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初日

帝王・・・いつの時代にもそう呼ばれる男がいる、

成功を手に入れた男を呼ぶのではない。

優しさを手に入れた、男を呼ぶのだと信じたい。


表現し難い何かに包まれて、エレベーターの中に2人でいた。

『梶谷さんは弁護士なんですか?』と聞くと。

「おう、悪徳のな」笑った。

『それは、素敵だ』と笑顔で返した。

「なぁ、俺のことキングって呼んでくれ、気に入ったから」と笑った。

『じゃあキングは俺のこと小僧って呼んで、その方が近い感じがして嬉しいから』と笑顔で言った。

「了解、小僧」と笑ったところで1階に着いた。


2人で並んで西橘通りを歩いた、キングは沢山の人に挨拶され都度右手を上げて微笑んだ。

「魅宴にお気に入りでもいるのか?」と探るように聞いた。

『まだ店に出てないみたいだけど、何か気になる子がいて』キングは楽しそうに聞いてる。

『その子も、ハルカと同じで』そこまで言って。

『ハルカって』キングは微笑み「ケイだろ、知ってるよ」と答えた。

『不思議な魅力なんだ、苦い初恋の思い出みたいなの』と照れて言った。

「お前は表現力あるよな~」と笑顔で私を見た。

『好きなだけ、話すのも・聞くのも』と返した。

「それが大事なんだよ」と笑顔のまま言った、私は大きな安心感に包まれていた。


『だから、その子のデビューし演じる舞台が見たいと思ってた』キングは頷いた。

『キングありがとう、自分じゃ到底見れなかったよ』とお礼を言った。

「なんでもね~よ」私の肩に手を置き、笑いながらビルに着き、エレベーターに乗った。


【魅宴】はPGより少し大きいビルの、やはりワンフロアーを占領する大きなクラブだった。

エレベーターを降りると、年配のボーイが駆け寄ってきた。

「梶谷様、ようこそお越し下さいました」と深々と頭を下げた。

「今晩は、俺の大事な客や」と私を見て、「酒は飲まさんかい、いいかな?」聞いた。

「勿論です、どうぞいつもの席にご案内いたします」と言ってボーイについて中に入った。


魅宴の店内はPGより照明が暗く、静かな感じで大人の雰囲気だった。

キングが入ると少し雰囲気が変わった気がした。

ここの女性も、帝王には反応するな~と思っていた。

席はやはり一番高い位置にある、一番奥の2人には広すぎる大きなBOXだった。

すぐに大ママが飛んできた。


「梶谷様、いらっしゃいませ」と大ママが深々と頭を下げて、微笑んだ。

「それも、PGのエースを連れて嬉しいわ」と言ってキングの横に座った。

「おう、昨夜のご褒美にどかがいいって聞いたらここって言うから」と笑顔で言った。

「うれし~わね、ありがとうチャッピー」と微笑んだ。

『うん、スパイしに来ました』と言ったら、大ママは満面の笑みを浮かべた。

「マミの演じる舞台が見たいんだってよ」とニヤで私を見た。

『キング知ってたのか、人が悪いな~』と照れた。

「キング!」大ママは驚いた。

「唯一俺をそう呼ぶ男だ」とキングは笑っていた楽しそうに。

「チャッピーまだ追い出されないのかい?」と大ママが笑顔で聞いた。

『俺がいないと駄目みたいで、ユリが離さないんだよ』と言うと、2人が大きな声で笑った。


「そういえば、今どこにいるんだ?」とキングが聞いた。

『家出初日公園で、素敵な人に拾われて。そこにいる』と笑顔で返した。

「蘭か~」とキングが即答した。

『わかるの、やっぱ凄いな~』と言ったら。

「あぁ、蘭がな」と笑顔になった。

「この夜街でそんな行動ができるのは、俺が知ってる限りでは蘭だけや」とキングが言うと。

「私もだよ」と大ママが微笑んだ。


「そしてお前になぜ帰れって言わないのかも、分かる気がする・・お前は蘭の前では真っ白だろ?」と聞いた。

『うん、会った瞬間に溶かしてくれた。だから蘭の前では何も飾らないでいいんだ』と照れた。

「惚れたんだな」とキングが聞いた。

『うん、自分勝手に大好きだよ』そう言うと、2人が優い目で見てくれた。

「で、チャッピー」大ママが笑顔で、「マミを指名しないのか?」と言った。私は驚いて。

『いいの?』と驚いて聞いた。

「勿論、梶谷さんの連れに駄目なもんか」と大ママ笑った。

「私服でいいかい?」と大ママが聞くので。

『その方がいい』と笑顔で言った。


「ようこそいらっしゃいました梶谷様、マミです」と深々と頭を下げた。

「今晩は、また綺麗になったね」とキングがマミを見ながら微笑んだ、マミは照れていた。

