【冬物語・・螺旋の系譜③】
深海の怪しい光を目指して、自らの意志で潜水した。
その光景はどこか幻想的で、暗闇の中の希望のように輝いていた。
シズカの言葉で、女性達に笑顔が戻っていた。
エミは二ヤで隣のヨーコ見た、ヨーコも二ヤで返していた。
「透明の通路に接近します・・衝撃に備えて下さい」とカスミが言った。
全員がモニターに視線を戻した、暗黒の深海に照明で照らされた、透明の通路が見えた。
潜水艦は、透明の通路の手前5mの海底に着地した。
「透明の通路と、潜水艦の上部ハッチの直径・・全く同じです」と千鶴がモニターで計算して二ヤで言った。
「サービス良いね~、リンダ・・濡れなくて済むね」とミコトが微笑んだ。
「カスミ・・船首部分を付けてみよう」とユリカが二ヤで言った。
「了解・・前進します」とカスミが返した。
潜水艦はゆっくりと前進して、通路の入口に当たった。
通路の入口を封鎖してるのは、柔らかな素材のようで変形していた。
「押してみよう・・ゴムみたいだから」とユリカがカスミに言った。
「了解・・押します」とカスミが言って、アクセルを踏んだ。
潜水艦の船首が綺麗に透明の通路を塞ぎ、入口の封鎖は破れたが、海水の浸入は無かった。
「よし・・良いみたいだね、全員ベルトを外して・・標準装備を配るから」と大ママが言って。
「シズカ・・標準装備の説明をして」とユリカがシズカに微笑んだ。
「了解です・・モニターに出します。
まずはこの透明のサングラス、これは戦闘機のヘルメットのスコープとほぼ同じです。
違いは・・緊急無線の場合は、左目の部分にモニターが出ます。
それに敵が至近距離・・5m以内に入ると危険を表示します。
そしてこの腕時計型の装備は、モニターとレーダーです。
右枠のボタンで切り替ええます、レーダーは自分の位置と、潜水艦の位置を出せます。
モニターは大事な場面を自動で映しますから、通常はモニターにして下さい。
そしてこの腰に付ける小さな円筒は、浮上装置です・・浮上したい時に使って下さい。
戦闘中に海水が流れ込んでくる想定をして下さい、もちろん水圧はありません。
そしてどんなに急激に浮上しても、身体的に何も問題はありません。
これを装備して、下の格納庫で武器を装備して行きましょう」
シズカが笑顔で説明した、女性達はワクワク笑顔になっていた。
ミコトと千鶴が装備を配り、カスミとホノカが幻海の8人に操縦の説明をした。
そしてアンナと幻海の8人を残して、女性達が格納庫に降りた。
武器を受け取り、腰にベルトを巻き、弓を背負った。
リリーの瞳のリングは回転して、それをカスミが不敵二ヤで見ていた。
「それじゃあ、私とミコトと千鶴で先頭を行こう・・大ママとヨーコでエミを挟んで」とユリカが言って。
「了解・・後は順次で、最後尾にカスミとホノカでよろしく」と大ママが言った。
「最前部ハッチ、開けます」とアンナが言って、幻海の若い女性がスイッチを押した。
ハッチはゆっくりと開き、通路の照明の明かりが入ってきた。
ユリカが先頭を進み、その横にミコトと千鶴が並んで歩いた。
3人の手にはマシンガンが握られていた、その後ろにシオンとレンとミサキが続いた。
スナックの女性達が大ママとヨーコとエミの前後に入って、シズカと美由紀と沙織がその後ろ。
最後尾にカスミとホノカとカレンが、笑顔で歩いていた。
透明の通路は狭いトンネルのように、声が反響していた。
頭上には光の届かない深海に、見た事も無い魚が泳いでいた。
約1km程の通路を抜けて、ゴーストタウンのような町に入った。
建物は石で出来ていて、ローマの遺跡のようなデザインだった。
一番大きな建物が、広場に面して立っていた。
「あれを上りますか、視界が確保できそうですから」と広場に到着してユリカが大ママに言った。
「そうしようかね・・敵がいるかも知れないからね」と大ママが言って、全員が頷いた。
その時だった、建物の上を小さな円盤型の物体が飛んできた。
そしてエミの真上に止まった、ヨーコはエミに覆い被さった。
円盤から強烈な光が発射され、ヨーコとエミは透明のカプセルに閉じ込められた。
