【冬物語第三章・・悪意の門⑮】
乳児という存在は圧倒的である、人間の本来の姿なのだろうか。
その癒しは何に響くのだろう、記憶の奥底なのだろうか?
他の部屋より暖かな乳児室に、天使の笑い声が響いていた。
生後2週間の乳児は、目を開いて黒く美しい瞳を見ていた。
マリは喜びで少し震えていた、感性の鋭すぎるマリは生後間もない昌平で何を感じたのだろう。
昌平の瞳を優しい笑顔で見ながら、ベッドの方に歩いた。
マリが優しく慎重に昌平をベッドに寝かせた、マリは昌平を笑顔で見ていた。
私はアイカをベッドに寝かせた蘭に、モモカを渡して寿子に挨拶した。
蘭もマリも寿子に笑顔でお礼を言って、乳児室を出て勉強部屋に歩いた。
突然、爆発的なユリカの波動が来た、私もモモカも驚いた。
「由美子が・・リンダさんと、ルミに出会った・・あの2人は異次元を見せる」とマリが二ヤで言った。
『なるほどね~・・それも見たかったな~』と私は二ヤで返した。
「ルミの由美子に対する影響力って・・どんな感じなんだろ~」と蘭が呟いた。
「引っ張るんですよ~・・それも強い力で。
ギューって感じで、心の中のロープを引っ張ります。
私もギューをしてもらいました、素敵な感じで~す。
モモカ・・まだまだ力が弱いから、自分で引っ張れなくて。
それなら良いよって、ルミちゃんが言ってくれて。
1本だけ・・引っ張り出してくれました~、由美子ちゃんのが楽しみです。
由美子ちゃんは、沢山持ってますから・・自分で頑張ってましたから。
今回は・・心の動きですね、由美子ちゃん出来るようになります。
モモカ・・嬉しいな~・・由美子ちゃんと、お話ができます。
今度・・沙紀ちゃんが、モモカの絵を描いてくれるから。
それで・・3人で遊べるのです・・ルミちゃんが、引っ張ったから。
由美子ちゃんが・・気付きましたね、ルミちゃん凄いな~」
モモカは独り言のような、春風の囁きで言った。
蘭は立ち止まり、マリはモモカを凝視して、ユリアの波動がニコちゃんだった。
制御の利かない強烈なユリカの波動が、何度も何度も押し寄せた。
『そうなんだ~・・モモカ、良かったね』と私はモモカの言葉には凍結しないので、笑顔で言った。
「コジョは変ですよね~・・絶好調なのに、緊張して~」とモモカが私に笑顔で言った。
『そうだよな~・・好調だと、裏を読むんだよ』とウルで返した。
「それは小さな好調でしょ?・・今は、沙紀ちゃんが準備した絶好調ですよ・・沙紀ちゃんが、絵で描いた好調です」とモモカが笑った。
『そっか・・ありがとう、モモカ・・俺も楽しむよ』と笑顔で返した。
「はっきりと理解した、モモカとマリアの世界は・・境界線の内側にある」と蘭が満開笑顔でマリに言った。
「そうですよ~・・モモカとマリアは、別の世界です」とマリがモモカに二ヤで言った。
「マリちゃん・・まだまだですね~・・世界なんて区切りをして」とモモカがルンルン笑顔で返した。
マリはハッとしてモモカを見て、笑顔になって頷いた。
勉強部屋を廊下から覗くと、マチルダが子供達に囲まれて輝いていた。
「素敵な人だな~・・子供達で回復してる、疲れないんじゃなくて・・回復するんだ~」とモモカがマチルダを見て言った。
「そうだよね、モモカ・・マチルダもリンダも、素敵な人だよ」と蘭が満開笑顔で言った、モモカは蘭を見上げて笑顔で頷いた。
哲夫が私達を見て、マチルダを促した。
マチルダは立って又来ますと笑顔で言って、子供達が笑顔で頭を下げた。
正面玄関で子供達の笑顔に見送られ、私達は施設を出た。
私は玄関を出た場所で、マチルダにモモカを渡した、モモカはルンルン笑顔で桜の下のベンチに誘った。
玄関前に哲夫がいたので、哲夫にモモカを頼んで3人で車を目指した。
マチルダの大切な出会いを、邪魔したくなかったのだ。
車の中で、蘭の楽しそうなモモカとの話を聞いていた。
10分ほどして、マチルダが輝く笑顔で帰ってきた。
「マチルダ・・添い寝の必要ないんじゃない?」と蘭が満開二ヤで言った。
