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      【冬物語第二章・・心遊び⑤】 

考える部分と、記憶する部分は違うと言われている。

それならば出来るのだろう、訓練すれば到達できる。

考える事とイメージする事を、別々に出来ると思えてしまう。


竹を割ったようね性格、そう言った表現をよく耳にする。

マキは正にそうだった、いや今でもそうである。


私がマキに出会ったのは、マキが小学校に上がる春だった。

私の4歳の誕生日に、親父が突然私に紹介した、私は可愛いマキを見て一目で気に入った。


「お前の新しい姉さん、マキだから・・遊んでもらえよ」と親父が言ったこの言葉だけは、今でも強く心に残ってる。


私は親父を見もせずに、可愛いマキをずっと見ていたんだろう。

シズカに何かを突っ込まれ、慌てて誤魔化したような記憶が残っている。


その当時の私は、沙織とチサと遊びながら、シズカと恭子に育てられていた。

母の律子は友達に頼まれて、事務のパートに出ていた。

しかしシズカと恭子が小学校に入学する事もあり、仕事を辞めて入学準備をしていた。


私の記憶に残る、最も古いマキに対する記憶は、真夜中の電話の音である。

もちろん当時は携帯電話は無く、夜中に家の電話が鳴ると不吉な予感に襲われた。

私の親父には両親も親戚も無かったが、律子の方には相当数の親戚がいたのだ。


律子の母親、私の祖母も元気に一人暮らしを楽しんでいたし。

律子の兄妹だけでも、その当時で7人が生きていたのだ。

だから夜中の電話には、幼い私でも過度に反応した。

両親の緊張感を感じていたので、部屋を飛び出して電話に走ったのだ。


その夜の電話は、1時過ぎに鳴り響いた。

私は元来目覚めの良い方で、一気に飛び起きて時計を見た。

その当時の私はシズカと布団を並べて2人で寝ていた、シズカは覚醒しきれない顔で私を見た。


「何時なの?」とシズカが私に言った。

『長いのが10、短いのが5だよ』と時計の読めない私はそう返した。

「なぜ・・時計が読めないのに、時計を見るんだ?」とシズカはニヤで返してきて、ハッと驚いた顔をした。


「1時10分!・・ただ事じゃないよ」とシズカは飛び起きて電話に走った。

私も慌ててシズカの後を追った、シズカが電話に飛びついて緊張した声を出した。


「○○です・・・はい・・母を呼んできますね。

 はい・・今度学校に上がります・・・はい・・そうなんですね。

 楽しみにしてますね・・・はい・・・マキちゃんですね。

 分かりました・・・仲良くなりますよ・・・楽しみです」


こんな感じの対応だった、私はシズカの凄さを感じていたと思う。

シズカが話していると、律子が来てシズカから受話器を受け取った。


「真希!・・真希なの・・どうしたの?・・・・・うん・・・うん・・・」


母の真剣な口調を感じて、シズカが私を引っ張って寝床に戻った。


『嬉しそうだね』と私はシズカの笑顔を見ながら言った。


「うん・・新しい友達が来るんだよ、駄菓子屋さんに住むんだって。

 マキちゃんて言うんだって・・何か楽しいのよ。

 絶対に仲良しさんになれると思う・・マキちゃんと」


シズカのこの時の笑顔だけは、私の心のアルバムに残っている。

シズカはマキの母親から、仲良くしてねと頼まれた。

シズカは仲良くなりますと約束した、そしてその約束を守り抜いている。


