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      【冬物語第三章・・深海の誓い⑭】 

閉ざすしかなかった、冷酷な人間の示す赤い液体。

それを感じるほどに、自分が壊れそうになるのだろう。

だがそれを乗り越えるには、もう一度赤い液体の中に入るしかないのだ。


空母に静寂が訪れていた、エミとシズカの言葉で。


「シズカ・・端的に説明して、【言葉の羅針盤】を」とユリカが真顔で言った。


「カリーさんの17歳の段階の時に、リンダ姉さんは準備しました。

 リンダ姉さんはその前に、カリーの世界に入る事が出来ていました。

 だから準備したんです、そして現れたのが・・あの赤いステージ。

 詳しい話は、この世界が解決してから話します。

 あのステージには・・月の周期、生理のある女性は足を付けられない。

 そういう絶対的な契約があります、だからカリーさんだけが上った。

 カリーさんは病の影響で、体が小さく痩せていたので・・まだでした。

 17歳でもまだ来てなかったから、上れました。

 そして何らかの正解を出して、言葉を取り戻します・・でも許されなかった。

 あのステージでの話は、言葉にしようとしても・・出来なかったんです。

 それは契約のような感じでしょう・・だから、表現が許される名称に込めた。

 伝えたい想いをすべて込めたのでしょう・・それが【言葉の羅針盤】です。


 リンダ姉さんは約5年、小僧や私達は4年間・・それを想像していました。

 だからリンダさんは、リンダ試験で・・最後にエミのステージを作った。

 あの透明のステージこそが、リンダさんの5年の集大成です。

 それを受けて・・自分の4年の集大成を込めて、今日を選んだ小僧。

 12月28日こそ・・ヒトミを左手に収めた日です。

 小僧にとっては屈辱の日・・【時の部屋】と【言葉の羅針盤】を諦めた日です。

 小僧は今回想定してました、【言葉の羅針盤】が出ると思ってた。

 だから私に・・犠牲の覚悟をしろと強く言いました。

 私に覚悟が必要なのは・・ミホとエミにだけです、それ以外に覚悟はいらない。

 月の周期を持たないのは、今はミホとエミだけでしょう。

 小僧は今回4人娘を入らせなかった、その意味はそれです・・奴は恐れた。

 マリアが行ってしまうから、そしてヒトミも恐れた・・モモカの事を。

 だからヒトミは無理して賭けに出た、天文台の賭けに出ました。

 マキは100点以上を叩き出した、そしてモモカは登場せざるえなかった。

 マキの最大のピンチを感じて、モモカは自然に登場した・・これで安心です。

 モモカもあのステージを目指せない・・小僧はモモカの覚悟はしていた。

 小僧はモモカにだけには、何も制限しない・・全てを託してしまう。

 それを感じてたのでしょう・・マリもヒトミも・・そして託された。

 小僧も・・マリもヒトミもモモカも・・エミを信じてる。

 エミにしか出来ないと信じてる・・私も覚悟を持って言います。

 ユリカ艦長・・エミを行かせましょう、あの場所はエミのステージです。

 あの世界は姿無き奴の製作じゃない、奴が記憶させられた契約です。

 理不尽な契約なんです・・だからこそ、月の周期という制限が付いている。

 沙紀は今9歳です・・時間が無い・・月の契約が迫っている。

 それが小僧の今の気持ちです・・エミを送り出しましょう。

 希望を背負うエミを、心から信頼して・・自分の想定を外して」


シズカは強く言った、女性達は沈黙していた。

戦闘機の女性達は空中戦を展開しながらも、シズカの言葉を聞く余裕があった。


「分かりました・・許可します、エミ準備して。

