瞑想の手法
夏の日の夕方、笑顔の溢れるフロアーに輝いた緑の瞳。
旅立つ気持ちが滲んでいた、それが自分の生き方だと強く主張していた。
女性達がご飯を食べ初めて、私はカレーが好評でニコちゃんになっていた。
私の隣にマチルダが笑顔で座った、私も笑顔で迎えた。
「どうしたの?・・勉強の足らなさを痛感した」とマチルダがニヤで聞いた。
『したよ、かなり反省中です・・マチルダはニューヨークに帰るの?』と笑顔で返した。
「うん、1度ニューヨークに帰って、リンダに会うよ」と言いながら、数珠繋ぎの石のキーホルダーを出した。
その中から2つ選んで、私に差し出した。
「レイカとミサの分・・マリアの分は次回にあげるね」と微笑んだ。
『ありがとう・・絶対に守らないといけない、次回の約束だね』と言って受け取った。
「うん、タージマハールで拾った石だから・・背中を優しく押してくれるよ」と輝く笑顔で言った。
『素敵だね、エミの本で見たよ・・そして地球儀に入ってるよ』と笑顔で返した。
「もうインプット出来るんだね、私の侵入も拒まないし」と嬉しそうに言った。
『拒まないよ・・マチルダが進入すると嬉しいよ』と微笑んで返した、マチルダも笑顔で頷いた。
マチルダがカレーを食べに行き、ユリカが笑顔で横に座った。
「カレー美味しかったよ・・リンダの時より、寂しさが少ないね」と爽やか笑顔で言った。
『うん、エミの言葉で心が助かったよ』と笑顔で返した、ユリカも笑顔で頷いた。
四季とユメ・ウミが来て、周りを囲まれた。
「ユリカさん、1つ聞いていいですか?」と美冬が真顔で言った。
「怖いわね~・・何かしら?」とユリカが笑顔で返した。
「ユリカさんの力・・それに気付いたのはいつごろですか?」と美冬が真剣に聞いた。
「小学6年の時よ、初恋をして・・その時に気付いたの」とユリカが爽やか笑顔で言った。
「素直に受入れられましたか?そこが知りたいんです」と美冬は真剣な瞳のまま聞いた。
「無理だったよ、自分が怖かった・・ずっと悩んだよ」とユリカも真顔で返した。
「そうですか、ユリカさんでも」と美冬も少し笑顔が出た。
『らしくないな、美冬・・そんなに悩む必要は無いよ、無理に受入れる必要は無いんだよ』と私も美冬の瞳を見て微笑んだ。
「美冬ちゃん霊感が強いのね、怖いの?」とユリカも優しく聞いた。
「夜、運転してると怖い事があって・・私の頭で作り出した物なんでしょうか?」と美冬が言った。
「それは私にも分らないな~・・エースはどう思う?」とユリカが真顔で聞いた。
『俺も感じないから、分らないけど。
絶対に無いとは言えないような気がする、あって不思議じゃないような。
でも俗に言われる魂とかじゃないと思う、強い憎しみが残ったとしても。
それで他人に何かをするとは、思えないんだけど。
怨んでる相手に来るのは、少し分る気がするよ。
専門家に聞いて見る、ニヤニヤ笑顔で来たから』
美冬がその言葉で振向いて、笑顔になった、私は和尚を手招きした。
『和尚・・美冬悩んでるんだってよ、知ってたろ~』とニヤで言った。
「そうか~、会う度に強くなるから・・少し怖いかの~」と和尚も優しく言った。
「やっぱり、強くなってるんですか・・そんな気はしてました」と美冬も真顔で返した。
「この店の君達は、その感性が強まっておるよ・・常に集中をする場所があるからの」と和尚は6人を見た。
「それは今が吸収する時だからでしょうか?」とユリカが聞いた。
「そうじゃよ・・人は集中する時に、その五感が研ぎ澄まされる。
無意識である事が大事なんじゃよ、その時に持ち合わせた感性も発揮される。
四季と言われる聡明な女性達は、時間を意識しているよの~。
その目標が別の世界にあるから、それでもこの世界で真剣に生きておる。
ユメちゃん・ウミちゃん・カスミちゃんとは、違う時間を背負ってるよの~。
