色褪せぬ想い
緩やかに暑さが和らごうとしていた、8月が終わりのカウントダウンに入った。
私には最高の長い夏休みだった、そしてPGの夏は終わらないと思っていた。
千鶴をエレベーターの中で降ろした時に、3階に着きドアが開いた。
ゴールド・ラッシュの大きな金看板の前で、ボーイが掃除をしていた。
私は千鶴に連れられて中に入った、準備をする何人かのボーイが動いていた。
『人気店の土曜の準備は、忙しそうだね』と千鶴に微笑んだ。
「何言ってるのよ、最高人気店のエースが」と千鶴が美しく笑った。
千鶴に案内されて、小さな部屋に入った、4歳位の女の子と若い可愛い女性がいた。
「お昼・・何が良い?」と千鶴が笑顔で聞いた。
『肉』とウルで答えた、千鶴が笑顔で頷いた。
受話器を千鶴が取ったので、私は少女を見た、色の白い可愛い子だった。
【熊のプーさん】の絵本を見ていた、目が合ったので私が笑顔を見せると、可愛く笑った。
『読んであげようか』と微笑んで言うと、笑顔で頷いた。
私はその子を手招きして、膝に座らせて、得意の擬音を駆使して読んであげた。
千鶴も女性も、笑顔で見ていた。
私の膝の上の少女は、ケラケラと楽しそうに笑っていた。
私は少女の体温が高すぎると感じていた、読み終わり額に手を当てた。
『少しお熱があるね・・頭、イタイ・イタイじゃないの?』と抱き寄せて、優しく囁いた。
「えっ!」と驚いて、若い可愛い女性が慌てて、少女の額に手を当てた。
「少し高いかも」と立ち上がり、体温計を取りに行った。
「しかし、噂通り・・凄いね~」と千鶴が少女の額に手を当てて、私に微笑んだ。
『子供同士ですから、子供の事は分ります』と照れて返した。
「お願い出来るかしら?」と可愛く微笑んで、女性が私に体温計を渡した。
『もちろん』と笑顔で返して、受け取った。
『お名前は、なんて言うのかな?』と優しく少女に囁いた。
「レイカだよ」と私を見上げ微笑んだ。
『可愛い名前だね~、レイカ』と笑顔で言った、レイカも嬉しそうに笑っていた。
『レイカの温度を測りま~す、上手に出来ますか~』と優しく言った。
「は~い」と可愛く答えた、私は笑顔で頷いて抱き上げた。
お姫様抱っこをして、体温計を脇に挟んで、抱きしめて押さえた。
『レイカ・・揺り篭してあげるから、目を閉じましょう』と笑顔で言うと、笑顔で目を閉じた。
私はレイカの鼓動と、体温の揺れを感じていた、レイカは静かに目を閉じていた。
千鶴と女性は、私とレイカを笑顔で見ていた。
レイカの体温は、37.2度だった。
「微熱ですね、マユはどこですか?」と千鶴が女性に聞いた。
「もう、戻ると思います」と女性が答えた。
私はレイカを抱いたまま、静かに揺らしていた、レイカの深い眠りを感じた。
『大丈夫ですね、風邪じゃないですね、多分プールか何か水に入ったのかな』と千鶴に笑顔で言った。
「昨日、プールに行ったと言ってたよ」と女性が笑顔で私を見た、20歳位の可愛い笑顔だった。
「どこまで分るの・・あなたの抱っこは?」と千鶴が興味津々光線を出した。
『感じだけだよ・・子供だけです』と笑顔で返した。
レイカをベッドに寝かせて手を握った、安定していて安心した。
千鶴と女性と3人で、お昼ご飯の豪華な焼肉定食を食べた。
「PGの仕事は何時からなの?」と千鶴が言った、女性が驚いて私を見た。
「あなたが、PGのエース・・こんなに若いんだ」と女性が笑顔で言った。
『若いんじゃなくて、ガキなんです』と女性にニヤで返して。
『PGの仕事は13時からだけど、ユリさんが特権を与えてくれて、今は自由です』と千鶴に微笑んだ。
