【冬物語第三章・・悪意の門⑯】
同じ1日が過ぎるだけ、陽が沈み・・登るだけ。
スタート地点を感じたい、その想いが暦を作ったのだろう。
太古の昔の人間達が、太陽の動きで感じたのだろう。
実感は周りが作り出す、新しい年が来る雰囲気で教える。
時は止まらない、時という設定に止まるという項目は無い。
戻るも飛び越えるも存在しない、だだ平等に同じ速度で流れるだけ。
薄曇の寒い冬の朝だった、大晦日の匂いが街中に溢れていた。
私がユリカの部屋に戻ると、シオンがユリカに挨拶をしていた。
その瞳が強くなっていた、私は素敵な話がリンダからあったのだと思っていた。
私はリンダにある事を託されていた、リンダとカリーの思い出のシーンを見せてと言った。
ユリカとリアンとシオンとリリー、この4人に見せて欲しいと頼まれていた。
私は突然リアンに抱かれた、リアンの二ヤ顔が間近に有った。
「エース・・今年は世話になった・・明日、楽しみにしてるよ」とリアンが笑顔で言った。
『ありがとう、リアン・・お世話になりました、待ってるよ』と笑顔で返した、美しいリアンの炎に包まれていた。
そして私はシオンに抱かれて、シオンの少し高い温度を感じていた。
『シオン・・良かったね、素敵な話があったんだね・・ありがとう、シオン・・白い弾丸を撃ってくれて』と笑顔で言った。
「今度、先生にはお話しますね・・ありがとう、先生・・シオンには、本当に素敵な年でした」と美しいニコちゃんで返された。
私は笑顔で頷いて、ユリカと私で2人を玄関まで見送った。
そしてユリカを抱き上げて、リビングまで戻った。
ユリカは嬉しそうだった、ユリカが瞳を閉じて少し充電した。
ユリカを降ろすと、化粧道具を出して化粧を始めたので、私は最後の食器を洗っていた。
「最初に母さんにお届け物をするよ・・ユリ姉さんの伊勢海老と、私から毛蟹、リアンがアワビ、蘭が牛肉だから」とユリカが笑顔で言った。
『了解・・凄い正月になりそうだね』と笑顔で返した。
「エースの実家の・・あの離れって、元は何だったの?」とユリカが笑顔で言った。
『柔道場だったらしいよ・・親父が土地を探してる時に、それ付きで良いと言われて即決したんだよ』と笑顔で返した。
「敷地は広いよね~・・さすが、勝也父さんだね」とユリカが化粧をしながら言った。
『大工だから・・土地が上がるって思ってたんだよ、だから土地だけ安い内に手に入れた・・家は自分で作るんだからね』と二ヤで返した。
「でも・・あの辺りは良いよね、街にも近いし・・静かだしね」とユリカが私を見て言った。
『原野だったらしいよ・・俺の実家の周辺は、水没の危険は無いけど。
大淀川が近くて・・台風の通り道の宮崎じゃ、怖い場所だからね。
それが有るから、戦後に売りに出たし・・買い手も躊躇してたらしい。
親父は和尚の側で暮らしたかった、それだけは俺にも分かってる。
自分もそう思ってたし、何より律子の為にそうしたんだろうね。
律子は和尚といる時が、1番精神的に安定していたらしいから。
和尚を常に近くに感じさせて、律子の安定を確保したんだろうね。
律子は言ったよ・・ユリカは素敵だって、自分より高みに行く。
それを感じられて・・嬉しいんだって言ってたよ』
私はキッチンを掃除しながら、ユリカに笑顔で言った。
「泣かすなよ・・ありがとう、嬉しい話をしてくれて」とユリカが笑顔で返して、鏡に視線を戻した。
「それで、その後の予定は?」とユリカが鏡に向かって言った。
『マリの家に寄って、今日の分の同調を入れてもらって・・由美子に会う、俺にはそれだけだよ』と笑顔で言った。
「うん・・マリちゃんに同調入れてもらわないと、今夜が楽しめないから・・エースなら、由美子の変化に驚くよ」とユリカが二ヤで言った。
『ルミの奴~・・凄いよな~・・それもリンダと2人同時なら、由美子の喜びは爆発したね』と笑顔で返した。
「したと思うよ・・私でも由美子の喜びを感じたから・・北斗姉さんは、泣いてたよ」とユリカが化粧を仕上げて言った、私も笑顔で頷いた。
