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全裸の愛

不思議な空間が出来ていた、各々が自分の考えを笑顔で話していた。

結末を知る私とマキは、質問に対して笑顔でとぼけていた。

マキの横にエミが笑顔で座った、マキも嬉しそうに微笑んだ。


「マキちゃん、最初の方聞けなかったの・・教えて?」とエミが笑顔で言った。

「エースがね3年生の今頃、9月になったばかりの頃・・・」マキが嬉しそうにエミに話していた。


「望めばその先に、事実が存在する・・本当に面白い考え方ですね、驚きました」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「確かに・・でも聞いて考えると、なんとなく分かりますね・・ユリカ姉さんなら、理解出来るんじゃないですか?」と蘭が満開で微笑んだ。

全員がユリカを見た、私も興味津々でユリカの言葉を待った。


「そうですね~・・感覚的には、凄く分かる部分があります。

 例えば、未来って存在するのかと聞かれれば、存在しないでしょうね。

 でもエースがよく言う、未来図は存在するんじゃないでしょうか。

 各自が描いた未来図は・・それが真剣に考え、決意して必死で目指す物なら。

 存在すると感じます、もちろん私はそれを読めないけど。

 読める感性があっても、おかしくないと思えますね。

 マリちゃん話のこれからの展開、本当に楽しみですね。

 私は強く感じました、マリちゃんはエースに大きな影響を与えてますね。

 エースが原作者に辿り着いたのも、先を読んでいく行動も。

 多分、マリちゃんから吸収した部分が多いんでしょうね。

 そして限界トリオの12歳の解釈、その少女らしい探究心。

 小僧とはアプローチの仕方は全く違うけど、面白い見解ですよね。

 私は凄く楽しい気分になりました、そして分かったんです。

 限界トリオに出会った時、どうしてあんなに楽しい気分になれたのか。

 それはやはり・・特別視されなかったから、3人とも私の個性を感じてるのに。

 自然に接してくれた・・それはそうですよね。

 彼女達の周りを考えれば、和尚様と豊と小僧だけでも凄い事なのに。

 ヨーコや美由紀や、小児病棟の子供達に、施設の子供達。

 そのありとあらゆる個性と触れ合ってきた、それも心で触れ合った。

 だから私に対して、ストレートに入ってきました。

 私は本当に嬉しかった、そして少女の気持ちも蘇った、後悔する季節が。

 私のマリに対する感想は、今は言わないでおきます。

 私も展開を楽しみたいから、12歳の少女の気持ちで聞きたい。

 そうすれば・・分かってくるんじゃないでしょうか。

 今はただ・・凄いという感想しか出ない、美由紀の愛情表現の本質が。

 私はずっと考えています、美由紀本人は絶対に、その部分の本音を言わないでしょう。

 でもどうしても何か深い意味があると感じます、私は今・・マチルダに会いたい。

 そして美由紀の話を、夜通しでもしてみたい・・マチルダの感想が聞きたいですね。

 マチルダとリンダの見解が・・12歳の全裸の愛をどう表現するのか。

 美由紀が沙紀と由美子に会う、その日が近づいている。

 私はそれだけでワクワクしてしまう、その心を楽しんでしまう。

 美由紀は自閉症に対して、自分は優しい人間じゃないと言った。

 本当に素敵な言葉でした、美由紀の考える優しさって、どんなに大きく深いのかと思いました。

 そして小僧に問いかけられるのは、世界中で由美子だけだと言った、美由紀の言葉。

 その真意は、圧倒的に重く深かったですね。

 私達は幸せです・・マキが無変換で、その時の心を話してくれる。

 だから戻れる・・その時の自分に。

 そして美由紀が、その深く秘めた表現で、伝えてくれますね。

 少女の心を・・だからリアルに考える事ができる。

 その頃に帰れる・・どこかで後悔し、未熟だったと反省する季節に。

 振り返り、そして前を向ける・・そして前進する為の、行進曲を久美子が奏でてくれる。

 素晴らしい時を過ごせる・・それが本当に・・幸せですね」


ユリカは静寂を連れて、静かに言った、私は感じていた。

