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      【冬物語第二章・・心遊び⑥】 

選択肢の重要性は、日常では意識できない。

物が溢れる現代で、それを意識しろと言うのが無理な話である。


ただ、持っていないといけない・・心には常に2つ以上の選択肢を。

そうしないと、本当に精神が追い詰められた時に、それを選択してしまう。

自らが自らの命を絶つ事を選んでしまう、それしかないと思ってしまう。

その策略に対抗するには・・何に対しても、常に選択肢を持つ事である。


《世界で唯一人、あなただけを愛します》


私はこんな歯の浮くような台詞も嫌いだ、選択肢を否定してると感じるから、

私の娘に、この話をすると・・都合の良い言い訳をするな、そう怒るのである。


女性達の笑い声の中に、久美子の照れた笑顔があった。

そして久美子はハッと気付いて、マリを見てウルを出した。


「誘われたんだね・・私はマリに操られたんだね」と久美子がウルで言った。

「久美子姉さんが、素直で素敵な人だからですよ~」とマリが笑顔で言って、久美子は嬉しそうな笑顔で返した。


「でも・・エースの想定通りの考えで、何人が流したんだろうね~」と大ママがニヤで言って。

「多分・・半数ってとこでしょうね」とユリさんが薔薇ニヤを出した。


「ハルカは意図的だったよね~」とカスミがニヤで言って。

「もちろん・・意図的でしたよ~」とハルカも必死にニヤで返した。

女性達がニヤニヤでハルカを見ていた、ハルカは必死でウルを抑えた。


『エミ・・好きな場所に入りなよ、マリがエミの場所・・銀河の前だね』と私はカスミにニヤで言った。

カスミがマリをウルで見た、マリはニヤで返して立ち上がった。


「絶対に甘い流しをしないのが、シズカちゃんか美由紀ちゃんだけど。

 限界カルテットは、ユリカちゃんを狙ってるから・・美由紀ちゃんの横~」


エミは笑顔で歩きながら、そう言って美由紀とヨーコの間に入った。

女性達が三度エミに驚いて、エミの笑顔を見たいた。


「ほほ~・・16歳でね~」とユリカがカルテットに最強爽やかニヤを出した。

「マキ、ヨーコ・・萎縮しないでね」と恭子がニヤで2人に言って。

「大丈夫だよ・・全てシズカの責任にするから」とマキがニヤで返した。

「任せなさい・・角栄なんて、子供騙しだから」とシズカがユリカにニヤで言った。


「青いね~・・お風呂ばかり入ってるから」とユリカがシズカにニヤで返して。

「ヨーコにサービスですよ~」とシズカもニヤで返した。

女性達が呆気に取られて、ニヤニヤ顔のシズカを見ていた。


「エース・・私達の次のレベルで期待するのは、どんな事かな?」とミコトがニヤで言った。


『そこの6人には、今のだよ・・意味だけの天然返しを期待するね。

 要は同じ言葉を別の意味で取って、それを間接的な表現で流す。

 次の人はその意味まで理解しないと、対応できないレベルかな。

 こうなると難解なレベルに入ってくるよ、たとえ1行流しでも。

 今のユリカは、シズカをどらえもんのシズカに変換したよね。

 そしてシズカは、それをヨーコに変換して返した。

 ヨーコ=どらえもん・・こういう意味での返しだったね。

 難解な方向に進まないと、意味が無いから・・期待してるよ』


私は笑顔で言って、沙織にニヤを出した。


「それでは・・席替えもありましたから、久美子姉さんが少し戻してスタートしましょう」と沙織が笑顔で言った。


久美子が笑顔で頷くと、女性達に緊張が走った。


久美子・・芋虫が蝶になるのか~。《脱皮》

沙織・・・夜の蝶って、甘い蜜を吸うからかな~。

秀美・・・偶数の出目だよね。《蝶=バクチの丁=偶数》

美由紀・・借金作るなよ~。《バクチ=借金》

エミ・・・利回りって罠だよな~、作為の計算だよ。

ヨーコ・・銀行員って、ありかな~。

マキ・・・何にでも屁理付けて、反対しそうで嫌だな~。

恭子・・・何にでも賛成するよりましだよ。

シズカ・・お爺様がブラジルに来られたんですね。《賛成=三世》

ユリカ・・ふ~じこちゃ~ん、お待ちになって~。《三世=ルパン三世》

リアン・・私は映画、【夜の河】が好きだな~。《不二子=山本富士子》

千鶴・・・美しすぎて就職試験で落とされた、伝説の女性ですね。《山本富士子》

ミコト・・私と同じだ~、美しすぎるという障害。

蘭・・・・喧嘩はだめですよ、暴力は罪に問われます。《障害=傷害》

ナギサ・・ずっとですね、今から死ぬまで一緒ですね。《傷害=生涯》

北斗・・・両親が反対してるけど、乗り越えられるの?《生涯=障害》

アスカ・・芽生えたね、その優しさがあんたの本当の心だよ。《両親=良心》

ミチル・・第一段階は、2葉が天に向けて開くんですね。《芽生え》

ユリ・・・面で捉えたらいけません、全てはそれの連続です。《天=点》

サクラ・・点線の部分を繋げて、三角を四角にするのよ。

マリ・・・俺の後ろに立つな、用件を聞こうか。《?=?》


カスミ・・・・・・・。


「ゴルゴ?・・えっ!どっち?・・三角?それとも四角?

