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      【冬物語・・螺旋の系譜②】 

雲一つ無い快晴の太平洋、そこは生命の楽園だった。

人工的な汚染も濁りも存在しない、美しい故郷が青く光り輝いていた。


潜水艦がゆっくりと航行して、その上を空母が飛んでいた。

潜水が充分な深さの沖に出て、空母も降下して静かに着水した。


「座標反応あり、右16度・・距離26000」とシズカがレーダーを見て言った。

その言葉を受けて、ミコトが海図に線を引いた。


「了解・・潜水班は深海を目指す・・空母はどうする?」と大ママが無線で言った。

「今から、未経験者の飛行訓練をします・・敵の空母が浮かび上がる前に」とミチルが返した。


「了解・・健闘を祈る・・10m潜水して座標を目指す、全員ベルト確認」と大ママが指示した。

「了解・・10m潜水・・右16度に進路をとる・・全員不測の事態に備えて」とユリカが言った。

潜水班に緊張が走り、潜水艦がゆっくりと沈んで行った。


4機の戦闘機が帰還して、空母の操縦室に全員が集まった。


「ミチルママと北斗姉さんは、飛行訓練必要ないですね。

 あと2人は、常時ここにいる人間がいりますね」


リアンが笑顔で言った、ミチルも北斗も笑顔で頷いた。


「その為に来てるんでしょ・・エミに甘えが出ないように」とユリさんがサクラさんに薔薇で微笑んだ。

「まぁ、それもあるんですが・・戦闘は控えたい時期で、まだ確定じゃないですけど」とサクラさんが二ヤで返した。

「おめでとうは、まだらしいですよ」とアイさんが二ヤで言った。

「あら~・・素敵じゃない、今度は息子かもね」とミチルが二ヤで言って。

「また優秀な人材を、この世に送り出すんですね~」とマキが二ヤで言った。


「もう、マキまで・・良いから、話を進めましょう」とサクラさんが照れて言った。

管制塔の4人娘は、話の内容が分からないようで、別の話をしていた。


「それじゃあ・・小夜子と千春と千秋に恭子と秀美だね、飛行訓練。

 マキと小部屋に行って、説明を聞いて・・ハルカも飛んどく?」


ミチルが二ヤで、緊張気味のハルカを見た。

「そうしときます・・何事も経験ですから」とハルカが笑顔で返して、7人で部屋を出て行った。

恭子の笑顔が楽しそうで、私は二ヤで見ていた。


「かなり早かったですね・・敵機」とユリさんが蘭に言った。

「早いですね・・戦闘の時は、加速装置をフル活用ですね」と蘭が返した。

「旋回速度も速いです・・ただ小回りは、こっちが上ですね」とネネが言って。


「私・・思ったんですけど。

 あれは操縦者がいないから、映像を分析して飛んでますよね。

 だから反応が少し遅れます・・確かに機械的には相手が優れてるけど。

 多分・・ロック率が85%を超えないと、撃って来ないと思います。

 そうインプットされてますね・・ポイントはそこですね・・反応の鈍さ。

 そして入力以外の応用は出来ない・・それが弱点だと思います」


リョウは笑顔で言った、全員が笑顔になった。


「なるほどね・・さすがリョウだね」と美冬が微笑んだ、リョウも嬉しそうな笑顔で返した。

「美冬は意外だね~・・千秋と千春は、当然戦闘機だけど」とアイさんが二ヤで言った。

「この前乗ってみて・・魅了されました~」と美冬が笑顔で返した。


ユリさんと蘭が、サクラさんとアイさんを連れて、操縦席に歩いた。

操作の説明をしてると、マキの無線が響いた。


「準備OKです」とマキが言った。

サクラさんが【遥】のスイッチを押した。

後部ハッチから現れたその尾翼を見て、ハルカが二ヤで駆け寄った。


「お手本よろしくね、ハルカ」とアイさんが二ヤで言って。

「了解です・・お見せしましょう」とハルカが二ヤで返した。

ハルカは美しい体制で舞い上がり、その後の女性達も問題無く離陸した。

上空で加速装置を使い、互いの後ろを取り合って練習していた。


一方潜水艦は、カツオの大群に囲まれて座標を目指していた。


「タタキが食べたいな~」とカレンが言って。

「丸々と太って、美味そうだ~」と美由紀が笑顔で言った。

美由紀は飛ぶ車椅子、YUTAKA MAXに乗っていた。


