【冬物語第三章・・悪意の門⑧】
幼い頃には逃げ場所があった、その場所は大切な場所だった。
恐怖や淋しさを受け止めてくれる、大切な心の場所は消えない。
多分・・消えてはいないのだろう、いつまでも見守ってくれる。
そんな優しい場所だった気がする、その場所も羊水も記憶から導き出せない。
だが・・確かにどこかに存在すると感じる、感じていたいと思ってしまう。
女性達の意識は高まっていたのだろう、常日頃の生活で疲れてしまう。
それはどんな仕事でも、どんな家庭環境でも、どんなに幼くても疲労する。
肉体の疲労は休息で緩和する、しかし心の休息は難しい。
現実で溜まっていく心の疲労を、誰もが抱えながら非現実に向き合っていた。
その場所にある、開放という時間が大切だったのだろう。
そこに誘ってくれるリンダの言葉に、女性達は胸躍らせていた。
フロアーにリンダの言葉が響いて、沈黙が流れていた。
その沈黙を打ち破ったのは、意外にもハルカの言葉だった。
「占いの石碑ですか・・そんな感じでした、現実から離れていた。
円形ステージだけは、別世界という感じでしたね。
空気が違うと言うか、初めて吸った・・澄んで乾いた空気でした。
温度も高くて心地良かったですね、それに摩擦が消えた感じでした。
ペダルの重みが薄れたような、開放的な感じでしたね。
外円に彫り込まれてる絵は、私にも何の絵かは分かりません。
動物のような感じの物や、生活用品のような物だと感じました。
理解できない絵でもなければ、これだと自信を持って言える物でもない。
不思議な絵でしたね、象形文字とも違う・・もっと柔らかい。
可愛く温かい感じの絵でした、有名な古代文字とは違うと思います。
内円の13の記号との組み合わせで、何かを示すと漠然と感じましたね。
占いと言われれば納得できますけど、秘密の暗号・・ダイヤルって感じ。
そう金庫の円形ダイヤルと言った表現が、私には1番しっくりきますね。
必ず開く方法があって、あのステージの中に重要な何かが有る。
あれこそが・・ステージ全体が鍵、ダイヤル錠だと思いました。
ステージを開けるには、組み合わせを解かないといけない。
13×18のパターンから、導き出さないといけないと思いました」
ハルカは笑顔で言った、リンダはシオンの言葉を聞きながら笑顔になった。
「ハルカ姉さん、凄いです・・それだと思います」とマリが興奮気味に笑顔で言った。
「確かに説得力が有るね・・ただ難解だよね、リンダは文字の意味が分かるのかな?」と北斗がリンダの聞いた。
女性達の視線がリンダに集まり、リンダは笑顔で返した。
「・・・・・・」リンダは少し楽園ウルを出して、首を横に振りながら語った。
「今の私には分かりません、何文字かの想定は有りますが。
専門家と呼ばれる人の解釈を、私は受け入れる事が出来ません。
難解に解釈している専門家ばかりで、その解釈を理解できないんです。
どうしても違和感を感じてしまって、私は難解じゃないと思うんです。
ダイヤル錠ですか・・ハルカ、本当に素敵な解答ですね。
今回の第4の大切な解答ですね・・ヨーコの第1の解答。
マキの第2の解答、そしてミホの第3の解答・・どれも素敵でした。
私は今のハルカの解答で震えました・・本当に嬉しかった。
そしてエースの考えに賛成出来ました・・エースの次の設定に。
これは今日ルミに聞きました、エースは【言葉の羅針盤】の方向に興味が無い。
それが奴の凄さだとルミは二ヤ顔で言いました、そしてこう付け足しました。
