開宴の響き
暖かい風に包まれた、巨大な空間。
2人の男は瞳で話してるようだった、全員で取囲み熱を楽しんでいた。
豊が抱くマリアは、ジンに天使の笑顔を振り撒いていた。
ジンがマリアを抱いて、最高の笑顔でマリアを見ていた。
「マリア・・面食いだね~」とナギサが華やか笑顔で言った。
「エースがウルウルするよ」とユリカが爽やかニヤで言った。
『マリアの浮気者』とマリアにウルで言った。
「えーす・・うわきもの~」と最強天使不敵で返された、私はウルウルで返した。
全員が笑っていた、楽しい事の始まりを感じて。
「それでは席のくじを引いてない方は、引いて下さい」と美冬か笑顔で言った。
私はジンからマリアを受取り、大きなテーブルの横にある可愛い丸テーブルに座った。
エミとミサに挟まれた、レイカはご機嫌な笑顔を見せていた。
席の様子を見ながら、私はニヤニヤしていた。
キングを挟んでリアンとセリカが座り、ジンを挟んで蘭とリョウが座り。
和尚は最高の笑顔でマチルダとカスミの、豊満コンビに挟まれていた。
そして豊はユリカとミコトに挟まれて、ユリさんを挟んで緊張してる千鶴とマユが座り。
大ママを挟んでホノカとケイコが座り、見事にバラバラの状況が出来上がった。
PGは男と女が互い違いに座った感じだった、徳野さんを挟んでミチルとシオンが笑顔で座った。
ボーイ達の笑顔が普段と違っていて、リラックスしていると感じていた。
進行役の魅冬と、飲み物を出すのであろう四季が席を離れていた。
「ご来場の皆様、本日は休日の日曜日にお集まり頂いて、ありがとうございます」美冬が頭を下げてはじまった。
「本日の趣旨は、互いの懇親の意味とアメリカから来ている。
マチルダの送別をかねています、ゆっくりとくつろいで、楽しんで頂きたいと思います。
それでは堅苦しい事を抜きにしたいので、開宴の挨拶と乾杯をエミにしてもらいます」
美冬はエミに笑顔を向けた、エミは驚きながら笑顔になって、美冬の元に足早に歩いた。
最初から度肝を抜く仕掛けか、やるな美冬と私は思っていた。
そして全員が驚く、突然指名されたエミの挨拶で幕を開ける。
「サクラの長女のエミです。
マチルダ・・もう旅立つ日が明日に迫ったんですね。
マチルダ・・マチルダが話してくれた沢山の事、全てで世界がイメージできました。
宝石の価値・・石に価値は無いと言ってくれましたね。
高価な物だから価値が有るのではないと、自分が美しいと思えるかだと。
私はもっと沢山勉強をしたくなったよ。
私も誰かに何かを伝える事のできる、人間になりたいから。
PGの素敵な人達のように、夜街で働く素敵な人達のように。
リンダやマチルダのように、そしてユリさんやエースのように。
私は夜街の人達が伝えてくれた、大切な言葉を心の中に沢山持ってます。
そしてあのエースの言葉を、いつも持って歩いています。
良い事ばかりする中学生じゃないと、エースが私に言ってくれた言葉。
その時に気付きました、ユリさんの言葉。
世の中で悪いと言われてる事の、全てが駄目な事じゃないと・・その言葉が。
そしてマチルダが伝えてくれた、あの言葉・・リンダの言葉。
無駄だと思った時に、敗北が決まる・・繋がりました、だからとても響きました。
マチルダ・・本当にありがとう、そして必ず帰ってきてね。
ここはマチルダの帰る場所だから、私はずっと待っています。
だから私は、マチルダにお別れは言いません。
少し旅に出るだけの・・マチルダには。
乾杯は・・今後の皆様のご活躍を願ってにします」
