心の歌
夜街と言われる場所、週末を待ちわびていた。
現在のように、週休2日が当たり前でなかった時代だった。
公務員や金融関係ですら、土曜の午前中は仕事だった。
土曜の午前中の時間は、私達悪ガキには大切な時間だった。
その日の夜遊びの打合せをしていた、年齢が進むに連れて危険なゾーンも近づいた。
互いに危険地帯に踏出して、その自慢をするのが恒例行事だった。
社会の懐が深くて、受入れる許容を持っていたのだろう。
今よりもどこか自由で、夢が有った気がする。
土曜の夜の雑踏の中で、ミニスカートの女性達に私は回復されていた。
危ない服の女性達が、笑顔で私を囲んでいた。
私も笑顔でその女性達に、礼を言って。
5人に手を振って別れて、ゴールドに向かいエレベーターに乗った。
3階のゴールド・ラッシュは、入口からも分る大盛況だった。
私は受付にいた年配のボーイ頭に挨拶をして、奥の小部屋に行った。
小部屋を覗くと、ケイコとレイカがいた。
レイカが私を見て、笑顔で駆け寄ってきた。
私も笑顔でレイカを抱き上げて、ケイコの向かいに座った。
『レイカ、まだ起きてるの~』と笑顔で言った。
「眠いけど・・眠れないの~」と可愛く笑った。
『仕方ないな~、抱っこしてネンネさせてあげるね』と微笑んだ、レイカも笑顔で返してくれた。
私は立ってお姫様抱っこをした、レイカは嬉しそうに抱かれて目を閉じた。
レイカの体温は下がっていて、鼓動も吐息も安定していた。
ケイコは私の来た意味が分かっているのか、緊張してるようだった。
レイカが深い眠りに落ちて、ベッドに寝かせてケイコの前に座った。
『ケイコ・・ミツと話をつけた、お金持って家を出たのは本当の事なの?』と真顔で聞いた。
「お金?・・お金なんて持って出てないよ」とケイコも真顔で答えた。
『そっか~、やっぱり嘘だね・・ケイコが15万持って家を出たって言ってたから』と笑顔で言った。
「まさか!15万なんて有るはずも無いし」とケイコも笑顔になった。
『もう直接連絡無いと思うけど、もし何か言ってきたら俺に教えてね』と微笑んで立ち上がった。
「ありがとう、本当は怖かったの」とケイコが笑顔で見送ってくれた、私も笑顔でケイコと別れた。
帰ろうと裏を歩いていると、ボーイ頭に呼び止められて店内に案内された。
1番奥の席に座っていると、真赤なドレスを着たセリカが笑顔でやってきた。
『セリカ・・赤似合うね、可愛いね~』と笑顔で言った。
「可愛いでしょ~、ママすぐ来るからね」とセリカが可愛く微笑んだ。
『セリカに会えたから、いいのに~』と微笑んで返した。
「そうはいかないよ、暴走族とやりあったんだから」とセリカが輝きを流して笑った。
『暴走族だったの・・怖い』とウルウルで返した。
「本当に変な男だね~、この店じゃ噂の男だよ」と可愛いニヤで返された。
『ねぇセリカ・・衝動ってどんな感じで来るの?』と真顔で話題を変えた。
「1人の部屋に帰るでしょ・・そしてお風呂に入ると・・寂しさが襲って来るの」と真顔で答えた。
『そっか~・・寂しいよね、誰もいない家に帰るのは』とセリカの瞳を見ながら囁いた。
「ずっとなの・・子供の頃からずっと、1人の家に帰ってたから」と寂しそうな目で笑った。