エースは彫り込まれた文字に興味を持った、そして由美子の時の設定を入れた。
絵文字なら解き明かすのは、絶対に沙紀だと確信した・・沙紀に行かせる。
エースと沙紀の信頼関係は、既にその段階まで進んでる。
由美子の【言葉の羅針盤】のステージには、沙紀とエミと由美子が上がる。
3人を上げる設定で挑む気ですね、マリもそれを聞いて、瞬時に賛成しました。
私も楽しみになりました、沙紀とエミが2人で導き出す答えが楽しみです。
ルミは最後に楽しそうな笑顔で締めました、私とユリカ姉さんは凍結しました。
ルミとマリの凄さと、エースの経験量の違いを感じていました。
エース・・本気なんだね?・・そのステージに沙紀を立たせるんだね?」
リンダの二ヤとシオンの二ヤに、女性達の驚きの顔が私を囲んだ。
『もちろんそうする、俺もマリもずっと言ってきたよ。
沙紀だけが由美子の鍵を探し出す、そう言ってきたよね。
この言葉はマリの無意識の詩なんだ、だから沙紀に託すんだよ。
絵文字の解読なら、絶対に沙紀しかいない・・その同行者はエミ。
沙紀とエミで解読する、この2人なら契約の意味を探し出す。
俺はそう思ってるよ・・必然的に巡り会った、沙紀と由美子だから。
俺は由美子に誰かを紹介する時に、紹介する相手の事を考えてきた。
でも2人だけ、無条件で何も考えずに紹介した人がいる。
1人はモモカだよ、モモカは自分で訪ねて来たからね。
俺はモモカの行動も言葉も、全て受け入れるからね。
そしてもう1人は、当然だけど沙紀なんだ・・何も考えなかった。
沙紀と由美子なら絶対に友達になれる、そう漠然と感じてたよ。
そして2人はお互いに相手の存在は知っていた、2人とも会いたがっていた。
ミホが俺を沙紀と由美子に繋いだ、その意味は沙紀と由美子を繋げだった。
俺はそう信じてるよ、全ての出会いには意味が出来たと信じてる。
そして・・道を強く繋げた、最後の重要人物を話す時が来たと思ってる。
ヒトミを見送って、ミホを遠ざけられて・・モモカがやって来た。
そして・・子守唄第7番、カンナが来たよね・・忘れ得ぬ少女が来た。
限界カルテットも、マリも美由紀も沙織も哲夫にも忘れられない。
カンナという存在・・カンナにモモカが問いかけた言葉を、全員が持っている。
モモカのカンナに対する春風の囁きは・・ヒトミの言葉だったとヨーコが言った。
ヨーコ・・俺から話さないといけないかな?・・ヨーコが歌った子守唄の話を。
由美子の世界に挑むのなら、絶対に避けては通れない・・カンナの子守唄。
そしてモモカの春風の囁き・・カンナに贈った春風の言葉を。
どうだろうヨーコ・・自分で話さないか、ヨーコの言葉で』
私は真剣なヨーコの瞳を見ながら、強く言葉にした。
私はヨーコの覚醒を誤解していた、ヨーコは既に別世界に踏み出していた。
「ヨーコ・・どうだい、私達は聞きたいんだよ・・あの子守唄に込めた想いがね」と大ママがヨーコに笑顔で言った。
女性達も真剣な瞳でヨーコを見ていた、和尚も勝也も律子もヨーコの言葉を待った。
「私も・・話そうと思ってました、私はカンナの話だけ出来なかった。
久美子に出来なかったんです、話したかったけど・・まだ出来なかった。
でも今回の沙紀の世界で、自分の間違いにも気付きました。
だから・・年が明けて由美子の世界の準備の時に、皆さんにお見せします。
私も見たいから・・その時の感情をリアルに感じたいから。
マリちゃんに出してもらいます、小僧の映写機に転送して・・映像で見たい。
私自身でも曖昧な部分がある、私の中のカンナの記憶を出せるよね?
