【冬物語第二章・・未来の記憶⑨】
どうして?や・・どうやって?と思うと分からない。
自分が感じたままで良い、感じたままを心のアルバムに加えよう。
子供達も笑顔で食事を終え、ワクワク顔で歯を磨いてパジャマに着替えた。
沙紀はエミが少しフォローするだけで、全て自分で出来るようだった。
私はマリアの歯磨きのチェックと、着替えをさせていた。
《良いな~、良いな~》と言うような強い波動がずっと来ていた。
「マリアはエースがいると、全部エースなんだから~・・甘えん坊さん」と久美子が微笑んだ。
「久美子・・負けず嫌い出すとこ、間違えるなよ~」とシズカが二ヤで言って。
「やばいですね~・・危ないです~」と美由紀が二ヤで追った。
「そうじゃないよ・・少しだけだよ~」と久美子がウルで返して、マダムと松さんを含めた5人で笑っていた。
私は5人娘と沙紀に暖かい上着を着せて、全員を抱き上げてチェックした。
そして4人を二ヤで呼んで、小さな円を作った。
私は沙紀の手を握り、マリアを抱いていた。
「それで、どこを見に行こうかね、あんたの世界はどこまで入ってるの?」とシズカが笑顔で聞いた。
『シズカ、驚くなよ・・俺の世界地図は完璧だよ。
マチルダが修正をかけてくれたからね、そしてエミの本【世界の遺産】を入れてる。
400以上の雄大な自然や、歴史的建造物や入っているよ。
その中でマチルダが行った事がある場所の、修正をしてくれてるんだ。
よりリアルに修正してくれている、だから楽しめると思うよ』
私はシズカに二ヤで言った、全員のワクワク笑顔が私を囲んだ。
「素敵~・・楽しみ~、シズカちゃんどこにするの?」とエミがワクワク笑顔で言った。
「そうだね~・・マリアもいるし、沙紀がいるから視覚的に感動出来る所が良いね。
まずは・・ピラミッドを見に行こう、スフィンクスとね。
そしてサバンナに野生動物を見に行こう、小僧は動物に関してはこだわるから。
サバンナの映像はTVでも良く流れるし、TVを見ない小僧でもそれは好きで見てる。
かなりの景色が入ってると思うよ・・それから南米に飛ぼうかね。
私も見たい・・ナスカの地上絵を空から見よう、絶対に沙紀は何かを感じる。
その後は小僧の提案を聞こうね・・絶対に感動出来るよ。
マチルダ姉さんの修正なら、絶対にリアルに入ってると思うから。
そして現実にその場所を訪れたい、匂いや温度も感じたい・・そう思えるよ。
沙紀にも5人娘にも感じて欲しいの、匂いと温度が感じられない場所で。
その事を感じていてね・・そして自分の心に残してね、世界の広さを」
シズカが子供達を見回して、優しい笑顔で伝えた。
沙紀がシズカを見て強く頷いて、5人娘がワクワク笑顔で頷いた。
「それじゃ~、エース・・追加とラストの場所を述べよ」と久美子が二ヤで言った。
『ナスカの地上絵に行くなら・・マチュピチュに行って欲しいな。
何かを感じる場所だと思うし、壮大な景色が有ると思うから。
そして最後は・・絶対に見事なリアル感で出来ている、世界最大の大都市。
NYに飛んで欲しい・・マンハッタン島を目指して、自由の女神を見て。
そして人のいない大都会を感じて、高層ビル群の中を低空で飛んで。
現実的映像で終了しよう・・それが自分で踏み出す、ステップになるからね』
私は笑顔で言った、シズカと久美子がハッとして、私にニヤを出した。
「エース・・何着て入れば良いの?」とミサが笑顔で言った。
『いつもので良いよ・・飛行機に乗るんだから』と笑顔で返した。
「よ~し・・行こう、行こう」とレイカが笑顔で言って、全員が頷いた。
『じゃあ、子供達を交互に挟んで、俺とマリで沙紀を挟んで。
マリ・・沙紀を連れて入ってね、後はマリに任せるよ。
マリアは抱いとくから・・安奈がこっちで俺と美由紀の間だね。
後の3人は大丈夫だから、シズカと久美子の間に入って。
一応、モニターに地図を出すけど、全ての指示はシズカに従ってね。
