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自傷問答

時が経過すればするほど、戻る事は難しい。

復活も復帰も復興も同じであろう、戻せないのは・・その時の気持。

それを自分に戻すしかない、その頃やあの頃に戻すしかない。


「ユリカ姉さんどんな気持ちなんだろう、2年のブランクか~」と蘭が満開で微笑んだ。

「確かに難しいですよね・・でもユリカですから、大丈夫でしょう」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「楽しみだ~・・本当に楽しみです」とカスミが微笑んだ。

『ユリカも楽しみにしてるみたいだったよ』と笑顔で言った。

「まぁでも良くやったよ、あんたじゃないと絶対無理な交渉だったよ」と蘭が満開で微笑んだ。


「明日からは、どんな予定になるのかしら?」ユリさんが私に聞いた。


『学校が終わって、1度アパートに帰って。

 身支度をして、ミホに会いに行ってから。

 出勤します・・当面はミホの時間は30分位にしようと思ってます。

 いきなり焦って動かないように、注意しないといけないから』


ユリさんの薔薇を見ながら、笑顔で言った。

「私でミホちゃんに出来る事があれば、遠慮無しに言えよ」とカスミが真顔で言った。

「それは遠慮しないでね・・必要ならばマリアを使って良いですよ」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

『ありがとうございます、最終手段にとっておきます・・マリアだけは』と全員の笑顔に頭を下げた。

「時間をかけるんだね・・今回は」と蘭が真顔で聞いた。

『うん・・4年後を目標に、ミホが15歳になるまでに』と真顔で返した。


「全員を使って良いよ・・私とユリカ姉さんは当然だろうけど。

 ユリ姉さんも、そう言ってくれてるんだし。

 カスミもシオンもハルカもレンも、当然マキも久美子も。

 状況に応じて、頼んで欲しいと思ってるからね」


蘭が満開に微笑んで言った、全員の笑顔を見て、私も笑顔で頷いた。

「15歳・・その1番大切な季節に目覚めさせて、絶対に間に合いますよ」とユリさんが言った。

私はこのユリさんの言葉が、なにより勇気を与えてくれた。


その時に後のドアが開いた、私は振向かずに分かった、静かなる流れが入って来たから。

女性達全員が固まっていた、歩み寄る気が空気を圧縮するように感じた。

「今夜はお世話になります、よろしくお願いします」とユリさんを見て、全員に向かい頭を下げた。

「よろしくねユリカ・・本当に違いますね、集中すると」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

他の女性達はユリカに頭を下げるのが、精一杯といった感じだった。


ユリカは笑顔で私の横に座った、私はその時に至近距離でユリカを見た。

『ユリカ・・綺麗だね』と本音を言った。

「ありがとう・・たまには言葉で言って欲しいよね~」と爽やか笑顔で返された。

私は少し震えていた、ユリカの背中から出てくる何かに、強引に引き寄せられた。

「どうしよう・・今で震えてしまう」とカスミがユリカに微笑んだ。

「あら・・私、カスミちゃんに付いて回ろうと思ってたのに」とユリカが爽やかニヤで言った。

「それは・・・無理な気がします」とカスミが少し不敵を出した。

「仕方ないな~・・蘭、よろしく」と爽やか笑顔を蘭に向けた。


「がんばります・・リアン姉さん厳しい事を言ったんだな~、何かを盗めって」と蘭が満開に微笑んで返した。

「どうぞ、私で良ければ・・遠慮はいりませんよ」と爽やかニヤで返した。

それで女性全員に笑顔が戻った。


「あなたは、どうして煽るのかな~」とユリカが私にニヤを出した。

『何の事でしょう』とニヤで返した。

「ヨーコちゃんよ・・さっき来たけど、もうその雰囲気を撒き散らしていたよ」とユリカがマキにニヤで言った。

「ユリさん、お願いします・・レン姉さんがフォローに行く時に、私も同行させて下さい」とマキが真顔で頼んだ。

「もちろん良いですよ・・エースがOK出してるんでしょうから」と薔薇で微笑んだ。


「超特急で来るのか~・・それで大丈夫と判断してるのか?」とカスミが私に最強不敵で言った。

『大丈夫さ・・今日の誓いは絶対だから、豊兄さんの名前を出したんだから』とマキに微笑んだ。

「当然・・私もヨーコも覚悟のある話だったよ」とマキが笑顔で返してきた。

『OK・・じゃあ乗車券を用意するよ、新幹線の』とニヤで返した。

「了解・・指定席じゃないやつでお願い」とマキが真顔で言った。

『座れないかもよ・・停車駅が無くて、お腹空いてウルするなよ』とニヤ継続で言った。

「大丈夫・・次の停車駅は、熱い場所だから」とマキが微笑んだ。


「そこまでやりますか・・楽しいですね~ユリカ」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「本当に・・レンとハルカの顔を見てるだけでも」とユリカが爽やかニヤを出した。

