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      【冬物語第三章・・深海の誓い⑦】 

海底に広がる透明の迷路、そのゴールに円形のステージがある。

そのステージにこそ、罠が隠されていると誰もが感じていた。


女性達全員が、二ヤでモニターの映像を見ていた。

静寂の深海を潜水艦は進んでいた、海底の光を目指して。


「広大だね~・・直径5kmをフルに使ってるね」とユリカが二ヤで言って。

「迷路に海水は無いよね・・入口が有るんだろうね~」とリアンも二ヤで言った。


小型潜水艦は、海水と仕切られた屋根の真上を航行していた。


「どこが入口なんだろうね~」とナギサが前を見て言った。


透明のシールドで仕切られた、海底の空間を人工的な照明が照らしていた。


「でも・・素敵な空間です~・・幻想的です~」と美由紀が笑顔で言った。

「そうだよね~・・素敵な空想の世界だね」とミサキも笑顔で言った。


「ナギサ姉さん・・ありました、罠の看板が」とウミが二ヤで言った。


3人がその方向を見ると、青い三角の標識に【P】と書かれた標識が見えた。


「【P】なら駐車場だね・・あそこが入口だね」とナギサが笑顔で言った。

「どうします?・・母艦を待ちますか?」とウミが笑顔で聞いた。

「まだ何も偵察してないから・・入ってみよう」とナギサが二ヤで言った。

「そうです~・・まだ仕事してません~」と美由紀も笑顔で頷いた。


「やっぱり・・どこまでも偵察する連中だね~」とアンナが言って。

「【竜宮の使者】に座標を合わせて、全速で向かう・・すぐに先走りするから~」とユリカが笑顔で指示した。

「了解」と操縦席の3人が二ヤで返した。


「【竜宮の使者】・・停止・・座標を操縦席のレーダーに出します・・モニターに現状を出します」と秀美が言った。


正面のメインモニターに、【竜宮の使者】が停泊してる映像が映った。


「ナギサ・・全員に忘れずに、モニター時計を装着させてね」とユリカが言った。

「了解です・・装着してます」とナギサが笑顔で返した。


その時、【竜宮の使者】を透明なシールドが囲んだ。

そしてシールド内の海水が抜けて、酸素が供給された。


「招待してます~・・伺わなければ、失礼です~」と美由紀が笑顔で言った。

「そりゃそうだよね~・・招待をお受けしましょう」とナギサが二ヤで言って、ミサキが密封ハッチを開けた。


「秀美・・到達予想は何分後なの?」とユリカが聞いた。

「到達予想時間・・8分30秒後です」と秀美が返した。


ユリカがそれを聞きながらモニターを見てると、4人が笑顔で手を振って、透明の建物に入って行った。


ナギサとウミが前を歩き、ミサキと美由紀が後ろを歩いていた。

透明のガラスで囲まれた円形通路の中を、まっすぐに奥に進んでいた。


「来ましたね~・・ドアですね~」とウミが二ヤで言って。

「紋章は何かな~・・偵察しよう」とナギサが二ヤで返した。


4人は足早にドアの前に進んだ、純白のドアに道標の紋章が付いていた。


「艦長・・見えますか?・・紋章は道標です」とナギサが二ヤで言った。

「見えてるよ・・偵察、ご苦労様」とユリカが笑顔で返した時だった。


「あっ!・・しまった~、思わず開けちゃった~」と美由紀の声がした。

「しょうがないね~、美由紀ったら・・入って偵察しようかね」とナギサが二ヤで言って、4人が入って行った。


「もう、美由紀は・・意図的に開けるんだから~」とユリカが二ヤで言って。

「美由紀だけは止められない・・なんせ、ヒロイン志向が強いからね~」とリアンも二ヤで言った。


扉の中は広大な透明の円形空間の奥に古びた机が有り、その後ろに大きな古びた椅子が有った。

机には鼻の大きな、魔女のような老婆が座っていた。

4人を見てシワシワ二ヤを出して、手招きした。