その時、ユリカの家の電話が鳴った、ユリカが出て笑顔で話して受話器を置いた。
「マリちゃんも、覚醒が加速してるね・・病院で会いましょうって、電話してきたよ」とユリカが嬉しそうに言った。
『やれると判断したね・・年末の最高のプレゼントだな』と私は二ヤで言った、ユリアの強烈な波動が吹いてきた。
「隠したね~・・良いよ、楽しみが出来たから」とユリカが二ヤで言って、2人で出かけた。
ご機嫌ユリカの隣に乗って、私はアイカの事を話していた。
ユリカは興味津々で聞いていた、何よりも生後4ヶ月の乳児に会えるのが嬉しいと言っていた。
実家のガレージに親父の車が無かったので、そこにワーゲンを入れた。
沢山の食材を私が持って、ユリカが自分の贈り物の蟹だけを持っていた。
勝手口から覗くと、律子と美由紀の母親の節子とミナミの笑顔が見えた。
エプロンをした限界ファイブがいた、久美子まで手伝いに来ていた。
私はユリカを促して、ユリカが家に上がり律子に蟹を渡した。
私が荷物を置いて、ユリカが誰の贈り物かを説明した。
「ありがとう、ユリカ・・最高の食材が揃ったよ」と律子が笑顔で返した。
「明日、お世話になりますから・・今日は、お手伝いの必要は無さそうですね」と限界ファイブを見て二ヤで言った。
『久美子・・包丁はあまり握るなよ、指を怪我するぞ』と私は久美子に言った。
「は~い・・気を付けます、マネジャー」と久美子が笑顔で返してきた。
ユリカがリビングで、律子と節子とミナミと4人で座って話していた。
私は自分の部屋に行き、律子が用意した大晦日恒例の新しい下着を取った。
限界ファイブの笑い声が絶えずに、ツネ婆さんが来て栗きんとんの作り方講座が始まっていた。
ユリカが笑顔でツネ婆さんに挨拶して、2人で家を出た。
車に乗り病院を目指していた、ユリカはご機嫌全開だった。
「おせち料理って、ああやって作るんだね・・さすが律子母さんだよ」とユリカが前を見て笑顔で言った。
『各家で作ると大変でしょ、種類が多いし・・手間のかかるのが多いよね。
それに料理の伝承だよね、ツネさんが伝え・・それを限界ファイブに繋ぐ。
施設の子も、中学生以上の女子はもうすぐ来るよ・・大切な文化だからね。
年末はそれを楽しむ、それが継承したい文化なんだろうね。
料理じゃないよね、心の持ち方なんだよ・・同じ日付が変わるだけだけど。
でもどっかでスタート地点を感じたい、それを感じる為に準備する。
新年を迎えるという準備は、スタート地点に立つ準備なんだろうね』
私も前を見て笑顔で言った、ユリカも笑顔で頷いた。
病院の駐車場に入れて、誰もいない1階のロビーを腕を組んで歩いた。
いつもより静かな、4階で記帳してると、婦長が笑顔で来た。
私とユリカは感謝の言葉で年末の挨拶をした、婦長も笑顔で返してくれた。
「小僧ちゃん・・礼のヒトミちゃんの左手の話だけど。
ナースの聞きたいという要望が強くてね、院長もそれを喜んで提案したの。
4日に・・簡単な仕事始め式があるの、その後2時間取ったから。
4日の10時に来てくれる、大丈夫かな?」
婦長が笑顔で言った、私も笑顔で頷いた。
『了解です、大丈夫です・・美由紀も大丈夫だと思います・・俺も嬉しかったよ』と笑顔で返した。
「ありがとう・・楽しみにしてるね、大切な話だから」と言った婦長に頭を下げて、由美子の部屋に向かった。
私は由美子の部屋を開けた瞬間に感じた、マリはやる気だと感じていた。
マリは真剣に北斗と祖父と祖母に話していた、ユリカと私は笑顔で挨拶した。
私は祖父に久々に会って、その嬉しそうな笑顔を見て嬉しかった。
「小僧・・概要は私と北斗姉さんで話したから、アドバイスをしてくれよ」とマリが笑顔で言った。
私はソファーにユリカを座らせて、由美子を見ていた。
由美子の雰囲気が温もりに溢れていて、ワクワク感をそこからでも感じていた。
ユリカもワクワク笑顔で私を見た、私はユリカに笑顔を送った。