安奈とマリアには発信機を付けるから、安心してね・・俺が状況確認する。
まぁ、戦闘機がどんなに早く飛んでも・・2人の方が早いよ。
加速Gは少しだけしか入れてないから・・久美子とエミの乗るの以外は。
楽しんできてね・・滅多に出来る事じゃないからね。
それじゃあ、橘橋をイメージして・・安奈とマリアは管制室だよ。
じゃあ・・マダムと松さんに行ってきますして、目を閉じてね』
私は笑顔で言って、全員が笑顔で頷くのを確認して、強い波動に見送られ目を閉じた。
管制室はすぐに出てきて、安奈とマリアも入ってきた。
河川敷には既に全員が笑顔で揃っていた、マリのパイロット衣装を見て全員が驚いていた。
真赤な近未来的な衣装を着て、マリが二ヤで沙紀を抱いて立っていた。
「マリちゃん・・ずっと乗りたかったんですね~」と美由紀が二ヤで言って。
「緊張してるよ、美由紀・・怖いのかい?」とマリが流暢な同調言葉で言った。
それを聞いて全員が気付いて、沙紀を笑顔で見た。
「私、大丈夫です・・ジェットコースターだって好きだよ、楽しみで~す」と沙紀が可愛い声で言った。
「可愛い~・・可愛い声だね、沙紀ちゃん」とエミが笑顔で言った。
マリが沙紀を優しく降ろして、沙紀が3人娘に囲まれた。
それをシズカと久美子とマリと美由紀で囲んで、全員に笑顔が咲いていた。
「エミちゃん・・いつもありがとう、本当に勇気を貰ったよ」と沙紀がミサとレイカと手を繋ぎ笑顔で言って。
「私の方が、ありがとうだよ~・・宝物だよ、私とルーシーを描いてくれた沙紀ちゃんの絵が」とエミが笑顔で返した。
全員に嬉しそうな笑顔が溢れていた、私も嬉しくて自然に笑顔になっていた。
『よし・・空母に乗り込んで、いつもの寝る時間には帰るよ』と私が無線で言った。
「了解」と全員が笑顔で返してくれた。
『じゃあ・・安奈とマリアも行っといで・・安奈、マリアを頼むね』と笑顔で言った。
「ラジャー」と安奈が可愛い笑顔で言って。
「らじゃ」とマリアが天使全開で言った。
私は笑顔で頷いて、管制室の天井ハッチを開けた。
マリアが飛び出し、それを追って安奈が飛び出した。
私はモニターの電源を全て入れて、レーダーの電源も入れた。
モニターに映る安奈とマリアの笑顔を確認して、レーダーの2人の位置を確認した。
そして空母のスイッチ、【KUMIKO&EMI】を押した。
空母の後部ハッチが開いて、ピンクの2人乗り戦闘機が出てきた。
滑走路横の8人に笑顔が溢れて、私は沙紀の可愛い笑顔を見ていた。
戦闘機の尾翼に、【KUMIKO&EMI】と書かれていて、2人が笑顔で手を繋いで向かった。
『久美子・・景色を楽しむために、前の席がナビだから・・後部席が操縦席だよ』と無線で言った。
「了解・・楽しみ~」と久美子が笑顔で返してきた。
エミがワクワク笑顔で乗って、久美子がエミの4点式ベルトを確認した。
そして久美子は後部の操縦席に座った、前の席より後部座席の方が高く設定されていた。
前方の視界は確保できて、久美子はそれを確認して頭上のシールドを閉めて、ヘルメットを被った。
『エミ以外の3人は、ヘルメットはいりません・・エミも被らなくても良いよ』と私が無線で言った。
「リアル感出るから、被りま~す」とエミが笑顔で返してきた。
『了解・・久美子、エンジン点火』と私は二ヤで言った。
「了解、エンジン点火します」と久美子が言ってエンジンを点火した、機体が少し振動していた。
私はエミの顔を見ていた、ワクワク笑顔で前を見ていた。
『快晴・・風力0・・楽しんでね・・久美子、発進せよ』と強く言った。
「了解・・久美子&エミ、発進します」と久美子が言った。
久美子は一呼吸入れて、赤い加速ボタンを押した。
戦闘機が猛スピードで滑走路を走った、エミは少しのGに負けないように前を睨んでいた。
戦闘機が滑走路を離れた瞬間に、綺麗に空に舞い上がった。