全員を見ながらエミが堂々と言った、静寂が包んでいた。
エミという希望を見ながら、その未来に夢を感じて心躍らせながら。
全員乾杯の為に立ち上がった、最高の笑顔が溢れていた。
マチルダが号泣して立てずにいた、和尚が優しくマチルダを立たせた。
エミは全員のグラスを確認して、最高の笑顔を私に向けた、私も笑顔で頷いた。
「それでは、皆様の今後の繁栄と健康を祈って・・乾杯」とエミが叫んだ。
「乾杯」と全員笑顔で言って、グラスを合わせた。
エミが完璧な火を点けた、座って語り始めた人々に熱が伝わっていた。
私はその6歳の無限の可能性を見て、私の隣に座るエミを笑顔で見ていた。
話の盛り上がりは、熱を帯びていた。
私は4人娘のお世話をしながら、耳だけは宴会の中においていた。
「エース・・カレー美味しいよ」とエミが可愛く微笑んだ。
『良かった~、大人向けで辛くないかな?』と笑顔で言った。
「レイカ・・大丈夫、美味しい」とレイカが笑い。
「ミサも・・大丈夫、美味しい」とミサも笑った。
「まりあ・・だいじょぶ・・おいしい」とマリアが天使で微笑んだ。
私はニコちゃんになって、マリアのエビフライを切っていた。
「よう、あれは早くやるだろう?」とカズ君が来た。
『そうだね、やろうか・・マリアいつ寝るかも分らないし』と笑顔で返した。
カズ君が久美子の所に行き、久美子がピアノの前に座った。
カズ君と美冬で準備に行った、私と徳野さんとボーイでプレゼントを用意していた。
美冬が受付の後で、サイン【OK】を出した、私は笑顔で頷いた。
エミにミサとレイカの手を繋がせて、私はマリアを抱いてフロアーのセンターに歩いた。
『ご歓談中すいません、これより徳野さんとボーイさん達と私から。
スペシャルプレゼントをします、エミの7歳とミサとレイカの5歳を祝って』
私が笑顔で言うと、フロアーの照明が暗くなった。
カズ君がロウソクが17本灯された、巨大なケーキを料理用台車に乗せ押してきた。
エミとミサとレイカの最高の笑顔を見ていた、そしてマリアが天使全開になった。
『それでは、お祝いの歌を全員で歌いたいと思います』と言って、久美子を見た。
久美子が伴奏を始めて、全員笑顔でお祝いのハッピーバースデイを歌った。
歌が終わり全員で拍手をした、エミが合図を出して3人でロウソクの火を吹き消した。
ロウソクの火に照らされた、3人の表情が嬉しそうで私も嬉しかった。
私が抱くマリアも、3人を天使全開で見ていた。
『それでは1人すつ指名して、キスのプレゼントを貰いましょう・・まずはミサ』と私はミサの横に屈んで、笑顔を向けた。
照明が点いて、ミサの可愛い笑顔が私の耳元に来た。
『ミサのご指名は・・ジンさんです、お願いします』と私はジンに笑顔で言った。
ジンは最高の笑顔で立ち上がり、ミサの側に歩み寄りミサを抱き上げた。
最高の少女の笑顔のミサの頬に、ジンが優しくキスをした。
ミサはその素直な感性のまま、嬉しそうに笑っていた。
『次はレイカちゃん』と私はレイカに笑顔を向けた、レイカも嬉しそうに歩み寄った。
『レイカちゃんのご指名は、豊兄さんです・・お願いします』と豊に笑顔で言った。
豊も嬉しそうな優しい笑顔で、レイカに歩み寄り抱き上げた。
レイカは楽しそうに抱かれて、頬にキスされて少し照れていた。
『最後はエミちゃん』と私は笑顔を向けた、エミは照れた笑顔で近付いて。
「聞かなくても、分るでしょ」と可愛い笑顔で言って、私の横で瞳を閉じた。