一瞬の出来事で、誰も対応出来なかった。
カプセルは2人を乗せたまま浮き上がった。
「円盤を撃つな・・エミの安全が確保されない」と大ママが叫んで。
「全員・・建物の影に一旦退避」とユリカが叫んで、全員が走った。
シズカが大きな口径の銃を撃って、カプセルに何かを装着した。
全員が建物に入ると、腕のモニターに透明のカプセルが写っていた。
「シズカ・・あれは何?」とミコトが聞いた。
「スパイカメラです・・モニターを出します」と言って美由紀の車椅子から板状のモニターを出した。
「さっすが、シズカ」とミコトが微笑んで、女性達に笑顔が戻った。
モニターにカプセルが映っていた、全員がそれを見ていた。
透明のカプセルの中で、ヨーコが笑顔でエミとソファーに座っていた。
「ヨーコ・・聞こえるか?」と大ママが無線で言った。
返答は無く、ヨーコにも届いてないようだった。
「結界ですね・・無線も届かない」とユリカがモニターを見ながら言った。
「人質だろうか?・・エミを狙ったよね」と千鶴が言った。
「多分・・重要な事でしょうね・・でもさすがヨーコ、離れなかったね」とカレンが言った。
「アンナ・・映像をそっちで確認しててくれ、こっちは作戦を立てる」と大ママが言った。
「了解・・今録画してます、透明の塔に向かってると思います」とアンナが返した。
女性達は階段を上がり、大きな部屋に入った。
古びた机以外は何も無く、大きな窓にガラスも無かった。
全員で屈みながら窓に近づき、下から顔を出して外を見た。
その光景に沈黙していた、人型ロボットの数に声も出なかった。
シズカが美由紀の車椅子から、小さな拡声器のような物を取り出して窓の外に向けた。
そして手元に戻し、カウンターの表示を見ていた。
「人型ロボット・・3000体です」とシズカが言った。
「3000か~・・まぁまぁだね」とカスミが不敵で言って。
「5000位いても、良いのにね~」とホノカが二ヤで返した。
「久美子・・手前のあいつ、撃ってみて」とユリカが二ヤで言った。
久美子が二ヤで返し、ライフルを窓から構えた。
久美子はスコープを覗き、息を整えた。
全員が見守る中【ドン】という響きの後、人型ロボットが消滅した。
「さすが、久美子・・他のロボットも、音には反応しないね」とユリカが言った。
「動きか、体温か・・それとも別の何かに、反応するのか?」とリリーが言った。
「多分・・体温設定でしょうね、動きなら敵と味方の区別が付かないです」とシズカが返した。
シズカが窓枠に小型カメラをセットして、全員が古びた机に集合した。
モニターには人型ロボットが映されていた、その時アンナの顔に映像が変わった。
「カプセル・・塔に入ります」とアンナが言って、映像がカプセルに変わった。
カプセルは2人を乗せて、浮いたまま透明の塔に入った。
カプセルは塔の中心で止まった、そしてスピードを上げて上っていった。
「ミチル・・カプセルの存在を確認してるか?・・上昇したので、そっちで状況確認してくれ」と大ママが言った。
「モニターで確認してます、海上に出たら任せて下さい」とミチルが答えた。
空母は千春の作戦で、追撃ミサイルを撃墜して、戦闘機が帰還してるところだった。
「カプセルと思われる物体、塔の下より来ます・・海上に出るまで、10秒」とマキが言った。
大型モニターには、塔の水面に触れている部分が映っていた。
「どこに連れて行くんだ・・人質なのか?」と蘭が映像を見ながら呟いた。
「来ます・・5秒前」とマキが言った。
透明のカプセルは海上に現れ、一気に空母MARIの高さまで到達して止まった。
映像は空母のスパイカメラに切り替わった、空母から通路が塔に延び始めた。
そして塔に接続すると、塔に出口が現れて、カプセルが浮きながら空母に向かった。
そして空母の操縦席の屋根に止まった、その場所がガラスに囲まれてカプセルが割れた。
「何ここ・・素敵~」とエミの声が無線から響いた、女性達に笑顔が溢れた。
「エミ・ヨーコ・・大丈夫だね?」とミチルが聞いた。
「大丈夫です・・問題ないです」とヨーコが笑顔で返した。
「エミ・・素敵って、何が有るの?」とシズカが聞いた。