今のマリちゃんなら、私の強く残る記憶なら・・映像として転送できるよね?」
ヨーコは強くマリに言った、マリは強く集中してヨーコを俯きがちに見ていた。
限界ファイブも中1トリオも、ヨーコの強い覚悟を感じ、完全な凍結状態だった。
私はヨーコの気迫に押されている自分を感じながら、集中の中のマリを見ていた。
「出来ますよ・・小僧の次に私との同調が強い、ヨーコ姉さんの強い記憶なら・・カンナの記憶ならば」とマリも真顔で強く返した。
「OK・・よろしくね、マリ・・小僧の映像なら、リンダ姉さんもマチルダ姉さんも・・そしてルミも見れるでしょうから」とヨーコが清楚二ヤで言った。
「ヨーコ・・あの時のヨーコを、俺は誇りに思ってるよ」と豊が優しい笑顔で言った。
ヨーコは涙を流して、豊に向かって頭を下げた。
ミサキが優しくヨーコを抱いて、ヨーコは姉に甘えるように抱かれていた。
「さて・・カンナの映像は来年の楽しみとして、小僧・・ご両親の了解を、今取りなさい」と律子が雰囲気を変えるのに二ヤで言った。
私も二ヤで返して沙紀の両親を見た、沙紀の両親も笑顔で返してくれた。
『又も、真剣にお願いします・・沙紀を連れて行く許可を下さい。
今回こそ・・沙紀は傷つくかも知れない、由美子との関係に傷が入るかも。
その傷が沙紀の将来に、何らかの悪い影響を与えるかも知れない。
でも俺は沙紀に同行して欲しい、俺には沙紀が必要なんです。
沙紀にしか解けない、沙紀にしか気付けない・・由美子の鍵は探せない。
そしてサクラさん、エミに勝負をさせます・・マーガレットとの勝負を。
次回はあのマジシャンも本気で来る・・そしてマーガレットは待っている。
エミが来るのを待っています・・俺は自信を持って、エミの背中を押します。
そして・・ユリさんとアンナとマユ・・由美子の世界には連れて行きます。
由美子の大切なお友達の、ミサとレイカとアンナを・・連れて行きます。
あの3人なら、必ず由美子を連れ出せる・・居場所を探して誘いに行く。
俺は絶対に由美子を同行させる、沙紀とエミと3人で・・ステージに乗せる。
そして・・俺はマリアを入れる、マリアのコンビは・・当然、モモカです。
最終兵器はスタンバイしてる、自分の意志で行く事を望んでいる。
マリアの強い意志を感じて、モモカも準備をしてる・・俺は信じてる。
このコンビを待っている・・ミホは待っています、その時が来るのを』
私は強く言葉にして、頭を下げた。
「もちろん良いよ・・沙紀は行くと言ってるからね」と沙紀の父親が通路を見ながら笑顔で言った。
通路には沙紀の手を繋いだ、エミの笑顔があった。
沙紀は私を見て強く頷いて、エミも笑顔で強く頷いた。
「もちろん、私もOKよ・・当然、私も入るからね」とサクラさんが笑顔で言って。
「当然、私も行くよ・・レイカの物語を見に」とマユが笑顔で言って。
「エース・・私には聞くなよ、私も安奈もそれを望んでるから」とアンナが笑顔で言った。
「私は嬉しく感じています、5人娘はいよいよ出会うんですね。
モモカという存在と、出会えるんですね・・素敵な事です。
私も楽しみにしています・・由美子の世界でのマリアを」
ユリさんが最後に薔薇の微笑で締めてくれた、私が笑顔で頷くと、沙紀が私に飛び込んできた。
私は沙紀を抱きしめて、少し高い沙紀の温度を感じていた。
「小僧・・沙紀と大切な事が有るんだろ、沙紀を今夜頼めるかな?