マチルダに再開したら、真っ先に美由紀に会わせようと思っていた。

「さすがユリカ、確かに私でも12歳の気持ちに帰れたよ・・嬉しかった~」と北斗が笑顔で言った。

「12歳・・そんなに重要な時期なんだ~」とエミが笑顔で言った。


「そうですね、エミになら話して良いでしょう。

 エミ、12歳・・女性にとって大切な節目ですよ。

 もちろん小学校から中学校に、上がる事も大きいです。

 でも女子にはもっと大きな変化があります、その頃に生理が始まるんです。

 カスミちゃんの言う、第二段階に移行していきます。

 不思議な感覚なんですよ、変化の大きい人は、食べ物の好みまで変わります。

 女子は突き付けられます、体が成熟していると、感じさせられる。

 胸が膨らんできて、お尻にもお肉が付いて・・全体的な曲線が出てきます。

 そして異性を意識してしまう、汚く感じたり・・匂いに敏感になったり。

 父親に対して嫌悪感を感じたり、それは仕方がない事なんですよ。

 成長の過程で、進み過ぎないように・・ブレーキがかかるんでしょうね。

 個人差はあるけど、2~3年で抜けますからね。

 そんな時期なんですよ・・だからこそ、12歳の美由紀の行動は凄いんです。

 その時期だからこそ、相手にも響くんですね・・心を空にした行為だから。

 相手と正面から向き合った行為だから、全てを委ねる行為だから。

 どんなに言葉で強く言うより、響きますよね。

 好きだよ、信じてるよ・・その2つの言葉は分かりますよね。

 でも私も、ユリカと同じで・・もっと深い何かがあると感じています。

 エミが12歳になったときに、美由紀の言葉を・・その心で感じてね。

 そしてエミの言葉で教えてね、正直な言葉で。

 今から楽しみにしてるから、ここにいる全員が」


ユリさんがエミを見ながら、強く優しく言った。

「はい・・その時に感じてみます」とエミが少女の可愛い笑顔で答えた。

「それも5年後ですね・・あの5年後の再宴が楽しみですね」とカスミが輝く笑顔で言った。

「あっ!それで思い出しました・・エース、北斗復活、キング様には報告しないと怒られますよ」とユリさんが薔薇二ヤで言った。

『えっ!それは大変だ・・事務所に行ってみよう』と二ヤで返した。

「キング様?・・誰かな~、私を知ってるんだから・・年寄りだね」と北斗が笑った、女性達が二ヤで見ていた。


女性達が食事の支度を始め、私は蘭にキングと魅宴のナギサを見てくると囁いて。

ユリカとTVルームを出た、ユリカにキングの事務所の場所を聞いて。

県庁の方に歩いていた、18時少し前で、仕事帰りのサラリーマンが多かった。


橘通りの信号待ちをしてると、向かいの信号待ちの人混みに、キングの顔があった。

私は渡らずに、キングが来るのを待っていた。


「おっ!・・小僧、こんな所で客引きか~」とキングが微笑んだ。

『うん・・キング限定で、俺が派遣社員1号の登録女性を、PGに入れたから・・キングに評価してほしくて』と二ヤで言った。

「その二ヤは、相当に自信があるな・・じゃあ7時45分に予約入れてくれ、久美子の最後の曲が聞きたい」と笑顔で返された。

『それにも、面白い新情報が・・久美子、J・塚本のオヤジ・ジャズバンドに入ったから』とニヤニヤで言った。

「なんだって~・・リッチのステージに立つのか、でもあのバンドじゃ久美子がもったいないよ」と楽しそうに笑った。


『久美子がお守り見せたら、オヤジ達・・キングがライブを見に来て、駄目出しするって震えてたよ』と笑顔で言った。

「もちろん行って、駄目だしするぞ・・可愛い久美子の為だからな」と笑ったキングに手を振って別れた。

私は公衆電話でPGに電話して、ユリさんにキングの予約を伝えた。

そして魅宴の裏階段から、魅宴に入った・・フロアーにリョウとミサキがもう出ていた。

私服のヨーコと3人で談笑していた、私を見つけてリョウが手招きした。


『フロアー出るの早いね・・さすが一流だね』と二ヤで言った。

「なんか・・控え室、ナギサ姉さん入ってて・・緊張感があったよ」とリョウが微笑んだ。

「ミコト姉さんが、嬉しそうだったよ」とミサキが微笑んだ。

『ミコトは嬉しいさ・・可愛い妹が帰って来たんだから』と笑顔で返した、強い波動が同意を示した。

