【冬物語第三章・・悪意の門⑥】
新年あけましておめでとうございます。
2012年のスタートですね、皆様にとって幸多い1年である事をお祈り致します。
私もこの物語を書き始めて、2度目の新年を迎える事が出来ました。
それも一重に、ご愛読頂いている皆様の支えであると感謝しております。
新年の日本はどうでしょうか、私は訳あって今年は海外で過ごしています。
新年を迎えるという、日本の素敵な文化を感じてる頃だと、年末の今でそう想っています。
あの年も、暮れ行く年を感じながら、私の心は弾んでいました。
リンダとマチルダが存在する事で、楽しい気分で過ごしていました。
70年代が1つ進もうとしている、楽しい場所でした。
女性達の開放感のある笑顔に囲まれて、私も笑顔で話していました。
「しかし・・それで青猫のポケットを導き出した、ヨーコもやるね~」と蘭が満開で微笑んで。
「それをヨーコが、自白するまで言わないから・・エースも限界カルテットも中1トリオも哲夫もね~」とユリカが爽やか二ヤで言った。
「ヨーコが自分で言わない限り、言えませんよ~・・私もシズカも美由紀も沙織も、あの時ヒトミの世界に入れなかったから」とマキがウルで返した。
「そうだよね~・・ヨーコはどうやって入ったの?」と大ママが二ヤで言った。
大ママの問いかけなので、ヨーコも笑顔で語った。
「私はヒトミの段階の時に入れなくて、段階の時が終わった後でマリに会いました。
会ったと言うより、マリが会いに来てくれたのでしょうね。
病院のロビーでマリに会って、そのままマリに手を引かれて屋上に行った。
そこでマリの同調を感じたんです、マリが誘ってくれたので入れました。
小僧の映像にマリの同調で入るような感じで、自分の世界から抜ける感じです。
そしてマリの世界で感じましたね、ヒトミの世界に入るという感覚を。
マリもヒトミの段階の時に悔しかったのでしょう、自分の力を制御出来ない事が。
ヨーコ先輩でないと実験できなかった、そうマリは同調の中で言ってくれました。
私は嬉しかったですね・・マリの肉声だと感じたから、私を選んでくれたから。
それから私は自分なりのイメージの世界を作りました、非現実的な感じの。
私はやはり施設の子供でしたから、普通に対して憧れが強い子供でしたね。
だから自分で作り出す世界は、非現実的な・・夢の国のような感じです。
自分がプリンセスで、何不自由無く暮らしてる・・そんな感じですね。
優しい両親も健康に存在して、妹と弟もいて・・自分の部屋があって。
そんな世界を作ってましたね・・そして2度目のマリとの同調をします。
その時に私は何気に素敵なドレスを、マリにプレゼントで作ったんです。
マリの世界はリアルな未来都市で凄かったけど、マリが普通の服を着てて。
マリが可愛い洋服を持ってないと思って、私が唯一自信のあった映像。
プリンセスのドレスを、プレゼントで作ったんです。
マリを驚かせたくて、内緒にして・・イメージだけ作って入った。
それをマリに手渡した時に、マリは喜びでなく驚きを示しました。
どうやって出したんですか?・・マリが驚きながら言ったので。
私はそのマリの驚きに驚いて・・えっ!・・イメージで作ってたよ。
マリを驚かせたくて、持って入らないで・・今出しただけだよ。
そう返しました、どうやって出したのか・・表現できなかった。
今でもそれは表現できません、マリはそれを喜んでくれました。
そして教えてくれました・・持って入らなければ、普通は出せないんだと。
そう教えてくれたんです・・そして次のヒトミの段階の時には重要だと。
私が重要だと言ってくれた、私は嬉しくて自分の描く世界を拡げました。