「マキの足音が強くて・・私も強く踏出さないと」とハルカが笑顔で言った。

「私もフォローの時が怖いよ・・どこまでも煽る奴がいるから」とレンが微笑んだ。

『お2人も煽ってあげるよ・・セリカ覚醒で』とニヤで言った。

「あちゃ~・・それもいたんだな~」とカスミが不敵ニヤで言った。

「そしてここのニコちゃん出動も控えてるよ」と蘭が満開ニヤで言った、シオンがニコちゃんで照れていた。

「なんて素敵な時代なんだろう・・ユリカ姉さん勉強させてもらいます」とカスミが笑顔で言った。


「どうぞ・・でもセリカ覚醒は想像を超えますよ、あの子は間違いなく最新型です」とユリカが笑顔で返した。

「私も先日、昼間会って驚きました、セリカとホノカが並んで座る姿を見て」と薔薇で微笑んだ。

「セリカ覚醒は、今何%なんだい?」と蘭が満開ニヤで言った。

『日曜日に防御服を脱いだから、今からだよ・・セリカが本気なら、絶対にシオンと肩を並べる』とニヤで返した。

「覚醒イメージを述べよ」とカスミが不敵で言った。

その時にホノカが入ってきて、挨拶をした。

カスミがホノカに手招きをして、横に座らせて私を促した。


『セリカは本質的には攻撃型なんだよ、今までそれを隠していた。

 でも俺に言ったよ、シオンと肩を並べて、銀河を狙うってね。

 もちろん、今の時点では、銀河は圧倒的に前だろうね。

 銀河はその各々の個性がぶつかり、それによって互いが上がっていく。

 まさにライバル・・その3人のライバルが揃った事が奇跡。

 今回のマキとヨーコは、俺にとっては理想の関係。

 イメージは両極、火と水・・リアンとユリカ。

 そして親友であり互いを認め合う、相手の底の部分まで知り。

 そして理解し合った上で高めあう・・ハルカとミサキ。

 しかし、そのどれにも属さない、強烈な個性の2人。

 シオンとセリカ・・シオンは今までにない者を見せる。

 その歌うように響く言葉が作り出す、癒しの世界。

 どんなに求めても、手に入れられない・・シオンの世界。

 そしてセリカ、間違えなく最新型・・感覚的にはエンジンが違う。

 だから早すぎて止まる制御に苦しんだ、でも今は出来る。

 セリカの今度の覚醒は、ペースを覚える。

 常時全開でなく、マイペースで走る・・そこが次の段階。

 マイペースを覚えて、その時だけ一気に加速する。

 その加速力を見ると分かる、最新の技術が作り上げたエンジンだと。

 だから俺は水冷式にしたいんだ、自分の熱で自分自身が壊れないように。

 俺は夜の女性は、アスリートだと思ってる。

 だから絶対条件として、負けず嫌いでないといけない。

 目標設定の難しい世界だから、ただ流されて金を稼ぐ事だけになってしまう。

 どんなに一流の選手でも、今より上に上がるにはライバルがいる。

 単純で明快・・強いライバルが自分を上げてくれる。

 短距離走じゃない、かといってマラソンでもない。

 中距離走的な感覚・・ゴールは皆違うんだろうけど。

 走るフィールドが同じだから、競い合う。

 継続して競い合えるのは、相手の背中が見えるからなんだ。

 そして後から迫る足音が聞こえるから、だから限界に挑戦できる。

 でも最も大切なのは、たとえ周回遅れになっても・・諦めない気持ち。

 継続する強い心・・それがないとゴールが見えなくなる。

 競う意味は多分この辺にあるんだろうね、その一時期に出会う事に。

 大切な季節を駆け抜ける、長いマラソンのような人生の一時期。

 全力で駆け抜けてほしい・・燃えカスなど残さず。

 灰すら残らないほど・・ただ生命を維持するだけの力だけを残して。

 俺はそう考えてるよ・・だから次々にランナーの背中を押す。

 この偏見で見られがちな世界を、最高のフィールドだと思っているから』


私は思ったままを言葉にした、静寂の中ユリカが私を見た。

「セリカ覚醒の最後の一押し・・私にはそれが分からないよ」とユリカが真顔で言った。


『皆の前で、衝動と戦うと言ったセリカ・・凄い進歩だと思ったけど。

 相手が悪い気がする・・衝動という漠然とした相手。

 俺はその相手の弱点を見つけたよ、成就させてやれば良いんだ。

 その衝動が誘う世界に連れて行けば良いんだよ、そうすれば消えて無くなる。

 だからタイミングを計ってる、セリカが衝動を成就させる時を。

 でも常時側にいれないから、作り出す・・その時を演出する。