「明日から、午後にサインの講習に行くね・・ケイコ姉さんも来るらしいよ」とヨーコが微笑んだ。

『了解・・俺がいなくて寂しいだろうけど、泣くなよ・・ヨーコ』と二ヤで返した。

「はい・・エース」とヨーコが清楚二ヤを出した。

その時に女性達が入場してきて、私はフロアー裏に戻った。


15名ほど女性が揃い、最後にミコトが入った。

私はミコトの美しさに見惚れていた、薄いブルーのドレスを纏い輝いていた。

そして静寂が訪れた、ナギサが入場した、純白のドレスを着て華やかさがMAXだった。

歩く時に残像のように輝きを引き連れ、微笑みに溢れる華やかさに目を奪われた。

《魅宴のナギサ・・まさに伝説以上だよ、ユリカ》と心に囁いた。

「そうだね~・・私も嬉しいよ」と後ろからユリカの声がした。


ユリカが私の横に立った時、大ママがフロアーに入ってきた。


「今夜・・いよいよ、ナギサが復活してくれる。

 伝説でしか知らない者が多いと思う、私は今ここではっきりと言おう。

 夜の女の素質だけで考えたら、ナギサはミコトや・・あのユリカに匹敵する。

 最高の副職と呼ばれる、蘭の唯一のライバルであり親友のナギサ。

 そしてあのユリが5年後、PGを任せたいと言った・・そのナギサという存在。

 感じてみて欲しい・・絶対に大切な何かを感じる事が出来ると思うから」


大ママの愛情に溢れる言葉が響いていた、ナギサは目を潤ませて聞いていた。

大ママがナギサに挨拶を促した、ナギサは華やかに微笑んで頭を下げた。


「ナギサです・・本当に喜びを感じながら、この場所に戻ってきました。

 私が夜の仕事をした原点である、この大切な場所。

 ユリカ姉さんとミコト姉さんを追いかけた、楽しい日々。

 その感謝の証として、今夜お見せします・・この夜の世界で唯一。

 魅宴とPGを経験した誇りにかけて、今の私の考える仕事を。

 大ママ、ミコト姉さん・・そして皆さん、見ていて下さいね。

 この復活が私の感謝の証です、魅宴とPGと水商売に対しての。

 よろしくお願いします」


ナギサは華やかに微笑んで、深々と頭を下げた、女性達も笑顔で返礼した。

「ナギサ、完全に覚醒してるね・・起爆剤は?」とユリカが爽やかに微笑んだ。

『沙紀のメモの絵画と、北斗だよ・・北斗とナギサ・・同じ匂いがするよ』と囁いて返した。

「確かにそうかも・・ナギサ、嬉しかったんだね、初めて自分と同じ匂いの女を感じて」とユリカがナギサを見ながら言った。

『それも年上の、圧倒的存在だから・・憧れたんだよ、多分産まれて初めて本気で憧れた』と私もナギサを見ながら笑顔で言った。


「明日はあのMAX炎のリアンでしょ・・魅宴の2面性のお手伝いも、大変ね」とユリカが二ヤできた。

『お手伝いなんてしてないよ・・自分が楽しみたいだけです』と二ヤで返した。

「そうなの~・・来週の水曜日、魅宴でよろしく」とユリカが爽やか笑顔で言った。

『了解・・楽しみだ~』と二ヤで返した。

「ユリカ姉さん・・嬉しいです」とミコトが微笑んだ。

「手ぐすね引いて待ってるくせに・・今では自分の方が上だって」とユリカが二ヤで返した。

「滅相も無い・・そんな事、寝てる時の夢でしか見たことないですよ」とミコトが余裕で微笑んだ。


『ミコト・・依頼があるんだけど』と二ヤで言った。

「楽しそうだね~・・どっからかな?」とミコトが微笑んだ。


『ミチルをクラブ3店に光臨してもらう、。

 その時に、PGの時はミコトにミチルの代打を頼みたい。

 接客だけでない、女性たちを牽引する者として。

 店をまとめて、流れを作るママとして、それが出来るのは3人しかいない。

 魅宴の時は蘭が入る、ゴールドの時はナギサに入ってもらうよ。

 やってみるだろ、ミコト・・難しい事だから。

 女帝ミチルの代打・・それを任せられるのは、ミコトと蘭とナギサしかいないからね』


美しい真顔のミコトに、笑顔で言った。

「OKエース・・嬉しいよ、最高だよ・・必ず結果を出すからね」と余裕で微笑んだ。

「それも楽しみだね、うちの水曜のフォローは?」とユリカが微笑んだ。

『カスミとマキにしよう・・情熱姉妹でどうかな』と二ヤで言った。

「それは私が見たいよ・・楽しみだね~」とユリカが爽やかに微笑んだ。

