【冬物語第三章・・深海の誓い⑮】
どんなに準備しても、完璧には揃わない。
だからこそ楽しいのだろう、次のレベルが見えてくるから。
空母の女性達は久々に笑っていた、私の目論見通りの笑いが出ていた。
私の今回の作戦では、このチャリが1番の成功だった。
「了解、それで行こう・・1度も足を付かずに、あのステージに自転車で行ける自信がある人は?」とユリカが聞いた。
「私が行きます・・私、ずっと自転車通学してました・・自信はあります」と言ったのはハルカだった。
ハルカの戦闘機は海面ギリギリに浮いていて、ハルカが羽に乗りホノカから鍵を受け取っていた。
「よし、ハルカに任せる・・ヨーコ、ハルカを迎えに帰れ」とユリカが言った。
「了解」と2人が返した時に聞こえた。
「YUTAKA・MAX・・オ~ン」と叫ぶ美由紀の声が響いた。
アフロは立ち上がっていた、そして頭の空間に美由紀が車椅子ごと入った。
美由紀の頭上を透明のシールドが包み、美由紀はニヤニヤを出していた。
「アフロ~・・お久です~・・行きますよ~・・今回はガジラです~」と美由紀が言ってれレバーを引くとアフロが歩いて海に入った。
アフロが海には入ると空母の滑走路が元に戻り、ハルカが帰還した。
ハルカを連れて、ミサキが格納庫に走った。
「島に着陸する・・ミホを連れて帰る」と蘭が無線で言った。
映像には島に着陸する、ムーンの映像が映っていた。
ムーンから蘭とリリーが降りて駆け出して、交互にミホを抱きしめた。
ミホは嬉しそうに、少し笑顔を出して抱かれていた。
リリーがミホを抱いて、前の席に座り。
蘭が後ろの操縦席に乗って、垂直で離陸した。
敵の戦闘機は全滅しており、【モグモグ】が上半身だけ出して歩いているアフロとすれ違った。
「美由紀・・頼むな」とカスミが二ヤで言った。
「お任せあれ~」と美由紀はガジラを見ながらニヤニヤで言った。
「今回の作戦が楽しみだ~」とセリカが二ヤで言って。
「サクラさん、管制室にいるよ・・美由紀、NGに気を付けろよ」とリアンが二ヤで言った。
「了解です~・・下ネタ封印です~」と美由紀も二ヤで返した。
女性達はワクワクでアフロを見ていた、ガジラも止まってアフロを見ていた。
「よし・・これで良いね、頑張ってね・・ハルカ」とミサキがチャリを積んで笑顔で言った。
「任せて・・絶対に届けてくる」とハルカが笑顔で返して、ヨーコがクルーザーを通路に向けた。
ヨーコは全速で走っていた、クルーザーの前がかなり浮いて、ハルカはチャリを押さえていた。
美由紀はそれを見て、方向をステージと逆方向に向けた。
アフロの手で、ガジラを手招きしてステージから離した。
ガジラはアフロに向かい歩き出した、女性達はハルカを見ていた。
赤い通路の先端に、クルーザーの後部を合わせてヨーコが泊めた。
ハルカがチャリに跨り、前輪を赤い通路に置いた時に気付いた。
ペダルが軽すぎる事を、ハルカは1度クルーザーにチャリを戻した。
スタンドを立ててハルカとヨーコが見ると、チェーンが外れていた。
2人は顔を見合わせて、互いにウルを出した。
「しまった・・私が同行すれば良かった」とシズカが呟いた。
ハルカが何とか自分ではめようよと手を伸ばした時に、肩を叩かれた。
ハルカが顔を向けると、ハルカの顔が驚きを示した。
「チェーンが外れたのか、ケイ・・姉妹って似るんだな~」と高校生位の男が笑顔で言った。
「洋兄さん!・・どうして?」とハルカが驚いて言った。
「洋!」と蘭が叫んだ、蘭は操縦も出来ずに完全に凍結していた。
「そんな事は、どうでも良いさ・・急いでるんだろ、俺がはめるよ」と言って洋がチャリの横にかがんだ。
「小僧・・ごめんね、蘭さんは傷つくかも・・そう思ったけど、抑えられなかった」と私の横で声がした。
私が慌てて見ると、ラピヨン3世が泣きながら立っていた。
管制室が完全なる静寂に包まれて、全員が凍結して白兎を見ていた。
私はラピヨン3世を笑顔で抱き上げて、頬に優しくキスをした。
