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存在する未来

純愛などではない、そんな表現は当てはまらない。

求めないのでも、我慢してるのでもない。

ただその関係であり続けたい、それだけがお互いの望みだった。


小さな空間に、無変換の言葉が響いていた。

女性達は考えているようだった、自分に置き換えて感じようとしていた。

「美由紀は凄すぎるね・・私には絶対に出来ないと感じた」とユリカが美しい真顔で言った。

「私もそう思いました、出来ませんね・・自分が小6の時なら」とユリさんんも真顔で言った。

「出来ない・・絶対に出来ないですよ」と蘭も真顔で呟いた。

「それが愛情表現なら、最強です・・幼い子供じゃない、12歳の少女の行為なら」とカスミが言った。

「そうですよね・・12歳、1番敏感な時ですよね」とレンが微笑んだ。

「シオン姉さん以外は、無理ですよね・・私も無理です」とマキが笑顔でシオンを見た。


「どうかな~・・今なら自信あるけど、12歳なら・・自信ないです~」とシオンが微笑んだ。

「そうだよね~・・身を委ねるって、そういう事なんだね・・相手を信じるって」と北斗が微笑んだ。

「その時、どんな気持ちになったの?・・それだけは教えて」と蘭が私に微笑んだ。

『ただ綺麗だと思って見てたよ・・それ以外の感情は出なかったよ』と笑顔で返した。

「抱き上げても?・・触れても?」とユリカが微笑んだ。

『うん・・それ以外は無かったよ、その後添い寝もしたし』と笑顔で返した。


「妬けないな・・そんな対象じゃない、美由紀という存在は」と蘭が満開笑顔になった。

その時にマリアが起きた、私はマリアを抱き上げて北斗を呼んだ。

北斗は笑顔でマリアの隣に座った、マリアは私と北斗を見て笑顔になった。

私はマリアの手を握り、言葉と温度で伝えた。


『マリア・・北斗が温度の言葉を覚えたいんだよ、だから協力してね。

 俺では難しいんだよ、感覚的な事を教えるのは。

 最初にYESとNOから始めよう、お願いね・・マリア』


天使全開のマリアに、笑顔で優しく言った。

「あい・・ほくと」と天使で微笑んで、右手を北斗に出した。

北斗は嬉しそうな笑顔で、マリアの手を握った。

『北斗・・親指をマリアの手の平の真ん中に当てて、そこに集中してね』と笑顔で言った、北斗も笑顔で頷いた。

女性達は沈黙して、興味津々で見ていた。


『じゃあ、慣れるまで俺が質問するね・・答えが分かってる質問から』と笑顔で北斗に言って。

『マリアはママが好きですか?』とマリアに笑顔で聞いた、マリアは天使の微笑で温度で伝えた。

「えっ!・・ちょっと待って、分かる気がする」と北斗が驚いて言った。


『北斗なら分かるんだよ・・一番難しい、気づくって事が出来てるから。

 マリアの伝達は、由美子の10倍は強いからね』と笑顔で言った。


「凄い・・ありがとうマリア、よろしくね」と北斗がマリアに微笑んだ。

「あい・・ほくと」と天使全開で返した。


『じゃあ北斗、流れを感じてね・・流れに意味があるから』と北斗に言った、北斗は笑顔で頷いた。

『マリアはエミが好きですか?』とマリアに聞いた、マリアは天使継続中だった。

「うそ!・・分かるよ流れが、右回りだよね」と北斗が嬉しそうに言った。

『じゃあNOの質問をするね・・マリアはピーマンが好きですか?』と私はマリアが唯一苦手なピーマンを出した。

「うんうん、分かったよ・・左回りだね」と北斗が微笑んだ。


その時に私ですら衝撃を受ける、ミサの言葉に。

「そうだよ・・流し方の速さで、どれだけ嫌いなのかを言うんだよ」とミサが笑顔で言った。

私を含む子供以外の全員が凍結した、5歳のミサの言葉に固まったのだ。

「やっぱり、ミサちゃんは知ってましたね~」とシオンがニコちゃんで言った。

「知ってるよ・・ミサ5歳だもん」とミサが少し威張った。

「ミサ・・5歳で知ってるから凄いんだよ」とエミが嬉しそうに言った。

「そうなの~・・マリアと遊ぶには、いるもん」とミサが不思議そうに言った。