シズカとマキは姉妹でありながら、1度も喧嘩をしなかった。

遠慮など何も無い2人だったが、私は口論すら聞いたことが無い。

シズカと恭子はよく衝突した、それは恭子の心が自由過ぎて、シズカが抑制していたからだろう。


恭子は限界ファイブ全員と衝突した経験がある、その自由奔放な生き方は見てると怖かった。

しかし恭子の存在こそが、限界ファイブを今でも存続させていると言えるだろう。


恭子のエピソードは無数に存在する、追々出てくるが少し紹介しよう。

恭子は18歳になる頃に、長女を出産する。

豊は最初の子供が女の子だったので、喜びを笑顔で表現した。


「俺は女の事は分からないから、ただ可愛がる・・恭子と小僧で、しつけをよろしく」


豊は産婦人科の病室で、限界ファイブと私の前でこう宣言した、私はその時初めて豊のニヤを見た。

恭子はウルウルで私に抱きついて、私の胸にスリスリを発動した。


『恭子・・マリの真似はやめなしゃい』と私はニヤニヤで恭子に言った。

「小僧様だけが頼りです・・私が育てたら、私みたいになる~」と恭子がウルウル継続で言った。


「違うでしょ、恭子・・あなたとシズカが、誰かを育てたんでしょ・・エースみたいになるよ~」と久美子が二ヤで言った。

「いや~・・それだけは嫌~・・家に寄り付かなくなる~」と恭子は二ヤで返した。


「大丈夫よ、恭子・・シズカはアメリカに行くんだし・・2人が揃わないから」とヨーコが二ヤで言って。

「だいたい小僧に任せて、どんな子供に育てたいの?」とマキが二ヤで言った。


「幼少期がモモカとマリア・・そして成長して、ヒトミ・・次が美由紀で・・最終目標はシオン姉さん」と恭子が長女を見ながら笑顔で言った。


その瞬間に長女が大きな声で泣いた、その見事なタイミングで全員が笑った。


「過度な期待をするなって、泣いてるじゃないか~」と豊が笑顔で長女を抱き上げた。


「そうだよ~・・でも、素敵な子になるよ・・小僧の目を見れば分かるよ」とマキが二ヤで言って。

「なんせ、マリが新生児室を覗きながら、本当に嬉しそうな笑顔だったからね~」とシズカが笑顔で言って。

「それに、4歳上にマリア姉さんが付いてるんでしょ・・期待しちゃうよね~」と久美子が微笑んで。


「それにモモカも黙ってないよ~・・ご近所だから、絶対に姉として存在するよ。

 今のモモカの目標は・・施設のお世話係の、最年少記録を更新する事だからね~」


ヨーコが笑顔で言って、恭子も嬉しそうな笑顔で頷いた。


「良かったな・・楽しんで成長しろよ、俺が側にいるからね」と豊が長女に笑顔で言った。

「それが最も良い影響を与えるね・・豊君が常に側にいるんだから」とシズカが笑顔で言って、限界ファイブ全員が笑顔で頷いた。


出産時の恭子は、PGの裏方の仕事を産休で休んでいた。

しかし出産後3ヶ月で仕事復帰した、首の座ったばかりの娘を連れて出勤したのだ。


マリアが手を離れた時期だったので、この長女の登場はマダムと松さんの大きな喜びになった。

私も当然のように豊の娘を溺愛した、マリアと2人でその子のお世話をしていた。


恭子が出産後退院した時に、豊に寺に招待されてた。

豊と恭子に豊の祖父と恭子の両親、勝也に律子と駄菓子屋のツネ婆さん。

美由紀と沙織に、哲夫がモモカを連れて来ていた。

そしてユリさんとマリアに、ユリカと蘭と私が揃った。