私はマリアをミサに預けて、エミを抱き上げて頬に優しくキスをした。
エミが目を開けて、最高の照れた少女の笑顔を私に向けた。
『それでは引き続き、ご歓談をお楽しみ下さい、ありがとうございました』と私が締めた。
4に人娘と席に戻り、デザートを食べていた。
宴会の方も席がバラけて、マチルダが最初に動き出していた。
輝く笑顔で一人一人と話していた、広い空間で豊とジンが話しだし女性が取囲んだ。
その横に大きな円が出来た、キングと和尚と徳野さんが集まって女性達も集まりだした。
「私がTVルームで3人を遊んであげるから、エースが行かないと盛り上がらないよ」とエミが笑顔で言った。
『ありがとう、エミ』と笑顔で返した、マリアを抱いてTVルームに送った。
『3時位におやつでケーキを食べようね・・迎えに来るよ』とエミに微笑んだ。
「はーい」とエミが返事をして、4人で遊び始めた。
私は楽しそうな4人の笑顔に見送られ、フロアーに戻った。
私は最初は大きな2つの円を避けた、その迫力にいきなり入れなかった。
大きな円の少し後で話している、マダムと大ママと松さんの所に座った。
「エース・・蘭は完全に復活するぞ、覚悟はできたか」とマダムが笑顔で言った。
『出来てるよ、それが俺の望んだ事だから』と笑顔で返した。
「あの時の蘭が、また見れるんだね~」と松さんが優しく言った。
「思い出しますね~、あの姿・・私は恐怖すら感じたよ」と大ママが真顔で私に言った。
「今のPGがあるのは、あの最大の危機の時に・・蘭の本気が目覚めたからやからの~」とマダムが私を見た。
『やっぱり凄いんだね、俺は最近、自分の想像力の無さを痛感してたよ』と笑顔で返した。
「私はPGが心配で見に来てたんだけど、リアンも居なくなってたから。
蘭は本当に凄かったよ、後光が射しているようだった。
歩く姿に炎が見えていたよ、その炎がアイに火を点けていたんだよ。
そして若手やバイトにも勇気を与えた、蘭が自分も副職だと言っていたから。
その当時、絶対的な魅宴のNO1だったユリカが、自分でも蘭には勝てないと言ったよ。
その蘭の姿を見て、リアンもユリカも嬉しそうだった、そしてその姿にユリカが贈る。
【最高の副職】という、最大級の愛情を込めた称号を。
でも今回はもっと凄いね、蘭が自分で望んで本気になるんだから。
もう蘭に迷いも後悔も無いね、最後の挑戦者が愛し続けるから。
私は今日、何に1番驚いたかと言うと、あのユリの姿にだよ。
最高のユリが見れると感じてる、そして最高の蘭が挑むね、その生き方に。
そしてナギサも挑むよね、ナギサの力を私は知ってるから。
あのどこか自由な心が、今は挑戦を求めている。
ナギサに見え隠れしてきたね、最高の状態のユリカの影が。
エースありがとう・・こんな楽しみを与えてくれて。
私はワクワクしてるよ、見果てぬ夢が見れそうで」
大ママが私に笑顔で伝えてくれた、マダムも松さんも笑顔で頷いた。
「和尚様がご指名ですよ、弟子の小僧を」とユリさんが薔薇で微笑んだ。
その後に千鶴がマユとセリカとケイコを連れて来た。
『刺身が食べたいから、どっか人気の無い場所を知りたいんだよ・・生臭』とニヤで言って立ち上がった。
『マユ・セリカ・ケイコ・・大ママお腹いっぱいだから食べないから、安心してね』とニヤニヤで言った。
「あなたのその言葉が、私は信じられないよ」と千鶴が美しく微笑んだ。
「何言ってるんだい千鶴、早くここにお座りよ・・お前は本当に凄い星を持ってるね、その3人を見ただけで分るよ」と大ママが笑顔で言った。