俺は久々に女房孝行をするよ、2人でデートしてね」
沙紀の父親が笑顔で言った、沙紀が私の顔を見上げた。
『もちろんです、ありがとうございます・・沙紀、ありがとう』と両親に笑顔で言って、沙紀に笑顔で言った。
《フーちゃんに会いたいし、お友達も作ってやらないと》と沙紀が温度で返してきた。
『よろしくね、沙紀・・フーが喜ぶよ』と私も笑顔で言葉と温度で返した。
この言葉で女性達の笑顔が咲いて、宴会の楽しい話題に戻っていった。
「私とナギサとアイコとリンダで、ユリカ姉さんの家に泊まるよ。
あんたは沙紀とベッドで寝なさいね、23カルテット・・本当に嬉しいよ」
蘭が最強満開笑顔でそう言った、嬉しそうな満開が咲き乱れていた。
『マチルダは?』と笑顔で返した。
「当然、カスミの部屋・・銀河の4人とリリーで盛り上がるみたい」と満開二ヤで返された。
『それは怖いな~・・明日、大丈夫かな~』とニヤで返して、蘭の背中を見送った。
宴会は終盤の盛り上がりを見せ、キングのリクエストに応えて、久美子がピアノを奏でていた。
秀美が久美子の横に座り、秀美が右手・久美子が左手で連弾で弾いた。
その見事な響きに全員が吸い寄せられるように、ピアノの方を見ていた。
秀美は楽しそうな笑顔だった、久美子も秀美を見ながら笑っていた。
秀美は久々に自分で奏でる音を感じたのだろう、夢中になっていた。
秀美の右手に綺麗に久美子が左手を合わせ、1人の人間が弾いているようだった。
美しいシンクロに乗って、強い響きがフロアーを包んでいた。
弾き終わった時に、秀美は久美子に泣きながら抱きついた。
久美子は秀美を優しく抱いて、震える秀美の耳元に何かを囁いていた。
会場にいる全員が立って、2人に大きな拍手を贈った。
終宴を知らせる美しい音に、全員が感動して拍手をしていた。
拍手が鳴り止み、全員が笑顔で挨拶を交わしていた。
私は沙紀を抱いたまま、ハルカを探していた。
『ハルカ・・明日の片付けは?』と私はハルカを呼び止めて聞いた。
「忘年会のこの場所は、清掃業者が入るから・・レン姉さんと私とマキは、TVルームの掃除だけだから、大丈夫だよ」と笑顔で返された。
『了解・・1度は顔を出すよ』と笑顔で返して、女性達と挨拶を交わしていた。
私は沙紀をユリカに預け、ユリカにTVルームで待っててと伝えた。
そして寝ているミサを抱き上げて、サクラさんを通りまで見送った。
エミが笑顔で手を振ってくれて、私も笑顔で手を振って見送った。
律子とツネ婆さんがシズカと哲夫と出てきて、私はタクシーに乗せて見送り。
豊と恭子を見送っていると、政治の車が入ってきた。
私は美由紀を抱き上げて助手席に乗せ、車椅子をトランクに積んだ。
後部座席に沙織と秀美が笑顔で乗って、私は笑顔で手を振って見送った。
女性達も続々と降りてきて、まだ飲みに行くと二ヤで手を振った。
私も二ヤで返して、女性達の背中を見送っていた。
銀河の4人とリリーが降りてきて、私は5人囲まれた。
『何かな・・怖い』とウルで返した。
「エース・・私が5人を代表して礼を言う・・今年は本当にありがとう・・来年もよろしく」とリリーが美しい笑顔で言った。
『俺からも、ありがとう・・来年は5人に期待してるよ・・お世話になりました』と笑顔で頭を下げた。
5人が笑顔で1人ずつ抱いてくれ、私も一人一人に感謝を伝えた。
5人を見送って、四季とツインズと抱き合ってから見送った。
リアンがシオンと笑顔で降りてきて、明日の予定を話して見送り。
私がTVルームに向かっていると、沙紀の両親が出てくる所だった。
私はニヤニヤで挨拶して、翌日のお迎えの話をして見送った。
TVルームに入ると、23歳カルテットが盛り上がっていた。
私は沙紀を抱き上げて、マリアの寝顔を見ていた。
「エース・・最終ボーナスや、満席記録更新の祝いだよ・・良く頑張ってくれた、来年も頼むぞ」とマダムが笑顔で封筒を差し出した。