ヒトミの【時の部屋】の話を聞いた時に、ヒトミの世界には自然に入れました。
自分の世界を作る事が、イメージ侵入の訓練になっていたんでしょうね。
それにマリちゃんの同調を経験したのが、波長を合わせる訓練になっていた。
小僧はヒトミの【心の塔】の話をしない、多分私に話せと言ってるんでしょう。
小僧も律子母さんも和尚も無意識に入れたから、私に表現しろと言ってる。
私は外側から苦労して入ったから、私の経験を重要視してるのでしょう。
小僧はその塔があった場所を、間接的な表現では言っています。
小僧はユリカ姉さんを表現した言葉で、ユリカ姉さんの精神性を表現した言葉。
【ユリカは断崖に囲まれた絶海の孤島に凛と咲く花】・・この言葉です。
ヒトミの心の塔は、正に断崖に囲まれた絶海の孤島にありました。
私は入った場所は海の上でした、それを感じた時に海に沈みました。
私は泳ぐのが苦手だったので、慌てましたね・・イメージ映像だなんて忘れてた。
どんどん深く沈んで行って、どうしようかと焦りました。
その時お気に入りのポシェット持っていたので、それに手を入れたんです。
何かを出そうと思って、【船】って心で叫んでみた。
でも何も出なくて、少し望みを下げて・・【ゴムボート】って叫んでも駄目で。
段々と深い場所まで沈んで行って、周りが暗くなってきて・・怖くて。
自分が溺れてないなんて気付かなくて、このままじゃ危ないって焦ってた。
その焦りが閃かせたんです、私には【船】とか【ゴムボート】じゃ駄目だって。
自分のイメージが弱いんだって、マリちゃんの言葉を思い出しました。
マリちゃんが私に言った、リアルにイメージ出来ないと駄目なんですね。
その言葉を思い出した、私がマリちゃんの世界で出せたのは。
私がリアルに描ける物だけでした、それが非現実な物でも出せるんです。
私自身がリアルに映像化できるのであれば、それを出す事が出来る。
それに気付いて・・【魔法の絨毯】って叫んだんです。
そうしたらポシェットの中に何かが入った、私がそれを出すと広がって。
そしてそれが海上まで引っ張ってくれました、真赤な絨毯が一気に上げてくれた。
私が海面に顔を出すと、真赤な絨毯は海面の10cm位上に浮いていました。
私はそれに乗って、海の上に浮いていた・・気持ち良くてニヤニヤしてました。
でも気付くんです・・どうやって操縦するの?・・それに気付いてウルを出して。
それで思い出した・・言葉だったと、私の出した道具は言葉で動くんです。
それを思い出して・・島に行こう、ヒトミ塔にって絨毯に言った。
絨毯はその言葉でヒラヒラと漂うように、島の断崖の先端まで運んでくれました。
でもそれ以上は進めなかった、島をぐるりと取り囲む赤い線の前で止まった。
小さな無人島でしたから、島の真ん中に純白の塔は見えてました。
木は1本も無くて、一面の草原に沢山の美しい花が咲いていました。
私はこれ以上は歩きなんだと思って、絨毯を降りて赤い線の上に踏み出した。
その時突然現れました、私は赤い線の下に映るその映像を見て動けなかった。
マキは赤い線の下に、戦争で傷ついた人が見えたと言いましたが。
私が見たのは焼け爛れて、水を求める人です・・その声まで聞こえました。
私は漠然と被爆者だと思いました、記憶には無い父の事を思い出した。
私の父は広島の被爆者でした、子供の頃に被爆しました。
父は奇跡的に助かって、母と結婚するまでは健康だったそうです。
父が病に冒されたのは、私を母が身ごもった時だったそうです。
私はその話を母に聞きました、私の母は私が10歳の時に亡くなりました。
