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      【冬物語第三章・・悪意の門⑪】 

生まれた事自体に意味がある、どんなものにも。

生み出されたものにも、それが有ると信じたい。


人間は不必要な物も作る、捨てる事は難しい。

欲を破棄する事は、人間にとって至難の業である。


爽やかな草原の朝の空気が、開放の時を告げていた。

黄金の門の前にいる、8人の美しい女性にも笑顔が出ていた。


楽園ブルーの輝く瞳を、マリとルミは真剣な瞳で、ブルーの映るモニターを見ていた。


リンダは龍の顔に右手を伸ばした、触れる直前に龍の瞳が赤い輝きを放出した。

その強烈な輝きでリンダの手は止まり、女性達もそれに気付いて駆け寄った。


「・・・・・」マチルダが慌てて英語でリンダに声をかけた。

「ダイジョウブ・・コレガ・・カギダネ」とリンダは振り向いて女性達に笑顔で言った。


「なるほどね・・鍵って言うから、鍵穴にさす鍵かと思ってたよ」とリアンが二ヤで門を見て言って。

「ルミは第一段階は、8人から10人って言ったよね・・その人数は鍵を開けるのに必要な人数だよね」とユリカも龍の彫刻を見ながら言った。


マチルダの通訳を聞きながら、リンダは笑顔で女性達の側に歩いた。

8人の女性達は、小さな円を描いて立っていた。


「・・・・・・」リンダが少し興奮しながら話し出した、マチルダが笑顔で通訳した。


「リアン姉さんが正解でしたね、武器を持たないから敵は現れなかった。

 でも・・この龍と虎の鍵に触れると、何かが現れますね。

 8人が必要ならば、動かさないといけない設定でしょうね。

 あの大きな龍と虎の彫刻を、動かして鍵を解除するんでしょう。

 龍の赤い瞳の輝きは、拒絶を示していると感じました。

 素晴らしい試験ですね・・さすがルミです、もう一度確認しましょう。

 この場所の設定を・・龍と虎の彫刻を見て、全員の感じた事を出し合って」


リンダは笑顔で言った、女性達が笑顔で頷いて彫刻を見に行った。


「冷静ですよね・・リンダさんは、経験量が違いすぎる・・経験した全てを、自分の中に入れている」とルミがモニターを見ながら言った。

「ルミ・・出るんだね、ハチ公は気付いたよ・・浮き出てるって」とマリが真顔でルミに言った。


「門番だからね・・鍵を守るのが虎の仕事だよ」とルミは二ヤでハチ公に言った。


「そうだよね・・あの虎は向かってくる感じだよね、でも本当は違うよ。

 虎って・・俺達猫の仲間では、憧れの存在なんだよ。

 人間はライオンを王って言うけど、猫の仲間では虎に憧れる方が多いよ。

 ライオンは団体行動をするよね、グループで生活するんだ。

 まぁ、アフリカだから・・ライオンでも危険な事が多いんだろうね。

 虎は山の中に棲む・・それも単独行動なんだ、それが猫の形だと思う。

 虎は守るという事に優れてるんだよ、自分を守るんじゃないよ。

 自分の大切な場所や生活を守るんだ、だからあんなに美しくなった。

 あれは保護色じゃないよね、あの美しさはどこにいても目立つよね。

 それでも良いと言ってるんだよ・・本当の強さを持ってるんだ。

 猫なら絶対に虎に憧れるよ、虎は強く守り抜く・・壊させないんだ。

 大切な物ならば、壊す事は許さない・・でも、壊さないのなら。

 壊すのでなく、守ろうとするのなら・・虎は絶対に邪魔はしない。

 虎は知ってるんだよ・・自分の強さの意味を、知ってるんだよね」


ハチ公はモニターを見ながら、嬉しそうな笑顔で言った。


「ハチ公・・沙紀はもしかして、お前を作り出したのか?」とルミが真顔で聞いた。


