【冬物語第二章・・未来の記憶⑬】
渡り鳥が旅立つのは、時間なのだろうか、それとも気温なのだろうか。
その受け継がれた行動の歴史のスイッチは、何が押すのだろうか。
私はラーメンも食べ終わり、歯を磨いてジャージに着替えた。
女性達の二ヤ顔に二ヤで対抗して、ベッドルームに入った。
ダブルベッドで身を寄せ合う美由紀と沙紀を見て、私は自然に笑顔になった。
美由紀の横の窓際のベッドに腰掛けて、大淀川の流れを見ていた。
「何見てるのかな~?」と覚醒しきれない声で、美由紀が私の背中に声をかけた。
『ごめん、起こした』と振り向いて美由紀に笑顔で囁いた。
美由紀は二ヤ顔で、うつ伏せの体を引きずるように私の側に来た。
「寒いだろ~・・真中に入って良し」と美由紀が二ヤで囁いた。
『ラッキー』と笑顔で言って沙紀を起こさないように注意しながら、2人の間に入った。
美由紀の温もりが残っていて、軽い羽毛布団が包んでくれた。
「良い匂いがするよね~・・それにこんな軽い布団、初めてだよ~」と美由紀が私に近づきながら笑顔で言った。
私は沙紀の寝息と鼓動と温度を確認して、美由紀の方に体を向けた。
『マジ軽いよね~・・高級なんだろうね』と間近の美由紀に二ヤで言った。
「それで・・何してたの?」と美由紀が笑顔で囁いた。
『作戦会議・・深海の』と二ヤで囁いて返した。
「特殊事項は何かあるの?」と美由紀が興味津々光線を出した。
『気味の悪い小型軟体生物が、大量に抱き付き攻撃をしてくるらしいよ』と二ヤ継続で囁いた。
「あら~・・それは危険だね、蘭姉さんとシオン姉さん・・ピ~ンチ」と美由紀が楽しそうに小声で言った。
『そうだよね~・・美由紀、今回シズカが中央指令部長で潜水艦に残る。
アンナのフォローでシズカ、シズカのフォローで秀美を残す。
奴は人質を取るみたいなんだ、もし秀美が人質になったら、美由紀に頼みたい。
最前線に出れないけど、そうしてね・・いよいよシズカのフォローが出来るよ。
俺はシズカに、犠牲を覚悟して作戦を練れって言ったから。
美由紀から秀美に伝えといて、そして美由紀もそう思っといてね』
私は美由紀に腕枕して、少し引き寄せて耳元に囁いた。
「了解・・その時はやってみるよ、秀美も出来るよ・・秀美は、知的には私より上だよ」と美由紀も私を見上げて笑顔で言った。
優しい波動が来て、美由紀は嬉しそうな笑顔になった。
「眠るまではこうしててね、その後は沙紀を腕枕してあげて・・おやすみ」と美由紀が囁いた。
『了解・・美由紀、ゆっくりお休み』と優しく囁いた。
美由紀は瞳を閉じて、すぐに眠りに落ちたようだった。
私は美由紀の寝顔を見ながら、大阪のホテルを思い出していた。
私にとっても大切な思い出だと感じながら、美由紀の温度を感じていた。
美由紀が深い眠りに入って寝返りをうったので、腕を抜いて沙紀の方に体を向けた。
そして優しく沙紀の首に腕を回すと、沙紀が私の方に身を寄せてきた。
私は嬉しくて沙紀の寝顔を確認して、沙紀の温度を確認しながら目を閉じた。
私は管制室に入っていた、マリの話で空母の改良がしたかったのだ。
私は管制室のモニターに、空母の骨組みの映像を出して、内部の設定を変更していた。
沙紀の穏やかな温度を感じながら、夢中でしていた。
私は思い立って、二ヤで管制室から倉庫に入り、用意していたフルチューンのCB750に跨った。
『無免許でOK・・ナナハンだよ、豊を超えた~』と二ヤで言って、倉庫の自動ドアを開けた。
《良いな~》と言うような、ユリアの強い波動が来た。