そして蘭の映るモニターの前まで抱いて行き、蘭の嬉しそうに号泣する映像を見せた。
『蘭は喜んでるよ・・ありがとう、ヒトミ』と笑顔で言って、ラピヨンが笑顔になるのを見て哲夫の横に降ろした。
哲夫は屈んでラピヨンを抱きしめた、ヒトミは哲夫に何か耳打ちした。
それで哲夫も笑顔で頷いた、そしてラピヨンは北斗を見た。
北斗は号泣しながらラピヨンを抱き上げた、ラピヨンは北斗を奥に誘った。
北斗は嬉しそうに頷いて、ラピヨンを抱いて奥に座り2人で話していた。
「小僧・・洋さんって誰なの?」と哲夫が笑顔で聞いた。
『16歳で亡くなった・・蘭の弟だよ。
ハルカの姉さんが、その弟の初恋の人なんだ。
そしてその2人が仲良くなったのが、今のあのシーンなんだ。
お姉さんがチャリのチェーンが外れて困ってるのを、洋さんが助ける。
そして内気な洋さんの想いをフォローしたのが、ハルカなんだよ。
ヒトミは蘭の為に連れてきた、だけど状況を感じて洋さんは今を選んだ。
ハルカ・・ケイを助けるために、その為に今を選んだんだ』
私はチェーンをはめる洋の映像と、蘭の号泣する映像を見ながら自然に涙が出ていた。
大御所達もマリも、それを知る女性達も号泣していた。
「ガジラ・・もう少しだけ待って、今は動けないの・・嬉しくて」と美由紀が言った。
アフロは右手を広げてガジラに翳して、ガジラも不思議に動かなかった。
「蘭姉さん・・大丈夫ですか?」とリリーが優しく聞いた。
「大丈夫・・凄く嬉しいだけ」と蘭は泣きながら笑顔で返した。
「はい・・これで大丈夫だよ、ケイ。
ケイ・・綺麗になったね、素敵な女性になった・・嬉しいよ。
ケイ・・行って来い、ケイなら出来るよ・・大丈夫だよ。
自信を持って、鍵を届けろよ・・ケイ・・ほら」
洋はそう言って、チャリの前輪を赤い通路に出した。
ハルカは笑顔でチャリに跨った、洋は優しくハルカの背中を押した。
「無理するなよ、ケイ・・ずっと見てるからね、ハルカ」と洋は優しく囁いた。
「うん・・行って来る」と言ってケイはチャリを漕いで行った。
洋は笑顔で、泣いているヨーコに何かを言って、ヨーコは笑顔で頷いて無線機を外した。
それを洋に手渡して、洋がそれを耳に付けた。
洋はハルカが光の壁の内側に入るのを確認して、ムーンを見上げた。
「姉さん・・いつもありがとう、俺はあの時嬉しかったよ。
姉さんが本気で心配してくれた、あの公園のベンチ・・忘れないよ。
いつも話しかけてくれてありがとう、本当に嬉しいよ。
親父とお袋をよろしく、俺は姉さんが大好きだよ。
いつまでも憧れの姉でいて欲しい、ありがとう姉さん。
時間なんだ・・ヒトミがくれた、大切な時間が来るから。
もう行かないと・・また会えるから、楽しみにしてるよ」
洋は優しくそう言った、この台詞でほとんどの女性は気付いた。
ユリカとリアンは号泣していた、そしてナギサが震えながら泣いていた。
「洋・・サンキュー、ケイを助けてくれて・・待ってるから、いつまでも待ってるからね」蘭は満開笑顔でそう言えた。
本当に嬉しそうな蘭の満開だった、洋はそれで笑顔になって頷いた。
洋はヨーコに笑顔で無線機を返して、ムーンをもう一度見上げて笑顔で海に飛び込んだ。
洋はそのまま上がる事はなかった、静寂の海が戻っていた。
「さぁ・・やるよ~・・やってやる・・最後のシーンだ、ハルカが辿り着くよ」と蘭が叫んだ。
「了解」と女性達が強く返した。
蘭はムーンで空母に向かっていた、洋が飛び込んだ辺りを見ながら。
ハルカは半分が過ぎ、ステージが見えていた。
エミが笑顔で手を振っていた、エミの横にはマーガレット婆さんの姿が見えた。
ユリカはそれを見て、ハッとして二ヤになった。
「聞こえるよね~?・・マーガレット女王」とユリカが二ヤで言った。
「もちろん聞こえてるよ、ユリカ」と婆さんは魔女二ヤで返した。
「簡単すぎじゃないの?・・その鍵は、沙紀の言葉の復活の鍵なの?」とユリカが聞いた。
「やっと聞いてくれたかい、遅いよ・・違うよ、ユリカ。
