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永遠の片想い

順風満帆な時が有ったのだろうか、今まで一度も感じたことが無い。

冷静でいられた時期は永く続かなかった、常に感情的な人間だった気がする。

善し悪しでなく、それが自分だと今は感じている。


広い本堂に笑い声が響いていた、私は祖父のような老人と話していた。

「小僧・・蘭はやはり、弟の事が最大の後悔じゃったのかの?」と和尚が真顔で聞いた。

『最大の後悔はそれだろうけど・・まだクリアーしてない部分があるんだ』と真顔で返した。

「身内でか?」と和尚が聞き返した。

『うん・・いまだに存在すら出てこない、兄がいるんだよ』と返した。

「そうか・・焦るなよ」と笑顔を残して、和尚が本堂に歩いて行った。

私は和尚を見送り、試験対策をしていた。


「ねぇエース・・ジンの妹さんって、私に似てるの?」とホノカが華麗二ヤで言った。

『見た目と雰囲気は似てるよ、性格は違うけど』と二ヤで返した。

「その二ヤは、いけない二ヤだね~・・分析結果を発表せよ」とシズカが二ヤで返してきた。


『ジンの妹・・自称の女神に、俺が感じたのは・・攻撃型の女性なんだと思ったんだ。

 その本質は、女神の美しい外見に隠れてるし、自分も隠してるんだけど。

 でも攻撃型なんだよね、だからこそ自分に対しても攻撃した。

 分かりやすく言うと、性格はリョウに近い。

 限界トリオで言うと、マキに近いんだよ。

 ホノカは強い心を持ってるから、守備的な要素が強いよね。

 その精神世界は平穏と安定を秘めている、だから揺れないし折れない。

 ジンは豊兄さんの真逆だと、蘭もカスミも言ってるけど。

 実は内面は酷似してる部分も多いよね、ジンは仕事柄だと思うけど。

 今は常時、爽やかな男を演出してる、だけど本質は熱いんだよね。

 そして兄妹である自称の女神も熱い、でもその熱が自分に向いてたんだね。

 ジンは心配したんだろうね、あの優しさなら・・相当に心配したよね。

 そして乗り越えた妹を感じて、自分の好きな女性を確信したと思う。

 それがホノカなんだよ、俺はそれは良く分かるよ。

 別に外見が妹に似てるなんて、全く関係ないよね。

 ジンは自分が一番安心できて、一番楽しい相手。

 そして何より、自分らしくいられる相手を選んだんだね。

 俺がジン本人からホノカって聞いた時の、ジンの瞳は愛情に溢れてたよ。

 だから俺もすぐに納得して、素敵なカップルだと思ったよ』


私は笑顔で、美しい笑顔のホノカに言った。

「なんか・・本人に告白されるより、嬉しいね~」とホノカが華麗に微笑んだ。

「エース・・私は何型か述べよ」とカスミが不敵で言った。


『カスミは攻撃型に見えるけど、実は今は6対4で守備の方が強いよね。

 カスミの守備とホノカの守備は、守るポジションが違うと思うよ。

 今現在の話だよ、ホノカは異性との恋愛に真摯に向き合ってる感じ。

 だからその守備範囲は、恋愛を前提としてるし・・相手を評価する時も、それが基準。

 カスミは、今は異性との恋愛を拒絶してる、だから女性同士の関係と仕事が基準。

 男をその評価軸で見ない、だからブレーキが必要ない相手となら自分が出せる。

 俺は別にしても、豊兄さんも・・極論言えば、キングや和尚や勝也になら素直になれる。

 今のカスミの、恋愛対象に成ろうと思えば、高い壁を壊さないといけないよね。

 その壁は守備的な物じゃない、それは拒絶の壁だからね。

 焦らなくて良いと思うよ、カスミはその時が来れば、愛には愛で応えると思う。

 カスミは5対5がベストだよね、攻撃も守備も同じ強さが。

 そのバランスが整えば、次のニューカスミの登場が見れると思ってるよ』


私は真剣なカスミを見ながら、笑顔で言った。

「なるほど~・・シズカ、一つ教えて・・シズカの視点で、小僧と美由紀の関係を」とカスミが微笑んだ。


「そうきますか~・・まぁマキに聞いてもらうのが一番ですけど。

 マキはその部分で、小僧の一番の理解者ですから・・私の考えで言うと。

 小僧と美由紀は心で誓いを立てていますね、そういう気持ちで接しないという。

 暗黙の了解みたいな感じで、互いに言葉には出さないで。

 美由紀は多分今でも、両親以外なら・・唯一、小僧にだけは足を見せれるでしょう。

 なんせ今年の正月・・小僧と美由紀は、駆け落ち騒動を起こしました。

 その時は小僧が美由紀を風呂に入れたし、ずっと添い寝もしたんです。

 その話はマキに聞いて下さい、私はマキから聞いた話だから。

 小僧も美由紀も、もちろん互いのことが好きでしょう。