「うん・・もちろん、俺は昔話の【長靴を履いた猫】がモデルだよ。

 でも・・沙紀姫様はお母様の読んでくれた、物語で描いてくれたんだよ。

 絵本じゃない、挿絵も無い・・ボンビやかぼちゃの馬車とは違うんだ。

 沙紀姫様は・・言葉の、物語のイメージで俺を描いてくれた。

 俺の気持ちで言うと・・俺を産んでくれたんだ、沙紀姫様がね。

 沙紀姫様にとって、俺とフーは特別だと思うよ、産み出した一人目が俺だし。

 フーは生物以外に生命を吹き込んだ、たった一人の存在なんだ。

 そのフーが追いかけたんだよ、砂漠の女神を追いかけたんだよね。

 俺はその行動の想いは聞いたんだ、フーはあの時・・相談したんだよ。

 フーは元の世界に帰る、シンデルラ姫の馬車を追いかけてきた。

 そしてシンデルラ姫に抱かれて、砂漠の女神に付いて行きたいと言ったんだ。

 フーは聞いてたんだよ・・マキ姫様が、シンデルラ姫を抱きながら話した言葉を。


 フーだけなんだ・・自由に沙紀姫様の世界を移動できるのは。

 フーは生物じゃないから・・そして全てが自由だから、それが出来ると思う。

 フーだけなんだ・・ペプラの神殿に遊びに行けるのも。

 だってフーは・・眠り姫の為に、沙紀姫様が全力で生み出したんだから。

 沙紀姫様は・・大切な眠り姫の為に、生き物でないものに生命を吹き込んだ。

 それでないと・・ペプラには近づけない、そう思ったんだと思う。

 眠り姫様の心を淋しくさせない為に、沙紀姫様は全力でフーを描いたんだ。

 俺はその時にも側にいたから、俺は沙紀姫様の側にずっといたから。


 フーは・・シンデルラ姫に相談した、自分はそうしたいと言ったんだ。

 シンデルラ姫は、フーに頑張ってって言ったんだ・・マキを助けてって。

 沙紀姫様は全部知ってるよ・・だから小僧が世界を抜いた時に喜んだんだ。

 この世界は・・沙紀姫様が、眠り姫様の為に作り出した世界なんだよ。

 俺は沙紀姫様に・・ここに行って欲しいと言われて、本当に嬉しかった。

 俺は・・眠り姫様が大好きだから、絶対に助けたいんだ。

 俺は眠り姫様に・・助けて貰ったんだ、淋しい時に助けてもらった。

 俺は必ず連れて行くよ・・みんなを、ペプラの神殿に連れて行く。

 俺とフーはその為に生み出された、眠り姫の魔法を説く為の道案内で」


ハチ公は強く言葉にした、マリがハチ公を抱きしめた。


「圧倒的だね、沙紀は素敵だよ・・本当に素敵な心を持ってる。

 沙紀は自分の持てる最大の力で、ずっと由美子を想ってきたんだね。

 出会ってからずっと、大切な由美子の事を感じていたんだ。

 沙紀は知ってるんだ・・自分の力の意味を知ってる、そして楽しんでる。

 だから出来るんだね・・空想の住人まで、命を吹き込めるんだ。

 生物でなければ自由に行ける、よくそこまで気付いたよね。

 私なんて・・私の力なんて、弱く小さな力だったよ。

 沙紀やモモカの愛情と純粋とうい力に比べれば、小さな力だった。

 ハチ公、ありがとう・・良く来たね・・眠り姫の為に、良く決断した。

 お前は背負って良い、その資格がある・・ハチ公を背負う資格が」


ルミは瞳を潤ませてハチ公を見て強く言葉にした、ハチ公も笑顔で強く頷いた。


『フーが引きずり出したんだな、ペプラの神殿を』と私はハチ公に二ヤで聞いた。


「そうだよ・・フーがマキ姫様より先に、この世界を出たんだ。

 あの深海の世界に出た、だから神殿まで動いたんだよ。

 誰かが行かないと動かなかった、それが出来るのは・・フーだけだった。

 フーは大好きなシンデルラ姫に伝える事で、母親である沙紀姫様に別れを告げた。

