表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/454

消えない種火

情熱のフロアーに響くカーテンコールが、いつまでも響いていた。

過ぎ行く夏に、アンコールを要求するように。

私は喜びの中で、成熟した女性を抱いていた、戦う決意をした母親を。


「どの位で、その時は来そうなの?」と蘭が深い瞳で聞いた。

『一週間以内だと思う、だから明日・・美由紀を病院に連れて行く』と真顔で返した。

「私、靴屋木曜が休みだから、でもいつでも休むからね」と蘭が満開に戻り微笑んだ。

「ありがとう、蘭」と北斗が微笑んだ、蘭も満開で頷いた。

「律子姉さんの登場ですね、あなたは完璧に準備するんですね」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

『はい・・俺が限界が来て倒れる想定をしてます、その時は律子を出す』と真顔で返した。

「エース」と北斗が私を見た。


『大丈夫だよ、北斗・・北斗は自分と由美子の事だけを考えてね。

 由美子に北斗が、温度のYESとNOが分かるようになったって言ったら。

 由美子、凄く喜んでたよ』


私は意識して笑顔でいった、北斗も嬉しそうな笑顔で頷いた。

「私達9人衆に、注意事項は?」と千夏が微笑んだ。

『早急にもう一度瞑想に行って、自分の心の確認をしていて欲しい・・千夏は明後日、夕方病院に付き合って』と笑顔で言った。

「了解・・嬉しいよ」と千夏が微笑んだ。

「よし・・明日、カスミ以外は寺に集合しよう・・そして和尚の話を聞こう」と千秋が言った。

「了解」と全員が返した。

「カスミも行っといで、夏休み終わって暇だから大丈夫だよ」とサクラさんが微笑んだ、カスミも笑顔で頷いた。


「シオン・・明日の午後は大丈夫ですか?・・サイン講習」とユリさんが微笑んだ。

「はい、大丈夫です」とシオンがニコちゃんで返した。

「なら、レンとハルカも瞑想に参加しなさい・・シオンとマキは大丈夫でしょうから」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「ありがとうございます」とレンが笑顔で頭を下げて、ハルカも笑顔で頭を下げた。


