表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
348/454

      【冬物語第三章・・深海の誓い⑰】 

時が過ぎれば別れが訪れる、それは時が過ぎたからなのだろうか。

時がいくら過ぎても、別離の無い関係は存在している。


翌日の忘年会の段取りをして、女性達は準備に帰った。

16時を過ぎて、中1トリオとシズカと恭子が笑顔で帰って行った。

沙紀の迎えに母親が来て、私はユリカと蘭と通りまで見送った。


沙紀に手を振って別れて、蘭の車に乗りミホとマリと病院に寄った。

私はマリの緊張を二ヤで見て、由美子の病室に入った。


由美子の左手が勢い良く上がっていて、私は二ヤでマリを誘った。


『由美子・・お待たせ、マリの登場だよ』と二ヤで温度と言葉で言った。

《うん、ありがとう・・早く、早く》と由美子に急かされた。


私はマリに左手を握らせて、ソファーに向かった。

マリは由美子の手を握って、瞳を閉じて集中していた。

その雰囲気が別世界で、祖母も驚きながら見ていた。


私は由美子の絵を見てる、ミホの横に立ち一緒に見ていた。

ミホは由美子の絵を静かに見ていた、私はミホの違う次元の集中を感じていた。


マリはかなりの時間目を閉じていた、そしてミホを呼んだ。

マリの嬉しそうな笑顔を見て、私はミホを由美子の横に連れて行った。

ミホは由美子の左手を握り、無表情に何かを伝えていた。


私は由美子の疲労を心配して、蘭に由美子の左手を握らせて挨拶をさせて病室を出た。

ミホを祖父母の家に送り、マリを自宅に送った。

マリは終始ご機嫌で、ニコニコマリに手を振った。


年末の寒い日で、それでも蘭の満開が咲いていた。


『ヒトミがね、凄く気にしてたよ・・蘭を傷つけるかも知れないって』と私は横の満開蘭に笑顔で言った。

「そんなこと、ある訳無いよ・・本当に嬉かったよ・・ありがとう、ヒトミ」と蘭は満開笑顔のまま前を見て言った。


『そうだよね~・・俺でも嬉しかったよ』と私も前を見て言った。

「大晦日にハルカに告白するよ、ハルカが何も聞かないから・・嬉しくてね」と蘭は満開で微笑んだ。

『そうだね・・大晦日、楽しんでね』と私は笑顔で言った。


「うん・・兄が大晦日に帰ってくるっから、私がいてやらないと・・母さんが大変だから・・初日はね」と蘭は笑顔で言った。

『そっか・・そうだよね』と私も笑顔で返して、忙しそうな年末の街を見ていた。


蘭が貸衣装屋の前で降ろしてくれて、私は蘭に笑顔で手を振った。

そして貸衣装屋に入って、顔馴染みの女性店員に笑顔で挨拶した。


「ユリさんの依頼品、揃ってるよ~・・着てみて」と私は黒いタキシードを渡された。

『タキシードなの・・気合入るな~』と二ヤで言って、シャツとズボンを着て上着を羽織った。


「良いね・・気合入れてね、夜街の重鎮が待ってるよ」と二ヤで言われて、私も二ヤで返した。

大きな紙袋にタキシードを入れてくれ、それを持ってPGに戻った。


TVルームの奥で着替えて、蘭がプレゼントしてくれた黒い革靴を初めて履いた。

蝶ネクタイをはめて、襟にPGのバッジをはめて鏡を二ヤで見ていた。


「エース!・・かっけ~ね~」とアンナが覗いて笑顔で言った。

『だろ~・・かっけ~のだ~』とアンナを抱いてTVルームに戻った。


食事の準備をする女性達が、一瞬沈黙して大爆笑した。


「危ない店の呼び込みみたいだ~」とカスミが笑いながら言って。

「それで良いの?・・お前、ユリのエスコートだろ」と北斗が笑いながら言って。

「写真撮っとけよ・・七五三みたいだから」とリリーが爆笑しながら言った。

私は当然ウルウルを出した、女性達は暫らく笑っていた。