これは解除の鍵じゃない・・これは四季を呼ぶ鍵だよ。
地球・・自然の摂理を復活させる、契約の鍵さ・・分かるよな。
モモカが伝えてるんだろう、あの子は本当に・・困った子だよ。
沙紀がこれから言葉が復活出来るのかは、当然沙紀次第になる。
だが・・今までのような壁は無い、氷は融けるだろうからね。
時間はかかるだろうが、最大の障害は消えるだろう。
マリが自分で解除したように、沙紀が望み学べば・・復活はなる。
この鍵穴を回すと、沙紀が現れる・・制限時間は10分だよ。
それ以内に沙紀をこの海上の、壁の外に出さないといけない。
この想定はマリも、もちろん小僧もしてないだろうね。
それが最後の勝負・・今回は最も難しい、契約解除だからね。
ここまで来ただけでも、たいしたもんさ・・だがもう無理だ。
あの海底から、ここに上がる方法は・・それより沙紀を引き上げるのか。
マキ1人では出来まい、時間を稼いでも無駄だよ。
島の着陸時間まで、13分30秒しかない・・同じ事だよ。
ミホが島を撃たなかったのは、消せないからなんだろうね。
ミホはたいした子だよ、よくそこまで行ったね。
考えなユリカ・・海底のステージにダイレクトでは行けない。
よほどの者でないと、ずっと距離や時間を感じた者でないと無理だよ」
婆さんは真顔で言った、この声だけはマキにも届いた。
マキはそれでステージに走った、ハルカは円形ステージの50m手前まで来ていた。
ガジラが動いて波が起こって、ハルカがバランスを崩しそうになった。
美由紀はそれを見て、ガジラをアフロで抱きしめた。
「アフロ・・ごめんね、最初からこれしか手は無かったの・・また会おうね」と美由紀は静かに言った。
美由紀はアフロの頭上から車椅子で出た、美由紀はアフロを見ていた。
「アフロ・・深海・・海底までガジラを連れて・・潜水せよ」と美由紀は強く言った。
ゆっくりとガジラを抱いたアフロが沈み始めた、ガジラは身を捩って抵抗したが抜けれなかった。
アフロもガジラも海中に消えて、美由紀はそれを見送った。
ハルカは円形ステージ着いてエミに鍵を渡した、そして円形ステージをグルグルと回っていた。
「何とかするもん・・絶対に何とかするんだもん・・エースは絶対に何とかするよ」とエミは婆さんに叫んで鍵穴に鍵をさした。
「そうかもね・・また会おう、エミ・・楽しかったよ」と婆さんは笑顔で言った。
「次は私に難題を出してね・・遠慮はいらないから」とエミは笑顔で返して鍵を回した。
その瞬間に、赤いステージに数字が現れた【10:00】と出て下がり始めた。
エミはハルカのチャリに飛び乗って、ハルカは赤い通路を必死で漕いでいた。
空母の操縦室はムーンも戦闘機も戻り、攻撃席の女性も戻り全員で円になっていた。
海底のステージはゆっくりと開き、その下に沙紀が黄色い液体に漬けられていた。
首から上だけを出した沙紀の両腕をマキが抜き、抱き上げようとしたが無理だった。
「またネバネバ液体だよ~・・悪いイメージが」とマキはウルで言って、もう一度引き抜こうとした。
だがやはり沙紀は5cmしか上がらなかった。
「厳しいね・・海底に残らないといけなかった」とユリカが呟いて。
「でも・・ヒトミは出せると思ってたよね」とアンナが言った時だった。
「うっそ!」というセリカの言葉だけが響いて、女性達はそれを見て凍結した。
映像にはマキの背中に猛然と駆け寄る、黄色い熊が映っていたのだ。
「先に入っていたんだ、別れが苦手じゃなかったんだ」とボートに乗ったエミが言って。
「物色してたね~・・食べ物を探して」とミコトが二ヤで言って、爆笑が訪れた。
フーはマキの横に駆け寄って、フーを見たマキは凍結していた。
フーは沙紀の漬けられてる液体に右手を突っ込み、そして舐めた。
そして確実に、絶対に、確かに・・二ヤを出した。
フーは邪魔だと感じたのだろう、簡単に沙紀を引き抜いて横に寝かせた。
そしてそのまま沙紀のいた場所に、頭から飛び込んだ。