「この位で良いんですか?・・私達の準備は」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

『ユリさん、サクラさん、アイさんと蘭とナギサには、準備は必要無いですから』と笑顔で返した。

「エース、1つだけ言わせて・・私達を誘ってくれてありがとう、本当に嬉しいよ」と千春が微笑んだ。

『俺は絶対に出来ると信じてるよ・・その時を楽しみに待ってるよ』と笑顔で返した。

「う~し・・燃えてきたよ」とカスミが笑顔で言って、女性達が控え室に戻って行った。


私はシオンと久美子とマキと、TVルームに戻った。

「エース・・演奏会はいつでもいいぞ、久美子も大丈夫じゃろ」とマダムが笑顔で言った。

「もちろん、いつでもOKです」と久美子が微笑んだ。

『ありがとう・・明日、病院で話してみます』と笑顔で言って、サクラさんが来たので、エミを抱いてタクシーに送った。

TVルームに戻ると、全員が揃っていた。


『マキ・・頼みがあるんだ』と真顔で言った。

「何!・・その顔・・怖いよ」とマキが笑顔で返した。


『今日のキングと話したマキを見て、やっぱりマキだと確信した。

 今からローズに行こう・・マキ、リアンの背中を押してくれ。

 リアンは由美子に会いたいけど、北斗に対する想いが強いから躊躇してる。

 俺は由美子に見せたいんだ、あの極炎の炎を・・強く優しい熱を。

 そして愛には愛で応える女を・・マキ、お前にしか出来ない。

 リアンの葛藤をぶっ壊せ、そして連れ出せ・・マキが明日、由美子の場所まで。

 リアンと一緒に行ってくれ、そして由美子に伝えてくれ・・マキから。

 人は熱い心が大切なんだと・・熱ければ諦めないんだと。

 リアンとマキで伝えてくれ・・そして由美子に点火してくれ。

 その熱で・・リアンとマキの熱で』


私はマキを見ながら静かに伝えた、マキは真剣に聞いていた。

「分かった・・やってみる、リアン姉さんに憧れる妹として・・必ず連れ出してみせる」とマキは真顔で言った。

その集中した美しい顔が嬉しかった。

「よし・・行こう、シオン行くよ・・かしゅみも行くよね~」と蘭が満開で微笑んだ。

「もちろん・・絶対に見逃せない、マキ・・楽しみにしてるよ」とカスミがマキに不敵を出した。

「カスミ姉さん・・そこは不敵じゃなくて、キラキラです~」とマキがウルで返した。

「カスミ姉さん・・指名取られて、怒ってます~」とシオンがニコちゃんで言った。


「あ~・・シオンが私にとどめを刺しました~」とカスミがウルをして、蘭に抱きついた。

「ヨチヨチ・・かしゅみ、マチルダが帰ってくるのよ」と蘭が抱きしめて言った。

「嬉しくて・・仕方ないです~」とカスミがシオンを真似た。

「ユリ・・何か物真似が流行ってるぞ」とマダムが微笑んだ。

「困りましたね~・・エースがマダムの真似をするからですね」と薔薇二ヤできた。

「なに・・エース、見せておくれ」とマダムが二ヤで言った。

『急に言われても、ワシじゃ出来んの~』とマダムの真似で言った。

全員が一瞬躊躇して、そして大爆笑した。


「上手いの~・・じゃが、もう少し可愛い声じゃぞ」とマダムも笑いながら言った。

『あら・・明日から気をつけますわ・・おほほほほ~』とユリさんの真似で返した。

一瞬静寂が包んだ、全員がユリさんを見た。

「おほほほほ~・・とは言いませんわ・・おほほほほ~」と薔薇二ヤで返された。

全員の大爆笑に見送られ、TVルームを出た。


「お前が怖い・・ユリさんに、あの返しは恐ろし過ぎる」とカスミが不敵を出した。

「でもユリ姉さんの方が、一枚上だったね」と蘭が満開二ヤで言った。

「でもさすがエースです、帰る前には笑顔を作りましたね~」と腕を組むシオンが微笑んだ。

『意識し過ぎて欲しくないからね、自然体でいて欲しいんだ』と笑顔で返した。

「マキ・・緊張してるね」と蘭が満開二ヤで言った。

「いえ・・今、シュミレーションしてました・・本心か確認してました」とマキが笑顔で返した、蘭は満開で頷いた。


「あっ・・野次馬発見」とカスミが二ヤで言った。

ローズのビルのエレベーター前に、ユリカが爽やか笑顔で立っていた。

「野次馬とは・・きゃしゅみに意地悪1点」とユリカが爽やか二ヤで言った。

「やばい・・全員の意地悪リストNo1に、君臨してしまう」とカスミがウルで返した。

全員で笑いながらエレベーターに乗った、ユリカが私を見た。

「あなたの予想で、マチルダはいつ帰って来ると思う?」とユリカが微笑んだ。

『さっき少し映像が流れた、多分ニューヨークの空港にいたよ・・マチルダ』と笑顔で返した。

「そうすると・・水曜には宮崎に入るわね・・蘭、水曜の夜、我が家に招待するよ、カスミもシオンもマキもね」とユリカが笑顔で言った。


「嬉しい~・・ありがとう、ユリカ姉さん」と蘭がユリカに抱きついた。

「でも・・雑魚寝よ」とユリカが微笑んだ。

「雑魚寝・・最高です」とカスミが微笑んだ。

『ユリカ・・俺は?』と二ヤで言った。