 絶対に間違えられない、だからそれまではセリカに戦っていてもらう。

 セリカを羊水の揺り篭に入れる、その時がくるまで』


ユリカの美しい真顔を見ながら、真剣に伝えた。

「蘭・・私は怖くなってきたよ、この感性が」とユリカが爽やかに微笑んだ。

「私も鳥肌が立ちました・・やばい奴ですね~」と蘭が満開で微笑んだ。

「後悔とか反省を、促すんじゃないんだね?」とホノカが真顔で聞いた。


『必要ないよ・・医学的には必要なんだろうけど。

 あの行為に悪意は微塵も無いと思ってる、大切だから傷つけてしまう。

 俺は実はセリカが初めてじゃない、同じタイプに前に1度会ってるんだ。

 セリカは感じてきている、その衝動の正体を。

 それは他人に傷つけられたくない・・それが自分の中で強すぎる事を。

 自分が好き過ぎるから、究極の欲望が出てくる。

 他人にやられるぐらいなら、自分で先にやってしまおうと。

 そうする事で、少し自分を嫌いになりたいんだよ。

 溺れてるんだよ・・泳げるくせに、溺れる事に甘えてるんだ。

 誰かが手を差し伸べるのを、どっかで待ってる。

 でもそんなのセリカじゃない、その素質と才能をドブに捨てようとしている。

 だから手を差し伸べない、限界ギリギリまで溺れさせる。

 自分で本当の危険を感じ、生きたいと実感させるしかない。

 それには横を泳ぐしかない、笑顔で岸を指差す事しか出来ない。

 沈んだら・・潜るしかない、それが俺に出来る唯一の事だからね』 


私はユリカに揺り篭を頼む為にも、正直に話した。

「マキ、前に会った相手を知ってるの?」と蘭が聞いた。

「はい、知ってます・・エースはその子で、医者達に見せつけましたから」とマキが真顔で返した。

「聞いて良いのかしら?」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「もちろん名前は言えませんが、大丈夫ですよ・・完璧に乗り越えてますから」とマキが微笑んで返した。

「興味本位じゃないから、大切な事が感じられそうだから・・マキ、お願い」とカスミが言った。


「エースがミホを遠ざけられて、最初に挑んだのがその人です。

 エースが4年生の冬でした、その人はエースより5歳上の中3の女子でした。

 本当に綺麗な人でした、少し大人びて・・お嬢様って感じでしたね。

 私達も2歳上のその人に、憧れていました・・気品さえある姿に。

 その人は医者の娘さんで、お父さんが相談して・・あの病院に入院させました。

 自傷行為が止まらなかったんだそうです、お父さんは内科医で専門外でした。

 その人は病院のはからいで、外科の特別室に入院しました、そして出会ってしまう。

 エースが屋上で出会ってしまうんです、エースは元来高い場所が好きですから。

 屋上によく行ってました、海まで見えるんですよ・・だから一人で海を見てました。

 この話は今年の春、久しぶりに会ったその人に聞きました。

 それは嬉しそうに、美しさに磨きがかかった笑顔で話してくれました。

 その人は屋上の鉄柵にもたれて、海を見ていたそうです。

 その時横から声がした、横を見ると小学生の男の子が固まっていたそうです。

 もちろんエースです、そして声をかけた言葉が。

 寂しいんだろ・・俺の胸で泣けよって、大人っぽく言ったらしいです。

 本当に馬鹿ですよね~・・そしてその人の顔を近くで見て、固まるんですから。

 そしてエースがいつもの正直な感想を言うんですよ、少年に戻って。

 産まれて今までで1番綺麗な人に会った、今日は最高の日だって笑った。

 その人も声を出して笑ってしまった、その少年の言葉に触れて。

 その時に感じたそうです、何年振りに声を出して笑っただろうって。

 エースはいつもの調子で面白話をして、病室まで行って仲良くなった。

 でもその時には、復活してました・・ミホと向き合ってるレベルに。

 その日の夕方、小僧は和尚の寺に来ました、私達も寺で宿題してました。

 エースが和尚に聞いた・・自殺するのは、死にたいからなのかな~と。

 私達は凍りつきました、小4のエースから出た言葉に。

 和尚はエースを本堂に正座させ、正面に正座して座った。

 それが和尚と小僧の問答のルールですから、滅多に見られない和尚の真剣な時です。

 私はこの問答をはっきり覚えています、再現しますね。

 和尚・・なぜそう思う?