「フー」とそれでマキが我に帰り、フーを覗き込んだ。
フーはマキに笑顔を送り、幸せそうに舐めていた。
「サンキュー、フー・・沙紀を抜けただけでも、嬉しかったよ」とマキは笑顔で言って、沙紀の側に行った。
マキは沙紀の胸に耳を当て、笑顔になって抱き上げた。
空母は女性達が全員揃い、悔しそうな顔でモニターを囲み沈黙していた。
もう打つ手はなかった、何よりも深海が深すぎた。
マリも私も無理だと思っていた、ヒトミは笑顔で北斗と話していた。
私はモニターの女性を見るのが辛くて、俯いて計器を見ていた。
その時私の耳に金属音が響いた、《チャリ~ン》と小銭の音が響いた。
女性達が囲む円の中心のモニターの上に、100円硬貨が2枚落ちていた。
そして少女の映像が、全てのモニターに映った。
『ルミ!』と私とマリの叫び声が重なった。
マリが私を睨んだ、私はウルウルで返した。。
「みなさん、私はルミと申します・・小僧が私をバス停で助けてくれました。
その時借りたお金です、皆さんで小僧に返して下さい。
お願いします・・そして私から、みなさんにお礼を贈ります。
素敵な物語を見せてくれた、それに対する心からのお礼を。
海底に贈りました・・どうぞお受け取り下さい。
そして・・受け取れ、小僧・・想定がまだまだ甘いよ、マリ。
深海の魚は光射す場所を目指さない、なぜ気付かなかった。
自分で口にして・・なぜあんな張りぼての島に騙される。
そんなんじゃ無理だ・・マーガレット婆には勝てない。
まして姿無き男など・・絶対に無理だよ。
今日のお礼は・・マキさんにだ、想像を超えた物語に。
そして心の言葉を伝えてくれた・・マキさんに捧げるよ。
これが私の想定だよ・・アバウトな準備だよ」
ルミは二ヤでそう言って、メインモニターにマキを出した。
マキはステージの上で沙紀を抱いて、沙紀の体を拭いていた。
その時、マキの1m横に白線が走った。
そして一気に透明のステージが、駅のホームになった。
そして線路がホームの下を走った、その線路は光の壁伝いに螺旋状に上った。
一気に線路は海上まで延びて、空母の滑走路まで延びた。
空母の滑走路に駅のホームが現れた、その駅名は【空母】だった。
マキは呆然とそれを見ていた、そして声が響き渡る。
「1番線に列車が入ります、この列車は空母行きスーパー特急です。
お乗り間違えのないように、ご注意ください。
間もなく列車が入ります、白線の内側にてお待ち下さい」
駅のアナウンスのような声が響き、海底のホームの端に男が立っていた。
「マサル!・・でかくなったな」とマキは笑顔で言って、沙紀を抱いて立ち上がった。
「マキも・・綺麗になったね」とマサルは少し照れて返した。
「ほ~・・色気づいたな、マサル・・私で頬を染めたのは・・今日2人目だよ」とマキが二ヤで言った。
「俺は男だよ・・喜べよ・・マキ」とマサルが二ヤで返した。
「お前も!・・まさか・・見てた」とマキがウルで言った、マサルは二ヤで頷いた。
その時、眩しい照明が照らし、近未来的な流線型のデザインの列車がホームに滑り込んだ。
列車のドアが開き、マキはマサルに促され、沙紀を抱いて乗り込んだ。
マキは誰もいない、広い車両に沙紀を抱いて座った。
マキは沙紀の寝顔を見ていた、するとアナウンスが聞こえた。
「間もなく発射します・・次の停車駅は・・終点【空母】です。
お忘れ物のないよう、お気を付けてお降り下さい。
【空母】到着予定時間は・・2分後です・・発車しま~す」
マサルのその声で、列車はゆっくりと動き出した。
マキはそれでハッと思い出し、ステージの方を見たがフーは見えなかった。
「フー・・ありがと~」とマキは透明のステージに向かって叫んだ。
「よっしゃ~」とリリーが1番先に我に返り、両手を突き上げて叫んだ。
「やった~」と女性達も全員が両手を上げて喜びを示し、全員笑顔で滑走路に向かった。
操縦室にユリカだけ残り、ユリカは200円を拾い上げた。