「素敵~・・最高~」とエミの弾ける声が無線から響いた。
「凄いな~・・楽しみ~」と沙紀がモニターを見ながら、可愛い笑顔で言った。
私は沙紀の笑顔を確認して、【MARI&SAKI】を出した。
マリが笑顔で沙紀の手を握り、沙紀をナビ席に座らせてベルトのチェックをした。
沙紀が視界を遮られるのが嫌なのか、ヘルメットを被らなかった。
私は現実に握っている沙紀の温度のチェックをした、ワクワクな温度で安心していた。
『マリは全く問題ないから・・エンジン点火』と私が言った。
「了解・・エンジン点火」とマリが言って点火した。
『じゃあ、マリよろしく・・マリ、発進せよ』と二ヤで言った。
「了解・・マリ&沙紀、発進します」とマリが言った。
マリも一呼吸入れて、加速ボタンを押した。
微かなGが体を押さえて、猛スピードで加速して、綺麗に空に舞い上がった。
私は沙紀の笑顔を確認して、二ヤ二ヤで【SHIZUKA&MISA】を押した。
シズカが戦闘機を見て少し緊張して、無理やりな笑顔をミサに出した。
「大丈夫だよ~・・シズカちゃんなら」とミサが笑顔で言って、シズカも笑顔のウィンクで返した。
少し緊張してるシズカの顔をニヤ見ながら、発進の指示を出した。
シズカはその恵まれた運動神経で、美しく大空に舞い上がった。
私は乗り越えた表情の美由紀を見て、感心しながら【MIYUKI&REIKA】を出した。
美由紀はワクワク笑顔でレイカのチェックををして、操縦席に乗り込んだ。
私は美由紀に発進の指示を出し、美由紀も見事に大空に舞い上がった。
『それでは楽しんでね、全てのチェックだけここでします・・シズカ、よろしく』と私は無線で全員に言った。
「了解・・私が先頭で行くよ、横に少し広がって・・肉眼で捉える位置で付いて来て」とシズカが言った。
「了解」と久美子とマリと美由紀が返して。
「了解」と安奈が言って、「りょうかい」とマリアが返した。
4機の戦闘機が美しい海の上を、編隊飛行で飛んでいた。
その後ろにスーパーマリアマンと、ウルトラ安奈が笑顔で飛んでいた。
私はそれを笑顔で見ながら、潜水艦と空母の設定を、沙紀の世界用に変更していた。
「シズカちゃん、あれは何?」とミサが言った。
「あれは万里の長城だよ、中国の昔の壁です」とシズカが返して、速度を落として飛んでいた。
「長いね~」とレイカが言って。
「作るの大変だったね」と沙紀が笑顔で言った。
シズカは速度を上げて、シルクロードに方向を変えた。
全機がそれを追って、安奈とマリアも笑顔で追っていた。
シズカはエベレストの真上を飛んで、世界最高峰の頂を見せてから、南東に進路を取った。
パリとロンドンの見事な街並みの上を通過して、アフリカ大陸に向けて飛んだ。
そして大きなピラミッドが見えた、全員がそれを沈黙して見えていた。
シズカはクフ王のピラミッドの前に、垂直降下して着陸した。
全員が戦闘機から降りて、ピラミッド前の大地に立った。
「すっっっごいね~・・どうやって作ったんだろう?」とエミが歓喜の声を上げた。
「そう思わせるよね~・・人間が作ったと思えないよ」とシズカが笑顔で言って。
「感動するね~・・見るだけで、感動する」と久美子が笑顔で言った。
5人娘と沙紀がその光景を静かに見ていた、沙紀の瞳が強く輝いていた。
「ピラミッドは、大昔に作った事も凄いんだけど。
私がそれより凄いと思うのは、正確な方角を示してる事なの。
正確な方角を示し、角度も正確に合っているのよ。
これだけ大きな物の角度を合わす、それを感じると嬉しくなるの。
人間の可能性は無限だと思えて、未来に希望を抱けるから」
シズカはクフ王のピラミッドに向かい、笑顔で言葉にした。
「素敵だな~・・またエースの言葉の意味が分かったよ。
探す事じゃない、感じる事が大切なんだって言葉。
作り方や、なぜ作ったかじゃないんだね・・自分がどう感じたかなんだ。