『ユリア・・貯めてた時間を使おうか』と私は天井を見上げて言った。
強烈な【待ってました】の波動が吹いて、ユリカは驚いて私を見ていた。
『ありがとう、ユリア・・お2人とも、緊張しなくて大丈夫ですよ。
ユリアがこの時の為に、自分の時間を用意してきたから。
お2人は心を空にする感じで、目を閉じて白い世界をイメージして下さい。
目を閉じると、黒く暗い世界ですよね・・それを純白にするイメージです。
その作業が集中を促しますから、マリが迎えに来れます。
そしてユリアがフォローしますから、お2人なら絶対に入れます。
ユリカ・・これはユリカがいないと出来ない、俺や北斗じゃ無理なんだ。
ユリカがマリの同調に入る時に、由美子を迎えに行ってよ。
ユリアがその方向を教えてくれるから、大丈夫だよ・・今の由美子なら。
あの白いドア・・フーの場所に、由美子を抱いてきてね。
ユリカとユリアの姉妹がいないと、由美子にはまだ出来ないんだ。
1度でも入れれば・・由美子も感じるから、次からは出来るよ。
やってみましょう・・これが私の感じて欲しい、由美子の成長です。
抱いてあげて下さい・・由美子はそれを夢見てきた、お2人に抱かれる事を。
大好きなお爺ちゃんと、お婆ちゃんに抱かれる事を・・夢見てきたから』
私は涙を流す祖父母を見ながら、北斗の喜びの笑顔を見ていた。
ユリカは完璧な集中に入って、私を深海の瞳で見ていた。
「大丈夫・・必ず連れて行くよ、確信的にそう思える」とユリカが静かに言った。
『それは心配してないよ・・お2人が落ち着いたら、始めようね。
最初に言っときますが・・短時間です、由美子の負担にならないように。
もちろん・・今回でだけではありません、定期的に出来ると思います
由美子が慣れれば時間も延ばせます、今日は短時間です。
それだけを心に持って下さい、絶対に別れを惜しまないで。
それを由美子は感じますから・・約束して下さい』
私は少し落ち着いた祖父母に、強く言葉にした。
「約束するよ・・短時間、一瞬だけで充分だよ・・それを感じる事が出来るなら」と祖父が笑顔で言って、祖母も笑顔で頷いた。
私はそれを聞いて笑顔で返して、由美子のベッドに後ろから上った。
由美子の足に触れないように気をつけて、由美子の左手を握った。
その強い温度に驚いて、私は自然に笑顔になって由美子を見た。
『由美子・・白い世界だよね、そこにフーを描いてね』と笑顔で言った。
《うん・・ありがとう、小僧ちゃん・・フーちゃんを描いて待ってるね》と由美子が返してきた。
「それが方法なの!・・それが沙紀がフーに込めた想いなの」とユリカが驚いて言った。
『そうだと思うよ・・沙紀はずっと考えてた、由美子が同調できるアイテムを。
それは絵じゃ駄目なんだ、絵の世界は沙紀しか入れない。
由美子にどうやって同じイメージを持たせよう、それを考えて導き出した。
生命の無いものに、生命を吹き込めば・・由美子に会いに行ってくれる。
それと由美子が触れ合えば・・同じイメージが持てる、そう沙紀は考えた。
それが描写の申し子、沙紀の考え出した作戦だよ・・それを感じた。
ルミはそれを感じて、由美子に昨日会いに来た・・ルミを繋いだ。
俺じゃない・・沙紀がその愛情と友情で繋いだ、由美子の同調を』
私は笑顔で言った、ユリカは喜びの笑顔を爆発させて強く頷いた。
『由美子の右手をユリカが握って、次が北斗・・北斗と俺が手を繋ぐ。
そしてお婆ちゃんが、俺とマリと手を繋いで下さい。
お爺ちゃんが由美子の左手とマリです、それで繋がります。
お2人は、白をイメージして・・声が聞こえたら、その方向を向いて。
ユリカは分かってると思うけど・・白い世界のフーをイメージ。
北斗は管制室に来て、俺が待ってるから・・焦らなくて良いです。
ゆっくりと、気持ちを開放して・・ただ白い世界をイメージして。
行きますよ・・由美子が待ってます、ワクワクしながら』
私は笑顔で言って、全員が椅子に座って手を繋いだのを確認した。
私は祖父母に笑顔を向けて、目を閉じて管制室を出した。