「ユリさん素敵だよね~、憧れ続けるよ」と千鶴が美しく微笑んだ。
『千鶴も素敵だよ、第三世代のトップでしょ』と笑顔で返した。
「第三世代?」と千鶴が私を見た。
『うん、さっき千鶴を見てて感じたよ。
大ママとユリさんが今の女帝・・第一世代。
リアンとユリカが多分・・第二世代。
そして、ミコトと千鶴が・・第三世代じゃないかって。
俺の知る限りの考えだけど、そう思ったよ』
千鶴の美しい笑顔を見ながら、笑顔で言った。
「なんでそんな素敵な事が、ストレートに言えるの」と嬉しそうに微笑んだ。
『感じたままを、言葉にするだけだよ』と微笑んで返した。
「ねぇ、その下は・・エースの考えじゃ、どうなってるの?」と女性が聞いた。
私はその女性を見ていた、やはり少女の匂いの強くまだ垢抜けてない感じだった。
しかし瞳の輝きは、前に進もうとする確かな強さがあった。
そして何より、その素材としての可能性が、見てて楽しくなるほどだった。
可愛さと美しさの境で、どこか迷ってる感じだが、それでも輝きは強かった。
『お姉さん、お名前とお歳は?』と笑顔で聞いた。
「ケイコです、18で~す・・まだ源氏名無いんです」とはにかんで、笑った。
『素敵だよね~、自信持てば良いのに・・魅力あるよね』と笑顔で返した。
「うそ、私が・・お上手ね」と笑った、可愛かった。
『どっちかに決める必要ないよ、全部取り込んで、状況に応じて出せば良いんだよ』とニヤで言った。
「そうなんだよ、そこで女性は迷うんだけど、結局後でそう思うんだよ」と千鶴もケイコに微笑んだ。
「お願い・・優しく説明して」とケイコが可愛く微笑んだ。
『ねぇ、ケイコ・・他の女性を見る時に、視点が違うんだよ。
憧れるなら、盗まなきゃ・・必死に研究するんだよ。
でもそれは、絶対に自分を知ってないといけないんだと思うよ。
そうでないと、ただの物真似になってしまう。
結局自分で自分が、訳が分からなくなるんだ。
女性は可愛い年代から、美しいに脱皮するよね。
でも、可愛いを脱ぎ捨てる必要は無いんだよ。
可愛いも持って、美しいを追い求める・・この仕事はそれが力になるから。
恋愛と違うから・・恋愛なら正直に、ありのままを見て欲しいよね。
でも夜の仕事は・・夢を売るんでしょ、女性としてお客に夢を。
その時間は女優なんだから、少女になったり淑女になったりするんだよ。
それを自分で受入れる、この時間はお金を取る・・プロの時間だと。
それで良いんだと、俺は最近思うようになったよ。
ユリさんの言葉を贈るね、最高峰に立つ人の言葉を。
たとえ心と体が売れたとしても、愛は売れないと信じている。
そう言ったよ、だから俯いて歩く必要はないとね。
その時は女優で良いんだよ、演じて良いんだよ。
それは嘘でも裏切りでもない、それが高い金を取るプロの仕事だからね。
ケイコ、捨てる必要は無いよ、全てを持とうとするんだよ、贅沢に生きないと。
それが、夜の女性の特権なんだから』
私を見ているケイコに、最後は微笑んで言った。
「さすがユリさん・・愛は売れないか~、響くよね~」と千鶴が嬉しそうに、微笑んだ。
「私でも、間違わなければ・・トップを目指せると思うの?」とケイコが真顔で聞いた。
『うん・・じゃあさっきの質問に答えるよ。
PGに今、蘭とナギサがいる・・23歳で第四世代。
そしてその下は、群雄割拠・・今からも挑戦者は出てくる。
今、俺の知る限り突出してるのは。
20歳のトリオ・・カスミ・ホノカ・リョウの銀河の奇跡。
その下は、19歳のセリカに期待してる、シオンという存在もいるから。
最新型は常に現れる、でも客がそれを求めるとは限らない。