だから最後をNYにしたんだね、人間の進歩の足跡を感じろって言ってるね。
策略家だよね~・・夜街のエース」
エミがピラミッドに二ヤを出した、引率者の4人がその顔を見て二ヤで頷いた。
「オネエ・・これはお墓なの?」とミサがエミに言った。
「2人はどう思うの?」とエミがミサとレイカに聞いた。
「大きいから、お墓じゃないよね~」とレイカがピラミッドを見ながら言った。
「それに尖ってるから、お墓じゃないよ~」とミサも笑顔で返した。
「アンテナじゃないの・・鰐塚山の上にあるような」とレイカが言って。
「そっか~・・あれはTVとラジオのアンテナって聞いたよ・・じゃあこれは何?」とミサがレイカに言った。
「あれだよ・・沙紀ちゃんの世界で見たじゃない、地球を宇宙から。
宇宙から地球を見ても、建物は分からないよね・・だから大きいのを作ったんだよ。
宇宙から見えるように・・目印だね、ここだよって呼んでるんだよ」
レイカはミサを見て、笑顔で言った。
「宇宙の仲間を呼んでるんだ~、ここにも人がいるよって・・沙紀ちゃんはどう思う?」とミサが笑顔で言って沙紀を見た。
「ミサもレイカも素敵だね、私もそんな感じだけど。
少し違うな~・・私は頑張ってますって、言ってるような気がする。
故郷の星の人達が見つけた時に、この星で私達は頑張ってますって伝えてる。
それを伝えたくて作った気がするよ、地球で生まれて良かったって伝えてる。
そんな強い想いだから作れたんだね、沢山の人が同じ想いで作ったんだね。
これはアンテナだね・・伝えるための、ありがとうを発信するアンテナだね」
沙紀は笑顔で2人に言った、2人は嬉しそうな笑顔で頷いた。
私は感動しながら聞いていた、3人の感性が愛おしかった。
「さぁ・・象さんやキリンさん、沢山の動物達に会いに行こう」とシズカが笑顔で言って。
「は~い」と5人娘と沙紀が笑顔で返した。
全員が戦闘機に乗り、垂直離陸して安奈とマリアが後を追った。
スフィンクスの上を旋回して、サバンナを目指した。
サバンナを低空飛行で飛んで、沢山の野生動物達を見ていた。
5人娘と沙紀に笑顔が溢れて、マリアと安奈が象の背中に乗って、それを4人がウルで見ていた。
アフリカの動物達に手を振って別れて、南米に向かい大海原を飛んでいた。
アマゾンの雄大な流れの上を飛んで、ナスカの地上絵の上をゆっくりと飛んだ。
全員が静かに見ていた、沙紀の感動の熱が左手から伝わってきた。
私は潜水艦と空母の修正も終わり、映し出されるナスカの地上絵を見ていた。
そしてシズカがマチュピチュに方向を変えた、連なる山脈沿いに飛んで突然現れた。
切り立った崖の上に、人工で作られた町の遺跡が現れたのだ。
静寂が無線を支配していた、シズカは2度低空を旋回して、遺跡の広場に着陸した。
全員が無言で戦闘機を降りた、安奈もマリアも無言で大地に足を着けた。
「何かが違う・・圧倒的に何かが違う、景色だけでもそれを感じる」と美由紀が呟いて。
「これに温度や匂い、それに来るまでの苦労と距離を感じたら・・泣くよね」と久美子が呟いて。
「なぜこの場所にって・・それが分かる気がする」とマリが静かに言葉にした。
「追われたんじゃないよね、ここを選んだんだね・・神に近い場所だと感じて」とシズカが言って。
「太陽に近い場所・・太陽こそ神と信じた」とマリが真顔で言った。
次の瞬間、全員が凍結する、天使の声が響き渡る。
「つきじゃない、たいよう・・ひとみは、たいよう」とマリアが天使全開で遺跡に向かい叫んで、猛スピードで飛び出した。
全員がマリアの強い言葉に凍結して、マリアの姿を目で追った。
マリアは遺跡の真中に降りて、石が積み上げられた遺跡の影に入った。
全員が沈黙して見ていると、マリアを抱いた少女の姿が現れた。
少女は可愛い笑顔で手を振っていた、13歳のヒトミが笑顔で手を振っていた。
「ヒトミ!」と叫んで美由紀が走り出そうとしたが、動けなかった。