北斗がすぐに入ってきて、私を強く抱いてくれた。
私は北斗を抱きしめて、北斗の喜びを感じていた。
『北斗・・行こう、由美子が来るよ』と優しく言った、北斗は笑顔で頷いた。
北斗はおとぎの国を見て笑顔になって、ずっと私の腕を強く組んでいた。
北斗は言葉を出さなかった、私は喜びが強すぎて出せないと思っていた。
北斗をポルシェ911ターボの助手席に乗せて、私が運転席に乗りフーの家を目指した。
北斗は嬉しそうな笑顔で、快晴のおとぎの国を車窓から見ていた。
ハチ公のログハウスが見えると、芝生の場所に溢れる笑顔が見えた。
フーが抱きつき妖精達に囲まれ、ボンビにスリスリされる由美子が見えてきた。
北斗は由美子を見て、笑顔のまま大粒の涙を流した。
ログハウスの横に911を止めると、北斗が駆け出した。
ハチ公がそれに気付いて、白馬を動かし由美子への道を開けた。
由美子は北斗を見て、笑顔を爆発させて立ち上がった。
北斗は由美子を抱き上げて、由美子の頬に何度もキスをした。
ユリカが屈んで号泣して、そこにフーが駆け寄った。
ユリカがフーを抱くと、フーは全力でユリカを抱いて、左腕でユリカの涙を拭っていた。
私は優しく見つめる白馬の横に立って、その光景を見ていた。
由美子が私に気付き、笑顔を見せてくれた。
『由美子・・あの白いドアだけ、覚えて帰ってね』と由美子に近づき笑顔で言った。
「はい・・絶対に来れるようになるよ、由美子も出来るようになる」と由美子が強く返してくれた。
「もちろん出来ますよ、由美子姫様ならば・・必ず出来ますよ」とハチ公が笑顔で言った。
「ありがとう、ハチ公ちゃん・・2つ目の挑戦の扉を、自分で作るね」と由美子が笑顔で返した、ハチ公は瞳を潤ませて笑顔で頷いた。
その時ドアの開く音がした、マリが祖父母を連れて出てきた。
祖父母は恐々入ってきて、北斗が抱く由美子を見て駆け出した。
北斗が祖父に由美子を渡した、祖父は泣きながら笑顔で抱きしめた、祖母も由美子に寄り添って泣いていた。
北斗が戻ってきて、ハチ公を抱きしめた。
私は北斗にハチ公を紹介して、ハチ公に他のメンバーの紹介を頼んだ。
北斗がフーを笑顔で抱き上げて、おとぎに国の仲間達に自己紹介をしていた。
私はユリカを抱き上げて、ベンチに座っていた。
マリも泣きながら、由美子の笑顔を見ていた。
「これが沙紀の求めた世界・・最高の世界だね、沙紀は描ききったんだね・・愛を描ききった」とユリカが泣きながら呟いた。
『描ききってないよ・・まだ第一段階だよ、ペプラの門が閉ざされてる・・まだ始まったばかりだよ』と私はユリカに笑顔で言った。
「そうだね・・始まったばかりだね、ありがとう・・ユリア」とユリカが笑顔で言った。
強烈な同意の波動が吹き抜けて、ユリカもマリも笑顔になった。
『時間だね・・ユリカ、由美子を連れてドアに入ってね』と私は笑顔で言った、ユリカが強く頷いた。
私はユリカを降ろして、笑顔の祖父母に歩み寄った。
由美子が私に笑顔で手を伸ばした、祖母が笑顔で渡してくれた。
私が由美子を抱き上げると、由美子にお礼を言われた、私も笑顔で頷いてマリに由美子を抱かせた。
マリは由美子と笑顔で話して、ユリカと一緒にドアに向かって歩いた。
全員が白いドアの前に集まった、マリはユリカに由美子を渡した。
『由美子姫・・私達は、もう眠り姫とは呼びません・・いつでもお待ちしています』とハチ公が笑顔で言った。
「はい・・みなさんありがとう、また遊びに来ますね」と由美子は笑顔で言って手を振った。
全員笑顔で手を振って見送った、北斗にも祖父母にも涙は無かった。
ユリカが由美子を抱いて、ドアの開けて入っていった。
私は閉じたドアを、北斗と祖父母に記憶させて、おとぎの国の仲間に手を振ってドアの中に入った。
ドアを閉めて、映像を切った。
目の前の由美子の左手を握ると、温度が強く揺れていた。
《ありがとう・・ありがとう、小僧ちゃん》と由美子が強く伝えてきた。