お酒を飲む人もそれぞれだから、そして勝負はそんな事じゃない。
結局自分がどう生きたのか、それを競い合うんだろうね。
ケイコ・・素敵な18歳を、俺は今1人知ってるよ。
ケイコなら、十分その女性と仲間になれるよ。
焦らずに、ゆっくりと頑張ってね』
ケイコの輝く瞳を見て、笑顔で伝えた。
「うん、ありがとう・・銀河の奇跡はお祭りで見たよ、セリカ姉さんの凄さも知ってる・・やってみるね」とケイコが笑った、可愛さの中の美しさを秘めて。
「ねぇエース、どうすれば、たまに遊びに来るようになるの?」と千鶴がニヤで言った。
『ここをフリーパスにしてくれて、千鶴って呼捨てに出来る権利』とニヤで返した。
「もちろん、OKよ・・いつでも来てね、レイカも待ってるから」と千鶴が美しく微笑んだ。
その時ドアを開けて、女性が入って来た。
ドアが開いて光が差し込み、逆光に映し出されたシルエットに息を飲んだ。
細く長身の素晴らしいスタイルで、微笑んだ時に温かさを感じた。
20代前半であろう、細面のシャープな顔で、切れ長の瞳が熱を発していた。
「千鶴ママすいません、レイカがお世話かけました」と微笑んで頭を下げた。
「微熱があるよ、プールの影響らしいけど」と千鶴が真顔で返した。
「えっ、すいません・・気付かなかった」と言って、レイカのベッドに向かった。
『多分さっき上がったんですよ・・プールは体力使うから、翌日の昼位にダメージが出るから』と笑顔で言った。
「そうなの、ありがとう・・エース」と微笑んだ、美しい笑顔だった。
「私、マユって言います・・美冬と同級生で、今でも仲良しです」と笑った。
『それは危険だ・・変な話を聞いてますね?』とニヤで返した。
「あら、良い話しばかりよ・・感動的なのとか」と微笑んだ、美しい中に熱を感じた。
『良かった~、美冬のご機嫌取っとこう』と笑顔で返した、マユも微笑んで返してくれた。
「うん、大丈夫みたいだね、病院は必要ないね」とマユがレイカを見ながら、微笑んでいた。
その時年配のボーイが入ってきて、千鶴に耳打ちをした。
千鶴は真顔になって、マユに近づき囁いて、3人で出て行った。
私もケイコに笑顔で挨拶して、レイカの額に手を当てて、安定を確認して部屋を出た。
裏からフロアーに歩いて行くと、入口で男の怒鳴り声が聞こえた。
私は壁に隠れて、話し声を聞いていた、若い男が3人来てるようだった。
「レイカに会わせろよ、勝手に出て行って・・俺の娘だぞ」と大きな怒鳴り声が響いた。
《マユ、美冬と同じ歳なら21だから、17か18でレイカを産んだんだよな~》と思っていた、強い波動が返ってきた。
《ユリカ、ごめんね・・今度説明するから》と心に囁いた、暖かい波動が包んでくれた。
私は入口を覗いた、大きな体の男が2人と背の低い男がいた。
怒鳴っているのは背の低い男だった、年齢は20歳位だった。
「すいませんが、お引取り下さい・・レイカに会わせる事は出来ませんから」と千鶴が真顔で頭を下げた。
「おい、ママ・・俺が武藤さんに言って、こんな店潰してもいいんだぜ」と凄んだ、迫力は無かった。
「何を言われても、無理なものは無理です」と千鶴もはっきりと断った。
「なぁママ、もう後ろ盾が無い事は、こっちは分ってるんだぜ」とニヤニヤで男が言った。
千鶴もマユも黙って男を見ていた、ボーイも手が出せずに後に立っていた。
『千鶴、マユ・・武藤の所に行こうか、その人達と』と私が笑顔で千鶴に声をかけた。
千鶴はリョウから聞いていたのだろう、私に笑顔を向けた。
「行ってくれるの!」と千鶴が私に微笑んだ。
『レイカの為なんだろ、それなら何処でも行くよ』と千鶴の目の前に立って、笑顔で言った。