ささやかなお祝いの膳が並び、全員笑顔で食事をしながら、新しい生命の誕生を祝った。

そして食事も済み雑談を始めた頃に、豊が私の側に長女を抱いて来た。

私は豊から可愛い長女を受け取り、笑顔で抱きながら温度のチェックをしていた。

6歳になったモモカと4歳になったマリアが、変わらぬ癒しの笑顔で私の横から長女を見ていた。


「皆さん・・私はここにいる全員に、許可を頂きたいのです」と豊が真顔でそう切り出した。

全員が豊の顔を見た、豊は全員を見回して、最後に私を見た。


「小僧・・俺と恭子は、子供が女の子なら決めていた事があるんだ。

 その許可を小僧に貰いたいんだ、聞いてくれるか?」


豊が真剣な目で私を見ながら言って、正座して私の抱く長女を見た。

私は焦っていた、豊が私に許可を必要とする事など想像も出来なかった。

私は何も言えずに、豊を見ながら頷いた。


「小僧・・お前は絶対に、自分の娘に使うことが出来ないだろう。

 だが俺も恭子も、どうしても娘に命名したい名前があるんだ。

 自分の娘が、あの子のような素敵な女性になって欲しいと願ってる。

 俺にも恭子にも、忘れられない少女の名前を貰いたいんだ。

 その許可は小僧に貰うしかないんだよ、だから真剣に考えてくれ。

 俺と恭子は・・この娘を・・瞳と命名したいんだよ。

 どうだろう・・小僧は嫌じゃないかな、それだけが心配なんだよ」


豊は真剣に言った、私は本当に嬉しかった。


『ふ~~・・緊張させるよな~、嫌な訳ないよ。

 嬉しかったよ・・この子はヒトミだね、良かったね・・ヒトミ。

 俺はまた愛情を持って、ヒトミと呼べる相手に出会えたよ。

 それだけで嬉しいよ・・ヒトミ、俺とモモカとマリアが伝えるね。

 ありがとう、豊兄さん・・ありがとう、恭子』


私は嬉しくてそう言って、ヒトミの笑顔を見ていた。

モモカの春風の微笑と、マリアの天使全開がヒトミを見ていた。

強烈なユリアの波動に、ヒトミの喜びの強い熱が乗って来た。

ヒトミは笑顔を出していた、完璧なる純粋無垢な生後9日目の笑顔だった。


このヒトミこそが、東京物語でも中心的な存在として登場する。

豊と恭子の愛娘のヒトミは、あの2人の天使が手塩にかけて育てるのだ。


家にいる時はモモカが遊びに行き、恭子の子育てをフォローした。

PGに居る時はマリアが執着していた、2人はヒトミに全伝達で伝えていた。

豊の娘のヒトミは、やはり2人と同種族だった。

その同種族の娘が、モモカとマリアの愛を受けて成長した。


1つだけその成長した姿を示す、エピソードを紹介しよう。

ヒトミの1歳の誕生日に、美由紀が直筆の姉妹認定書をプレゼントで贈った。

美由紀は最強ニヤニヤでそれをヒトミの枕元に置いた、その入会書にはこう書かれていた。


【魔女っ子姉妹認定書】


豊は大爆笑して、恭子はニヤで却下して、当然美由紀はウルウルを出した。

当時の美由紀はモモカを口説き、マリアをしつこく魔女っ子姉妹に誘っていた。

モモカもマリアも、マリが長女になるなら入ると、二ヤで美由紀に言った。

美由紀はウルウルで頷いてマリを見た、マリは最強二ヤで却下したのだ。


モモカとマリアとヒトミ、この3人は強い絆で結ばれた姉妹になる。

そしてこの3姉妹の心の母親こそが、透明の女神・・ユリカなのだ。

ヒトミは3歳でユリカと別れたが、今でも強く記憶に残している。