千鶴も嬉しそうに微笑んで、3人を紹介していた。
私はユリさんと腕を組んで、和尚達の大きな円に向かった。
「お前・・ユリとも腕を組んで歩くのか、少しペナルティーが必要だな」と徳野さんが笑った。
『最近ユリが、甘えん坊で困ります』と笑顔で返した、静寂がきて私は心でニヤニヤしていた。
ユリさんが強く腕を組んで、悪戯っ子を出した。
リョウとホノカの驚きの表情を楽しんで、空いている場所にユリさんと座った。
「小僧は元々、熟女好きやからの~」と和尚が笑顔で言った。
「まぁそうですの・・私でもチャンスありね」とユリさんが薔薇ニヤを出した。
『やめろよユリ・・徳野さんに2人の関係を気付かれるだろ』とニヤで返した。
「あら、そうでした・・ごめんなさい」と悪戯っ子で笑った。
「その背筋が凍るような絡み、よく出来るよな~」とカズ君が私に笑顔で言った。
『またカズ君は、ユリちゃんを差別して・・若い女性と同じに扱いなさい』とニヤで返した。
「ボーイさん達が、皆で私を差別するんです」とユリさんが泣き真似をした。
『ほら、ユリちゃんも泣いてるじゃないか・・ヨチヨチ』とカズ君を見て、最大二ヤを出した。
「勘弁してください」とカズ君がウルで言って、全員で笑った。
「それでは和尚様・・熟女好きの話をお願いします」とユリカが爽やかな笑顔で、和尚の横に座った。
「さて、徳野さん場合によっては、返せと言って下さいね」と蘭が満開で、徳野さんの隣に座った。
「おう、場合によっては出入り禁止にする」と徳野さんが笑って、私はウルウルをしていた。
「ユリカちゃんと蘭ちゃんに言われたら、仕方ないの~。
小僧の初恋の相手は、幼稚園の先生なんじゃよ。
20代前半の可愛い先生じゃった、小僧の不思議な生き方はその頃から始まった。
小僧の家の向かいに、同じ歳の少女がおった。
両手で杖をついて歩いて、上手く言葉も出ない少女が。
ワシはその子の事が気になって、よく目をかけておった。
その子が4歳で、もちろん小僧も4歳の時には、小僧はその子と会話しちょった。
ワシはその2人を遠くから見守る、豊に聞いたんじゃよ、どうやって会話してるのかと。
小2の豊は言ったよ、多分瞳の色の変化じゃないのかと。
ワシは驚いて2人を見ていた、小僧は確かにその子の瞳を見て返事していた。
そしてその子の両親は、それを見て幼稚園に入園希望を出す。
園長は仏教を極めた、大きな心の男じゃったが。
入園許可をためらってしまった、当然じゃろう、担当する人間の負担を想えば。
その時にその若い先生が、引き受けたんじゃよ。
そして小僧と同じ幼稚園に通う、その先生と小僧が普通に接して。
その子を偏見の目から守るんじゃよ、小僧はもちろん無意識じゃったが。
その子はその年の、クリスマスに亡くなった。
小僧は後にこう言った、自分は幼くて死の意味すら分からなかったと。
そして小僧はその後悔と、闘うかのように命と向き合う。
学校に上がると、小児病棟に毎晩通い、常に死を意識してる子供と遊ぶ。
豊がそれを強力に後押しする、そして医師も看護婦も気付く。
小僧の力に、あの瞳を読み取る力に。
それ以降は皆の知ってる話じゃ、小僧は無意識にやった。
ただ楽しく遊ぶために導き出した、そのあらゆる伝達方法。
瞳の色・鼓動・呼吸・そして温度に至るまで。
小僧はワシが知る限り、18人の仲間を見送った。
その全てに対して、自分の意志を伝達していた。
小3の小僧の所に、あの幼稚園の先生が訪ねて来た。