 沙紀姫様は本当に喜んだよ、大切なフーが少し大人になったと感じたんだろうね。

 みんなが言う・・【不思議の国のマキ物語】は、始まったばかりなんだよ。

 その物語は絶対に眠り姫に続いている、俺はそう信じてるよ。

 この物語だけは・・絶対にハッピーエンドになる、必ずそうなるんだ。

 だって・・フーの存在する物語に、悲しい結末なんて・・絶対に無い。


 そうだよね、小僧・・サタン小僧は、沙紀姫様にそう教えたよね。

 シナリオは自分で書く・・あの言葉が、今のフーを動かしてるんだよ。

 フーと俺は物語の進行役で来たんだ、沙紀姫様の嬉しいを感じたいから。

 俺達にずっと嬉しいを与えてくれた沙紀姫様に、嬉しいを返したいから。

 俺とフーは来たんだよ・・物語のハッピーエンドが見たいから。

 その時に・・沙紀姫様と眠り姫様の、嬉しいを感じたいからね」


ハチ公は笑顔で強く言葉にした、この時の私の感じた喜びは表現できない。

ルミもマリも嬉しそうな笑顔で頷いた、誰もモニターを見ていなかった。

私も完全に忘れていた、ユリアはずっと二ヤで波動を我慢をしていた。


「もう限界・・なんでそんな素敵な話を勝手にするの、悪意の門は一時終了・・説明せよ」とユリカが爽やか二ヤで入ってきた。


私はユリカが感じていた事に気付いてウルで返して、ルミとマリとハチ公を連れて車を降りた。

8人の女性達がニヤニヤで待っていた、私はユリカがかなり話したのだと思っていた。

全員が境界線から出たからなのか、光の壁が空高く伸びていた。


女性達は二ヤで草原に円を描いて座り、私とマリとハチ公で経緯を話した。

女性達に笑顔が溢れて、リンダとマチルダは少し震えながら聞いていた。


「どうして言わないかな~・・リンダとマチルダは、明日帰るのに」とリアンが二ヤで言って。

「イジワル・・エース・・マリ」とリンダが二ヤで言って。


「リンダとマチルダ次第だね・・どっちに挑戦するか?」とユリカが二ヤで言うと。

「あの美しい黄金の門なら、お2人なら・・持って帰って練習すれば良いんでしょ?」とハチ公がさらっと言った。


「どうやって?・・方法が有るの?」とマチルダが驚いて言って、全員がハチ公を見た。

ハチ公はその迫力でウルを出した、女性達はニヤニヤを出していた。


「あの門なら、お2人の世界に沙紀姫様に描いてもらえば・・同じ物が入ると思うんですけど」とハチ公は恐る恐る言った。


「なるほどね~・・それなら入るね・・3段階目で入れれば」とルミが笑顔で言った。

「入るの!」とマチルダが叫んだ、リンダもユリカの通訳で驚いていた。


「お2人の世界はリアルな世界も有るのでしょうから・・絶対に境界線も無意識に入れてますよ」とハチ公が笑顔で言った。

「でも・・その境界線を、沙紀も気付かないでしょ?」とマチルダが返した。

「あっ!・・そう思ってたんですね、沙紀姫様には見えますよ・・沙紀姫様は暗闇でも、目が見えますよ」とハチ公が笑顔で言った。


『それが沙紀の契約違反なのか!』と私は驚いて言葉にした。

「契約違反?・・何の契約ですか?」とハチ公が不思議そうに聞いた。


「私達の想定じゃね・・・・」とマリが想定の概要を話した。

「人間は凄いな~・・考えるって凄い事ですね・・契約違反ですか~」とハチ公も楽しいのか考えていた。


「それは元々は持っていた力・・でも進化の過程で捨てた・・現実味を帯びてきたね~」と蘭が満開で微笑んだ。

「確かに・・納得いく展開になってきたよね、楽しいな~・・推理するって」とナギサが笑顔で言った。


「私達も物語を描けるんですね・・不思議の国のマキの続編を」とリリーが笑顔で言った。