「ルミちゃん、本当にありがとう・・いつか会いたいな」とユリカはルミの映像に笑顔で言った。
「必ず会いに行きます・・私も会いたいから」とルミが笑顔で返した。
「うん・・待ってるね・・またアドバイスよろしくね」とユリカは爽やか笑顔で言った。
「はい・・出来の悪い、マリと小僧に」とルミは二ヤで言って、ユリカも二ヤで頷いた。
そしてルミの映像が消えた、ユリカは消えた画面を見ていた。
「ユリカ・・行こう」とユリカの横で声がした、ユリカは声の主を見て笑顔が爆発した。
ユリアが赤いセーラー服で立っていた、ユリカはユリアを抱き上げた。
ユリカは楽しそうにユリアと話しながら、操縦室を出て行った。
私の後ろには、北斗とラピヨン3世が来ていた。
大ママ、ミチル、サクラ、ユリ、フネがラピヨンを笑顔で抱いた。
そしてマリがラピヨンを抱き上げて、瞳を閉じていた。
嬉しそうなマリと白兎の表情だった、そしてマリが律子に渡した。
律子はドアの前まで抱いて歩いた、ラピヨンが振り向いて手を振った。
全員笑顔で手を振って、笑顔のラピヨンを見送った。
女性達はホームに入れなかった、その手前に集まって笑顔で列車の到着を待っていた。
ユリカは少し離れて、ユリアとの2人の時間を楽しんでいた。
「来る~」とセリカが叫んだ瞬間、列車が上がってきた。
駅のホームに綺麗に停車してドアが開いた、マキが笑顔で沙紀を抱いて出てきた。
女性達が泣きながら笑顔で拍手をして迎えた、マキも嬉しそうな笑顔で返した。
マキがホームから駅舎に入り、女性達が待ち受ける場所に出ようとすると。
突然ユリアとラピヨンが入ってきた、女性達はまたも完全凍結していた。
「ユリア!・・可愛いね~・・ラピヨン3世、ありがとう」とマキが笑顔で言った。
「ありがとう、マキさん・・本当に素敵な物語でした、嬉しかった~」とユリアが笑顔で返し。
「でも・・マキ姉さん、まだ最後の仕事が残ってますよ」とラピヨンが笑顔で言った。
「最後の仕事?」とマキは考えた。
「沙紀が目覚めてませんよ、王子様」とラピヨンが二ヤで言った。
「あっ!・・そういう事ね」とマキは笑顔で返して、沙紀の唇にキスをした。
女性達に笑顔が溢れた、ラピヨンもユリアも笑顔で見ていた。
「う~ん・・えっ!・・マキ・ユーリカ・ラントワネット姫?」と沙紀が驚いて言った。
「そうだよ・・ほら~」と言ってマキが2人の前に沙紀を立たせた。
沙紀がラピヨンに抱かれ、ユリアに抱かれて笑顔になった。
「お見送りはいりません・・女性達がお待ちだから・・またね、沙紀・・ありがとうマキ姉さん」とラピヨンが笑顔で言って、ユリアと頭を下げた。
「うん・・私も見送るのは苦手だから、ありがとう・・ヒトミ、ユリア」とマキが笑顔で言った。
沙紀が笑顔で手を振って、マキと振り向いた。
女性達の笑顔が2人を見ていた、マキは沙紀を連れて駅舎を出た。
2人は女性達に囲まれて、照れた笑顔を出していた。
「1番線より発車する列車は、【由美子】行き各駅停車です。
到着時間は・・来年の1月です・・次のご乗車をお待ちしてます」
アナウンスの声が響いて、女性達は列車の中の2人に笑顔で手を振った。
「必ず行くよ・・ヒトミ、ユリア・・私達が必ず行くよ」とユリカが叫んで。
女性達が思い思いの言葉を叫んで手を振った、列車は来た方向に逆走して海に消えた。
「さぁ・・管制室に返るよ、空母で」とユリカが笑顔で言って。
「了解」と女性達がユリカを囲み笑顔で返した。
ユリカは完全に凍結していた、駅舎も線路も消えた滑走路に座っていた。
女性達はユリカの表情で振り向いた、そしてエミが笑顔で駆け出した。
「フー」とエミは喜びを爆発させて、叫びながら走っていた。
フーは右手を舐めながら、エミをを見て笑顔になった。
その後ろを、若い女性達が笑顔で走っていた。
「ごめんなさ~い、小僧ちゃん・・フーちゃんを、小僧ちゃんの世界でよろしくです~」と沙紀が笑顔で言って、女性達が爆笑していた。