「蘭をりゃんにしてね・・ベッドで待ってるから~」と蘭に爽やか二ヤで言った。

「マキ・・お酒の飲まないんだから、長女の監視よろしく」と蘭が満開二ヤで言った。

「またまた・・難しい立場の練習が厳しいですよ~・・りゃん」とマキが二ヤで返した。

蘭の満開と、ユリカの爽やか笑顔がマキを見ていた。


「本気でやばい・・マキ覚醒」とカスミがウルで言った。

「シオン・・楽しいです~・・多分リアンも来ますよ~」とシオンがニコちゃんで言った。

「いよいよやばい・・シオン、リアン姉さんのガードよろしく」と蘭が満開二ヤで言った。

「仕方ないですね~・・じゃあシオンがエースの添い寝して、守っときます~」とニコちゃんで返した。

「それが一番危ない・・覚悟してるから~」と満開二ヤで返した。

「エース・・早く私も修行させて~・・怖くなった」とカスミが不敵で言った。


『今、決めてるのは・・来週水曜・・ユリカの店、カスミとマキでいきたい・・ユリさんの了解まだだけど』と二ヤで返した。

「絶対に了解とれよ・・現時点での大きな差を知らしめてやる」とカスミがマキに不敵で言った。

「そこは不敵ですね~・・カスミ姉さん、美由紀の次に、マキに完敗しないで下さいね」とマキが二ヤで返した、カスミは嬉しそうな不敵で返していた。

「私・・PG休んで見に行こうかな~・・楽しそう」と蘭が満開で微笑んだ。

「私の店を、壊さないでね」と爽やか二ヤで言ったユリカからローズに入った。

ローズは月曜の深夜で客はいなかった、私達を見てリアンが嬉しそうに微笑んだ。


「最近嬉しいことが多いね~・・でもユリカ、最近大ママみたいになってるね」と極炎ニカで言った。

「リアン・・緊張が出てるよ、魅宴ごときで」とユリカが爽やか二ヤで返した。

「本気で凄すぎる・・この2人の絡みは」とカスミが微笑んだ。


「たいしたことないですよ・・リアン姉さんは。

 私、リアン姉さんを最初に見たとき、本当に嬉しかった。

 それはカスミ姉さんを見た時よりも、ずっと嬉しかったんです。

 その炎が真っ直ぐに上がってたから、一瞬で憧れました。

 そして清次郎先生を見たときのリアン姉さん、その瞳の美しさに見惚れました。

 でも・・なぜ・・どうしてですか、リアン姉さん。

 待ってるのに・・由美子はずっと待ってるのに、母親が妹のように愛した女性を。

 まさか、何か躊躇してるんですか・・炎の女が。

 言い訳するんですか・・私の憧れの女性が・・自分に言い訳するんですか?

 今を延ばして良いんですか?・・由美子にとっての、明日は確実に訪れますか?

 それとも後で後悔すれば、良いと思ってるんですか?

 私は憧れていたい・・その真っ直ぐな炎に、圧倒的熱量に。

 私は今日やっと、エースに許可をもらいました、明日由美子に会いに行きます。

 そして由美子の心に点火してみせます、必死でやってみます。

 由美子が自分に負けないように、心を熱く燃やしていて欲しい。

 でも・・私の熱じゃ、由美子の濡れた導火線には点火出来ないかも。

 でも私がやらないと・・どんな事をしても、私が成し遂げないといけない。

 だって・・だって・・だって、圧倒的熱量の極炎の炎が、風下に立っている。

 私は向かい風を正面から受けても燃え続けて見せる、私の憧れのリアンという女性のように。

 言い訳など絶対にしない、シオンの姉の、リアンに憧れているから。

 憧れ続けていたいから・・こんな風で風下に逃げない・・向き合ってみせる。

 だって私の炎は・・リアンが点火してくれたんだから・・極炎の種火で。

 絶対にそれを消さない・・そして汚さない・・だから逃げない。

 私の大好きな・・大切な・・あの・・リアンの極炎の種火だから」

 

強かった、マキはリアンを睨んで一気に吐き出した。

全員が固まっていた、リアンの店の女性も。

マキは大粒の涙を流しながらも、一度もリアンの極炎の瞳から目を逸らさなかった。

リアンはその炎を最大限に上げて、マキを見ていた。

その表情は誰が見ても、喜びに溢れていた。

リアンはゆっくりとマキの隣に座った、そしてマキと見つめ合った。

その時にリアンの極炎の瞳から、大粒の涙が止めどなく溢れ出した。


「マキ・・ありがとう・・でも、マキじゃまだ無理だよ。

 だから明日、私と一緒に行ってね・・由美子の所に。

 そしてマキが伝えてね・・そうしたら、私が点火するよ。

 必ず点火してみせる・・だから見ていてね、私の大切な種火を分けた妹。

 マキに見ていて欲しい・・ユリ姉さんが教えてくれた。

 私とカスミとマキで、情熱3姉妹・・エースがそう称号を贈ってくれた。

 私が馬鹿だったよ・・逃げてたね、風下に・・私は、リアンなのに。

 危なく情熱3姉妹に、私が入れないとこだったよ。

 ありがとう、マキ・・マキの炎で再点火してくれて、明日見せるね。

 本当の極炎の炎を・・だからずっと見ていてね、これからずっと。

 そして私が風下に逃げたら・・また、今のように伝えてね。

 マキの炎で・・私に再点火してね・・ありがとう・・マキ」

 