「レーダーに海図に、モニターが沢山・・それにこれはコンピューターかな」とエミの嬉しそうな声が響いた。
「エミ、楽しんでてね・・迎えに行くから・・ヨーコ、頼んだよ」とミチルが笑顔で言った。
「了解」とヨーコとエミが笑顔で返した。
空母の乗組員が全員操縦席に集合した、マキと恭子と秀美だけレーダー席に残った。
「空母マリが中心という事でしょね・・攻撃させない為の人質でしょう」とユリさんが言った。
「そうだよね・・あの場所にいれば、空母自体に攻撃は出来ないよね」と北斗が返して。
「でも・・宇宙まで伸びてる事にも、意味は有るよね?」とサクラさんが言って。
「上からしか入れない・・もしその設定だったら、エミを助ける方法がそれしかないとか」とリアンが言った。
「宇宙に飛べる戦闘機があるはずですね、エースの事ですから」とユリさんが言った。
「モニターに出します・・ムーン・アタッカー」と恭子が二ヤで言って、モニターに出した。
その戦闘機は2人乗りで、大気圏を飛び出せる設定になっていた。
「行ってみるしかないですね、確認をしないと」とミチルが静かに言って、女性達が頷いた。
「出してみましょう・・ムーン・アタッカー」とユリさんが言って。
「出しますね」とアイさんが操縦席に走って、スイッチを押した。
滑走路が割れて発射台が出てきた、そこにピンクの大きな戦闘機が乗っていた。
全体的に平べったい感じで、近未来的なイメージの機体だった。
「空母マリの滑走路に、戦闘機14機出現・・エンジンはまだ停止中」と秀美が言った。
「やっぱり、宇宙だね・・妨害する為に出てきたね・・誰が行く?」とリアンが獄炎ニカで言った。
「当然・・私でしょう」と蘭が右手を上げた。
ネネ・リョウ・セリカが二ヤで手を上げて、最後にユリさんとリアンが二ヤで上げた。
「ユリとリアンのどちらかと、4人の誰かだね」とミチルが二ヤで言った。
「公平に・・ジャンケンで」とリアンが二ヤで言って、ユリさんも薔薇二ヤで返した。
「不公平に、年齢で」と蘭が満開二ヤで3人に言って。
「いえ・・態度の大きさで」とネネもニヤを出して。
「いえ・・現実の胸の大きさで」とリョウも魔性二ヤを出して。
「やっぱり・・若さで」とセリカも流星二ヤで返した。
「リョウ・・現実の胸の大きさって、どういう意味なの」と蘭がウルで言って。
「胸に手を当てて考えて下さい・・イメージの胸に」とリョウが魔性二ヤで返した。
蘭が胸に手を当てて、満開ウルウルを出した、女性達が爆笑していた。
「さて・・笑ってる暇は無いよ、作戦を立てよう」と大ママが笑いながら言った。
「ライフルで撃てる距離の、道を作りましょう・・塔に向かって」とユリカが言って。
女性達が笑顔で頷いた。
「体温反応だとしたら、レーザー銃で近距離戦で行けるね」とミコトが微笑んで。
「相手の感知距離が知りたいね~」と千鶴が美由紀に二ヤで言った。
「行きましょう・・やっと目立てる~」と美由紀が二ヤで返した。
「よし・・美由紀に任せた、距離を確認するだけだよ・・調子に乗るなよ~」と大ママが二ヤで言った。
「了解です~・・怖い」と美由紀がウルで言って、飛びながら部屋を出て行った。
「美由紀・・スコープの照準を出してね、名前を言えば良いから・・それで測るよ」とシズカが言った。
「了解・・井戸の側にいる、淋しがりやちゃんに行きます」と美由紀が返して。
「スコープ・・照準」と言って、ゆっくりと近づいた。
美由紀の右腕には、レーザー銃が握られていた。
「今・・20m、レーザーを当てながら近づきます」と美由紀が緊張気味に言った。
美由紀は引き金を少し引き、真赤なレーザー光線をロボットの赤丸に合わせて近づいた。
18mまで近づいた時に、ロボットが美由紀の方を見て、マシンガンを持つ右手を上げた。
その瞬間、【バン】と音がしてロボットが消えた。
「OK・・美由紀、データーは取れた・・戻って」とユリカが言った。
「了解」と美由紀が言って、反転して部屋を目指した。
「約18mですね・・これならいけますね」とシズカが言った。
「ようは・・囲まれなければ良いのね?」とアイコが二ヤで言って。