「ガキ・・何言ってるんや」と男が声を上げた。
『武藤の所に行ってから、俺をガキ呼ばわりしろよ』と男の顔の前に、顔を突き出して微笑んだ。
男は目を逸らして、黙り込んだ。
『後の2人は、どういう事で付いて来てるの?今はっきりさせといて』と後の大きな男を見て、笑顔で言った。
2人とも体が大きいだけで、殺伐とした物は感じなかった。
「ただの、付き添いや」と1人の男が言った。
『お前、何年生?1人で来れんの?・・僕、おいくつ』と背の低い男に微笑んだ、男は黙っていた。
『マユ、こいつ潰して構わないのかな?』と静かにマユに言った。
「もちろん、自業自得でしょ」とマユも笑顔で返した。
『じゃあ、行こうか・・そこの2人も付いて来るなら、同罪だからな』と後の2人に微笑んで、エレベーターのボタンを押した。
私の後ろに千鶴とマユが乗った、3人の男達は小声で話していた。
『早く行こうよ、土曜で忙しいんだから』と笑顔で言った。
3人の男が乗ってきた、付き添いの2人は渋々という感じだった。
ピーチに着いて、背の低い男を見た。
『フロアーで待ってるから、武藤連れて来いよ』と笑顔で言って、千鶴とマユとフロアーに行った。
手前の席に3人で座って待っていた。
「大丈夫なんだよね?」とマユが心配そうに、私に言った。
「大丈夫よ、リョウをここから出したのも、エースだから」と千鶴が微笑んだ、マユが私に笑顔を向けた。
その時3人と武藤が来た、武藤が私を見て3人を睨んだ。
『武藤、内輪もめは後にしろよ、土曜で忙しいんだ』と武藤に大声で言った。
それを聞いて武藤の表情を見て、3人に緊張が走った。
武藤を先頭に、私達の前に歩いて来た。
『武藤よ、そこの背の低い奴が、ゴールドを武藤が潰すって言ったんだけど』と武藤に笑顔で言った。
「お前ら馬鹿か!・・すまん俺の知らんかった事や」と武藤は3人を恫喝して、私に頭を下げた。
『武藤・・ふざけちゃいけないよ、知らんかったで済むの。
自分の名前出されて、こっちには知らんかったなの。
どうして名前出した事で、そいつら先に処分せんの。
使わせてたんやな、そしてゴールドを狙ったんやな。
武藤、力で来るなら、俺も力で行くよ。
カードを見せろよ、武藤・・カードを切れよ。
俺の方のカードは分ってるやろ、さぁ武藤出せよ』
武藤を見ながら、静かに言った。
「待ってくれ・・こいつらを、どう処分すれば良いんだ」と武藤が言った。
3人は完全に萎縮して、声も出なかった。
『まず・・今すぐに3人の、名前と住所と仕事先を書いてもらおう』と武藤に微笑んだ。
「今すぐ書いて来い・・早くせんか!」と武藤が後の3人に怒鳴った。
3人が、近くにいたボーイに紙とペンを借りて、書いていた。
『ねぇ、武藤・・まだそんな手荒いことやってるの?俺との約束忘れたのかな?』と静かに聞いた。
「奴らは昔馴染で、最近会ってなかったから」と武藤が静かに答えた。
『だから?・・結局お前はそういった事を、沢山の人間に言ってるんやね』と返した。
「昔の話や、今は・・あれからはやってないよ」と小声で答えた。
『武藤、自分勝手もいい加減にしろよ、今日だぞ・・今だぞ奴らが来たのは』と静かに返した。
武藤は黙っていた、3人が書き終わり、その紙を私に差し出した。
私はそれを見て、ニヤで3人を見た。
『これ本気で書いたの・・お前らこんな仕事してて、あんな脅しをかけたの』とニヤニヤで3人に言った。
3人も武藤も沈黙していた、緊張感が伝わってきた。
『武藤、今回はこれで帰るよ。
但しそいつらの顔を、今度夜街で見たら。
俺に対して喧嘩売ったと判断するから、お前を狙うよ。