『セリカ、大丈夫だよ・・セリカは絶対に愛される人だから。
今は1人かもしれないけど、今は誰かを愛せないかもしれないけど。
衝動に負けなければ、近い将来誰かを愛せるよ。
そうしたら、その人と一緒に暮らせば良いんだから。
それまでは俺がセリカを見てるから、セリカが体が辛い時は側にいるから。
その時にセリカが望めば、俺は絶対にセリカを1人にしないから。
セリカ・・焦らないで、寂しさに負けないでね』
流星の流れる瞳を見ながら、最後は笑顔で伝えた。
「うん、その約束とあの誓いがあるから、大丈夫だよ」と可愛く微笑んだ。
『セリカ、今から千鶴も誘うけど・・明日午後1時から、PGで外人さんの送別もかねたパーティーがあるの、セリカも招待したいんだけど』と微笑んで誘った。
「えっ、あのブロンドの綺麗な子の・・嬉しいPGも見れるし、必ず行くね」と笑った、美しさが溢れていた。
『そっか良かった~、シオンも喜ぶよ』と笑顔で返した時に、千鶴が近づいて来た。
「ママが行く時は、一緒に行くね」とセリカが微笑み、千鶴と交代した。
「無傷みたいね、もう心配したんだから」と千鶴が美しく微笑んだ。
『平和主義者だから、大丈夫ですよ~』とニヤで返した。
「ケイコの恐怖は取れたの?」と千鶴が真顔で聞いた。
『うん、ただ奴らは馬鹿だから・・まだ来るかも、だから提案があるんだけど』と真顔で返した。
「どうぞ、何でも言って」と千鶴が微笑んだ。
『明日午後1時から、PGで外人さんの送別かねたパーティーがあるんだよ。
そこに千鶴とマユとセリカとケイコを、招待したいんだ。
セリカは今OKを貰ったから、そしてケイコには紹介したい男がいる。
その人の知り合いと言うだけで、ケイコはあの連中から守られる。
ケイコには内緒で、千鶴が連れて来て欲しいんだけど。
千鶴達はパーティーを楽しんで、レイカもお友達と遊べるし。
それに・・五天女揃うし、ミコトも来る。
そして、千鶴・・蘭が待ってるよ』
私は真顔で千鶴の美しい真顔を見て、最後の蘭に力を込めた。
「ありがとう・・必ず行くね、蘭に会いたい」と千鶴も真顔で答えた。
『じゃあケイコは大丈夫だね、マユにも聞いといてね』と笑顔で言った。
「了解・・私は今日の全ての事に対して、どんなお礼をすればいいの?」と千鶴が微笑んだ。
『お礼はいらない・・千鶴1つだけ教えて、この店を始める時のスポンサーとは関係が切れたの?』と真顔で聞いた。
「うん、計算通り上手く捨てられたよ・・あっちは家庭が有るし、弱み握ってたから」とニヤで言った。
『そっか~、今度相談が有るんだよ、月曜の午後にでも会いに来るよ』と笑顔で言った。
「いつでもどうぞ・・しかし明日は緊張するな~、五天女揃いなんて」と微笑んだ。
『駄目だよ千鶴、ミコトは一歩も引かないよ・・下の世代が見てるからね』とニヤで言って、立ち上がった。
「よし、頑張るよ・・私もミコトの友として、蘭の先輩として」と千鶴も笑顔で立った。
2人でエレベーターまで歩いた、千鶴が腕を強く組んでいた。
『千鶴、蘭がユリさんに挑戦状を出したんだ』と笑顔で言った。
「うそ!・・やる気なんだね、蘭は」と嬉しそうに微笑んだ。
『うん、だから千鶴もハッパかけてやってね』と微笑んで、エレベーターに乗った。