 ヨーコがボートで、あの通路の先端まで同行しなさい。

 私は今回1つだけエースの策略を感じてました、それはらしくない言葉で。

 幻海の女性達に言った、経験を積め・・そう言った言葉で。

 だからエースは睡眠を削って、あの管制室を作った・・見せるために。

 経験を積め、絶対に見てろ・・それは全ての女性達に言っている。

 限界カルテットと、中1トリオがやる・・4年の集大成を見ろ。

 それが由美子の準備だと言っている、私達は万全のフォローをするよ。

 私達の代表で・・エミを送り出す・・絶対に妨害を許すな。

 夜の女の意地とプライドに賭けて、全てのフォローを完璧にする。

 全員集中・・悪意の契約の破棄に、エミが行く・・周りは守りきれ。

 絶対にステージまで上げるよ・・悪意の契約を唯一破棄できる存在。

 赤いステージにそれを上げるよ・・希望を上げるよ、絶対に」


ユリカは静かな言葉で強く叫んだ、一瞬の静寂が集中を示した。


「はい」と女性達は《はい》で応えた、ユリカの言葉に、開演の響きを感じて。


「とりあえず・・戦闘機を殲滅する、あまり島には近づくな・・ミサイルが来る」とリアンが言った。

「了解」と戦闘機の女性達が返した。


ヨーコは笑顔でエミと手を繋いで、格納庫に向かった。


「ムーンアタッカー・・目標を肉眼で確認」と蘭が言って。

「ロック・・ミサイル、発射」とリリーが言って、ミサイルを発射した。

座標衛星は爆発して消えた。


「リリー・・行こうか、島に・・ミホを迎えに」と蘭が二ヤで言った。

「もちろん・・そうしましょう・・敵が何かしたら、全て迎撃しますよ~」とリリーが二ヤで言った。

「よろしく・・全速で降下する・・秀美、座標入力してくれ」と蘭が叫んだ。


秀美はユリカを見た、ユリカは二ヤで頷いた。


「入力します・・アバウトな方向は、右16度で下降」と秀美が叫んだ。

「了解・・行って来る」と蘭が二ヤで返して加速装置を押した。


その頃、【モグモグ】が深海の【P】の位置に降りた。


「【モグモグ】が海底都市に降りました」と秀美が言って、映像がモニターに映された。


カスミとホノカが操縦しながら探していたが、入口は消えて無くなっていた。


「海底都市、入口消滅・・今、探しています」とカスミが無線で言った。


「マキは?」とユリカが言うと、マキの映像が横に出た。

マキは円形ステージの真中で、屈んでステージの中を覗いていた。


「カスミ・・マキがステージにいます、真上に行って・・あなた達は、言葉じゃなくて話せるでしょ」とユリカが二ヤで言った。


「了解・・そっか~・・私達には、奴が想定できない・・サインがある」とホノカが二ヤで言って。

「なるほどね~・・言葉は必要ないよ・・マキならね」とカスミが二ヤで言った。


【モグモグ】はステージの上のまで行って、マキを照明で照らした。


マキは見上げて笑顔で手を振った、カスミもホノカも笑顔で手を振った。


カスミが【どうした?】とサインを出した、マキは複雑なサインで返した。


「【沙紀】【ステージ】【下】【いる】だよカスミ」と美冬が言った。

「了解・・助かります」とカスミが返した。


カスミはマキにモニターの形を手で示して、透明の部屋を指差した。

マキは透明の部屋に走って、モニターの前に立った。


「マキのモニターに、誰が映ってると思う?」とユリカが聞いた。

マキが複雑なサインを出した。


「ユリカ姉さんです、すぐに行きます」と美冬が言って、美冬が階段に走った。


ユリカとアンナとシズカは、パントマイムのように笑顔でマキと交信していた。

美冬が来てマキを笑顔で見た、マキも嬉しそうな笑顔だった。