 でもその愛は恋愛じゃない、友情に近い愛情なんでしょうね。

 それは美由紀が線を引きましたね、美由紀はヒトミが心にいるから。

 小僧を異性として愛することは出来ないのでしょう、小僧の中にもヒトミがいますから。

 2人とも些細な事だと思ってますよね、例えば戸籍上の夫婦になるとか。

 肉体関係を持つとか・・そんな区切りを考えてないんでしょうね。

 美由紀は今でも、小僧の前では裸になれます、それが美由紀の愛情表現です。

 強いですよね、それが出来る美由紀は・・真の意味で強い女です。

 その愛を受け止めて、女として愛さない小僧・・最近はそれが完璧に出来てますね。

 ユリカ姉さんの強い教えで、小僧が到達した世界でしょうね。

 小僧は小児病棟を小6までと決めた、それは自分で決めたんです。

 自信が無かったんでしょうね、男になってきた自分を感じて。

 でも今はそれを越えていますね、だから沙紀と由美子にも関われる。

 そして難しい年齢になった、ミホにも関われる。

 それは絶対的な4人の教えが有るからです、蘭姉さんの異性としての深い愛情と。

 ユリカ姉さんとカスミ姉さんの愛情と、美由紀の愛情が有るからでしょうね」


シズカは私を見ながら、最後に微笑んだ、強い波動が何度も来ていた。

「なるほど~・・そんな関係が、継続出来るのか~」とカスミが微笑んだ。

「美由紀ちゃんに会いたいな~・・大切なヒントが有りそう」とホノカが華麗に微笑んだ。

「それはありますね~・・ホノカ姉さんなら、美由紀の強さに共鳴しますよ」とシズカが微笑んだ。

「そうなの~・・楽しみ~・・さて準備に帰って、PGに行かないと・・マキの話を聞きに」とホノカが微笑んだ。

「それは楽しみだね~・・ユリカ姉さんも来るだろうし」とカスミが不敵で言った、強烈な波動が同意していた。

「面白いですよ~・・駆け落ち話・・ただ蘭姉さんが、妬きますね~」とシズカが微笑んだ。

「それが楽しいんだよね~・・正直だからな~、蘭姉さん」と言ったカスミに手を引かれて、和尚に挨拶して車を目指した。


カスミはホノカに兎のお墓を教えて、2人で屈んで手を合わせた。

牛乳瓶には沢山の花が飾られていた、女性達の優しさを感じていた。

ホノカに笑顔で手を振って、カスミの車に乗った。

夕方の渋滞をトコトコと走って、カスミのアパートに車を止めて。

2人で腕を組んで夜街まで歩いた、私はカスミと腕を組む姿が自慢だった。

中学生や高校生の視線を意識して歩いた、カスミは不敵でそんな私を見ていた。


「なぁ・・沙紀ちゃん、私も描いてくれるかな~」とカスミが呟いた。

『描くでしょう・・でもどう表現するのか、想像も出来ないよね』と二ヤで返した。

「か~・・楽しみだ~・・少し不安だけど」と不敵ウルで言った。

『今のカスミなら大丈夫だよ、多分・・素敵な絵になるよ』と笑顔で返すと、、カスミも輝く笑顔になった。

「お前、ジンに感謝されるぞ・・あの言葉、ホノカには響いたよ」とカスミが二ヤで言った。

『真実だからね・・素敵なカップルじゃない、見た目は出来過ぎだけどね』と笑顔で返した、カスミも笑顔で頷いた。


PGの裏階段の下で、ユリカが歩いて来るのが見えた。

私は笑顔を向けて、カスミは笑顔で頭を下げた。

「ユリカ姉さんも、お好きですね~」とカスミが笑顔で言った。

「美由紀との駆け落ち話なら、直に聞かないとね」と爽やか笑顔で返して、私の首に腕を回した。

私はユリカを笑顔で抱き上げた、カスミが不敵全開で見ていた。

「やっぱり、蘭やカスミの目の前での、ユリカスペシャルは気持ち良いわ~」と爽やか二ヤで言った。

「ユリカ姉さん・・最近やばい薬とか、やってませんか?」とカスミが不敵二ヤで言った。

私は2人の漫才を聞きながら、慎重に裏階段を上った。


TVルームの前までユリカは抱かれていた、マダムとユリさんと北斗と裏方4人組に、4人娘が揃っていた。

ユリカとカスミが挨拶をしてると、蘭とホノカが笑顔で入ってきた。

蘭は私を見て、満開二ヤを出していた、私はウルで返した。


「あら・・今日も楽しい話が聞けるのかしら?」と蘭の表情を見たユリさんが薔薇二ヤを出した。

「はい・・シズカがマキに聞いてくれと言ったので・・マキ、エースと美由紀の駆け落ち話をよろしく」とカスミが最強不敵で言った。

「ありゃ~・・そこが来ましたか~・・蘭姉さん、今日は冷静ですか?」とマキが二ヤで言った。

「大丈夫よ、相手が美由紀なら・・マキが相手なら、冷静でいられないけど」と満開二ヤで返した。


「それは・・今年の元旦の話です、美由紀と小僧の逃避行。

 小僧は昨年の正月、やはり元旦に家出をしました。

 皆さんも少しは聞かれてると思いますが、蘭姉さんは聞いてますか?