『ありがとうございます・・来年はマダムと松さんも忙しいので・・よろしくです』と笑顔で返した。
「了解・・マリーレインと幻海だね、楽しみだよ」と松さんが笑顔で返してくれた、私も笑顔で頷いた。
「私からも、特別ボーナスです・・来年も頼みますね、女性達と5人娘と・・ミホと沙紀と由美子を」とユリさんが薔薇の笑顔で封筒を差し出した。
『ありがとうございます・・来年は挑戦の年ですから、実家で充電して下さい』と笑顔で返した。
「楽しみにしています・・私の次の挑戦場所も、由美子の世界も」と薔薇の笑顔で返されて、頬にキスをしてくれた。
私はニコニコちゃんで頷いた、沙紀が私の顔を見ていた。
「沙紀・・今のそのニコニコエースを描いてあげてね」とナギサが二ヤで言って。
「いよいよ沙紀の描く、エースの本質が見れるのね・・楽しみだね~」とユリカが蘭に二ヤで言って、英語でリンダに二ヤで言った。
「怖いだろ~」と蘭が満開二ヤで私に言って。
「シリタクナイヨネ・・エース」とリンダが楽園二ヤで追ってきた。
私は沙紀を見てウルウルで頷いた、沙紀は私の頭をヨチヨチしてくれた。
それを見て全員が笑顔で立って、互いに今年の感謝を伝えて挨拶を交わした。
私は沙紀を蘭に渡し、マリアを抱き上げた。
その瞬間にマリアが目を開けた、私はマリアに笑顔を送った。
「えーしゅ・・ありがと」とマリアが天使全開で言った。
『マリア、ありがと・・マリア・・来年、一緒に行こうね』と笑顔で返した。
「あい・・まりあ、いくよ・・かぜのばしょに」とマリアが強く言葉にした。
私は嬉しくて笑顔で頷いて、天使のマリアをリンダに渡した。
リンダは喜びの笑顔で抱いて、そのままTVルームを出て行った。
私達もその後を追いかけて、TVルームを出た。
エレベーターホールには、気の早い門松が出ていた。
私達はマダムと松さんと、ハルカとマキの乗ったタクシーを見送り。
ユリさんをタクシーに乗せて、リンダがマリアを渡した。
沙紀がマリアに手を振って、マリアも沙紀に天使全開で手を振った。
ユリさんの横にマリが座り、私はユリさんにマリを頼んでドアを閉めた。
全員でユリさんの乗ったタクシーを見送った、年末の夜の風を感じながら。
「さて・・帰りましょう」とユリカが爽やか笑顔で言って、リンダとナギサとタクシーに乗った。
私は蘭から沙紀を受け取り、蘭とアイコと沙紀を抱いてタクシーに乗った。
「嬉しくて・・でもユリカ姉さんの家だから、緊張するよ」とアイコが笑顔で蘭に言った。
「大丈夫よ・・1番緊張してるのは、ナギサだよ」と蘭が満開二ヤで返した。
『それはしてるよね~・・なんせナギサが唯一恐れる、怖い姉だからね』と私も二ヤで返した。
強烈な波動が吹き荒れて、沙紀が私を見た。
『沙紀・・良かったね、ユリアも来るかもね』と私は沙紀に二ヤで言った。
強烈なユリカとユリアの波動が別々に来た、沙紀もそれを感じて嬉しそうだった。
「しかし・・待ち遠しいね、あんたの入れた沙紀の世界」と蘭が満開二ヤで私に言って。
「マキの感じたあの世界の、片鱗でも感じられるなら・・嬉しいよね~」とアイコも蘭に笑顔で返した。
「片鱗なのかな~?」と蘭が二ヤ継続で私を見た。
『お楽しみにだよね、沙紀』と私は沙紀に二ヤで言った、沙紀は強く頷いた。
「うっそ・・待ち遠しいな~、リンダのとの時間も楽しみだけど」とアイコが笑顔で言って、蘭と2人で盛り上がっていた。
私は沙紀の少し興奮している、マキの物語の感想を聞いていた。
沙紀は熱く早い温度の変化で、その嬉しかった時間の話をしてくれた。
私は相槌だけ入れて、沙紀の話を笑顔で聞いていた。
ユリカのマンションに着き、緊張気味のアイコを二ヤで見て部屋に入った。
私はユリカに沙紀の着替えを頼み、ユリカと蘭で沙紀を和室に連れて行った。
「サキト・・ナニスルノ?・・エース」とリビングのリンダが楽園二ヤで言った。