「奥に行くほど、立ち位置が近いようだから気を付けましょう」とレンが笑顔で言った。
「なるほど・・そうだね、手前より奥の方が密集してる」とカレンが言った。
「ライフル班で道を作り、その道の両側から扇状に倒して行こう」とミコトが言って。
「ユリカ・・ライフル班は誰だい?」と大ママがユリカに聞いた。
「まずは・・狙撃の腕で、久美子は決定ですね。
それにシオンとミサキ・・この2人は絶対に残したい。
もしあの塔の、螺旋の通路を走って上らないといけないなら、2人が重要です。
シオンのインターハイに出た走力と、ミサキの体力に賭けるべきでしょう。
そしてシズカですね、ライフルで撃ちながら、全体を見てて欲しいから。
それと美由紀がライフル班の上空30mを飛んで、状況を確認する。
あの円盤も存在するし、他の飛ぶ敵もいるかも知れません。
扇状に広がるメンバーは、絶対に2人1組で行きましょう。
離れていて問題の無いような敵は残して、塔への道を作ります。
この指令本部に、大ママと沙織が残って下さい・・最後の切り札として。
あの神殿のような遺跡まで行ったら、一度集まって体制を立て直しましょう。
とりあえず、コンビを作って・・皆でここからライフルで道を作る。
射程距離内の道を作ったら、前進しましょう・・そして安全地帯を広げる。
焦らないように・・エミとヨーコは、当分は安全だと信じて。
それでやってみましょう・・問題点の修正は、大ママにお願いします」
ユリカは的確な指示を、全員に向かって言った。
女性全員が頷いて、コンビの確認をしていた。
「それじゃあ・・窓際でライフルをぶっ放すよ」と大ママが二ヤで言って。
「了解」と女性達もニヤで返して、窓際に歩いた。
【ドン・ドン】と連続でライフル音が響き渡り、暫くの間、鳴り止まなかった。
建物から真直ぐに塔に向かって、一本の道が出来ていた。
「か~・・気持ち良い~」とリリーが嬉しそうな笑顔で言って。
「見たまま当たるから、最高だね~」とアイコが笑顔で言った。
「よし、行こう・・大ママ、後はお願いします」とユリカが言って、大ママが笑顔で頷いた。
「沙織・・モニターとミニレーダーを置いとくから、状況報告よろしく」とシズカが笑顔で言って。
「了解です」と沙織が笑顔で返した。
建物の下に出て、全員が装備の点検をした。
「ユリカ姉さんが、ライフル班に付いて全体に指示を下さい。
私が右の班に付いて、千鶴が左の班に付きます。
左右のメンバー分けをしましょう」
ミコトがユリカに笑顔で言って、ユリカも笑顔で頷いた。
同人数で左右の班分けをして、正面を全員で見ていた。
塔まではかなりの距離が有り、少し霞んで見えていた。
「シズカ・・何かある?」とユリカがシズカに微笑んだ。
「はい・・もし攻撃を受けそうな時は、背中を向けて相手に近づいて下さい。
背中なら撃たれても問題ありません、この赤丸は正面からだけの影響です。
勇気を持って背中を向けて近づいて、エルボーでも相手の赤丸に入れればOKです。
それと車両が1台欲しいから、潜水艦の誰かにジープを持って来て欲しいですね。
一番手前のジープに、色々と積んでおきましたから。
ジープがライフル班の前を進む感じで、装備の補充も出来ますから」
シズカは笑顔で言った、ユリカも笑顔で頷いた。
「アイコ・・誰か一人指名して」とユリカがアイコに微笑んだ。
「シノブでしょうね、こういう状況は」とアイコが笑顔で返した。
「それしかないね・・シノブだね~」とリリーが笑顔で言った。
「アンナ姉さん、聞いてましたか?」とユリカが言った。
「もちろん・・シノブちゃん、もう格納庫に走ったよ」とアンナがニヤで言った。
「楽しみだね~・・シノブ」とユリカが二ヤで言って、女性達がニヤで返した。
「シノブちゃんて言うの、素敵な子だよね~」と律子が二ヤでマリに言った。
「母さん、駄目・・小僧、気付いてない」とマリが二ヤで返した。
私はそのマリの言葉で、潜水艦の格納庫の映像を見ていた。
私はシノブに対して、特別な印象は何も無かった。
幻海には珍しい、元気の良い子だという印象しか無かった。