 ゴルゴ・・スナイパー?・・殺し屋?・・刺客か~」


カスミがウルで叫んだ、流してきた女性達がニヤニヤで頷いた。


「高度すぎる・・途中で意味が分からなくなった」とセリカが流星ウルで言って。

「検証しましょう・・そうしないと絶対に出来ないよ」と美冬がウルで言った。

若手女性がウルで頷いて、ホノカが口火を切った。


「まず・・秀美の【偶数の目】・・昆虫の【蝶】を丁半博打の【丁】に変換した・・怖い」とホノカがウルで言って。

「それを美由紀が【借金】に振って、エミが【利回り】で流れを作った」とリョウが笑顔で言って。

「それをヨーコから恭子までが、銀行員で大切に温めた・・完璧な布石として」と千春が笑顔で言った。


「そしてターゲットに向けて、シズカの難解な弾丸が飛んだ。

 賛成するの【賛成】を、日系三世の【三世】に変換した。

 それも間接的な表現・・お爺様とブラジルで・・恐ろしい」


リリーがウルウルで言って、若手女性がウルで頷いた。


「でも・・その難解な流れに瞬時に対応した、あの人はレベルが違う。

 透明の女神は余裕で言った、三世を瞬時に変換した・・それも物真似で。

 ふ~じこちゃ~ん、お待ちになって~。

 ルパン三世・・凄すぎる・・三世の変換を、想定してたとしか思えない」


小夜子がユリカの二ヤを見ながら、ウルで言った。


「そして難解流しが始まる・・リアン姉さんが、峰不二子を山本富士子に変換して」とネネが笑顔で言って。

「千鶴姉さんが、選択肢を増やす為に・・山本富士子のエピソードで流して」とユメが言って。

「それをミコト姉さんが、少し笑いまで入れて・・温める、次のターゲットに狙いを定めて」とウミが笑顔で言った。


「次からの3人ですよ、速かったですよ・・激流でした、【しょうがい】の間接3変換」と千夏がウルで言って。

「まず蘭姉さんの、障害があるの【障害】を、傷害罪の【傷害】に変換して」と千秋が笑顔で言って。

「それを受けたナギサ姉さんが、傷害罪の【傷害】を、【一生涯】の【生涯】に変換して」とカレンが言って。

「それを北斗姉さんが、惑わせた・・最初の障害があるの【障害】に戻した・・これは難しくなります~」とシオンがウルで言った。

「それも激流だった、一気に流れて・・意味を考えるのが追いつかなかった」とアイコがウルで言った。


「そして誰もが、【しょうがい】での流れを感じてる瞬間に、チェンジした。

 大ママは二ヤでした、私は見てましたから・・絶対に意識的です。

 瞬時に北斗姉さんの言葉、親の【両親】を心の【良心】に変換した」


ミサキが大ママの二ヤを見ながら、ウルで言った。


「そしてターゲットは出来た、私がターゲットになった・・難解流しが、淀みなく迫って来るんだよ」とカスミがウルウルで言って。

「まず、ミチルママの【芽生え】流し、間接的で現実的な表現だった」とレンが笑顔で言って。

「そしてユリさんが、想いまで込めた・・天空の【天】を点線の【点】に変換した」とハルカが笑顔で言った。


「それを受けて、サクラさんが最高のパスを出す。

 マリに【三角】と【四角】というキーワードを、絶対に意図的だった。

 だって形を付けなかった、【三角形】と【四角形】と言わなかった。

 マリは無数の選択があった、カスミ姉さんも無数の想定をしたはず。