「エース・・凄いの見つけて、二ヤしてるね」とマキが二ヤで言った。

『うん・・み~つけたって感じ、嬉しくて』と二ヤ全開で言った。

『じゃあ北斗、次はミサも握ってみて』と笑顔で言った、北斗は笑顔でミサの手を握った。

北斗はミサの右手を左手で握り、マリアの左手を右手で握った。

『じゃあミサ・・ミサがマリアに質問して、簡単なのを温度で』とミサに笑顔で言った。

「マリアはエースが好きなの?」と言葉と温度でミサが言った。

「うそ!・・強いよミサちゃんの流れ・・でもマリアが答えない」と北斗が二ヤで私を見た。

私は慌ててマリアを見た、全力天使不敵を私に出していた。


『マリア・・難しい質問じゃないでしょ・・簡単でしょ』とウルウルでマリアを見た。

「えーしゅ・・うわき・・だめ~」と天使不敵継続で言った、全員が大爆笑した。

『マリア、俺は浮気しないよ~』とマリアに言った。

「まりあと、おふろ、だっこする~」と天使二ヤで来た。

『するからね・・今度マリアとお風呂するから』とウルウルで返した、女性達の笑いが止まらなかった。

「凄いね~・・エース見直したよ、こんな色々な流れを覚えたの」と北斗が微笑んだ。

「簡単だよ、言葉より簡単・・だって思い出してくるから」とミサが笑顔で言った。

「そうなの、ミサ・・お願いだから教えてね」と北斗が嬉しそうに微笑んだ。

「は~い」とミサが少女の笑顔で返して、また衝撃を受ける。

「レイカちゃんも、よろしくだって」とミサがレイカに言ったのだ。

「はい」とレイカが可愛く答えた。


「エースの言葉で良いの?・・マリアの言葉?」とレイカが笑顔で聞いた、私は凍結状態だった。

「マリアのだよ、エースの悪い言葉だから」とミサが笑顔で返した。

「悪い言葉なの?」とユリカが楽しそうに笑顔で聞いた。

「うん・・エースのは言葉だけな感じだよ・・好き、お前、好きみたいな感じ」とミサが笑顔で返した。

「そうなんだ~・・海外に行った事がない、英語が得意と自負する人間みたいだね」とマキが二ヤで言った。

「だからヒトミに怒られたんだ、多分いやらしい言葉を連発して」と蘭が満開二ヤで言った。

「良かった~、ミサとレイカとマリアがいて・・私は悪い言葉を覚えるとこだったよ」と北斗が微笑んだ。


私は慌ててレイカの手を握った。

『レイカ、今日も可愛いね~』と言葉と温度で伝えてみた。

「温度はね・・レイカ、今日、可愛い?って聞いてるみたいだよ」とレイカが笑った。

『そうなの!・・勉強しま~す』とウルで返した。

「今の言葉で、胸に手を当てて考えてごらん・・ヒトミをどれほど傷つけたのか」とユリカが爽やか二ヤで言った。

私はウルで胸に手を当てて、天井を見た。

『ヒトミ、ごめん・・誤解だよ~』とウルウルで呟いた、全員が笑っていた。

強烈なユリアの波動に熱が乗ってきて、ヒトミが笑っていた。


北斗は暫らく、ミサとレイカの会話を温度で感じていた、その笑顔が嬉しそうだった。

その時に久美子が元気良く入ってきて、全員に挨拶をした。


『久美子・・今週の土曜日の6時から、演奏会よろしく。

 観客は美由紀とミホと沙紀に、病院関係者が来るから。

 心に直接響かせてね・・魂の音色で』


私は驚く久美子を見ながら、笑顔で伝えた。

「了解・・やってみるよ、全てを賭けて」と久美子が微笑んだ。

『うん・・響いたら、沙紀が久美子を描いてくれるよ』と笑顔で返した。

「うっそ~・・楽しみだな~」と久美子が笑顔で言って、エミを連れてレッスンに行った。


「私達の方が楽しみだよね~・・久美子の次の段階、その魂の響きが」と蘭が満開で微笑んだ。

「久美子・・変わりましたよ、母親を心の部屋に棲ませたって感じですね」とレンが微笑んだ。

「久美子の魂の響きを受けて、沙紀が描く絵ですか~・・本当に楽しみですね」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「さて、鑑賞会しましょうか・・蘭とシオンの絵を」と北斗が笑顔で言って、全員が頷いた。

