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      【冬物語・・螺旋の系譜⑥】 

恋人達の一大イベントが終わり、年の瀬と言われる季節が到来した。

街並みの景色が変わり、足早に歩く人々に年末を意識させていた。


女性達が笑顔で挨拶して解散になった、私は眠そうなマリアを抱いていた。

蘭がナギサとデパートに出かけ、ミコトと千鶴で出かけたようだった。

限界ファイブと中1トリオとマリを、律子が連れて出て行き、哲夫は4人娘と遊んでいた。


楽しそうな裏方4人組と、リリー・ネネ・カレンに片付けを任せて。

私はマリアを抱いて、哲夫と4人娘を連れてTVルームに戻った。


TVルームにはマダムと五天女が揃い、北斗とアンナが座っていた。

北斗が静かにレポートを読んでいた、1枚読み終わる毎に隣のユリさんに渡していた。

ユリさんの次に大ママが受け取り、3人は真剣な顔で読んでいた。

ユリカとリアンとアンナも3人で読んでいて、静かな空間が出来ていた。


「シズカという子は、超えていますね・・文面に、確かな熱がありますね」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

『怖かったですから、その時のシズカは』と笑顔で返した。

「レポートを書いた時、シズカ姉さん小6だったんです・・俺は小6になって読み返したけど、凄過ぎる」と哲夫は真顔で言った。


『北斗・・一気に読んだら駄目だよ』と真剣な北斗に言った。

「うん・・今は5歳までにするよ、大丈夫だよエース」と北斗が笑顔で返してきた。

その笑顔に陰りが無く、瞳が澄んでいたので、私は笑顔で返した。


その時松さんが入ってきて、その後ろからフネが笑顔で入ってきた。

フネがユリさんとアンナに挨拶して、驚く大ママと北斗の横に座った。


「飛鳥・・頑張ってるね、誇らしい妹だよ・・会いに行こうと思ってたけど、忙しくてね」とフネが笑顔で大ママの横に座った。

「サツキ姉さん、ご無沙汰しています・・どこかで働いてるのですか?」と大ママが嬉しそうな笑顔で言った。

「マリーのフロアーを見てくれと頼まれてね、加々見社長直々の頼みだから断れなくて」とフネが笑顔で返した。

「嬉しい話です、サツキ姉さんの復活は・・夜街には貴重な事ですよ」と大ママも笑顔で返した。


「さすがですね~、麗しの五月・・相変わらずお美しい」とレポートを片付けて北斗が微笑んだ。

「それはこっちの台詞だよ、北斗がいるとは驚いたよ」とフネが笑顔で返した。

「今は派遣でやっています、エースに口説かれて」と北斗が二ヤで返した。

「そうなの!・・それは派遣に期待できるね~」とフネが笑顔で返した。

「派遣を使う感じになったんですか?」と大ママが笑顔で聞いた。

フネが笑顔で頷いて、女性達も笑顔で返した。


『マイはどう?・・変化があったかな?』と私はマリアをベッドに寝かせて、フネの前に座った。

「あったよ、戻った感じになったね・・他の女性達が、魔法だって騒いでるよ」とフネが二ヤで返してきた。

『そうなんだ・・素直で良い子だよね~』と笑顔で返した。


「それで加々見社長の次の依頼・・来年早々変化を促して、派遣を誰でも受け入れる。

 何人でも、自給はそっちの設定を全て飲む・・その代わり接客だけじゃない。

 変化を促して欲しい・・それが次の依頼内容だよ、分かってると思うけど」


フネは笑顔で言った、私は二ヤで頷いた。


『了解です・・ある程度の作戦は立ててるよ、最初にレベル差を見せる。

 バイトのエースを出すよ、4人組のコンビネーションで見せ付ける。

 あの広さでどう動くのか、俺も楽しみなんだよ・・面白いと思う。

 そして少し変化が有ったら・・次は俺のベストメンバーを出すよ』


私は二ヤで返した、フネは興味津々になっていた。


「なるほどね~・・ベストメンバーの打順は?」とフネも二ヤで返した。


『1番バッターがユリカ・・2番がリアン、3番ミチル、4番がユリ。

 そして5番が北斗、6番アンナ、7番ミコト、8番蘭、9番ナギサ。

 このベストメンバーを投入する、そしてマリーの派遣での中心はリリー。

 圧倒的な違いを見せ付ける、必ず本物に火を点けるオーダーだよ。

 それが終われば、何人かが出てきてると思う・・その時を狙う。