 私はそれを先に知りたいんです、小僧が話すのかが微妙だから。

 出来すぎた話だから・・でも真実ですよ、私は2年前に聞きました。

 源氏名 蘭の話を、聞かれましたか?」


マキが蘭に笑顔で言った、蘭は満開に微笑んで頷いた。

「やっぱり事実だったの・・素敵な話だね」とユリカが微笑んで、蘭は最強満開になっていた。

「さてと・・その源氏名 蘭物語を先に聞かせて」とカスミが不敵で言った、マキは私を促した。


『俺はその時小5でね、新聞である記事を見たんだ・・・』私は源氏名 蘭の話をした。

「ロマンチックだな~・・でも本当に出来過ぎの話だね」とハルカが微笑んで。

「しかし期待を裏切らない男だね~・・その記録更新の発想とか」とレンが微笑み。

「シオンは憧れます~・・その行動力に、小5ですよ・・驚きです~」とシオンがニコちゃんで言った。

「私も記録更新してみたくなった・・小4で」とエミが私に二ヤで言った。

『それは駄目です・・俺が寂しいし心配だから、付いて行くよ』と笑顔で返した。


「じゃあいよいよ駆け落ち話だね・・美由紀ちゃんとの」とエミがマキを見て笑顔で言った、マキも笑顔で返した。


「今年の正月・・元旦の夜でした、シズカが私を訪ねて来たのが。

 美由紀の両親が夕方小僧の家に来て、美由紀が置手紙だけ残して家出したと。

 慌てて来たそうです、そして小僧も置手紙して家出してました。

 それを聞いた美由紀の両親は安心したそうです、小僧が一緒なら心配ないと。

 それから勝也父さんと律子母さんと4人で、宴会が始まったとシズカが笑ってました。

 私はこの駆け落ち話を、家出から帰ってきた美由紀に聞きました。

 勝也父さんに話してくれと、美由紀に頼まれたんです。

 小僧が勝也父さんに怒られないように、私から話して欲しいと言ってきました。

 美由紀は養護学校に行っていて、中学は普通の公立に、前月の12月に決まっていました。

 その頃、美由紀は養護学校の友達で、大阪に転校した子と文通をしていました。

 その子も事故で片足を失い、義足を上手く使えずに、車椅子だったそうです。

 そして美由紀が中学の話を手紙に書いた、すると返事が有ったそうなんです。

 自分も普通の中学に行きたいと、真剣な文章で書いてあった。

 美由紀は豊君に相談します、その子の話をして、車椅子をもう一台作れないかと。

 豊君は作ってやると即答して、YUTAKAⅠの製作を約束しました。

 美由紀は喜んで、その子に電話をかけた・・そして聞くんです。

 大阪には私立中学で受け入れてくれる学校があると、その試験が1月下旬にあると聞きます。

 それで豊君はシズカも協力して、YUTAKAⅠを製作して贈ったのが。

 クリスマスを過ぎた頃でした、その子も喜んでお礼の手紙が全員に届きました。

 車椅子って難しい乗り物なんですよ、私もシズカのに何度か乗った事があるけど。

 腕力も相当に必要だし、慣れないと曲がるのにも苦労します。

 その子は体の小さな方で、美由紀ほど体力が無かったんです。

 美由紀は手紙で励ましましたが、自分が側にいてアドバイスしたかったんでしょう。

 でも両親に相談できなかった、両親の大きな負担になると分かってたから。

 その事を小僧に話します、美由紀の悩みに気付いた小僧に追及されて。

 そして小僧が言うんです、正月に大阪に行こうと美由紀を誘う。

 小僧が移動手段も泊まる場所も手配すると言って、美由紀を誘うんです・・逃避行に。

 美由紀は本当に嬉しかったと言っていました、ハンデのある自分を誘う小僧の言葉が。

 どんなに大変な事か分かってる小僧が、笑顔で誘ってくれたから。

 美由紀は小僧と約束して、元旦にお年玉を集めます。

 小僧は○○観光の社長に付けた貸しを利用して、大阪のホテルを2泊手配して。