「了解、背中を押すよ・・明日楽しみにしてるよ、本当にありがとう」と美しく微笑んだ、私も笑顔で手を振って別れた。
通りを歩いていると、呼び込みさん達から冷やかされた。
指定席に戻ると、フロアーは満員状態で熱が高かった。
シオンが休憩をしていた、私はシオンの隣に座った。
『シオン、明日セリカも来るって』と笑顔で言った。
「嬉しいです、楽しみですね・・セリカちゃん」とニコちゃんで返してきた。
『ねぇシオン・・先生心残りの女の子がいるの、守ってやれなかった』と真顔で言った。
「先生・・なんとなく知ってるよシオン、その子も先生を待ってるよ」と美しい真顔で私の目を見た。
『そうだよね・・シオン、待ってるよね』とシオンの輝く瞳に聞いた。
「先生の力みたいなの・・リンダちゃんが強めた映像。
マチルダちゃんが鮮明にしたんでしょ、それは知ってたよ。
リンダちゃんが空港で抱かれて、ど~んをする前に言ったよ。
先生がんばれって、映像のレベルを上げるからって。
それを鮮明にできる人間を送るからって。
先生の映像の意味を感じて欲しいって、そして後悔にチャレンジしてって。
リンダちゃんは先生の全てを感じたいから、髪の毛を抜いたんだよ。
リンダちゃんの力は、ユリカさんとも違うんだね。
リンダちゃんの力は・・人の過去を読み取るんだよ。
別れの前、先生の過去を読み取って・・リンダちゃんは泣いたんだよ。
リンダちゃんの髪の毛を結んだ、先生の腕が背中を押した時に伝わった。
飛行機のドアの所にリンダちゃんが来て、先生に手を振ったでしょ。
あの時の叫び、シオン唇で読み取ったよ。
その叫びは・・ミホを諦めないでって叫んだよ。
リンダちゃん・・心の底から叫んだよ」
シオンは完璧な歌で伝えてくれた、私は本当に嬉しかった。
最高の感動の中にいた・・リンダの深さに触れて、それを歌で伝えられて。
私は幸運に感謝していた、原作者の粋なシナリオに礼を言った。
熱く強い波動が包んでくれた、リンダの叫びの言葉が内側に入って来た。
マチルダをリンダが送った意味も理解できた。
私は最高の教師である、ニコちゃんに戻ったシオンを見ていた。
最高の輝きの中に、その純白を主張しながら純粋を提示していた。
『シオンありがとう、先生ミホに会いに行くよ。
シオン、先生はミホとの事をシオンには話すから。
シオンはそれを聞いて、思った事を全て教えて。
先生はそれだけで・・シオンの言葉だけで自信が持てるから。
シオンは先生の最高の先生だから、シオンの言葉は直接心に響くから。
お願いね・・詩音』
ニコちゃんシオンに、笑顔で伝えた。
「うん、シオン最高に嬉しいです・・先生の役に立てるんですね」と最高ニコちゃんで立ち上がった。
『よろしく、シオン』と笑顔で言った、シオンはニコちゃんで頷いてハルカ席に戻った。
私はシオンの背中を見ていた、その無限の可能性に心躍らせながら。
《ユリカ・・シオンともう少し話さないと駄目だね、シオンが伝えてくれるね》と心に囁いた、暖かい波動が包んでくれた。
私は考えていた、リンダを想いながら。
私の映像の意味を考えていた、いつから始まったのかと。
記憶を辿って気付いた、あの時だったと。
ヒトミとの最後の時を迎える前年のイブの夜、ヒトミに会いに行った。