『ユリカは眠ったんだね・・ユリア、遊びにおいでよ』と言葉に出して言ってみた。
《分からないの》と言うウルの波動が来た。
『マリの同調は、ユリカが眠ってるとユリアの波動が読めるよ・・ユリア、姿の出し方が分からないの?』と聞いてみた。
《そうなの、今ヒトミちゃんが側にいないから・・教えてもらえないの》と言う強い波動が返ってきた。
『そっか~・・それは俺にも分からないな~』と言って考えていた。
その時、私の皮パンツを誰かが引っ張った、私は驚いてそこを見た。
沙紀が笑顔で可愛い赤いツナギを着て、私を見ていた。
『沙紀・・ごめん、起こしちゃった?』と笑顔で言った、ユリアの波動も嬉しそうだった。
「大丈夫・・沙紀、いつもはお昼寝しないから・・今日お昼寝したから、もう眠くないよ」と沙紀が可愛い声で言った。
『そっか~・・少し遊ぼうか』とバイクを降りて笑顔で言った。
「その前に、ユリアちゃんでしょ・・小僧ちゃん位の、大きな紙を出して」と沙紀が笑顔で言った。
《沙紀ちゃん!・・出来るの?》と言う、喜びの強烈な波動が来た。
「うん・・ヒトミちゃんの13歳の体、私が描いたんだよ・・その時、変身するの見てたから」と沙紀が笑顔で言った。
《嬉しい~》と言う、爆発的なユリアの波動が返ってきた。
私も嬉しくて笑顔で沙紀を抱き上げて、沙紀を連れて会議室に入った。
ワクワクの強い波動に押されながら、沙紀も笑顔で楽しそうだった。
私は丸テーブルの上に沙紀を乗せて、大きな長方形の紙を沙紀の前に広げた。
沙紀はその紙を見ていた、集中した良い表情だった。
『沙紀・・描く道具は何が良いの?』と笑顔で聞いてみた。
「Gペンが良いの・・漫画を描くときのペンだよ」と沙紀が笑顔で返してきた。
『良かった~・・それなら知ってるよ、美由紀が持ってるから・・それならインクだね?』と笑顔で返した。
「うん・・それと水彩絵の具セット」と沙紀が笑顔で返してきた、私も笑顔で頷いた。
私は慎重にGペンの記憶を辿り、イメージを入れて引き出しを開けた。
ペンとインク瓶を持って、沙紀に笑顔で渡した。
『これで良いの?』と私は自信の無いウルで言った。
「合格です、さすが美由紀ちゃん・・これが1番早く描けるの」と沙紀が笑顔で受け取った。
『良かった~・・焦ったよ』とウルで返した。
沙紀がケラケラと笑い、ユリアも楽しそうに笑っていた。
「ユリアちゃん、最初の洋服はどんなのが良いかな~?」と沙紀が前を見て言った。
《あの赤いセラー服が良いよ、お気に入りだよ》と沙紀が見てる方向から波動が返ってきた。
「は~い・・私もお気に入りです」と沙紀が笑顔で返して、ペン先にインクに付けた。
沙紀は輪郭から迷い無く描いた、そして首の線を描いた。
眉を描き、瞳を丁寧に描いた、そして鼻を描いて唇を描いた。
私はそのスピードに驚いていた、沙紀の本気で描く姿を初めて見ている事に気付いていた。
沙紀は陰影を全く付けづに、平面的な絵を描いていた。
ユリアの嬉しそうな波動が、沙紀に向かって波のように押し寄せていた。
私は水彩絵の具を用意して、水を洗面所で汲んで会議室に戻った。
沙紀は可愛い靴を描いていた、ユリアは可愛いセーラー服を着ていた。
「ユリアちゃん、髪型は誰が良いの?」と沙紀が前を見て笑顔で言った。
《あのね~・・リリーちゃん》とユリアが返した。
「可愛いよね~、リリーちゃん・・私も好きだよ、リリーちゃんの髪型」と沙紀も嬉しそうな笑顔で返した。