『沙紀の世界・・パーフェクトに近づける・・フーのフレンドもね』と笑顔で言った。
「タノシミダネ~」とリンダが楽園笑顔で返してくれた。
「リンダ・・日本語、上手いよね~」とナギサがリンダに笑顔で言った。
「ナギサヨリネ・・1ギョウ・・ナガシナラ・・マケナイ」とリンダがナギサに笑顔で返した。
「それはそうかもね~」とアイコもナギサに二ヤを出して、ナギサはウルで対抗していた。
ユリカと蘭が沙紀を連れて戻ってきて、可愛く変身した沙紀を見て笑顔が咲いた。
沙紀はユリカのピンクのジャージのズボンに、ピンクのトレーナーを着ていた。
袖とズボンの裾を幾重かに折って、長さの調整をしていた。
沙紀はピンクが嬉しいのか、ご機嫌な感じだった。
女性達が1人ずつ着替えに行って、私は自分と沙紀の分のココアを用意した。
沙紀に少しだけおやつを出して、2人でココアで乾杯した。
着替えの終わったユリカと蘭が、女性用の酒と食べ物を用意していた。
蘭もユリカも楽しそうだった、2人の絆の強さを示すような笑顔だった。
蘭はリンダの登場で新たに芽生えた仲間意識を、心から楽しんでいるようだった。
女性達が着替えて揃い、私は沙紀と歯磨きをしてお休みの挨拶をさせた。
女性達は一人ずつ沙紀を抱きしめて、笑顔でお休みをした。
私は二ヤで沙紀を抱き上げて、美しい5人の女性の笑顔に見送られ、ベッドルームに入った。
沙紀を窓際に寝かせて、私はその横の布団に入り、沙紀の背中越しに川の流れを見ていた。
沙紀は静かに川の流れを見てるようで、私は描いていると感じていた。
沙紀は納得したのか、私の方に体を向けた。
私は笑顔で沙紀の首に腕を通して、沙紀を引き寄せて目を閉じた。
管制室に入ると、沙紀はすぐに入ってきた。
「フーちゃん」と沙紀は入ると同時に、笑顔で叫んだ。
フーは猛烈な勢いで沙紀に駆け寄った、フーの喜びが私にも伝わってきた。
「そうなの・・良かったね、フーちゃん」と沙紀はフーを抱きしめて言った、フーは何度も頷いて返した。
沙紀はフーの言葉が分かるようで、フーの話を笑顔で聞いていた。
私はそれを少し離れて見ていた、フーも嬉しそうだと思っていた。
「フーちゃん、良かったね・・私がお友達をプレゼントするね」と沙紀が笑顔で言った、フーは何度も頷いた。
『沙紀・・プールじゃないと出せないの?』と私は笑顔で聞いた。
「おとぎの国なら、どこでも出せるよ」と沙紀は笑顔で返して、フーと手を繋いだ。
『そっか、なら行こうかね・・良かったな、フー』と私は笑顔で言った、フーは頷いてくれた。
私は笑顔でフーの手を繋いだ、沙紀を案内した。
沙紀は久々に自分のおとぎの国を感じたのだろう、笑顔で夜空を見上げていた。
「そっか~・・夜しかないのか、まずは朝と昼だね」と沙紀は空を見上げたまま言って、瞳を閉じた。
次の瞬間には、平原の方向から夜が明けてきた。
そして加速するように朝が来て、太陽が移動しながら夕暮れがやってきた。
太陽がお城の裏の山に沈み、薄暮の次に夜がやってきた。
「これで良し・・フーちゃん、お昼寝ばかりしたら駄目よ」と沙紀は笑顔でフーに言った。
フーはウルの瞳になり、沙紀に向かって何度も頷いた。
私はただ楽しくてフーを抱いて、沙紀とフーの会話を聞いていた。
「じゃあね・・フーちゃんが好きな子からね、一度に沢山は出さないよ」と沙紀は笑顔で言って、瞳を閉じた。
私はワクワクで沙紀を見ていた、フーもワクワクな感じだった。
突然ガサガサと、トランプ柄の道路の横の森から音がした。
私とフーがその音の方向を見ると、可愛い小鹿が顔を出した。
フーが興奮したので、私はフーを二ヤで降ろした。
フーは小鹿に駆け寄った、小鹿もフーを見て森から出てきた。
フーは小鹿に抱きついて、小鹿もフーの顔に顔を寄せた。
私は驚いて見ていた、小鹿には生命力が強くあり表情も有るのだ。