「由美子の世界・・楽しみだね~、案外フーが現れたりして」とリアンが笑って、女性達が笑っていた。


「フーは行きますよ・・今でも遊びに行ってるようだから」とハチ公が又もさらっと言った。

女性達は凍結してハチ公を見た、ハチ公は当然のようにウルを出した。


「どうやって・・どうやって行ってるの?」とユリカが言葉に出した。


「えっ!・・その為の訓練でしょ、あの門と壁は。

 俺も練習しようと思ってたんです、ペプラの神殿にも門が有るから。

 俺は・・ルミさんの凄さに驚いてたんです、神殿の門とそっくりだから。

 沙紀姫様も俺も、あの時は門の意味が理解できなかった。

 鍵・・違和感には気付いたけど・・フーと3人だったから、諦めました。

 その門が眠り姫様の世界に続く扉だと、沙紀姫様が感じました。

 それから幾日か経った日でした、沙紀姫様と私は驚いたんです。

 フーが門から入って居なくなったて、遊んで帰ってきました。

 沙紀姫様は本当に喜びました、眠り姫様と繋がったと言って。

 それが沙紀姫様が現実と言われる世界で、お城に帰られた日です。

 沙紀姫様と眠り姫様が、離れた日に・・お2人の淋しい心を私達は感じました。

 それを感じて、フーは繋げに行ったんです・・フーは嬉しいで出来てるから。

 フーの1番の大好物は・・嬉しいという気持ちなんです。

 フーは嬉しいを探しています、蜂蜜より・・嬉しいが好きだから。

 フーはそれからも門を潜って遊びに行くんですよ、どこに行くか言わないけど。

 俺にはフーの言葉は分からないし、フーは自然に入るみたいだから。

 自然に入る方法を覚えたくて、でも神殿には行けないから・・困ってました。

 あの金色の門なら練習できる、そう思って俺もボンビも嬉しかったんです」


ハチ公は笑顔で言った、女性達の笑顔が爆発した。

ナギサがハチ公を抱きしめた、ハチ公は照れた笑顔で抱かれていた。

リンダとマチルダの強烈な喜びが、強い発光となって輝いていた。


「最初の難関の突破口が見えた~」とアイコが笑顔で言って。

「小鹿のボンビ!・・あの子も行こうと思ってるの?」とマチルダが笑顔で言った。


「行きますよ・・沙紀姫様の世界の住人は、全員眠り姫様に感謝してます。

 眠り姫様に出会って・・沙紀姫様が元気になられたから。

 サタン小僧に出会って、沙紀姫様はどんどん強くなられました。

 小僧の影響で・・沙紀姫様の世界に、挑戦という項目の部屋が出来ました。

 俺達は眠り姫様に感謝してます・・沙紀姫様の、嬉しいに出会えるから。

 それが俺達の最高の嬉しいだから・・眠り姫様の魔法を解きたい。

 それを解くことが・・沙紀姫様とサタンの、同じ望みだと知ってるから。

 沙紀姫様と眠り姫様の、最高の嬉しいだと知っているからです」


ハチ公は笑顔で言った、女性達も笑顔で強く頷いた。


「エース・・大至急準備して、砂漠を進む車を」とユリカが笑顔で強く言って。

「マリ・・付き合って、沙紀を迎えに行こう・・門を見せる為に」とリリーがバイクに歩いた、マリも笑顔でリリーを追った。


「やっぱりね・・乗りたかったんだよ、リリー・・バイクを見る時、リングが回転してた」と蘭が満開二ヤで言って。

「そうだよね~・・分かり易い、心のタコメーターだね~」とナギサが華やか二ヤで言った。


『リリー・・シオンにカウンタックで来てって言って・・光の壁だけなら見ても良いから』と無線で言った。

「了解・・ワクワクで~す」とリリーが返してきて、エンジン音が響いてきた。


私がイメージを入れようと思っていたら、私の背中を何かが触った。

私が振り向こうとすると、女性達の爆発する笑顔に気付いた。