 それをマリが読みきった、カスミ姉さんに無い想定を導き出した。

 それがゴルゴ・・【四角】を殺し屋の【刺客】に変換した」


久美子がウルウルで言って、若手女性達はウルで頷いた。


『よし・・レベル差は分かったね、それでは各自で特訓しときなよ。

 忘年会の時に、決戦場を用意するよ・・若手の優勝者には商品を出すよ。

 久美子・・ミホに聞かせてよ・・久美子の【猫踏んじゃった】を』


私は女性達の笑顔を見回して、最後に二ヤで久美子に言った。

その言葉でミホが立ち上がり、久美子の方に歩いた。

久美子も笑顔で立ち上がり、ミホの手を繋いでピアノに歩いた。


私は美由紀を抱き上げて、車椅子に乗せてピアノの場所まで押した。

女性達はワイワイと笑顔で話していた、楽しそうな空間が出来ていた。


私は沙紀の隣に座り、沙紀が無心で背景を描いているのを見ていた。

ピアノからゆっくりとした、ミホの【猫踏んじゃった】が流れてきた。

それだけで心地良かった、その音楽に対する直向さを感じることが出来た。


ミホの演奏を、久美子は笑顔で頷きながら聞いていた。

その笑顔は喜びに溢れ、隣の美由紀も嬉しそうにミホの指先を見ていた。


ミホが弾き終わると、久美子と美由紀は笑顔で拍手をした。

ミホは久美子の右手を握り、鍵盤の方に引っ張った。

久美子はミホに笑顔で頷いて、鍵盤に視線を移した。

その表情は集中の中に入っていた、私はワクワクしていた。


私でも弾ける、基本中の基本の【猫ふんじゃった】を久美子ならどう弾くのか。

私はそのイメージをしていた、しかし完全に裏切られる。


久美子の奏でる【猫踏んじゃった】は、一気にイメージ映像を連れて来た。

コミカルでリズミカルな流れの中に、猫の尻尾を踏んだ驚きが入り。

その後の展開が、リズムに乗って流れていった。


《相手が本物なら、基本を盗め・・基本にこそ存在する、圧倒的な力の違いが》


私にはこの空手のシゲ爺の言葉が蘇っていた、その言葉の真意に触れていた。

曲の内容も分からないような、そんな高度なテクニックを必要とする曲では分からない。

自分でも弾ける聴き慣れた曲だから、その圧倒的な伝達力を感じる事が出来た。


オーケストラでも、ロックでも・・私も皆さんと同様に、自分でイメージを入れる。

ただ私は自分の映写機でスクリーンに映すだけで、なんら特殊な事は無い。

文字を読むときも、自分の好きな物語以外はあまりイメージ化しない。


ただ自分の好きな歴史物や推理物の時は、私は黒澤明になり。

SFやファンタジーの時には、スピルバーグになる。


新しい登場人物が現れたら、配役を自分で決めて交渉に行く所から始める。

もちろん亡くなった名優にも会いに行き、交渉時の相手の台詞まで私が作る。

自分のイメージの世界での出演交渉では、簡単に承諾を貰える事は滅多に無い。

もちろん私が自分で作った難しい設定を、二ヤで自分に振るのだ。


私はその交渉も楽しかった、私の描くイメージでその俳優の台詞を作った。

ジェームス・ディーンは寡黙な好青年だったし、ブルース・リーは意外と面白い人だった。

マリリン・モンローを見て、自分で作った映像なのに完全凍結したりして楽しんだ。