「境界線だよ、美由紀・・無理だよ、今は行けないよ」とマリが強く美由紀に言った。
「そうだよ美由紀、悲しい顔をするなよ・・ヒトミに怒られるぞ」とシズカが笑顔で言った、その言葉で美由紀が笑顔になった。
「ルーシー・・ありがと~」と沙紀が大声で叫んで、笑顔で手を振った。
それで全員が笑顔になって、ヒトミを見て思い思いに叫んだ。
全員でヒトミに叫んで手を振っていた、ヒトミも嬉しそうな笑顔で手を振っていた。
ヒトミがマリアの頬にキスをして、マリアも何かをヒトミに告げて皆の場所に戻った。
マリアは美由紀に飛びついて、美由紀は笑顔でマリアを抱きしめた。
「ありがとう、マリア・・ありがとう、嬉しかったよ~」と美由紀はマリアを抱いて泣いていた。
「みゆき・・なきむし~・・ひとみがゆってた~」とアリアが天使全開不敵で言った。
「マリア・・上手くなったね~、不敵マリア」と言って美由紀が笑った。
ヒトミはそれを見て、遺跡の影に歩いて行き見えなくなった。
「さぁ・・最大の都市に行こう、NYに」とシズカが強く言って。
「了解」と全員が笑顔で返した。
戦闘機に全員が乗り込んで、安奈とマリアが飛び上がった。
マチュピチュの上を3度旋回して、シズカは北に進路を取った。
南米大陸から北米大陸に入り、グランドキャニオンを低空飛行で飛んで。
上空10000mまで上がり、高速で飛行した。
そして高度を下げると見えてきた、自由の女神が迎えてくれた。
全員が笑顔で自由の女神の前を飛んで、マリアが先頭を飛んで、安奈が追いかけた。
その後ろを戦闘機が一列で、巨大な高層ビル群を縫うように低空飛行で飛んだ。
マリアはマンハッタンを楽しんで、知っていたかのようにセントラルパークに降りた。
そこには芝生にシートが広げてあり、満開の桜の木の下に白いグランドピアノが置かれていた。
《満開の桜・・進入させたね~・・モモカ》と私は心に囁いた。
映像の世界に入って、初めて心に囁いて、強烈なウルの波動を受けていた。
安奈とマリアは笑顔でシートに寝転んだ、戦闘機が広場に垂直に降りて着陸した。
子供達が戦闘機を降りて、シートの場所に走った。
沙紀がエミと並んで笑顔で駆けていた、ミサもレイカも楽しそうな笑顔だった。
「さすが、小僧だね~・・最後は楽しく締めるんだよね~」と美由紀が歩きながら笑顔で言って。
「桜が咲いてるね、セントラルパークに桜が・・綺麗だね~」とシズカが微笑んで。
「久美子の場所が有るね・・素敵な旅の終わりだね~」とマリが久美子に微笑んだ。
「最高のプレゼントです・・エースは素敵だよ、嬉しいな~」と久美子が笑顔で返して、ピアノの方に歩いた。
「さぁ・・子供達は目を閉じて、少し寝ましょう・・久美子先生がNYの曲を弾いてくれるから」とシズカが笑顔で言った。
「はーい」と5人の少女が返した、マリアは既にカエル状態で熟睡していた。
少女達が笑顔で目を閉じたのを確認して、久美子が優しくサマータイムを弾いた。
少女達の笑顔に桜の花びらが振って来た、エミはそれでハッとして目を開けた。
他の4人は眠りに入ったようだった、シズカとマリと美由紀は桜の木を見ていた。
「風が・・春風が来た・・久美子の場所に」とマリが俯いて二ヤで言った。
その言葉で、シズカと美由紀とエミが久美子を見た。
久美子は静かなサマータイムを笑顔で弾いていた、その横に可愛い少女が座っていた。
「モモカ!」と美由紀が叫んだ。
「来たね~・・さすがモモカ、小僧の映像には遠隔で入れるのか~」とシズカが笑顔で言って。
「可愛いな~・・イメージ通りだ、モモカちゃん」とエミが笑顔で言った。
モモカはルンルン笑顔で久美子を見ていた、久美子は集中していてそれに気付いてなかった。
久美子はサビだけを少し強めに弾いて、弾き終り桜を見上げて微笑んだ。
「どうしてかな~・・モモカ分からないの・・強い方が届くの?