フーにも生命力は有るが、リアルじゃない感じだった。
小鹿の生命力は野生動物のようであり、優しい表情も滲み出ていた。
『沙紀・・あの子の名前は?』と小鹿とフーを見る笑顔の沙紀に聞いた。
「ボンビです・・よろしくです」と小鹿が笑顔で言ったのだ、私は一瞬驚いたが自然に笑顔になった。
『ボンビちゃん・・可愛いね、よろしくね・・フーが1人で淋しがってたんだよ』と私は嬉しくなって笑顔で言った。
「フーは淋しがりやですからね・・こんなに素敵な世界なのに」とボンビは笑顔で言って、私の後ろに頭を下げた。
「よろしくね、ボンビ・・私はマリです」と後ろからマリの声がした。
私が振り向くと、嬉しそうな笑顔のマリが立っていた。
沙紀はマリに駆け寄り、マリは沙紀を笑顔で抱き上げた。
「さぁ・・フーちゃん、蜂蜜を探しに行きましょう・・沙紀姫様の邪魔をしたら駄目よ」とボンビが笑顔でフーに言った、フーは頷いてボンビの背中に飛び乗った。
ボンビが私達に頭を下げて、フーが手を振った。
私もマリも沙紀も、笑顔で手を振って見送った。
「もう少し・・入れるね」と沙紀がマリに笑顔で言った。
「うん・・1回目だけど、もう少しは良いよ」とマリが笑顔で返して、沙紀を降ろした。
沙紀は何を出すかを考えていた、景色を見回して車両に目が止まった。
沙紀は少し二ヤを出して、私の世界の車とバイクを見ながら瞳を閉じた。
そしてカード柄の路面が発光して、地下からかぼちゃの馬車が現れた。
馬はいなかったが、完璧なシンデルラの乗っていたかぼちゃの馬車だった。
マリの興奮した喜びの笑顔が出ていた、私はマリも少女なんだな~と冷静に感じていた。
「馬車に誰かが乗れば、運転士と馬は自然に出るよ・・みんな喜ぶかな~」と沙紀が笑顔で言った。
「沙紀・・喜ぶに決まってるよ、女の子には永遠の憧れの馬車だからね」とマリが興奮しながら言った。
「うん、嬉しい・・馬車に乗って、湖まで行こうよ」と沙紀が私に笑顔で言った。
『かしこまりました、沙紀姫様』と私は笑顔で言って、ケラケラと笑う沙紀を抱き上げた。
マリはかぼちゃの馬車の前で、馬車を見ながら動きが停止していた。
『マリでも緊張するんだね』と私は沙紀に二ヤで言った。
「マリちゃん・・絵本が大好きなんだよ、最初に絵本で作ったんだよ・・マリちゃんの世界」と沙紀が私に笑顔で言った。
『そっか~・・マリも文字が理解できなかったからね、強い思い出なんだね・・かぼちゃの馬車が』とマリの背中に優しく声をかけた。
「何度も何度も助けてくれた、かぼちゃの馬車に乗った素敵な女性が。
幼い私の折れそうな心を、何度も何度も助けてくれたんだよ。
おとぎの国の住人達が・・だから・・マキ姉さんの物語が嬉しかった。
私や沙紀の感動は、健常者の何倍も強かったんだよ。
マキ姉さんが、灼熱の言葉で伝えてくれた・・今でも逃げ出しそうな心を。
シンデルラもその想いを教えてくれた、本当に嬉しかったんだよ。
今でもおとぎの世界に逃げ出しそうな、弱いもう一人の私が踏み出したから。
灼熱の言葉で・・この世界は逃げ場所じゃないと、強く教えてくれたから。
私には大切な物語なんだ・・【不思議の国のマキ】が1番なんだよ。
今を生きろって、伝えてくれたから・・待って帰れって叫んでくれたから。
ガラスのハイヒールは持って帰れ、女でも自分で選べって伝えてくれた。
それをシンデルラが約束してくれた・・あのシンデルラの誓いこそが。
深海の誓いだったよね・・私にも大切な誓いだったんだよ」
マリは馬車のドアを愛おしそうに触りながら、静かに言葉にした。
私に抱かれる沙紀は、マリの背中を静かに見ていた。
夜空には無数の星が瞬いて、マリの言葉は文字になっているようだった。
沙紀はマリの喜びを感じて、次々に出してくれる。
沙紀にしか描けない生命力を与えて、素敵な仲間を描いてくれる。
女性達の特訓の背中を押す、素敵な世界が動き始めた夜だった・・。