『ありがとう、由美子・・来年も、楽しい事を教えてあげるよ・・少しお休み』と優しく返した。
由美子の嬉しそうな返事を聞いて、私はベッドを降りた。
ユリカとマリが、祖父母に抱かれてお礼を言われていた。
私はその笑顔を見ただけで嬉しかった、沙紀に感謝していた。
私が北斗が抱く由美子の絵を見ていると、祖母が強く抱いてくれた。
「ありがとう、最高の時間だった・・最高の年だったよ」と祖母が泣きながら言った、祖父も笑顔で頭を下げた。
『来年は、それ以上の年ですよ・・約束します』と私は笑顔で返した、祖父母が笑顔で頷いた。
ユリカとマリと3人で、年末の挨拶と感謝を伝えて病室を出た。
「良い年末だったね、小僧・・沙紀のおかげで」とマリが笑顔で言った。
『そうだね、マリ・・明日、ペプラの調査に行くだろ?』と笑顔で言った。
「当たり前だ・・一年の計は元旦にある・・私達には、休息と言う言葉は無いよ」とマリが二ヤで言った。
「私もリアンと後で追いかけるよ、ヨッパの2人で」とユリカが笑顔で言った。
『泥酔者には・・ロボットオヤジに運転を頼むよ、竜巻の前までだよ』と二ヤで言った。
「了解・・酔ってのクルクルは危険かも」とユリカがウルで言って、3人で笑った。
暮れ行く年も、残り半日になっていた。
私は笑顔で素敵な年を見送っていた、出会いに感謝をしながら。
ファミレスでお昼食べて、マリを家に送った。
マリに明日のお迎え時間を言って、笑顔で手を振って別れた。
ユリカはご機嫌笑顔で運転していた、私も嬉しくて笑顔だった。
「今年のやり残した事は無いね?」とユリカが二ヤで言った。
『うん・・終了です、後はユリカの添い寝だけだよ』と二ヤで言った。
「よし・・帰ろうか、今日は休息の日にしよう」とユリカが言って、マンションに方向に向けた。
橘橋の北詰交差点の信号で止まった、私は映像で見ていた。
エミが走り出し、私が抱き上げる場面を。
私はそれだけで嬉しかった、エミの笑顔が見れたから。
薄曇の少し暗い冬空でも、心は快晴だった。
蘭の満開を思い出しながら、ユリカの笑顔を見ていた。
私の心のテーブルに乗る、大切な2つの笑顔を見ていた。
ユリカの部屋に入って、ユリカがお風呂にお湯を溜めた。
ユリカが夜は手料理を作ると言って、化粧を落とし始めたので。
私はマチルダが置いていった、英語の雑誌を見ていた。
『ユリカ・・この文章のこの使い方なら・・否定的じゃないの?』と私はその言葉を見つけてユリカに聞いた。
「会話なら・・こうしたいとか、こう思うとか・・そんな解釈だよ」とユリカが雑誌を見て笑顔で言った。
『そっか・・そうなんだね』と笑顔で返して、雑誌に視線を戻した。
「何を隠してるの?・・まだ何か有るよね?」とユリカが二ヤで言った。
『話すけど・・今日と明日は要求しないでね。
楽しい気分でいたいし、俺には大切なユリカとの添い寝だから。
リンダが見せてと言ったんだ、カリーとの思い出の場面を。
ユリカとリアンとリリーとシオンに、見せて欲しいと頼まれた。
俺はもちろん了承したよ、ユリカにはリアンと一緒に見せる。
通訳をして欲しいからね、俺は側にいない・・俺は必ず自分で訳す。
リンダが白鳥の歌を、一字一字調べたようね・・自分で探したい。
カリーの伝言を・・自分で感じたいから、リンダの気持ちもね。
だから仕事が始まる前に、4人に見せるよ・・それまで待ってね』
私は笑顔で言った、ユリカは美しい笑顔で頷いてくれた。
「23歳のトリオには、リンダは自分で話したいんだね」とユリカが笑顔で言った。
『そう思うよ』と笑顔で返した。
風呂に湯が溜まり、私が先に入り新しい下着に着替えた。
ユリカが風呂に入って、暖かそうなパジャマを着て出てきた。
ユリカはビールを出してくれて、二人でビールを飲みながら話した。
ユリカが夕食を作るのを手伝って、2人でユリカの作った料理で乾杯した。
TVではレコード大賞の放送が始まっていた、私達はTVをBGMにして話していた。
出会ってからの歩みを互いに話しながら、私はウルと二ヤと笑顔を交互に出した。