「美冬・・鍵穴がないか聞いて」とユリカが言って、美冬は笑顔で頷いてサインを出した。

マキがそれにサインで答えて、もう一度ステージに走った。


「今のところ確認してないみたいです、今もう一度見に行きました」と美冬が笑顔でユリカに言った。

「了解・・美冬、そこにいてね」と笑顔で返して、ユリカは上部のモニターを見た。


「艦長・・ボートを出します」とヨーコが言った。

「ヨーコ頼んだよ・・エミが帰るまで、先端で待って」とユリカが笑顔で言った。

「了解」と言って、ヨーコがボタンを押すとクルーザーが海に投げ出された。

ヨーコは一番近い、通路を目指して進んだ。


「島・・スピードが落ちました、方向調整する為だと思います・・衛星座標が消滅したので」と秀美が二ヤで言った。

「よし・・ここまでは、こっちのペースだけど・・形振り構わなくなった時の、奴は怖いよ~」とユリカが二ヤで言った。

「絶対になりますね・・それが奴が植え付けられてる、契約の記憶でしょうから」と沙織が二ヤで言った。


沙織と恭子は二ヤで、オヤジロボットを尋問していた。


「沙織・・静かだと思ったら、尋問してたのか」とシズカが二ヤで言った。

「こやつ鉄で出来てるから、口が固いな・・切断機を持ってくる・・待ってな」と恭子は完璧な【狂子】の二ヤで言って部屋を出て行った。

「あ~あ・・あなたも馬鹿ね、もう止まらないよ~」と沙織がウルウルで言った。

ロボットオヤジはそれで、ウルウルを出していた。


女性達は二ヤになって、モニターに視線を戻した。


「島からミサイル発射・・4発・・ロックはムーン!」と秀美が叫んだ。


「ど~んと来なさい・・迎撃ロック・・発射」とリリーが言って。

「残り2発・・ロック・・発射」とリリーは続けて言った。


リリーは高速で降下するムーンで、高速で迫るミサイルを簡単にロックした。

ムーンより速いスピードで、リリーのリングは回転していた。


「リリーだね~・・不思議な女だよ、どんな状況でも・・期待させる何かを持つよね」とアンナが言った。

「そうですよね~・・それも今は蘭がコンビだから、最強でしょう」とユリカは二ヤで言った。


「エミが上がる・・通路に」とシズカが言った。


「エミ・・頼むね・・光の壁の内側は、結界だから無線は使えないから」とユリカが言った。

「了解です・・楽しんできます・・楽しんでくるよ、見ててね・・マリちゃん、エース」とエミは少女の笑顔で言った。


『行って来い、エミ・・楽しんで来い、そこにあるんだよ・・医者を目指す意味が』と私はモニターに呟いた。

「そうだよ・・絶対にあるよ、エミ・・その場所にある」とマリも呟いた。


「そこまで!・・そこまでの想いなの・・・楽しみなさい、エミ・・待ってるから」とサクラさんがモニターに叫んだ。


エミはそれが聞こえたかのように、笑顔で頷いて1歩目を踏み出した。

エミの背中は全く揺れずに歩いていた、そして慣れたのだろう走り出した。

エミの走り行く方向の上空に、空に浮かぶ島が小さく見えていた。


「敵機・・5機・・戦線離脱・・ステージを目指してる!」とリョウが叫んだ。

「行きます」とナギサとネネとセリカが返した。


「任せる・・必ず撃墜しろ・・3機で5機を」とリアンが叫んだ。

「了解」と3人は強く返した。


「リリー・・覚悟しな、このスピードのまま方向を変える・・敵機を撃ち落せ」と蘭が二ヤで言った。

「了解・・必ず私がエミを守る」とリリーが高速リングの二ヤで返した。

「うりゃ~・・曲がれ~・・曲がるんだ~」と蘭は歯を食いしばりハンドルを引きながら曲げた。


ムーンは超高速で方向を変えていた、機体は摩擦熱でオレンジ色になっていた。