 銀河の奇跡3人を出す、そして最強19歳トリオを出すよ』


私は女性達を見回して、ニヤで言った。

「冗談にしか聞こえないメンバーだよ、本気なのかい?」とフネが驚いて言った。


『もちろん・・ユリカは了承済みだし、誰も断らないと思ってる。

 この打順で俺が想定出来ないのが、7番のミコト・・魅宴の現役No1。

 俺はミコトに対しては、慎重になるんだよ・・大切な存在なんだ。

 四天女を投入して、派遣のベテラン2人を投入。

 衝撃の後に安定感を出して、その次のミコトで更なる衝撃を与える。

 そして同世代のエース、蘭・ナギサ・リリーで点火するよ。

 俺は【麗しの5月】に、1つの解答を見せるよ・・女帝飛鳥の解答を。

 飛鳥が育てた3人で・・魅宴の伝説、ユリカとミコトとナギサでね。

 それが飛鳥の望みだと思ってるから、解答書を提出するよ・・フネという人に。

 御大でなく、フネという伝説の女性にね・・お楽しみに。

 俺はマリーに有ると思ってる、次の世界のヒントが・・それが知りたい。

 あの大型店が成功すれば、必ず何かが生まれると信じてるよ』


私は笑顔でフネを見て、強く言葉にして伝えた。

フネの驚き顔を楽しんで、大ママの嬉しそうな笑顔を見ていた。


「怖い男を育てましたね~、マダム」とフネはマダムに二ヤで言った。

「放し飼いじゃよ、勝手に育っていくよ」とマダムが二ヤで返して。

「サツキ・・今の幻海を見に行ってみなよ、驚くと思うよ」と松さんが二ヤで返した。


「それは轟さんからも言われましたよ、エースの解答を一度見に来いと」とフネが笑顔で返した。

「今のサツキは、マリーのご意見番なのかい?・・現役でもいけそうだけどね」と松さんが二ヤで突っ込んだ。

「2ヶ月前からですけど、加々見社長に頼まれて・・大き過ぎて難しいですよ」とフネが笑顔で返した。


「マリーレインのあの区画・・前はダンスホールでしたよね、広いですよね」とユリさんが微笑んで。

「その前はストリップだったよ、かなり広いよね」と大ママが笑顔で言って。

「小林さんも検討したらしいけど、諦めたと言ったのを聞いた事があります」とアンナが笑顔で言った。


「ダンスホールの初期は、生バンドも入って流行ってたよ。

 塚本も谷田も少年の頃バイトで弾いてた、娯楽の無い時代だったからの。

 若者が集結してたよ・・だが時代の波に乗れなかった、変化の時を見過ごした。

 時代はディスコという横文字になり、意味の分からん英語の歌で踊るようになった。

 若者達に文化の壁が無くなった、それを戦時派の経営者が認められなかったんじゃ。

 文化は押し付ける事じゃないよな、選択肢が多用でなければならん。

 衰退は認められない心が選択した、狭い心が衰退を招いたんじゃよ。

 次の世界を求める、それが大切じゃよな・・それに対する変化を求める。

 確かにマリーレインの成功には、次の何かが見えるかもな・・面白いよ。

 夜街に会社組織が誕生すれば、必ず変化は現れる・・それが次の世界ならばね」


マダムは笑顔で私を見ながら言った、笑顔とは裏腹の真剣な迫力を感じていた。


「確かにどんな選択にも弊害はありますね、個人経営の弊害も大きくなってます。

 戦後復興の為と国が守ってきた既得権益も、開放される話が出てきましたね。

 今の話の流れだと、まずは酒類販売がそうなるでしょう。

 酒類に関しては、国は高い税金を掛ければ良いだけですから。

 製造してるのは、全て民間の酒造会社ですからね・・タバコとは違います。

 販売制限を緩和して、販売量を拡大したいでしょうね・・そうすれば出てきます。

 安売り店が出現しますよね、そして大きな会社組織のチェーン店が出てくるでしょう。

 その時に既存の酒屋さんがどう変化するのか、そこが勝負になりますね。

 お酒は確実に値下がりします、為替レートも今は円高安定で推移してますから。

 輸入酒は今でも下がっていますね、そうなれば末端まで普及します。

 お酒を楽しむ人も選択肢も増えますね、洋酒が焼酎並みの価格になれば。

 それによる夜の世界も多様化が進むでしょう、安価競争も出てきますから。

 夜の世界は付加価値の勝負になりますね、時間にどう付加価値を付けるのか。

 次の時代は裾野を広げる、安価競争で選択肢を広げる・・その時に問題になりますね。

 レベルの満たない人への対応が、裾野を広げた事で現れるでしょうから。