「それは絶対に必要です・・添い寝で、完全に復活します」とマチルダが二ヤで返した。
蘭が満開笑顔で頷いて、夜街に向かい走り出した。
マチルダはモモカとの話はしなかったが、私達3人は大切な春風の囁きだったと感じていた。
「帰って来る度に、新しい素敵な出会いがある・・そして素敵な物語も、本当に嬉しいです」とマチルダが笑顔で言った。
「ここで暮らしてる、私達でもそうだよ」と蘭が満開で返した。
年末の静けさを感じる町並みを、黒いケンメリが走っていた。
私はモモカの言葉で、ピースが揃うのを心から楽しんでいた。
マリを家に送り、笑顔で手を振って別れた。
赤玉駐車場に車を止めて、TVルームに入った。
勝也が来ていて、TVルームの奥には扉が出来ていた。
私はその奥の事務所スペースを見て、ニヤニヤを親父に出した。
「良い感じだろ~・・このビルは作りがしっかりしてるよ」と親父が笑顔で言って、マチルダと蘭の横に行った。
「マチルダ・・少し疲れが取れたな」と親父が笑顔で言った。
「はい・・施設の子供達のおかげで、楽しい時間を過ごしました」とマチルダが輝く笑顔で返した。
親父も笑顔で頷いて、職人さんに塗装の指示を出してTVルームを出て行った。
3人で話していると、レンとハルカとマキが来た。
「ハルカ・・明日の迎え、10時で良い?」と蘭が満開笑顔で言った。
「もちろん、お願いします」とハルカが笑顔で頭を下げた。
「2人で、リンダとマチルダを空港で見送ろうね・・リンダが年末に、小僧が泣くのは見たくないらしいから」と蘭が満開二ヤで言った。
「そうですよね~・・それにどっちを抱き上げて良いか分からずに、ウルウルを出しますから~」とハルカが二ヤで言った。
私は当然、ウルウルで反撃していた。
「エース・・律子母さんが、お泊りしてって言ったけど・・大人数で大丈夫なの?」とレンが笑顔で言った。
『あぁ・・それは問題無いよ、広いだけの大工の家だからね。
別棟に大広間があるから、布団も有るし・・30人は楽に泊まれるよ。
律子の親戚が多いし、年に何度か施設の子供を全員招待するからね。
元旦は、限界ファイブと中1トリオにマリ、カレンとレンとケイコ。
それにユリカとリアンと蘭とシオンと、アンナ親子と沙紀は決定済みだよ。
このメンバーで寝れるならね、女子高の修学旅行みたいに。
ルミの門に、限界ファイブと中1トリオを挑ませるし。
退屈したら・・フーと遊んでよ、仲間も増えたから。
それにスペシャルゲストの、4ヶ月の乳児も来るから。
哲夫とモモカも夕方まではいるだろうし、楽しいと思うよ』
私は二ヤで言った、レンの嬉しそうな笑顔が出ていた。
「聞いてしまった~・・帰る心が揺らぐじゃない」とハルカがウルで言って。
「私もだよ~・・言わないでよ、楽しそうだな~」とマチルダがウルで言った。
リアンとシオンが来て、ユリさんがマリアと来た。
ユリカがリンダと来て、女性達が仕事が休みの開放感で盛り上がっていた。
私はマリアを抱いて、立ち上がり眠りに誘っていた。
「えーしゅ・・すこしだけ・・ちょっとだけ・・まりあも」とマリアが天使ウルで言った。
『マリア!・・ウルも覚えたの、可愛いな~・・負けたよ、少しだけだよ・・4番目のマリア姫』と笑顔で言った。
マリアは最強天使笑顔で返してくれた、私も笑顔で座った。
「4番目のお姫様ですか・・楽しそうですね」とユリさんが薔薇の笑顔で言って。
「それは素敵な世界ですよ・・ユリ姉さんも、来年のお楽しみに~」とリアンが二ヤで言った。
「リアン姉さん・・それ以上は・・実家に帰る心が揺らぐから」とハルカがウルで言って。
「リアン、私もです・・それでなくても、律子姉さんと祝いたいのに」とユリさんも薔薇ウルで言った。
リアンとユリカはニヤニヤで頷いた、シオンとレンが笑顔でマリアを見ていた。
『マリア・・白いドアを作ったから、そこに来てね』と笑顔で言った。
「あい・・ここにもどあ~」と天使全開で言った。
「私は凍結しません・・少し感じました、モモカとマリアの世界を」と蘭が凍結する女性達に二ヤで言った。