それ程の大きな愛情と、強い想いをユリカは伝えていたのだろう。


今の3姉妹を見ると、私はユリカを重ねてしまう。

リアンも蘭もそうであろう、透明な3姉妹を見る度に重ねているのだろう。


話を戻そう、大切な場所と時間に。


マキは笑顔に戻り、沙紀をもう一度抱きしめた。

女性達全員が絵を囲んで、下書きの絵を笑顔で見ていた。


「さぁ・・沙紀ちゃんの邪魔をしてはいけません、完成を楽しみに待っていましょう」とユリさんが薔薇の微笑で言った。

女性達が全員笑顔で頷いて、絨毯に戻り大きな円を描いて座った。


「それでは始めます、限定解除1行流し・・下ネタ封印、天然返し有りでいきます」と沙織が笑顔で言って。

「シズカ先輩・・このゲームのゴールは、何が良いと思いますか?」と沙織が笑顔で聞いた。


「そうだね~・・この人数なら、3周完走で良いんじゃないかな。

 2周目から緊張感を感じて、3周目には相当のプレッシャーがかかるから。

 そうなると守りに入って、逆にミスを犯しやすいし。

 楽しみが倍増するよ・・3周完走でやろう、面白いよ~」


シズカは二ヤで言った、沙織も二ヤで頷いた。


「それでは、3周完走を目指して始めます・・いきますね」と沙織が笑顔で言った。

女性達がワクワク笑顔で頷いた、沙織はそれを確認して口火を切った。


沙織・・・雪の積もる銀世界に憧れるな~。

秀美・・・だめよ入ったら、18歳からだよ~。《当時のパチンコ店、銀世界》

美由紀・・チューリップと言えばオランダだね。《パチンコ=チューリップ》

ヨーコ・・風車のある景色って、素敵だな~。《オランダ=風車》

マキ・・・弥七やしちは投げるの上手いな~。《風車=風車の弥七・水戸黄門》

恭子・・・うっかりしすぎだよ、八兵衛。《水戸黄門》

シズカ・・印籠って怖いんだね~。《 〃 》

ユリカ・・だから最初から出せば良いのに~。

リアン・・誰かが不幸になるまで出さないんだね。

千鶴・・・出し惜しみするんだよね~。

ミコト・・出し過ぎると減るんだろうね~。

蘭・・・・出し過ぎると、薄まるのね。

ナギサ・・だから妊娠しないんだ~。


「異議あり!」とシズカが二ヤで手を上げた、女性達が全員二ヤでナギサを見た。

「シズカ先輩、どうぞ」と沙織が二ヤで指名した。


「今の発言・・サクラさんに、下ネタ判定願います」とシズカが二ヤで言った、ナギサはウルウルを出していた。

「アウトですね・・エミがいるのに、早過ぎます・・下ネタですね」とサクラさんが二ヤで言った。

ナギサは最強華やかウルウルで返した、それを見て爆笑が起こった。


「誘導です~・・完全な誘導です~」とナギサが美由紀を真似て言った。

「何の誘導なんだい?・・ナギサの心が、それに囚われてるだけだろ~」とミコトが余裕二ヤで言って。

「そうだよ~・・これ以上膨らまないように、ここで話を止めるけど・・反省しなさい」とユリカが爽やか二ヤで言った。

「すいませ~ん・・反省してます・・ごめんね、エミ」とナギサがウルで言った。


「大丈夫です・・精子の事でしょ、下ネタなんだ~」とエミが笑顔で返した。

この言葉で女性達が驚いてエミを見た、エミはその視線に驚いてた。


『エミ、精子は下ネタじゃないよね・・ただ、ナギサの表現が下ネタだったんだよ』と私が沈黙に対して助け舟を出した。

「そうなんだ~・・さすがナギサちゃん、憧れの自由人だな~」とエミが少女の笑顔で言った。