最も記憶に残ってるのは、小6の時の大好きなオードリー・ヘプバーンとの交渉である。

キュートなオードリーが笑顔で部屋に招いてくれて、私は完全凍結していた。

壊れたロボットみたいに歩き、オードリーの正面に座った。


「オードリー・・君にしか出来ない、この役は」と震えながら台本を差し出した。

オードリーはキュートな笑顔で受け取った、私はガクガクと震えていた。

私は必死にオードリーを説得して、やっとの思いで出演許可を取った。


そして2人でべスパに乗ってローマの街を走った、ライオンの石像に腕を噛まれた振りもした。

しかし私はそれ以上の展開を作れなかった、小6の私にはそれ以上はイメージ出来なかったのだ。

私は泣きながら、オードリーに見送られて飛行機に乗り込んだ。

自分で勝手に作った話なのに、本気で泣きそうになっていた。


そんな泣きそうな自分を感じて、私はゾッとしたのだ。

《俺って・・もしかして、狂ってる?・・まさか、病んでる?》

私は自分でそう思って、少し焦ったりする馬鹿な少年だった。


そんな私は当然のように、人の何倍も読むのが遅い。

この監督読みは、電車のマサル君との出会い以降だから、小3の時からである。


私は小児病棟に毎日通っていたのだから、読書の時間は存分に取れた。

ヒトミやミホがいた時は別だが、小児病棟と言っても遊び相手が必ずいる訳ではない。

そして小児病棟の遊戯室には、小さな図書館レベルの本が置かれていた。


物が豊富に有る今の時代と違い・・本も高級品で、贅沢品だった。

小児病棟の全ての本は、退院した子供達の両親が寄贈した物だった。

だからこそジャンルも豊富で、長編小説が多かったのだ。


私は幸せな事に、今まで手術という経験が無い。

骨折で何度か病院にお世話になったが、本格的な入院の経験も皆無である。

しかし病院で過ごした時間は、他の追随を許さないほどに永い。


苦痛を伴わない子供が入院するというのは、退屈との戦いである。

あの時代、ポータブルゲームなど、空想物語の中の物だった。

今の子供達なら、DSだのPSだのを持って、ニコニコ顔で入院するのかも知れないが。

あの時代の子供達には、注射や薬よりも退屈が怖かっただろう。


だからこそ本を読み、そして没頭するのだ・・その世界に入り込んで行く。

マリが私に話してくれた、選択できるなら迷わなかったと。

言葉と文字の復活を選択しろと言われたら、絶対に文字だったと言った。


「活字の物語なら自分のイメージで作れる、それが一番欲しかったんです」


ミホが自我を取り戻して、清次郎の生徒になった時だった。

マリが清次郎を訪ねて、教え方に少し悩んでいる清次郎に笑顔でこう言ったのだ。


聴覚だけの頃のマリは、人の話か自作の物語しか持ってなかった。

だからこそ、素晴らしい空想物語を作り出したし、想定の達人になれたのだろう。

マリを含めて、文字の読める長期入院した子供達は、その読み方が違う。


活字の物語への侵入方法が違うのだ、私はマサル君でそれを感じた。

マサル君は文字を理解していた、そして文字に執着していた。

漢字の理解力は、相当のレベルだった事は間違いないだろう。


マサル君が文字に執着したのは、地名を知りたかったのだ。

幼い私は不思議に思い、マサル君に素直に聞いた・・なぜ文字が大切なの?