蘭が来て爆笑して、私は来る女性全員に爆笑の洗礼を浴びた。

ユリさんが和服で来て、薔薇の笑顔で頷いた。

私も笑顔で返して、革ジャンを羽織ってユリさんと腕を組んで出かけた。


タクシーに乗って、ユリさんは川沿いのホテルの名前を告げた。


「多分、あなたが今夜の一番のターゲットですよ」とユリさんは薔薇で微笑んだ。

『怖いな~・・向こうは知ってて、俺は知らないという設定は』と二ヤで返した。

「それは難しいですね・・楽しみですね~」とユリさんは楽しそうな薔薇で言った。


ホテルのロビーに腕を組んで入って、3階の鳳凰の間に向かった。

受付横のソファーに、大ママとミチルが何人かのママらしい人と座っていた。


ミチルが私を見てニヤニヤで手招きして、ユリさんは受付をすると言ったので、私はソファーに歩いた。


『ミチル・・悪い笑顔が出てる』とウルで言った。

「そうでもないよ・・お前が可愛くてね~」とミチルが横の席に招いてくれた。


「エース・・似合うじゃないか、いつでも呼び込みになれるぞ」と言って大ママが笑った。

『交渉なら聞くよ・・魅宴の呼び込みをするよ』と二ヤで返した。


私は笑顔の大ママから、3人のスナックのママを紹介され、笑いを取りながら挨拶した。

ユリさんが薔薇でやって来て、大ママの横に座った。

賑やかな女性達の話を聞いていると、御大が階段から上がってきた。


「エースを借りても良いですか?」と加々見社長が笑顔で言った、その後ろにフネが立っていた。

全員が立って挨拶して、私は加々見社長と奥のソファーに2人で座った。


「フネから聞いたよ・・そのメンバーで、本気でやってくれるんだな?」と加々見社長が笑顔で言った。

『もちろん本気です・・全員の了解も取ってますから』と笑顔で返した。


それから加々見社長と雑談をして、加々見社長を主催者が迎えに来た。

私は革ジャンを受付に預けて、ユリさんと腕を組んで大広間に入った。


ユリさんの席は決まっていて、大ママとミチルと歩いて行った。

私はくじを引かされて、ほぼ真中の8人掛けの丸テーブルに座った。

ママであろう6人の女性が座っていて、私はウルで恐怖を演出して座った。


「何のウルなの~・・エース」と顔馴染みのユリカの店の隣の店の、加奈子ママがニヤで言った。

『知らない人ばかりで、怖い・・俺、人見知り』とウルで返した。

「嘘つき・・こちらがね・・・・」と加奈子ママが5人を紹介してくれた。


私は右隣の女性に驚いていた、小さなクラブの経営者だと名乗った若い女性に。

歳は蘭・ナギサ世代であろう20代前半で、落ち着きと気品の有る美しさだった。

だが笑うと若さが弾けて、そのギャップが強引に惹き付けるのだ。

そのクラブのママは、源氏名を聖香せいかと名乗って名刺をくれた。


《世界は広いね~・・ユリカ、まだなの?》と心に囁いた。

強い波動と共に、私は肩をリアンに掴まれて振向かされた。


相当数の招待客が入っている中で、リアンとユリカが私を見て爆笑した。


「駄目、ダメよリアン・・笑いすぎだよ」とユリカが笑いながら言って。

「ごめんよエース・・似合うよ~」とリアンが笑っていた、私は当然のようにウルウルで返した。


2人が笑いながら1番前の、ユリさんと大ママとミチルとフネが座る席に向かった。

その横の席に、小林の爺さんと轟の爺さんと加々見社長などの重鎮達が座っていた。


「可愛いのにね・・素敵だよ~」とテーブルの女性に挨拶をしながら、千鶴が私の左隣に座った。

私は左横が千鶴なので一安心をして、ウルを笑顔に戻した。

女性達が夜の情報交換をしていて、私は興味津々で聞いていた。


司会者が立ち、飲食業協会の会長の爺さんが挨拶した。

