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      【冬物語第二章・・未来の記憶⑫】 

夜風を受けながら歩いていた、静寂とは無縁の雑居ビルの森を。

楽しげな笑い声と酒臭い香りの流れる路地を、大切な温度を抱きながら。


私は美由紀が寒くないように引き寄せて、女性達の後ろを歩いていた。

美由紀は熟睡のようで、完全な脱力状態の重みを伝えてきていた。


駐車場に着き、ユリカの車の後部座席にカレンとマリが乗って、リアンが乗り込んだ。

マキが笑顔でリアンに沙紀を渡して、リアンも笑顔で受け取った。

ユリカが運転席に乗って、シズカが助手席に乗った。


シオンの車に車椅子を乗せて、蘭が助手席に乗り込んだ。

私が後部座席に美由紀を抱いたまま乗ると、ハルカが笑顔でドアを閉めてくれた。

蘭が満開でハルカとマキに手を振って、ハルカとマキも笑顔で手を振って見送ってくれた。


シオンがユリカの後ろをゆっくりと付いて、駐車場を出て橘通りを進んだ。


「明日の海の段取りは出来てるの?」と蘭が小さな声で言った。

『準備万端です・・寒くないように、準備してね』と笑顔で返した。

「美由紀も、中々起きないよね~」と蘭が満開二ヤで美由紀を見ていた。

『熟睡なら起きないよ・・美由紀は今、集中モードだからね』と二ヤで返した。


私は美由紀の寝顔を見ながら、美由紀の少し高い熱で温められていた。

橘橋を渡り、ユリカのマンションの来客用駐車場に入れた。


蘭がドアを開けてくれて、私は美由紀を抱いたまま車を降りた。

深夜の風が冷たくて、沙紀を見るとリアンが宝物を抱くように抱いていた。

カレンが自分のコートを沙紀にかけて、ユリカに続いてリアンとカレンとマリがエレベーターに乗った。

蘭が車椅子を押してシオンと来て、私はシズカとエレベータを待っていた。


4人でエレベーターに乗って、ユリカの部屋に入った。

沙紀はユリカのダブルベッドに寝かされていて、私はその横に美由紀を寝かせた。

ユリカがストーブと暖房を入れて、ベッドルームの部屋を開けたまま温めていた。

ユリカは恐ろしく軽い羽毛布団を用意していて、毛布と羽毛布団に包まれて、美由紀も沙紀も嬉しそうだった。


『美由紀・・隣は沙紀だからね、少しの間よろしくね』と美由紀の耳元に囁いた。

「う~ん」と言いながら、美由紀は寝返りして沙紀の方を向いた。

私はそれで一安心して、暖かいリビングに向かった。

ベッドルームが温まり過ぎないように、ベッドルームのドアを閉めた。


「寒くないかな~・・大丈夫?」とユリカが真顔で聞いた。

『美由紀が熱いから、沙紀は寒くないよ・・部屋が暖か過ぎると、美由紀が布団を蹴り飛ばすからね』と二ヤで返した。

「みなさん緊張しすぎですよ~・・過保護ですね~、大丈夫ですよ・・プロの小僧がいますから~」とシズカも二ヤで言った。


「慣れてなくてね~・・緊張したよ」とリアンが極炎ニカで言って。

「風邪をひかせたらいけないと、気を使い過ぎてたね~」とユリカが照れた笑顔で言った。

「沙紀は大丈夫、体は強いし・・自分で管理が出来ますよ」とマリが笑顔で言った。


「マリ・・会う度に、言葉がスムーズになるね~」とリアンが笑顔で言って。

「ありがとうございます、頑張ってます」とマリが笑顔で返した。


『それでは、緊張感をもう一度持ってもらいましょう・・これが沙紀の喘息の薬です』と私は薬を出して二ヤで言った。

「ちょっと~・・緊張感を煽らないでよ~」とカレンがウルで返してきた。

私はニヤニヤでウル顔の女性達の間に座った、蘭が満開笑顔で私の手の中の薬を受け取った。


「作戦会議だね・・シズカとマリが来てるから」とリアンが極宴ニカで言った。

『そうだね・・やりますか~、管制室で』と私が二ヤで言うと、全員が二ヤで返してきた。


全員が手を繋いで、マリが頷いた。