その日のヒトミは温度の揺れが激しくて、楽しそうだと感じていた。
私はヒトミに、その年の楽しかった話をした。
そして1番嬉しかったのは、ヒトミに会えた事だよ。
そう言った時に、温度が激しく揺れた。
そして映像が流れた、それは霧に霞む山を上空から見ていた。
そして私は空に浮きながら、ヒトミと手を繋いでいた。
ヒトミの瞳が可愛くて、初めて見せる笑顔に感動していた。
そして霧が晴れてきた、その真下に遺跡が見えた。
私はハッとして、我に返った。
《あの遺跡・・マチュピチュだった、ヒトミと上空から見た遺跡。
俺の映像の原点は、ヒトミの想いだったんだ。
ヒトミが俺にプレゼントしてくれたんだ、この映像が見える力を。
最高のクリスマスプレゼントだったんだ、ヒトミからの。
そしてヒトミが最後に伝えてくれたんだ、俺のやるべき事と。
そしてリンダがレベルを上げて、マチルダが鮮明にしてくれた。
全ては俺の成すべき事の為に、その難問を解くために。
ヒトミ・・俺は必ず成し遂げるよ。
そして必ず会いに行くよ、そこにヒトミが存在するんだろ。
あの天空の城に・・遥かなるマチュピチュに》
私は心に囁いて、強く熱い波動に包まれていた。
そしてフロアーの蘭を見ていた、蘭も真顔で私を見ていた。
私は蘭に笑顔を向けた、蘭も最高の満開で微笑んだ。
終演前のフロアーに、熱を増していく青い炎が躍動していた。
私はそれを見ながら、確信的に思っていた。
その青い炎は知っている、その存在の意味を。
絶対に心に従うという、その強さも手に入れている。
世界の情勢にも敏感で、知識の量も計り知れない。
そしてユリカの言った、蘭を表現した言葉。
蘭の心の容量は常人と違う、ユリさんレベルだと。
だから経験を全て、心に塗り込めるのだと。
薔薇の教えの言葉が蘇り、大きく響いてきた。
【経験はしただけでは駄目、内側に刻み込まないと】と言った言葉が。
私はその言葉を噛み締めて、蘭に笑顔を向けて立ち上がった。
蘭の満開に見送られ、裏階段から通りに出た。
土曜の夜の人混みが歓迎してくれた、少し変化をしている私を。
魅宴の裏に入り、満席のフロアーを見ていた。
笑顔が溢れていた、魅宴にしては少し騒がしかった。
ミコトとリョウが、その楽しげな騒がしさを先導していた。
《ミコトが先導してる、ユリカ・・魅宴が変化するかも》と驚いて囁いた、強い波動が来た。
私はミコトを見ていた、その余裕を纏った笑顔が少し変った気がしていた。
「鋭いね~、エース」と大ママが私の横に来て言った。
『ミコト・・魅宴の変化を望んだのかな?』とフロアーを見たまま言った。
「ミコトも私も限界を感じていたんだよ、魅宴の今後にね。
PGや新しい店を見てたから、時代が大きく変ろうとしてるよね。
酒を飲む行為も変化してきた、生活に安定感が出てきたし。
景気も上がり続けてるね、それで考えていたんだよ。
魅宴の変化をね、私はフロアーにあまり立たないから考えつかなかった。
今日、ミコトが言ってきた・・2面性だとね。
今までを捨てるじゃなく、2面を持つという方法をね。
リョウの出現とミサキのデビューで、ミコトも考えたらしい。
そして今日、エースが最後にミコトの背中を押したんだろ?