私はその言葉を二ヤで聞いて、マリアに笑顔を送って目を閉じた。
私が白いドアを出すと、すぐにマリアが手を繋いできた。
私はマリアを連れて、ドアを開けた。
目の前にには、おとぎの国の全員がワクワク笑顔で待っていた。
私は天使全開のマリアを連れて、おとぎの国に入った、マリアの天使はそれまでの最強を示していた。
マリアは駆け寄ったフーに抱かれ、ハチ公に抱き上げられて芝生の場所に行った。
私はテーブルの椅子に腰掛けて、嬉しそうなマリアの天使全開を見ていた。
マリアの周りに全員が集まり、マリアも一人一人の頬に両手を当てて挨拶をしていた。
「確かに同じですね・・マリア姫はモモカ姫と」とハチ公が私を見て笑顔で言った。
『そうだよね・・重なるよ』と笑顔で返した。
ハチ公は笑顔で頷いて、マリアの天使を見ていた。
白馬が2頭で私の前に来た、私は笑顔で白馬の瞳を見ていた。
『そっか・・2人とボンビのお母さんには、名前が無かったね・・今度素敵なの考えとくよ』と笑顔で言った。
白馬は大きく首を振って、ボンビの母親も私にスリスリをした。
《確かに、心の休憩場所だね》と心に囁いた、ユリカのウルの波動が来た。
私はマリアの楽しげな声を聞きながら、城の横にカード柄の滑走路を作っていた。
可愛いデザインの格納庫作って、古い型の可愛い飛行機を収納した。
マリアを迎えに行って、天使全開のマリアを抱き上げた。
マリアは笑顔で手を振った、全員でドアの前まで見送ってくれた、私はドアに入り映像を切った。
私が目を開けると、マリアは眠りに入っていた。
全員の視線が私を見ていた、私はウルで返した。
「マリアのあんなに楽しそうな笑い声は、初めて聞きました」とユリさんがウルで言って。
「ふ~・・限界が来るところだった」とハルカがウルで言った。
『マリアにとっては、最高の場所ですからね』と笑顔で返して、マリアを見ていた。
「それでは・・マリアが眠ってるうちに、私も出発しますね」とユリさんが立ち上がった。
一人一人が年末の挨拶をして、私はTVルームの入口で待っていた。
女性達に見送られ、私はユリさんと駐車場に歩いた。
マリアを車に乗せると、ユリさんが律子にと言って、伊勢海老の入った木箱をくれた。
私はお礼と年末の挨拶をして感謝を伝え、薔薇と天使の乗った赤いZを見送った。
TVルームに戻ると塗装工事も終わっており、女性達が帰る準備をしていた。
『ハルカ・・今年はありがとう、来年は18だね・・勝負の年の挑戦場所を、無数に用意するよ』と笑顔で言った。
「ありがとう・・エースに出会えたから、今年デビュー出来たよ・・挑戦場所をよろしく、由美子の次の段階も」とハルカが笑顔で返してくれた。
『了解・・お姉さんに会えるの、楽しみにしてるよ』と笑顔で返して、全員でTVルームを出た。
ハルカを乗せたマキのバイクを見送って、3台の車に分かれて、ユリカのマンションを目指した。
夕暮れの町並みは、静かにたたずんでいた。
残り1日の年の瀬に、新年を迎える準備が着々と進んでいた。
ユリカのマンションに着くと、私はシオンが待つキッチンに引っ張られた。
「今夜・・お鍋にしてね、リンダとマチルダの為によろしく。
リンダの体を温めないと、夜の海で寒いといけないからね。
材料はこれのどれを使っても良いから、土鍋の大鍋を用意したから。
味付けは任せるよ、みんな楽しみにしてるからね」
ユリカが爽やか笑顔で言った、私も笑顔で頷いた。
食材は大きな蟹に、新巻鮭・高級牛肉・鶏肉・貝類・にアワビやホタテまであった。
野菜も全てが揃っていた、私はワクワクでスペシャル鍋を作り始めた。
シオンに野菜を切ってもらい、見たこともない大きな土鍋を火にかけた。
昆布で出汁を取り、鶏肉を入れて、順番に材料を投入しながら煮込んでいた。
「ホタテはどうします?」とシオンがニコちゃんで聞いた。
『シンプルに、バター炒めにしよう』と笑顔で返した。
私は蟹の頭部と足をばらし、頭部は鍋に入れて、足の作業に入った。
間接の半分の殻を綺麗に外して、皿に盛り付けて、シャブシャブ用にした。