『ユリア・・沙紀の様子を見ててね、よろしく』とユリカに向かって言った。

《了解》と強い波動が返ってきて、ユリカの爽やか笑顔が咲いていた。


私は目を閉じて管制室を出した、すぐに女性達が入って来た。

そのスピードが上がっていて、私は少し驚いていた。


「空母・・少し変わったね~」と蘭が窓から空母を見て満開で言った。

「潜水艦も変わったよね~・・改良したね」とシズカが二ヤで言った。

『俺の考える準備は、全て搭載したよ』と笑顔で返して、眺めの良い会議室に招いた。


全面ガラス張りの会議室から、空母と潜水艦が見えていた。

大きな楕円テーブルに、各席に1台の小型モニターが備えられていた。

女性達が笑顔で座り、私はモニターの電源を入れた。


「本当に凝るよね~・・感心するよ」とユリカが爽やか二ヤで言って。

「気分を高めますよね~・・楽しませる為に」とカレンが微笑んだ。


『気分も大事でしょ・・それじゃあ始めます、沙紀の深海対策会議を』と私は笑顔で言った。


女性達が笑顔で頷くのを見て、窓の自動カーテンを閉めた。

大型モニターが前面に現れて、私はその前に立った。


『今回の沙紀の世界・・多分深海だけじゃないと思います。

 問題は目指すべき場所、その想定を出来るだけやりたい。

 マリ・・どんな感じだろう?・・まぁ姿無き女も、設定してないと思うけど』


私はマリを見て真顔で聞いた、マリは目の前の小型モニターに右手を当てた。

正面の大型スクリーンに、映像が映し出された。

その映像には暗黒の深海が映し出されていた、全員が驚いてそれを見ていた。


「私が感じたのは・・小僧の映像、リンダ試験の時よりも暗いという事です。

 このようなリアルに近い暗さがありますね、だから照明装置が肝心です。

 しかし、照明で照らすと・・こうなる可能性が大きいと思います」


マリはそう二ヤで言って、大型モニターを見た。

全員が大型モニターに視線を戻した、暗黒の深海に人工的なライトの強い明かりが入った。

女性達は沈黙してその映像を見ていた、蘭とシオンはウルウルを出した。


ライトに向かって、気味の悪い軟体生物が無数に集まって来たのだ。

その数の多さに全員が沈黙してると、ライトは取り囲まれ暗黒が戻っていた。


「この生物は私の想像です、もっと気味の悪い奴も出るでしょう。

 ただその数が圧倒的に多い事は、確信的に感じています。

 奴のいつもの作戦は変わってません、数で恐怖を演出するんです。

 そして今回は、気味の悪さを使ってくると思います・・小型生物で。

 大型怪獣が通用しないと感じたし、今回は深海ですから・・焼き払えない。

 ならば気味の悪い小型生物・・それを大量に発生させる。

 その敵が第一段階ですね・・シズカ姉さんが、武器を開発してくれると助かります。

 潜水艦から、外に出ざる得ない状況を作られると思います。

 その時の照明と武器が絶対に必要ですね、でないとこの段階で半数以上が戻される。

 当然・・他の女性達には、この事は言えません・・緊張させるだけですから」


マリは真顔でモニターの暗黒を見ながら言った、女性達も真剣な顔になっていた。


「シズカ、お願い出来るかな?」とユリカがシズカに微笑んだ。

「了解です、何とか考えてみます」とシズカが笑顔で返した。


「小型で気味の悪い軟体生物か~・・女性の最も苦手な奴だな~」とリアンが二ヤで蘭とシオンに言った。

「それが大量発生ですか~・・やばいですね~」と蘭が満開ウルで返して。

「マリちゃん・・小型生物の攻撃は、どんな感じでしょう?」とシオンもウルでマリを見た。


「多分・・張り付くだけだと思います、体を覆いつくすほどに張り付くだけ」とマリが二ヤで返した。

「それが1番怖いですよね、どんな武器の攻撃よりも」とカレンがウルで返した。

女性達が頷いて、シズカは集中の中に入っていた。


『問題は、どんな状況を設定されるかだよね・・外に出される設定。