その時潜水艦の警報が響いた、そしてモニターに【魚雷接近】と出た。

「右17度、魚雷確認・・距離4500・・到達まで・・75秒」とシズカが叫んだ。

「ユリカ・・任せる」と大ママが言った。


「了解・・全速で潜行する・・ホノカ、追撃魚雷準備」とユリカが言った。

「了解」とカスミとホノカが返した。


「魚雷・・1発です・・距離3200・・到達まで・・50秒」とシズカが言った。

「モニターにて確認・・出します・・魚雷照準まで・・5秒」とホノカが言った。


前方のモニターに、魚雷の姿が映っていた。

黒い魚雷の前面に、白いペンキで口が描かれていた、笑ってるような口だった。


「なめてる・・あの顔は、私達をなめてます~」と美由紀がウルで言って。

「可愛くない・・センスが無い」とリリーがウルで言った。

幻海の女性達は緊張して、その映像を見ていた。


「やっちまいな、ホノカ」とカスミが最強不敵で言った。

「ロック・オン・・撃墜魚雷発射」とホノカが華麗二ヤで言って、発射ボタンを押した。


モニターの映像に赤い追撃魚雷が映り、命中して大爆発した。

潜水艦は大きく揺れて、かなり深くまで流された。


「空母マリ!・・目視で発見!」とミコトが前を見て叫んだ。

海底から巨大な空母が、泡を噴出しながら上がって来ていた。


「全速で左旋回で避けろ・・空母マリが上昇してくる」とユリカが叫んだ。

カスミはアクセルを踏み込み、左に大きくハンドルを切った。


潜水艦の真横を、巨大な空母MARIが浮上して行った。


「ミチル・・空母マリ浮上、気を付けて・・こっちは深海を目指す」と大ママが無線で言った。

「了解・・戦闘体制に入る・・離陸してる者は、空母の後方にて待機」とミチルが言った。

「ラジャー」と戦闘機の女性が返してきた。


マキが操縦室に駆け上がってきて、レーダー席に座った。

操縦席の真中にサクラさんが座り、左の席にアイさんが座った。

右の席の後ろに、ユリさんとリアンが立って海を見たいた。


「左12度方向、距離2600に浮上します」とマキが叫んだ。


全員が操縦席の窓から、左の方角を見ていた。

巨大な水柱が上がって、空母MARIが水面に現れた。


「空母マリ・・進路左24度、速度30kmにて航行」とマキが言った。

「よし・・全員一度帰還せよ・・様子を見ながら、マリを追う」とミチルが言って。

空母をMARIの進行方向に向けた、戦闘機が垂直に着陸して全員が帰還した。


「距離・・2000をキープ・・レーダー席に、恭子と秀美も入って」とミチルが言って。

ミチルの側に、北斗とユリさんとリアンが集まった、恭子は秀美とマキのレーダー席に入った。


「何かを目指してるね・・空母マリ」と北斗がモニターを見ながら言った。

「そうですね・・基地でもあるんでしょね」とユリさんが返した。


「座標反応有り・・空母マリの直線上・・2800・・多分・・塔です」と恭子が言った。

「モニターにて確認・・出します」とマキが言って、スイッチを押した。


全員が正面の大モニターを見た、そこには透明の円柱の塔が天空に伸びていた。

「やっぱり、あれね」とリアンが二ヤで言って。

「秀美・・塔の高さを測れる?」とミチルが聞いた。


「計測不能です・・今から基準を最大にして測ります、月からの逆算でやってみます」と秀美が言った。

「よろしく、秀美・・助かるよ」とミチルが笑顔で返した。


「さっすが~秀美・・シズカが優秀だと言っただけあるね~」と恭子が二ヤで言って。

「頼りにしてます」とマキがウルで言った、秀美は笑顔で頷いた。


「空母MARI停止・・塔の前方480」と恭子が言った。

「熱感知・・下部エンジン点火と思われます」とマキが言った。

「蘭、ネネ、リョウ、セリカ・・上の攻撃席に入って・・戦闘準備」とミチルが言って。

「了解」と返し、4人が操縦席の上の階に駆け上がった。


「うっひょ~・・素敵~」とセリカが5席横並びにある攻撃席を見て言った。

「私・・ここ~」と言ってネネが座ると、自動で安全装置が体を包んだ。

そしてシートが少し傾いて、目の前にスコープが現れ、モニターが3台映った。


「く~・・さすがエース、楽しいね~」とネネが笑顔で言った。