「マジシャンの婆さん発見・・由美子の段階の時と、瓜二つです」とミサキが二ヤで言った。

「おぉ・・あの人が、かの有名なマジシャンの婆さん」とナギサが二ヤで言って。

「嬉しいな~・・やっと見れた~」とウミが二ヤで言った。


4人はニヤニヤで婆さんの前に立った。


「良く来たね~・・それで、ここの挑戦をするんだね?」と婆さんが二ヤで聞いた。

「もちろん・・後から来るのも、知ってるんだろ?」とナギサが二ヤで返した。


「当然知ってるよ、説明したいから・・聞こえてるね?・・ユリカ」と婆さんがナギサに言った。

「聞こえてるよ、マジシャン婆さん」とユリカが二ヤで返した。


その声が空間に響いて、透明な天井にモニター現れた。

その数は母艦の女性達と同じ数で、1台に1人の顔がアップで映された。


「ミホ!・・いたのか・・凄い子だね~・・隠せるのか」と婆さんは驚いて言った。


その驚きの言葉で、天井のモニターの女性達の顔が、ミホ以外は二ヤになった。


「まぁ、良いだろう・・ミホは予定外だったが。

 マリも小僧も今回は入れないんだし、律子も経験豊富な奴らも入れない。

 見てるのは知ってるよ、マリ・・久しぶりだね、大人の雰囲気になったね」


婆さんはモニターに向かって、ニヤニヤで言った。

マリは両手の拳を握り、二ヤで返してた。


「ユリカ・・説明の前に、ここに入らないメンバーを指定しろ」と婆さんが言った。

「アンナ姉さんとシズカと秀美・・それと幻海の○○と○○と○○にシノブだよ」とユリカが返した。


ユリカが指名するたびに、その女性の天井モニターの映像が消えていった。


「分かった・・入るのは40名だね」と婆さんが二ヤで言った。

「そうだよ・・もったいぶらないで、本題に入りなよ」とユリカが二ヤで返した。


「まぁ・・マリが想定しただろうから、2人コンビは作ったよね。

 そのコンビで役割を決めてくれ、通路を行くか・・カプセルか。

 カプセルは・・この世界から海上に先に上がる道具だよ。

 罠は何も無い、約束する・・空中の塔は想定してるんだろうからね。

 カプセルを海上に飛ばすには、鍵を持った者が到達しなければならない。

 中央のステージにね・・そこにカプセルを放出する鍵穴がある。

 そこに鍵を射し回せば、カプセルが海上に放出される。

 誤解してるようだが・・この世界は迷路じゃないよ、通路だよ。

 ただの通路じゃないが・・必ずステージに到達する方法は有るよ。

 いや・・ハズレが2本有った、ハズレの2本を選んだコンビ4人。

 その4人が人質になるんだよ・・そこまでは想定したよね・・マリ。

 ここに扉を20枚出す・・そこを各自で選べ、扉の前にカプセルが出る。

 当然・・カプセル内で映像を楽しめる・・楽しめれば良いがね~。

 私も忙しいんだよ・・今決めてくれ、どっちを選ぶのか。

 誰がどちらなのか・・報告してくれ」


婆さんは気味の悪い笑顔を演出しながら、ニヤニヤで言った。


「その前に質問だよ・・鍵を持って通路を行く者は、海上に出られるのか?」とユリカが二ヤで聞いた。

「もちろん出られるよ、到達した全員が最後の試練を克服すればね」と婆さんが返した。


「通路は敵なのか、問題なのか・・それは教えろよ、子供もいるんだ」とリアンが二ヤで言った。

「両方の可能性が有るが、子供相手に無茶はせんよ・・そんなんで勝っても楽しくないからね、特に気の強いエミならね~」と婆さんは二ヤで言った。


「行くよ・・マジシャン婆さん、私が通路・・ヨーコちゃんがカプセル」とエミが二ヤで返した。

「相変わらず元気だね~、エミ・・良いんだね?・・ヨーコ」と婆さんが二ヤで言った。

「もちろん、エミの決断なら」とヨーコが笑顔で返した。


「ヨーコ・・綺麗になったね、16歳かね~・・早いもんだ」と婆さんが言った。