 金を払えば何でも有りと言う人が、ルールを無視する人が現れるでしょう。

 エースはそこまでの設定をしてるのでしょう、だからマリーにベストメンバーを出す。

 感じろと言ってるんでしょうね、五天女などと言われて調子に乗ってる私達に。

 次の難しい時代を感じろと・・その為に最強の派遣メンバーを揃えてる。

 エースの言う底辺のレベルを上げる、私もその底辺にいると言われてる。

 私はそう思ってます、まだ上がれと煽られてると・・全国的に見れば、私も底辺だと。

 私もそう実感しています、マリーレイン楽しみです・・私には問題も出されてますから」


ユリさんは私を見て薔薇二ヤで言った、私もニヤで返した。


「聞かせてもらおう、エースの次の方向性を・・私もマリーに行くんだから」とミチルが妖艶二ヤで言って。

「話してくれ、エース・・次の取り組みを」と大ママが笑顔で言った。


その時、片付けをしていた7人と、銀河の3人が入って来た。

10人は大ママに手招かれ、笑顔でフネに挨拶をしていた。


「凄いメンバーだね、見ただけで分かるよ・・銀河の奇跡、噂以上だね~」とフネが笑顔で言った。

銀河の嬉しそうな笑顔が咲いて、10人が私の側に座った。


「じゃあやってくれ、エースの次の方向性を・・話してもらおう」とリアンが極炎ニカで催促した。


『これはドン・小林に聞いて、新聞で読んだんだけど・・東京には次の提案が出てる。

 キャバクラと言って、六本木と新宿に出てきてる。

 概要はクラブよりも安く、キャバレーよりソフト・・その中間的な感じだと思う。

 接客の主流も若い女性で、接待よりも内輪やプライベートを主に狙う。

 銀座のクラブ関係者は、あれは接客じゃないと言ってるらしいけど。

 それこそが馬鹿な意見だと思う、不必要なプライドが認める事を許さない。

 確かに危ない経営方針の店も多いらしい、後ろに黒い影も付き纏う。

 そんなのは夜の常識だよね、世間はそれを大きく扱うけど、客には関係無い話だよ。

 まともに遊んでるなら、その世界と関わることは無いのに、影の存在に極度に脅える。

 今は出始めで、手探りの状態なんだろうね・・でも必ず成功する店は出てくる。

 若い女性を多く扱うなら、経営側も会社組織じゃないと難しいと思う。

 引抜じゃなくスカウトをしなければならない、東京にはゴロゴロいるだろうし。

 それに夢を描いて、夜に挑戦する女性も沢山いるだろうから。

 

 今の宮崎でキャバクラに最も近いのは、俺の知る限り・・ゴールドだと思う。

 そしてユリさんがフロアーを離れた状態の、PGがその方向に走るだろうね。

 この2店が接待に対しては、幻海や魅宴に及ばないのは周知の事実だし。

 ユリさんの存在が薄まれば、その方向を求められないPGが現れるだろう。

 日本が今の勢いで成長すれば、客は次々と湧いて出てくる。

 既存の客を奪い合う必要は無いし、店側の狙いも定めやすい。

 取り込めるキャパは同じだから、方向性を店が示して・・客が選択する。

 もちろん景気が下がらなければの話だけど、まだ大丈夫そうだよね。

 その時に間違わない、簡単に遊べる店だと提示しない・・問題は一人で来る客。

 そのレベルを客に間接的に問う、レベルに達していない客に甘さを見せない。

 店は客を選べない・・夜の世界の常識としてそう言われるけど、試験は出せるよ。

 拒絶は出来ないだろうけど、不合格の通知は出来る・・しなければならない。

 俺はそれが付加価値だと思ってるし、お客のステータスになると思ってる。

 夜遊びにも段階があると提示する、だから上のレベルは到達した人間に付いて行く。

 そして少しずつ経験して、その世界を知る事で楽しめる・・その人が次の世代に繋ぐ。

 若者の集まる店はそれが如実に現れてる、特に大学生・・18で初めて酒を飲む。

 そして夜の世界を経験していく、先輩に連れられて・・安価な若者相手の店から。

 その時に感じさせたい、妖しく素敵な世界が有るんだと・・五感を刺激したい。

 女性達が歩く姿を街で見るだけで、それを感じさせたい・・それで養殖する。

 客を養殖するんだ、そのレベルの人間を目指せと煽る。

 歩くだけ、すれ違うだけで感じさせて欲しい・・上級な空間が存在する事を。

 金だけでは楽しめない空間を感じさせて、それが試験になると思うから。

 