それを見ていた3人に強烈な二ヤが出て、3人がシートに座った。


「小夜子と四季の3人とハルカの5名で・・離陸準備して待機・・頼むよ」とミチルが言った。

「了解」と5人が笑顔で返して、操縦席を出て行った。


「空母マリ・・上昇します」とマキが言った。


攻撃席の全員の真中のモニターに、【目標名?】と出ていた。

「空母マリ」と蘭が大声で言った、その声を聞いてシートが上昇した。

蘭は開いた天井から、透明の強化ガラスで囲まれた屋上に固定された。

視界は360度確保され、全てが煌く海に囲まれていた。


「さいこ~・・空母マリ目視で確認、照準確保」と言った時には、残りの3人も上昇してきた。

「エース・・サンキュー、本当に素敵だよ~」とリョウが笑顔で言って。

「か~・・素敵な殿方と、デートで来たかった~」とセリカが流星で微笑んだ。


「対艦ミサイル」と4人が口々に言った。

空母の前方のハッチがスライドして、発射台に備えられた大きなミサイルが8発姿を現した


「艦長・・今説明書を読んでたんですが・・スパイカメラという装備が戦闘機にあります。

 空母マリに着けて来ましょうか?・・役に立ちそうです、今後の為にも」


小夜子が無線で言って、モニターに小夜子が映った。

「スパイカメラの詳細、モニターに出します」とアイさんが言って、モニターに説明が流れた。


それは探りたい相手の機体に発信機を装着すると、相手の動く部位を映すカメラだった。


「これは良いですね~」とユリさんが薔薇で微笑んで、ミチルも笑顔で頷いた。

「小夜子、千春、美冬で・・垂直離陸で発進せよ・・発信機、装着よろしく」とリアンが言った。

「ラジャー」と3人が答えた。


サクラさんが【垂直離陸】のスイッチを押して、3人の名前を押した。

滑走路の真中が2つに割れてスライドして、下部から3機が上昇してきた。


「ほんとに凝るよね~・・気分を高める為に」と小夜子が言って駆け出して。

「煽ってるんですよ・・出来るかな~って二ヤしながら」と美冬が二ヤで走って。

「ウルするなよ~って言ってるんだよ・・自分がウルの帝王だから」と千春が続いた、女性達の笑い声が響いていた。

管制室にも笑い声が聞こえていた、一番爆笑してるのはセリカだった。


3機がゆっくりと上昇して、空母MARIの方を向いた。


「海面ギリギリで飛行しよう」と小夜子が言って、「了解」と2人が返した。

戦闘機は編隊飛行で、海上2mを飛んでいた。


「艦長・・1つ分かりました、垂直離陸はスピードに乗るまで・・かなりの時間が必要です」と千春が言った。

「了解・・戦闘時には不利って事だね~」とミチルが言った。

「そうだろうね~・・なんせ策略家が、離陸練習させたからね~」と北斗が二ヤで返した。


「計算終了・・透明の塔の高さ、海面より・・ジャスト101000」と秀美が驚いて言った。

「101000m・・という事は境ですね、地球と宇宙の」とユリさんが言った。


「101000!・・そこまでやるか~・・熱圏を突き出てるのか~」とシズカが潜水艦のモニターに言った。

「シズカ・・熱圏を飛び出る可能性大ですよね」とユリさんが言った。


「上空101kmなら可能性有りますね・・小僧は宇宙が大好きです。

 でも専門書は読みませんから、多分公式距離が頭に入ってるでしょう。

 地球と宇宙の境は、上空100kmとアバウトに言われてますよね。

 説明が面倒だから、子供用に地球と宇宙の境を100kmだとしています。

 小僧はそれが入ってたんですね、だから101km・・やはり宇宙ですね。

 深海と宇宙ですね・・それを繋ぐのが、あの円柱の塔でしょう」


シズカが二ヤで無線で返した、ユリさんも薔薇二ヤを出した。


「恭子・・空母マリの現在の高さは?」とミチルが聞いた。

「上空5000で停止してます・・今、3機が接近」と恭子が返した。


「100kmしかないんだ~・・空って案外狭いんだね~」とセリカが暢気に言って。

「宮崎市から延岡位か~・・確かに狭いね~」とネネが笑顔で返した。


「空母マリ、ロックオン・・発信機発射」と小夜子が言って、発信機のロケットを発射した。

空母マリの底面に当たり、赤い点滅の信号ライトが見えた。