だから感性が鋭くなっていく、望まない物まで鋭くなる。
美冬の感じてる霊感と言われる物、もちろん悪い事じゃない。
じゃが確かに怖いよの、理解できない世界は恐怖を感じる。
霊の存在がどうのと言う話じゃない、簡単に言えば小僧と同じじゃ。
強い意志は残ると思う、たとえ肉体が滅んでも。
愛情も情熱も・・そして怨みも残るんじゃろう。
それを読めるという事なんじゃろう、だから怖がらんでもいいんじゃが。
やはり怖いよの~・・でも打開策はある、ユリカの棲む世界まで行けば。
制御は出来るんじゃよ、切る事もできる・・捨てる事はできんが。
美冬・ウミ、やるのなら・・ワシが教えるぞ。
少し時間がかかるが、寺に来れば教えてやろう」
和尚は笑顔で締めた、美冬がウミを見て2人で笑顔になった。
「ありがとうございます、伺いますから・・よろしくお願いします」と美冬が言って、ウミと2人で頭を下げた。
「和尚様・・その方法はどんな事でしょう?」と千秋が笑顔で聞いた。
「簡単じゃよ、座禅・・というか瞑想じゃよ」と和尚も笑顔で返した。
「私達も行っていいですか?」と千夏が真顔で言った。
「もちろん良いよ、何かに気付けるかも知れんよ」と和尚も優しい笑顔で言った。
「素敵な事ですね~・・和尚様、私もお伺いしますね」とユリさんが薔薇で微笑みながら座った。
「大歓迎じゃよ、ユリの正座を見れると良いの~・・その姿勢に驚かされるぞ」と和尚が6人を見た。
6人はユリさんの薔薇の微笑を見ていた、私は凛と座るユリさんを思い出していた。
「和尚様、どうして瞑想はお寺とかが良いんですか?」とユメが笑顔で聞いた。
「簡単じゃよ、時に縛られないからじゃよ。
人は時に縛られている、例えば部屋で瞑想しても時計の音が響く。
TVや電話も存在するだけで、時が縛る道具になる。
そして周りに時を意識しておる人間がいると、やはり時に縛られる。
じゃから慣れるまでは、寺などが良いんじゃよ。
慣れればどこでも出来るよ、小僧は瞳を閉じるだけで出来るかい。
無になった時、人は自分と向き合える。
そうすれば自分を再確認できる、その能力を受け入れ制御も出来る。
その世界まで行けば、必ず出来るんじゃよ。
最も大切で、常に自分を縛るもの・・時を外せれば必ず辿り着くよ。
人間は感受性を高めた代償で、恐怖を得たんじゃろう。
恐怖の根源は死なんじゃよ、人は死ぬことを恐れる。
それは克服出来ん事かもしれん、じゃが向き合う事はできる。
人生でそれをするとせんとでは、違いが出るんじゃよ。
時は平等じゃ、この世界で唯一全ての生命に・・平等に流れる。
生きる事を恐れる必要はない、死を恐れる必要もないんじゃよ。
その時が来た時に、笑顔になれる人間でいて欲しい。
それが本来の宗教の考え方じゃから」
和尚は笑顔で言った、気付くと大きな円が出来ていた。
「和尚様・・沢山の派手な女性が来ると、お困りになりますか?」とミコトが微笑んだ。
「大歓迎じゃよ・・ワシも楽しいしの~」と和尚も笑顔で返した。
「和尚様、私にはヒントを下さい・・無になるヒントを」とマチルダが真顔で言った。
「マチルダは、もうすぐそこに有るよ・・マチルダは小僧方式が良いじゃろうの~」と和尚が私を見た。
「さぁ聞きましょう・・小僧方式」と蘭が満開笑顔で促した。
『俺の方式って・・それで良いのか分らないけど。
俺は瞑想の時に無じゃないよ、考えたい事を強く心に想う。
ミチルに話した時に、再確認したんだけど。
例えば・・悩んでる事は、今の自分と完璧に素直な自分出して話させる。
2人で会話させるんだよ、今思ってる事を素直な自分に話す。
そうすると素直な自分が何かを返してくれる、その言葉が響くんだよ。
それで自分を落ち着かせる、そこから深く掘り下げるんだ。