 多分・・スイッチを押しに行かなければならない、そんな感じだろうね。

 そのスイッチを押さないと入れない、そのスイッチを押すにはかなりの人数がいる。

 そんな設定を出してくる、そして潜水艦の外に誘うんだね。

 OK・・こっちの今回の基本設定をしよう、まずは艦長・・もちろんユリカだね。

 そして潜水艦に常時残る、指令副艦長でアンナ・・アンナは入れると信じてる。

 リアンが前線作戦本部長・・最前線には絶対にリアンが必要になるね。

 リアンは軟体生物を全く恐れないから、女性達の支えになれる。

 全滅を防ぎたいから・・女性達を2班に分けよう。

 ミコトと千鶴が1班の班長・・蘭とナギサが2班の班長。

 今回は友人同士の絆を大切にしたい、だから分けないでいこう。

 ユリカ・・全体的作戦をよろしく』


私は笑顔でユリカに言った、ユリカも笑顔で頷いた。


「了解・・なるほどね、今回は絆を重んじる・・確かにそうだよね。

 2班の編成にも気を配ろうね、銀河と19歳トリオを分けよう。

 あとは店毎に同じ班に入れて、編成をしておこう・・何かで色分けして。

 見た目でどっちの班か分かるように、緊張する状況でも確認できるようにね。

 班編成を、シオンとカレンでしておいて・・文書化してね、入る前に配るから」


ユリカが笑顔でシオンとカレンに言った、2人は笑顔で頷いた。


「私は今回の深海・・アンナ姉さんと潜水艦に残る人員として。

 絶対にシズカに残って欲しい、アンナ姉さんをフォロー出来るのも。

 全体的な状況で的確な判断を出来るのも、シズカだと思うから。

 これまでの経験でそう確信してる、今回の中央作戦本部長は・・シズカにします。

 そして潜水艦の操縦の為に、どんな状況でも幻海の若手女性を4人を残しましょう。

 そしてシズカのパートナーで、秀美を残します・・あの明晰な頭脳は残したい。

 美由紀に残れと言っても無理でしょうから、秀美に託します。

 シズカと秀美が最終兵器・・最後の切り札よ、受けるよね・・シズカ」


ユリカが強い言葉でシズカに言った、シズカも真剣な表情でユリカを見ていた。


「了解です・・ベストを尽くします」とシズカが笑顔で返した。

「よし、外枠は出来たね・・マリ、他に感じてる事はあるの?・・言える範囲で」とリアンが二ヤで聞いた。


「はい・・奴は人質を要求すると思います、今回はそこが核でしょう。

 誰かが囚われる状況になる、リンダ試験のヨーコ姉さんとエミのように。

 もっと厳しい状況で囚われる、それが奴の新しい思考ですね。

 信頼関係を狙い撃ちするのなら、その設定が1番難しいと考えてます。

 誰がそれに選ばれるのか、それは分かりません。

 ですから・・全てに対して、交代要員を決めておく必要があります。

 ユリカ姉さんやリアン姉さんでも、その可能性はありますから。

 指名件は奴にあります・・動揺しないように、決めておく必要がありますね」


マリは静かに言葉にした、沈黙が流れていた。


「そうくるのか~・・奴も進化してくるんだね」と蘭が真顔で言って。

「決めておきましょう、それは重要な事ですから」とユリカが静かに言った。


女性全員が真顔で頷いた、私は口出しせずにマリの表情を見ていた。


「マリちゃん・・最低何人が人質になると思ってるの?」とユリカがマリに聞いた。

「最低で2人・・多くて4人だと思います」とマリが真顔で返した。


「了解・・シオン、そのメモ用紙に書いといてね。

 私の後任は、当然リアン・ミコト・千鶴・蘭の順番ですね。

 アンナ姉さんの後任は・・ミコト・千鶴・蘭・ナギサの順。

 リアンの後任も、今のと同じ順番ですね・・その場合と班長が指名された場合。

 1班の班長が動いた場合は、残った1人にアイコがフォローで入り。

 2班の班長が動いた場合は、残った1人にリリーがフォローで入る。

 班長が2人とも動いた時には・・アイコとリリーを班長にします。