「装着成功・・帰還します」と小夜子が言って、3機が機首を反転させていた時だった。


「空母マリよりミサイル発射!・・6発です」とマキが叫んだ。


「全速でかわすよ~」と美冬が言って、「了解」と2人が返して、加速装置を押した。


「3機、空母の前を飛べ・・迎撃ミサイルで落とす」と蘭が叫んだ。

「了解」と3機が返して、空母に向けて全速で飛んだ。


攻撃席の4人は肉眼でみていた、その早過ぎるスピードに、1度目は誰も対応出来なかった。


「早い・・早過ぎる」と蘭が叫んで。

「それに戦闘機と違って、目標が小さ過ぎる」とネネが言った。


「ミサイルの状況は?」とミチルが聞いた。

「1機に対して2発付いています・・一番接近されているのが・・千春号・・距離880」とマキが答えた。


「行きます・・落とします」とハルカが叫んだ。

「頼むよ・・千秋・ハルカ」とサクラさんが言って、千秋を出した。

千秋はすでにハッチの場所にいた、その表情は集中していた。


「お任せを・・マキ、逐次情報をくれ」と千秋が言った。

「了解」とマキが返した。


攻撃席の4人は、必死に装備の説明画面で探していた。


「あった!・・戦闘機に降りる、下降装置が・・私が行って、落としてきます」とセリカが言った。

「セリカ、頼む・・ミサイル落とした経験は、あんただけだからね」と蘭が返した。


「了解・・戦闘機、セリカ」とセリカが言った。

セリカの攻撃席の前面の床が開いて、滑り台のような溝が出てきた。

そして攻撃席のシートごと、前に押し出され、そのままレーンに乗って滑り出した。

セリカは笑顔でそのスピードを体感していた、シートは滑走路の脇を滑り抜け格納庫に入った。

そして格納庫の無数のレーンを迷い無く滑り、セリカの戦闘機にそのまま収まった。


「すっご~・・どこまで楽しませるね~」とリョウがその映像を見て、笑顔で言った。

その時、ハルカが離陸して行った。


「セリカ・・こっちが出すのかな?」とリアンが聞いた。

「待ってください・・離陸準備」とセリカが操縦席のモニターに言った。


セリカの戦闘機の台車が動いて、格納庫の真中に戦闘機を出した。

そしてセリカの目に飛び込んできた、格納庫の前面ハッチが開きだし、太陽光線の輝きが流れ込んできたのだ。


「格納庫の船首ハッチが開いています」と恭子が言って。

「セリカさん・・格納庫の滑走路、上の滑走路より80m短く、7m低いです・・海面から12m」と秀美が言った。

「サンキュー、秀美・・セリカ・・発進」とセリカは二ヤでアクセルを踏んだ。


「80m・・かなり短い」とネネが言って。

「短いと感じると・・逆に早く上げ過ぎるよ」とリョウがモニターを見ながら言った。


セリカは前を睨んで、赤ボタンを押した、戦闘機が滑走路を走ったのは一瞬だった。

セリカの機体はその勢いで海の上に飛び出した、そして下がり始めた時に機首が上がった。

それでも海面2mの高さまで下がっていた、全員が笑顔でその離陸を見たいた。


「追撃3機・・戦闘機にあったよ、熱感知ミサイル・・熱を発する物体を追いかける、照準距離が普通のミサイルの3倍」と蘭が叫んだ。

「了解」と3機が返した。


「本当に、準備に余念の無い奴だな~」と美由紀がモニターを見て言った。

「今・・潜水班の武器説明を読んでたけど、奴は狂ってる」とシズカが二ヤで返した。

「狂ってる詳細を教えて?・・シズカ」と空母のミチルが二ヤで聞いた。


シズカは潜行する、光の無い暗い窓を見ながら、ニヤを出していた。


「奴のこの映像は、ヒトミのクリスマスプレゼントです。

 それからの奴は、ずっとこの映像に入力してたのでしょう。

 だから風景や自然環境はリアルですよね、訂正に訂正を重ねてきた証です。

 奴のこの映像は、奴のイメージの世界ですから・・最強の武器も作れます。

 例えば・・戦闘機なら、目視で発見した物を追撃して落とすミサイルとか。

 何でも自在に作る事も出来ます・・でも奴は作り上げました。

 得た機能に対するリスクを、全ての武器に設定してます。

 垂直離陸のリスクもそう、熱感知と映像感知の照準距離もそう。

 何かを得れば、何かのリスクを背負う・・それがリアルだと思ってますね。