そう言いながら、リアンはマキを抱きしめた。

「はい・・リアン姉さん、生意気な妹でごめんなさい」とマキがリアンの耳元に囁いた。

「欲しかったんだよ・・生意気な妹が、それが2人も出来たから・・最高だよ」とリアンが囁いて返した。


「強かったよ、マキ・・やばかったぞ、敗北を認めそうだった」とカスミが涙を見せて微笑んだ。

「遠慮しないで、認めてくれても良いですよ~」とマキが二ヤで返した。

「そうだよね~・・この世界で3つも称号持ってる女って、今までいたっけ?」とリアンがユリカにニカで言った。

「知らないね~・・ちょっと贅沢だから、情熱3姉妹は保留だね」とユリカが爽やか二ヤで言った。


「エース・・情熱、誰か探して来い」とリアンが二ヤで来た。

「お待ちになって~・・情熱はどうしてもほすい」とカスミがウルウルで言った。

「じゃあ、永遠を捨てるんだね」と蘭が満開二ヤで突っ込んだ。

「カスミ姉さん・・永遠の憧れ・・早く捨てて、すぐに拾いますから~」とマキが二ヤで言った。

「マキ・・それは、シオンが拾います~」とニコちゃんで言った。


「ぜっっっったい嫌、永遠も情熱も・・私は贅沢な女・・カスミだから~」とカスミが全力不敵で返した。

「贅沢な女という、称号も付けるのか~・・欲張りな女だな~」と蘭が満開で微笑んだ。

「明日、瞑想行って、皆に迷惑かけないのよ・・かしゅみ」とユリカが爽やか二ヤを出した。

カスミはウルウルで返していた、全員の笑顔で終了を迎えた。

シオンが車でユリカとカスミとマキを送ると言ったので、蘭と2人でローズを出た。


「ごめんね・・私はただ喜んでいたね、由美子に会って・・あなたの覚悟も分からずに」と蘭が強く腕を組んで囁いた。

『蘭・・良いんだよ~・・蘭が俺の側にいてくれるんだろ』と笑顔で返した。

「当然・・絶対に離れないよ、あなたが由美子を連れて帰るまで」と満開で微笑んだ。

私は満開蘭とタクシーに乗った、蘭が肩に乗ってきた。


「さっきの話聞いてて・・私は思い出してたよ、美由紀の深いため息。

 あなたに由美子に対しての覚悟を聞いた後、は~と吐いたため息。

 あのため息の重さを感じてた、美由紀は全て分かってるんだね。

 そしてマキも・・マキのリアン姉さんへの言葉。

 ビンビン心に響いたよ、私にさえ響いた。

 リアン姉さんには、どれほど響いたんだろう。

 そして、カスミに・・どれだけ響いたんだろう。

 本当に嬉しかったよ・・マキの言葉と美由紀のため息が」


蘭は静かにそう言って、瞳を閉じた。

私は蘭の吐息を感じながら、自分の中の集中してる何かを楽しんでいた。

タクシーがアパートに着き、蘭を抱き上げて部屋に入った。

蘭が化粧を落とす間に、時間割を確認して着替えた。

蘭が満開で抱きついて、私はそのまま抱き上げてベッドに優しく寝かせた。

部屋の電気を消して、蘭に腕枕して引き寄せた。


『水曜、ゴールドに出ますかね・・いよいよ蘭が』と囁いた。

「もちろん・・千鶴姉さんの所からか~・・嬉しいな~」と蘭が満開で微笑んだ。


『蘭・・セリカが東京に、ずっと憧れてるらしいんだ。

 そして5年後、東京PGに挑戦したいと言ってきた。

 セリカを蘭に任せるよ・・東京PGの、最初のフロアーリーダーになって欲しい。

 それだけの素質があると思ってる、流星のセリカなら』


私は蘭に静かに囁いた、蘭は満開で顔を上げて私を見た。

「了解・・楽しみだね~」と微笑んで、私の胸に顔を付けて瞳を閉じた。

蘭の眠るのを感じないまま、私も眠りに落ちていた。


翌朝自然に目が覚めた、集中していると感じていた。

洗面所で歯を磨き顔を洗った、キッチンでご飯を確認して。

鯖の切り身を焼いて、納豆を用意した、時間があったので味噌汁も用意した。


「おはよ~・・今朝も幸せ~」と満開蘭が洗面所に消えた。