私が不思議に思って振り向くと、ボンビの可愛い顔が間近にあった。


『ボンビ・・ご飯は済んだの?』と笑顔で言った。

「はい・・素敵な皆さんを紹介して下さい」とボンビが笑顔で言った、私はボンビの笑顔を見て沙紀の凄さを再確認していた。

ボンビが可愛く言葉を出した事で、女性達の笑顔は最高潮になっていた。


『そうだよね・・マリ、紹介してあげて』と私はマリに笑顔で言った。

マリは笑顔で立って、ボンビの前で屈んでボンビを抱きしめた。

ボンビも嬉しそうに、マリの耳元に何かを囁いていた。


「素敵だね~、ボンビ・・体温まで、温もりまであるね」とマリが言って、ユリカから紹介していた。


女性達の笑顔が咲き乱れて、全員が自己紹介をしてボンビを抱きしめていた。

その温もりと鼓動を感じて、女性達の瞳は潤んでいた。


リアンの少女のような笑顔を見て、私も嬉しかった。

私は女性達を残して、キャンピングカーに入りジープを出していた。

元々作っていた大きな軍用ジープを出して、砂漠を走る為の装備を追加した。

モニターとレーダーを装備して、沙紀の世界の入口の駐車場に2台を侵入させた。


目を開くと、外から女性達の楽しそうな笑い声が聞こえていた。

私はキャンピングカーのモニターを消して、運転席のロボットオヤジに笑顔を向けて外に出た。

ボンビは草原に寝そべっていて、ハチ公が笑顔でボンビにブラシをかけていた。


女性達が交代で白馬に乗って、白馬は優しく走っているようだった。

マチルダはボンビの横に座り、笑顔で楽しそうにボンビと話していた。


私が草原に下りると、エンジン音が響いてきた。

ハチ公は立ち上がり、カウンタックの走る姿を見て固まっていた。

マチルダがハチ公からブラシを受け取り、ボンビの母親にブラシをかけていた。


『見てきて良いぞ・・赤い車は、カウンタックだよ』と私は固まっているハチ公に二ヤで言った。

「ありがとう・・カウンタック、走ってる時も凄いね~」とハチ公は笑顔を残して走り出した。


カウンタックは路肩に静かに止まった、運転席からシオンがニコちゃんで降りてきた。

ハチ公はシオンに挨拶をして、シオンもニコニコちゃんで自己紹介をしていた。

助手席からフーが駆け出して、リンダに抱きついた。

リンダは嬉しそうな楽園ブルーで、フーを抱き上げてほほにキスをした。

フーはニヤニヤな感じで照れていた、それを他の女性達が二ヤで見ていた。


シオンはドアを開けたままハチ公を座らせて、ボンビを見つけてニコちゃんで駆けてきた。

シオンはボンビの前に屈んで、ボンビは立ち上がって笑顔でシオンを見た。


「私はシオンです・・会えて嬉しいです~」とシオンはニコニコちゃんで言った。

「ボンビです、私も嬉しいです」とボンビが笑顔で言って、シオンの肩に首を近づけた。

シオンはボンビが話したのがよほど嬉しかったのか、ボンビを優しく抱きしめて泣いていた。


バイクが2台カウンタックの後ろに止まり、マリの後ろから沙紀が降りてきた。

私は沙紀を笑顔で迎えに行き、門と壁の話をした。


「はい・・嬉しいな~・・リンダちゃんとマチルダちゃんの世界が見れるんだ~」と沙紀が笑顔で言った。

私も笑顔で頷いて、沙紀を抱いたまま歩き、境界線の前で降ろした。


沙紀は見事だった、境界線を全く意識する事無く、静かに歩いて光の壁を抜けた。

私は沙紀の後を追い、チクチクを感じながら光の壁を抜けた。


沙紀は嬉しそうに黄金の門の前で、門の全体像を見ていた。

私は邪魔をしないように、少し離れて沙紀を見ていた。


沙紀は門を離れて右の壁伝いに少し歩いて、戻ってきて左の壁伝いにも歩いた。

それで納得したのか、私の方に笑顔で歩いてきた。