「て事は・まさかリョウとヨーコのコンビも考えてるの」とミコトが二ヤで言った。

『もちろん・・楽しそうでしょ~』とニヤニヤで返した。

「面白すぎだよ・・大ママ絶対にここにはいないね」とミコトが笑った。


『ミチルの店の時は、ミコトにカスミ、ナギサにリョウでやろう』と笑顔で言った。

「そのブッキング、今から楽しみだね~」と大ママが微笑んだ。

「蘭には、誰を付けるの?」とユリカが微笑んだ。

『それは・・セリカで行く、セリカが本気なら・・蘭に挑戦させる』と二ヤで返した。

「構想、そこまで出来てるのかい・・楽しみだね~」と大ママが微笑んだ。

『大ママ・・来週、月曜北斗で水曜ユリカ復活でよろしく』と二ヤで言った。

「凄い名前がどんどん出てくるね~・・涙が出そうだよ」と大ママが微笑んだ。

私は嬉しそうな大ママにユリカと挨拶をして、ナギサにサインを送り。

ユリカと2人で魅宴を出た、ユリカはご機嫌だった。


『ご機嫌ですね~・・姫』と腕を組むユリカに笑顔で言った。

「楽しいね~・・マリ話、凄く興味あるよ」と爽やか笑顔で言った。

『少し意外かな~・・ユリカは納得するかと思ってたから』と笑顔で返した。

「限界トリオの考え方で、色々気付いて・・楽しくなってきたよ」と微笑んだ、ユリカに手を振って別れた。

私は急ぎ足で、PGを目指していた、北斗とキングの再会シーンが見たかったのだ。


PGの裏ドアから入った時に、通路の時計が19時40分を示していた。

私が指定席に向かおうとすると、ユリさんに呼び止められた。

「梶谷さんを、開店まで頼みますね」と薔薇で微笑んだ。


『ユリさん・・キングに、この前マキの話を聞かれて。

 今度紹介すると約束しました、キングは母親の真希さんを知ってるようで。

 開店前・・マキに任せてみて良いですか?』


私は真剣に笑顔のユリさんに言った、ユリさんは薔薇の微笑みになった。

「もちろん、良いですよ・・梶谷さん、最高の夜になりそうですね」と薔薇で微笑んだ、私も笑顔で頷いて走った。

私がマキの後ろに付いたときに、キングが受付に現れた。

私はカズ君に案内を頼み、マキを見た。


『マキ・・3番に行くぞ、現役の夜の帝王・梶谷さんだよ。

 PGで最も大切なお客だから・・マキの母親を知っててね。

 マキを紹介してくれと頼まれた、ユリさんの許可は貰った。

 15分・・開店するまで、マキに任せる。

 やるだろう・・マキ』


早口で言って、最後に二ヤをした。

「もちろん・・やっと私にもステップアップの提示してくれるんだね」と笑顔で言って立ち上がった。

私はマキを連れて、3番に歩いた、久美子と女性達が驚いて見ていた。


『キング・・開店まで研修生をお願いします。

 今、久美子と同じ16歳です、その名前は母親が源氏名で使っていたものです。

 その誇らしい源氏名を娘に託しました、そしてその娘も16歳でこの世界に挑みます。

 本名のまま・・誇り高き母親の源氏名を背負います。

 その覚悟を感じて下さい・・よろしくお願いします』


驚いて聞いているキングに、真顔で真剣に言って頭を下げた。

マキが美しい姿勢で、私の横に立ってキングに微笑んだ。

「マキと申します・・よろしくお願い致します」と深々と頭を下げた。

「マキ・・真希の娘さん・・顔を見せて」とキングが立ち上がってマキを見た、優しい瞳だった。

マキは嬉しそうに微笑んで、キングを見た。


「うんうん・・確かに真希の娘だね、内側から出てる物が同じだよ」と笑顔で言って、マキを席に招いた。

久美子はそれを見て感じたのだろう、この時間には珍しい旅情的な曲を弾いていた。

私は3番の2mほど後ろに立っていた、女性達の緊張感を感じた。

シオンが真剣な顔で見ていた、シオンも女性達も頑張れと応援していた。


「私・・本当に嬉しいんです、お客様として母を知る人に初めて会えました」とマキはキングに微笑んだ。


「マキ・・俺は君のお母さんに、助けられたんだよ。

 本当に優しい人だった、そして心の言葉で話す人だった。

 男は皆憧れたよ・・真希という優しく美しい大きな星に。

 そしてその娘さんに、今巡り会えて・・本当に嬉しいよ」