迷ってる時はその事自体を強く想う、そうすると映像で浮かんでくるよ。
誰でもそれは出来ると思う、マチルダがヒントをくれたんだけど。
その時は後から、自分の背中を見るんだ。
客観的に自分の背中を見る、ドラマや映画を見るように。
そうすると気付くんだよ、自分が勝手に作っていた事に。
今はあまり瞑想しない、シオンが直接弾丸を撃ち込んでくれるから。
素直な自分を出す必要も無い、シオンに話せば返してくれる。
シオンの心は常に無の世界にある、だから直接伝えてくれる。
それが出来るのは、素直な自分とシオンだけだから』
私は思いのままを言葉にした、シオンのニコちゃんを見ながら。
「そっか~、問題は完璧に素直な自分を作れるかなんだ」とマチルダが輝く笑顔で言った。
「完璧に素直な自分・・難しそうだ」とリョウが真顔で言った。
「難しいんじゃよ・・だからその為に、自分と向き合うんじゃよ」と和尚が優しく言った。
「私・・かなりの時間がかかったよ」とミチルが微笑んだ。
「よく出来ましたな~、自分に対して嘘無く生きてきた証ですぞ」と和尚がミチルに笑顔で言った、ミチルは嬉しそうな笑顔で返した。
「豊は・・瞑想するのか?」とジンが真顔で聞いた。
「瞑想なんて感じじゃないけど・・確認はする、本心かって問いかけはするよ」と豊も真顔で返した。
「それで良いんじゃよ、人の個性は全て違うから。
豊や蘭、究極である大ママとユリは・・自分の心に最も重きを置くからの。
瞑想や自分との語り合いは必要無い、確認作業だけで良い。
正解などを探すんじゃない、自分らしさを探せば良いのじゃよ」
和尚はジンを見ながら嬉しそうに言った、ジンも笑顔で頷いた。
「俺なんか、一ヶ月以上かかったよ・・自分と向き合うのに」とキングが笑顔で言った。
「お前は仕事と夜街2つで、常人の10倍の雑念があるからの~」と和尚が笑った。
「10倍ですか・・それは凄いですね~」とユリさんが薔薇ニヤで言った。
「10倍の雑念が作ったのね、あの梶谷さんを」と蘭も満開ニヤで言った。
「多分その内の、9倍分が夜街だよ」と大ママが微笑んだ。
「伝説に事欠かないですから・・夜街伝説の数で抜ける可能性があるのは、小僧だけですね~」とユリカが爽やかニヤで言った。
「しかし色っぽい話は無いよね~、案外危ない趣味だったりして」とリアンが獄炎ニカで言った。
「その可能性は高いよ・・夜街七不思議の筆頭だからね~」とミチルが妖艶ニヤで追いかけた。
キングは嬉しそうに、照れた笑顔を出していた。
『キング、ウルして良いよ・好きな女性の胸で泣きなよ』と私もニヤニヤでキングを見た。
カスミが胸を突き出して、不敵を出して両手を広げた。
リョウが慌てて胸元を少し開いて、涼しく微笑んで両手を広げ。
ホノカがボタンの上2つ外して、華麗ニヤで両手を広げた。
「さすが銀河の奇跡・・対応が早いね~」とミコトが余裕ニヤで言った。
「感動して涙が出そうだったよ」とキングが笑って、全員で笑っていた。
『キングの誰かの胸で泣くところ見たかったのに、そこに同伴するから』と私がキングに笑顔で言った。
「小僧・・今度ゴールド・ラッシュに連れて行けよ」とキングが微笑んだ。
『仕方ないな~、キングは開拓者だから』と笑顔で返した。
「千鶴姉さん・・お礼は必要ないですよ、その笑顔が怖い」と蘭がニヤニヤ顔の千鶴に、満開ニヤで言った。
「そういう訳にはいかないわ・・素敵なお礼を考えよう」と千鶴がニヤで返した。
「あっ!・・忘れてた、私もお礼しないと」とリョウが涼しげニヤで言った。
「リョウは十分よ、紫のキラキラパンツで」と蘭が満開ニヤで返した。
「紫のキラキラか~、イメージ通りだね~」とリアンが獄炎ニカで言った。
「リアンも出会った時に、危ない黒ブラ見せたでしょ」とユリカがリアンに爽やかニヤを出した。