弱いと届かないの?・・モモカはまだ、強い音が出せないの。
届かないのかな~・・弱いと届かないのかな~」
モモカはルンルン笑顔で久美子を見て言った、その言葉で久美子が慌ててモモカを見た。
美しい16歳の笑顔が爆発して、久美子はモモカを抱き上げた。
「モモカちゃん、私は久美子です・・モモカ・・届くんだよ。
弱い音でも届くんだよ、音の強さは関係ないの・・それに込めた強さなの。
込める強さは、モモカでも強く込めれるでしょ・・それで良いのよ。
人の心に届く音は、耳で聞こえる強さじゃないの・・それに込めた想いなの。
ありがとう・・モモカ・・私に思い出させてくれたのね。
私は勘違いしそうだったね・・ステージを意識し過ぎてたね。
私がいるから大丈夫だよ・・沙紀の世界も、由美子の世界にも行くからね。
私が勘違いしそうな時は・・モモカが春風で伝えてね。
ありがとう、モモカ・・本当に嬉しかったよ」
久美子は輝く笑顔でそう言って、ルンルン笑顔のモモカの頬にキスをした。
「はい・・久美子ちゃん・・素敵なお母さんですね、久美子ちゃんを見て笑ってますね。
嬉しそうですね、楽しそうですね・・ありがとう、久美子ちゃん」
モモカは凍結する久美子にそう言って、久美子の頬にキスを返した。
そして号泣する久美子の涙に、《ふっ》と優しく息をかけてピアノの椅子を降りた。
そして動けない、シズカとマリと美由紀とエミを見た。
「エミちゃん・・モモカ、エミちゃんに会えるの・・楽しみにしてま~す」とモモカがルンルン笑顔で言った。
「私もだよ、モモカちゃん・・楽しみにしてるね~」とエミが笑顔で返した。
モモカは笑顔で頷いて4人に手を振った、4人も笑顔で手を振った。
そしてモモカは桜の木に振り返り、久美子にルンルン笑顔を向けた。
「ありがとう、モモカ・・幸せだった」と久美子は泣きながら微笑んだ。
「はい・・モモカにも、ピアノを教えて下さいね」とモモカは笑顔で言って手を振った。
「約束だよ、モモカ・・私は厳しいよ~」と久美子も笑顔で言って手を振った。
モモカは笑顔で頷いて、桜の木の影に入った。
その時、一陣の強い春風が吹いて、満開の桜の花びらで全員を包み込んだ。
「甘い香りがするね・・モモカちゃんは、風の中にいるんだね」とエミが空を見上げて言った。
「そうだよ、エミ・・モモカは風の中にいて、小僧を助けるんだ。
小僧の心の全てを感じながら成長した、モモカにしか出来ないんだよ。
モモカはルンルン笑顔で伝えてくれる・・春風に乗って、甘い香りを連れて。
その問いかけは、未来に繋がる・・笑顔を連れてその道を示す。
貴重な春風なんだ・・全員に届けてくれるんだよ、春風の優しさを」
美由紀も空を見ながら笑顔で言った、エミは空に向かい強く頷いた。
シズカとマリも笑顔で空を見ていた、大都会の快晴の青空を。
桜のピンクの花びらがゆっくりと、漂うように飛んでいた。
久美子は涙の乾きを感じて、桜の木を笑顔で見上げていた。
花びらに包まれるように、4人の少女の寝顔があった・・大都会の片隅に・・。