《うん・・アイドルみたいだよね、ユリカもあんな感じにすれば良いのにな~》とユリアの波動が返ってきた。
『それは見たいな、アイドルユリカ』と私は絵を見ながら、二ヤで呟いた。
《悪い二ヤだ~》とユリアが返してきた。
『内緒にしてね、ユリア』と沙紀の前にいるであろう、ユリアの方向を見て言った。
《まだまだだね~・・視線がずれてる》とユリアが楽しそうに返してきた、私はウルで返した。
沙紀は髪の生え際からウェーブをかけて、リリーの流れるような髪型を描いた。
そして絵を確認して、Gペンを置いた。
見事な等身大のユリアの絵だった、平面的な絵だったが生命力が有った。
沙紀は絵の具で肌色を作り額を少し塗って、唇に紅を引くようにピンクを塗った。
そしてセーラー服の襟だけを赤く塗って、靴を光沢の有る感じの赤で塗った。
「うん・・良い感じ」と沙紀が笑顔で言った。
《ありがとう、沙紀ちゃん・・それだけでも、嬉しいよ~》とユリアが強い波動で言った。
『沙紀・・色はこれだけで良いの?』と私は笑顔で聞いた。
「うん・・大丈夫なの、ユリアちゃんが見れば良いんだよ」と沙紀が笑顔で返してきた。
私は沙紀を抱き上げてテーブルから降ろした、ユリアのワクワク波動が連続していた。
「ユリアちゃん、あのプールに行こう」と沙紀がプールを指差して言った。
《は~い》とユリアが強い波動で返してきた。
私は沙紀に絵を広げたまま持ってと言われて、笑顔で絵を持ってプールに向かった。
プールサイドで、沙紀がプールの水を見ていた。
「大丈夫だと思う、1つだけ問題があるの。
ユリアちゃんを支える、女の人がいるの・・小僧ちゃんじゃ駄目なの。
私は泳げないし・・小僧ちゃん、誰か呼べないかな~」
沙紀が真顔で私に言った、私は現実の右手に美由紀が触れてないか確認した。
美由紀の体は触れてなかった、私は困って考えていた。
この場合はユリカしかいないのだが、今はユリカを呼びたくなかったのだ。
その時プールから水の音がして、マリが二ヤで水面に顔を出した。
「素敵~・・さすがマリちゃん」と沙紀が飛び上がって喜んだ。
「3人で楽しそうな事して~・・ユリカ姉さんを呼びたくないって、小僧は悪い男だね~」とマリが笑顔で言った。
《ありがとう、マリちゃん》とユリアが強烈な波動で伝えた。
「ユリア・・ここにおいで」とマリが笑顔で水面に抱き上げるように両手を広げた。
《は~い》とユリアが強く返した。
「小僧ちゃん・・その絵を浮かべて」と沙紀が私に笑顔で言った。
『了解』と笑顔で返して、慎重に水面に浮かべた。
ユリアの絵はゆっくりとマリに近付いて行った、私はワクワクでそれを見ていた。
マリはユリアの絵と平行になるように、体の向きを合わせた。
「ユリア・・少しだけ潜ってね、絵を見とくんだよ・・近付いて来るのを」とマリが優しく言った。
《はい・・大丈夫です》とユリアが強く返した。
マリは両手を少し沈めて、絵の下に入れた。
マリは絵を見ていた、私は緊張してそれを見ていた。
マリは絵を見ながら笑顔になって、両腕をゆっくりと上げた。
ユリアの絵の鼻の部分から浮き出てきた、ゆっくりと水面に立体的に浮き出てきたのだ。
私は息を飲んで、その幻想的な光景を見ていた。
ユリアの顔が浮き上がり、体も立体的に浮き上がった。
マリはまるで、ユリアのマネキンを抱いてるようになった。
「ユリア・・動いてごらん、生命力が入るから」とマリが静かに言った。
「うん・・嬉しいです」とユリアの可愛い声が響いた。
その声に誰よりも、ユリア自身が驚いたようだった。