「ユリさん・・この状況どう思います?」と蘭が満開ウルでユリさんを見た。
「蘭ごめんなさい・・私も初めての夜、薄手のネグリジェで勝負しました」と悪戯っ子を出した。
全員がユリさんを見た、その薔薇の笑顔を見て、笑顔が溢れた。
「危険だわ・・相当に危険な状況ね、アメリカにでも駆落ちしようかな」と蘭が満開ニヤを私に出した。
「それは良い考えですね、リンダも私もいますから」とマチルダが輝きニヤで言った。
「それは尚更危険・・ブロンドに極度に弱いから」と蘭が満開ニヤニヤでマチルダに言った。
「エース・・ホストにはなるなよ」とジンが笑顔で言った。
『ジン・・怖いんだね、NO1を奪われるのが』とニヤで返した。
「それは怖い・・豊が来たら、勝てる気がしないよ」とニヤで返された。
「豊君のホストね~・・それは素敵ね~」とホノカが豊に華麗に微笑んだ。
「それは絶対に無理ですよ」と豊が微笑んで返した。
「ジン・・計画の進行はどうですか?」とユリさんが薔薇でジンに微笑んだ。
「まぁまぁですね、あと3年でなんとかしたいですね」とジンも笑顔で返した。
「起業するんでしょ・・どんな会社を作りたいの?」とユリカが爽やか笑顔で聞いた。
「時代の変化に対応する、人材を派遣するような会社を作りたいですね。
確かに日本の終身雇用は素敵な事だけど、違和感を感じてる人も多いですよね。
自分を試してみたいと思ってる人も多い、そして求めてる企業も多いです。
その橋渡し的な仕事をしたいですね、勉強も経験も相当必要ですが。
今は資金を稼いでいます、今しかホストは出来ないから。
必死にやってますよ、沢山の女性達が大切な事を教えてくれるから。
経験にも勉強にもなる仕事です、ホストというのは」
ジンは笑顔で言った、私はジンのその考えを聞いて嬉しかった。
「夜の女性の派遣は、考えてないのかしら?」とユリさんがジンに薔薇で微笑んだ。
「えっ!夜の女性ですか・・出来ますかね?」とジンは笑顔で返した。
「夜の女性の大半がバイトですよね、だから週末しか仕事が中々ありません。
それでも若い子なら、見つける事は出来るでしょう。
でも店側は若い子だけを求めていませんよ、元プロや経験者も求めています。
事情があって復帰を願う女性に、安全で良心的な店を紹介する。
即戦力・・魅力的です、そして違う何かを持ってきてくれますから。
女性をジンが面接して雇うなら、信用は出来ますね。
十分過ぎる需要はありますよ、PGは必要だと感じますね」
ユリさんが薔薇の笑顔で伝えた、ジンは嬉しそうな笑顔で聞いていた。
「魅宴も欲しいね~、絶対に利用するよ」と大ママも笑顔で言った。
「素晴らしい話ですね、うちが1番求めますね・・経験者、即戦力」と千鶴も微笑んだ。
「ジン・・スナックも必要とするよ、私も需要は相当あると思うよ」とミチルが言った。
「ありがとうございます、目から鱗でした・・やるには夜街を深く知る社員が必要だな~」ジンは提案を喜んで、真剣に考えていた。
「ジン、その時に高校生のバイトを紹介しようか・・夜街を知り過ぎてる、最後の挑戦者を」と蘭が満開で微笑んだ。
「えっ!そっか、最高の人材がいますね~」とジンが私に笑顔で言った。
「それは楽しそうですね~・・ジンとエースが女性を見て、どの店に派遣するかが」とユリさんが薔薇で微笑んだ。
「今でも恐ろしいのに・・3年後のエースか~、怖い」とハルカがニヤで言った。
「想像も出来ないね、どんなになってるのか」とミサキがニヤを出した。
『ジン、俺もその時にジンに求められるように、色々な店を見に行くよ』と笑顔で言った。
「あなたは意識して頑張らなくても良いのよ、どうせ経験していくんだから」と蘭が頬を膨らませた。
全員の笑い声の中、ジンが私に微笑んで頷いた。
その時入口に子供を抱いた、女性が入って来た。
ミコトが駆け寄って、話してから私の所に来た。