そう聞くと、マサル君は嬉しそうに教えてくれた。


駅の名前ってね、地名だから難しいんだよ・・時刻表も漢字だし。

だから文字を読めないと、アナウンスが出来ないんだよ。

行き場所や次の駅・・それに発車や注意のアナウンスが出来ないんだ。

だから文字を勉強するんだよ、自分でマイクを持ってアナウンスしたいから。

俺はあの駅のホームに流れる、アナウンスも好きなんだよ。


私はこのマサル君の言葉で気付き、自分なりのやり方を探した。

そして導き出したのが、イメージでの映画監督だったのだ。

もちろんマリの、イメージを映像化するというヒントを得てからだった。


私は活字を読むよりも、映画を1本作るのが楽しかった。

不可能な事は何も無いのだから、こんなに楽しい事はないのである。

どんなに空想的な場面でも、瞬時に映像化出来るのだから、夢中になる。


その映像化が飛躍的に上がりだす、ミホを遠ざけられてから加速する。

私は無意識に準備をしていた、ヒトミのプレゼントの映写機の処理スピードを上げていた。


私はマサル君のアナウンスの声を感じながら、自分はセットの中の有名な俳優を見ている。

『よ~い・・アクション』と日本語と英語を混ぜて指示を出す。

それから活字を目で追うのだ、視線で活字を読んでいく。

そして映像で演技を見ている・・どんな大物役者にも、容赦なくNGを出しながら。


久美子の演奏は、イメージする前に音で映像を連れて来た。

音で映像を表現したと言って良いだろう、コミカルな物語の映像を音で伝えて来た。


久美子は楽しそうに弾き終わり、ミホを笑顔で見た。

その時の久美子を見るミホの瞳には、確かな感情が映っていた。

私は震えながら、久美子と音楽の力に触れていた。

視覚を聴覚が超えていた、誰もが知る【猫ふんじゃった】で超えてきたのだ。

それは名曲と言われる、どんな曲よりも強い想いに溢れていた。


「良かったね、ミホ・・さぁ、練習しよう・・いつかミホも、久美子姉さんみたいに弾けるよ」と美由紀が笑顔で言った。

「楽しんでね、ミホ・・いつか一緒に、連弾で弾こうね・・私は待ってるからね」と久美子は笑顔で言った。


ミホは無表情のまま久美子を見て、そしてピアノの椅子に座り美由紀を見た。

美由紀は笑顔で頷いて、最初からゆっくりと弾き始めた。

ミホは必死で美由紀の指先を追った、その後のミホの楽譜になる美由紀の指先を。


「エース・・TVルームで、打ち合わせをやろうよ」と北斗が笑顔で来た。

『了解・・メンバー集めるから、先に行っといて』と笑顔で返した。

私は北斗の背中を見送り、シオンの側に歩いた。


『シオン・・五天女と蘭とナギサに、TVルームに集合って言って連れて来て』と笑顔でシオンに言った。

「は~い」とシオンがニコちゃんで返してきた。


『カレンはハルカとミサキ・・それとマキとヨーコとマリで、TVルームに入って』と私は笑顔で言って、カレンが笑顔で頷くのを確認した。


『ウミ・・沙紀の側にいてくれない?・・側にいるだけで良いから』とウミに笑顔で言った。

「えっ!・・良いの、嬉しい~」とウミが立ち、ユメも立って2人で歩いて行った。


『セリカ・・ちょっと良いかな?』と笑顔でセリカを誘った。

「何かな~・・嬉しいな~」とセリカが流星二ヤで付いてきて、私はリョウの肩を叩いて誘った。


10番の奥の席に、リョウとセリカと座った。


『手短に言葉で言うからね・・言葉で言うという意味は分かるよね』と私は二ヤで言った、2人は二ヤで頷いた。


『もちろん、明日の沙紀の絶望の世界の事なんだけど。

 他の女性達には、先入観になるから黙ってて欲しい。

 絶望の世界の最終ステージは、大空に浮かぶ島の上に赤い塔がある。

 その島を守っているのが、空飛ぶ強敵だと思う。

 リョウとセリカは忘れないで欲しい、2人は必ず海上に上がって。

 空母の場所まで到達して、そして戦闘機に乗って。

 そうしないと・・空中戦じゃ勝てない、2人がいなければ。

 空中戦ならネネもだけど、俺はまだネネには依頼出来ない。

 ネネは今度が2度目だから、余計なプレッシャーになるからね。

 四季は辿り着くと思ってるし、蘭も当然辿り着くだろう。

 でも・・2人がいなければ、絶対に厳しいんだ。

 だから・・リョウ、セリカ・・自分を守ってくれ。

 深海の時、目の前で選択が迫られたら・・2人は行かないで。

 2人には辛い事だけど、そこは我慢して欲しい。

 最終的に勝つために、2人はその時に我慢してよ。