小林の爺さんが乾杯の挨拶をして、盛大に乾杯して幕を開けた。


私は空腹で、運ばれてくるコース料理を笑顔で食べながら、ママ達のビールを注いでいた。

私が千鶴のビールを注いでいると、千鶴がニヤで私を見た。


「ねぜイヴの独り占めナイトを、繋いでくれなかったの?」と千鶴がニヤ継続で言った。

『ゴールドには必要ないでしょう、若いお客が多いんだから』とニヤで返した。

「そうでもないよ、かなり厳しいよ・・それにあのイベントには、裏の意味もあるんだろ?」と千鶴が言った。


聖香と何人かの女性が興味を持って聞いていた、聖香が千鶴に笑顔を向けた。


「千鶴姉さん、イベントの内容から聞かせて貰えますか?」と聖香が笑顔で言った。

《やっぱり、千鶴のほうが姉さんだ・・26歳以下だな》と私は思っていた。


「クリスマスイヴに、エースがPGに提案したイベントがあってね。

 それが独り占めナイトってやつでね、それが大成功したのよ

 エースは魅宴にもうちにも繋がなかった、私は大ママから聞いたの。

 まぁ・・魅宴は店のイメージじゃないし、ゴールドも今言ったように。

 若い客が多いから、必要無いとエースが判断したんだろうね。


 でも実情はそうでもないんだよ、イヴはやっぱり厳しいんだよね。

 エースのやった独り占めナイトの内容は、1時間完全指名制なんだよ。

 1対1での接客・・だから予約以外の客は入れない。

 指名した1時間は女の子は離れない、客にとっては最高だよね。

 客には素敵な話なんだよね、離れない1時間・・それもイヴにね。

 それにPGはクリスマス感謝祭と銘打って、通常より安くしたんだ。

 ここが凄いんだよ、私はそれで気付いたんだ・・客のほとんどは知らない。

 イヴが暇だなんて知らないんだよね、イメージ的には忙しいと思ってる。

 まぁ一部の店は忙しいけど、それは危ない店だよね。


 PGはイヴの2日前には満席を確定した、そして休みたい女性も堂々と休めた。

 イヴだから相手のいる子は休みたいよね、でもいくら暇でも休み難い。

 他の女性達の視線を気にして、休み難いよね・・それも解消した。

 そして断り難い、プレゼントも受け取らなくて済んだんだよ。

 独り占めナイトは、指名してくれる事がプレゼントだとしたんだ。

 そのルールまで作った、全てにおいて準備をしたんだよね。

 お客にも女性にもプラスになる、素敵な準備をエースはした。

 このイベントには、他にも多くの裏の意味がある・・私はそう思ったよ。

 さぁエース・・話してね、あなたの独り占めナイトに込めた策略を」


千鶴がニヤで言って、テーブルの女性達が興味津々光線を出した。

両隣からも何人かのママが椅子を持ってきて、私は女性達に囲まれていた。


『イヴのイベント、独り占めナイトに対して俺の策略は2つだけだよ。

 女性達がどの客を信頼してるのか、それがチェックしたかった。

 だから指名を取る作戦を、店が勝手に変なイベントを組んでってウルを出す。

 困ってる感じで話すだけ、それで相手が乗って来たら指名を取る。

 その方向で提案したんだ、自分は乗り気でない感じでね。

 だから話す相手を見極める、勘違いしない信頼できる相手だよね。

 だからこそ、通常より安くした・・それにより感謝祭って名目が付けれた。

 女性達は競争意識が強まるけど、簡単には誘えない状況を作った。

 それに俺は電話勧誘をNGにした、それまでに来店する運の良い客での勝負。

 そういう限定を作った、多分女性達は色々とルール内で作戦を練った。

 その状況で困ってる状況が、現実として発生した。

 これで女性達も気分的に楽になる、事実として困ってるんだから。

 

