資格
その場所は、年齢という資格しか問わない、学歴も家柄も全く関係が無い。
確かに暗い影が常に付きまとう、しかし恐れることはない、自分を偽らねばいいのだ。
いつの時代も新しい感性で、新しい価値観で挑んでくる・・女の世界。
平穏という安心感が、全てを笑顔にしていた、そして何かが動き出していた。
松さんと2人で、マリアの寝息を聞きながら話していた。
マダムがユメとウミとを連れて入ってきた。
「話はなんかね?」マダムが口火を切った。
「マダムお願いです、私達2人フルタイムでやらせて下さい」とウミが言った。
「心境の変化かの?」とマダムが聞いた。
「はい」と2人が答えた、真剣だった。
その時ユリさんと蘭とケイが入ってきた、状況を見て静かに座った。
「言ってみい、なぜ変化したかを、ユメが代表で」とマダムは優しく言った。
後で聞いた話しでは、ウミよりユメの方が表現力が、劣るからだとマダムが言った。
「私達は知っての通り、不良少女上がりです」ユメの目は必死だった、伝えようと。
「確かに今まで流して仕事してました」一呼吸いれて。
「でも昨夜の回転を見てて、四季やカスミを見てて」・・「悔しかった」マダムを見たまま。
「あんな笑顔で笑えない自分が、そして帰ってウミと話しました・・なぜかって?」言葉を必死に探して。
「今までも今も、全力で何かに挑戦してないからって思いました」・・「挑戦したいんです、あの笑顔に」とマダムを見る2人の、目は潤んでいた。
「そして、ケイいえハルカが来るのを感じて」・・「私達はいつもハルカに後ろめたかったんです」皆静かに聞いていた、その想いを。
「その運命と闘う強さを見て、私達のしてきた事を感じて」
「カスミ・四季・ハルカと同じ笑顔で競ってみたいそう思ったんです」とユメは強く言った、マダムは優しく聞いていた。
「条件は2つや」とマダムが2人を見た。
「はい」2人とも、真剣な返事だった。
「一度実家に帰り、母親に今までの事を侘びを入れる事」マダムも真剣だ。
「はい」2人は即答した。
「今、男と暮らしてるなら。同棲は一度やめる事。できるか?」厳しい表情だった。
「はい、やります」意思を伝える言葉だった。
「ユリいいかの?」とマダムが言った。
「もちろん、頑張ってね」とユリさんも優しく言った。
「ありがとうございます」と2人で頭を下げて泣いていた。
「じゃあ、私のヘルプやってもらっていいですか?」と蘭がユリさんに言った、ユメとウミが蘭を見た。
「蘭が、やってくれるの?」とユリさんも驚いて、蘭を見た。
「私でよければね」と蘭が2人を見て、満開で微笑んだ。
「蘭姉さん、がんばります」と2人が頭を下げた、震えていた喜びで。
「よろしく、がんばろうね」と蘭が優しく見ていた。
蘭はそれまで専属ヘルプは取らなかった、初の専属ヘルプを指名したのだ。2人の想いを信じて。
「ハルカ、ユリさんのヘルプ」その言葉に、ケイがハッとして蘭を見た。
「カスミと2人で頼めるかな?」と蘭が聞いた。
「蘭姉さん」とケイは何も言えなかった。
「よろしくね、ハルカ」とユリさんが薔薇で微笑んだ。
「がんばります」と頭を下げたケイは、ハルカになっていた。
「条件の件、お前達がやると信じる」とマダムが笑顔で言い。
「明日からがんばってくれ」と微笑んだ。
「必ず、期待に応えます」と2人は泣いていた。
2人が深々と頭を下げて出て行った。
「蘭姉さん、ありがとうございます」とハルカが頭を下げた。
「お礼は、仕事で見せてね」と蘭は笑顔で言った。
「ハルカなら大丈夫よね、ダ~リン」と満開笑顔で私に振った。
『ハルカ、君が伝説になれば。、命名した俺も、伝説になるから』とハルカを見て。
『たのむ!』と深々と頭を下げた、5人の笑い声が聞こえた。
私のお腹をハルカが押した、私はハルカを見た。
「恥ずかしいから、ロボットに言います」と可愛く微笑んで。
「遥かなる高原に強く優しく咲く一輪の花」私を見て。
「本当に嬉しかった、大切に使います。ありがとう」とケイが微笑んだ。
『ロ・ク・オ・ン・シ・マ・シ・タ』とロボット語で答えた、皆の笑顔を感じながら。
「よし、今夜まで乗り合わせで帰るぞ」そうマダムが言い、私はマリアを抱き上げた。
『俺は明日からボーイさん帰って来るから、何しよう?』とマダムに聞いた。
「お前があそこにおらんと」と私を見て「全体の動きが悪くなるから、今まで通りや」と笑った。
『やはり俺頼りか~』とニヤで言うと。
「そうよ」とユリさんが薔薇で微笑んだ。。
『やめて下さい、ユリさんに言われると、本気で照れます』と言うと薔薇の笑顔で見ていた。
タクシーに乗ると。
「蘭、本当にありがとう」とユリさんが言った。
「ユリさんが私にくれたバトンを、次のランナーに渡しただけです」と蘭は満開で微笑んだ。
「あなたがいてくれて、本当に良かった」ユリさんの、心からの言葉だった。