「そうでしょ~・・そう思います~・・自分でもそう思ってるんですよ~」とヨーコが笑顔で返した。


「相変わらずだね~、誰の言葉でも反応するね~・・みなしごの子守唄ね~」と婆さんが二ヤで言って。

「他に質問は?」と強く言葉にした。


透明の天井のヨーコの画面に【カプセル】、エミの画面に【通路】と赤文字が表れた。


「今の言い方で言うと・・カプセルの安全も、保障されてるんだね?」と恭子が聞いた。

「もちろんだよ、恭子・・お前も大人になったけど、性格は変わらんね~」と婆さんが二ヤで言った。

「あんたもな・・少し老けたか?・・500歳になったのか?」と恭子が二ヤで返した。


「しっ、失礼な・・まだ488歳じゃぞ」と婆さんが強く返した。

「それは失礼・・婆さん、私が通路・・ミホがカプセルだよ」と恭子は笑顔で返した。


「ミホがカプセル?・・ミホに空中戦が出来るのか?・・まさかな・・分かった」と婆さんが思案しながら返した。


そして2人の画面に文字が入った、それを婆さんが見て追加した、目の前にいる4人の映像を天井に出した。


「決まった者から・・報告してくれ」と婆さんが言って。


「当然だけど・・私が通路で、リアンがカプセル」とユリカが二ヤで言って。

「私達は・・ミコトが通路で、千鶴がカプセル」とミコトが二ヤで言って。

「ナギサ・・あんたがカプセルだよ、空中戦ならあんただ・・だから私が通路」と蘭が満開二ヤで言って、ナギサも二ヤで頷いた。


「私が通路に行きますね、アイコ姉さん・・カプセルをよろしくです」とリリーが言って、アイコが笑顔で頷いた。

「報告の必要も無いだろうけど・・私が通路で、ネネがカプセル」と小夜子が言って。

「私がカプセルで、美冬が通路だね」と千秋が二ヤで言って、美冬が笑顔で頷いた。

「千春・・カプセルよろしく、私が通路に行くね」と千夏が笑顔で言って、千春が微笑んで頷いた。


「さてと・・決定事項を言うよ・・私が通路で、セリカがカプセル」とカスミが二ヤで言って。

「当然・・私が通路で、リョウがカプセル」とホノカも二ヤで言って。

「婆さん・・私が通路で、ユメがカプセルだよ」とウミが二ヤで婆さんに言った。


「シオンが通路で、カレンがカプセルです~」とシオンがニコちゃんで言って。

「私が通路で・・ケイコがカプセルにしよう」とレンが笑顔で言って、ケイコが笑顔で頷いた。

「婆さん・・私が通路で、ハルカがカプセル」とミサキが言って、ハルカが二ヤで頷いた。


「やっぱり・・私が通路で、マキがカプセル」と久美子が言って。

「美由紀がカプセルだよ・・私が通路を行くよ」と沙織が無線で言って。

「了解・・沙織、ハズレを引くなよ」と美由紀が二ヤで返した。


その後に打ち合わせを終えた、スナックと幻海の女性達が報告した。


「よし・・分かったよ、ドアとカプセルを出すからね・・まぁ楽しませてもらうよ」と婆さんが二ヤで言った。


円形の部屋を取り囲むように、20枚の扉が現れた。

その前に透明の大きなカプセルが現れた、カプセルの中に透明の丸椅子が置いてあった。

そして婆さんの椅子と、後ろの大きな椅子が地下に沈んで消えて行った。


机だけが残って、その上に銀色の鍵が20本置かれていた。


その時に、潜水艦が【P】の標識の場所に降りた。

透明のシールドで囲まれて、女性達が笑顔で降りた。

女性達が建物に入ると、潜水艦の周りに海水が満たされた。


「副艦長・・【竜宮の使者】を自動回収できますが・・やりますか?」と操縦席のシノブが言った。


「お願いね・・収容したら、50m上昇しよう。

 肉眼で通路の状況が確認できる位置まで上がる。

 絶対に気持ちを切らないでね、潜水艦はいつ攻撃を受けるか分からないから」


アンナが笑顔で強く指示した。


「了解」と6人が笑顔で返した。


母艦の女性達が円形の部屋に入り、中央で円を描いて立っていた。