それとチビ、マユにも絶対に近づくなよ。
破ったら仕事も何もかも、残ると思うなよ。
良いかな、武藤?・・それと3人さん?』
私は笑顔で武藤を見て言った、武藤は少し安心した表情になった。
「分った、こいつらには今からキチンと言っとく」と武藤が言った。
『武藤、今回のペナルティー・・そこの洞窟を明るく照らす、照明をすぐに付けろよ』と武藤に言った。
「分った、今からボーイに指示する」と武藤が答えた。
『じゃあ、よろしく・・そして3人さん、また会いに行くよ仕事場に』と微笑んで立ち上がった。
3人は緊張して私を見た、私はニヤニヤで返した。
「ちょっと待ってくれ、仕事場に来られたら・・困るんや」と背の低い男が、必死に言った。
『お前も自分勝手やな~、お前らさっき何処に来て脅しかけたの?』と静かに返した。
「それは・・悪かった反省した、もうマユの前には絶対に現れんから」と反省を込めて言った。
『なぁ、誰が信じるの?そんな台詞・・お前なら信じるの?』と突っ込んだ。
「信じられんだろうが、信じてくれ」と言って頭を下げた。
『ふざけるなよ、マスコミの人間が・・ならどう落し前つけるの?』と目を見ながら、迫った。
「どうすればいいんや?」と真顔で答えた、必死さが伝わってきた。
《ここで良いかな》と思っていた。
『なら、仕事がそんなに大切なら・・レイカが成人するまで、毎月10万振り込めよ』と静かに言った。
「それで仕事場に来ないんやな」と少し安心したように言った。
『お前が約束守ればね、言っとくけど俺、○○社長も知り合いだからね』と微笑んだ。
「分った、約束する・・必ず守るから」ともう1度頭を下げた。
後の2人を巻き込んだので、引っ込む訳にはいかなかったのだろう、必死だった。
『マユ、銀行口座分る?』とマユに笑顔で聞いた、マユも笑顔で頷いた。
マユに口座番号を書かせて、男に渡した。
『約束を守ってれば・・夜街制限は、西橘通りにだけで良いよ』と微笑んだ。
「分った、必ず守るかい」と真顔で答えた。
私は千鶴とマユとピーチを出た、夏の日差しが眩しかった。
「なんてお礼言えばいいの、本当にありがとう」とマユが笑顔で言った。
『お礼はいらないよ、レイカが可愛くてしたんだから』と笑顔で返した。
「エース私からも、ありがとう・・洞窟の照明も嬉しかったよ」と千鶴が微笑んだ。
『なら、千鶴・・少し付き合って』と笑顔で返した。
「もちろん、何処でも行くよ」と笑顔で腕を組んで来た。
マユとゴールドのビルの下で、手を振って別れた。
振返ると、ユリカが立って爽やかに微笑んでいた。
「ユリカ姉さん、ご無沙汰しています」と千鶴が慌てて頭を下げた。
「近いのに中々会えなかったね、元気そうで良かったよ」とユリカが爽やかに微笑んだ、千鶴も嬉しそうに微笑んで返した。
「私、千鶴と話したいから、行っておいでよエース」と爽やかに微笑んだ。
《ユリカ、分ってるんだね・・もう鋭いから》と心で囁いた、ユリカが爽やかニヤを出した。
『了解、千鶴少し行ってくるから、ユリカの店で待ってて』と千鶴に微笑んだ。
「ありがとうエース、ユリカ姉さんと話せて・・最高に嬉しいよ」と千鶴が目を潤ませた、私は笑顔で頷いた。
ユリカが笑顔で話しながら、笑顔の千鶴とエレベーターに消えた。
私は急ぎ足で、魅宴に向かった。
裏口から入ると、ミサキがいた、私は笑顔で声をかけた。
『姉御、ミコト来てる?ちょっと話しがあるんだけど』と真顔で言った。
「ふ~ん・・分ったそこで待ってて、呼んで来る」と私の表情を読み取り、笑顔で言った。
私は裏ドアを閉めて、踊場で待っていた。