鍋からは良い香りがし始めた、シオンはホタテのソテーをしていた。
ワインを隠し味に投入して、ニコニコちゃんで味をみていた。
リビングの女性達は交代で風呂に入って、くつろいで笑顔で話していた。
ホタテのソテーが終わったシオンを、風呂に入らせた。
リンダは夜の海に行くので、風呂には入ってなかった。
私はリビングのテーブルに、コンロを置いて準備した。
鍋の味見をして、ニヤニヤで食器の準備を始めた。
シオンが風呂から上がってきたので、女性達が食事の準備を始めた。
私は大鍋をコンロに持って行き、コンロの火を点けた。
リアンが高級なシャンパンを持ってきていて、それを全員に注いだ。
私は二ヤで鍋の蓋を取った、女性達の笑顔が溢れた。
「素敵な出会いのあった、19○○年に感謝して・・乾杯」とユリカが笑顔で言って。
「乾杯」と全員が笑顔で言って、グラスを合わせた。
私は大好評の鍋の味に、ニコちゃんになって食べていた。
女性達が鍋に入れるとパッと身が開く、蟹の開花シャブシャブに感激していた。
「しかし・・何をやらせても、楽しい物を作るよな~」とリアンが笑顔で言って。
「カニノハナ・・カンドウシタヨ」と隣のリンダが楽園笑顔で言った。
『漁師直伝だからね・・俺は勉強家です』と笑顔で返した。
「シズカちゃんが言ってました、エースは週1で晩御飯作ってたんですよね。
創作料理を家族に試してたんでしょ、退院祝いの献立の練習用で。
それが無くなったのが1番淋しい、シズカちゃんはそう言ってました。
小児病棟を退院する友達は、エースの手料理で退院祝いしてたんですね。
エースは退院という言葉が好きなんですよね、次の段階に進むから。
退院できない子供達を、沢山見てきたからですね。
エース・・必ず・・由美子ちゃんの退院祝いをやりましょね。
全員で・・笑顔で・・手料理でやりましょうね」
シオンがニコちゃんで言った、全員が笑顔で頷いた。
「フー・・よだれが垂れてるよ」と蘭が私に満開二ヤで言った。
「ハチ公もですね~・・駄目ですよ」とマチルダも私に笑顔で言って、全員が気付いて二ヤを出した。
「やばいよね~・・いよいよエースに話をする時は、嘘は言えなくなったね」とユリカが笑って。
「モトモト・・イエナイケド」とリンダも笑った。
「エース・・1つ聞くけど、なぜリンダ姉さんに・・温度の伝達を使わないの?」とマチルダが笑顔で聞いた。
ユリカがリンダに通訳して、リンダも二ヤで私を見た。
私はリンダの両手を握った、そしてリンダを笑顔で見た。
『それはお互いにだけど、2人とも挑戦者だからだよ。
俺はもちろん英会話が出来ないし、リンダも日本語が完璧じゃない。
リンダは確か6ヶ国語が堪能らしいけど、日本語はまだまだだよね。
だから俺の存在が・・宮崎の仲間の存在が貴重だと思う。
訓練になるからね・・挑戦者ならそう考えるんだ、俺はそう考えるから。
言葉が通じないけど、心を通わせる事ができれば・・自信になるよね。
リンダやマチルダは、言葉の通じない国にも行くんだから。
当然、そこでは挫折感も無力感も感じる・・それは仕方ない。
俺は感じる事は大切だと思う、自分に感じさせとくんだ。
俺は・・昨日の忘年会で何も言わなかった、蘭とナギサとアイコが語ったから。
23歳の仲間の言葉が素敵だったから、だから何も言わなかった。
でも・・俺は大切なリンダには、俺の考えは全て伝えるよ。
だからこの話は、夜の海で温度で伝えようと思ってた。
でも・・今伝える・・そして夜の海で、回復してやるよ。
俺はリンダに対しては、挑戦者のメッセージ以外は・・他の方法を模索する。
それにより・・俺の英会話の上達も、飛躍的に上がると考えてる。
俺は最後の挑戦者として、最後の挑戦者に贈るメッセージだけを温度で伝える。
俺は自分で勝手にそう決めた、リンダを追いかけると誓った時に。
リンダ・・俺は挫折感や無力感を感じた時に、本気の二ヤを出す。
自分の目指した方向が間違ってなかった、その提示だからだよ。
ヒトミの最後のメッセージだから、俺はそう確信してる。