「電話したら、いても立ってもいられなくなったみたい、エース良い?」とミコトが真顔で言った。
『もちろん、良いよ』と私は笑顔で返し、ミコトとその女性の所に歩いた。
「ミコトの姉の理子です、ごめんなさい突然来て」と言った、双子のような姉妹を笑顔で見ていた。
『全然大丈夫です、まぁ座りましょう』と言って、奥の5番席に誘った。
私は理子が抱いている、生後半年位の乳児を見ていた。
「この子、未来と書いてミクといいます、生後七ヶ月になります」と理子が言った。
『可愛いね~・・良かったね、素敵な名前を貰って』と私はミクの瞳を見ながら、笑顔で言った。
「全く表情の変化が無いんですよ、産婦人科の先生はまだ気にしないで良いと言うけど・・心配で」と理子が真顔で言った。
『えっ!・・表情が出ないの、出てるけど・・抱かせてもらえます』と笑顔で言った。
私はミクのその伝達力に少し驚いていた、そして感じていた。
私は母親の過剰な心配は何度か経験していたから、その心配の中身が想像できていた。
理子は少し笑顔になって、ミクを大事そうに渡してくれた、私はミクを抱いて確信した。
白い心だと思っていた、マリアには及ばないが白を完璧に意識できた。
『表情の変化が無いって・・泣くんでしょ?』と私は笑顔で理子に聞いた、真顔の理子の横にミコトの真剣な瞳があった。
「たまに泣きます・・でも他のお子さんより、圧倒的に少ないんです」と理子が真顔で言った。
『ミク~・・お母さん心配性だって知ってるでしょ、安心させてあげなちゃい』と瞳に語りかけた。
ミクの瞳が潤みだし、私は伝わっていた、ミクの大らかで果てしなく広い心が。
『ウルしても駄目でちゅ、ミクは大きな心を持ってるんでしょ・・自分ばかり安心しないの』と優しく言った。
ミクはビッって感じで、泣顔になって私の対応を探った感じだった。
『駄目~・・泣いても無駄だよ、悔しいなら笑ってごらん』と笑顔で言った。
ミクは少し悔しそうな瞳で、意を決したように笑顔になった。
『出来るのに~・・出し惜しみしてましたね~、ミク意地悪1点』と笑顔で言った。
「キャッキャッ」とミクが声を上げた、理子とミコトの固まる表情を感じていた。
『ママは心配なんだよミク・・ミクを愛してるから、分るよね~』と優しく言った、温度の変化を感じていた。
「どうして出さなかったの?」とミコトが泣いている理子の代わりに聞いた。
『この子は凄い子なんだよ・・普通などと比べたらいけない。
この子の心は白いから、マリアとシオンと同じ白だから。
安心していたんだよ、理子がミクの伝える事をどこかで理解してたんだね。
だから表情で伝えなかった、それを理子が心配してる事も知っていた。
でも自分から出さなかった、多分今から育てる子供は普通と違うと伝えたかった。
理子は素敵なママだけど、普通に対するこだわりが強いんだね。
普通なんて無いんだよ、子供は羊水の中にいる時から個性があるから。
ミクは今からは表情に出すけど・・理子、比べないで、ミクを見てね。
本当に素敵な子だから、理子が全てを賭けても良い存在だよ。
俺より強い変化を、ミクにプレゼントするからね。
理子・・イメージで見ないで、ミクは心の大きな子なんだから』
私は泣きながら頷く理子を見て、潤む瞳のミコトに笑顔で頷いて。
宴会場のシオンを見た、シオンは私を見ていた。
私の表情で理解したように、シオンはニコちゃんになって歩いて来た。
『ミク・・素敵な人を紹介するね、ミクが誤魔化せない大人だよ』と言ってシオンにミクを渡した。
『シオン・・ミクちゃん可愛いでしょ』と最高ニコちゃんシオンに言った。
「ミクって言うの~、可愛いけど・・少し意地悪さんですね」とシオンがミクに微笑んだ。
「ア~、ア~」とミクがシオンに反応した、シオンは少し真顔になって。