「さっきのヨーコの設定・・あれが提示だと思うよね。

 恐怖の映像を見せられる・・全員それを肝に命じてね。

 見せられてるだけ、映像に介入してくるだけだからね。

 1人で行動する設定を奴は出してきた、もちろんパニックを狙ってる。

 気持ちを強く持てば大丈夫だから、ステージを目指そうね。

 運悪く人質になっても、必ず奪還に行くから・・映像を楽しんでね。

 笑い飛ばそう・・それが私達の最強の武器だから。

 今からコンビで話して、ドアを決めよう・・私が残り物にする。

 カプセルのメンバーは、通路のメンバーが来るまで頑張ってね。

 絶対に赤い塔に到達しよう・・沙紀が待ってるから。

 沙紀が私達を信じてるから、私達は相棒を信じてるから」


ユリカは笑顔で言った、女性達の笑顔が集中を示した。


「はい」と全員が心を揃えて返して、2人1組になって話していた。


そして2人でドアを選び、そのドアの前のカプセルに入った。

ユリカが残ったドアの前に立ち、全員を見回した。


「笑い飛ばすよ・・幼稚な映像の進入を・・行こう」とユリカが笑顔で言って、ドアを開けた。

「了解」と女性達が返して、ドアノブに手を伸ばした。


その瞬間にリアンのカプセルが密封され、3台のモニターが現れた。


「こりゃ~・・楽しめそうだ~」とリアンが極炎二ヤで言って、透明の椅子に座った。


カプセルの女性達は、全員笑顔で椅子に座ってモニターを見ていた。


透明の通路は蛇行していて、隣の通路がはっきりと見えていた。

ユリカの横の通路には、カスミが二ヤで歩いていた。

反対側の通路には、シオンのニコちゃん笑顔があった。


「さてと・・試してみようかな」とユリカが小声で二ヤで言った。

ユリカは集中して目を閉じた、そして二ヤで目を開けた。


「やっぱり、結界だね・・波動は届かないね」とユリカが二ヤで言った。


「届かないよね?」とマリが二ヤで私に言った。

『無理だろうね・・ユリカの波動なら、ここまでは届かない』と二ヤで返した。

「そうなんだ~・・そう言う二ヤだったんだね」と哲夫はユリカの映像を見ながら二ヤで言った。


「ゲッ!・・意地悪な奴だな~」と最初に声を上げたのは、蘭だった。


蘭は走っていたのだろう、息を弾ませて前を見てウルを出していた。

蘭の目の前の少し広がった通路の下に、真黒い蛇が無数にトグロを巻いていた。

そして壁に大きなムカデが這い回っていた、蘭はウルから満開二ヤに変身した。


「まぁ・・これはジャブだろうね、これが本題じゃあつまらない」と満開二ヤで言って歩き出した。


蘭は躊躇無く蛇の場所に足を入れて、体を這い回るムカデを無視していた。


「蘭姉さん!・・見てる方が、パニックになりそうですよ~」と隣の通路からリリーが無線でウルで言った。

「そうなんだよね~・・やられてる方は見えないから、そうでもないよ・・奴は馬鹿だね~」と蘭が笑顔で言った。


「這われてる感覚が無いんですか?」とリリーが二ヤで聞いた。

「切ったよ・・不必要な感覚は切った・・私は、私だけは・・あ奴に負けられない、仙人和尚の教えの応用編だよ」と蘭が満開二ヤで返した。


蘭の口元には大きなムカデが走り回っていた、リリーはその言葉で笑顔になった。


「本当に負けず嫌いだよな~・・感動するよ」とカスミが二ヤで無線で言って。

「エースに負けたくないってとこが、蘭らしいよね~」とユリカが二ヤで無線で言った。

「でも大切なヒントでした、ありがとう・・蘭姉さん」とホノカが笑顔で返した。


「確かに蘭は負けず嫌いですね~・・それもエースに対してまで」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「それにしても、感覚を切るって平気で言うよね~・・心に従う女は」とサクラさんが笑顔で言って。