会ってほしい子がいると、小僧を病室に連れて行った。
それが・・ヒトミなんじゃよ・・ヒトミは隔離状態だったから。
そして小僧は全てを賭けて見せる、全身全霊を賭けて見せる。
本当の奇跡を・・ヒトミが意志を示す、生きていると左手が叫ぶのじゃ。
小僧はその先生を本気で好きだった、そしてヒトミの事も好きになる。
小僧がヒトミと交信できだしたきっかけを、小僧は話しておるまい。
それは小僧の失恋じゃった、その先生が結婚すると小僧に伝えた日。
小僧はヒトミに向かって、泣いたんじゃよ失恋の悲しみを伝えて。
その悲しみにヒトミが反応した、どうしても伝えたかったんじゃろう。
自分がついていると、自分にはちゃんと意志があると。
小僧はその帰りにワシの所に来た、その時豊も来ておった。
小僧がワシにこう言った、和尚・・失恋って辛いねとな。
それを聞いて、豊が立ち上がって小僧に言った。
小僧・・かかって来い、お前の望みを受けてやるとな。
小僧は常に豊に挑戦状を出していた、どうしてもやってみたかったんじゃよ。
負ける事を知りながら、その探究心に逆らえなかった。
豊はその時に初めて小僧の挑戦を受ける、本堂で小僧が豊に挑戦する。
豊は本気で受ける、豊はやるときは常に本気じゃから。
勝負は1発で決着する、そして小僧は笑顔になる最高の笑顔に。
豊は小僧を背負って、小僧の家まで送るんじゃよ。
豊が翌日ワシの所に来て言った、小僧の先生への愛は本物だったと。
感動したと言っておった、その溢れる愛情に感動したと。
豊は本物じゃった、幼い頃から男じゃったよ。
不遇の環境の子供や、障害を持つ子に対し圧倒的に優しい。
そして偏見や差別の視線に敏感だったよ。
その亡くなった子を、子供社会に連れ出したのも、豊じゃった。
小3の豊が、上級生に差別の目で見ることを許さなかった。
その圧倒的な強い意志で・・だからその子は普通の子供の楽しみを知った。
豊の強い意志と小僧の会話方法のおかげで、守られた・・その純粋な心が。
確かに偏見の目は常に存在する、差別の意識というものが、この国には強くある。
僅かな国土を守るためなのか、自分が差別せれないように誰かを差別するのか。
人は強くないから、自分が差別を受けるのを恐れる。
この国の人間は、常識的でない事を、極度に恐れる傾向がある。
だから・・特攻などという馬鹿げた行為に、逆らえなかった。
ワシにとっては豊が希望じゃった、そして小僧が夢なんじゃよ。
この2人は恐れない、常識の外に身を置くことも、差別の瞳に晒される事さえ。
小僧が最初に愛した女性・・その年齢差20歳。
蘭よ・・年齢差など考えんでいい、小僧は元々年上が好きなんじゃから。
その先生の今の実年齢は、ユリさんと同じじゃよ。
人を愛するのに、年齢の障害などは存在しないと、小僧は強く言うから。
あの時・・小僧は確かに幼い子供だったが、今と同じ愛情表現をしていた。
卒園しても、その先生を常に見ていた、子供と接する先生を遠くから。
毎日学校帰りに幼稚園を覗いて、そして園児達と触合い子供社会を構築する。
その先生が子供との関係を悩んだ時は、あらゆる手を使って提案し続ける。
その問いかけに、先生が答えを出そうとする・・その答えで気付くのじゃ。
大人には分らんぬ、子供の気持ちを。
それが小僧の最高の愛情表現・・今でも変らぬ。
その愛情は今などを見ていない、なぜならば・・年上を愛し続けるから。
小僧は時に逆らっている、未来からの逆算をしながら。
豊を追い求めたからじゃろう、その心は絶対に今を満足しない。