テーブルの上に、2枚の絵を並べて見ていた。

蘭の満開とシオンのニコちゃんが、嬉しそうだった。


「良いな~・・素敵だな~」とハルカが微笑んだ。

「蘭ちゃんの海の中には、エースじゃない男の人がいる~」とミサが笑顔で言った。

「えっ!ミサ・・どこにいるの?」と蘭が驚いて聞いた。

「どこにって・・ここでしょ」とミサが絵の上を大きく円で示した。

私はハッとして見た、その海の深さを表現していた青の濃淡に浮き出ていた。

まだ少年らしい顔が、確かに描かれている感じだった。


その瞬間に蘭が号泣した、それでその正体が全員に理解できた。

その部分は確かに少年の顔と言えば顔のようで、だがただの偶然に出来たと言われれば、そんな感じだった。

それ程不鮮明に描かれていた、しかし蘭は確信したようだった。

その顔に確かな見覚えがあったのだろう、まさに弟の顔なのだろうと全員が感じていた。

蘭をユリカが優しく抱いて、蘭はただ泣いていた、暖かい何かが包んでいた。

しかし沙紀の絵には、まだ驚愕の事実が隠れていた。


「シオンちゃんの絵には、マチルダちゃんがいるんだね」とミサが笑顔で言った。

「ミサちゃん、どこでしょう」とシオンが慌てて聞いた。

「ここの木の所だよ~・・この緑は目でしょ、緑の目だよ~・・マチルダちゃんだね」とミサが笑顔で言った。

全員がそれを見て、感じていた、森の中の緑に確かに瞳が描かれていた。

まさにマチルダが微笑んでいるようだった。


「じゃあ、お池の目は誰?」とレイカがミサに聞いた。

「私も知らないよ・・青い目の人は」とミサがレイカに返した。

私達は又も驚愕した、右横を正面にして見ると。

そのブルーの湖の濃淡で、確かに瞳らしい物が浮かんでいた。

『リンダ!』私は思わず声に出してしまった、まさにリンダの瞳だった。

「リンダが見てる・・嬉しそうに、将来のシオンを」とユリカが呟いた。

シオンは俯いて泣いていた、カスミがシオンを抱きしめていた。


「私達は問われてますね、その物を常識で見るなと・・先入観を捨てれるのかと」とユリさんが真顔で呟いた。

「4人娘には見えるんだ・・先入観が無いから、沙紀の描く本質が」とカスミが呟いた。

「シオンにも見えないんだね、シオンにも上下左右の概念があるから」ちユリカが真顔で言った。


「ユリカ姉さんの言った通りだね、沙紀の絵は強く言ってるんだね。

 全員で同じ気持ちで挑もうと、それには先入観を捨てようと。

 試されてる・・それが出来るのかと・・絶対に由美子ちゃんの為に」


蘭が静かにそう言った、北斗が目を潤ませて頷いた。

「沙紀の突出した才能だとしても・・マキ、マリを知ってる?」とユリカが微笑んだ。

「もちろん、知ってます・・時をめくる者、預言者マリ」とマキが真顔で返した。

「預言者!・・怖い気がする」とハルカが言った。

「怖かったですよ・・その存在そのものが別世界にいて、それを小僧が覚醒し続けたから」とマキが真顔で返した。

「聞きましょう・・沙紀を理解したければ、必要でしょうから」と蘭が真顔で言った。


「長い話ですから、今日は出会い編を。

 マリは小僧が美由紀に出会って、夏休みが終わった、丁度今頃でした。

 突然現れた、10歳の自閉症の少女です、小僧も美由紀も9歳でしたね。

 マリは意思を示す事がそれまで無くて、常に柱の影に隠れて俯いてるような少女でした。

 確か階段から転落して、足を骨折したマリが入院してきたんです、小児病棟に。

 そして当然のように出会ってしまう、小僧が見つけてしまう。