 和尚に祖父の振りをさせて、ホテルに電話をさせて信用させました。

 小僧は、こういう場合は全て和尚ですね、和尚には全て話して協力を要請します。

 小僧は新聞配達で貯めた、新しいサーフボードを買う金とお年玉を用意して。

 大阪までの寝台特急の往復切符を2人分買った、そして決行します・・元旦の夕方。

 美由紀をこっそり連れ出して、駅まで押して行くんです。

 そして駅員に切符を見せて、若い駅員と2人で車椅子ごと美由紀を抱えてホームに出た。

 美由紀は何の不安も無かったそうです、ワクワクしてたと笑顔で言ってました。

 車椅子で旅することが、どんなに大変な事か・・2人とも知ってたのに。

 2人ともワクワクしてたそうです、汽車を待ちながらお菓子を食べて。

 汽車がホームに着いて、小僧は美由紀を押して入った。

 寝台の個室を取っていて、そこに入った・・美由紀は始めての汽車だったそうです。

 それまでは何所に行くにも、父親の車で行っていたから。

 美由紀は嬉しくて、ずっと車窓から流れる景色を見ていたそうです。

 小僧が弁当を買って、夕食を向き合って食べた。

 美由紀は水分だけ気をつけていました、汽車のトイレは難問でしたから。

 そして小僧と同じベッドで、添い寝してもらいながら、小僧の面白話を聞いて眠った。

 大阪に着いたのが、翌日の早朝だったそうです。

 大阪の駅のホームはエレベーターまであって、驚いたと言っていました。

 小僧は美由紀を駅の身障者用トイレに連れて行き、それから早朝の大阪の街を散歩した。

 見るもの全てが別世界で、美由紀は寒さを感じなかった。

 それから地下鉄でその子の家を訪ねた、驚くその子に美由紀が笑顔で言った。

 練習しよう、絶対に出来るから・・そう笑顔で言った。

 泣いているその子を、美由紀が抱きしめて。

 その子の両親が、試験場所の私立中学に連れて行った。

 それから2人で練習が始まりました、かなりきついスロープと傾斜を美由紀が手本を見せて。

 笑顔で何度も何度も練習した、美由紀が笑顔で応援しながら。

 1日目が終わりました、美由紀と小僧はその子の父親に送ってもらいホテルに入った。

 その子の両親には、2人は従兄妹同士で、親戚と来てると嘘を言っていました。

 部屋に入ると美由紀が言った、小僧に風呂を溜めてくれと。

 そして自分の体をよろしくと笑顔で言った、小僧も笑顔で楽しみだ~と言ったそうです。

 美由紀は少し胸も出てきて、やっぱり恥ずかしかったらしいです。

 でも小僧が二ヤで見るから、逆に出来たと言っていました。

 美由紀は小僧の前で全裸になるんです、そして全裸の美由紀を小僧が抱っこして浴室に運んだ。

 小僧が半分位溜めたお湯を、アメリカの映画みたいに泡風呂にしてたそうです。

 どうしたのって喜ぶ美由紀に、やっと探したよ・・宮崎には中々無かった。

 そう小僧が答えて、美由紀を優しく沈めた・・その時には、全然恥ずかしくなかった。

 美由紀はそう言ってました、小僧の美由紀を想う気持ちが嬉しかったから。

 美由紀が恥ずかしくないように、考えていた小僧の優しさが嬉しかったのでしょう。

 小僧は美由紀の頭と背中を洗って、シャワーで流すのを外で待っていた。

 そして美由紀に呼ばれて、バスタオルで美由紀を包んで抱き上げた。

 そしてドレッサーに座らせて、美由紀の体を拭いてあげた。

 美由紀はその時には、小僧に全てをしてもらいたかったそうです。

 楽しくて嬉しかったと・・そして感じたと、自分でも普通に恋愛が出来るかもしれないと。

 どこかで諦めていたそれを、小僧は感じていたんじゃないかと思ったそうです。

 小僧は美由紀の体を優しく拭いて、美由紀の用意した下着を渡した。

 美由紀は下着だけ自分で着けて、パジャマは小僧に着せてもらった。