「それは私の方です、ユリさんに出会えて本当に良かった」蘭も心の言葉で返した。
優しい時間が流れていた。
私はいつものように、マリアを見ていた、大切な天使を。
ユリさんとマリアにさよならすると、蘭が肩に乗ってきた。
「本当に怖かったんだぞ」と囁いた。
『ごめん、夢中で』と囁いて返した。
「でも、本当に嬉しかった」と言って蘭が目を閉じた。
アパートに帰り、蘭が化粧を落としベッドに入った。
疲れてるように見えた。
『今夜は寝なさい、見てるから』と笑顔で言うと。
「ありがとう、どこにも行かないでね」と静かな目で言った。
『俺はどこにも行かないよ、蘭がそれを望まないかぎり』と優しく言った。
「おやすみ」と微笑んで目を閉じた。
私は大好きな時間を楽しんでいた、この自分の心に忠実に生きる、愛する存在を見ていた。
次の日は、蘭がバタバタ出て行く音で目が覚めた、慌てて見送りに出た。
「行ってくるね、ダ~リン」と満開で微笑んだ。
『気をつけるんだよ、ハニ~』と笑顔で答えた。
蘭は手を振って出掛けた、私はケンメリを見送って。
朝食を食べ、食器を洗い掃除機をかけた。
11時には蘭のチャリで出掛けた。
PGに着くと鍵が開いていた、TVルームにマダムと3人娘がいた。
私の顔を見るとミサが駆けてきた、私はミサを抱き上げた。
「チャッピー大好き、花火大会ありがとう」と右の頬にキスをしてくれた。
『どういてしまして』と笑った。
エミが来ないので、おませめと思いながら。
『エミ、こっち』と左の頬をエミにだした。
「もう」と言いながら歩み寄り、笑顔でキスしてくれた。
『お父さん、良かったね』と笑顔で言うと。
「うん」と少女の明るい笑顔になった。
マリアを抱いて。
『マリアもおはよ』と笑顔で言うと。
「おぱいよ」とマリア語で笑った。
『花火大会まであと一週間いい子にしてるように』と言ったら。
「は~い」とエミとミサが手を挙げて、それを見て「あい」とマリアも手を挙げた。
『じゃあ、お仕事してきま~す『』と言って、マダムにお願いして。
フロアーにハルカを探しに行った。
『ハルカ姉さんおはよう』と声をかけた。
「おはよう、まだ慣れないな~」と微笑んだ。
『やっぱり気にいらなかったんだ』と泣き真似をした。
「気にいってるから、泣かないの」と笑った。
『何からやります?』と笑顔で聞くと。
「割り箸入れの印刷出来てるから、それだけ貰ってきて、午前中はそれだけよ」と笑顔で言った。
『了解しました』と言って出掛けた。
割り箸入れを受け取り、帰ろうとして通りにでた。
目の前を重そうなバッグを、両手に抱えたマミが通った。
私は走って追いついて、バッグに手をかけ。
『おはようございます、マミ姉さん』と声をかけた。
「びっくりした~、いいの?」と可愛く微笑んだ。
『一応男ですから』と笑顔で返した。
「ねぇ、お願いもう1回姉さんて言って」と笑った。
『マミ姉さん』と笑顔で言った。
「いいな~響きが」と嬉しそうに笑った。
『ハルカ姉さんと、同じですね』とニヤで言うと。
「ハルカ?」と不思議そうに聞いた、
『ケイ改めハルカです』と笑顔で言った。
「源氏名!ついたんだ~いいな~」と笑顔で言った。
『ハルカどう思います?』と聞いてみた。
「素敵じゃない、ケイのイメージだし」と微笑んだ、私はその言葉を一人で喜んでいた。
「うちの娘にも手をだすのか」と言われ、振向くと大ママが笑顔で立っていた。
『おはようございます大ママ』と頭を下げて。
『どうやって手を繋ごうかと考えていたのに』と笑顔を返した。
「まぁ、昨日の活躍があるから許すよ」と大ママが笑った。
『何もできませんでした』と真顔で言うと。
「ユリの前に立ってユリを守ろうとした事実だけでも、立派なもんさ」と笑った。
「口では色々言う奴は多いが、その時にできる奴は中々いないもんさ。」と私に並び歩きながら。
「それにケイの名前には、私は凄く感動してるんだよ」と微笑んだ。
「源氏名にそんなに想いが入ったものは、珍しいんだよ」と私を見て。
「ハルカは幸せさ」と大ママが微笑んだ。
『ありがとうございます』と言うと。
「チャッピーがつけたの!」とマミが驚いた。
『専用ロボットですから』と照れて笑った。
クラブのビルの前で大ママに荷物を渡し、帰ろうとすると。
「マミをよろしくな」と大ママが言って。
「よろしくお願いします」とマミが頭を下げるので。
『よろしくお願いします、マミ姉さん』と言って頭を下げた。
「素敵な響き」とマミが微笑んだ。
挑戦者達が集まってきた、違う感性と違う価値観で、競える相手がいる喜びを感じて。
後悔も反省も、辛い過去も全てを背負って、資格を問われない競技場に。
伝説の8月が、開始の合図を待っていた。
西橘通りから見える小さな青空に、入道雲が流れていた・・・。