 確かに金を出せば、何でもOKな危ない店も多く存在するよね。

 でもそんな店の客は続くとは思えない、それにのめり込むような客はいらない。

 そんな経験もして、仕事を始めて自由になる金も出来る。

 上司という存在が連れて来る、夜の世界が段階を踏んで養殖した次の世代を。

 それで繋ぐしかない、夜の世界が存在し続けるには・・全てのジャンルが必要なんだ。

 危ない店も風俗店も、手の届かない高級な店も、自分の存在が小さく感じる大型店も。

 養殖する為に、経験させる為に・・そして飽きさせない為に。

 

 俺はその考えのモデル店として、マリーレインの改革に取り組む。

 あの広さでの安定を目指す、その為には女性達の意識改革が必要になる。

 ユリさんに探し出してもらう、四天女見つけ出してもらうよ。

 マリーを背負う女性を・・その子が決まれば、リリーをぶつける。

 派遣の秘密兵器で勝負をかける、そして銀河を投入する・・銀河の真価を問う。

 銀河には言い訳は許さない、次の世代が手薬煉引いて待ってるから。

 カレンには、幻海のアイコに勝負を挑ませる・・そしてゴールドのエース、セリカ。

 それに・・比類なき存在、シオンが後ろに控えてる。

 銀河がリリーを狙わないのなら、俺はカレンとセリカに狙わせる。

 俺は全ての想定をする、蘭もナギサも存在しなくなる設定もする。

 それが出来るようになった、派遣にリリーが存在する事で・・それが出来る。

 俺は必ず煽り続け、挑戦させ続けてみせる・・レンとケイコにも。

 ハルカとミサキにも・・そしてマキとヨーコにも、歩みを止めさせない。

 五天女を感じ、北斗とアンナを感じ・・同じ土俵で働いた、最後の世代。

 俺が幼い時から知る、マキとヨーコで1つの答えを出したい。

 俺はマキかヨーコで作り出す、無意味な称号を持てる女性を。

 誰も今まで手に出来なかった、その価値の無い称号・・女王を作り出す。

 その時に次の時代が来る、俺の考える次の時代が・・その時にどうなってるのか。

 ハルカとミサキ、その選ばれし2人がどう存在するのか・・それが楽しみだよ。

 そして今から出てくる最新型も楽しみだね、違うエンジンに出会えるのが。

 その未来の為には、銀河の奇跡こそが道標なんだ・・その選ばれし3人で勝負する。

 やってくれるだろう、宮崎の夜街の若手を抑えて・・東京のオープニングリーダーを。

 俺は経験する場所は用意する、女帝3人が育てた3人に期待する。

 蘭とナギサとアイコとリリー・・この4人に挑め、そしてネネと小夜子に。

 この6人を感じて、必要な部分は全て取り込め・・そして最強のバトンを繋げ。

 タイムリミットは4年・・4年後に見せてもらう、銀河の奇跡と呼ばれた理由を』


私は銀河3人を見ながら、その下の世代の女性達に二ヤを出した。


「やるよ、必ず最強のバトンを繋いでやるよ」とカスミが最強不敵で言って。

「良いだろう、その位の期待はしてもらうよ」とリョウが魔性で微笑んで。

「4年で良いんだね、十分だよ・・常に最新型を提示してね」とホノカが華麗に微笑んだ。


「ユリ姉さんは・・いよいよ望んだ段階に入ったんですか?」とユリカが真顔で言った。

「ユリ・・フロアーに距離を置くの?」とミチルが真顔で聞いて。

「そうらしいね~・・噂になりそうだよね」と大ママが二ヤでユリさんを見た。


「そうします・・この12月から、指名以外は接客を抑えています。

 私は必死にPGの世界を作ってきました、でもそれは狭い世界になってしまった。

 ワンマンの弊害ですね、私が女性達に強要してた部分も強かったです。

 一人一人に素晴らしい個性が有るのに、私の考えを押し付けていました。

 私は共同体の5店に出て気付きました、正解など無いんだと。

 答えを探すべき事ではなかった、私もどこかで満足する心を求めていた。

 そう実感しましたね、そして気付きました・・エースが共同体に込めた想いを。

 それは今は言えません・・私は出会いたいんです、最新型の女性達に。