『言い訳は許しません・・シオンお姉ちゃんには、通じません』と笑顔で言った。
ミクは困ったのか、理子を見てウルをした。
私は感動してる理子に耳打ちした、理子はニヤを少し出して私を見て頷いた。
「ミク・・ママは少し怒っています、ごめんなさいは?」と理子が真顔でミクに言った。
ミクは理子の顔をじっと見ていた、私はニヤニヤでミクを見た。
「ア~・・ウ~」とミクがウルウル顔で理子に言った。
理子はミクを受取り、優しく抱きしめた、ミクは理子に抱かれて笑っていた。
私は泣いているミコトを見ていた、その優しさに触れて嬉しかった。
シオンがTVルームに歩いて行くのを見て、さすがシオンと想っていた。
「ありがとう、私の負けだよ・・エース」とミコトが泣きながら微笑んだ。
『休戦中だよミコト・・それに俺に出会わなくても、ミクは近々表情は出たよ』と笑顔で返した。
「本当にありがとう、嬉しかった~・・ミクを心の広い子だと言われて」と理子が私に微笑んだ。
『事実ですから・・ミクの近い将来のイメージが知りたいですか?』と笑顔で聞いた。
「そんな事が出来るの?」と理子が驚いて言った、私は笑顔で頷いた。
その時受付の方からシオンがマリアを抱いて来て、マリアをミクの前に立たせた。
『マリア・・ミクちゃんだよ、可愛いでしょ』とマリアに言った。
マリアはミクの顔を見て、最強の天使全開で両手をミクの両頬にそっと当てた。
「みく・・かわいい」と強く言った、その時ミクが大きな声で笑った。
その声がフロアーに響いた、まさに天使の声だった。
『1年半後の、ミクのイメージ・・マリアだよ』と理子に笑顔で言った。
「本当に嬉しい・・幸せを感じてるよ」と理子がマリアを見て言った。
マリアは天使全開継続で、理子を見ていた。
爽やかな風がエレベーターホールから吹いてきて、白い3人を包んでいた。
私はミクに1つ気付かされた、感情は絶対に存在すると。
どんなに遮断しても、感情は存在してるのだと確信した。
ミクの笑顔を見ながら、ミホを想っていた・・黄昏の迫る夏の午後だった。
ジンの計画に、ユリさんが大きな提案をした。
その提案に蘭が私を絡ませた、私は本当に嬉しかった。
ジンは本心で目から鱗と言っていた、そして本気で考えていた。
しかしその女性の派遣は、軌道に乗るまで大変だった。
夜街の多くの店が、登録したいと名乗り出たから。
その予想以上の数に、ジンも私も驚いていた。
そして女性の登録申し込みの多さにも驚いた。
時代はバブルに入った頃で、夜街も最高の熱に包まれていた。
キャバクラと言われる、大型店の台頭もあり、需要は増え続けた。
私はカズ君から相談を受けて、徳野さんと話した。
そしてカズ君がジンの会社に転職する、夜の女性派遣の責任者として。
私は実働を担当して、ジンとカズ君が面接等をしていた。
最強の爆弾が無数に湧いて出てきた、その爆弾を徹底的にPGに投下した。
魅宴にも、ゴールド・ラッシュにも投入し続けた。
それでも現れなかった、銀河の奇跡に対抗できる存在は。
唯一対抗できたのは、シオンとセリカにもう一人を加えたトリオだったが。
シオンの早い引退と、セリカの上京で消えた。
セリカは若き日の憧れ、東京を諦めきれなかった。
セリカは六本木PGの開店メンバーになる、そして店を引っ張ってくれた。
その流星の輝きは強まり、六本木でも有名な華だった。
セリカの結婚引退する送別会で、泣いているセリカを見ていた。
その輝きの流れに涙が光っていた、それを拭う左手にリストバンドは無かった。
「心の傷も、体の傷も・・いつか癒えるね、前を見てれば」と美しい笑顔で言った。
流れる輝き・・優しさを纏う言葉。
追いかけても追いかけても・・追いつけない存在。
夜空を見上げると想う・・星が流れないかと・・あの流星のセリカのように・・。