 シズカの後任は、難しいので・・やはりミコト・千鶴・蘭・ナギサでしょう。

 秀美の後任は・・美由紀・沙織・マキ・恭子の順番で。

 問題はエミに同行するヨーコの後任です、今回もエミが鍵を握りそうだから。

 これはやはり・・マキ・恭子・美由紀・沙織の順ですね。

 他に誰かありますか?・・リアン、こんな感じだよね」


ユリカは女性達を見回して、笑顔で言った。


「そうだね・・それで行こう、他にあるかな?」とリアンも笑顔で返した。

「良いですね・・了解です」と蘭が満開で微笑んで、全員が笑顔で頷いた。


「マリちゃん・・あと何かあるの?」とユリカがマリに微笑んだ。


「私の想定の概要として、もう1つ・・最後の設定は深海ではありません」とマリが二ヤで言って、小型モニターに右手を置いた。


全員が大型モニターを見た、そこには快晴の空が映っていた。


「小僧も何となく感じてるんでしょう、だから空母の改良もした。

 私は最終局面で感じてるのは、あれです・・あの中に最終局面があると思います」


大型モニターに映る快晴の空に、島が浮遊していた。

その島の中央に真赤な塔が立っていた、赤い月と同じ色の円柱の塔だった。


「あの色・・赤い月」とカレンが呟いた。

「ミホが破壊して地球に戻した・・それが塔になったんだ」と蘭が呟いて。

「それにあの島の警備・・最強だね、空中戦の覚悟もいるね~」とリアンが二ヤで言った。


「問題は深海から海上への到達経路だと思います、その設定は全く分からない。

 ただ・・沙紀の心はあの赤い塔にある、それだけは感じます。

 深海の何かをクリアーすれば、海上に出れる・・そこからが最終決戦。

 その時の人数がポイントでしょうね・・明日もう一度、飛行機訓練をしましょう。

 多分・・自然にPGに集まってくる、その人達が重要なんでしょう。

 海上に出た全員が、戦闘機に乗らないといけない・・人数勝負です。

 戦闘機を避けられない、海上からあの島に入るには・・飛ばなければならない。

 リアン姉さんの感じたように・・最強の飛ぶ敵が警備してる。

 赤い塔の設定は全く読めません・・未設定の作為の塔でしょう」


マリは強く言葉にした、私は女性達の集中が上がってるのを感じていた。


「了解・・エース、明日の飛行訓練・・大丈夫だね?」とユリカが笑顔で言った。

『もちろん・・ユリカが沙紀と遊んでくれるなら、リアンと蘭に講師を頼むよ』と二ヤで返した。

「それはもちろんOKよ・・リアン・蘭、頼むね」とユリカが微笑んだ。

「任せなさい・・てか、経験者も全員乗ると思うよ」とリアンが極炎ニカで言って。

「楽しみだ~・・絶対に海上に辿り着く、私がいないと空中戦は始まらない」と蘭が満開で微笑んだ。


『うん・・それで班編成なんだけど、蘭とナギサが2班なら。

 19歳トリオが1班に入って、銀河を2班にしよう。

 リョウとセリカを離せば、どちらかしか上がれない時に勝負になる。

 リョウとセリカ・・この飛行技術は分けておきたい・・そしてネネ。

 四季をPGと離そう・・四季の中の3人は、戦闘機も上手いから。

 四季が1班で、PGが2班だね・・そうすればバランスは取れる。

 そして小夜子のいるユリカの店が2班・・そうすればネネと小夜子が同じになる。

 そんな感じでよろしく・・あとはシオンとカレンに任せるよ』


私は2人を見ながら笑顔で言った、シオンもカレンも笑顔で頷いた。


「小僧・・切り札はそれなのか?・・今夜の遊覧飛行で感じたけど」とシズカがマリに二ヤで言った。

『そうだけど・・それはどうしようもない時だけ・・由美子の時まで残したい、その切り札だけは』と二ヤで返した。

「やっぱりそうなの!・・それが出来るの?」と蘭が満開でマリに微笑んだ。

「出し惜しみするなよ、エース・・述べよ」とリアンが二ヤで言った。


『マリが俺の映像に同調を残せるようになった、もちろん奴には隠してる。