 新しい感覚と価値観で挑戦してくる、次の世代の女性達に。

 満足とは所詮、金で買う物の事だよ・・私はこの言葉で、エースに賭けました。

 お金で買えない物を作り上げたい、マダム・松さん・フネさん・北斗姉さんと。

 出会えなかった、真希さんに提出します・・私とミチルでが受け取ったバトンを。

 そのバトンに対する解答を、提出したいと思っています。

 リアンとユリカに繋ぐバトンで・・その解答を出したいと思っています」


ユリさんは真剣に言葉にした、私は俯いているマダムと松さんを見ていた。

15年の時を2人は感じているのだろう、そして真希さんを思い出しているんだろう。

私はそう思っていた、フネの強い瞳がユリさんを見ていた。


「私はユリを見た時に、最新型だと衝撃を受けたよ。

 私は引退していて、飛鳥に連れて来てもらった・・このPGにね。

 北斗とユリと、デビューしたてのリアンがいた・・恐ろしい風景だった。

 サクラが結婚引退して、その穴をリアンが18で埋めていた。

 22歳のアイが必死になっていて、それを北斗が煽っていたよ。

 そして君臨していた、23歳のユリ・・圧倒的だった、その存在自体が。

 しかし今の話を聞いて、ユリは別物だと確信したよ。

 エース・・来年楽しみにしてるよ、社長も楽しみにしてると思うよ」


フネが私に笑顔で言った、私が笑顔で返すと、フネは私の後ろを見て固まっていた。

私が振り向くと、律子とマリが立っていた。


「フネ!・・金をかければ、若さは維持出来るのね」と律子の声がした。

「律子・・金じゃないよ、才能だよ」とフネが二ヤで返した。


律子も二ヤで返して、私の横にマリと座った。


「怖いから、帰ろうかな~」と大ママがウルで言った。

『大ママのウル、初めて見たよ』と私は二ヤで言った。

「飛鳥は怖いよの~・・律子とフネの絡みは」とマダムが二ヤで言って。

「嫌ですよ~、マダム・・ユリカの興味津々が怖いですよ、最近変化が激しいよ・・ユリカ」と律子が二ヤでユリカに言った。


「律子姉さん、少し注意して下さい・・あなたの息子は、ユリカをひいきしてます」と北斗が二ヤで言った。

「ちょっと待って・・律子の息子なの?」とフネが驚いて聞いた。

「残念ながらね・・当然だけど、父親は勝也だよ」と律子が二ヤで返した。

「じゃあ・・あの時の少年がエースなの?」とフネが笑顔で言った、律子も笑顔で頷いた。


「勝也の息子が、加々見さんに次の世界を提案する・・それが男のバトンなのね?」とフネが律子に笑顔で言った。

「そうよ・・そしてこの子がマリ、加々見君の問題を解いた子よ」と律子が笑顔で言って、マリが頭を下げた。

「あなたがマリちゃん、私はフネです・・加々見社長が誰よりも、マリちゃんを右腕に欲しいと言ってたよ」とフネが嬉しそうな笑顔で言った。

「ありがとうございます・・嬉しいです」とマリがゆっくりと言葉で返した。


「フネも見ておいてね、あんたならすぐに感じるから。

 五天女に見せますね、マリの本当の姿を・・それが大切だと、私は思ったから。

 私は小僧の本心を唯一分かってる母親として、小僧に3度目の援護をします。

 私は今まで・・ヒトミの段階の時と左手に誘う時、その2回だけ援護しました。

 それは困難な事だったから、私も経験して感じてたからです。

 小僧は次に沙紀に取り組む、今回の沙紀の世界は困難な道です。

 私は小僧の準備を感じて、リンダの素晴らしい試験も見ました。

 それでも小僧もマリは足りないと思ってる、それはマリが脱いでいない。

 自分を守る為に作り出した、防御のためのベールを脱げない。

 その原因は、理解されない事に対する恐怖・・理解されたいと思う心です。

 マリがそれを脱ぐ決心をしました、理解を求めないと私に言ってくれました。

 マリはユリカに出会って気付いた、自分の間違いに気付いたのでしょう。

 そしてミホと沙紀を感じて、自分も強くなりたいと思ったのでしょう。

 マリと小僧は戦いを挑みます・・由美子に対する、悪質なシナリオに。

 