最後に年越しのお蕎麦を食べて、2人で食器を洗って歯を磨いた。
ユリカは10時過ぎには、二ヤでベッドに誘った。
私も二ヤでユリカを抱き上げて、ベッドルームに入って添い寝した。
「リアル時計は用意したの?」とユリカが二ヤで言った。
『もちろん・・新年は分かるよ・・行こうか』と二ヤで返した。
ユリカが爽やか笑顔で頷いたので、私も笑顔でユリカを見て目を閉じた。
ハチ公が二ヤで迎えてくれて、私の後ろからユリカが入ってきた。
『白馬とボンビ親子は?』と私がハチ公に聞いた。
「眠りましたよ・・もう睡眠時間です」とハチ公が二ヤで返してきた。
ユリカにフーが駆け寄り、ユリカが笑顔で抱き上げた。
『よし・・それなら、まだ見てない場所を見に行こう、鉄の車を取りに行くぞ』とハチ公に言った、ユリカが嬉しそうな笑顔で頷いた。
『ユリカ、フーと遊んでてね・・少し時間がかかる、行きはハチ公に運転させるから』と二ヤで言った。
「やった~・・嬉しいな~」とハチ公が言って、車庫に歩き出した。
「ハチ公・・調子に乗るなよ~」とユリカが二ヤで言った、ハチ公は振り向いてウルで頷いた。
私は車庫の裏のシャッターを開けて、バックでミニクーパーを出した。
そしてニヤで運転席を降りて、ハチ公を座らせた。
私が助手席に乗ると、ハチ公が緊張してハンドルを握っていた。
『緊張するなよ・・簡単操作になってるから、昨日教えたクラッチは繋ぎやすい・・まずは、車幅感覚を覚えろよ』とハチ公に二ヤで言った。
「了解です・・行くよ」とハチ公が笑顔で言った、私も笑顔で頷いた。
ゆっくりとスタートした、ハチ公は真剣に前を見ていた。
森の中を新しく貫く、狭いカード柄の道をゆっくりと走っていた。
お城が遠くに見えて、元から有る大きな通りに出て、ハチ公はスピードを少し上げた。
車幅感覚にも慣れたようで、私は猫の研ぎ澄まされた運動神経を感じていた。
ハチ公は無難に入口の車両置き場に車を止めた、私は広さを重視してBMWを選んだ。
ハチ公を助手席に乗せてフル加速すると、ハチ公が目を丸くして前を見ていた。
私は二ヤで速度を上げて、フーの家の横に静かに止まった。
ユリカが爽やか笑顔で、フーを抱いて後部座席に乗ると、妖精達も乗ってきた。
『さて・・ハチ公、どこがお勧めかな?』と笑顔で聞いた。
「砂漠の逆方向にある、連なる山が見える高原が良い・・星空に近くて素敵ですよ」とハチ公が笑顔で返してきた。
「決定・・そこにしよう」とユリカが笑顔で言った、妖精達も笑顔で頷いた。
『方向は、戻るんだね?』と笑顔で聞いた。
「はい・・湖の別れ道まで」とハチ公が笑顔で返してきた、私も笑顔で頷いてUターンして走っていた。
私はユリカと新年を迎えた、高原で星空を見ながら。
そして羊水の揺り篭に揺られて眠った、懐かしく感じる子守唄を聞きながら。
翌朝、初日の出で目覚めた、快晴の冬空が広がっていた。
新年がやってきたが、私の弾む心は14時間後に終了する。
ルミの悪意の門が待っていた、龍と虎の守る強固な門だった。
そして神殿に隠されていた、違和感を放出する円形の池が。
初日の出を見に繰り出した、車の渋滞をすり抜けて、黒いケンメリが走っていた。
マリは両親と新年を祝っていた、美由紀も沙織も秀美も両親に囲まれていた。
マキは祖母と、恭子は豊と豊の祖父と、久美子はレンと祝っていた。
律子と勝也の側には、シズカとヨーコが笑顔で座っていた。
由美子は病室で、北斗と祖父母の笑顔に囲まれていた。
私はユリカと笑顔で新年の挨拶をして、朝食を食べていた。
幕開けはゴングの音が響く、爆笑を連れて吹き荒れる。
美由紀がフル加速をする、負けず嫌いという燃料を燃やして。
挑むべき5人を目の当たりにして、ニヤニヤで加速する。
迷い無き笑いの女神、美由紀がフーと初のコンビ技を見せる。
正月恒例のお笑い番組を凌駕する、爆笑コンビがニヤニヤで待っていた。
新年を祝う・・お笑いバトルが幕を上げる、神殿の舞台の上で・・。