「正に最強コンビ・・恐怖など微塵も無い」とシズカが笑顔で呟いて。

「ミホを感じてるんだ・・恐怖なんてないさ」とアンナが映像を見ながら呟いた。


ユリカとシズカがアンナの集中を感じて、二ヤで顔を見合わせた。


エミは笑顔で走っていた、光の壁が見えた時に上空で爆発音がした。

エミは走る速度を緩めて、目の前の空を見た。


黒い戦闘機が3機爆発して消え、2機がエミに迫っていた。


「よっし・・ロック・・発射」とセリカが言って、1機を落とした。

「速い届かない!」とリョウが叫んだ時だった。

リョウとナギサの横を、ピンクの機体が高速で追い越した。


「ムーン!」とセリカが叫んだ瞬間。

「ロック・・さいなら~」とリリーの声がして、戦闘機がステージの上で消えた。


エミが笑顔で赤い通路から手を振っていた、5人は笑顔でエミに手を振って戦闘に戻った。


エミはそれで走り出した、光の壁の横を通りステージを目指した。


「3km・・マラソン大会と同じ距離だ~、体も鍛えないと・・エースには付いて行けないな~」とエミはハッハッと息を弾ませながら笑顔で言った。


その瞬間だった、大きな爆発音が島から響いた。

赤い塔の3階辺りから煙が出ていた、そして赤い塔がドロドロと溶け出した。


「ミホ!」と女性達が叫んだ、美由紀は脱出レバーを引いた。

美由紀は外に投げ出されたが、YUTAKA MAXに乗っていてそのまま島を目指した。


「私と千鶴で、美由紀を援護・・もしミサイルが出たら、迎撃する・・残りの敵を頼む」とリアンが叫んだ。

「了解」と女性達が返した。


リアンと千鶴は空に浮かび、美由紀の後姿を見ていた。


「空母、入りました・・島が射程距離に・・迎撃体制できました」とミコトが二ヤで言った。


「よし・・もう一度上空に上がり、下降する・・リリー、体力はあるね?」と蘭が二ヤで言った。

「それはご心配無く~・・貧乏しましたから~」とリリーが二ヤで返した。

蘭も満開二ヤで頷いて、上空に向かい加速装置を押した。


空母の操縦室は沈黙が続いていた、赤い塔は完全に溶けて液体になった。

その真赤な液体の中で、ミホはうつ伏せに倒れていた。


「ミホ!」と全員が叫んだ、その声でミホはゆっくりと起き上がった。


そして真赤になった自分の体を見た、ミホの背中は大きく震えていた。

私は凍結してその悪意を見ていた、管制室も静寂が支配していた。


ミホは震えながら、自分の拳を握ってる真赤に染められた両手を見た。

私にはミホの壮絶な記憶の最後のシーン、幼いミホが真赤な両手を見るシーンが出ていた。


ミホは大きく両手を震わせながら、両手の拳をゆっくりと開いた。

ミホの赤く染められた右手から、銀の鍵が出てきた。


次の瞬間にミホの顔がアップになった、ミホは鍵を見て最強ミホ二ヤを出したのだ。

私は俯いて号泣していた、ミホの勇気に感動していた。


「う~しゃ~・・ミホ~」とユリカがユリカとは思えぬ言葉で叫んで。

「ミホ~」と女性達が叫んだ。


「絶対に準備してたんだ・・誰よりも長い時間をかけて。

 ミホは準備してたんだ・・閉ざしたままで、ヒトミの伝言を持って。

 ミホ・・お前が最強だよ、お前こそが・・ヒロインだよ」


シズカは泣きながら言った、エミは止まって腕のモニターでそれを見ていた。

そしてステージに向かい二ヤを出した、ステージに机が現れていたのだ。


「決着をつけようか・・マーガレット女王・・488歳対7歳で」とエミは二ヤで言った。


それで女性達はエミに視線を移した、戦闘機のモニターもエミになった。

ミホは立ち上がり、腕のモニターでエミの表情を見ながらもう一度二ヤを出した。


「ミホ~」と叫ぶ美由紀の声を聞いて、ミホは美由紀に笑顔を出した。