俺はヒトミを自分の中に見送る時に、夜の海で無力感を感じた。
その時に蘇ってきた、ヒトミの言葉が・・矛盾の中に鍵がある。
その言葉が蘇ってきたんだ、だから無力感を感じて分かった。
これこそがヒトミが言ってた矛盾だと、感じさせられてる矛盾なんだと。
確信的にそう思った、俺の中の何かが・・無力感を感じさせてる事に。
それは諦めに続く想いだから、それを俺に感じさせてる・・そう思った。
今日の竜巻でもそうだったよね、危険を感じさせる物だからこそ、入口なんだ。
境界線もそう、違和感や恐怖の映像を見せられる・・だからこそ入口なんだよ。
それを感じたら、ニヤを出して・・見~つけたって思えば良いんだ。
今回は届かなかったけど、絶対に次回がある・・そう思って良いんだよ。
生命は絶対に繋がっている、だから巡り会う・・諦めなければ巡り会う。
無力感こそが道標、まだ可能性があるという・・大切な道標だよ。
どんな事にでも、無力感を感じたなら・・人間には可能性がある。
そう記されてる、・・感じされられてる、無力感こそがその提示。
【矛盾の中にこそ、鍵がある・・奴はそこにしか隠さない、ただの回路だ】
これがヒトミのメッセージ、自分が死んだ時に俺に気付かせる。
自分の死を明確に想定した、ヒトミの強いメッセージなんだ。
自分の死により俺は気付く、自分の死でないと気付かない・・そう想定した。
ヒトミは死を恐れなかった、体内時計を持っていたから。
残り時間を提示する、正確な体内時計を持っていた・・俺はそう思う。
リンダ・・無力感は感じて良い、それは道標だから。
リンダの感じる無力感は、俺には想像も出来ないレベルだろう。
でも俺は強く言う・・リンダが好きだから、リンダを大切に想うから。
リンダ、疲れたら休め・・そうでないと押しつぶられる、奴の罠に。
無力感を受け止めるだけの、心の力は常にキープしろ・・そうしないと進めない。
疲れたら・・帰ってきて、リンダの心の休憩場所のこの街に。
遥かなる理想を追うなら・・バランスが最も大切だよ、心と体のバランスが。
心のタコメーターを意識してね、絶対にリミット・・レッドゾーンを越えるな。
リンダ・・カリーの言葉を忘れたのか、カリーの最後のメッセージ。
カリーが自分の死で、親友のリンダに気付かせた・・命のメッセージ。
あれを受けて旅立ったんだろ、リンダ・・理想を求める、放浪の旅に。
あの時に・・カリーに何も出来なかった、無力感を感じたんだろ。
だからこそ・・リンダは旅立ったんだろ・・それを探して。
世界中の全ての人に気付いて欲しくて、その波を起こしたくて。
リンダとマチルダは旅してるんだろ・・リンダ、白い扉に入れ。
俺の中に・・マリがリンダへのメッセージを残してる。
昨夜マリがリンダの中のカリーから受け取った、メッセージが残ってる。
カリーがリンダの疲れを感じて、唯一受け取れるマリに託した。
大切なリンダとカリーの記憶、それをマリがリンダに見せろと残した。
蘇らせてやる・・俺には分からない、カリーの命のメッセージを。
来い、リンダ・・俺が側にいるから・・フーの場所で待っている』
私は真剣な瞳のリンダに、強く言葉と温度で伝えて目を閉じた。
リンダの隣に座るユリカも、マチルダもシオンも通訳しなかった。
私は白いドアを開けてハチ公に迎えられた、私のすぐ後ろを真顔のリンダが入ってきた。
フーが笑顔でリンダに抱きついて、リンダはフーを抱き上げて笑顔が戻った。
私はリンダを大型モニターの前に座らせて、少し後ろに下がった。
私の肩に妖精達が乗って、私の周りにボンビ親子と白馬が来た。
ハチ公が私の横に立ち、リンダの少し緊張する背中を見ていた。
私はマリが残したメッセージを再生した、病院のベッドに座る、痩せたブロンドの少女のアップが映し出された。
目の前のリンダの背中が小刻みに震えた、フーがリンダを必死に抱きしめた。
画面が引いていくと、若いリンダがベッドの横に座りカリーの手を握っていた。
「Rinda・・・・・・・・・・」カリーは必死で言葉で伝えた、リンダはカリーの瞳を見ていた。