 それから小僧がシャワーをして、ルームサービスで豪華な夕食を食べた。

 夕食後は2人で大都会の夜景を見ながら、ずっと話してたそうです。

 美由紀は本当に幸せだったと言っていました、その時間が楽しかったと。

 そして難問に挑戦します、美由紀のトイレを小僧がフォローする。

 美由紀は下着だけ脱いで、小僧に抱き上げられて、洋式トイレに座らせてもらう。

 そして終わった後も、小僧が抱き上げてベッドまで運ぶ。

 父親にでも恥ずかしい行為が、全然違和感が無かったと美由紀が言いました。

 小僧が絶対に許さなかったから、美由紀が浴室の床を這わせる事だけは。

 そしてベッドが2つ有るのに、美由紀が甘えて添い寝してもらった。

 2日目の夜はそうやって終わりました、翌日はその子の父親が迎えに来て。

 半日練習して、午後は万博の記念公園と、大阪城に連れて行ってもらいました。

 夕食をと誘う両親を、美由紀が丁寧に断った、小僧と2人の時間が大切だったから。

 そしてホテルまで送ってもらい、またお風呂で体を洗ってもらった。

 美由紀は本当に楽しかったと言っていました、甘えろと言う小僧が優しくて。

 それから美由紀が食べたいと言った、たこ焼きを買いに2人で出かけた。

 正月3日でした、明日は宮崎に帰る日だと感じて、美由紀は寂しかったそうです。

 大都会の喧騒の中、小僧が後ろから押しながら、ずっと面白話をしていて。

 美由紀は一度も寂しさも辛さも感じなかった、小僧が常に笑顔で話してたから。

 夕食を食べて、たこ焼きを買ってホテルに帰った。

 そして夜景を見ながら、たこ焼きを食べた。

 美由紀は・・健常者には分からない、幸せを感じたと言ってました。

 その日も小僧が優しく添い寝してくれて、美由紀は眠った。

 翌日・・その子の試験と同じ内容が出来るのを見て、美由紀は嬉しかった。

 そして父親に駅まで送ってもらい、帰りの汽車に乗りました。

 個室で小僧が美由紀に笑顔で言った、良かったね美由紀と優しく言った。

 美由紀はそれで号泣した、嬉しくて小僧に添い寝させて泣いたまま眠った。

 翌朝延岡を過ぎた頃に美由紀は起きました、隣には小僧が眠っていました。

 美由紀は車窓から流れる景色を見ながら、ずっと帰り着かなければ良いと思っていた。

 宮崎駅に着いて、小僧が車椅子を押して家に帰り、小僧が美由紀の両親に謝りました。

 美由紀の両親は、ありがとうと小僧に言ったそうです。

 私は美由紀の母親から聞きました、美由紀の成長した姿が嬉しかったと言っていました。

 小僧が挨拶をして帰ってすぐに、美由紀が私に電話してきて。

 私は美由紀の家に行って、両親と一緒にこの話を聞きました。

 美由紀の父親も嬉しそうに聞いていました、美由紀の両親は信じています。

 自分の娘と小僧の事を、だから笑顔で聞けるのでしょう。

 私は話を聞いて、そのまま小僧の家に行き、勝也父さんと律子母さんとシズカに話しました。

 小僧はお土産を小児病棟に届けていて、まだ帰っていませんでした。

 ありがとう、マキ・・小僧を責める事は出来ないね、そう律子母さんが勝也父さんに言った。

 それで終わりでした、律子母さんが言ったという事は、勝也父さんには絶対ですから。

 だからこそ、滅多に律子母さんは口出ししません、小僧と父親の問題には。

 それからの小僧と美由紀は、今まで以上に近づいた感じになりました。

 でも、ここまで行っても、2人ともお互いを恋愛対象と見ない。

 それは美由紀が決めたんでしょう、強い決意で心に誓ったんでしょうね。

 美由紀には無理だったんです、心にヒトミを大切に持っているから。

 小僧も心にヒトミが棲んでいるから、互いに恋愛にならないと思っています。

 だから美由紀は小僧の愛に対して、最強の愛情表現で応えた。