 小僧はマリを一目で気に入ります、その不思議な魅力に夢中になる。

 マリは別世界でしたね、常に俯いているんですけど・・まれに顔を上げると。

 その瞳は黒目の部分が恐ろしいほど大きくて、あの個性特有の視線の症状は出て無かった。

 本当に静かな・・分かり易く言うと、10歳にして今のユリカ姉さんのような静けさです。

 小僧はマリの部屋に遊びに行って、いつもマリに密着して座って話していました。

 ヒトミに出会う少し前で、温度の伝達は持ってなかったけど。

 最も得意な鼓動の囁きを駆使してる感じでした、マリに出会って3日後でしたね。

 ミステリーが始まったのは、小僧はマリの心に触れて感じたんでしょう。

 家からトランプを持ってマリの病室に行った、そしてマリをベッドに座らせた。

 小僧がシズカに前日見て欲しいと頼んでいて、私達3人はマリを見ていました。

 小僧はマリのベッドに全てのカードを開いて置いた、そして直ぐに伏せ始めた。

 マリは俯いていました、でもカードを見たと思っていました。

 でも一瞬です・・小僧は直ぐにカードを伏せ始めましたから。

 そして伏せ終わり、小僧が笑顔で言うんですよ・・マリ、1からめくろうって。

 そうするとマリは俯いたまま、凄いスピードでめくり始めた。

 私達は固まってました、その速さと正確さに驚いていた。

 マリは2枚のカードを残して、見事に順番通り4枚一組でめくった。

 小僧は笑顔になって、最後の2枚をめくった・・私達はジョーカーだと思っていた。

 それは小僧が予備のカードに、自分で真似て書いたハートのエースでした。

 小僧はシズカに笑顔で聞いた、マリは天才なんだろうかと。

 シズカは違うと言いました、暗記じゃない・・それは無理なはず。

 シズカは真剣に言って、マリに近づいた・・そして笑顔でマリの手を握った。

 マリ・・私はシズカ、お友達になってね・・あなたの才能を感じてみたい。

 シズカはそう言って、トランプを取って混ぜました、そして一枚マリの前に置いた。

 そして残りのトランプを半円状に広げた、マリは俯いたまま、その中から3枚を選んだ。

 私と恭子は息を呑んで見ていました、シズカでさえ緊張していたと思います。

 一枚選択したカードがハートの3、そしてマリが選んだ3枚のカード。

 当然のように全て3でした、シズカはマリに抱きついて、本当に嬉しそうでした。

 私達はマリの不思議な力に驚き、それを感じて嬉しそうなシズカにも驚いた。

 そしてシズカが小僧に言います、このマリの力は誰にも言うなと。

 見世物にされると嫌だからと、シズカが強く小僧に釘を刺した。

 小僧は真剣に頷いて、マリの隣に座って笑顔で話し始めた。

 私達は3人で病院を出て、和尚の所に行きました。

 和尚におやつをもらい、和尚の前で話した・・和尚は興味津々で聞いていました。

 ここの部分の会話は鮮明に覚えています、衝撃的だったから。

 和尚にマリの出来事を話して、私がシズカに聞いた。

 マキ・・・あれは暗記じゃないの?

 シズカ・・暗記じゃないよ、だって探してたよ・・まるで見えるように。

 恭子・・・うん、そんな感じだったね、それに後の3枚当ては、暗記なんて関係ないし。

 シズカ・・和尚はどう思うの、超能力みたいなのって有るのかな~?

 和尚・・・超能力か、何をもって超を付けるかじゃね~。

 マキ・・・少なくとも、スプーンを曲げるのは違うよね、あれはマジック。

 恭子・・・虫の知らせとか、双子のテレパシーは?