だから母の話は沢山聞いたのです・・父の親族は全て原爆で亡くなっています。
一瞬にして消えてしまった、父は悪ガキで・・あの日遊びに行っていたそうです。
どこで遊んでたのかも、誰と遊んでいたのかも・・母にさえも言わなかった。
父は言えなかったのでしょう、あまりにも辛い経験だったのだろうと。
母が泣きながら教えてくれました・・私は父の写真を1枚だけ持っています。
私は母を亡くし・・自分でも気付かない部分で、自分を責めていました。
その感情が赤い線の映像を見て溢れ出した、だからパニックにならなかった。
境界線の映像を見ても恐怖心は無かった、悲しみだけが襲ってきた。
私は・・私が母の中に誕生した事が、父の発病の原因だと思っていました。
自分でも感じない心のある部分で、そうやって自分を責めていました。
その感情を赤線の映像で気付いて、私は涙が溢れて止まらなくなった。
自分の考えが間違ってると知りながら、それでも自分を責め続けた。
私の心は押し潰されそうで、どうにか動きたくて・・ポシェットに手を入れた。
その時です、ポシェットの中の私の手を誰かが・・人間の手が握り返したんです。
本当に怖かった、そして凍結しました・・でも次の瞬間に感じました。
温かい手だって・・そう思って恐怖心は消えました。
その頃は、ヒトミと触れ合っていたから、温度には敏感でしたから確信できた。
そして勇気を出して引っ張り出したんです、そして現れたのは笑顔の父親でした。
20代前半の、母と結婚する前の・・写真の父親でした。
私は嬉しくて、父親に抱きしめてほしくて・・父親に向かって歩いた。
父は笑顔で少しずつ後ずさりして、私は必死で追いかけて・・そして追いついた。
父は優しく抱いてくれました・・本当に嬉しかった、父の温度が優しくて。
私は目を閉じて何も言わない父に抱かれていた、そして父の温度がフッと消えて。
私が目を開けると、父の姿は無かった・・その時の私は、境界線の内側にいました。
今・・初めて言葉で話しました、自分でも確信できる話じゃなかったから。
非現実な経験で、小僧にも話さなかった・・私には大切な思い出になりました。
まぁ、マリと小僧は感じてたでしょうが・・それが私の最初の境界線越えです。
怖くて辛い話だけになっては、境界線の本質に迫れないので。
もう1つの事実を付け足しますね・・実はそれからの私は、何度も境界線を越えた。
2度目以降の境界線の下には、父と母の手を振る姿が見えるからです。
私はそれで境界線が何なのか、考えなくなりました・・私には大切な場所だから。
実は・・私は父と母の映像が、いまだに自分の世界には入りません。
これは小僧もそうです、小僧もヒトミの映像は作れないと言った。
私がどうしてだろう?・・そう聞いたら、小僧は素敵な解答を出してくれました。
失ってないからだと思う、ヨーコも両親を・・俺もヒトミを。
失ってないからだと思うよ、だからイメージなんて映像化は出来ない。
現実に存在するから・・体が存在しないだけで、心は存在するからだと思う。
俺は何度も映像にヒトミを描いた、だけど描くたびに勝手に動き出す。
だからそう思ってるよ・・ヒトミを失ってないって。
この言葉は本当に嬉しかった、私もそうだと思いました。
私は唯一・・境界線で出会えます、両親の笑顔と・・両親の意思に。
2人は頑張れと手を振ってくれる、心の塔に向かう私を・・笑顔で。
強く背中を押してくれる、ヨーコにしか出来ないよ・・そう言ってくれる。
私は常に探しています・・境界線の場所を、それは大切な場所だから。
境界線だけが・・両親の優しい笑顔に会える、大切な場所だからです」