「ん~、わかるね~」と言いながらニヤっとして私を見た。

『でしょ』と笑顔で言って照れた。

「ようこそいらしゃいました、チャッピー様」とマミが微笑むから。

『様はやめて下さい、マミ姉さん』と言うと。

「姉さんはやめて下さい」と笑顔になった。


「マミの生涯初めての指名した男だからね」と大ママが微笑んだ。

『あっ!それは駄目です、そんな大それた事』と慌てて言った。

「嬉しかったですよ」とマミが笑顔で私の隣に来て、私の隣に座った。

『えっ、でも大切なもんじゃないですか。そういうの』とマミを見ると。

「ケイの命名の話聞きました、凄く素敵でした」と可愛く微笑んだ。

「この前の私に言ってくれた言葉も、嬉しかった、それに、初めてでしょ?指名するの?」と笑顔で聞いた。

『勿論』と笑顔を返した。

「素敵、本当にありがとう」と優しく微笑んだ、その顔が今でも忘れられない。


「小僧、ハルカの由来聞かせろよ」とキングが言った。

『2度目は照れるな~、マミ姉さんお願い』と笑顔で頼んだ。

「遥かなる高原に咲く強く優しい一輪の花」とマミが言ってキングに微笑んだ。

「うん、ケイだな」とキングが私に言った、嬉しかった。


小一時間ほど楽しい話をして、店を出て西橘通りでキングにお礼を言った。

「また、行こうな」と笑顔で言ったキングに。

『よろしくお願いしますと』と言って笑顔で別れた。

その後姿を見送りながら、不思議な安心感を覚えていた。

キングとのこれからも知らないで。


PGに戻ると今だ満席状態で活気に溢れていた。

私の指定席にマダムがいた。

『勝手してすいません、マダム』と言うと。

「梶谷さんに付き合うなら、特別ボーナスもんや」とマダムが笑った。

『マダム、最初の指名してくれた客って大事なものなのかな?』と聞いてみた、マダムが私を見て。

「初体験と同じや、一生忘れん」と笑った。

『やっぱりな~』と私が呟くと。

「どうしたんだい?」と聞くので。

『俺は訂正してって言ったんだけど、本人がいいって言うから』と呟くと。

「らしくないね~ウジウジと」と言って笑った。

『マミ姉さんの最初の男になった』と照れて言うと。

「そりゃー、大それた事をしたもんだ」と私を見て笑った。

「責任とれよ」とニッと笑いながら、TVルームに戻った。


「初めての男って?」私はしまった~地獄耳だったと思い振向くと、蘭が立っていた。

『いや、指名の』と上目使いで言うと。

「誰のかな~」と真顔で聞くので。

『魅宴のマミちゃん』と恐る恐る言った。

「マミなら、よし」と笑顔になった、私はほっとした。

「でも妬いたから、今夜は2話お願いね」と言ったので。

『朝まででも』と笑顔で返すと。

「うん」と満開で微笑んで戦場に戻った。


宴は週末の最高潮にきていた。

トップ4は忙しく動き、若手7人衆も最後まで集中力を保った。

終焉を迎えた時には、7人衆は6番席にに集まり、動けないように座っていた。

ハルカが来て、「ちょっと来て」と言って私を10番席に座らせた。

『なに?』とハルカに聞くと、ニッと笑って。

「お客さま、生まれて最初の指名誰になさいますか?」と聞いた。

私は可愛い奴めと思っていた、6番の7人衆は興味津々で見ている。

『はい、初めてです』少しモジモジしながら言った。

「ご指名誰になさいますか?」とハルカが笑顔で聞いた。

『この店に凄く優しくて素敵な女性がいると聞いて、やきもち焼きの』と言うと。

「はい、在籍しております」とハルカは笑いを押し殺して言った。

7人衆はニヤニヤしながら見ている。


『その蘭っていう素敵な人をお願いします』と笑顔で言うと。

「わかりました、蘭姉さん初めてのご指名で~す」とハルカが振向き言った。

「は~い」と言って蘭が銀の扉から出てきてモジモジした。

そして私の前でモジモジを最高潮にして。

「生まれて始めてのご指名、ありがとうごぜいます」と頭を下げた。

少しの間、頭を下げて。

「あ~~、すっきりした」と顔を上げて満開で微笑んだ。

7人衆が笑顔で拍手した。


蘭の笑顔を見ていた、その可愛い心を。


新PGの初日は笑顔で幕を下ろした、熱を放出して。


そして、その熱をエネルギーにして成長していく。


大切な季節を見守るライトが、来週も灯り。


競い合う仲間達を待ちわびるのだ・・・。


そして、ある女性の運命の日が近づいていた、競い合う世界に。









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