ユリアが驚いた瞬間に、顔に生命が宿るように美しい肌が現れた。
唇に艶のある色が入り、その唇が動いて声を出した。
「うれし~、嬉しいよ~・・マリちゃん、沙紀ちゃん、ありがと~」とユリアが叫んで、マリにしがみ付いた。
マリは強くユリアを抱きしめていた、私は凍結して見ていた。
無機質な物が、有機質に変化していく過程を見ていた。
それは生命の誕生のようで、神秘的な光景だった。
ユリアの大きな瞳から、止め処なく大粒の涙が溢れていた。
マリは優しい笑顔でユリアを見ていた、ユリアは完璧な姿で抱かれていた。
マリがゆっくりと立ち泳ぎで、私と沙紀の方に向かって来た。
沙紀は嬉しそうな笑顔で、マリとユリアを見ていた、私は沙紀の凄さを再確認していた。
《沙紀なら探し出す、絶対に由美子の鍵を》と嬉しくて、思わず心に強く叫んでしまった。
《しまった~》と又も強く叫んでいた。
強烈なユリカの波動が、何?何?と言ってきた。
マリに抱かれるユリアが、私にユリア不敵を出していた。
マリも二ヤで私を見ながら、ユリアをプールサイドに立たせた。
ユリアは喜びの笑顔を出して、沙紀を抱きしめた。
《ごめんね、ユリカ・・何でもないよ》と必死に誤魔化した、次の瞬間。
「ユリアちゃん、可愛い~」と沙紀の声が響いた。
恐ろしい程の強烈なユリカの波動が吹き抜けて、静かになった。
私はウルウルでマリを見て、ユリアに抱かれる沙紀を見て笑顔に戻った。
ユリアは小学校高学年位の身長で、顔が小さく本当に可愛かった。
私はユリカのその頃のイメージを、ユリアを見た瞬間に重ねていた。
「ありがとう、エース・・嬉しかったよ」とユリアが私の前に立って微笑んだ。
『可愛いよ、ユリア・・おめでとう』と笑顔で返して、ユリアを優しく抱きしめた。
私は嬉しくて泣きそうだった、その感動を叫びが遮った。
「ユリアーー!」とユリカがプールの入口で叫んで、その場に蹲り号泣した。
ユリアもそれを見て、泣きながら走り出した、私はその背中を見て泣いていた。
マリも沙紀も嬉しくて泣いていた、プールから上がったマリの背中が震えていた。
「ユリカ・・ユリカ・・ユリカ」と叫びながら、ユリアは必死に走っていた。
ユリカは顔を上げて、その姿を見ながら両手を広げた。
ユリアはユリカに飛び込んで、2人の美しい姉妹は強く抱き合っていた。
私は沙紀を抱き上げて、マリを誘って倉庫に歩いた。
『沙紀・・ありがとう、本当に素敵だったよ』と私は沙紀に笑顔で言った。
「私からも、ありがとう・・沙紀」とマリが嬉しそうな笑顔で沙紀の手を握った。
「マリちゃん、あの時みたいに・・バイクに乗って、私を後ろに乗せて」と沙紀がマリに笑顔で言った。
「もちろん、良いよ・・しっかりつかまってろよ」とマリが嬉しそうな笑顔で返した。
マリはCB750に跨り、私が沙紀をマリの後ろに乗せた。
そして倉庫の自動ドアを開けた、眼下には空母の滑走路に続くアプローチが見えていた。
「沙紀・・空母に乗ろうか」とマリが振り向いて沙紀に言った。
「うん、楽しみ~・・大丈夫だよ、離さないから」と沙紀は笑顔で返した。
マリは笑顔で頷いて前を見た、そしてセルモータースイッチを押してエンジンを始動した。
重厚で迫力のある排気音を聞いて、私は二ヤで2人を見送った。
マリは美しいライディングで、スピードを上げながら空母に向かって行った。
私はニヤニヤで隣の倉庫のシャッターを開けた、真赤なポルシェ911ターボが妖しく輝いた。
「エース・・ありがと~」とユリカが叫んで、後ろから抱きついた。