 もう一点は、女性同士の情報の交換なんだよ・・言葉にはし難い心の情報の。

 お客は何人も指名する人は多いよね、今夜は誰の気分とかね。

 それは当然の行為なんだよね、彼らはそれに金を払うんだから。

 でも女性達はそれで微妙な状況になる、引いてしまうんだよ・・遠慮が出る。

 この人は誰の本指名だからとか、そんな精神状態が生まれるんだ。

 これはマイナスなんだよね、円滑な女性同士の関係を考え過ぎてるんだ。

 今回のイベントは、それを払拭した・・話すしかなくなった。

 女性同士が話しをして、私は誰を誘いたいけど・・あなたは?・・なんてね。

 俺の最大の狙いはそこ、その状況を作り出したかった。

 信頼関係のレベルを上げる、それには言葉にするしかない・・当人に向かって。

 要はタブーを取り除く、それがより強固な関係を築けると再認識させる。


 PGを支えてるのはユリさんだけじゃない、それはユリさんが1番そう思ってる。

 女性達の個人のレベルや力でもない、女性全体が作り出す信頼関係なんだ。

 これが崩れない限り、PGに陰りは見えないだろう・・常に変化をするから。

 変化を望み上を目指す気持ちになるには、互いの信頼関係が不可欠なんだ。

 それが無くて上を目指しても、何か障害があると・・バラバラになる。

 心がバラバラになって砕けて・・空中分解も有り得るからね。

 俺は次段階に向かう1つの案として、今回のイベントを提案した。

 俺の中では大成功だったよ、千鶴・・ゴールドでやるなら、覚悟がいるよ』


私は最後に千鶴にニヤを出した、千鶴は考えていた。


「確かに覚悟がいるよね、そのイベントで溝が深まる可能性もあるんだから」と聖香が真顔で言った。

「でも・・競うという本質はそこなんだよね、恋愛じゃないんだから」と千鶴は笑顔で返した。


「ならばエース・・その状況で女性達が、溝を深めそうにならない作戦は?・・お前が無かったとは言わないだろうね」と大ママが私の横に椅子を持ってきて座った。

女性達が緊張して挨拶した、大ママは笑顔で返した。


『もちろん有るよ・・それが派遣という存在。

 そのレベルを見せ付ける、俺はこのイベントの作戦を・・リリーに託した。

 派遣になって間もないリリーだから、私はこの人の指名をって言い易い。

 相談しやすいんだ、状況を分からないと言えるしね・・このポジションが勝負。

 中途半端な人間がしても、女性達には響かない・・圧倒的な存在じゃないと。

 俺には切り札がいたんだよ、圧倒的な伝説の女・・リリーがいた。

 リリーが真剣に語りかける事で、女性達は真剣勝負だと自覚する。

 リリーはイベントの指名を取れる初日に、2人の指名を取ってみせた。

 それもキチンと女性達に断って取った、それが起爆剤であり調整剤なんだ。

 溝を深めるなんて小さな世界にはいられない、リリーが必死になっている。

 全力じゃないとリリーに申し訳ない、自分達も心を表現しないといけない。

 その状況をリリーは完璧に作り出した、それは凄い迫力だったよ。


 俺には何も不安は無かったよ、多分・・ユリさんにもマダムにもね。

 大ママ・・俺には来年からリリーがいるんだ、魅宴もゴールドも覚悟してもらう。

 今のままではいられない、絶対に次の段階に進む・・リリーが誘うから。

 リリーはそれを楽しんでしまう、常に競っていたいと望む。

 だからこそ、カスミは挑戦状を出した・・カスミが出したという事は。

 リョウもホノカもセリカも出したと受け取る、リリーはそう受け取ってる。

 リョウがNo1の道標を見つけるのも、セリカが夢を叶えるのも。

 この次の試験が重要なんだ・・最強の試験官、リリーとの勝負がね』


私は笑顔で大ママに言った、女性達が沈黙していた。


「よし・・良くぞ言った、願ったり叶ったりだよ。

 変化を望む、それで結構・・それでないと店をやってる楽しみがない。

 私に覚悟をしろと言ったのは、お前が4人目だよ・・嬉しかったよ」


大ママは笑顔で言って、立ち上がり席に戻った。

大ママの席にリアンが座り、私の腕を強く組んだ。


「私のだから・・誘惑するなよ~」とリアンが笑顔で言った、女性達に笑顔が戻った。


私はリアンの凄さを再確認していた、リアンは大ママとの阿吽の呼吸で入った。

緊張感を感じた女性達を、一瞬で楽しい時間に誘ったのだ。


『リアンの店はイヴは多かったよね、ユリカは閉めたのに』と真横のリアンに笑顔で言った。


「うちは関係ないよ、ユリカの店は上級志向の客が集まるんだ。

 それはユリカの本意じゃないけどね、客の方がそれを望んでしまう。

 結局・・店の雰囲気を作るのも、客なんだよ・・私達は提供するだけ。

 空間を提供するだけなんだろうね、望みと現実は違うんだから。

 それをいちいち考えない、少しずつ自分の理想に近づけるしかない。

 仕事としてやるのなら、プロだと言うのなら・・受入れる事が大事。

 受入れた後に自分を残せるか、そこが肝心なんだ・・残せないと駄目。

 残せないで消えた巨星のような女性も数多くいる、訳分からなくなるだ。

 自分を残せないと、最後は訳分からなくなる・・金だけの為には働けない。

 続かないんだよ・・この世界はそれだけでは、辛すぎる世界なんだろうね。


 うちの店はお客は、フランクな気分を楽しみに来る客なんだ。

 だからイヴに顔を出して、お客の方がウルウルして笑いを取る。

 私らはニヤニヤでヨチヨチしてやって、私らなんて仕事だよってウルで返す。

 それだけで良いんだよ・・本当に寂しい奴は出ない、ならば気は使わない。

 それが嫌なら来なくて良い・・私は無理にまで合わせない。

 女性達にそんな偽りの仕事はさせない・・ユリカのようにね」

 

