで顎で示した。


「了解です・・フー隊長」と秀美が笑顔で言って。

「お供します・・フー隊長」と沙織も笑顔で言って、フーを挟んで歩き出した。

美由紀はその背中を見ていた、美由紀の肩には3人の妖精が乗っていた。


「絶対にまずいよ・・お調子者を調子に乗せると、大変な事をやらかすよ」と美由紀が2人の背中を見ながら呟いた。

「そうなんです・・危険な感じです~」とサーがウルで言って、スーとシーもウルで頷いた。


しかしフーのお気に入りの場所に有る、動力の源が姿を見せる。


その精巧な作りを見て、私は不思議に感じてしまう。


沙紀や由美子が、それを見たのだろうかと考えてしまう。


ペプラの神殿は、中立な場所なのかと・・悩んでしまうのだ・・。






 







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