私はウルウルで喜びを表現した、沙紀の手を繋ぐミホの笑顔を見ながら。
「ありがとう、エース・・本当に素敵な物語だった」と北斗が抱きしめてくれた。
『まぁ・・第一幕としては、良い方だったね』と二ヤで返して抱かれていた。
「さぁ・・ユリ、私らは先に帰って、食事を用意してやろうか」と大ママが言って、大御所達が頷いた。
「そうですね・・エースには、マリちゃんのお説教があるみたいだし・・哲夫君も行きましょう」とユリさんが薔薇二ヤで言った。
「は~い」と哲夫が私に二ヤを出して、律子もフネも連れて部屋を出て行った、私はウルで見送った。
「小学生位の少女ね~・・でもルミの名前を知ってたよね~」とマリが二ヤで言った。
『名前だけだよ・・マリの知り合いだなんて・・・・知ってた』とウルで返した。
「まぁ、良いよ・・その代わり、フーが淋しくない世界を・・この裏に今すぐ作って」とマリが二ヤで言った。
『了解・・凄いのを』と二ヤで返して、私は目を閉じた。
マリは空母の操縦室を見ていた、女性達に笑顔が溢れて笑っていた。
フーを奪い合って抱いていた、フーも楽しそうに抱かれていた。
ミホの横には手を繋いで、沙紀が笑顔で座っていた。
私がフーの世界を作り終わると、空母の機影が見えていた。
空母は自動操縦で桟橋に接岸した、女性達は笑顔だった。
女性達がバスに乗り、管制室の前まで来てバスを降りた。
『お疲れさんでした・・マキ、CB750がその倉庫にある。
フーの退屈しない世界を、管制室の裏に作ったから。
マキがバイクで送って、フーは俺が大切に預かるよ。
マキ・・本当に素敵な物語だった、大御所達も泣いてたよ。
ユリカ・・解散式をよろしく、さすがユリカだったよ』
私は無線で言った、ユリカとマキが笑顔で頷いた。
ユリカを囲んで女性達が集まった、シオンがフーをニコニコちゃんで抱いていた。
「みなさんお疲れ様でした・・楽しかったですね。
私達は・・何度も教えられる、この世界に来るたびに新たな発見がある。
それが喜びに成り、日々の生活でも活力になっています。
しかし・・今回の世界は、又もや難題を突きつけられました。
限界ファイブと中1トリオを見て・・私は考えさせられた。
私達も、もう少し突き詰めましょう、そうしないとヒロインは取れませんよ。
今回の助演女優賞1人目は・・第一章を飾ってくれた、ヨーコです。
勇気を持って、それを見せてくれた・・そして素敵な子守唄でした。
あれが無ければ、かなりの人数が戻されたでしょう。
助演女優賞はあと2人・・ミホとエミに贈ります。
2人とも勇気の本質を見せてくれました、年齢に関係なく感動的でした。
そして・・当然ですが・・今回の主演女優賞は、マキに贈ります。
本当に素敵でした、そしてありがとう・・マキ・・灼熱の言葉。
シンデルラとアヒルの子・・それに7人の小人にタンボ。
そしてマキを追って、自分の世界まで捨てた・・フー。
全てに対するマキの想いに、私達は感動しました・・物語でした。
シナリオが無い、素敵な物語・・歴史が進み、価値観が変わった。
そんな時代の今の人間が伝えた、灼熱の言葉・・本当に嬉しかった。
艦長である・・最後の仕事として、私の気持ちを贈ります」
ユリカは笑顔で言って、マキを抱きしめ頬にキスをした。
女性達は呆気に取られていた、マキは呆然とユリカを見ていた。
「あ~・・スッキリした」とユリカが爽やか笑顔で言って、全員が爆笑した。
マキも笑顔で車庫に歩き、バイクを出してきた。
女性達がマキを囲み、シオンがウルでマキの後ろにフーを乗せた。
フーはマキの腰に手を当てて、女性達を見た。
マキがゆっくりとスタートして、女性達がフーに笑顔で手を振った。
快晴の空の下、女性達の笑顔が溢れていた。
マキはゆっくりと坂を上って、おとぎの森に入って行った。
私はその時に少しの疲労を感じた、だが充実感の方が強かった。
私はミホと沙紀とエミの笑顔を見て、洋の映像を確認した。
私はその鮮明さに二ヤを出して、蘭の満開笑顔を見ていた・・。