美由紀は大粒の涙を流しながら、ミホに向かって飛行していた。


エミはステージに向かい走り出した、魔女のようなマーガレットは笑顔でエミを見ていた。


「嬉しいんだ・・マーガレット、あの笑顔はそうだね」と北斗が泣きながら言った。

「絶対にそうですね・・由美子の段階の時に出会って、マーガレットは嬉しかったのですね」とユリさんも泣きながら言って。

「契約を破棄できる可能性を感じて、奴は鍵を右手に忍ばせた・・由美子の時に」とマリが言った。


『今、想定できたのか・・マリ』と私は驚いて言った。

「そうか・・だからあの時、私を呼んだのか・・婆さん」と律子が二ヤで言った。

「呼びましたよね・・あの時、マーガレットが・・先に来いって」とマリが二ヤで言った。


「そうだったんですか?」とサクラさんが驚いて聞いた。


「うん・・そうだよ、私とユリカとマリしか知らない・・あとマリアか。

 あの時マーガレットは波動でユリカに伝えた、律子を出せとね。

 それが波動だったから、ユリカは信じた・・私はそれを聞いて行ったんだ。

 マーガレットは絶対にエミで感じた、契約の破棄が出来る者をね。

 だから最後の場面を想定した、あの状況を作らなければ駄目だった。

 リンダは来れなかった・・それだけの集中は、あの状況じゃないと出来ない。

 リンダはあの経験で、自分の力を上げた・・それがマーガレットの策略。

 それでリンダは出題できた。リンダの試験を・・小僧の映像に。

 マーガレットは絶対にベストな、最強の力で戦わないといけないんだろう。

 マーガレットはそれが宿命なんだ・・だからエミのその時の為に贈った。

 それがあの時の状況だろうね・・マーガレットは今、喜びの中にいる。

 走り寄るエミを見ながら・・絶対に喜びの中にいる、契約解除。

 その永遠の望みであろう・・その時が来たのを感じてるのかもね」


律子は走るエミの笑顔を見ながら言った、同時に美由紀がミホに抱きつく瞬間だった。


ミホは美由紀に鍵を握らせた、そして赤いステージを指差した。

美由紀がステージを見ると、ミホは美由紀の背中を押した。

美由紀は振り向いてミホを見た、ミホは笑顔で頷いた。


「了解、ミホ・・私がエンディングのヒロインになるよ」と美由紀も笑顔で言った、ミホは強く頷いた。

「誰かが迎えに来るから・・待ってろよ、ミホ」と美由紀は言って、全速で島を目指した。


エミはその時にステージに着いた、そして息を弾ませながらマーガレットの前の椅子に座った。

マーガレットはコップに入った水を差し出した、エミはそれを笑顔で一気に飲んだ。


「ふ~・・美味しい水だね」とエミは笑顔で言った。

「何も疑わずに飲むんだね?」とマーガレットは真顔で言った。

「疑う?・・この状況であなたを?・・そんな事はないよ」とエミは笑顔で返した。

エミを見るマーガレットの、皺に刻まれた奥の瞳は優しかった。


「リョウとセリカで美由紀に付け・・援護しろ」とリアンが言って。

「了解」と2人が返して、美由紀の後ろに付いた。


「水中から、巨大な何かが出る!・・生物です・・体調・・約30m!」と秀美が叫んだ。

全員が海を見た、美由紀は赤いステージを見ていた。


美由紀の行く手に、水柱が立ち上がり巨大な体が出てきた。


「えっ!・・あれが敵なの?」と美由紀が叫んだ。

「敵だよ・・顔が少し違う・・ガジラだよ」とユリカが叫んだ。


ガジラは美由紀を見て、口から白い光線を出した。

美由紀は必死に交わした、ガジラは首だけで美由紀を追った。


美由紀の車椅子を光線がかすめて、美由紀は大きな衝撃を受けた。