幻海の女性は、仕事中は落ち着いた雰囲気を出していた、それが高級店の雰囲気だった。
シノブはケラケラと笑い、その接客はセリカに近い可愛い感じだった。
それが老人や年配者に可愛がられて、指名ではNo3に入る実力者なのだ。
普段も接客の時も同じで、私は幻海の事はよくシノブに聞いていた。
年齢も20歳前後で、常に可愛い笑顔で笑ってるので、話しやすかったのだ。
そのシノブを、この緊張する場面でアイコが指名した。
そして律子とマリの二ヤを見て、私はハッとしてシノブの映像を見ていた。
シノブはジープに飛び乗って、ニコニコ顔でエンジンをかけた。
「これがこうで、これがあれね」とシノブは笑顔で自分に話しかけていた。
そしてハンドルを持ち、アクセルを踏んで走り出した。
通路入ると速度を上げて、かなりのスピードで走っていた、その笑顔は可愛いままだった。
「さて・・ジープはすぐに合流するでしょう、行きましょう」とユリカが言って。
「了解」と女性が全員で返した。
ユリカの左右に女性達が分かれて、ユリカの横にシオンが並んだ。
その後ろに、シズカと久美子が二ヤで付いた。
美由紀が飛び上がり、ユリカの前方をゆっくりと飛行していた。
女性達が肉眼で人型ロボットの集団を確認した時に、ジープが追い付いた。
「ユリカ指令・・持って来ました~」とシノブが楽しそうな笑顔で言った。
「指令って響き、良いわ~」とユリカが笑顔で返した。
「うふ・・そうでしょ、どうしますか?」とシノブが笑顔で返した。
「フロントガラスを倒して、フルオープンにして・・久美子が助手席に乗って、車上から狙って」とユリカが微笑んだ。
シノブは笑顔で頷いて、フロントガラスを前に倒した、久美子が助手席に乗り込んだ。
「シノブ・・運転任せるよ、ゆっくりね」とユリカが笑顔で言った。
「了解です・・少し前を行きますね」とシノブが返して久美子を見た。
「よろしくです、シノブ姉さん」と久美子が微笑んだ。
「任せなさい・・久美子ファンとして、久美子は絶対に私が守るよ」と可愛い笑顔で返した。
シノブのその対応を見て、シオンがニコニコちゃんになった。
『近いのか?・・シノブとシオン』と私は独り言を呟いた。
「そうかな~」と律子が二ヤで言って。
「未熟者」とマリもニヤで私を見た。
「みじゅくもにょ・・えーしゅ」とマリアが天使二ヤで私に言った、私はウルウルをマリアに出した。
「さて・・ジャンケンも決まったね~」と律子が二ヤで言った。
私はその言葉で、空母の映像に目を向けた。
「じゃあ・・ユリと蘭だね、最強PGコンビでよろしく・・先に援護の戦闘機が発信する。
秀美だけレーダー室に残って、他の全員で戦闘機にて離陸。
ムーン・アタッカーは宇宙に飛ぶ時は、攻撃を避ける事は出来ないから。
援護の全機で追撃機を落とす、援護機の方の指示はリアンに任せるよ。
全員準備して、リアンから飛ばすからね」
ミチルが強く言葉にして、全員が笑顔で頷いた。
戦闘機の女性達が操縦室を出て、アイさんがムーン・アタッカーを収納した。
そしてリアンの戦闘機を出した、ユリさんと蘭はムーン・アタッカーの説明を読んでいた。
「ヨーコ・・出来るだけ安全な場所にいて、空中戦が始まるから」とミチルが言った。
「了解」とヨーコが返した、ヨーコとエミはお菓子を食べていた。
「どこにしようか?・・エミ」とヨーコがエミに微笑んだ。
「あれじゃないかな~・・多分コックピットだから、安全性が高いよ」とエミが正面の席を指差した。
「なるほど~・・座ってみようか」とヨーコが笑顔で返して、エミも笑顔で頷いた。
滑走路を見渡す最前列の場所に、2人掛けのリクライニングシートが有った。
2人の間に操作盤があり、前面に各種モニターが備えられていた。
シートを包み込むように、強化ガラスが張ってあり、2重の強度が見ただけで分かった。
ヨーコが右の席、エミが左の席に座ると、自動で安全装置が体を包んだ。
そしてシートの周りの強化ガラスが変形して、シートを包み込んだ。
「凄いね~・・さすがリンダさん」とエミが笑顔で言った。
「エミの為に用意したんだね・・多分、エミ用の試験もあるね」とヨーコが微笑んだ。