「嬉しい~・・憧れだって・・エミのよ、エミの憧れなんだよ」とナギサが蘭に華やか笑顔で言った。

「失望させないように、がんばれ・・少し戻して再開しなさい」と蘭が満開二ヤで返した、ナギサは華やか笑顔で頷いた。

女性達に緊張感が戻り、ナギサの言葉を待った、そしてナギサが強く言葉にする。


ナギサ・・薄いカルピスは不味いな~。


「ちょっと待って・・ナギサの言葉だから、下ネタに聞こえた」と次の北斗がウルでナギサを見て。

「下ネタに聞こえた人~」と北斗が右手を上げた。


エミと中1トリオ以外の女性達がニヤニヤで全員手を上げて、ナギサは再びウルウルに戻った。


「多数決で、やり直しとします・・意味は追求しません」と沙織がウルで言って。

「追求すれば良いのに~」と美由紀が二ヤで言って。

「何?・・何?・・美由紀は意味が分かったの?」と秀美が慌てて美由紀に返した。


「やっぱり追求はやめましょう・・君達には早過ぎるよ」と美由紀がニヤニヤで返して。

「美由紀は耳だけ成長してるんだよ・・オマセに関わらないで、再開しましょう」とシズカが二ヤで言って、美由紀はウルを出した。

「そうですね・・では、ナギサ姉さん・・もう一度お願いします」と沙織が笑顔で言った。


ナギサはウルで頷いて、安全な場所まで戻した。


ナギサ・・歩いて旅をするのか~、大変だな~。《水戸黄門》

北斗・・・やっぱり船旅に憧れるな~。

飛鳥・・・ハネムーンは船旅が良いな~。

ミチル・・どこまでも続く水平線、素敵だな~。

ユリ・・・海から陽が昇って、海に沈むんですね~。

サクラ・・夜の海でイルカちゃんに会いたいな~。

エミ・・・マンタちゃんにも会いたいな~。

カスミ・・ジンベイもいるんだろうな~。

ホノカ・・刺繍入りは危険だよ、危ない人みたい。《着衣の甚平》

リョウ・・よろしくって、漢字で書くなよ~。《刺繍》

リリー・・夜の露が死んで苦しいの?《よろしくの漢字表記=夜露死苦》

ネネ・・・間違った使い方だね、恥ずかしくないの?

小夜子・・ご意見無用って、閉ざしてるのね。

美冬・・・ブンブンうるさいよ、暇なら飲みに出なさい。《刺繍=暴走族》

マユ・・・大勢で来ないの、一人じゃ何も出来ないのね。《暴走族》

千春・・・音が大きいほうが良いの?《 〃 》

千秋・・・何でも大きい方が良いとは限らないよ~。

千夏・・・でも小さすぎても困るよね~。

ユメ・・・そんな事気にしてたの、そうなんだ~。

ウミ・・・大丈夫だよ、大きさじゃないよ~。

シオン・・シオンは好きだよ、このサイズ。

カレン・・誰とも比べてないよ、失礼ね。

セリカ・・あんたもどうせ、誰かと比べてるんだろ。

レン・・・昔の女を忘れられないの、引きずってるんだね。

ケイコ・・女々しい奴だな~、次に行きなよ~。

ハルカ・・私は誰の代わりなの?そんなんじゃ嫌。

ミサキ・・あんたは一途だって言うけど、PGでは誰を指名してるの?

アンナ・・派遣になって、自分の使命を感じたのよ。《指名=使命》

アイコ・・覇権争いをしてるんだね。《派遣=覇権》

幻海A・・狭い世界で争うのは、みっともないよ~。

幻海B・・上には上がいるんだね、井の中の蛙だったよ。

幻海C・・おたまじゃくしだったの、凄いね~。

シノブ・・脱皮したの、変身しすぎだよ~。

マリ・・・大人になったんだね、皮が剥けたね。

久美子・・・・・下ネタでしょ・・違うの?