その瞬間に鍵を落としてしまった、美由紀は慌てて拾いに行こうとしたが、光線が迫ってきて行けなかった。


美由紀が見てると、鍵はステージの横の海に落ちた。


「くっそ~」と美由紀が叫んだ瞬間だった。

「大丈夫、美由紀・・金属探知した、回収する」とカスミが無線で言った。


「ありがとうです~・・ならば私がガジラを倒す」と美由紀は最強二ヤで、セリカとリョウの戦闘機を追い回すガジラを見た。


「エミ・・あの鍵の鍵穴が・・これなんだよ」とマーガレットが机を叩いた。


すると机が開いて透明な柱が伸びた、エミの身長ほど伸びて止まった。

その柱の上に、ガラスで囲まれた鍵穴が出てきた。


「それで・・鍵をさす方法は?」とエミが二ヤで聞いた。


「お前がその柱の前に立つ、そして誰かがこのガラスを撃ち抜くんだ。

 2500m以上離れた、この的を撃ち抜ければ鍵穴に届くよ。

 ただ・・どうやって届けるかね、お前はもう帰れんよ。

 そしてミホも使えん、ミホの体は・・もう準備段階に入った。

 だから赤い通路は渡れんよ・・それが問題だよ、エミ。

 お前が撃たれれば、お前の能力の何かが奪われるかも知れん。

 その重圧に耐え、この的を射抜けるかな・・この状況で」


マーガレットがそう言うと、ステージが波の影響で揺れ始めた。


「射抜けるよ、絶対に・・こっちには、那須与一・ゴルゴ・久美子がいる」とエミが二ヤで強く言った。


そのエミの表情を見て、久美子はライフルを担いで滑走路に出た。

久美子は遠くに見える赤いステージを見ながら、滑走路の先端に歩いた。


「楽しみだね~・・見せてもらうよ」とマーガレットは二ヤで言った。


「空母を出来るだけ、ステージに寄せて・・波の影響を受けないように。

 【モグモグ】は鍵を回収して、浮上せよ・・海底はマキに託す。

 どうしても鍵がいる、戦闘機はガジラを何とか引き付けて。

 美冬・・マキに伝えて・・沙紀は任せると。

 マキ・ユーリカ・ラントワネットに任せると・・伝えて」


「了解」と女性達が返した。


美冬の二ヤのサインを見て、マキはハッとして照れた笑顔で頷いた。


美由紀は空母に向かって飛んでいた、蘭とリリーは島を目指していた。

ガジラは戦闘機に囲まれて、光線を出し続けたいた。


「ガジラにはミサイルが利かない、あまり威力のあるのは・・エミが危険だ、ガジラを引き付ける事に徹する」とリアンが言って。

「了解」と女性達が返した。


エミはマーガレットに促され、透明の柱の前に立った。

マーガレットはエミの頭に真赤な林檎を乗せた、その林檎の裏に鍵穴が同じ高さで存在した。


「今です・・ここです、波の影響を1番受けない・・久美子先輩・・林檎まで・・距離2686mです」と秀美が言った。

「了解・・見てなよ・・那須与一・ゴルゴ・久美子の腕を」と久美子が二ヤで言って、うつ伏せに寝転んでライフルを構えた。


久美子は空母の滑走路の先端にいた、肉眼では赤いステージがぼんやり見えるだけだった。


「たとえ空気抵抗も風も考えないで良いにしても、揺れる2686m先の的・・難しすぎる」とシズカが呟いて。

「それにエミの能力を奪うかも知れないという、最大の緊張感まである」とアンナが言った。


モニターにはスコープを覗く、久美子の横顔のアップが映っていた。

全員がモニターを静かに見ていた、ミホは島の先端に立って腕のモニターを見ていた。


「ネコ踏んじゃった~・・・・ネコ踏んじゃった~・・・」と久美子は鼻歌を歌いだした。

ゆっくりとリズムを変えながら、波のリズムを探すように。


その久美子の歌が無線で流れていた、カスミは鍵を回収して上昇しながら聞いていた。

マキは声は聞こえないが、久美子の横顔を静かに見ていた。