その時モニターの電源が入った、1つは空母マリの滑走路、他は女性達が見てる映像と同じだった。
「空母マリの説明」とエミが言った、ヨーコは驚いてモニターを見た。
センターのモニターに【秘密】と出た。
「意外とケチね、リンダさん」とエミが二ヤで言って。
「空母マリ、搭載戦闘機」とエミが言った。
ヨーコはエミの楽しそうな顔を見て、笑顔になった。
センターのモニターに、戦闘機の説明が出ていた。
「参考になるような、新情報は無いね」とヨーコがモニターにウルで言った。
「うん・・専門用語で分からないね」とエミがウルで返した。
「楽しんでますね・・エミ」とユリさんがサクラさんの後ろから声をかけた。
「頼んだよ、ユリ・・エミは大丈夫だよ、エースの伝承者だから」とサクラさんが振り向いて言った。
ユリさんも嬉しそうな薔薇で返して、蘭と操縦室を出て行った。
戦闘機は順調に離陸していて、旋回しながら待機していた。
最後にマキが離陸して、アイさんはムーン・アタッカーを出した。
「空母マリ戦闘機、エンジン点火・・まだ滑走路正面には入りません」と秀美が言った。
「空母マリ後方に、ミサイル発射台出現・・モニターに出します」とアイさんが言った。
モニターに巨大な発射台に乗った、ロケット型のミサイルが映っていた。
「でかいな~・・あれは早いだろうね~」とリアンが言った。
「飛び出した瞬間しか、狙えませんね・・エミ達の場所のすぐ後ろです」とハルカが言って。
「追いかけても、間に合わないですね・・発射と同時にロックしないと」とセリカが言った。
「セリカ・・作戦あるんだね?」とリアンが二ヤで聞いた。
「上から撃つしかないですね・・2発でしょ、正面ならロック出来ますよ・・どんなに早くても」とセリカが流星二ヤで返した。
「それしかなさそうだね~・・私とセリカでやろう、他の者は戦闘機を頼む。
出来るだけ、離陸直後に落とせ・・列を作って順番に、1機ずつやれ。
頼んだよ・・セリカ、限界高度・・50000まで上がって待とう」
リアンが強く指示した、女性達に緊張が走った。
「了解」と全員が返して、リアンとセリカが舞い上がった。
「正面から、ミサイルを撃ち落すか~・・セリカは素敵だよ」と北斗がミチルに言った。
「本当ですね・・秀美、他はいいわ・・ミサイルと2機の距離のカウントをして。
私と北斗姉さんで他のレーダーを見てるから。
アイさん・・空母マリのチェックお願いします」
ミチルは笑顔で言って、アイさんも笑顔で頷いた。
ミチルと北斗がレーダー室に入った、モニターにはムーン・アタッカーに乗り込む2人が見えた。
「ミサイル・・熱感知、点火されたもよう」と秀美が言って。
「空母マリ戦闘機・・1機目、滑走路中央に侵入・・排気熱が上がってます」とアイさんが言った。
「戦闘機の攻撃順は、年齢順だから・・私が一番だよ、後は並んでね」とネネが旋回しながら言った。
「了解」と全機が返した。
「ミサイルの情報収集出来ました・・上昇速度が、敵戦闘機の最高速の3倍。
最高到達高度80000m・・威力・・広島型原爆の10倍。
熱感知追尾型です・・ムーン・アタッカー、ロック状態です」
エミの集中した強いヒトミが、モニターに映っていた。
「了解」と戦闘機の女性達が、喜びの笑顔で返した。
空はどこまでも澄み渡り、無風の海に微かなウネリだけ存在した。
エミは塔を見上げて二ヤを出した、その表情でヨーコも二ヤを出していた。
「リンダちゃん・・試験が簡単だよ、難問はこれからなの?」
エミは塔に向かって呟いた。
「そうだろうね・・リンダさんは、天才と呼ばれた・・知識的感覚人だから。
シズカと律子母さんが共存して・・エースが加わった人だからね。
その難問は楽しいんだろうね・・エースのニヤが見えるね」
ヨーコはエミに微笑んだ、エミもヨーコに笑顔で返した。
私が二ヤしてると、律子とマリが私に二ヤを出した。
「オネエやばいね、怖いエミになってるな~」とミサが哲夫に笑顔で言って。
哲夫がウルで頷くと、4人娘が笑っていた。
私はマリアの熱を感じながら、その笑い声を聞いていた・・。