何したのかな・・どんな魔法をかけたのかね~」
大ママが私の横で、ニヤニヤで見ていた。
『魔法じゃないよ・・ミコトと千鶴の和解をアシストしただけ』と笑顔で返した。
「そうか・・それでね~、ありがとうねエース」と微笑んでフロアーに歩いて行った。
私は大ママを見送り、フロアーに目を移した。
ミコトが奥のキングの指定席に向かう所だった、リョウとハルカを連れていた。
年配のスーツを着た偉そうな3人の男が、笑顔で迎えていた。
ハルカは積極的に話してるようで、ミコトやリョウに引けをとらなかった。
私はハルカを見ていた、数週間で成長した姿を。
ハルカは巣立つイメージを、ずっと追いかけていた事を思い出した。
私も巣立ちを目指すなら、そのイメージを追わなければと思っていた。
その時に映像が流れた、病室で座っているミホの姿が。
鉄格子の遮る窓から、外の遠い光を見ているミホが映っていた。
その瞳には光が無く、無表情の顔で座っている。
だが私はミホの叫びを感じていた、早く出してと叫んでいた。
私はそのミホに語りかけた、心を込めて伝えた。
《会いに行くから待っててね・・ミホ。
待たせたね、ごめんね・・ミホ。
今度は最後まで連れて行くからね、手を繋いで一緒に出ようね。
怖くないから、ミホは俺が守ってやるから。
もう辛い思いはさせないからね、ミホのいるその小部屋のドアを開けるよ。
そして違うドアから出ようね、暗く寂しい部屋で隠れてないでいいよ。
どんな事があっても、その部屋を探し出すから。
そしてミホを苦しめ続けた、両親と兄貴を殺した男の顔を俺が見るよ。
必ず逮捕してもらおう、卑劣なその男だけは。
ミホ・・あと少し待っててね、笑顔で会いに行くから》
熱い波動に何度も包まれながら、私は自分に言い聞かせていた。
ヒトミとチサを想いながら、遥かマチュピチュを感じながら。
「どうしたのかな?何か辛い事でもあったの?」と後からミコトの声がした。
『少しね・・ミコトの胸で泣かせて』と真顔で返した。
ミコトは笑顔で両手を広げた、私はミコトを抱きしめた。
甘い香りと暖かい温度に包まれた、ミコトの優しさが伝わってきた。
「1度だけ言うね・・千鶴をありがとう」とミコトが耳元に囁いた。
『良かったね・・ミコト』と囁いて返した。
「私は魅宴の命・・もう迷わないよ、PGには負けないから」と優しく囁いた。
『そうだね、ミコトがトップだよ・・でもミコトは別の幸せを望むよね』と顔を離してミコトを見た。
「もちろん、私の夢は・・お母さんになる事だからね」と微笑んだ、美しさが溢れていた。
『ありがとう、ミコト・・元気充電できたよ』と笑顔で言って、体を離した。
「少し考え過ぎだよ、自分らしさを忘れないでね。
それがエースの魅力でしょ、それが人を惹き付けるんだよ。
何かに挑戦する時こそ、自分を忘れたらいけないよ。
どんなに難しく辛い事でも・・楽しみなよ。
それが出来れば・・結果が気にならなくなるよ。
求めるべきは結果じゃない、そのゴールを目指そうと決めた心と。
ゴールまでの過程に、費やした気持ちだから。
全力で楽しんでね・・エース。
私も見てるよ・・言い訳は許さないから」
ミコトは私を見ながら、余裕の笑顔を見せて背を向けた。
私はその背中を見送りながら感じていた、もしミコトが夜の世界のトップを目指したら。
大ママの後継者になっただろう、その優しさの表現方法が熱い。
ミコトは常に余裕を振り撒いて、熱さを感じさせない。
しかしその優しさは熱く燃える、その心は熱く燃えている。
他に類を見ない存在、命を名にした者・・ミコト。
夜に咲く花・・その存在の貴重さ、月下美人。
どんなに憧れても届かない、距離や深さを測れない。
私はそう思っていた、ミコトに憧れながら。
「さて、伝説を作りに行きますか」とハルカの声がした。
『最高の状況が君を待ってるよ、伝説の女・・ハルカを』とニヤで返した。
「祭り上げてよ・・どこまでも」とハルカも美しく笑った。