《ミサキ凄いな~、感性が広がってる感じだ》と思った、暖かい波動が来た。
「どうしたの?・・嬉しいお誘い?」とミコトが美しい笑顔で私に言った。
『ミコト、暫し休戦して・・会ってほしい人がいるんだ』と真顔で言った。
「OK、良いよ・・あんたの頼みなら」と余裕で微笑んだ。
私が笑顔で手を出すと、余裕ニヤで腕を組んできた。
「私だけ組まない訳にいかないよ、ユリさんでも組むんだから」と笑った、本当に美しさが溢れ出す感じだった。
ユリカのビルでエレベーターに乗ると、ミコトが私を見た。
「誰なんだろうね~、エース絡みで私の知り合い」と余裕の笑顔を見せた。
『ミコトもし嫌な思いしたら、全部俺が悪いんだから・・俺に言って』と真顔で言った。
「了解、そん時は覚悟しなよ」と笑顔で言った、どこまでも余裕を見せて。
私が先にユリカの店に入り、ミコトが後を付いてきた。
奥のBOXでユリカと千鶴が話していた、ミコトが千鶴を見た。
「エース・・休戦だって言ったね」とミコトが私に囁いた。
『うん、今回は休戦だよ』と囁いて返した、ミコトが頷いて私の前に進んだ。
「千鶴・・元気そうだね」とミコトが声をかけた。
千鶴はその声にビクっと反応して、ミコトを見た。
千鶴は立ち上がり、大粒の涙を流した。
「ミコト・・・・ごめんね」と泣きながら、ミコトに言った。
「どうして謝るの、私はあの時反対したけど・・あんたを悪く思った事なんか、一度もないよ」とミコトが優しく言った。
千鶴がミコトに駆け寄り抱きついた、ミコトも千鶴を強く抱きしめた。
ユリカが2人をBOXに促して、爽やかに微笑んだ。
「私、ユリカスペシャルしてもらうから、2人でゆっくり話してね」と微笑んだ。
「ユリカ姉さん、ありがとう」とミコトが微笑んだ、泣いていた美しく。
「休戦中だからね」と私にミコトが、泣きながら強引に微笑んだ。
『分ってるよ、ミコト・・泣顔も綺麗だよ』と微笑んで返して、ユリカと店を出た。
ユリカと腕を組んで、エレベーターに乗った。
ユリカはご機嫌だった、美しく輝いていた。
1階で降りて、階段まで歩き、ユリカを抱き上げた。
「ゴールド、素敵なメンバーが揃ってるのね」と爽やかに微笑んだ。
『うん、レイカ可愛いよ~』と笑顔で返した、ユリカもニヤで返して瞳を閉じた。
階段を登りながら、マユのレイカの発熱を聞いた時の顔を、思い出していた。
レイカを愛してるのが伝わって、私は嬉しくてユリカを見ていた。
「雑念が多いよ・・眠れない」とユリカが目を閉じたまま微笑んだ。
『ごめん、おやすみユリカ』と優しく囁いた。
南風が吹いていて、ユリカの髪を揺らしていた。
私は風に背中を押されて、快調に階段を登った。
暑さはまだ、夏を主張していた・・青空に入道雲が流れていた。
私はゴールド・ラッシュに、興味を持っていた。
若いクラブに集まる、最新型に心が動いたのだ。
そしてレイカが可愛くて、3人娘と同じ存在として接する。
ミサとレイカは友達になって、成長して親友になる。
レイカはエミの影響を強く受け、その才能が開花する。
父親はレイカの大学卒業まで、約束の養育費を支払う。
レイカが大学入学で上京する時に、私はその男と十数年ぶりに会った。
泣いていた・・影から見送り、涙を流していた。
私はその姿が嬉しかった、父親の愛情に溢れていた。
マユは再婚していたが、レイカの結婚式に、その実の父親を招待した。
「嬉しかったよ、お父さん・・私を支えてくれたんだね」とレイカが私に笑顔で言った。
私は笑顔で頷いた・・美しいレイカの笑顔を見ながら。
マユの輝く笑顔を見ながら・・幸せを祈っていた・・兄として。