 小僧・・今日自分を傷つける人に会った、でも死にたいんじゃないと思った。

 和尚・・死にたい者などおらん、死にたいんじゃない・・ならば何かの?

 小僧・・生きたくないから、生きるのが辛いから・・そうじゃない、違う。

 和尚・・じゃあなんじゃ・・なぜ自分を傷つける?

 小僧・・自分が嫌いだから・・違う・・そうじゃない。

 和尚・・傷は何処にある、自分で傷つけた以外の場所にはないのか?

 小僧・・外側の傷は自分で付けたんだよ・・内側の傷・・無いよ、多分。

 和尚・・ならばなぜ傷つける、なぜ内側には無いと言える?

 小僧・・内側には無いよ、絶対に無い・・瞳に出なかった、悲しみは。

 和尚・・ではなぜ傷つける、外側を傷つける意味はなんじゃ?

 小僧・・傷つきたいから・・そうなのか・・憧れてるの・・傷に。

 和尚・・なぜ憧れるんじゃ、何に憧れるんじゃ?

 小僧・・不幸に憧れるの・・美人でお金持ちの家に生まれて。

 和尚・・小僧は何を不幸と思うんじゃ?

 小僧・・病気や障害があるとか、親がいないとか。

 和尚・・それは不幸な事か・・不幸とは何ぞ?

 小僧・・幸せでない事だろ、幸せってなんだろう。

 和尚・・金があって何でも手に入る事かの?

 小僧・・違うよ、健康で楽しく暮らす事だよ・・楽しくないのか?

 和尚・・楽しいとは何ぞ?

 小僧・・好きな人と一緒にいるとか、遊ぶとか・・好きな人がいないのか?

 和尚・・なぜ好きな人が出来んのかの~?

 小僧・・それはすっごい好きな人がいるから・・いるのか!

 和尚・・誰じゃろの~。

 小僧・・自分が好きなんだ、だから楽しくないんだ・・だから傷つけるのか?

 和尚・・なぜ好きな人が出来んのかの~?

 小僧・・だから絶対の1番好きな人がいるから・・あっ!・・嫌いになりたいんだ。

 和尚・・小僧に問う・・人に声をかける勇気が無く、でも振向いて欲しいならどうする?

 小僧・・目立つ事して注意を引くね・・えっ!それだけの為なの。

 和尚・・小僧に問う・・なぜ人は溺れる?