 俺はシズカに言ったあの言葉を、2人にも言うよ。

 リョウ・・セリカ・・犠牲を覚悟して、自分達が海上に出る為に。

 2人が海上に出て、空中戦に勝利すれば・・犠牲にはならない。

 2人が到達出来なくて、空中戦に敗れれば・・深海の全てが犠牲になる。

 それを心に持って、明日は潜ってね・・俺の依頼はそれだけだよ。

 頼りにしてるよ・・リョウ、セリカ』


私は小声で笑顔で言った、2人も笑顔を返してくれた。


「了解・・そうするよ」とリョウが強烈な魔性で微笑んで。

「了解・・空中戦は任せてね」とセリカが流星で微笑んだ。


私は笑顔で立って、リョウとセリカを絨毯に座らせた。

そしてカスミとホノカを連れて、TVルームに向かった。


TVルームには指名した全員が笑顔で話していた、私はカスミとホノカを座らせた。

私が蘭とユリカの間に座ると、全員が私の顔を見た。


『それじゃあ、始めます・・由美子の話の前に、明日の話を少し。

 明日の沙紀の絶望の世界、その最終ステージは大空に浮かぶ島です。

 その島に、あの赤い月と同じ色の、真赤な塔が立ってます。

 そこが最終ステージでしょう、その島を守る空飛ぶ敵は強敵です。

 この事は、女性達もあまり知りません・・先入観になるのが怖いから。

 海上の・・天空のステージを意識し過ぎると、深海が危険だからです。

 でも空中戦の事も考えないといけない、だからメンバーを揃えたい。

 だから今、リョウとセリカには話しました、絶対に海上に上がれと。

 そして蘭とマキ・・2人も絶対に上がって欲しい。

 言ってる意味は分かっていると思うけど、深海での選択に入らないで。

 深海で何らかのメンバー選択が発生した時には、2人は避けて欲しいんだ。

 空中戦の為に、誰かが塔に到達する為に・・2人は我慢して。

 深海での誘いに乗らないで、最終的な犠牲者を出さない為に。

 あの赤い塔を壊せれば、誰も犠牲にならない・・だから海上に出て。

 空中戦をして、そして赤い塔を目指してね・・それだけを依頼するよ』


私は蘭とマキを見ながら、笑顔で言った。

2人は雰囲気を察して、言葉を出さずに笑顔で頷いた。


『じゃあ、由美子の次段階、左手に誘う打ち合わせ。

 北斗・・俺の言う事は、受け入れるって言ったよね?』


私は北斗に笑顔で聞いた。


「もちろん・・全て受け入れるよ」と北斗も笑顔で返してくれた。


『了解・・俺は来年の成人の日、銀河とツインズの成人を祝った後。

 由美子の塔までの道を作りに入る、その地図を沙紀に描いてもらう。

 沙紀が由美子と話しながら、シオンとマリで同調してもらう。

 シオンが沙紀の側にいて、これはユリカでは出来ないんだ。

 沙紀はユリカには全てを託すから、ユリカじゃ邪魔になるんだよ。

 沙紀の自主性を引き出せるのは、友達であるシオンとカレンなんだ。

 でもカレンには由美子に対する事があるから、これはシオンにしか出来ない。

 だからシオン・・よろしくね、あの由美子の段階の時と同じ感じで。

 沙紀に寄り添って、沙紀に安心感を与えて・・沙紀の自主性を引き出して。


 この沙紀の絵が完成したら、成人の日に由美子の塔を目指す。

 メンバーは・・五天女と蘭とナギサ、そしてマキとヨーコ。

 それに・・当然マリと俺・・そして北斗だよ。

 北斗・・考えて結論をそれまでに頂戴、北斗には強制出来ない。

 母親である北斗には、相当に辛い事だと思ってる。

 でも・・それでも俺は見て欲しい、由美子の世界を感じて欲しい。

 そこには確かな希望も存在するから、同行して欲しいと思ってる。

 だから誘うよ・・北斗が入る時は、コンビは俺だからね。


 もちろん、この時入るのは難しい・・沙紀の絵だけだからね。

 マリは沙紀の絵ならば、同調は出来るだろうけど・・弱い同調なんだ。

 だからマリには頼れないよ、各自が明確なイメージ作りをして欲しい。

 だからこそ、可能性が1番高い・・五天女に依頼してる。

 最低・・5人は必要なんだ、ユリカと蘭は入れるだろう。

 当然マリは入る・・だけど俺は分からない、男の俺が入るのは。

 難しいと思ってる・・俺が由美子の信頼を、ヒトミレベルに得られないと。

 そうしないと、入口で拒絶される可能性が有るんだ。

 その時は、五天女と蘭とナギサが絶対に必要なんだよ。

 マリを到達させないといけないから、俺の映像に塔を入れるには。

 マリがそれを同調に入れないと、俺は映像に入れれないからね。