ヨーコは笑顔で言ってのけた、その覚醒した姿を誇示するように。
幼少期の過酷な経験で得た強さを示すように、終始笑顔で語った。
女性達は泣いてた、マチルダが最強の輝きを放出して泣いていた。
シオンは泣きながらも、必死にリンダに伝えた。
ヨーコは女性達の涙を見たくないのか、最後に私に最強清楚二ヤを出した。
私も心と裏腹のニヤニヤで返した、ヨーコの覚醒で到達した世界に驚きながら。
「小僧・・ヨーコ先輩の、あの質問に対する・・お前の見解を言うべきだね」とマリが雰囲気を察して二ヤで言った。
女性達がマリを見た、マリはヨーコを見て二ヤを継続させていた。
「そりゃ~そうだよね~・・私にここまで話させたんだから」とヨーコも私に二ヤで言った。
「いよいよ聞けるか、ワシにも律子にも分からぬ・・小僧のヨーコ力に関する見解が」と和尚が律子に二ヤで言って。
「隠し続けてますからね~・・よほど大切な想定ですよね~」と律子も二ヤで言った。
女性達が笑顔に戻って、私を見て二ヤを出した。
『俺の考えだよ・・ヨーコの、引き出せるという力。
それに対する今の考えは、マチルダと沙紀に出会って確立したよ。
マチルダは俺の映像を鮮明にしてくれた、それは新しいカメラをくれた感じ。
最新型のカメラで撮る映像になった、そう表現するのが1番なんだ。
それからのマチルダは、俺の映像に何でも侵入できるんだ。
リンダの試験もそうだった、リンダが問題を作り・・マチルダが映像化した。
この時に少し感じた・・ヨーコの出せるという能力を。
持ち込むのじゃなくて、出せる・・これは大きな武器なんだよね。
俺はマチルダの侵入を感じて、持ち込むんじゃないと思った。
持ち込むのなら、俺は気付くと思ったんだ・・あんなに強大なリンダの試験は。
マチルダは俺の映像の中で、引き出して映像化してる・・そう確信したよ。
そして沙紀はアフロの話のように、沙紀が俺の映像の中で描いてくれる。
そしてその描いた物がそのまま残るんだよ、それが沙紀の凄さなんだけどね。
でもその沙紀の描くのは、付け足したんじゃない・・誕生させる感じ。
だから形式的な手順として、水から生まれてくるんだ・・いきなりじゃない。
手順を踏んで・・沙紀が俺の世界の何かに描いて、水中から登場する。
沙紀はリアルを追求するから、そのリアル感は圧倒的だよ。
もちろんアフロは永井先生のイメージだよね、機械的にはイメージの世界。
だから沙紀は中身を緻密に描くことで、製作者のイメージを掴んだ。
その掴んだイメージこそが、あのゆっくりと立ち上がるアフロなんだ。
本物の才能・・その力が描く内側の部分には、イメージが入ってる。
伝えたいイメージが強く入ってる、たとえ現存しなくても・・空想でも。
どう動くのか・・そのイメージが、読み取れる相手には伝わるんだ。
アフロの中身である、多種多様の機械やコンピューターは作者の空想。
現存しない機械、だからどう動くなんて分からない・・空想の産物だから。
でも沙紀はその作者の空想まで入れた、沙紀はイメージまで読み取った。
俺はアフロを見ながら、また思い出してたよ・・シズカ。
レオナルド・ダ・ヴィンチのあの絵・・【頭蓋骨】と【胎児と子宮】をね。
あのデッサンには絶対にメッセージが入ってる、そう確信したよ。
描写力、リアル性を高めるためだけに・・あの天才は人体解剖などしない。
何かが知りたかった・・でもそれは表現が出来ない、制限された。
だから内側をリアルなデッサンで描いた、それはメッセージとして。
俺は沙紀の最終段階は決めている、いつになるか分からないけど。