 小僧・・泳げないから・・溺れてない、泳げるんだ・・溺れたいだけなんだね。

ここで和尚が笑顔で立った、小僧はそれから瞳を閉じて瞑想してました。

私達は中1でしたが、その深さに驚いてました・・瞑想する小僧を見ながら」


「マキちゃん待って・・時間ギリギリに聞いたら、まずいかも」と蘭が満開で微笑んだ。

「さすが蘭だね、私もそう思ったよ」とユリカが爽やかに微笑んだ。

「そうですね・・ホノカちゃんも明日来ますから、明日の楽しみにしましょう」とユリさんが薔薇で微笑んだ、マキも笑顔で頷いた。

「しかし生臭和尚・・知れば知るほど素敵な人だ~」とカスミが笑顔で言った。


「ねぇマキちゃん、和尚様とエースの問答、どの位知ってるの?」とホノカが華麗に微笑んだ。

「えっとですね~、絶望編・葛藤編・欺瞞編・復讐編・正義編の5作品ですか」と笑顔で返した。

「全部覚えてるの!・・凄いな~」とハルカが微笑んだ。

「あの状況を見れば、絶対に覚えますよ・・まるで言葉の喧嘩ですから」とマキがニヤで言った。

「見たいな~・・さぞ凄いんだね、小僧が本気で言葉で挑む世界」と蘭が微笑んだ。

「良いな~ユリカ姉さんは、これから全部聞けて」とレンが微笑んだ。

「その状況が来そうな時は、皆に報告するね」と爽やかニヤで言った。

「約束ですよユリカ・・一人で楽しまないでね」とユリさんが薔薇ニヤを出した。


「小僧に問う・・その瞑想の時に何を考えていた?」と蘭が大きな声で言った。


『俺・・混乱してた、子供だったから理解出来なかった。

 自分を嫌いにならないと、誰かを好きになれない。

 そんな事は絶対にないと思ってた、じゃあ何故なんだろうって。

 和尚の問答は、結局最後の問いかけが重要なのは知ってたから。

 いきなりなんで溺れる話をしたのか、それを考えていたんだよ。

 結局分からずに、次の日から向き合うんだ・・結局間違ったまま進む。

 俺は今でもその人に感謝してる、大切な事を教えてくれたから。

 それは言えない・・明日のお楽しみなんだから』


私は蘭の満開を見ながら、最後はニヤで言った。

その時ドアが開いて、レイカが笑顔で私に駆け寄った。

『レイカ・・今日も可愛いね』と笑顔で言って抱き上げた。

「レイカ可愛いの・・可愛い?」と可愛く聞き返された。

『可愛いよ~・・レイカはとっっっっても可愛いよ』と強調して言った、嬉しそうなレイカの笑顔を見ながら。


「ユリさん、今日からお願いします」とマユが深々と頭を下げた。

「分かりました、マリアも喜びます・・ケイコちゃんもフロアーデビュー近いのかしら?」とユリさんが薔薇で微笑んだ。

「はい・・今夜からフロアーサービスに入るみたいです」とマユが微笑んだ。

「いよいよ、18歳が始動ですね、揃ってきましたね」とユリさんが私に微笑んだ。

『ケイコ・・楽しみですね~』と笑顔で返して、レンを見て二ヤを出した、レンも笑顔で頷いた。


「エース・・もう少しだと思うよ、今週末あたりで疲れのピークがきそう」とマユが私に言った。

『ありがとうマユ・・助かるよ』と笑顔で返して、笑顔のマユを見送った。

「なるほど~・・セリカの状況も、情報入るようになってるのか~」と蘭が満開ニヤで言った、私はニヤで返した。


『ユリカ・・週末、揺り篭よろしく』と笑顔で言った。

「○天で最高級焼肉ランチ」と爽やかニヤで返された、私はウルで頷いて。

女性達が笑顔で準備に行くのを見送った、マリアが起きてレイカを見て嬉しそうに遊び始めた。


私はレイカとマリアの遊ぶのを見ながら、急いで食事をしていた。

情熱のフローアーにやってくる、透明の女神が待ち遠しくて。


しかし私の想像は完全に却下される、想像の外側、届かない所に棲んでいた。

その姿は圧倒的な静寂を連れて動いた、その本当の姿を見せる時が迫っていた。

そして私は気付く、水のユリカの、もう一つの【水】と意味を。


私はこの日の日記に書いている、この時の心境を。


私は寂しさに包まれていた、シオンのニコちゃんを見ながら。


そのシオンの変化の激しさを、喜びながら・・寂しさを抱いていた。


しかしシオンは見せ続けた、変化し続けた・・白い心のままで。


結局11月22日まで、デビューをさせなかった。


カスミやハルカはなぜさせないのかと、9月末には私に詰め寄った。


でもユリさんもユリカも蘭も、何も言わなかった。


私は待っていたのだ、シオンが自分の欲求を叫ぶ事を。


11月中旬の日曜日、シオンがあのブルーの湖に連れて行ってくれた。


そこで私に向かって叫んだ、私に白い弾丸が撃ち込まれた。


「シオン・・もうできる!・・シオン絶対に、勝って見せる!」と叫んだ。


私は本当に嬉しかった、シオンの心の白い弾丸が奥まで入ってきて。


私は見たかったのだ、負けず嫌いのシオンが。


PGで仕事するだけなら、この時点で充分OKだっただろう。


でも私はシオンで夢を見ていたから。


リンダとマチルダと旅をする、シオンを想像していたから。


こうしたんだよ・・シオン・・ごめんね。


私は今でも分からない・・シオンに対する感情を表現出来ない。


ただ1つだけ言えるのは、シオンを愛していたという真実だけである。


私は今でも、迷ってどうしようもない時は、国際電話をかけてしまう。


受話器の向こうから、「先生・・どうしましたか~」と言う声を聞きたくて。


圧倒的癒し・・嘘の無い世界からの贈り者・・歌う言葉。


白い弾丸に込める・・純白の想い。


心の教壇に立つ唯一の存在・・愛さずにいられない・・その名も・・詩音。







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