「ネコ踏んじゃった~・・・・」と久美子は伸ばして、引き金を引いた。


【ドン】という音とともに、久美子のライフルから微かに白煙が上がった。

久美子はスコープを見ていた、モニターの映像がエミのアップになった瞬間。

エミの頭の林檎が吹き飛んで、後ろの鍵穴のガラスも吹き飛んだ。


「エース・・なめるなよ、私には1発で充分だよ」と久美子は二ヤで言って立ち上がった。


「久美子~」と女性達が大喝采を贈って称えた。

マキも海底から、ミホは島の上から拍手をしていた。


「素晴らしい・・本当に素晴らしい・・心が精神を超えてるね」とマーガレットが笑顔で言った、エミも笑顔で頷いた。


その瞬間に【モグモグ】が浮上した、ガジラがそれを見て【モグモグ】に向かい歩き出した。


「やばい・・カスミ、逃げろ~」とリアンが叫んだ。


「久美子先輩・・何かに掴まって」とそれを見た美由紀が叫んだ、久美子は手すりを掴んで美由紀を見た。


「マジ~ン・・ゴ~」と美由紀はニヤニヤで叫んだ。


空母が大きく揺れ始めて、滑走路が2つに割れて開き始めた。


「美由紀用専用兵器だ!・・空母の地下倉庫より、アフロが出ます」と秀美が叫んだ。

「あなたが美由紀なら、出来るはず・・ヒトミはそう言ったよね」とユリカが笑顔で言って。

「これだったのか~・・小僧は美由紀には、常に何かを要求するな~」とシズカが笑顔で言った。


「沙紀に描かせたね・・見事なリアル感だ、それに肩にサインがある」とリアンが笑顔で言って。

「準備万端か~・・美由紀だけは特別だよね~、良いな~」とセリカがウルで言った。


「【モグモグ】に1番近いのは誰?

 戦闘機で鍵を受け取って、帰還せよ。

 あの通路を渡る方法が分かった、大至急・・戦闘機にて回収せよ」


アンナが強く言って、オヤジロボットの方に歩いた。


「私が行きます・・必ず、空母に届けます」とハルカが言った。

「任せる・・ハルカ、行け・・戦闘機全員でガジラの気を引け・・胸を見せても、スカートをめくり上げてもかまわん」とリアンが言って。

「了解」と女性達が言った後に、笑い声が漏れた。


「恭子・・それに火を点けな」とアンナは怖いような二ヤで言った、狂子も二ヤで火を点けた。

そしてガスの青い炎を調整して、オヤジロボットの顔に向けた。


「頷くだけで良い・・あの赤い通路には、私達は足を付けれない。

 ならば・・足さえ付けなければ、良いんだよな?

 例えば・・ゴムなら・・タイヤなら良いんだよな?

 タイヤなんて無い時代のルールだろ・・良いんだよな、足が浮いてれば」


アンナは二ヤで強く言った、恭子がバーナーの青い炎を近付けた。


オヤジロボットはウルウルを出して、意を決して強く頷いた。


「沙織・・装備にバイクが有った?」とシズカが聞いた。

「無いですけど・・なぜかありました、ママ~スペシャル」と沙織が二ヤで返した。

「何なの?・・そのママ~スペシャルって?」とシズカも二ヤで聞いた。


「小僧がリアル感の結晶とまで表現した・・ただの・・ママチャリです」と沙織がウルで言って。


大爆笑が生まれた、私はその爆笑でニヤニヤを出した。


私はギャグで装備したママチャリが、大活躍をする事をまだ知らなかった。


ヒトミは私の想定と違った者を連れて来ていた、ヒトミは覚悟をしていた。


その者の登場も、ヒトミの想定と違う場面での登場になる。


美由紀はゆっくりと立ち上がるアフロを、少しイライラして見ていた。


第4幕のヒロイン争奪戦も、熱が上がってきた・・女性達は笑顔だった・・。


 

 

 




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