私はハルカと腕を組んで通りに出た、大勢の人々が闊歩していた。
ハルカはそれを見て、私にニヤニヤ光線を出して腕を私の首に回した。
私は笑顔で、純白のドレスを着たハルカを抱き上げた。
『行きますか・・姫』とハルカに微笑んだ。
「くるしゅ~ない・・送ってたもれ」とハルカが笑顔で言った。
私は人混みをハルカを抱いて歩いた、視線の集中を楽しみながら。
「ハルカ!・・良いな~伝説抱っこ」と客引きの女性達に笑顔で言われ。
「ハルカちゃん、綺麗になったね~」と呼び込みさんからニヤで言われた。
ハルカは笑顔を振り撒いて、都度挨拶をしていた。
美しい輝きが溢れていて、私も嬉しかった。
PGにエレベーターで上がった、エレベーターが開いた時に驚いた。
蘭とナギサと9人衆に、マチルダとシオンと久美子が笑顔で待っていた。
全員が笑顔で拍手をして、ハルカを迎えた。
私は熱の残ったフロアーまで歩いて、ハルカを降ろした。
「それでは、今日の報告を述べよ」と蘭が満開で微笑んだ。
『ユリカを抱っこして、千鶴にユリカスペシャル』まで言うと。
「千鶴って・・ゴールド・ラッシュのママかな?」とナギサがニヤで言った、私もニヤで頷いた。
全員がニヤニヤで私を見ていた。
『それから4歳のレイカを抱っこして、ミコトに抱かれて、ハルカに伝説抱っこです』と笑顔で言った。
「今夜は少ないね~、少し良い子になって来たね」と蘭が満開で微笑んだ。
『はい・・僕、良い子です』と笑顔で返した。
「特殊事項は?」と蘭が私の頭をヨチヨチしながら言った。
『暴走族の人達が、ゴールドに意地悪してたので・・説教しときました』と反省顔で言った。
「ちゃんと説教したんだね?」と蘭が満開ニヤで言った、私もニヤで頷いた。
「よし・・リーダー何かあるの?」と蘭がカスミに聞いた。
「はい、明日は9人衆とエースは、9時集合でお願いします」とカスミが笑顔で言った。
「了解です、他に何かありますか?」と蘭が全員に聞いた。
「ゲストの最終報告を、エースお願いします」と美冬が私に微笑んだ。
『はい、梶谷さんと和尚に豊兄さんが夜街以外です。
夜街関係は、魅宴が大ママ・ミコト・リョウ・ミサキ。
そしてリアンとユリカ、ミチルとホノカ。
それとゴールドから、千鶴とマユとレイカに、セリカとケイコ。
そしてジンですね』
私も笑顔で報告した、全員の笑顔が見ていた。
夏の深夜、熱の覚めやらぬ場所で・・・。
この日のシオンの、リンダの話しは忘れられない。
私はリンダの英語が理解出来なかったから、リンダは全てを言葉にしていた。
そしてシオンが読み取ったのは、リンダの心まで読んだのだ。
私は3度目にリンダに会った時に、シオンとリンダとあの湖に行く。
リンダはその青さに感動して話してくれた、シオンが通訳をしてくれた。
リンダは蕎麦屋で私の映像に気が付いていた、アルバムを見る私の目で気付いた。
そしてリンダは私に英語で伝えた、その映像を見る人間が出ると感じていた。
髪の毛を結んで、私の過去をリンダは見た。
私の強く心に残ってる事が、全て見えたらしい。
そしてどうしても伝えたくて、飛行機のドアまで走った。
ミホを諦めるなと、伝えたかったとリンダは笑った。
その時の私はミホに挑戦していた、少し迷っている時期だった。
リンダは多分それを感じて来たのだろう、優しい笑顔で私を抱きしめてくれた。
「アキラメタトキニ・ハイボクガキマル」とリンダが私の耳元に優しく囁いた。
私はリンダを強く抱きしめて、ブルーの瞳を見ていた。
『OK、リンダ・・ネバー・ギブアップ』と笑顔で返した。
リンダの楽園のブルーが輝いていた、その遥かなるブルーの輝きを見ていた。
シオンありがとう、私に入ってくれて・・映像を見てくれて。
そして伝えてくれた・・シオンにしか出来ない方法で。
白い心のままに・・言葉を詩に変換して・・歌ってくれた。
響いたよ、シオンの歌が・・その声が。
最高だったよ、その全てが・・その存在自体が。
最高の純白・・心を歌う者・・詩音。