キングは優しくマキに囁いた、マキは嬉しそうな笑顔で聞いていた。


「母が幼い私に寝物語で話してくれました、夜の仕事の話を。

 とても楽しそうで、その時だけは、母がキラキラと輝いて。

 私も大好きな時間でした、その沢山の話の中で、はっきり覚えてる物があります。

 それはある男性の話でした、その青年は弁護士を目指す苦学生で。

 必死にアルバイトをしながら、司法試験の勉強をしていたそうです。

 でも辛い状況が続いて、その青年はお酒に溺れたそうです。

 母はその青年が好きでした、恋愛感情だったのかは分かりませんが。

 大好きだったと言っていました、だから母はその青年に復活して欲しかった。

 その青年は乗り越えたんです、その状況を自ら切り開いた。

 本当に素敵な人間なんだと、母は嬉しそうに言っていました。

 あの青年こそ弁護士に成るべき人間だと、人の痛みを感じれる人だから。

 マキ・・人の痛みの感じれる人間になってね、それは簡単な事じゃない。

 転んだ時の痛みを、絶対に忘れないで・・あの青年のように。

 マキ・・男性を好きになるなら、人の痛みを分かる人を選んでね。

 それ以外は何でも良いから、生活能力が無いなら、あなたが食べさせれば良いのよ。

 あの青年のような男を捜してね、本当の優しさに辿り着ける男を。

 母が強く言ってくれました、幼い私に・・私は覚えています。

 その男性の名前を・・その人は必ず辿り着くと、母が言ったから。

 その母の笑顔が嬉しそうで、キラキラと輝いていたから。

 その男性は絶対に素敵な人だと思っていました・・ありがとうございます。

 私の大切な思い出を、そして私の想像を超えた姿を見せてくれて。

 その優しい青年・・苦労して司法試験に合格した、強い意志を持つ男。

 その梶谷という人に、会いたかった・・だから探そうと思ってました。

 どんなに時間がかかっても、どうしても会いたかった。

 私と母を繋いでくれる・・素敵な男性だから・・本当にありがとうございます。

 梶谷さん・・母はずっとあなたを愛していました」


マキが一気にその思いを言葉にした、キングは俯いて号泣していた。

久美子が暖かい曲で、キングとマキを包んでいた、強烈な波動が何度も来ていた。

マキはキングの手を両手で握り、寄り添っていた、父に甘える娘のように。


女性達には、もちろんマキの話は聞こえていない、しかし感じていた。

マキの表情とキングの涙で、マキを意識していた、その圧倒的な言葉の力を。


「ありがとう・・本当に嬉しかったよ、マキ・・その言葉、母を超えてるよ」とキングが笑顔でそういった。

「頑張ります・・梶谷さんに指名を頂けるように」とマキも少女の笑顔で返した。

「それは・・難しいぞ」とキングが嬉しそうに笑った。

「難しいから、楽しいんですよね・・努力を惜しむと、得るものもそれなりになる・・生意気な青年の口癖です」とマキが二ヤで言った。

「小僧・・ヘルプ・・マキ、怖いぞ」とキングが私に二ヤで言った。

「梶谷さん・・それは通用しません、小僧は私の弟ですから・・ちなみに、今の父は勝也、母は律子です」とマキが二ヤ二ヤで追い詰めた。

「やばい・・絶対に逆らえない名前が出た」とキングが楽しそうに言った。


その時に久美子が静かに演奏を終えた、私は久美子の凄さを感じていた。

その状況を読む感覚を、久美子は嬉しそうにキングとマキを見ていた。


「やばいのは・・誰でしょう?」とマキが笑顔で聞いた。

「小僧にも言ってないが・・律子という名前には、絶対に頭が上がらない」とキングが笑顔で言った。

その時銀の扉から、北斗が現れた、マキは横目で確認した。

「やはりそうですか~・・でももう一人いますよね、愛し続けた人が」とマキが微笑んで視線をフロアーに振った。

キングもそれでフロアーを見た、そして北斗を確認した。


北斗は視線に気付きキングを見た、その表情が喜びに変化していった。

「梶谷と言う青年が、妹のように愛した人がいたと聞きました・・その名は、復活の星・・北斗さんですね」とマキがキングに囁いた。

強烈な波動が何度も来て、ユリカの感動を感じていた。

私はマキの作り出す世界を驚きながら見ていた、どこまでも伝えたい想いに溢れていた。