「蘭とナギサも奇跡だよね~・・あの感覚が巡り会う事も」と大ママが二ヤで言って。


大御所達が笑顔で頷いた。


「報告・・今、浪人らしき男に右腕を切られた・・中々の腕前だったが、撃ち殺した」とミコトが二ヤで報告した。

「私には・・無法者のガンマンが立ってます、2発撃たれましたが・・やっちゃいました~」とミサキが言った。


「嫌ーー!・・カレン、ごめんね・・ハズレって部屋があるよ・・シオンはハズレの女です~」とシオンがウルウルで言った。


「作為的だよね・・シオンとカレンを人質に取るって」とリリーが真顔で言った。

「確かに・・沙紀には重要な2人だよね」と敵を倒しながら、美冬が言った。


カレンはシオンに話しかけていたが、カプセル内からは無線が届かなかった。


「どうやら、カプセル内は無線が使えないんだね・・カレンが何も返してこない」とユリカが言った。


「報告します・・ハズレ部屋から、円形のステージを確認しました。

 全ての通路の根元に部屋があります、そして透明の円形のステージ。

 そのステージに碁盤の目のような線が入り、文字が書かれています。

 ここからでは読めません・・多分・・問題です」


シオンが無線で報告した、女性達はそれを聞いていた。


「走ろう・・無視して走れるよ・・この通路には大きな仕掛けは無いよ」とミコトが二ヤで言って。

「そうだね・・いちいち相手にすると、到着時間がバラバラになりそうだね・・走るよ」とユリカが言って。

「了解」と女性達が笑顔で返して、走り出した。


「がーーん・・ハズレでした~・・マキ~・・ハズレだよ~」と久美子がウルで言った、マキもモニターを見ながらウルを出した。


「やっぱりね・・久美子、エースから何か受け取った?」とユリカが走りながら聞いた。

「3000mの射程距離の、ライフルの弾丸・・5発です」と久美子がハズレ部屋に入り言った。

「シオン、久美子・・必ず迎えに行くから・・シオン・カレン・久美子・マキ・・この4人が重要なんだよ」と蘭が言って。


「お願いします」とシオンと久美子がウルで返した。


「扉に到達・・しかし、問題あり・・文章問題が」とまで蘭が言った時に通信が切れた。


「なるほど~・・1人で考えろって事ね、問題に辿り着くと無線を切られる」とミコトが言った時に、ミコトの前にも扉が現れた。


蘭の扉の前の張り紙には、こう問題が記されていた。


【A子さんは豊かな漁場で獲れる、魚が好きです。

 ウナギは嫌いですが、他の魚は大好きです。

 さてA子さんは何の魚が、1番好きなのでしょう?】


「く~~・・難問だね~」と蘭がウルで言った。


シズカは蘭の問題をモニターで見て、二ヤを出していた。


「シズカ・・分かったの?」とアンナがシズカに二ヤで聞いた。

「はい・・秀美も分かったでしょ」とシズカが秀美に微笑んだ。


「ハモですよね・・魚辺に豊で、はもだから。

 豊かな漁場で獲れる魚が好きって、変な表現ですよね。

 どこで獲れたなんて分からないし、豊かな漁場かも分からない。

 不必要な表現だから、豊かに意味が有りますよね。

 それにわざわざ、ウナギが嫌いだと言っている。

 それがヒントですよね、ウナギは嫌いだけど・・なぜかそれは好き。

 そんな感じのニュアンスですよね、だからヒントだと思います。

 そう考えれば・・ハモの漢字を知らなくても、導き出せますね」


秀美は笑顔で言った、シズカが笑顔で頷いた。


「なるほど~・・秀美も凄いね~」とシノブが笑顔で言って、幻海の女性達が笑顔で頷いた。


「ウナギって・・魚なのか?・・あんなニョロなのに?」と蘭が呟いて考えていた。


《もう少しだよ~・・近いよ~》と私は蘭を心で必死に応援したいた。


その時だった、無線からミコトの声が響いた。

「やった~・・1番乗り~・・ラン~、頑張れ~」とミコトが二ヤで言った。


その言葉で蘭は満開ウルを出していた。


ミコトは透明の部屋に入って、正面の鍵穴に鍵を挿した。


「千鶴、よろしくね・・行って来い」と笑顔で言って鍵を回した。


千鶴のカプセルは、透明の世界から飛び出して一気に海上を目指した。


「ふ~・・2番死守したよ~・・リアン、行って来な~」とユリカが二ヤで言って鍵を回した。


蘭は焦っていた、あの屈辱的な記憶【ネイビーブルー】が蘇っていた。


「大体・・あ奴が悪いんだ、私に苦手意識を植え付けて・・策略家め~」と蘭が満開ウルで言って、ハッとして問題を見た。


「なぜ嫌いな物を出す、関係ないだろ・・奴ならそう考える。

 そしてこう言うんだ・・ウナギこそヒントだろって言う。