私は朝食を用意して、蘭を待っていた、満開で戻ってきて座った。

2人で笑顔で朝食を食べていた、蘭はご機嫌だった。


「今日は、ユリカ姉さんが迎えに来るの?」と蘭が微笑んだ。

『うん、俺と美由紀を・・それから律子に会いに行くよ』と笑顔で返した。

「本当に心強いよね・・律子母さんがいるだけで」と蘭が満開で微笑んだ。

『うん・・それは認める』と笑顔で返した。

「その時はどんな体制でいくの?・・人員は?」と蘭が真顔で言った。


『北斗と母親でしょ、父親もいるだろうし・・北斗の支えでユリさん。

 そしてユリカに蘭とマチルダ・・そして美由紀と沙紀。

 そして別の部屋で、律子とマキに4人娘と待機してもらう。

 最終手段・・その切り札・・それがマリア』


「了解・・マチルダの存在、ありがたいね」と蘭が満開で微笑んだ。


『うん・・北斗や祖父母は大変なんだよ、ずっと抱えてきてるから。

 由美子なら5年も、その恐怖や寂しさを抱えて来てるから。

 だから北斗には絶対にユリさんが必要なんだよ、ユリさんなら絶対に北斗を支える。

 そして沙紀の側にユリカにいてもらう、沙紀はそれが1番落ち着くから。

 沙紀には酷な事かもしれないけど、どうしてもいて貰いたい。

 そして美由紀の側に、マチルダにいてもらう・・絶対にお互いに何かを感じる。

 マチルダと美由紀なら・・大切な何かを感じると思うよ。

 そして俺の側には、青い炎にいてもらうよ』


「うん・・了解、離れないよ」と蘭が満開で微笑んだ。


「マチルダ、喜ぶよ~・・美由紀と律子母さん」と蘭が満開で微笑んだ。

『だろうね・・マチルダか~・・もう1年位離れてた気がするよ』と笑顔で言った。

「まだ・・1週間です」と蘭が笑顔で睨んだ。

『1週間・・長かった~』と二ヤで返した。

「私もいよいよ・・プイしようかな~」と満開二ヤで来た。

『蘭・・それだけは勘弁して~、プイは心臓に悪いから』とウルで言った。


満開蘭に手を振って、チャリで出かけた。

少し汗を感じた時に、美由紀の家に着いた。

『せ~つこちゃん、学校行きますよ~』と母親の名前を呼んだ。

「は~い」と言って、笑顔で節子が出てきた。


「何・・何があったの?」と私の顔を見て節子が聞いた。


『節子・・今のミホの病院に、ヒトミと同じ病気の子がいるんだ。

 5歳の少女なんだけど・・もうすぐ来そうなんだ。

 段階の場面が、だから美由紀を借りたいんだ。

 今回は一気に段階を乗り越えたい、どんな事をしても。

 だから今日、美由紀に会ってもらう・・美由紀には辛い事かも知れない。

 でも俺にはどうしても・・美由紀が必要なんだ。

 ごめんね節子・・美由紀を借ります』


私はそう真剣に言って、頭を下げた。


「小僧・・怒るよ、美由紀も私も。

 誰が一番辛いんだい・・あんただろ、2人目に挑戦する小僧だろ。

 美由紀を頼むね・・最後まで、美由紀もやらせてね。

 小僧・・ベストを尽くして・・そして、絶対に諦めないでね」


節子は優しく抱きしめてくれた、私は嬉しくて抱かれていた。

「小僧・・いつ位になりそうなんだい?」と美由紀が真顔で言った。

『今週中だと思う・・週末までもつかどうか』と真顔で返した。

「母さん・・5日分の下着用意しといて、小僧の側にいるから」と美由紀が節子に微笑んだ。

「了解・・あんまり調子に乗らないでね」と節子が笑顔で言った。

私は美由紀を抱き上げて、YUTAKAⅡに乗せて、学校を目指した。


「でも落ち着いてるね~・・なんか段階上がったね」と美由紀が言った。

『まぁね・・美由紀、今日は物語少し飛んで・・青い目の試験の話です~』と言った。

「それは面白そう~」と美由紀が声を強めて言った。