私は体を反転させて、ユリカを抱きしめた。
『良かったね、ユリカ・・俺も嬉しかったよ』とユリカの耳元に囁いて、ユリカの横にいるユリアに笑顔を向けた。
「今回は、あと少しだけなの・・車に乗ってみたいな~」とユリアが笑顔で言った。
『OK、良いよ・・ユリカ、あれを使って・・運転は簡単にしてあるから』と私はユリカに二ヤで言った。
「リアルな感覚でも良いのに、ありがとう・・ユリア、行こう」とユリカが楽しそうにユリアの手を引いてポルシェに乗り込んだ。
ユリアが楽しそうに助手席から私に手を振ってくれた、私も笑顔で手を振って見送った。
ユリカは快調に速度を上げて、空母のアプローチを登って行った。
私は嬉しくて、3つ目の倉庫のシャッターを開けた。
漆黒の輝きを放出して、ランボルギーニ・カウンタックが姿を見せた。
『しかたないよな、いよいよお前の登場だよ』と二ヤでカウンタックに言って。
羽のようなガルウィングのドアを上げた、寝そべるように運転席に座り、私はニヤニヤ全開だった。
ナビ席のモニターを出し、簡単操作からリアル操作に設定変更した。
そして少し緊張してエンジンを始動した、背中からエンジンの鼓動を感じていた。
私は慎重にクラッチを繋ぎ、その加速力と低い視点を楽しんでスピードを上げた。
私は興奮状態で、訳の分からない言葉を叫びながら空母を上った。
滑走路に出ると、先端にバイクと911の姿が見えた。
私は加速感を楽しんで、地を這うようにその場所を目指した。
911の横にカウンタックを止めて、私は興奮状態のニコちゃんで降りた。
4人は川面を見ながら、楽しそうに話していた。
ユリカの美しい笑顔が輝いていて、私も嬉しくて笑顔になった。
私が歩いて近寄ると、ユリアが立ち上がった。
「ユリカ姉さん、マリちゃん、沙紀ちゃん・・本当にありがとう。
本当に嬉しかった・・でも今はあまり時間を使いたくないの。
その時に使いたいから、エースに送ってもらいます。
泣き顔を見せたくないから・・必ずまた会いに来ます」
ユリアは笑顔で3人にそう言った、3人もユリアを見ていた。
ユリカはユリアの気持ちと、言葉の意味を理解したのか、爽やか最強笑顔で立ち上がった。
そしてユリアを笑顔で抱きしめた、ユリアも笑顔で抱かれていた。
「約束だよ、ユリア・・必ず会いに来てね」とユリカはユリアの顔を見て、笑顔で言った。
「うん・・待っててね」とユリアも笑顔で返した。
そしてユリカが体を離し、ユリアはマリに抱きついた。
マリも笑顔でユリアを抱いて、そして沙紀にユリアを向けた。
ユリアは沙紀を抱きしめて、沙紀も笑顔で抱かれていた。
ユリアは笑顔で沙紀にもう一度お礼を言って、私の方に歩いて来た。
私はカウンタックの助手席のドアを開けて、笑顔でユリアを招いた。
ユリアは助手席に座り、私に笑顔で頷いた。
私も笑顔で返して、助手席のドアを優しく閉めた。
私が運転席に乗り込むと、3人が小さな窓からユリアを見ていた、ユリアも笑顔で3人を見ていた。
エンジンを始動すると、ユリアは笑顔で3人に手を振った。
3人も笑顔でユリアに手を振っていた、私はゆっくりと走り出した。
バックミラーに映る3人は、いつまでも手を振っていた。
「エース・・ありがとう、これからもよろしくです」とユリアが私に言った。
『待ってるからね』とユリアの方を見ると、ユリアの姿は無かった。
《待ってるよ、ユリア・・そしてこれからもよろしく》と心に強く囁いた。
《うん・・嬉しかった》と強く優しい波動が返ってきた。