 要するに・・マリがいつでも出撃できる体制を取れる。

 マリが自分の同調に、自分で入る・・制限時間24時間、これが切り札だよ』


私は二ヤで言った、ユリカと蘭とシズカ以外が驚いてマリを見た。


「なるほどね~・・最強の切り札だね~、確かに残しておきたいね」とリアンが笑顔で言って。

「残しましょう・・来年の決戦の為に」とカレンが微笑んで。

「大丈夫です・・赤い塔なら、やれます」とシオンがニコちゃんで言った。


『うん・・シオンのその言葉で、俺も自信が持てたよ』と笑顔で返した。

「シオン姉さんと久美子だね・・赤い塔の鍵は」とシズカが二ヤで言った。


『シズカ・・緻密な作戦でよろしく・・シオン・久美子・ヨーコ。

 そしてエミ・・この4人を何とか残して、赤い塔ならこの4人が鍵だよ。

 その為の犠牲は覚悟して・・今回は経験を重要視したい。

 もちろん、由美子の左手・・時の部屋の対抗策として、女性達に経験させたい。

 今回は俺の映像だから、ここに戻される設定を入れている。

 あのプールに戻されるから、何も心配ないよ。

 戻された後も、ここでモニターで見れる・・だから躊躇しないで良い。

 ユリカもリアンもそう思ってる、だからシズカを中央作戦本部長にしたんだ。

 アンナの経験にシズカの知識と判断力を加える、それが最強の作戦を作り出す。

 シズカ・・犠牲を覚悟して、最良の作戦を練ってくれよ。

 ここにいる者以外には、この4人の重要性は教えない。

 アンナにだけ教えるよ・・2人の作戦の機軸、それがこの4人。

 問題は・・ヨーコのベール、それを強引に剥ぎ取れ。

 そうすれば必ずエミを到達させる、奴が知らない・・ヨーコの力なら。

 ヨーコはリンダの試験でも抑えた、自分の切り札を常に持ってる。

 その考えはマリから盗んだ・・ヨーコは残してるよね、強い余力を。

 それは悪意の砂時計を自分で見てるから、触れられない悔しさを味わったから。

 あの時の悔しさを背負っているからだろう・・だから今は余力を残す。

 でも・・抑えてる限り、成長も進化もしないよね。

 俺は確信してる、ヨーコの力も成長する・・封印を解いて使えばね。

 シズカ・・限界ギリギリに持ち込め、エミとヨーコの状況を。

 エミはそれを望んでる、俺はエミの気持ちは分かる・・絶対に望んでるよ。

 俺の考えてる一石二鳥はそれだけだよ・・よろしくね、シズカ』


私は集中しているシズカに二ヤで返した、シズカは二ヤ継続で頷いた。


「OK、やるよ・・犠牲の上にしか経験はプラスされない。

 だったよね、仙人和尚の手紙の言葉・・あの内容を少し理解出来たね。

 私も分からない部分が少し分かってきたよ、今の小僧の言葉でね。

 一石二鳥はそれだけだ・・この部分だけ嘘だったね。

 今回はやるしかないね、私も信じてるよ・・アンナさんが入れるって。

 今回の最大のポイントはそれだよね、そこが成功すれば到達できるよね。

 私は犠牲を覚悟する・・犠牲になるかどうかは、その人の問題。

 アンナさんと私の作戦は、戻される事を想定して作る。

 今までと違う・・今までは、助け合い守ってきたよね。

 今回は、そんな余裕は無いよね・・当然、誰も余力は残せない。

 犠牲の上に到達する・・それこそが、真の信頼関係なんだよね。

 身体的に傷つく訳でも、まして死ぬ訳でもない・・恐怖を味わうだけ。

 味あわせるよ・・最強の恐怖を、私は戻されると設定する。

 そして心ではクリアーしてと切望する、それこそが今回の作戦だね。

 ユリカ姉さんも、リアン姉さんも・・全員が同じリスクを背負う。

 そうすれば、犠牲者は出ない・・それは足りなかったと感じるだけ。

 それこそが経験だよね・・自分の足りない部分を意識出来る事が。

 犠牲の上にしか経験はプラスされない・・本当に深い言葉だったね」


シズカは集中の中の微笑で言った、私は二ヤで頷いた。