 フネがここに居るのにも、実は大きな意味があります。

 小僧は覚えてないでしょうが、小僧はフネに会っています・・4年前に。

 小児病棟でフネに会っています、フネの妹と一緒に出会いました。

 フネの妹が早産で、未熟児を出産した時です。

 私は小僧と、ヒトミに会いに病院に行って・・偶然フネに再会しました。

 私はフネと話して、小僧を連れて新生児室を覗きに行きました。

 出産から1ヶ月が経過していて、その乳児も体が大きくなっていて。

 保育器からも出て、順調に成長して・・退院も出来そうだと言われてた頃でした。

 私がフネの妹と挨拶していると、小僧が何気に言ったんです。

 あの子の事なの、あの子は強いんだよ・・言葉が強いよ。

 小僧は母親にそう言ったんです、フネと妹は驚いて小僧を見ていました。

 その言葉を婦長が聞いていて、乳児を抱いて出てきて、小僧に抱かせました。

 小僧は乳児を抱いて、笑顔で話しかけて・・そして母親にこう言ったんです。

 お母さん、心配性だね・・この子は大丈夫、健常者だよ・・素敵な子だよ。

 小僧はそう言いました、母親は泣いていて・・フネが聞いたんです。

 どうして分かるのかと、フネは小僧に真剣に聞きました。

 小僧は笑顔で答えました・・温度だよ、この子は強く伝えてくるよ。

 その言葉でフネは笑顔になりました・・フネは一瞬で分かった、感覚的な女だから。

 

 私がフネに出会ったのは、まだ20歳そこそこの頃です・・和尚に紹介されました。

 その頃の私は、今のマリと同じで悩んでいた、フネも同じ悩みで和尚を尋ねた。

 それで出会って、すぐに意気投合しました・・私はフネを真希に紹介した。

 フネは真希を知って、夜の世界に踏み出しました・・出来たばかりの幻海に入店した。

 フネは千花を選ばなかった、真希に挑戦を挑んだんです。

 フネは真希と同じ場所にいる事を恐れました、2つの力が重なる事を恐れた。

 それから麗しの五月と呼ばれ、真希と肩を並べる存在になった。

 フネは避けていました、真希を避けていた・・真希は会いたかったでしょう。

 そして真希が引退して、フネは後悔しました・・真希と触れ合わなかった事を。

 だからこそ魅宴が開店する時に、勝也がフネを飛鳥に紹介したんでしょうね。

 勝也はその時こう言っています・・飛鳥で感じろ、真希の想いを飛鳥で感じろ。

 フネはそれから飛鳥を育てたのね、自分の想いを全て飛鳥に託したのでしょう。

 

 私は今日のマリの言葉が本当に嬉しかった、本当の勇気を持てた言葉が。

 マリはヒトミに会わなかった・・それは恐れたんです、2つの力が重なる事を。

 マリは全て自分で克服してきた、それは私やフネやユリカを完全に超えています。

 マリは幼くして気付いた、自分の力の意味も・・そして悪質なシナリオも。

 マリが踏み出そうとするその力を、ここにいる全員で感じて欲しい。

 見解や感想などいりません、感じてくれればそれで良いと思います。

 マリは到達しました、その最後の背中を押したのが・・リンダです。

 あの空母の名前はMARIでした、強いリンダのメッセージですね。

 マリは母艦に成る為に、今からベールを脱ぎます・・感じてもらえますか?」


律子は強い言葉で言った、マリは律子の横で俯いて集中していた。


「感じたい・・私は感じてみたい、マリちゃんを」とエミが笑顔で言った。


「エミ・・ありがとう」とマリがエミを見て微笑んだ。


「マリ・・全裸の心でね」とユリカがマリに微笑んだ、マリも強く頷いた。


暖かい集中の中で、マリはユリカを見ていた・・自分を表現する為に。


マリは恐怖に気付いていた、その強い心が求めたのは・・螺旋に描かれた鼓動だった・・。






 

 

 


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