沙紀の最終段階は連れて行く・・本物の【最後の晩餐】を沙紀に見せるよ。
俺は絶対にあの絵には込められてると思う、ダ・ヴィンチが気付いた何かが。
それを読み取れるのは、沙紀だと思っている・・【最後】の意味。
あの大天才が気付いた・・【最後】の意味が隠されてると確信したよ。
もちろん、俺のような映像に入れるよりも・・相手のイメージに入れる。
ヨーコの力の方が遥かに凄いよね、俺もそれに対しては答えが出ない。
想定すら今は出来ない・・でもね、俺は1つだけヨーコの凄さを知っている。
マリは知ってるけど・・俺は人間の内臓は全て映像化してる。
悪趣味な行為だと、マリには言われたけど・・映像化して動かしてみるんだ。
心臓でも肺でも胃でも腸でね、俺はラッキーな事に医者の知り合いが多いから。
外科医の先生にどんな動きか聞いて回った、だからかなりリアルに動くよ。
でもね・・1つだけ動くイメージが掴めない臓器がある・・もちろん脳だよ。
俺は脳は動かないと思ってた、電気信号みたいな物を送受信するだけで。
でもね・・俺がダヴィンチの、【頭蓋骨】のデッサンを見てた時。
ヨーコが二ヤで覗いたから、この話をしたんだ。
その時ヨーコがさらっと言った、俺の横に座り絵を見ながら二ヤ顔で。
動くでしょ~・・入ってくる時も、出す時もピクピク動くよ~。
可愛い感じで、ピクピク・・産まれたばかりの、子猫みたいに。
受け取って、ピク・・出すときに、ピク・・そんな感じで。
ヨーコはそう言って笑ったんだ、俺は本当に驚いたよ。
その表現がリアルだったから、ヨーコは完全にイメージ出来てると感じた。
脳が動く感じを掴んでる・・それこそが、ヨーコの力の根源だろうね。
俺はヨーコは感じてるんだと思う、脳の嘘を感じる・・脳が出す作為を。
ピクの動きが違うから、ヨーコは感じるんだと・・今はそう思ってる』
私はシズカに二ヤで言った、シズカも二ヤで返していた。
「楽しくて、怖い話になってきたね~・・確かに脳の動くイメージは無いな~」とミコトが笑顔で言った。
「無いですよね~・・私、医学書を見てるけど・・それはイメージ出来ません」と千夏も笑顔で返した。
「専門的な見解は別として、ピクピクと言われたら・・そんな気もするよね」と千春が言って。
「するよね~・・試験とかで解答が出せない時は、ビクビクな感じだよ」と美冬が二ヤで返した。
「1行流しでも、自分の番が迫ってくると・・ピクピクが早くなるような感じです」とレンがウルで言って。
「それはあるよね・・裏の意味や、天然返しを想定して・・ピクピクが忙しくなるような」とケイコが笑顔で返した。
「裏の意味と天然返し・・難しいですよね~、意識しすぎるほど」とセリカが流星ウルで言った。
「日本的な感覚ですね、凄いことですよ・・他の国ではその特訓が出来ません。
2つの文字を組合せ、同じ文字でも意味が多様にある。
そんな日本語の難解さが、その世界までのトレーニングになってますね。
もちろん英語でも、同じスペルで違う意味の言葉はあります。
でもほとんどはアクセントや発音が違いますね、スラングは別ですけど。
英語の基本は、スペルなんですよね・・アルファベットの並びの順番です。
日本語は漢字を平仮名で繋ぎますよね、言葉を話していても漢字表記を入れる。
これはユリカ姉さんとシズカの会話で感じました、【もの作り】という言葉で。
シズカが言った言葉が、【小僧のもの作りを進めた】と言った。
それを受けたユリカ姉さんが聞いた、【シズカ、今のものの漢字表記は?】
そう聞きました、私はこの会話で驚きましたね・・言葉に対しての漢字表記。
日本人はこんな会話も出来るんだ、そう素直に思いました。