私は沙紀を抱き上げて、光の壁を越えて女性達の場所に戻った。


沙紀はマチルダの手を握り瞳を閉じた、マチルダも笑顔で瞳を閉じた。

そして沙紀が目を開けて、マチルダも輝く笑顔で目を開けた。

私は驚いていた、その行為は一瞬だったのだ。

マチルダの世界では、一瞬ではなかったのだろうと思っていた。


沙紀はマチルダに抱きしめられて、リンダが笑顔で2人に近づいた。

マチルダがリンダに沙紀を向けて、沙紀は笑顔でリンダの両手を握った。

やはり一瞬の出来事だった、リンダは楽園ブルー輝かせて沙紀を抱きしめた。


私はそれを見て、ロボットオヤジに車をジープに乗り換えて来てと頼んだ。

ロボットオヤジは頷いて、キャンピングカーを運転して行った。


蘭とナギサとアイコの肩に、3人の妖精達が乗って、負けず嫌いを出し合っていた。

その話を聞きながら、3人は爆笑していた。

リアンとユリカは笑顔で乗馬を楽しんでいた、私はその光景を見ながら感じていた。


《楽しまないと駄目なんだ、由美子の世界には届かない。

 沙紀はそう教えてくれたんだ、楽しい笑い声で由美子を呼ぼうって。

 それが1番由美子に届くと、沙紀とフーが教えてるんだな》


私はルミに抱かれるフーを見ながら、心に囁いた。

強烈なユリアの波動が久々に吹いてきた、私はその方向に二ヤを出した。


《ユリアの意地悪・・気配を消してたね》と二ヤ継続で心に囁いた。

強いユリアの二ヤ波動が何度も来て、マリもその方向に二ヤを出していた。


私は自然に大切なピースが揃っていく事に喜びながらも、緊張感が増していた。

それを払拭する為に、カウンタックに向かって歩いていた。

ハチ公はニヤニヤを笑いながら、カウンタックの小さなハンドルを握っていた。


『足は届いてるか?』と二ヤでハチ公に声をかけた。

「これだろ・・踏めるよ」とハチ公が足を動かしながら笑顔で言った。


『なら操縦できるよ・・今度教えるから・・1つアドバイスをくれよ』と笑顔で言った。

「約束だよ~・・あの2輪の馬の操縦もね」とハチ公が嬉しそうな笑顔で返してきた、私も笑顔で頷いた。


『ペプラの神殿の前の砂漠では・・武器が必要な相手が出るのか?』と私は真顔で聞いた。


「沙紀姫様と行った時には出なかったよ、砂嵐が来るんだ。

 全てを埋め尽くすようにね、馬車だったから動けなくて。

 沙紀姫様がラクダを出して、馬車を諦めてラクダで行ったんだ。

 大きな蟻地獄や、毒蛇やサソリはいるよ・・鉄の車なら大丈夫だろうけど。

 ラクダで行くより、強い敵が出そうだよね・・でも武器はいらないよ。

 入口だから・・多分いらないと思うよ、砂嵐が1番の敵だよ」


ハチ公が笑顔で言った時に、エンジン音が聞こえてきた。

ハチ公はカウンタックを降りて、近づく軍用ジープを見て笑顔になった。


ロボットオヤジはジープを止めて、楽しそうに降りてきた。


『オヤジ・・楽しそうだね、ジープが気に入ったね』と二ヤで言った。

「私も男だからね・・ワクワクするよ」とオヤジロボットが返してきた。


『でも、今回は同行できないよ・・オヤジが元の世界に返されると嫌だからね』と二ヤで返した、ロボットオヤジは強く頷いた。


女性達がジープの登場で笑顔で集まってきた、私は二ヤで迎えた。


『運転は・・当然、蘭だね・・砂漠だからよろしく。

 ナビ席にナギサが座って、2人の真中にハチ公が座って道案内。

 アイコとリリーにレーダーを任せるよ、最強の敵は砂嵐らしい。

 視界がかなり厳しいと思う・・埋まることはないよ、8輪駆動だからね。

 問題は・・目的地まで道がある訳じゃない、ハチ公のヒゲに賭けるよ。