 シズカ・・その部分は、和尚と小僧の領域のような感じだよね。

 恭子・・・そっか、知らない人から見れば、小僧なんて超能力者だったりして。

 マキ・・・それは勘違いしそうだよね~、小僧は自分の事話さないし。

 シズカ・・しまった~・・奴は何を感じてるんだ、それを追求しなかった。

 和尚・・・小僧は驚かなかったんじゃな、当然のような顔をしちょったか。

 マキ・・・あっ!・・そうだった、当然だという笑顔だった。

 恭子・・・待って!・・最後の2枚のカードの意味、あれはジョーカーでも良かったはず。

 シズカ・・そうだよ、ジョーカーでも良かった・・わざと自分が似せて書いたカード使った。

 マキ・・・奴は、どれだけ鮮明に見えてるか、それを示したかったんだ。

 恭子・・・あの野郎~、私らを試したんだ・・驚いた顔見て二ヤ二ヤしてたな。

 シズカ・・常識的な発想しか出来なんだね~って、心の中で爆笑してたね!

 マキ・・・えっ!からくりが有るの?・・マジックなの?

 シズカ・・か~、そこが分からない・・悔しい~。

 和尚・・・からくりは無いじゃろう、相手は自閉症の少女じゃよ。

 恭子・・・そうだよね~、からくりなんて無理だよね。

 シズカ・・奴はマリと、どう関わるつもりなんだろう?

 マキ・・・それは・・ほら・・やっぱり・・やばいよね。

 恭子・・・かなりやばいし、かなり興味ある~。

 シズカ・・もう恭子はなんで言うの~、私は自分に駄目だって言ってたのに。

 マキ・・・シズカは絶対に無理だよ、興味津々な感じプンプンだよ。

 和尚・・・小僧はその子と、どう接しておるんじゃ?

 シズカ・・横に密着して座って話してる。

 マキ・・・多分・・鼓動の囁き使ってるよね、乳児によくやるやつ。

 恭子・・・薄皮はがし!・・徐々にその正体が現れるの!

 シズカ・・今日のは挨拶代わり、デモンストレーションだと~。

 マキ・・・正体って・・ちょっと~怖いよ。

 恭子・・・今日のが挨拶なら、何なの・・その正体。

 シズカ・・和尚、ニヤニヤ出てるよ、何か知ってるね。

 和尚・・・いやの~、昨日小僧が来て、妙な事を聞きよったかいの~。

 恭子・・・もったいぶらないの、何を聞いたの?

 和尚・・・いやの~、ワシに預言者っていたのかな~っての。

 マキ・・・預言者!

 シズカ・・なんだ~・・そんな非科学的な事を、あの小僧が。

 恭子・・・好きじゃん、小僧は、その部分は・・絶対に信じてないけどね。

 マキ・・・だから怖いよ、絶対に信じてないから。

 和尚・・・バラバラの配置のカードじゃろ、見えててもそんなに早く抜けるかの~。

 マキ・・・無理な気がする、確かに早かったよね。

 シズカ・・認めたくないけど、確かに見えてても無理な気がする。

 恭子・・・じゃあ何なのよ~・・透視じゃないなら。

 マキ・・・言っていい?・・笑わない?

 シズカ・・今更マキが何言っても、笑ったりしないよ。

 マキ・・・私カードをめくるって言葉で思ったんだけど、マリはめくってたよね。

 恭子・・・もうじれったいよ、マキ・・めくってたよ。

 マキ・・・だからマリのは、カードをめくってる感じじゃなかったの。

 シズカ・・マキ、言って・・どんな感じだったの。

 マキ・・・時間をめくってる感じ、少し先を覗いて・・その通りにカードをめくるような。

 シズカ・・確かに・・何かを追ってたけど、カードじゃなかった気もする。

 恭子・・・泣くよ・・私・・怖くて、泣いちゃうから。

 シズカ・・もしよ、もし次の瞬間が見えるなら、そこに正解があるなら出来るかな。

 マキ・・・それなら出来るかも、見たままと同じ動作をすれば良いんだから。

 恭子・・・そうだとしても、どうやって、正解してる場面を選ぶのよ?