私はスピードを上げ空母を降りながら、嬉しさに包まれていた。
快晴の空の下を、漆黒のカウンタックが疾走していた。
私が倉庫の前で待ってると、911の真赤な姿が見えた。
私の横に911が止まって、ユリカが助手席から沙紀を抱いて降りてきた。
マリが運転席から、少し興奮状態で降りてきた。
「お前が欲しがる気持ちが分かったよ、これは別物だね」とマリが二ヤで言った。
『専門書を読み漁り、かなりのリアル感で仕上げてるからね・・良いだろ~』と二ヤで返した。
ユリカは楽しそうに、沙紀と話していた。
「しかし、色は逆だろ~・・こっちが黒だよ」とマリが2台を見て笑顔で言った。
『俺も見てそう思ったよ、塗り替えよう・・百恵ちゃんの歌に負けたんだ』と二ヤで返した。
「緑の中を走る、真赤なポルシェか~・・良いよね~、百恵ちゃん」とマリが笑顔で言った。
『案外、ミーハーなんだよね・・マリちゃん』と私は二ヤで返した。
「最近、私に挑戦的だよね~・・10年早いよ」とマリが二ヤ継続で返してきた。
『そうかな~・・楽しいんだよ、マリが側にいるからね』と笑顔で返した、マリも笑顔で返してくれた。
「さぁ、そろそろ寝ましょう・・エース、沙紀をよろしくね」とユリカが爽やか笑顔で言った。
『了解です・・沙紀と美由紀が温かくて、快適だよ』と笑顔で返した。
「小僧ちゃん・・私、湯たんぽじゃないよ」と沙紀が笑顔で返してきた。
『ごめんよ~沙紀・・離れないでね』とウルで言った。
「離れないよ~・・安心して眠れるもん」と沙紀が笑顔で返してくれた。
私は嬉しくて笑顔で沙紀を受け取った、マリとユリカが笑顔で頷くのを見て映像を切った。
ベッドに戻ると、沙紀は私に体を密着させていた。
『沙紀・・目を開けないで、もう少しおやすみ』と沙紀の耳元に優しく囁いた。
「うん・・眠くなったよ、おやすみ・・小僧ちゃん」と沙紀は瞳を閉じたまま言って、そのまま静かになった。
ベッドルームの扉が静かに開き、ユリカが笑顔で入ってきた。
沙紀の寝顔を覗き込み、私の頬にキスをしてユリカが部屋を出て行った。
私は嬉しくて暫らく沙紀の寝顔を見ていた、そして気付かぬままに眠りに落ちていた。
翌朝、朝陽で目が覚めた、美由紀と沙紀は熟睡状態だった。
私は2人のチェックをして、起き上がりカーテンを閉めて部屋を出た。
顔を洗い歯を磨いて、キッチンで朝食を鼻歌交じりに作っていた。
蘭とシズカとマリが起きて来て、3人で洗面所に行った。
私が4人分の朝食を用意していると、3人がリビングに戻ってきた。
蘭が満開で化粧を始めて、シズカとマリが化粧をする蘭を観察していた。
「何か・・やりにくいんだけど~」と蘭が2人に満開ウルで言った。
「何事も勉強です」とシズカが二ヤで言って、マリも二ヤで頷いた。
蘭も笑顔で返して、説明しながら化粧をしていた。
蘭の化粧が終わり、4人で朝食を食べた。
「シズカとマリを乗せて、ハルカとミサキを迎えに行って・・イルカ岬に入って来るね」と蘭が私に満開笑顔で言った。
『了解・・駄菓子屋に来てよ、沙紀に駄菓子屋デビューさせるから』と笑顔で返した。
「そうなんだ~・・沙紀、喜ぶね」と蘭が嬉しそうな満開で返してきた。
私は笑顔で3人を送り出し、TVで今年のニュースベスト10を見ていた。
美由紀と沙紀が起きて来て、美由紀を車椅子に乗せると、2人で洗面所に向かった。
カレンとシオンも起きて来たので、私は4人分の朝食を用意した。
沙紀の横にカレンが座り、4人で楽しそうに食べていた。
ユリカとリアンが起きて来て、私はリアンの肩を揉まされていた。