久美子はウルウルでマリに言った。


「何言ってるんですか、久美子姉さん・・一皮剥けたねって事ですよ」とマリが二ヤで返した。

「あっ!・・ごめんなさい」と久美子がウルウルで頭を下げた。


久美子のウルウルが可愛くて、全員が爆笑していた。


「しかし、久美子も耳どしまだね~・・今のをそう取るんだから~」とカスミが二ヤで言って。

「下ネタ番長に言われました~・・どうしよう」と久美子がウル継続で返して、爆笑も継続させた。


「しかし面白いし、女性達には良い訓練になるね~」と大ママが笑顔で言って。

「緩やかな会話の流れ、自分の望む方向に向けようとする・・確かに良い訓練ですね」とミチルが妖艶笑顔で言った。

「ただ3周達成は難しいでしょう、ここは達人の解説を聞きましょう」とユリさんが私に薔薇で微笑んだ。


女性達の笑顔の視線が私に集まったので、私はニヤで応戦した。


『1行流しは沙織も言ったように、流れだけ感じとかないと難しい。

 想定なんてしたら、直前での大きなチェンジに対応出来ないよね。

 でもそれは第1段階なんだよ、第2段階は設定を入れるんだよ。

 今の1周でも、ユリカから蘭までは第2段階以上だったね。

 さすがミコトと千鶴だったよ、初めてなのに対応できた。


 ユリカから蘭までの5人は、完全にナギサ狙いだったね。

 ユリカの・・最初から出せば良いのに~。

 この言葉で後の4人は瞬時に設定した、【出す】で下ネタたに誘う罠を。

 それをリアンが【出さない】で流して、本流を作り出したね。

 それを受けて千鶴が【出し惜しみ】に変換して、多くの選択肢を与えた。

 それを受けたミコトは、【出しすぎると、減る】を選択したよね。

 これで蘭は自分の想定の中で、【出して減る】という罠を完成させた。

 それが【出しすぎると、薄まる】だったね、見事なコンビネーションだった。


 ナギサは心に従う素敵な自由人だから・・感じた言葉を口に出す。

 それが下ネタと分かっていても、止める事は出来ないんだ。

 ナギサは絶対に心に逆らえない、これは素敵な事だよね。

 普段の蘭もそうなんだけど、蘭とナギサは最初の設定が違う。


 ナギサ・・蘭は仕事モードでやってるんだよ、だから出来るんだよ。

 お客との会話としてやってる、だから心以外の言葉が出せるんだ。

 ユリカもリアンも、多分ミコトも千鶴もそうだろう。

 5人は流れを瞬時に作り出した、それが自分達のレベルの確認だったね。

 阿吽の呼吸を試したんだ、それが出来たから次の段階に試すよ。

 5人の第3段階・・楽しみだね~、ナギサもモードチェンジしないとね。


 ナギサ・・お客との会話が、危ない方向に移行しそうだと思うんだよ。

 だから自分の目指す会話に誘う、その為に沢山の布石を打つだろ。

 そう考える・・前の5人が布石を打ってくる、だから私はこう振る。

 そんな感じの設定を入れる、流れを感じながらも設定は入れる。

 要は・・設定する部分と、流れを感じる部分を別にすれば良いんだよ。

 ナギサは出来るさ、最初の設定を変えればね・・若手に教えてやれよ。

 流れを生み出す方法を、6人で見せてあげなよ。


 次に北斗からサクラさんまでの流れ、初めてだし様子見だったね。

 それにエミが近いから、優しい流れを意識して作ったよね。

 エミは席替えをするよ・・そうしないと面白くないから。

 高みにいる言葉の達人達の技を、見せてもらおうね。


 その次がカスミのジンベイザメを受けた、ホノカの天然返し。

 着衣の甚平への変換、それに刺繍という表現を加えた。

 選択肢は広げたけど、迷いも与えたね・・お見事でした。

 そしてリョウは刺繍の方を選択した、それで流れが出来たね。

 次のリリーが【よろしく】で、ネネに二ヤ振りして。

 ネネは恥ずかしくないのって、自虐的な変換で流した。

 これで本流は出来たよね、少しの間はこの流れで行くと思えた。


 でも小夜子は惑わせた、凄いタイミングだったよね。