リアンはご機嫌笑顔で言った、女性達にも笑顔が溢れていた。

リアンが車座の中心となって話していた、私はドンが誘いに来たので、ドンに付いて行った。


ドンの席で轟爺さんと、加々見御大に囲まれた。


「今年は自分の中では、成功だったかね?」とドン小林がニヤで言った。

『目標はクリアー出来た感じですか・・でも課題も多く残りました』と笑顔で返した。


「課題を感じるのは、良い事だよ」と轟爺が笑顔で言って。

「それを感じ、挑むんだから・・必要な事ですよね」と御大も笑顔で言った。


「エースはユリカ姫の宣言に、どんな感じを持ってるのかね?」とドンが笑顔で聞いた。

「エースも何らかの覚悟をしてるのか、ユリカ姫に対して」と御大は真顔で聞いた。

重鎮達は興味津々で私を見た、私はすぐ近くにいる女性達に囲まれているユリカを見た。


『これは・・リアンもそう言ったんですけど。

 俺はユリカの言葉は全て受入れます、それが別れに繋がる事でも尊重したい。

 重鎮3人の聞かれたい事は分かります、ユリカ自身もまだ決めてないでしょう。

 ただ・・ユリカは自分の心の準備を怠らない、自分の心を偽らない。

 次の世界にいつでも行ける準備をしてるんでしょうね、それがユリカですから。

 確かにユリカという存在は、夜街には本当に貴重な存在ですよね。

 多くの女性達の精神的な支えでもあるし、憧れでもあります。

 それは生き方・考え方・行動・・全てにおいてそうであるんです。

 俺はユリカの背中を押せる人間になりたい、その時が来たら笑顔で。

 ユリカに挑戦しろと言える人間になりた、異性で最もユリカを知る人間として。

 そのプライドに賭けて、ユリカを送り出したい・・何の心残りも残さずに。

 だからユリカにその時が来るまで、挑戦をさせ続ける。

 ユリカの飽くなき向上心を煽り続けて、最高地点を目指させる。

 ユリカはいつか夜の街を去るでしょう・・それからが始まり、ユリカ伝説の。

 真の意味での始まりだと思っています・・ユリカは女帝候補じゃないです。

 唯一人・・唯一の女王候補だった・・俺はそう思っています。

 だから俺は女王を作り出す・・必ず探し出し、そのレベルに上げる。

 それが俺のユリカに対する愛情表現、ユリカを忘れないという証です。

 俺にとってユリカとは、いつまでも完璧な女神なのでしょう。

 未熟な13歳で知り合った・・追い続けるべき存在なんだから。

 蘭に対する愛情とは違う、ユリカに対する愛情は・・誓いの中にあります。

 水のユリカ・・その深海の世界で誓った・・深海の誓いこそが私の愛情です』


私はユリカの変化を受け入れ、その段階まで来ていた。

重鎮達は優しい笑顔で返してくれた、経験からくる優しさが嬉しかった。


「私を泣かせようという作戦なの?・・聞こえるように言って」とユリカが二ヤで言って、私の横に座った。

「ユリカ姫・・マリーに出てくれるのかい?」と御大が笑顔で聞いた。


「私が何かのお役に立てるのなら、マリも賛成してくれましたし」とユリカが爽やか笑顔で返した。

「嬉しいね~、姫の登場は・・それにマリちゃんのお墨付きなら」と御大が嬉しそうな笑顔で返した。


「時代が急激に変化しそうだね・・景気も上がってるし」とドンが笑顔で言って。

「小林さん・・○○ビルの4階は契約されたんですか?」と轟爺が笑顔で言った。


「したよ・・ホノルルタイムを閉めるんだよ、少し冒険したくなって。

 キャバレーばかり持ってても面白くないからね、少し趣向を変えて。

 キャバレーでは花開かない、女性達をそこでやらせてみる。

 ゴールドとPGの中間位の感じかな、マリーほど広くないし。

 場所的には良いんだけど、あのビルはなぜか成功例が皆無だよね。

 立地が良いのに客足が伸びない、エース・・それが私の出す提案だよ。

 あのビルで成功すれば、完全な流れが出来る・・マリーから魅宴。

 そしてゴールド・幻海・PGのゴールドラインがね・・やってみろ。

 3月には開店する・・店を作る所から感じて、色々と提案してくれ。

 俺達3人はユリの夢の後押しはする、それはお前の成長だと思ってる。

 次は流れを感じろ・・そして流れを作り出せ、安全な道を作れ。