 全裸になり身を委ねて見せた、小僧を好きだと・・そしてどこまでも信じていると。

 そう行動で示しました・・美由紀は今でも、小僧の前で全裸になれるでしょう。

 美由紀は・・それが小僧に一番響くと知っています、全裸で抱き上げられる。

 その時が一番、小僧の伝達を受けるから・・愛情がないと出来ない行為だから。

 次回お話しする、美由紀物語第2章で見せた、美由紀の強い愛情。

 ミホを引き離された時、小僧の心を守り続けた、美由紀の底知れぬ深い愛。

 それを表現した、この逃避行物語・・私達トリオは嬉しかった。

 小僧の常識外の行動を支える、少女達の強さを感じて。

 小僧の幼稚園の先生に対する失恋を、その寂しい心に強く訴えた・・ヒトミ。

 そしてヒトミを亡くし、ミホを引き離された喪失感を受け止めた・・美由紀。

 小僧と美由紀・・その関係は超越しています、血の繋がりも・・体の繋がりも。

 その最強のコンビが再度挑む、ミホと沙紀と由美子。

 私は幸せを感じます、それを側で感じられて・・少しでも力が貸せるなら。

 永遠の片想い・・この逃避行の噂が中学で流れた時に、小僧が堂々と言った言葉。

 その称号に込めた想い・・永遠に美由紀を愛するという、強い想いでしょう。

 男と女では、そんな関係は無理だと言われています。

 でも私は出来るんだと信じています、小僧と美由紀なら貫き通すと信じている。

 なぜならば・・小僧も美由紀も、愛に見返りを求めないから。

 その心は互いに、相手だけを想っているから・・必ず辿り着くと信じています。

 そうでないと出来ない・・ミホを現実の世界に戻す事は。

 無償の愛だけが戻せる・・ミホの傷ついた心を戻せるのは。

 理由無き愛情だけだと信じています・・小僧も美由紀も」


マキの強い言葉が響いていた、私は嬉しかった。

私の知らない美由紀の気持ちが伝わって、美由紀を想っていた。

そして美由紀に感謝していた、大切な経験と深い愛情に・・心から感謝していた。


晩夏の夕方、狭い空間に暖かい波動が響いていた、ユリカでないユリアの波動が。

ヒトミの気持ちを乗せてきた、優しい何かに包まれていた。


私と美由紀との関係、この後も恋愛的な進展は全く無かった。


私が美由紀の全裸を、最後に見たのは18歳の冬だった。


それは私が、ユリカを失った喪失感を抱えていた時だった。


美由紀は蘭の許可を取り、成人の日が絡む3連休に、私を逃避行に誘った。


私はその時には車の免許を持っていたが、汽車で大阪に行った。


小6で行った同じホテルで美由紀と過ごした、美由紀は全裸の強い愛情を見せてくれた。


完全に大人の体になった、全裸の美由紀を抱き上げた時。


私は自分に戻った、ユリカを失った寂しさを克服できた。


ユリカと美由紀の全裸の修行が、私に問いかけてきた。


こんな所で止まってる暇は無いと、美由紀の笑顔と強い波動が言った。


帰りの汽車の中で美由紀が言った、笑顔で優しく語りかけた。


「今日は成人の日だね、あんたにも私にも大切な・・忘れられない日だね」


私は笑顔で美由紀を見て頷いた、美由紀も笑顔で続けた。


「しょうがないな~・・今がその時だから、あの時の約束を決行する」


美由紀は笑顔でそう言って、瞳を閉じた。


私は嬉しくて、美由紀を優しく抱きしめて唇を合わせた、生涯一度だけの優しいキスだった。


【その時が来たら、迷わずするから覚悟しな】と言った、美由紀を抱きしめていた。


私にとっては今でも・・永遠に想い続ける・・美由紀。


その強さと優しさが・・永遠の片想いだよ・・美由紀、ありがとう。 

 

 

 

 

 

 

 


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