「そう、勝也兄貴を見て・・俺も欲しかった・・妹のような存在が」とキングがマキに微笑んだ。

「えっ!・・勝也父さんにも、妹のような存在がいたんですか?」とマキが驚いて聞いた。

「マキ・・今日のお礼に教えよう、勝也と律子が妹のように愛した女性・・その名は真希だよ」とキングが優しく微笑んだ。

「ありがとう・・梶谷さん・・ありがとう父さん・・ありがとう母さん」そう言って、マキは両手の拳を強く握った。


「マキ・・俺が許す・・泣いていいぞ」とキングが言って、優しくマキを抱きしめた。

マキはキングに抱かれて、父に抱かれる娘のように泣いていた。

北斗はずっと嬉しそうにキングを見ていた、キングもマキを抱いて北斗を見ていた。

その時ユリさんが現れた、マキはそれを感じたのか、顔を上げてキングに微笑んだ。


「私は今まで黙っていました、マキの母親の事を・・北斗姉さんに。

 それは私や大ママよりも、梶谷さんに伝えて欲しかった。

 それはこの出会いには、全てエースが関わっていたからです。

 エースとマキに、その事実を話すのは、梶谷さんであるべきだと感じたからです。

 エースの父、勝也さんと・・母、律子さんは・・マキの母親、真希さんを。

 妹のように愛していたそうです・・私はマダムに聞きました。

 それは無償の愛だったと、今のエースがユリカを愛するのと同じだったと。

 私はその話に本当に感動しました、その無償の愛を貫いた話に。

 この夜の世界にも、そんな愛が存在した事に・・存在し続ける事に。

 北斗姉さん・・マキは母親の源氏名を、本名として受け継ぎました。

 マキの母親・・その源氏名・・真実の希望・・真希さんです。

 その関係を見て感じて、梶谷さんは夜街で妹を育てました。

 梶谷さんが無償の愛で愛した女性・・その名は北斗ですよね。

 皆さんも感じて下さい、とかく騙し合いだとか、嘘の世界だとか。

 そう言われる夜の世界にも、強く優しい愛も存在する事を。

 そして私は今・・ある想いの意味を感じて、幸せの中にいます。

 12歳の全裸の愛の深い意味を感じて・・もしそうであるのなら。

 私は13歳の少女に、今夜完敗しました・・カスミと同じ気持ちです。

 嬉しい敗北です・・だから前に進める・・そう思っています。

 皆さんも感じて下さい・・自分の愛とはどんな形かを、探して下さい。

 そしていつの日か、誰かを心から愛して下さい・・全てを賭けて。

 全てを委ねて・・全てを信じる事ができる相手を。

 私は楽しみに待ってます・・その時の輝く笑顔を」


ユリさんは優しく言った、北斗の喜びが溢れていた。

私は感動して聞きながら、蘭の満開を見ていた、強烈な波動に包まれながら。


私はこの時に、マキの母親と父と母の関係を知った。


勝也という男の生き方を感じて、嬉しかった。


母の生き方は常日頃感じていた、しかし父の生き方に目を向けていなかった。


私はこの時に感じていた、蘭の父親に言った、後悔の話。


やはり自分の言葉じゃ無かったと、強く感じていた。


勝也の真希への愛が、私がユリカを愛するのと同じだと聞いて。


私は考えていた・・俺は貫けるだろうかと・・ユリカに囁いてみた。


強く暖かい波動で感じていた、貫いて見せろと強く言われた。


私のユリカに対する愛・・それは無償の愛ではなかった。


どこかで何かを我慢していた、求めることを恐れていた。


5年で別れが訪れたから、その後の関係は分からないが・・無償では無かった。


私が今、無償の愛だと言えるのは、実の2人の娘に対してだけである。


4人娘に対しても、ユリカに対しても・・私の心は、無償の愛ではなかった。


だが1つだけ言える・・私はユリカを愛していた、そして何も求めた事は無かった。


それが私の愛の形だと思っている、2人の娘にも全てを正直に話している。


今17歳になった下の娘が、この夏物語を読んで・・その愛を理解してくれた。


私はそれだけで良いと思っている、2人の娘に理解してもらえるだけで。


ユリカに対して、答えを探していたのではない・・自分の形を探していたのだから・・。



 






 


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