「ユリカが妙なんだよ・・ご機嫌過ぎる」とリアンが振り向いて二ヤで言った。
『沙紀が来てるから、楽しんでしょ』と二ヤで誤魔化した。
「ふ~ん・・楽しみに取っとこう、追求しても面白くない」とリアンが二ヤ継続で言って、洗面所に消えた。
私はリアンの鋭さを再確認して、気を付けようと思っていた。
4人が食べ終わり、カレンとシオンで沙紀の着替えに行った。
美由紀がソファーに来て、ユリカの化粧するのを観察していた。
『美由紀は、ほんとに好きだよね~・・子供の頃から、化粧が好きだよな~』と二ヤで言った。
「うん・・髪型とか、化粧とか大好き~」と美由紀が笑顔で返してきた。
『沙紀にね、髪型なら誰が良いって聞いたら・・リリーだって答えたよ』と二ヤで返した。
「そうだよね~・・憧れるよ、アイドルみたいで・・でも、リリー姉さんだから似合うんだろうな~」と美由紀が微笑んだ。
「可愛いよね~・・私もウェーブかけてみようかな~」とカレンが後ろから微笑んだ。
「良いな~・・カレン姉さんもシオン姉さんも、絶対似合います~」と美由紀が笑顔で返した。
女性達が盛り上がっていて、沙紀を探すとリアンが抱いて窓辺で話していた。
私はその光景を見て、リアンの母親になった姿も見たいと思っていた。
2人分の朝食を用意してると、ユリカとリアンが笑顔で座った。
2人が食べるのを見ながら、対面の流し台で食器を洗っていた。
「蘭は幸せだよな~・・何でも出来る相手と住んで」とリアンがニカで私に言った。
「そうだよね~・・それに添い寝付だよ」とユリカがリアンに二ヤで言った。
「贅沢な奴め~」とリアンもユリカに二ヤで返した。
「エース・・飛行訓練、何時からやる?」とリアンが笑顔で聞いた。
『11時にミホを迎えに行くから、お昼を食べてからかな・・ハルカがいるから、PGは11時には開くよ』と笑顔で返した。
「了解・・シオンと帰って、派手な服に着替えよう・・久々のライブだから」とリアンが笑顔で言った。
「目立ち過ぎないでよ・・キヌちゃんが、入場禁止にするよ~」とユリカが二ヤで言った。
「キヌは頑張ってるよね、あいつは良い子だよ」とリアンも嬉しそうな笑顔で言った。
『リアン・・キヌちゃんと仲良しなんだね』と私は少し意外だったので、笑顔で聞いてみた。
「後輩だよ・・高校の頃バンドやってて、その時に知り合った後輩」とリアンが笑顔で返してきた。
「キヌちゃんをリッチに紹介したのも、リアンなのよ」とユリカが笑顔で言った。
『そうなんだね・・リアンのバンド姿か~、似合うよね~』と私は想像して二ヤで言った。
「あの時に、幸子がいれば・・キヌも夢を追えたよな」とリアンが真顔でユリカに言った。
「そうだね・・でもね、リアン・・キヌちゃんは再チャレンジするよ。
久美子とエースの影響で、再点火されたみたい・・あの子はやるよね。
リアンを追いかけて、そして幸子に巡り会ったんだから。
キヌちゃんは、また素敵なメンバーを集めるよ・・楽しみだね、リアン」
ユリカが優しく囁くように言った、リアンが喜びの笑顔でユリカを見て頷いた。
私は久しぶりに出た名前を感じていた・・幸子・・マリと同じ雰囲気。
私はその名前を思い出して、自分の中に強く残ってるのを確認していた。
《蘭とユリカが淋しそうな表情だったから、強く残ったのか・・それとも》
私はもう一人の自分を出して考えていた、ユリアの優しい波動を感じながら。
強く自分を主張しだした、ユリアの波動を感じて、私は笑顔で皿を洗っていた。