『その日、俺がユリカの店に行くと、張り紙が・・・』私はリンダと出会いの話をしていた、マチルダまで話しておきたかったのだ。

美由紀の背中は興味津々オーラを出して、夢中で聞いている感じだった。


教室に入る手前で、リンダの話が終わった。

教室に入ると、静かだった、数学の試験前の独特の雰囲気だった。

清次郎が入ってきて、朝の挨拶をした。

2時間の試験をなんとかクリアーして、掃除して終礼があった。

解散になって、清次郎に私と美由紀が呼ばれた。

私は美由紀を押して、職員室に向かった。

奥のテーブルに座って、清次郎を待っていた、美由紀はミセス祥子と話していた。


「小僧・・どうした、その緊張感は・・由美子かね」と私の前に座りながら、清次郎が真顔で言った。

『うん、和尚に聞いたんだね・・由美子、段階の場面が迫ってきた』と真顔で返した。

「そうか~・・美由紀も側にいるんだな」と清次郎が真顔で聞いた。

「もちろん・・ずっと側にいる、終わるまで」と美由紀が微笑んだ。

「分かった・・その時は学校休んでいいぞ、ワシが許す」と清次郎が笑顔で言った。

『ありがとう、清次郎・・俺は今度は、最後までやり通すよ』と笑顔で返した。


その時に職員室の入り口から、極マサと鬼瓦の声が聞こえた。

「まぁどうぞどうぞ、むさ苦しい所ですけど」と言って、ユリカを連れて来た。

「すいません・・失礼致します」とユリカが爽やかに微笑んで頭を下げた。

教師全員の視線が集まった、ユリカは笑顔を振りまいて歩いて来た。

「清次郎先生、お世話になります」とユリカが深々と頭を下げた。

「いえいえ、こちらこそ・・まぁどうぞ」と笑顔で言って、自分の隣に招いた。

「また悪さしたのね、小僧と美由紀・・私が呼び出されました」と爽やか二ヤで言いながら、座った。

「ごめんなさい・・小僧が誘ったんです、気持ち良いからやろうって」と言って美由紀が頭を下げた。

「小僧・・何が気持ち良いんだね?・・言わないと返さないぞ」と清次郎が笑顔で言った。


『美由紀が・・胸が大きくならないと悩んでいたから。

 掃除機で吸わせれば大きくなるよって、教えてあげました。

 それに気持ち良いらしいから、やってみようって・・誘いました。

 ごめんなさい・・もう掃除機はしません』


私はそう言って頭を下げた、職員室が笑いに包まれた。

「美由紀・・まだまだ口では小僧に勝てんね」と清次郎が笑顔で言った。

「そんな返しで来るか~」と美由紀が二ヤで言った。

ユリカが清次郎に挨拶して、極マサと鬼瓦に挨拶をした。

ユリカと私が美由紀を押して校舎を出た、正門の前にフォルクスワーゲンが止まっていた。

「カブトムシ!・・良いな~可愛いな~」と言っている美由紀を抱き上げて、助手席に乗せた。

YUTAKAⅡをたたんで、後部座席に積んで、私が乗った。

ユリカが楽しそうに美由紀と話しながら、運転していた。

美由紀が笑顔で道案内しながら、ユリカに矢継ぎ早に質問していた。


私の実家の駐車スペースに車を入れ、私は美由紀を抱いてユリカを案内した。

キッチンに母がいた、ユリカと美由紀を見て嬉しそうに微笑んだ。

「まぁ・・素敵な訪問者ですね~・・美由紀、久しぶりですね」と母が微笑んだ。

「小僧が家出したので、お久しぶりになりました~」と美由紀が笑顔で返した。

「ほんとに・・美由紀が全裸にまでなったのに、繋ぎ止めておかないから」と二ヤで返して、ユリカをリビングに誘った。


「ユリカ、美由紀・・緊張感が出てますよ・・駄目でしょ、今から病院に行くのでしょ」と母が微笑んだ。

「鋭すぎますよ~・・怖くなります、律子母さんが」とユリカが爽やかに微笑んだ。

「あなたに鋭すぎると言われると・・日本一じゃないかと思えるわ」と母が楽しそうに笑って。

「さて・・小僧、聞きましょうか・・私に話があるんでしょ」と真顔で私を見た。