同じ言葉で、同じ発音で・・意味の違う言葉を問いかける。
その行為に驚いて、私は自分の日本語レベルを考えた。
私は13歳まで日本にいたから、言葉には自信があります。
でも書く事には・・特に漢字表記には、全く自信が無いんです。
シズカはこう答えました、【もちろん、人を表す【者】です】と瞬時に返した。
これは西洋人には理解しずらい感覚です、私はリンダに話して意見を聞いた。
中国語でもこの感覚はあるのだろうか?・・そう問いかけました。
ないだろうね・・私は多分無いと思うよ、話を聞いた今でも掴めない。
内容は分かるけど、それが言葉を文字化したのなら・・掴みきれない。
私は日本語をもっと勉強するよ、凄く興味が湧いてきたよ。
リンダはそう言いました・・皆さんは素直に理解できる会話ですよね。
言葉を文字化して問われても、即答出来ますよね・・素敵な事ですよ」
マチルダが笑顔で言った、女性達は嬉しそうな笑顔を出していた。
「マキ・・MAXレベル・・オシエテ?」とリンダが笑顔で言った。
マキは笑顔で頷いて、少し考えて受付に歩いた。
そして私に下書き用の色紙と筆ペンを差し出した、私はウルで受け取った。
「小僧なら、全部覚えてるだろ・・MAX575流しを・・お前は100点取ったんだから」とマキが二ヤで言った。
『全部書くの・・書けるけど』と私はウルで返して、6番に座り書いていた。
マキが戻って沙織に振って、沙織が分かり易く、漢字を指定するルールを話していた。
リンダは笑顔で、シオンの通訳に頷きながら聞いていた。
あの場にいなかった女性達と、オヤジ達は驚きながらそのルールを聞いていた。
私は7人の句を書き終わり、自分の返しの詩を書いて二ヤを出していた。
文字にして新たに気付いた事があって、それでニヤニヤを出してマキに渡した。
マキはリンダの前に色紙を出して、沙織を促した。
沙織は自分の感想を込めて、漢字の内容を丁寧に説明しながら話した。
マチルダとミコトの反応が強かった、キングも驚いて私を二ヤで見た。
「文字にすると、凄さが増すね~」と大ママが笑顔で言って。
「怖くなりますね・・この詩を瞬時に読めるのわ」とユリさんが薔薇で返した。
「沙紀の世界の前じゃろ?・・それなら、これ位の集中にはなるよの~」と和尚が二ヤで私を見た。
「哲夫・・私、文字を見て気付いたけど・・やっぱり裏流しだよね?」と沙織は色紙を見る哲夫に聞いた。
「裏流し?」とユリカも哲夫を見た、哲夫は色紙の字を集中して見ていた。
「和尚・・この部分は小僧らしくないよね?
【我が恋】から始まってるのに、段階を知るで終わってる・・らしくないよ。
そっか!・・これは美由紀姉さんと秀美姉さんに対する想いなんだよね。
だから段階を知ると自分の考えを強く出した、上がらぬ段に対する答えか~。
裏流しだ・・またレベル上がってるな~・・達人小僧が」
哲夫は色紙を見ながら笑顔で言った、和尚は女性達の凍結を二ヤで見ていた。
「哲夫・・ここでの独り言は通用せんのが、まだ分かってないの~・・説明しろの、視線が痛いぞ」と和尚が色紙を見る哲夫に二ヤで言った。
哲夫は慌てて顔を上げて女性達のニヤを見て、ウルウルで返した。
「テツオ・・ノベヨ」とリンダに間近で言われ、哲夫はウルで頷いた。
「多分・・字で見たから感じたんだけど、小僧らしくないんだ。
我が恋で小僧が始めたのなら、段階を知るなんて伝える感じで終わらない。
本来なら強く自分の気持ちを表現して終わる、春雨の男だからね。
この【段階を知る】は、美由紀姉さんの問いに答えた言葉だと思う。
だから伝える表現で終わってる、多分・・中1トリオに伝えたんだ。