映像のリンダは、必死に涙をこらえてるようだった。
私の前に座るリンダは、大きく背中を震わせて泣いていた。
フーは全力の力でリンダを抱きしめていた、リンダはフーに支えられて映像を見ていた。
映像の最後に、リンダはカリーに何かを誓った。
その瞳は強い意志に溢れていて、迷いの無い美しいブルーだった。
映像はそこで少しずつ暗くなり、消えていった。
フーは自分の右腕でリンダの涙を拭いていた、必死に笑顔を出しながら。
「フー」と言って、リンダは笑顔になって抱きしめた。
フーはそれで笑顔になって、リンダの頭をヨチヨチしていた。
『フーは・・優しさだけで出来てるんだね』と私は笑顔で言った、私の周りの全員が笑顔で頷いた。
「夜の海・・楽しみにしてるね」とスーが私の耳元に言って。
「オキゴンドウちゃんが、見れますように」とボンビが笑顔で言った。
「素敵なんだよ~・・イルカちゃんも、オキゴンドウちゃんも」とサーが言って、全員が笑顔になった。
物語の進行を考えて、リンダとの夜の海とマチルダとの添い寝は後に記します。
大切な場面で再生されるから、その演出を楽しんでほしいからです。
この後、私はリンダと夜の海に出て、イルカとオキゴンドウが迎えてくれた。
マチルダと添い寝をして、おとぎの国の夜空を眺めながら、沢山の話をしました。
翌朝、朝陽で目が覚めて、隣に眠るグリーン姫をチェックした。
カーテンを閉めてリビングに行き、ストーブに陽を入れて、朝食に前夜の鍋で雑炊を作っていた。
蘭が起きて来たので、私は蘭を笑顔で抱き上げた。
そして窓辺まで歩くと、蘭は満開笑顔で川の流れを見ていた。
「なんか・・久々に抱っこされた気がする、ハードで楽しい年末だったね」と蘭が満開笑顔で言った。
『そうだね・・楽しかったから、早かったね』と笑顔で返した、蘭は満開で頷いた。
『蘭・・あのベンチで、声をかけてくれてありがとう。
俺にはそれが今年の1番の思い出だよ、蘭に出会えたことが。
蘭・・自分らしくね、実家に帰っても・・最初は実名に戻るなよ。
蘭でいろよ、そうすれば出来るだろ・・心に従う事が。
俺は2日にお兄さんに会えるのを、本当に楽しみにしてるよ。
蘭・・ありがとう、来年も・・末永く・・よろしくね』
私は蘭の満開を見ながら笑顔で言った。
「よし・・最高のアドバイスを、ありがとう。
当然・・私もあのベンチが、今年の最高の思い出だよ。
年末の挨拶を今して・・唇の挨拶で、充電を完了して」
蘭は満開で微笑んで瞳を閉じた、私は優しく唇を合わせた。
感謝を伝えるのに、かなりの時間重ねていた。
唇を離すと、蘭が瞳を開けて満開二ヤ二ヤを出した。
「オフって言った?・・興味津々で、ハチ公が見てるよ~」と蘭が二ヤ継続で言った。
『あっ!・・やばい・・見たな~、ハチ』と二ヤで言って、蘭と2人で笑っていた。
全員で朝食を食べて、私は蘭とリンダとマチルダを、駐車場まで見送った。
笑顔で見送る事が出来た、楽園ブルーも、輝くグリーンも復活を示していた。
私は黒い車体が見えなくなるまで手を振った、光に向かい黒い輝きは走り去った。
大晦日が来ていた、急激な変化の波がすぐ側まで来ていた。
私はまだ気づいてなかった、最強コンビの誕生が間近に迫っていた。
モモカとアンナが巡り会う、その日が近づいていた。
2つ合わせて無限を提示する、同級生のお友達・・摩擦率0のコンビ。
身体のアンナと精神のモモカ、その2つが融合すると生まれる最強の姿。
笑いを振り撒き降臨する、天然の歯車・・時の組み込み。
摩擦率0の動き、勝利を否定する存在・・勝者も敗者も存在しない世界。
冬の日の陽だまりの中で、【未踏の到達】と言われるコンビの誕生が迫っていた。
私はユリカの部屋を見上げた、ユリカとリアンとシオンが笑顔で手を振っていた。
リンダに大きな提案をされたシオン、その背中をリアンが強く押した。
私はワクワク気分に変わっていた、ユリカと2人で過ごす大晦日が来た。
今でも忘れ得ぬ・・ユリカと迎える、新年が迫っていた・・。