『お袋に回りくどく言わないよ、単刀直入に言う。

 由美子の段階の時が近い・・俺の精神的保険として、お袋に待機していて欲しい。

 俺が限界を気にせず、取り組むために、どうしても律子保険がいるんだよ』


私は母を見ながら真顔で言った、母は静かに聞いていた。

「了解です・・ユリカも美由紀もいるんですね」と母が微笑んだ。

「もちろん、私は沙紀と一緒にいます・・そして美由紀はマチルダと言う女性といます」とユリカが微笑んだ、美由紀が驚いて私を見た。


「そうですか・・やはり素晴らしい人間なんですね、リンダとマチルダは。

 私も会えるのを楽しみにしてます・・美由紀・・いよいよですね」


母が美由紀に微笑んだ、美由紀は真剣な瞳になって頷いた。

「母さん・・由美子に伝えてみせます、ヒトミの伝言と・・私の想いを」と美由紀は真顔で言った。

「美由紀・・肩に力が入りすぎです、あなたらしく・・笑い飛ばしてきなさい」と母が笑顔で言った。

「そうしてきます・・そうだった」と美由紀が舌を出した。

「ユリカと蘭で、美由紀をお願いしますね・・この子は夜帰りませんから、そういう女です・・美由紀は」と母がユリカに微笑んだ。

「引き受けます・・蘭も、美由紀も私の家に泊めて・・スタンバイしますね、面白話でもしながら」とユリカが笑顔で返した。


「さすが・・ユリカですね、シズカには黙っておきます・・おしかけますから」と母二ヤで言った。

「大歓迎ですよ・・シズカはどう考えてるんでしょう・・由美子のそれが来ることは、分かってるでしょうから」とユリカが真顔で聞いた。


「あの子は、小僧の姉です・・策略なら天下一品ですよ。

 先週からコンタクトを取っています・・いつでも連れ出せるように。

 そして感じさせてるようです、そして今、その子は探しているのでしょう。

 シズカじゃないと絶対に連れ出せない、その子を準備しています。

 きっと結末を探し出し、巻き戻してくれます。

 シズカはシズカの、最強の切り札を用意してます・・マリという少女を」


母はユリカに笑顔で言った、ユリカの喜びに満ちた笑顔が広がった。

「さすが、シズカ・・最強の切り札を用意してますね」とユリカが嬉しそうに微笑んだ。

「揃った~・・全ては由美子ちゃんの為に、小僧・・揃ったね」と美由紀が微笑んだ。

『うん、完璧だよ・・マリが来る可能性が有るだけで、俺には心の武器になるよ』と笑顔で言った。


9月初頭・・風は夏の匂いを連れていた、南国の9月。

私は集中する自分の何かを楽しんでいた、そしてマチルダを待っていた。


吹き抜けた風に、得体の知れない何かを感じた。

私は思い出し、感じていた・・マリがカウントを取り始めたと。

小さな手の指を微かに曲げて、カウントアップを始めたと・・結末の地点に向けて。


マキのこのリアンへの点火、本当に強かった。


そしてこの言葉に、一番強く影響を受けたのは、カスミだった。


カスミは自分に足りない物を見つけ出した、そしてそれを追い求め続ける。


カスミの輝きに、炎が点火される・・マキが種火で点火した。


情熱3姉妹が揃っていく、3人が全員・・変換する事を知らない。


綺麗な言葉や、優しい表現など・・その言葉には存在しない。


ダイレクトに愛だけを伝える・・仕事を離れれば、それしか存在しなかった。


美由紀が帰らないと聞いて、ユリカも蘭も喜んでいた、その行動力に。


しかし私は心配していた、美由紀の後悔を知っていたから。


ヒトミに対する美由紀の後悔を、だから私は節子に謝ったのだ。


しかし私の心配など吹き飛ばす、美由紀の覚悟は別世界だった。


夏物語は加速を始めた・・全員が1つの事を目指していた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