 そして二ヤ二ヤになって・・・・分かった!」


蘭はそうシュミレーションをして、最強満開二ヤを出した。


そして解答をするマイクに近付いた。


「ハモ・・ハモでしょ」と蘭はマイクの前では、自信なさげに言った。


《ピンポ~ン》と音がして、扉が開いた。

蘭は喜びの半泣き状態で、部屋に飛び込んだ。


「当然の3番を取ったよ・・ナギサ、頼むね~」と蘭は満開で言って、鍵を回した。


次に美冬・千夏・ホノカ・沙織・エミ・ミサキの順で続々と入った。

スナックの女性も、幻海の女性もクリアーして入った。


カスミは完全に焦っていた、カスミの問題はこれだった。


【最終電車が到着したのは、6番ホームに月光5号だった。

 次の日の始発電車は、6時13分のツバメ1号だった。

 その時間差は、4時間10分でした。

 ではその日に最初に到着する電車は、何時何分でしょう】


カスミは焦って脳内パニックになっていた。


「カスミ姉さん・・落ち着いて、負けず嫌いを出さないで・・冷静になれば簡単ですよ」と秀美がモニターのカスミに言った。


「えっ!・・簡単なの?」とシノブが驚いて聞いた。


「簡単です・・時間的な計算をするだけですから。

 始発とか、終電とかの表現で惑わしてるけど。

 最終電車と表現された電車が、その日に最初に到着した電車です。

 だって最終電車が到着したのは、午前2時3分ですから。

 要はその日だという表現です・・鉄道業界ではよく使用されます。

 発車時間に重きを置くからでしょうね、日付を跨いでも最終と呼ぶ。

 この問題の・・その日に最初に到着した電車は、最終電車なんです。

 1日で区切れば・・そういう事になりますね。

 だからわざわざ時間差まで表示した、普通の状態のカスミ姉さんなら。

 即座に解答するでしょうけど・・焦りが混乱を招いてますね」


秀美が笑顔で言った、女性達に笑顔が咲いた。


「なぜだ・・どうやって導き出すんだよ・・存在しない最初に到着する電車を」とカスミはウルで呟いた。


「落ち着こう・・どうせ作為の問題だろ・・作為の問題!

 奴なら瞬時に答えるよな・・まず違和感を探すんだ。

 違和感・・・・」


カスミはそう呟いて、問題を見ていた。


「時差か!・・なぜ時差なんて書くんだいって、奴は言うんだ。

 それで導き出す、罠的な部分・・その表現を・・表現?」


カスミは少し笑顔を出して、問題を読み返した。

通路のメンバーは、小部屋でカスミの映像を見て二ヤを出していた。


「がんばれ~・・カスミ姉さん」とセリカがカプセルの中で必死で叫んでいた。


「しまった~・・終電なのか、最初の言葉が罠だったのか。

 パニクッて分からなかった~・・ごめんな、セリカ」


カスミはウルで言って、解答を言って部屋に飛び込み鍵を回した。


「頼むな・・セリカ」とカスミは笑顔で言った。


その瞬間に、人質以外の小部屋の前方の扉が開いた。

カスミの目の前には、円形のステージが見えていた。


その頃海上では、空母を待つカプセルの女性達が浮いていた。

海上の光の壁は消えていた、快晴の空が広がっていた。


「セリカ・・遅いな・・カスミの奴、焦って混乱したな」とリアンが空に向かい笑顔で言った。

「素直なんだよね~・・外見では想像出来ないほど、内面は素直ですよね・・カスミ」と千鶴が笑顔で言った。


「そうなんだよな~・・あんなに綺麗なのに、どこか憎めない・・素敵な奴なんだよね」とリアンが笑顔で返した。


リアンの視線には、空母の機影が映っていた。


「やるかな~・・託されたんだから」とリアンが笑顔で言った。

「そうですね~・・やりますか~」とミチルも空母を見て二ヤで言った。


その頃、ユリカは円形のステージを外側から見て、潜水艦を見上げた。

そして二ヤで右手を上げて、天を指差した。


「了解、ユリカ・・全速で上昇する・・空母に乗り込むよ」とアンナが強く言った。


「了解・・最も早い・・放出上昇をします・・衝撃に備えて下さい」とシノブが真顔で言った。

「了解」と全員が返した。


透明のステージを囲む女性達は、上昇して行く潜水艦を見ていた。


目の前の難問を読みながら、ニヤを出していた。


海上には空母の機影が浮かんでいた、そして沖の空から近付いていた。


巨大な島が空に浮いていた、眼下の人間達を嘲笑うかのように。


ゆっくりと空母に向かって飛んでいた、空には夕暮れが迫っていた・・。



 

 






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