 ミチルにもユリカにもリアンにも、夜街全体に必ずプラスになる事だよ。

 やってみるだろ・・お前が夜街のエースならな」


ドンは二ヤで言った、私も二ヤで返した。


『勉強させてもらいます・・大切な経験を』と笑顔で返して頭を下げた。

「楽しみだね~・・エース、マリーも頼むぞ」と御大二ヤで言って。

「幻海もお忘れなく」と轟爺が笑って、私も笑顔で頷いた。


重鎮にママ連盟が挨拶に来たので、私はユリカと私の席に戻った。


「聖香・・元気そうだね」とユリカが爽やか笑顔で言った。

「はい・・元気だけが取柄でして」と聖香が嬉しそうな笑顔で返した。


「ユリカ姉さん、最近クラブ活動してるそうですね~」と聖香が二ヤで言った。

「やってるよ~・・そっちはどう?・・忙しいでしょう」とユリカが爽やか笑顔で返した。

「まぁまぁですね・・うちは狭いから」と聖香がウルで返した。


私は目まぐるしく変わる聖香の表情で、楽しくなって二ヤを出した。

ママ達は盛り上がって、ステージで歌を歌ってはしゃいでいた。


私は楽しそうなユリカの横で、ユリさんと話していた。


「蘭はいつ、ハルカに告白するのかしら?」とユリさんが忙しそうに挨拶を返しながら言った。

『大晦日に伝えると言ってました・・嬉しそうでした』と笑顔で返した。


「そうですか、ハルカは大丈夫です・・きっと受け入れますよ」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

『俺もそう思います・・ハルカなら、大丈夫です』と笑顔で返した。


宴会は盛り上がりを見せていたが、仕事の人間が多く引くのも早かった。

私は酔ったリアンの肩を抱いて、ユリさんとユリカとタクシーに乗った。


「リアン、酔った振りでしょ・・みえみえだよ」とユリカが前から振り向いて言った。

「ユリカは大晦日に添い寝でしょ、今夜は私がユリカスペシャル・・そう言えば、リアンスペシャルは?」とリアンが極宴二ヤで言った。


『今考えてるよ・・素敵なのを』と胸を押し付けるリアンに二ヤで言った。

「絶対に嘘だ・・エースはユリカだけ特別なんだ、私なんてどうせ脇役」とリアンがウルウルで言って瞳を閉じて眠りに落ちた。

私はリアンの疲労を感じていた、緊張していたのだろうと、リアンの香りに包まれて思っていた。


「リアン・・少し気が抜けましたね、最後の営業日なのに」とユリさんが薔薇で微笑んで。

「プレッシャーを感じてましたね、ヒトミの指名だったから」とユリカも笑顔で言った。


ユリさんがPGの前で降りて、リアンとユリカの店のビルの間で、私がリアンを抱いて降りた。


「ルミちゃんに会いにいつ行くの?」とユリカが二ヤで聞いた。

『ユリカの暇な日に』と二ヤで返した、ユリカも二ヤで頷いて手を振った。

私は笑顔を返して、リアンを抱いて階段を登った。


北西の風が強く寒かったが、私は冷めないリアンの極炎で暖かかった。

最上階まで来て、歩く人の少ない夜街を見ていた。


《流れを作り出す・・安全な流れを・・大切な試験だよ、仕事にも由美子にも》と心に囁いた。

強い波動が返ってきた、久々にユリアの波動が乗ってきた。


《ユリア・・お帰り、ありがとう・・ユリアの1発でマキは目覚めたよ、女王に向かって》と心に囁いた。

強烈で熱い波動が返ってきた、私は自然に笑顔になって風に吹かれていた。


年末の東京にいた、青い瞳と緑の瞳も喜んだいた。


マキの物語を見て、2人で笑顔で話していた。


年越しの時期も休むなと、リンダとマチルダがやって来る。


2人は必然的に出会ってしまう、それを望んでいた・・ルミは二ヤで待っていた。


奇跡を普通の出来事に変える、ルミが作り出す世界に出現した。


【契約の扉】が出現する、最強の練習場としてルミが作り出した。


リンダと蘭とナギサの、最初のトリオでの活動がスタートする。


爆笑を連れて動き出す、その爆笑の道には限界は存在しなかった。


私はリアンを抱いて、新年には希望が有ると自分に言い聞かせていた・・。



 

 

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