 ペプラ神殿に着いたら、レーダー担当者で座標入力して。

 残りの全員で、全モニターをチェックしよう・・360度映すから。

 俺は何とか道を作ってみる、それが出来たらトンネルを被せるよ。

 そしてマサル君にレールを敷いてもらうよ、全員で移動出来るように。

 まぁ・・楽しもう、それが1番大事だと思ってるから』


私は笑顔で言った、女性達も笑顔で頷いてジープに向かった。


『シオン・・沙紀をよろしく、ロボットオヤジは馬車で帰るから』と笑顔で言った。

「は~い・・エース、ありがとう・・シオンは本当に楽しいですよ」とニコちゃんで返された。

「小僧ちゃん・・気を付けてね、ペプラに辿り着いてね」と沙紀が心配そうに言った。


私は笑顔を意識して、沙紀を抱き上げた。

沙紀も笑顔になった、私は温度で大丈夫だと伝えて、沙紀をカウンタックの助手席に乗せた。

シオンが運転席に乗り、私は笑顔で手を振って見送った。


女性達も沙紀に手を振って、ボンビ親子に手を振った。


『フー・・置いてくぞ、行くんだろ・・ペプラの神殿に』とボンビと遊ぶフーに言った。


妖精達が先に私の元に飛んできて、私の肩に乗った。

フーはボンビを抱きしめて、振り向いて私に向かって駆け出した。

私はフーを抱き上げて、ボンビ親子に手を振った。

ボンビ親子は笑顔を返してくれた、私はそれを見てジープに乗り込んだ。


「狂ってる・・これをあの短時間で作り出したのか?」とルミが二ヤで迎えてくれた。

『ジープ自体は有ったんだよ、それを砂漠用に改良しただけ・・素敵だろ~』と二ヤで返してフーを降ろした。


フーはモニター席の空いてる席に座り、目の前にある無線機を二ヤで見た。

そして無線機に手を伸ばし、自分の耳に持っていった。

フーは自分の大きな耳には付けれないと分かって、私にウルウルを出した。

フーのおとぼけウルウルが、当然女性達の大爆笑を生んだ。


私はフーに二ヤを出して、引き出しを空けて大きな無線機とサングラスを出した。

それをフーに装着すると、フーは消えているモニターの黒い画面に自分を映した。

そして気に入ったのか、私に向かって口元で二ヤを出した。


女性達は脇腹を押えて、フーを見ながら大爆笑していた。

私の肩の上では、3人の妖精達も爆笑していて。

運転席の蘭とナギサも振り向いて、涙を流しながら爆笑していた。


フーは蘭とナギサを見て、顎で【行け】と指示を出した。


「了解です・・フー隊長」と蘭が満開笑顔で返して。

「顎で指示するとは・・やるね~、隊長」とナギサが華やか二ヤで言って、フーは口元に二ヤを出した。

『フーと美由紀の絡みは怖いな・・笑い死ぬかも』と私は女性達に二ヤで言って、爆笑を煽った。


爆笑を乗せたジープは、カード柄の道を湖の方向に向かって走り出した。


私は運転席の後ろの席に座り、フーの横でモニターを見ていた。

ハチ公の後頭部が見えていて、ハチ公の緊張感を感じていた。

しかしフーの存在がそれを打ち砕いていた、私はフーの持つ力に感動していた。


フーがサングラスを外して、私にウルウル光線を出した。

私は仕方なく妖精に聞いて、OKを貰って蜂蜜を出した。

フーが汚さないように、チューブ式のを手渡した。


チュパチュパと響くフーの響きと、女性達の笑顔を乗せてジープは走り出した。


砂漠を目指して、沙紀の由美子に対する大きな愛を感じながら。


神殿を目指していた、奴がどうしても隠したかった池を目指して。


悪意の砂時計の意味を提示する、壊れた時計が待っていた・・。










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