これは【知る】のMAX流しだけじゃないんだよ、裏取りの正にMAXレベル。
【恋】のMAX裏流しなんだ・・それを受けた小僧が、自分の考えを伝えた。
沙織姉さんは、何が知りたいのと問いかけた・・大切な2人に。
障害と言われる、両足と片腕が無い親友に・・強く問いかけた。
それを秀美姉さんは、【恋】だと強く返したんだ。
自分より高い障害に・・両足が無いという、高いレベルに問うた。
美由紀姉さんの持つ、【恋】に対する想いを教えてと言った。
それを表現した美由紀姉さんのこの部分、【上がらぬ段に】の部分。
これは短い両足での難しさまで入れたんだよね、健常者より難しい。
その段が健常者よりも相当に高い、それも表現した言葉だよね。
片腕の秀美姉さんに伝えたい、どんなに高い段でも諦めない。
そんな強い美由紀姉さんの意志を表現した、それを【段】に込めたんだ。
その想いを感じたヨーコ姉さんは、美由紀姉さんに対する想いまで入れた。
マキ姉さんに問いかけたい【重】は、美由紀姉さんに対する想いでもあった。
石段の重きを感じたんだよね、美由紀姉さんの【段】に対して。
その言葉の重さを私は感じたと返した、だから【汗を知る】なんだよね。
どんなに大変でも2人なら出来るよ、そんな強いエールなんだよね。
そして【重】を受けたマキ姉さんは、その目標地点まで示した。
これは間違いなく、灼熱の言葉・・2人に告げた灼熱なんだ。
【身重なら、足元を見て、道を知る】・・命に対する言葉だよ。
身重になったから、道を知るんじゃないんだよね・・足元を見るからなんだ。
これは絶対に、身重になれと言ってる・・2人の大切な妹に。
それがどんなに困難でも、道を知りたければ・・身重を目指せと言ってる。
俺はそれだけは感じたよ、その深さと熱さは・・まだ俺じゃ分からない。
これで裏の流れが完成したんだね、ヨーコ姉さんとマキ姉さんの流れで。
このMAX裏流れの想いは完成した、そして待っていたんだよね・・2人が。
このあとの恭子姉さんとシズカ姉さんの句には、俺の感想は言えない。
小6の俺ではその深さが分からないし、今は言葉にしたくないから。
限界カルテットのレベルが高過ぎて、今の俺では言葉に出来ない。
そして達人は全員に込めた、自分の恋は常に息吹の中にあると。
【我が恋は、重き時にて、足元の、息吹の中に、段階を知る】
く~・・又遠くなった、全然待ってくれない・・意地悪達人。
俺は小僧の詩なら、相当に理解できる・・1番弟子だからね。
この詩は間違いなく春雨の叫び、小僧の想いを叫んだ詩だよ。
俺の恋はそんなんじゃない、俺の想う段階はそこじゃない・・そう叫んでる。
時を重く感じたり、足元ばかり気にするな・・段階は常に息吹の中にある。
全ての愛は生命の中にある・・そこにある段階を知れ・・なんだよ。
成就する事を目指すな、愛されようと思うな・・息吹を感じろ。
愛してみせろなんだよ・・裏流しMAXで叫んだんだ、瞬時に流れだけを感じて。
美由紀姉さんと秀美姉さんを想って、タブー無しで・・春雨を浴びながら。
2つの春が叫んだ・・この詩には絶対にある、2つの春が存在する。
春雨の叫びと、春風の囁きが存在する・・だから・・こんなに温かいんだね」
圧倒的だった、哲夫の言葉の流れは映像を連れて来た。
モモカのルンルン笑顔を連れて来て、私は笑顔になっていた。
誰も動けない状態で、ユリカが哲夫を強く抱きしめた。
哲夫は嬉しそうに瞳を閉じた、哲夫が心の母と呼んだ・・ユリカ。
その始まりの日だった、私は和尚の笑顔が何よりも嬉しかった。
哲夫は手にしていたのだろう、心の鋭い感覚までも・・。