 私は今回、奴に2つだけ要求しました・・戦闘機の映像で追尾するミサイル。

 それと潜水班のレーザー照準機付の銃です・・レーザーの光が、弾丸の当たる位置を示す

 現実では未完成の2つの武器を要求した、それが戦闘に不慣れな私達のハンデとして。

 それに対しても、奴はリスクを付随させた・・レーザー銃の射的距離は30mしかない。

 そして奴は装備の詳細を誰にも話していない、戦闘時に調べろと言ってますね。

 相手の装備とこっちの装備の違いで勝負しろと、リンダさんの装備は既存の武器でしょう。

 追尾ミサイルも、熱感知型です・・熱感知型の弱点は、その名の通りですよ。

 奴は次の沙紀の世界・・そしてその後の為に、今回のこの場所を作った。

 今まで2回の経験をした女性達に・・次は応用力と対応力を要求してますね。

 相手の弱点を探せ・・その想いを込めたのが、得る事はリスクを背負う事というリアル。

 奴の精神は常にそこにあります、ハイリスク・ノーリターン。

 女性達に強く提示してる・・リスクを背負うことに、見返りを求めるなと」


シズカの二ヤ顔が、潜水艦と空母のモニターに映されていた。


「サンキュー・シズカ・・分かったよ、熱感知の弱点。

 小夜子・美冬・・高度を10000まで上げよう、そこでエンジンを停止しよう。

 あのミサイルは、戦闘機の後部から出ている排気熱を感知してる。

 エンジン停止すれば、必ずこっちを追い抜くはず・・その後で打ち落とす。

 追撃の3機も、それでよろしく・・落としてくれ」


千春が二ヤで言った、戦闘機の5人に笑顔が咲いた。

「了解」と5機が返事したのを確認して、千春が舞い上がった。

その後を美冬と小夜子が続いて、ミサイルが追いかけて行った。


「ハイリスク・ノーリターン・・それで良いんだ、望むところだね」とリアンが獄炎で微笑んだ。

「このリンダの試験で、若手は何段上がるんだろうね~?」と北斗が微笑んで。

「全員がその状況で判断しないといけないですね、ハルカは既に上がってますね」とユリさんが微笑んで。

「時間を惜しみなく使ったね、エースは多分睡眠を相当削ったんだろね」とミチルが二ヤで言った。


一方潜水艦では、その震度計を沈黙して見ていた。

深度は4500を示していた、若手の緊張感をユリカが感じた。


「さぁ・・こっちも準備しよう、シズカ・・武器の説明をお願い」とユリカが言った。


「了解・・モニターに1つずつ出します、まずは先程のレーザー照準機付の銃。

 これは引き金を少し引くと、レーザー光線が出て、弾丸の起動を表示します。

 ですから相手の赤丸にレーザーの光を合わせれば、それで命中します。

 射程距離30mですから、近距離戦になりますが・・有効な武器ですね。

 マシンガンとライフルに、変更箇所はありません。

 新しい武器としては、アーチェーリーのような弓が追加されてますね。

 これにもレーザー照準が付いています、射程距離は40mですね。

 相手が金属に反応したり、鉄を溶かすとか、音に反応する場合には有効です。

 前回の反省を込めて、矢尻は強化プラスティックですね。

 そして伸縮型の警棒と、カンフー映画に出てくるヌンチャク。

 このヌンチャクだけ、なぜか名前が付いています・・炎のユリカと。

 私は今回の相手・・あのロボット戦隊は、動きが鈍いと判断しています。

 間接の作りが悪くて、全体的なバランスも悪いと感じたからです。

 奴等の持ってるのがマシンガンでしたから、攻撃の精度も低いと思っています。

 だから勇気を持って接近戦、接近戦ならマシンガンはあまり意味を持たない。

 動きなら絶対に人間の方が上です、か弱い女性のパンチでも一発で決まる。

 相手の最大の武器は、その数でしょうね・・圧倒的多数、多数に挑まないといけない。

 私達は、あの透明の塔に到達しないといけない・・深海側の入口に。

 それには出来るだけ多くの人数が、残らないといけません。

 塔の設定がまるで分からないからです・・深海戦は緻密な作戦が必要ですね」


シズカはモニターの武器の映像を見ながら、そう笑顔で言った。

「ヌンチャクの名前の件は、後でエースに問いただします」とユリカがウルで言った。