 本流が出来たと感じた瞬間に、流れのまま1つ前に戻した。

 【ご意見無用】の返しで、1つ前の暴走族のイメージに戻した。

 次の美冬は言葉より内容を選択して、暴走族のイメージで繋いだ。

 こうなると面白いんだよ、本流は無いからね。

 どこでチェンジがあるか、その想定は出来ないよね。


 次のマユは同じ流れで、内容で流した。

 そして鋭いパスを出す、さすがに頭脳明晰な千春だったね。

 【大きい方が良いの?】この言葉は、誰でも感じる危険な香りがする。

 禁句の匂いがプンプンするよね、千春はニヤニヤだったよ。


 ここから四季の、見事なコンビネーションが炸裂したね。

 内容を大切に温めて、イメージを増幅させた。

 千秋の【大きい事が、良い事とは限らない】で煽って。

 千夏の【小さ過ぎても困る】で、その後のイメージを増幅させた。


 それを感じながら、ユメも流れに乗って・・煽ったね。

 このユメの煽りが見事だったよ、イメージを確立させたよね。

 【そんな事、気にしてたの】ユメはこの言葉でリアル感を入れた。

 完璧な会話モードに移行させた、これは高度な技なんだ。

 会話モードに入ると、チェンジは中々狙って出来ないんだよ。

 会話的な言葉は、素直に耳から入って来るからね。


 そして次はウミだから、ユメの流れを完成させた。

 【大丈夫だよ~、大きさじゃないよ】これで完璧な会話になった。

 ツインズと呼ばれる2人、見せ付けたね・・そのコンビネーション。

 四季からの流れを、増幅させ完成させた。


 そう千春からウミまでの、このコンビネーションは狙った。

 素直なシオンの、純白の心を狙い撃ちしてたね。

 俺でもワクワクしたよ、シオンがどう流すのか。

 そしてシオンは又もや、俺の予想を遥かに超えてきた。


 【シオンは好きだよ、このサイズ】・・破壊したよね。

 この言葉は、シオンのイメージを破壊した言葉だった。

 シオンは分かってるんだよ、自分の最大の武器を。

 だからこそ、この1行流しのゲームで炸裂する。

 シオンはイメージを操った、自分で自分を壊す事でね。

 それが自分の最大の武器だと知ってるから、それを繰り出したんだ。

 まさかシオンが、より危ない方向に振るなんて、誰も想像してなかった。


 カレンは良く対応したよ、絶対に驚いたはずだから。

 カレンは分かってたよね、この流れはシオンを狙ってるって。

 でも対応も考えてた、シオンがクリアーしたらそのまま流そう。

 そう思って、自分の設定を作ってた・・だからこの言葉が出せた。

 【誰とも比べてないよ、失礼ね】・・これで会話の流れを継続させた。

 それもシオンが舵を切った、危ない方向を確定させた。


 そしてセリカ、セリカは二ヤで受けたよね。

 大好きなジャンルと流れだし、セリカの後は経験の浅い若手になる。

 【あんたも、誰かと比べてるんでしょ】・・これで完成だね。

 イメージを完成させた、若いカップルの痴話喧嘩というシーンをね。


 次がレン、レンは経験不足を自覚してる、自分を客観的に分析してる。

 それがレンの凄さなんだよね、だから経験不足を補う方向に流した。

 【昔の女を忘れられないの?引きずってるんだね】この言葉で増やしたね。

 新たなる登場人物を増やした、男の方の女友達が登場した。

 これは絶対に男の方の女友達だよね、相談相手のようなポジション。

 これならレンでも対応できる、だから女友達を設定していた。

 男との痴話喧嘩には自信が無かった、だから自分の流れを作ったね。


 それを受けて、ケイコが増幅させるんだ・・女友達の存在を。

 【女々しい奴だな~、次に行きなよ~】・・完璧に現れたね。

 男の方の相談相手、その女友達の台詞だよね。

 これで登場人物は、3人確定された・・狙い通りの展開になった。

 なんせ次は、恋愛の経験不足象徴・・ハルカとミサキだからね。

 ここで女性達は、ワクワク・ニヤニヤだったよね。