「全員が同じリスクを背負う、それで結構・・それだけを望むよ」とリアンが笑顔で言って。

「そうでなくっちゃね~・・シオン、絶対に辿り着けよ・・私も辿り着くけど」と蘭が満開で微笑んだ。

「よし・・シズカ、ありがとう・・最高のヒントだったよ」とユリカが笑顔で返した。


『じゃあ、俺は寝相の悪い2人が待ってるから・・映像を切るよ、夜更かしするなよ』と二ヤで言った。

女性達の笑顔を確認して、映像を切った。


リビングに戻ると、女性達も戻ってきて笑顔が咲いていた。

私がベッドルームを確認すると、沙紀が美由紀に抱かれて眠っていた。


「エースを必要ないんじゃないのか?・・私の添い寝をしろよ~」と後ろからリアンが囁いた。

振り向くと全員が笑顔で、2人の寝顔を見ていた。


「エース・・カップラーメンあるよ、食べるなら自分で作ってね」とユリカが微笑んだ。

『もちろん、頂きま~す』と笑顔で返して、キッチンに向かった。


ベッドルームのドアをリアンが静かに閉めて、シズカとマリ以外の女性はビールを飲んでいた。

私はカップラーメンにお湯を入れて、キッチンタイマーを3分でセットした。

シオンが珍しくニコちゃんでビールを飲んでいて、カレンが私の側に来た。


『カレン・・ラーメンおねだりに来たね~』とウルで言った。

「こんな時間に食べないよ・・エース・・私専用のアドバイスが欲しくて」とカレンが美少女笑顔で言った。

『何かな~?』と笑顔で返して、テーブルの椅子にカレンを座らせた。


「私・・最近変なの、何て言うか・・正夢みたいな感じの事が、毎日起こるのよ」とカレンが真顔で言った。

『さっすが~、カレンだね・・それに違和感を持ったね』と笑顔で返した。

「えっ!・・それで良いの?・・当然の事なの?」とカレンが驚いて聞いた。

『多分・・明日、小夜子が全員に話すだろうけど・・当然の事だと俺は思ってるよ』と笑顔で返した。

その時にキッチンタイマーの音が鳴った、カレンは私に食べるように笑顔で促した。


「カレン・・その話はこっちでシズカにしてもらうよ、蘭とシオンも聞きたいだろうから」とユリカが微笑んだ。

「えっ!・・ありがとうございます・・シズカちゃん、よろしく」と美少女笑顔を振り撒いて、カレンがリビングに戻った。


カレンがシズカの横に座り、全員の視線がシズカに集まった。

私はラーメンを食べながら、蘭とシオンの表情を二ヤで見ていた。


「これは美由紀の話です・・美由紀が感覚を上げてた頃・・・」とシズカが正夢の話をした。

ユリカとマリが二ヤを出して、それ以外の全員が真剣に聞いていた。


「そうなんだ~・・喜ぶべき現象だったんだ~」とカレン嬉しそうな笑顔で言って。

「シオンも安心しました~・・少し怖かったです~」とシオンがニコちゃんで言って。

「実は私も・・感じると、気分悪かった~」と蘭が満開で微笑んだ。


「そうなのか~・・私は、それは飽きたぞって・・独り言を言ってたよ」とリアンがさらっと言った。

全員がリアンを見た、リアンはその視線に驚いていた。


「さすが~・・リアンだね~」とユリカがマリに二ヤで言った。

「素敵です、リアン姉さん・・それが完璧な対応です」とマリがリアンに笑顔で言った。

「嬉しいな~・・マリに言葉で、姉さんって言われた~」とリアンは嬉しそうに返して、ビールを飲んでいた。


女性達が笑顔でリアンを見ていた、私もリアンの感性に触れて嬉しかった。


窓の外には寒い年末の夜空が広がっていた、川面に野鳥の姿は無かった。


野鳥達はDNAに刻まれた行動の歴史に、従順に従っているのだろう。


何の疑念も猜疑心も持たずに、純粋に行動してるのだろう。


私はそう思いながら、穏やかな川面を見ていた・・女性達の笑い声を聞きながら。

 

 






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