全員が二ヤでユリカを見ていた、その時ホノカが叫んだ。


「目標・・海底都市の光・・目視で確認・・モニターに出します」そう言ってモニターに出した。

全員が沈黙してその映像を見ていた、ガラズで囲まれた深海の都市に、赤く光る目が映されていた。


「相当の数だね・・目が光ってるから、起動してるね」とユリカが言って。

「潜水艦の停泊場所も用意されてるね、あの透明の通路に着けるんだね」とアンナが言った。

「あの透明の通路を、アップに出来るか?」と大ママが言った。


「アップにします」とホノカが言った。


透明の通路から、海底都市までは何も存在してなかった、照明もあり明るかった。。

海底都市に入って小さな町を抜けた場所に、人型ロボットが集結していた。


「あの町に作戦本部が作れるね、潜水艦はアンナが責任者で残って。

 幻海のアイコを省く8名が、一緒に残ってくれ。

 それで戦闘状況を見ててくれ、自分のイメージに入れるんだよ。

 そして潜水艦に何かあったら、アンナの指示に従ってくれ。

 幻海の8名に託す、この船を・・この潜水艦に対する敵も存在する気がする。

 状況によっては呼び寄せるから、戦闘の状態を全員で見てるように」


大ママが強く言った、アンナが笑顔で頷いた。

「はい」と強く幻海の8名が笑顔で返した。


「シズカ・・エミに戦闘力の低いヨーコと付ける、奴の意図はなんだと思う?」と大ママが二ヤで言った。


「奴は基本的に、エミは一人で大丈夫と思っています。

 当然エミ専用の武器と、特別な保護装置は作っています・・7歳ですから。

 エミを一人には出来ない・・ならばヨーコなんです、戦闘力は関係ない。

 青猫だからでもありません・・エミを任せる事で出させたいんでしょう。

 ヨーコという女の力を・・下の世代に対する時だけ、その存在を任された時。

 その責任感を背負った時だけに現れます・・経験で手に入れた、魔力が。

 ヒトミが贈り、モモカが気付かせ・・律子が制御を教えた、魔性の力です。

 その話は小僧しか出来ない、でも小僧は封印してきた。

 それを全員に見せる時が来るまで、封印してきました・・ヨーコの秘密兵器を。

 ヨーコは過去の2回も、今回も戦闘力の低い青猫を選択した。

 その存在が仲間を助けるし・・戦闘的な装備は、ヨーコには必要無いからです。

 ヨーコはその時がくれば最強の武器を出す、そのヨーコのスイッチを押せるのは。

 守るべき、下の世代の危機的状況だけです・・清楚というバリアを外す時。

 現れるその姿、そのヨーコの本質を小僧が表した言葉・・みなしごの子守唄。

 ご期待下さい、バリアを外したヨーコの姿を。

 それは集中した恭子と同じ、自分の存在の意味という武器を担ぐ。

 どんな過酷な現実にも、正面から勝負を挑む・・その魔性の力を。

 エミはそれを感じています・・そして当然、あの4人娘も感じてる。

 五天女と言われる、高みにいる人も・・無意識に感じてる。

 私やマキでも、一瞬しか見た事が無い・・ヨーコの世界、施設で育った経験。

 辛く淋しい気持ちを抱えた、弟と妹を支え・・乳児のお世話係をしたヨーコ。

 その直向な心が得た物・・見返りを求めない、その愛情が勝ち得た物。

 最強にして、最高の16歳・・それはマキでも恭子でも私でもない。

 私達3人は、精神では常に追い続ける・・ヨーコという、美しい生命体を」


シズカ真剣な顔が、その静かな言葉と重なって、ヨーコの集中は上がった。


私はワクワクが止まらずに、ニヤで律子とマリを見た。


「悪い男だ」とマリが言葉で言って、二ヤを出し。


「ヨーコ覚醒も、必要なんだね・・あんたはまだ、ヨーコを由美子に会わせないから」


律子が静かな瞳で私を読もうとしていた、私はそれを生まれて初めて拒絶した。


「私に秘密を持ったね、ユリカ効果だね~・・私も次を考える、母親の楽しみとして」


律子は楽しそうに笑って、モニターに視線を戻した。


深海の都市に向かって、潜水艦はゆっくりと航行していた。


女性達の期待と不安を乗せて、心の底に降りて行くように・・。



 

 

 

 



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