 シズカ・・未来が複数存在すると仮定して、トランプならその確立分未来があるなら。

 マキ・・・瞬時に選べばいい、正解の場面を・・てか正解の場面だけ選択出来るとか。

 恭子・・・らしくないよ~、マキはともかく・・シズカ~、帰ってこーい。

 和尚・・・どうして瞬間瞬間なんじゃ、巻き戻してるってのはどうじゃろう。

 マキ・・・カセットテープみたいに・・今話題のTV録画するビデオみたいに。

 シズカ・・めくり終わった時から、巻き戻す・・そして再生を見ながら真似るって感じ。

 恭子・・・ねぇ・・未来ってあるの?1秒後や10年後って・・今存在するの?

 シズカ・・絶対に存在しないと思う、時は戻せないんだから・・その先も存在しない。

 マキ・・・時じゃないなら・・それを望んだら、事実だけ存在するとか。

 恭子・・・望んだら・・事実だけ存在する?・・それが見える人には、事実が見えるの。

 マキ・・・ノストラダムスは小説家だとしても、自分が望んだら、その先に事実は発生するとか。

 シズカ・・ようするにシナリオの下書きをして、時が後から色付けするみたいな。

 恭子・・・その事実が見える・・マリは、実は全てのカードを見ながら、ゆっくり集めた。

 マキ・・・カードをめくる事を望んだ時点でね、もう一つの事実の世界ではね。

 シズカ・・そして現実にはそのゆっくりとめくった正解を、繋げて編集した。

 恭子・・・それを再生して、その動きの通りに動いた。

 マキ・・・そうして今の現実を作った、ゆっくりめくった事実は永遠に消去された。

 和尚・・・面白くなってきたの~、小僧の話が楽しみじゃな~。

 和尚の言葉で私達は、少し現実に戻って、笑顔でおやつを食べました。

 でも3人とも執着しましたね、マリの正体が知りたくて。

 そして小僧が始める、マリの覚醒・・それは、小説なんかより不思議な世界でした。

 小僧とマリと美由紀が見せる、そのマリという圧倒的な才能。

 選ばれし者、マリ・・そう、原作者が選んだ特別な者でした。

 ここまでで、第一話にします」

 

マキは少し得意顔の二ヤで話を締めた、女性達の期待の眼差しが強かった。

「凄いね~マキ・・その話術、素晴らしいよ・・入り込んだよ」と北斗が微笑んだ。

「それにテーマが面白すぎて・・明日が待ち遠しいね」と蘭が満開で微笑んだ。

「しかし限界トリオ、面白いですね~・・この時小6なんでしょ」とユリカが微笑んだ。

「はい、小6でした・・シズカに感化させられてましたね~」とマキが微笑んだ。

「いいえ、一人一人の個性が出ていて、面白いですよ」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

マキは嬉しそうに微笑んでいた、私はマリを思い出し気分が高揚していた。


晩夏の夕暮れ、女性達は、女優の時間が迫った事を意識していた。

外気はまが夏の主張に溢れていた、南国の長い夏が居座っていた。

入道雲を呼び寄せて、青空に浮かばせていた・・。


マリ・・やはり忘れられぬ少女。


私はマリだけは登場を本気で躊躇した、何度もやめとこうと思っていた。


この夏物語が、ノンフェクションを機軸とする物語だから。


ユリカの存在だけでも不思議であろうし、それに沙紀まで登場させた。


そして気付いたのだ、沙紀を登場させたのなら、必然的にマリが登場すると。


沙紀の描く対象の、本質や憧れや理想の姿、そして後悔まで読み取る力。


その力を感じるときに、一つの実例として登場する・・マリ。


私はマキの言葉で伝えよう、それがそのマリの本質を語っているから。


限界トリオが、12歳の少女らしい気持ちで取り組んだ、その心で感じた事が大切だと思う。


12歳の少女の、揺れる微妙な感性で感じた事だから。


それを感じて、美由紀の凄さを再確認した・・あの全裸の行為の勇気を。


身を委ねて見せた、圧倒的に深く強い愛情だった・・その行動が語っている。


信じてるよ・・そう強く叫んでいた・・全裸で微笑んだ、美由紀が。


その自然な笑顔が、私に教えてくれた・・人を愛する事の楽しみを。





 


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