多分・・どんなに金持ちになっても、愛する人を手に入れても。
未来を見続ける・・それが小僧の愛しかたなんじゃろう」
静寂の中和尚が最後に蘭を笑顔で見た、蘭も最高の満開笑顔になった。
「返せとは言えないな・・良かったな、蘭」と徳野さんが笑顔で言った、蘭も満開で頷いた。
「和尚・・俺の事を良く言い過ぎだよ・・照れるからやめてよ」と豊が照れた笑顔で言った。
「そんな事言うなら、お前の伝説を話すぞ」と和尚が豊にシワシワニヤを出した。
「それは聞きたいね~・・今後の参考に」とキングも豊にニヤで言った。
「梶谷さん・・よしてくださいよ、もう仕事方でのお世話はかけません」と豊は笑顔で言った。
「ユリカどう思う、今の台詞?」とキングが笑顔で聞いた。
「無理でしょうね~・・豊君はその場所が常に必要として、呼び出しますから」と爽やかな笑顔で返した。
「ジン君が言った、豊のパンチの道標・・本気で相対した者は感じるんじゃよ」と和尚も笑顔で言った。
2つの円が1つになった、豊の隣にマチルダが最高の笑顔で座った。
「どんなんが良いじゃろうかの~、なんせ豊の伝説は数が多いから」と和尚が円が出来上がった時に、笑顔で言った。
「豊君とエースが絡む、リヤカー伝説の本当の話が聞きたいです」と久美子が言った。
「私もそれが聞きたかった、完全な話が伝わってないと思ったから」とミサキも和尚に微笑んだ。
「面白そうだね~・・期待しちゃうね」とマチルダが真横の豊に微笑んだ。
「俺もその話を聞いた時に、豊伝説は嘘なんじゃないかと思ったんです」とジンが微笑んだ。
「私もそう思った・・ありえない話だと感じました」とケイコが言った。
「か~あなた達の宮崎世代に・・少し嫉妬したよ」とカスミが不敵を出した。
「残念ね~カスミ・・その話は私でも知ってるよ、私も作り話と思ってた」とホノカが華麗ニヤを出した。
「当然私も聞いた・・絶対に誰かが作った話だと思いながら」とリョウが真顔で和尚を見た。
「和尚様・・お願いします、私はエミに伝えてあげたいから」とサクラさんが美しく微笑んだ。
全員の期待の瞳に押されて、和尚が話しだす・・あの冬の出来事を。
静寂のフロアーに出来た、大きな円を作る人々は強い意志を示した。
今、この時が大切な時だと、全ての瞳が言っていた。
私にはすでに映像が流れていた、その映像に映る豊兄さんの静けさに息を飲んでいた。
私は感じていた、ジンの言った豊のパンチの道標。
私はその時までに、3度豊に挑戦していた。
もちろん全て、一瞬で決着がついていた。
しかし豊の本質に触れるには、その方法しか思いつかなかった。
豊は私が挫折をしそうな時、その3度だけ挑戦を受けた。
愛情のある強い拳が、私の腹筋に入って来た。
私はその度に、最高の喜びを感じていた。
目指す者が存在する喜びに、体の痛みを凌駕する喜びを感じた。
送別会は続いていく、全員がエミの言葉を感じながら。
マチルダは旅に出るのだと、帰る場所はここなのだと。
エミのその一言で、全員の寂しさは消えていた。
私はあの色紙の言葉を思い出していた。
エミの心のままに書いた言葉、ケイに対する最高の感謝の言葉。
【ありがとうケイ おめでとうハルカ】・・そう迷い無く書いた心。
学ぶ事を努力と思わぬ強い心・・常に前を見る瞳。
命に関わる仕事なら、命を賭けていい・・そう強く言う心。
エミ・・エミこそが最後の挑戦者だよ。
俺はそう思ってるよ・・多分リンダもマチルダも。
そして・・ユリカも・・。