 そしてハルカは選択する、それも大きく惑わす言葉で。

 【私は誰かの代わりなの、そんなんじゃ嫌】・・意識的なら見事だよ。

 この台詞はどっちか分からない、恋愛相手なのか相談相手なのか。

 女の台詞であるというだけで、相談相手の言葉とも取れるよね。

 ミサキが相談相手で自分の言葉を想定してるなら、この言葉は困惑してしまう。

 そうだったの!・・そんな感情を持った、相談相手なの。

 こうなるからね・・ハルカ・・意識的だったと信じてるよ。


 ミサキは一瞬間があった、多分ハルカの作戦にやられたんだね。

 だから困って作り出したのが、リアルな世界で想定をした。

 客との会話に移行したんだね、早かったよ・・さすがミサキだね。

 【一途って言うけど、PGでは誰を指名してるの?】この言葉で終わった。

 それまでの流れが変わったね、【大きい】で始まった危険な流れが。


 それを受けて、流れながらの模索が始まるんだ。

 チェンジにチェンジを重ねて行く、次の危険な流れが出来るまで。

 ミサキの言葉を受けたアンナは、【指名】の天然返しで流し。

 それを受けたアイコは、アンナの言葉の【派遣】を天然で流す。

 そして幻海の4人が探し出す、危ないキーワード・・おたまじゃくし。


 シノブはその危険を孕むイメージを、一瞬で巨大に膨らます。

 【脱皮したの】・・この言葉の選択で、敗者が確定した。

 久美子はこの段階で負けていたんだ、【おたまじゃくし】と【脱皮】

 この2つのキーワードが、久美子の中に危ない言葉として入った。


 そして狙われる・・シノブと久美子の間に、いたんだよね~。

 想定の達人が待っていたんだ、マリは久美子の心の入力を想定していた。

 そしてシノブのキーワード、【脱皮】と【変身】で罠を作り出した。

 久美子は何かを設定してただろう、これとこれなんて・・2つ位。

 そうしないと支配されそうだった、心に残る危ないキーワードに。


 その久美子の状況こそが、マリの標的になるんだ。

 マリは久美子の心を誘導した、久美子は流そうと必死だった。

 だから普通の流れなら、何とか流して繋げただろうね。

 だけどマリはそこを狙う、久美子の必死さを狙ったんだよ。


 【大人になったんだね、皮が剥けたね】


 怖いよね・・俺は冷や汗が背中を流れたよ。

 この言葉は完璧な誘導だった、絶対に止めてはいけない言葉なんだ。

 マリが久美子に言ったように、【一皮剥けたね】という表現があるから。

 それも良い意味として、日常的に存在する言葉だからね。

 絶対に下ネタと言えないんだよ、だから流さないといけない。


 通常の久美子なら流しただろうね、でも久美子は支配されていた。

 心に残る危険なキーワードを意識していた、だからマリの言葉で二ヤを出した。

 マリの言葉が下ネタにしか聞こえなかった、マリもそうだと決め付けたんだ。

 マリが引っかかったと思った、でも誰も異議を唱えないからウルで聞いた。

 久美子は自信なさげに聞いたけど、内心は自信が有ったんだよね。

 でないと久美子の性格なら、確かめたりせず・・負けを認めるよね。


 マリは確かに、言葉が出だしたばかりだけど・・元々言葉は持っていた。

 そして何よりも、想定の達人なんだよ・・別の場所で出来るんだ。

 イメージ作りと、想定と設定・・この3つを別々の場所で出来る。

 これこそが第6段階・・匠レベルだよ・・挑戦する価値が有るよ。

 仕事を抜きにしても、人生のプラスになるレベルだと思うよ』


私はマリを見ている、女性達の表情を楽しみながら、笑顔で言った。


マリは久美子に二ヤを出していた、久美子はウルだったが嬉しそうだった。


ミホがマリと久美子を見ていた、ミホにとっての憧れである2人を。


楽しく大切な時が過ぎていた、女性達の笑顔を道標にして・・。

 



 

 

 



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