 それが成人の日の予定、多分状況で銀河と19歳トリオも誘うと思う。

 その時はよろしく、ハルカとミサキもだよ。

 これが出来れば準備完了、次の日曜日に全員で由美子の塔を目指す。

 時の部屋は1度しか開けない、俺はそう想定してる。

 だから集まることが出来る全員で、由美子の時の部屋を目指す。

 律子も和尚も豊も来る、そして俺は・・モモカを連れて入る。

 多分・・ミホも沙紀も、入らせてと言ってくる。

 5人娘とミホと沙紀とモモカで、最強少女軍団も揃えるよ。


 問題はここに辿り着くまでの道程、それが大変なんだ。

 日中の由美子は目が離せなくなる、急激な体調の変化が出る。

 それが1週間位続くんだ、だから北斗と北斗のお袋さんのフォローがいる。

 精神的な余裕として、由美子に付いている女性を用意する。

 午前中はヨーコとマキで、交互に行ってもらう。

 午後は立候補してくれたナギサと、カレンにお願いするね。

 そしてヨーコとマキのフォローで、ミサキとハルカが準備して。

 夕方からは、限界カルテットと中1トリオに哲夫がいるから。

 1人1回で済むだろう、夜は全て俺がユリアと状況を見る。

 夜は安全だとヒトミは言ったけど、念の為にユリアに依頼するよ。


 そしてこの準備段階で最も重要な2人、それがカスミとホノカ。

 2人には、由美子に見せて欲しいんだ・・美しさに憧れさせて。

 由美子は凄く興味があるんだよ、可愛くなる事にね。

 その部分は美由紀に近い・・だからホノカとカスミで見せる。

 交互に30分だけ会いに行って、その時は仕事モード全開でね。

 2つの美を見せる、由美子に選択肢を与えたいんだ。

 1つに執着しない、何事にも2つ以上の選択肢を与えたい。

 他の女性には頼めない、仕事モード全開だからね・・2人に頼むよ。

 そして由美子が2人を感じたら、全開モードのリリーを出すよ。

 リリーにはもうOKを貰ったよ、リングが高速回転で二ヤだったよ。

 

 俺が選択肢にこだわるのは、由美子がもしも追い詰められた時。

 精神的に追い詰められた時に、選択肢があれば前に出れるからです。

 ヒトミは自分で望んだ事だったし、9歳でしたから大丈夫でした。

 由美子は5歳ですから、全ての準備をしてやりたい。

 もう少し大きくなってからとか、まだ早いとか・・俺には無い。

 俺は今でも遅いと思ってる、でも準備を完璧にしたいから待ちました。

 俺は今・・明確にイメージしてる事があります、それは春風の囁きです。


 モモカは言いました、由美子と一緒に学校に行くんだと。

 俺はモモカの言葉だけは、無条件に信じる・・春風の囁きだけは。

 小学校なのか、中学・高校・大学・・どれなのか分からないけど。

 由美子は絶対にモモカと同じ学校に行く、自分で歩いて行く。

 そして大切な時代を謳歌する、モモカや友や恋人に囲まれて。

 化粧を覚えて、恋に涙して・・誰かを心から愛して。

 その人との子供を産んで、その子を育てて・・必ず素敵な母になる。

 俺はそのイメージは明確に出来ている、だから何の不安も無いよ。


 俺には最終兵器がある・・カリーとヒトミの強い想いを持っている。

 必ず時の欠片を拾い集めて、由美子に渡す・・そうすれば必ず来る。

 由美子が組み直すのを手伝いに、カリーとヒトミと五平が来る。

 この3人なら手伝える・・悪意に命を奪われた3人なら。

 ヒトミはその訓練をしてる・・俺はそれを、今日気付いたよ。

 ヒトミが伝説の真希さんを連れて来たから、マキへの感謝だと言って。

 ヒトミは真希さんの絵を、沙紀に描いてくれと頼んだ。

 マキが母親と写る写真を持ってないから、沙紀の絵をプレゼントしてと。

 準備してたのは、俺達とモモカだけじゃなかったんだ。

 ヒトミも準備していた・・多分、全てを賭けて準備した。

 だから必ず探し出し、拾い集めようね・・全員で。

 由美子の時の欠片を・・夜街で生きているプライドに賭けて』


私は話しながら、ヒトミの強い意志を感じて嬉しくて泣いていた。


蘭とユリカが両方から抱いてくれた、私は北斗の涙の笑顔を見ていた。


フロアーには、ミホの奏でるピアノの音が響いていた。


ミホは覚醒の時が来ていた、久美子の音が映像を入れ込んだ。


ミホの閉ざす心に、映像という物が蘇っていた・・。

  

  

  

 

 

 

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